JP2007092701A - 密閉型冷媒圧縮機の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】密閉型冷媒圧縮機の製造方法において、効率よく安価で容易に、軸受の耐摩耗性及び耐焼付き性を向上することができるようにすること。
【解決手段】軸受材3fに支持された回転軸6により駆動される圧縮手段で冷媒を圧縮する密閉型冷媒圧縮機の製造方法において、平板状の裏金14の一側に非晶質硬質炭素皮膜16を積層して複合体とし、平板状の複合体を、非晶質硬質炭素皮膜16を積層した側を内面とする円筒状に形成して軸受材5bとし、回転軸6を支持する部材の軸受部3fに円筒状の軸受材3fを圧入して装着し、この軸受部3fに装着された軸受材3fの内面を表面仕上げ加工し、この表面仕上げされた軸受材3fに回転軸3fを挿入して支持する。
【選択図】図2
【解決手段】軸受材3fに支持された回転軸6により駆動される圧縮手段で冷媒を圧縮する密閉型冷媒圧縮機の製造方法において、平板状の裏金14の一側に非晶質硬質炭素皮膜16を積層して複合体とし、平板状の複合体を、非晶質硬質炭素皮膜16を積層した側を内面とする円筒状に形成して軸受材5bとし、回転軸6を支持する部材の軸受部3fに円筒状の軸受材3fを圧入して装着し、この軸受部3fに装着された軸受材3fの内面を表面仕上げ加工し、この表面仕上げされた軸受材3fに回転軸3fを挿入して支持する。
【選択図】図2
Description
本発明は、密閉型冷媒圧縮機の製造方法に係り、例えば、空調機、冷凍機、ヒートポンプ式給湯機等に搭載されるスクロール圧縮機及びロータリ圧縮機等に好適なものである。
ルームエアコン,冷蔵庫,ヒートポンプ式給湯機等に用いられる密閉型冷媒圧縮機としては様々なものがあるが、最近では振動や騒音が小さく性能が優れたスクロール圧縮機が多く使用されるようになってきている。
従来のスクロール圧縮機を図7を参照して以下に説明する。図7は従来の一般的なスクロール圧縮機の構成を示す縦断面図である。
図7において、固定スクロール4は、鏡板4aの一方の面に略インボリュート形状のラップ4bが直立して形成されており、中央に吐出口4dが設けられている。旋回スクロール3は、鏡板3aの一方の面に略インボリュート形状のラップ3bが直立して形成されており、鏡板3aのもう一方の面には軸受部3cが設けられている。固定スクロール4と旋回スクロール3とは、互いにラップ4b、3bを内側に向けて噛み合わされ、三日月型の圧縮室を形成している。旋回スクロール3は、フレーム5にオルダムリング7を介して回転可能に支持されることにより自転が阻止され、かつ軸受部3cがクランクシャフト6のクランク6aに軸受材3fを介して係合されている。
クランクシャフト6は、モータ8の回転子に固定されており、回転子と共に回転する。旋回スクロール3はクランクシャフト6に対して偏心して係合されており、かつ自転を拘束されているので、クランクシャフト6の回転により固定スクロール4に対して自転を伴わない公転運動(旋回運動)を行うことになる。この結果、固定スクロール4と旋回スクロール3とで形成された三日月型の圧縮室は、クランクシャフト6の回転に伴い、外周側から中心方向に向かって次第に容積を縮小させながら移動され、これによって圧縮室内の冷媒が圧縮される。
クランクシャフト6は、縦方向に配置され、旋回スクロール3の軸受部3cとフレーム5の軸受部5aとに設けられた軸受材3fと軸受材5dとで支持されている。クランク6aには流体圧力によりその偏心方向と直角の半径方向に荷重が作用する。クランクシャフト6は、軸受材3f、5dとの間に存在する隙間の範囲で、半径方向に微小量移動可能のように構成されている。
このような状態で、流体圧力による半径方向の荷重が作用すると、クランクシャフト6は、旋回スクロール3の軸受部3cを支持する上側の軸受材3f及びフレーム5の軸受部5aを支持する下側の軸受材5dの中で傾き、それぞれの軸受材3f、5dに片当たりの状態で強く押し付けられながら回転することになる。その結果、軸受材3f、5dには潤滑油による油膜反力を上回る荷重が加わり、クランクシャフト6との間に潤滑油が存在しない状態で摺動することが起こりうる。また、クランクシャフト6と軸受材3f、5dとの隙間寸法は、大きすぎると圧縮ガスの漏洩による性能低下や振動騒音の増大を招き、小さすぎると摺動部の摩擦損失の増大を招く、といった悪影響を及ぼすので、最適な寸法に設定する必要がある。さらに、軸受や回転軸の表面状態(表面粗さ等)も信頼性や性能に影響を与える。このため軸受材3f、5dは厳しい潤滑条件下でも焼付きや摩耗が発生しない耐摩耗性、最適な隙間寸法を実現するための加工性が要求される。
