JP2007092055A - 潤滑剤組成物、軸受け装置、摺動部材及びトリアジン環化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、機械的摩擦摺動部に供給される潤滑剤組成物の技術分野に属し、より詳細には、極圧下における低摩擦特性及び耐摩耗性、ならびにその効果の持続性に優れる潤滑剤組成物の技術分野に属する。また、本発明は、かかる潤滑剤組成物を摺動部に有する軸受け装置、及びかかる潤滑剤組成物を含有する摺動部材に関する。また、本発明は、潤滑剤として有用なトリアジン環化合物にも関する。
潤滑剤に求められる性能は、広い温度範囲及び広い圧力範囲において、機械的摩擦摺動部の摩擦係数を低下することができ、さらにその効果ができるだけ持続することである。また、潤滑剤には、摩擦摺動部材間の潤滑性を向上させるという効果だけでなく、それによって摩擦摺動部材自体に耐磨耗性が付与できることも望まれる。エンジンオイル等の潤滑油の、摩擦摺動部における摩擦係数の低減効果及びその長寿命化は、機械駆動のための燃費の向上、すなわちエネルギーの節約に直結する。エンジンオイルの長寿命化は、廃オイル量の低減のみならず、CO2排出量の低減をも可能とするので、近年注目されている環境適合性の面でも好ましい。また、産業機械系の摺動部の中でも、特に苛酷な摩擦条件で摺動する軸受やギヤなどでは、従来の潤滑油やグリースなどの潤滑剤を用いた場合、潤滑条件が苛酷になると、潤滑剤が膜切れや焼付けを起こし、摩耗傷のために、所望の低摩擦係数を得られなくなる場合がある。その結果、装置の信頼性を損ねることがあり、特に装置を小型化した場合に、摺動部の摩擦条件が過酷化する傾向になり、装置の小型化の妨げにもなっていた。従って、苛酷な条件においても、摩耗や焼付きを生じず、装置の信頼性を向上させることができ、さらに装置の小型化に寄与することができるような省エネルギーな潤滑剤が望まれている。
ところで、従来、潤滑剤としては、一般的には、潤滑剤基油を主成分とし、これに有機化合物等の潤滑助剤を配合したものが用いられる。特に近年では、有機モリブデン化合物が、潤滑助剤として注目されている。有機モリブデン化合物は、機械装置の摺動部が、高温、高速又は低速、高負荷、小型軽量化など、苛酷な摩擦条件で運動している場合も、なお耐摩耗性、極圧性(耐荷重性)、低摩擦特性などの性能に優れ、通常圧での流体潤滑条件より高圧下、即ち境界潤滑条件において効果的に潤滑性能を発揮できる素材として注目されている。
しかし、有機モリブデン化合物は、激しい摩擦条件下でも優れた潤滑効果を奏する、優れた素材ではあるが、潤滑油中にはモリブデン及び亜鉛といった重金属、容易に酸化されて潤滑油のみならず摺動部材そのもの、さらには環境にも悪影響を及ぼす硫黄酸化物のもととなる硫化物、及び河川や海を富栄養化してしまうリン酸がかなり含まれていて、環境適合性の点からは明らかに好ましくない。さらに、摺動面に形成される酸化/硫化モリブデン被膜は、摩擦で徐々に削り取られ、新たな被膜を形成するため、その元となる有機モリブデン化合物や有機亜鉛化合物のいずれかが不足すると急激にその効果を失う。しかし、有機モリブデン化合物及び有機亜鉛化合物を増量すると、その皮膜が削られることによって副生される副生物が系内に増え、摺動機械そのものに悪影響を及ぼすため、増量することは有効ではなく、前記有機モリブデン化合物を利用した系では、潤滑剤の長寿命化による燃費改善等の効果はあまり期待できないのが実状である。
この様に、従来の潤滑剤は、重金属元素、リン酸化合物及び硫化物等の環境有害物質又は環境汚染物質を含むことなく、潤滑剤としての優れた性能を示すとともに、その性能を長期的に維持できる材料は、未だに提供されていない。
この様に、従来の潤滑剤は、重金属元素、リン酸化合物及び硫化物等の環境有害物質又は環境汚染物質を含むことなく、潤滑剤としての優れた性能を示すとともに、その性能を長期的に維持できる材料は、未だに提供されていない。
ところで、トリアジン構造を有する化合物を主成分とする潤滑剤組成物が、環境適合性あるいは潤滑剤の長寿命化による燃費改善に優れ、摩擦係数の低減剤、極圧剤又は磨耗防止剤として有用な潤滑性能を示すことが知られている(特許文献1参照)。
潤滑剤は多様な性能が要求され、しかも、近年、種々の機械の高性能化、苛酷な使用条件などに伴い、さらなる高度な性能が要求されてきている。
潤滑剤は多様な性能が要求され、しかも、近年、種々の機械の高性能化、苛酷な使用条件などに伴い、さらなる高度な性能が要求されてきている。