一方、ロータリ圧縮機においても、冷媒がHFC化及び自然冷媒化へと移行するに伴い、軸受に加わる荷重が増大するため耐摩耗性が良好な軸受材を軸受材に使用する必要がでてきた。
従来のスクロール圧縮機の製造方法としては、特開2002−213356号公報(特許文献1)に示された方法がある。この特許文献1のスクロール圧縮機の製造方法は、信頼性を向上するために、IB族、Feを除くVIII族及びSnから選ばれる1種の金属又はこれらの金属を主にした合金の素材をその溶融温度より高い温度に加熱して溶湯化し、その溶湯中に所定の長さの炭素質基材からなる円柱体を浸し、窒素ガスによって加圧して金属または合金を含浸させた後、円柱体を切削加工によって円筒形状に加工する方法である。
また、従来の磁気ディスクドライブ、光ディスクドライブ、ビデオテープレコーダ等のスピンドルモータに使用される動圧流体軸受の製造方法として、特開2001−27245号公報(特許文献2)に示された方法がある。この動圧流体軸受の製造方法は、スパッタリング装置を用いて、軸受部の内周にアモルファス炭素であるDLC(Diamond Like Carbon)膜を保護膜として成膜する方法である。DLC皮膜を保護膜とすることで、硬度が大幅に向上し保護膜の膜厚を薄くでき、成膜時の膜厚精度の向上をはかることができると共に、低摩擦かつ表面が平滑であることから、焼付きや、摩耗による回転精度の劣化等の改善を図ることができる。
密閉型冷媒圧縮機では、地球環境対応として冷媒のHFC化及び自然冷媒化の進展に伴い、圧縮機運転状態で圧縮機内部が高圧となり軸受の負荷が増大してきており、潤滑油による潤滑膜が途切れ、軸受と回転軸とが局部的に直接接触する境界潤滑状態になり易くなっている。特に、圧縮機の起動時や過大な冷媒の混入時に境界潤滑状態になり易く、このような境界潤滑状態において、軸受及び回転軸が焼付きや、かじり等が発生し易かった。
軸受部の耐摩耗、耐焼付き性を向上するために、上述した特許文献1及び特許文献2に示す技術が提案されている。
しかし、特許文献1のスクロール圧縮機の製造方法では、金属または合金を含浸させるための高価な設備を必要とすると共に、含浸行程及び切削加工行程の生産性が低く、コストアップを招くという問題があった。
また、特許文献2のディスクドライブ等のスピンドルモータに使用される動圧流体軸受の製造方法では、ドライプロセスための高価な設備を必要とし、コストアップを招くと共に、高度な生産技術が要求されために実用性に課題があった。
本発明の目的は、効率よく安価で容易に、軸受の耐摩耗性及び耐焼付き性を向上することができる密閉型冷媒圧縮機の製造方法を提供することにある。
前述の目的を達成するための本発明の第1の態様は、軸受材に支持された回転軸により駆動される圧縮手段で冷媒を圧縮する密閉型冷媒圧縮機の製造方法において、平板状の裏金の一側に非晶質硬質炭素皮膜を積層して複合体とし、前記平板状の複合体を、非晶質硬質炭素皮膜を積層した側を内面とする円筒状に形成して軸受材とし、前記回転軸を支持する部材の軸受部に前記円筒状の軸受材を圧入して装着し、この軸受部に装着された軸受材の内面を表面仕上げ加工し、この表面仕上げされた軸受材に前記回転軸を挿入して支持することである。
係る本発明の第1の態様におけるより好ましい具体的構成例は次の通りである。
(1)前記平板状の裏金の一側に金属材料からなるバインダ層を介して前記非晶質硬質炭素皮膜を積層して複合体とすること。
(2)前記平板状の裏金にチタン層及びシリコン層の順に前記バインダの層を設け、このバインダのシリコン層の上に前記非晶質硬質炭素皮膜を積層して複合体とすること。
(3)ダイアモンド構造を一部含んだ炭素と水素からなるアモルファスのDLC皮膜で前記非晶質硬質炭素皮膜を形成すること。
(4)前記軸受部に圧入した軸受材を表面粗さ5μm以下に仕上げ加工すること。
(5)冷媒としてHFC冷媒または自然系冷媒を用いること。
(1)前記平板状の裏金の一側に金属材料からなるバインダ層を介して前記非晶質硬質炭素皮膜を積層して複合体とすること。
(2)前記平板状の裏金にチタン層及びシリコン層の順に前記バインダの層を設け、このバインダのシリコン層の上に前記非晶質硬質炭素皮膜を積層して複合体とすること。
(3)ダイアモンド構造を一部含んだ炭素と水素からなるアモルファスのDLC皮膜で前記非晶質硬質炭素皮膜を形成すること。
(4)前記軸受部に圧入した軸受材を表面粗さ5μm以下に仕上げ加工すること。
(5)冷媒としてHFC冷媒または自然系冷媒を用いること。
本発明の第2の態様は、前記第1の態様及びその好ましい具体的構成例の方法で製作された密閉型冷媒圧縮機を用いた空調機である。
本発明の第3の態様は、前記第1の態様及びその好ましい具体的構成例の方法で製作された密閉型冷媒圧縮機を用いた冷凍機である。
本発明の第4の態様は、前記第1の態様及びその好ましい具体的構成例の方法で製作された密閉型冷媒圧縮機を用いたヒートポンプ式給湯機である。
本発明の密閉型冷媒圧縮機の製造方法によれば、効率よく安価で容易に、軸受の耐摩耗性及び耐焼付き性を向上することができる。
以下、本発明の複数の実施形態について図を用いて説明する。本発明の各実施形態の図1〜図6及び従来例の図7における同一符号は同一物または相当物を示す。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の密閉型冷媒圧縮機の製造方法を図1から図5を用いて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の密閉型冷媒圧縮機の製造方法を図1から図5を用いて説明する。
まず、本実施形態における密閉型冷媒圧縮機の全体構成に関して図1を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施形態におけるスクロール圧縮機の縦断面図である。本実施形態は、DLC皮膜を成膜した軸受材を使用したスクロール圧縮機に適用した例である。このスクロール圧縮機は、固定スクロール4と旋回スクロール3との噛み合わせによって圧縮された圧縮ガスを密閉容器1内に吐出した後、密閉容器1外へ吐出するように構成されている。スクロール圧縮機は、振動や騒音が小さく性能が優れているため、空調機、冷蔵庫、ヒートポンプ式給湯機等に用いられる。
スクロール圧縮機は、密閉容器1の内部に、圧縮機部を上側に配置し、モータ8を下側に配置し、圧縮機部とモータ8とをクランクシャフト6を介して連設して構成されている。圧縮機部は、鏡板4aに渦巻き状のラップ4bを直立した固定スクロール4と、鏡板3aに渦巻き状のラップ3bを直立した旋回スクロール3とを、それぞれのラップ4b、3bを内側に噛み合わせ、固定スクロール4の外周部に吸入口4cを設けると共に中央部に吐出口4dを設けて構成されている。
回転軸を構成するクランクシャフト6はフレーム5の中央の軸受部5aに軸支されている。クランクシャフト6の先端に突出したクランク6aは旋回スクロール3の軸受部3cに挿入されて係合されている。自転防止機構としてのオルダム継手7aは、旋回スクロール3が固定スクロール4に対し自転することなく旋回運動させる継手で、旋回スクロール3の鏡板3aの背面キー溝3dとフレーム5のキー溝5cに係合している。
モータ8によりクランクシャフト6が回転すると、クランク6aの偏心回転により、旋回スクロール3は自転することなく固定スクロール4に対し旋回運動を行う。これによって、吸入口4cより吸い込まれた冷媒ガスは、圧縮室で圧縮され、吐出口4dより吐出される。
旋回スクロール3には軸受部3cが設けられ、フレーム5には軸受部5aが設けられている。軸受部3c及び軸受部5aにはいずれも循環する潤滑油が供給されるが、起動時や冷媒の吐出圧力が高い場合には潤滑油の供給が不足して摩耗や焼付き等の損傷が発生し易い。そこで、本実施形態では、内面に非晶質硬質炭素皮膜をコーティングした軸受材3e、5bを軸受部3c及び5aにそれぞれ圧入して固定している。これによって、スクロール圧縮機の信頼性及び耐久性を向上することができるようになっている。