また、近年のAV・OA機器の高性能化、携帯ユースの普及などに伴い、それらの回転部に使用される小型スピンドルモータには、高速化、小型化の要求が強く、そのため、回転支持部に用いられる軸受には常に低トルク化の要求がある。軸受のトルクに影響を及ぼす因子には、軸受すきま、軸径などがあるが、潤滑剤の粘度も一つの大きな要因となる。潤滑油は一般的に低粘度になるほど蒸発しやすい傾向にある。潤滑油が蒸発等によって減少すると、適切な油膜圧力が得られず、回転精度が著しく低下し寿命とみなされるため、潤滑油の蒸発特性は軸受の耐久性を左右する重要な特性である。したがって、流体動圧軸受、多孔質含油軸受、動圧型多孔質含油軸受などすべり軸受の潤滑には、低粘度でしかも比較的蒸発特性に優れる潤滑剤を選択する必要がある。
特開2002−69472号公報
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、従来の潤滑剤基油と混合した形態のみならず、潤滑剤基油を混合しない形態でも、優れた潤滑剤性能を示す潤滑剤組成物及びそれに有用な新規なトリアジン環化合物を提供することを課題とする。また、本発明は、摺動面において低摩擦性及び耐摩耗性を長期的に維持できる、特に極圧下においても、低摩擦性及び耐摩耗性を長期的に維持できる潤滑剤組成物及びそれに有用な新規なトリアジン環化合物を提供することを課題とする。さらに、本発明は、環境適合性に乏しい重金属元素、リン酸基及び硫化物を排除することにより、長寿命化及び環境適合性を両立し得る潤滑剤組成物及びそれに有用な新規なトリアジン環化合物を提供することを課題とする。また、本発明は、低粘度で蒸発特性に優れた潤滑剤組成物及びそれに有用な新規なトリアジン環化合物を提供することを課題とする。
また、本発明の他の目的は、寿命が長く、安定的に作動可能な軸受け装置を提供すること、及び該軸受け装置に有用な摺動部材を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、寿命が長く、安定的に作動可能な軸受け装置を提供すること、及び該軸受け装置に有用な摺動部材を提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の問題点を解決するために鋭意研究した結果、特定の構造を有する化合物が、優れた潤滑性能を示すとの知見を得、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
[1] 40℃における粘度圧力係数が20GPa-1以下であり、10MPa以上の圧力下で圧力上昇に伴い摩擦係数の最小値を発現させる性質を有する、下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有する潤滑剤組成物;
一般式(1)
式中、Y及びZは各々独立に、単結合、NRa基(Raは、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;A及びBは各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表し;Tは−S−R1、−O−R2又は−NR3R4を表し;R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表す。
[2] 40℃における見かけ粘度が300mPa・S以下である[1]の潤滑剤組成物。
[3] 上記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である[1]又は[2]の潤滑剤組成物;
[3] 上記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である[1]又は[2]の潤滑剤組成物;
一般式(2)
式中、Y及びZは各々独立に、単結合、NRa基(Raは、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;R11及びR12は各々独立に置換基を表し;Tは−S−R1、−O−R2又は−NR3R4を表し、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表し;p及びqは、各々独立して1〜5の整数を表す。
[4] 前記一般式(1)中のY及びZの双方が硫黄原子である[1]〜[3]のいずれかの潤滑剤組成物。
[5] 前記一般式(1)中のY及びZの双方が酸素原子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
[6] 前記一般式(1)中のT、A及びBのうち少なくとも1つがオリゴアルキレンオキシ基を含有する[1]〜[5]のいずれかの潤滑剤組成物。
[7] 焼結軸受用として用いる[1]〜[6]のいずれかの潤滑剤組成物。
[8] 回転する軸を回転可能に支持する軸受け装置であって、回転する軸との摺動部の少なくとも一部が、[1]〜[7]のいずれかの組成物を含む焼結体からなる軸受け装置。
[9] 焼結体と、該焼結体に浸透した[1]〜[7]のいずれかの組成物とを有する摺動部材。
[5] 前記一般式(1)中のY及びZの双方が酸素原子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
[6] 前記一般式(1)中のT、A及びBのうち少なくとも1つがオリゴアルキレンオキシ基を含有する[1]〜[5]のいずれかの潤滑剤組成物。
[7] 焼結軸受用として用いる[1]〜[6]のいずれかの潤滑剤組成物。
[8] 回転する軸を回転可能に支持する軸受け装置であって、回転する軸との摺動部の少なくとも一部が、[1]〜[7]のいずれかの組成物を含む焼結体からなる軸受け装置。
[9] 焼結体と、該焼結体に浸透した[1]〜[7]のいずれかの組成物とを有する摺動部材。
[10]
下記一般式(2)で表されるトリアジン環化合物:
一般式(2)
式中、Y及びZは各々独立に、単結合、NRa基(Raは、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;R11及びR12は各々独立に置換基を表し;Tは−S−R1、−O−R2又は−NR3R4を表し、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表し;p及びqは、各々独立して1〜5の整数を表す。
下記一般式(2)で表されるトリアジン環化合物:
一般式(2)
[11] 前記一般式(2)中のY及びZの双方が硫黄原子である[10]のトリアジン環化合物。
[12] 前記一般式(2)中のY及びZの双方が酸素原子である[10]のトリアジン環化合物。
[13] 前記一般式(2)中のT、R11及びR12のうち少なくとも一つがオリゴアルキレンオキシ基を含有する[10]〜[12]のいずれかのトリアジン環化合物。
[12] 前記一般式(2)中のY及びZの双方が酸素原子である[10]のトリアジン環化合物。
[13] 前記一般式(2)中のT、R11及びR12のうち少なくとも一つがオリゴアルキレンオキシ基を含有する[10]〜[12]のいずれかのトリアジン環化合物。
本発明によれば、所定のトリアジン骨格を有する化合物を利用することにより、従来の潤滑剤基油と混合した形態のみならず、潤滑剤基油を混合しない形態でも、優れた潤滑剤性能を示す潤滑剤組成物及びそれに有用な新規なトリアジン環化合物を提供することができる。本発明の潤滑剤組成物及びトリアジン環化合物は、摺動面において低摩擦性及び耐摩耗性を長期的に維持でき、特に極圧下においても、低摩擦性及び耐摩耗性を長期的に維持できる。さらに、本発明の潤滑剤組成物は、環境適合性に乏しい重金属元素を含む材料を含まずとも良好な性能を有するので、長寿命化及び環境適合性を両立し得る。また、本発明の潤滑剤組成物及びトリアジン環化合物は、低粘度で蒸発特性に優れている。
また、本発明によれば、寿命が長く、安定的に作動可能な軸受け装置を提供すること、及び該軸受け装置に有用な摺動部材を提供することができる。
また、本発明によれば、寿命が長く、安定的に作動可能な軸受け装置を提供すること、及び該軸受け装置に有用な摺動部材を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の潤滑剤組成物は、下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種を含有する。
本発明の潤滑剤組成物は、下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種を含有する。
式中、Y及びZは各々独立に、単結合、NRa基(Raは、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;A及びBは各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表し;Tは−S−R1、−O−R2又は−NR3R4を表し;R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表す。
前記一般式(1)中、Y及びZは各々独立に、単結合、NRa基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、Raは水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基(直鎖状及び分岐鎖状のアルキル基の双方を含む)を表す。組み合わせからなる二価の連結基としては、オキシカルボニル基、アミノカルボニル基、カルバモイル基、オキシスルホニル基、スルファモイル基等が挙げられる。Y及びZがそれぞれ単結合の場合、トリアジン環はA及びBのそれぞれによって直接置換される。Y及びZがそれぞれ単結合でA及びBがそれぞれ複素環基の場合、ピペリジンのような複素環基が遊離原子価をもった窒素原子で直接結合していてもよく、さらに遊離原子価がなくてもヘテロ原子で結合し、オキソニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩のようにオニウム塩を形成していてもよい。Y及びZはそれぞれ硫黄原子又は酸素原子であるのが好ましく、Y及びZは双方とも硫黄原子であるか、酸素原子であるのがより好ましい。