次に、本実施形態の軸受材3e、5bの製造方法及び詳細構造について図2及び図3を参照しながら説明する。図2は本実施形態における軸受材3e、5bの製造方法を示す工程図、図3は本実施形態における軸受材3e、5bの一部拡大図である。
まず、平板状の裏金14の一側に金属材料からなる複数層のバインダ層15をコーティングして積層する(ステップS1)。このバインダ層15の積層は、裏金14が平板状態で、その一側から行うので、安価な設備で、容易に、しかも生産性良く行うことができる。
複数層のバインダ層15は、本実施形態では、チタン(Ti)層15aとシリコン(Si)層15bとからなっている。裏金14の表面にチタン層15aをコーティングして積層した後、チタン層15aの表面にシリコン層15bをコーティングして積層する。
次いで、平板状の裏金14の一側にバインダ層15を介して非晶質硬質炭素皮膜16を積層して、裏金14、バインダ層15及びDLC皮膜16からなる複合体とする(ステップS2)。このDLC皮膜16の積層は、裏金14及びバインダ層15が平板状態で、その一側から行うので、安価な設備で、容易に、しかも生産性良く行うことができる。
この非晶質硬質炭素皮膜16は、本実施形態では、ダイアモンド構造を一部含んだ炭素と水素からなるアモルファスのDLC皮膜である。DLC皮膜は、内部応力が高いため、基材に対する密着性が問題である。そこで、本実施形態では、裏金14にバインダ層15を介してDLC皮膜16を積層することにより、DLC皮膜16の裏金14への密着性を向上させている。
特に、本実施形態では、金属基材と強固に密着するチタン層15aを裏金14側に用い、炭素と同じIVa属であって共有結合することが可能なシリコン層15bをチタン層15aとDLC皮膜16との間に用いているので、DLC皮膜16をシリコン層15b上に安定した密着力で成膜可能であると共に、DLC皮膜16と裏金14とをチタン層15a及びシリコン層15bを介して密着性の高い状態で結合された複合体が得られる。なお、必要に応じて、バインダ層15を1層で構成するようにしても良い。
次いで、平板状の複合体を軸受材として用いる所定の大きさとなる矩形に切断した後、DLC皮膜16を積層した側を内面とする円筒状に形成して軸受材3e、3fとする(ステップS3)。このように、平板を円筒に形成することは、安価で汎用的な機械を用いて生産性良く行うことが可能である。
次いで、クランクシャフト6を支持する部材である旋回スクロール3及び固定スクロール5の軸受部3c、5aに円筒状の軸受材3e、3fを圧入して装着する(ステップS4)。軸受材3e、3fは、圧入によって遊端部が接触してしっかりと軸受部3c、5aに固定されている。
次いで、軸受部部3c、5aに装着された軸受材3e、3fの内面を表面仕上げ加工する(ステップS5)。この表面仕上げ加工は、研削加工によりその表面を適量除去され、所定の寸法精度に仕上げられるものであり、安価で汎用的な機械を用いて生産性良く行うことが可能である。
次いで、表面仕上げされた軸受材3e、3f内に回転軸であるクランクシャフト6を挿入して支持する(ステップS6)。
DLC皮膜16は、炭素がダイアモンド結合とグラファイト結合を含むアモルファス結合をしているものである。特徴として、ダイアモンド構造を含むため非常に高硬度であり、また結晶粒界を持たないため成膜後の表面が平滑で、更にグラファイト結合により潤滑性があり低摩擦である。DLC皮膜16を保護膜とすることで、硬度が大幅に向上し、そのため保護膜の膜厚を薄くできる。これにより、成膜時の膜厚精度の向上をはかることができる。更に、低摩擦かつ表面が平滑であることから摺動部の焼付きや摩耗等の課題に対して、大幅な改善を図ることができる。軸受材3e、5bは、その摺動面が耐焼付き性及び耐摩耗性が良好なDLC皮膜16であるため、固体接触した場合でも金属接触特有のアグレッシブ摩耗や焼付きが発生しにくくなる。また、本実施形態の軸受材3e、5bは、平板状の裏金14上に金属材料からなるバインダ層15を介して非晶質硬質炭素皮膜16を成膜した構造となっているため、板厚も1.5〜3.0mmで構成できると共に、圧入時に損傷することもない。したがって、軸受材3e、5bをセラミックやカーボンのむく材で構成した場合に比べて薄く構成できる。