前記一般式(1)中、A及びBは各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表す。A及びBでそれぞれ表されるアルキル基は、炭素数が1〜30であるのが好ましく、2〜30であるのがより好ましく、4〜30であるのがさらに好ましく、6〜30であるのがさらに好ましい。前記アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基等)、スルフィド基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等)、アルキルアミノ基(メチルアミノ基、プロピルアミノ基等)、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基等)及びアシルオキシ基(アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)や、水酸基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基及びウレイド基等が挙げられる。
A及びBでそれぞれ表されるアルケニル基ならびにアルキニル基は、炭素数が2〜30であるのが好ましく、2〜30であるのがより好ましく、4〜30であるのがさらに好ましく、6〜30であるのがさらに好ましい。また、アルケニル基及びアルキニル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。さらに、A及びBでそれぞれ表されるアルケニル基及びアルキニル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては上記アルキル基の置換基で例示したものと同様のものが挙げられる。
A及びBでそれぞれ表されるアリール基は、単環を含んでいても、二以上の環の縮合環を含んでいてもよい。具体的には、フェニル基、インデニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、フルオレニル基、フェナンスレニル基、アントラセニル基及びピレニル基等が挙げられるが、フェニル基及びナフチル基が好ましい。さらに、置換基を有していてもよく、該置換基としては、上記アルキル基の置換基として例示したものの他、アルキル基が挙げられる。前記置換基としては、炭素数8以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基及びアルキル残基を含む置換基が好ましく、具体的には、アルキル基(オクチル基、デシル基、ヘキサデシル基、2−エチルヘキシル基等)、アルコキシ基(ドデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基等)、スルフィド基(ヘキサデシルチオ基等)、置換アミノ基(ヘプタデシルアミノ基等)、オクチルカルバモイル基、オクタノイル基及びデシルスルファモイル基等の置換基が好ましい。また、これらの置換基は2つ以上置換しているのが好ましく、さらに上記の置換基の他にも、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基等で置換されていてもよい。
A及びBでそれぞれ表される複素環基は、5〜7員環構造の複素環残基が好ましく、5又は6員環構造の複素環残基がより好ましい。複素環基は、単環を含んでいても、二以上の環の縮合環を含んでいてもよい。前記複素環基に含まれる複素環の骨格の具体的な例については、岩波理化学辞典 第三版増補版 (岩波書店発行)の付録11章 有機化学命名法 表4.主要複素単環式化合物の名称 1606頁 及び表5.主要縮合複素環式化合物の名称 1607頁 に記載される複素環が挙げられる。また、これらはアリール基と同様、置換基を有していてもよく、該置換基としては、炭素数8以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル残基を含む置換基が好ましい。また、これらの置換基によって2以上置換されているのが好ましく、さらに、上記置換基の他、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基等によって置換されていてもよい。
A及びBには、総炭素数8以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル鎖、総炭素数4〜48の直鎖状もしくは分岐鎖状のオリゴアルキレンオキシ鎖、総炭素数2以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のパーフルオロアルキル鎖、総炭素数2以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のパーフルオロアルキルエーテル鎖、又は直鎖状もしくは分岐鎖状の有機ポリシリル鎖を含む置換基を含んでいるのがより好ましい。A及びBは、直鎖状もしくは分岐鎖状のオリゴアルキレンオキシ鎖を含む置換基、より好ましくは総炭素数4〜48の直鎖状もしくは分岐鎖状のオリゴアルキレンオキシ鎖を含む置換基で置換されたフェニル基であるのが特に好ましい。前記オリゴアルキレンオキシ鎖中の総炭素数は4〜24が好ましい。前記オリゴアルキレンオキシ鎖中に含まれるアルキレン基の好ましい例には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が含まれ、前記オリゴアルキレンオキシ鎖中に含まれるアルキレンオキシ基は2〜7個であるのが好ましく、2〜5個であるのがより好ましい。
前記一般式(1)中、Tは−S−R1、−O−R2又は−NR3R4を表す。R1、R2、R3及びR4は各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表す。R1、R2、R3及びR4でそれぞれ表されるアルキル基は、炭素数が1〜30であるのが好ましく、2〜30であるのがより好ましく、4〜30であるのがさらに好ましく、6〜30であるのが最も好ましい。前記アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基等)、スルフィド基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等)、アルキルアミノ基(メチルアミノ基、プロピルアミノ基等)、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基等)及びアシルオキシ基(アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)や、水酸基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基及びウレイド基等が挙げられる。
R1、R2、R3及びR4でそれぞれ表されるアルケニル基ならびにアルキニル基は、炭素数が2〜30であるのが好ましく、2〜30であるのがより好ましく、4〜30であるのがさらに好ましく、6〜30であるのがさらに好ましい。また、アルケニル基及びアルキニル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。さらに、R1、R2、R3及びR4でそれぞれ表されるアルケニル基及びアルキニル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては上記アルキル基の置換基で例示したものと同様のものが挙げられる。
R1、R2、R3及びR4でそれぞれ表されるアリール基は、単環を含んでいても、二以上の環の縮合環を含んでいてもよい。アリール基としては、フェニル基、インデニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、フルオレニル基、フェナンスレニル基、アントラセニル基及びピレニル基等が挙げられるが、フェニル基及びナフチル基が好ましい。さらに、置換基を有していてもよく、該置換基としては、上記アルキル基の置換基として例示したものの他、アルキル基が挙げられる。前記置換基としては、炭素数8以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基及びアルキル残基を含む置換基が好ましく、具体的には、アルキル基(オクチル基、デシル基、ヘキサデシル基、2−エチルヘキシル基等)、アルコキシ基(ドデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基等)、スルフィド基(ヘキサデシルチオ基等)、置換アミノ基(ヘプタデシルアミノ基等)、オクチルカルバモイル基、オクタノイル基及びデシルスルファモイル基等の置換基が好ましい。また、これらの置換基は2つ以上置換しているのが好ましく、さらに上記の置換基の他にも、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基等で置換されていてもよい。