次に、本実施形態の軸受材3e、5bに係る性能について、図4及び図5を参照しながら説明する。
図4は比較例及び本実施形態の軸受材3e、5bに用いる複合体における試験時間に対する摩擦係数の特性を示す図である。具体的には、非晶質硬質炭素皮膜であるDLC皮膜16の性能評価を目的として平板状の裏金14としてSKH51材を用い、裏金14の上にチタン層15a及びシリコン層15bからなるバインダ層15を設け、バインダ層15の上にDLC皮膜16を成膜した複合体について、CO2冷媒の無潤滑中において、モニクロ鋳鉄材を相手材として1.2m/sの摺動速度、面圧9.8MPaで負荷した摩耗試験における摩擦係数の変化を示すものである。DLC処理を施したSKH51材は、比較例であるDLC処理を施していない(無処理の)SKH51材と比較すると、図4にて明らかなように、摩擦係数が約1/4に減少している。これより、本実施形態の軸受材3e、5bは、無潤滑下においても高い摺動特性を有することが分かる。
図5は比較例及び本実施形態の軸受材3e、5bに用いる複合体における表面粗さRzに対する摩擦係数μの特性を示す図である。Rz≦5μmに仕上加工した本実施形態の軸受材3e、5bは、比較例である仕上加工をしない切削品と比較すると、摩擦係数が約1/3となり耐摩耗性が向上する。よって、軸受材3e、5bを軸受部3c、5aに圧入後に表面をRz≦5μmに仕上加工することで信頼性の高い軸受を提供できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の密閉型冷媒圧縮機の製造方法について図6を用いて説明する。図6は本発明の第2実施形態におけるのロータリ圧縮機の縦断面図である。この第2実施形態は、次に述べる点で第1実施形態と相違するものであり、その他の点については第1実施形態と基本的には同一であるので、重複する説明を省略する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の密閉型冷媒圧縮機の製造方法について図6を用いて説明する。図6は本発明の第2実施形態におけるのロータリ圧縮機の縦断面図である。この第2実施形態は、次に述べる点で第1実施形態と相違するものであり、その他の点については第1実施形態と基本的には同一であるので、重複する説明を省略する。
この第2実施形態では、DLC皮膜16を成膜した軸受材10b、11b、12bを使用したロータリ圧縮機に適用した例である。このロータリ圧縮機は、シリンダ9内を偏心回転するローラ12によって圧縮された圧縮ガスを密閉容器1内に吐出した後、吐出口4dを通して密閉容器1外へ吐出するように構成されている。
ロータリ圧縮機は、密閉容器1内部に、圧縮機部を下側に配置すると共にモータ8を上側に配置して、圧縮機部とモータ8とをクランクシャフト6を介して連設して構成されている。圧縮機部は、シリンダ9、上ベアリング10、下ベアリング11、ローラ12、及びベーン13より構成される。クランクシャフト6は上ベアリング10及び下ベアリング11により軸支されている。クランク6aはローラ12内を摺動してローラ12に偏心回転を与える。ローラ12の外周面に摺接されたベーン13が摺動自在に設けられている。
モータ8によりクランクシャフト6が回転すると、クランク6aの偏心回転によりローラ12は自転することなくシリンダ9に対し旋回運動を行い、吸入口4cにより吸い込んだ冷媒ガスは圧縮され、吐出口4dにより圧縮ガスを吐出することになる。
上ベアリング10の軸受部10a、下ベアリング11の軸受部11a及びローラ12の軸受部12aに装着された軸受材10b、11b、12bは、いずれも循環する潤滑油が供給されるが、起動時や冷媒の吐出圧力が高い場合には潤滑油の供給が不足して磨耗や焼付き等の損傷が発生し易い。そこで、本実施形態のDLC皮膜16を内面に備える軸受材10b、11b、12bは、軸受部10a、11a、12aにそれぞれ圧入されることで固定され、ロータリ圧縮機の信頼性及び耐久性を向上させている。そして、軸受材10b、11b、12bは、第1実施形態における軸受材3c、5aと同じ製作方法で同じ材料で製作されているの、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