R1、R2、R3及びR4でそれぞれ表される複素環基は、5〜7員環構造の複素環残基が好ましく、5又は6員環構造の複素環残基がより好ましい。前記複素環基は、単環を含んでいても、二以上の環の縮合環を含んでいてもよい。これらの骨格の具体的な例については、岩波理化学辞典 第三版増補版 (岩波書店発行)の付録11章 有機化学命名法 表4.主要複素単環式化合物の名称 1606頁 及び表5.主要縮合複素環式化合物の名称 1607頁 に記載される複素環が挙げられる。また、これらはアリール基と同様、置換基を有していてもよく、該置換基としては、炭素数8以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル残基を含む置換基が好ましい。また、これらの置換基によって2以上置換されているのが好ましく、さらに、上記置換基の他、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基等によって置換されていてもよい。
R1、R2、R3及びR4には、総炭素数8以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル鎖、総炭素数4〜48の直鎖状もしくは分岐鎖状のオリゴアルキレンオキシ鎖(好ましい範囲は上記と同様である)、総炭素数2以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のパーフルオロアルキル鎖、総炭素数2以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のパーフルオロアルキルエーテル鎖、又は直鎖状もしくは分岐鎖状の有機ポリシリル鎖を含む置換基を含んでいるのがより好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
式中、Y、Z及びTはそれぞれ、前記一般式(1)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。R11及びR12は各々独立に置換基を表し、p及びqは、各々独立して1〜5の整数を表す。
R11及びR12はそれぞれ、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基等が挙げられる。R11及びR12はそれぞれ、総炭素数8以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル鎖、総炭素数4〜48の直鎖状もしくは分岐鎖状のオリゴアルキレンオキシ鎖、総炭素数2以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のパーフルオロアルキル鎖、総炭素数2以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のパーフルオロアルキルエーテル鎖、又は直鎖状もしくは分岐鎖状の有機ポリシリル鎖を含む置換基であるのが好ましく、炭素数8以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル残基、又は総炭素数4〜48の直鎖状もしくは分岐鎖状のオリゴアルキレンオキシ鎖を含む置換基であるのが好ましく、総炭素数4〜48の直鎖状もしくは分岐鎖状のオリゴアルキレンオキシ鎖を含む置換基であるのがより好ましい。前記オリゴアルキレンオキシ鎖の好ましい範囲は、上記と同様である。
R11及びR12はそれぞれ、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基等が挙げられる。R11及びR12はそれぞれ、総炭素数8以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル鎖、総炭素数4〜48の直鎖状もしくは分岐鎖状のオリゴアルキレンオキシ鎖、総炭素数2以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のパーフルオロアルキル鎖、総炭素数2以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のパーフルオロアルキルエーテル鎖、又は直鎖状もしくは分岐鎖状の有機ポリシリル鎖を含む置換基であるのが好ましく、炭素数8以上の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル残基、又は総炭素数4〜48の直鎖状もしくは分岐鎖状のオリゴアルキレンオキシ鎖を含む置換基であるのが好ましく、総炭素数4〜48の直鎖状もしくは分岐鎖状のオリゴアルキレンオキシ鎖を含む置換基であるのがより好ましい。前記オリゴアルキレンオキシ鎖の好ましい範囲は、上記と同様である。
前記一般式(2)中、Y及びZの双方が硫黄原子であるか、又はY及びZの双方が酸素原子であるのが好ましい。また、前記一般式(2)中のT、R11及びR12のうち少なくとも一つが総炭素数4〜48の直鎖状もしくは分岐鎖状のオリゴアルキレンオキシ鎖を含有するのが好ましい。前記オリゴアルキレンオキシ鎖の好ましい範囲は、上記と同様である。
以下に、前記一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例によって限定されるものではない。