上述した各実施形態で説明したように、基材(裏金)14の表面に耐焼付き性及び耐摩耗性を有する非晶質硬質炭素であるDLC皮膜16を、バインダ層15である金属を介して成膜し、その複合体を円筒状とすることにより、内周部にDLC皮膜16を有する軸受材3e、5b、10b、11b、12bが実現でき、これを密閉型冷媒圧縮機の軸受部3c、5a、10a、11a、12aに装着することで、効率よく安価で容易に、軸受の耐摩耗性及び耐焼付き性を向上することができる密閉型冷媒圧縮機の製造方法を提供することができる。
以上のように、上述したDLC皮膜16を成膜した裏金14とバインダ層15の複合体を軸受材3e、5b、10b、11b、12bとして使用すれば、CFC冷媒及びHCFC冷媒は勿論、塩素を含まないために潤滑性が劣るHFC冷媒や超高圧状態となる自然系冷媒を使用する密閉型圧縮機への適用が可能であり、かつ圧縮機の高性能及び高信頼性を提供できる。更に、上述の密閉型冷圧縮機を用いた空調機、冷凍機、及び給湯機への適用が可能であると共に、高性能及び高信頼性化を提供できる。
1…密閉容器、2…バランスウエイト、3…旋回スクロール、3a…鏡板、3b…ラップ、3c…軸受部、3d…キー溝、3e,3f…軸受材、4…固定スクロール、4a…鏡板、4b…ラップ、4c…吸入口、4d…吐出口、5…フレーム、5a…軸受部、5b,5d…軸受材、5c…キー溝、6…クランクシャフト(回転軸)、6a…クランク、7…オルダムリング、7a…オルダム継手、8…モータ、9…シリンダ、10…上ベアリング、10a…軸受部、10b…軸受材、11…下ベアリング、11a…軸受部、11b…軸受材、12…ローラ、12a…軸受部、12b…軸受材、13ベーン、15…バインダ層、15a…チタン層、15b…シリコン層、16…DLC皮膜(非晶質硬質炭素皮膜)。
Claims (9)
- 軸受材に支持された回転軸により駆動される圧縮手段で冷媒を圧縮する密閉型冷媒圧縮機の製造方法において、
平板状の裏金の一側に非晶質硬質炭素皮膜を積層して複合体とし、
前記平板状の複合体を、非晶質硬質炭素皮膜を積層した側を内面とする円筒状に形成して軸受材とし、
前記回転軸を支持する部材の軸受部に前記円筒状の軸受材を圧入して装着し、
この軸受部に装着された軸受材の内面を表面仕上げ加工し、
この表面仕上げされた軸受材に前記回転軸を挿入して支持する
ことを特徴とする密閉型冷媒圧縮機の製造方法。 - 請求項1に記載の密閉型冷媒圧縮機の製造方法において、前記平板状の裏金の一側に金属材料からなるバインダ層を介して前記非晶質硬質炭素皮膜を積層して複合体とすることを特徴とする密閉型冷媒圧縮機の製造方法。
- 請求項2に記載の密閉型冷媒圧縮機の製造方法において、前記平板状の裏金にチタン層及びシリコン層の順に前記バインダの層を設け、このバインダのシリコン層の上に前記非晶質硬質炭素皮膜を積層して複合体とすることを特徴とする密閉型冷媒圧縮機の製造方法。
- 請求項1から3の何れかに記載の密閉型冷媒圧縮機の製造方法において、ダイアモンド構造を一部含んだ炭素と水素からなるアモルファスのDLC皮膜で前記非晶質硬質炭素皮膜を形成することを特徴とする密閉型冷媒圧縮機の製造方法。
- 請求項1から4の何れかに記載の密閉型冷媒圧縮機の製造方法において、前記軸受部に圧入した軸受材を表面粗さ5μm以下に仕上げ加工することを特徴とする密閉型冷媒圧縮機の製造方法。
- 請求項1から5の何れかに記載の密閉型冷媒圧縮機の製造方法において、冷媒としてHFC冷媒または自然系冷媒を用いることを特徴とする密閉型冷媒圧縮機の製造方法。
- 請求項1〜6の何れかに記載の方法で製作された密閉型冷媒圧縮機を用いたことを特徴とする空調機。
- 請求項1〜6の何れかに記載の方法で製作された密閉型冷媒圧縮機を用いたことを特徴とする冷凍機。
- 請求項1〜6の何れかに記載の方法で製作された密閉型冷媒圧縮機を用いたことを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009287483A (ja) * | 2008-05-30 | 2009-12-10 | Hitachi Appliances Inc | 冷媒圧縮機 |
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