前記一般式(1)で表される化合物は、安価に入手可能な塩化シアヌルから容易に合成できる。母核となる塩化シアヌルと活性水素を持った化合物(アミン、アニリン、アルコール、フェノール、チオアルコール、チオフェノール等の誘導体が上げられる)との反応より合成する方法が好ましい。
反応に使用される有機溶媒としては、ハロゲン化炭化水素系有機溶媒、例えばジクロロメタン、エステル系有機溶媒、例えば、酢酸メチル若しくは酢酸エチル、ケトン系有機溶媒、例えばアセトン若しくはメチルエチルケトン、エ−テル系有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン若しくはジオキサン、ニトリル系有機溶媒、例えばアセトニトリル若しくはプロピオニトリル、アミド系有機溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、1,3−ジメチル−3,4,5,6,−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)若しくはヘキサメチルリン酸トリアミド、若しくは、スルホキシド系有機溶媒、例えばジメチルスルホキシド等があげられる。また、必要ならば、触媒、塩基を用いてもよい。
本発明に用いられる前記一般式(1)で表される化合物は、40℃における粘度圧力係数が20GPa-1以下であり、10MPa以上の圧力下で圧力上昇に伴い摩擦係数の最小値を発現させる性質を有する。前記化合物は、100MPa以上の圧力下で最小の摩擦係数を発現させるのがより好ましい。また、前記有機化合物は、0.07以下の低摩擦係数を発現させるのが好ましく、0.05以下の低摩擦係数を発現させるのがさらに好ましい。10MPa以上の領域の圧力下から、ガラスや鋼でもその界面に弾性歪みの影響が出始めることが分かっている。従って、本発明の組成物は、主な運動が10MPa以上の圧力下で摺動する摺動部に用いられるとより効果的であり、より好ましくは50MPa以上の圧力下、さらに好ましくは100MPa以上の圧力下で摺動する摺動部に用いられる。
なお、前記潤滑剤組成物は、圧力上昇に伴い、混合潤滑領域まで達し、その膜界面が破壊されると考えられる。従って、本発明の潤滑剤組成物は、10MPa以上であり、且つ混合潤滑領域となる圧力以下の範囲における圧力上昇に伴って、現行の潤滑油の摩擦係数より有意の低摩擦係数を発現するであろう。
なお、前記潤滑剤組成物は、圧力上昇に伴い、混合潤滑領域まで達し、その膜界面が破壊されると考えられる。従って、本発明の潤滑剤組成物は、10MPa以上であり、且つ混合潤滑領域となる圧力以下の範囲における圧力上昇に伴って、現行の潤滑油の摩擦係数より有意の低摩擦係数を発現するであろう。
一般的に、流体潤滑作用では、すきまが小さくなるほど発生する圧力が大きくなるので、転がり軸受け、歯車、カムのように点接触や線接触といった集中接触の場合には発生圧力が数百MPaからGPaのオーダーになる。そのため、界面自体の弾性変形に加えて潤滑液体の粘度も圧力に対して指数関数的に大きくなる。その際の圧力と潤滑液体の粘度の関係は以下のBARUSの式
η=η0 exp(αP) (1)
によって表される。
両辺の対数をとると、
logη=logη0 + loge × αP (2)
と表され、ηの対数と圧力Pは傾きαの直線の関係にある。その粘度の圧力依存性の尺度αが粘度圧力係数である。
η=η0 exp(αP) (1)
によって表される。
両辺の対数をとると、
logη=logη0 + loge × αP (2)
と表され、ηの対数と圧力Pは傾きαの直線の関係にある。その粘度の圧力依存性の尺度αが粘度圧力係数である。
本発明に用いられる前記一般式(1)で表される化合物は、40℃における粘度圧力係数が20GPa-1以下である。ここで、粘度圧力係数はトライボロジスト 第38巻 第10号 pp927 (1993)に記載される方法によって、算出することができる。本発明の潤滑剤組成物は、40℃における粘度圧力係数が13GPa-1以下であるのが好ましい。
但し、40℃で固体の化合物の場合は、測定条件で液体を呈する2以上の温度で粘度圧力係数を求め、それらの値を低温側に外挿して求めた40℃の値と定義する。
但し、40℃で固体の化合物の場合は、測定条件で液体を呈する2以上の温度で粘度圧力係数を求め、それらの値を低温側に外挿して求めた40℃の値と定義する。
また、本発明の潤滑剤組成物は、40℃における見かけ粘度が300mPa・S以下であるのが好ましく、250mPa・S以下であるのがより好ましく、150mPa・S以下であるのがさらに好ましい。下限値については特に制限されないが、一般的には、5mPa・S程度である。40℃における見かけ粘度が上記範囲であると、小さな圧力下での摩擦環境でも良好な潤滑性を発現することができるようになるので好ましい。なお、見かけ粘度は、通常の回転式粘度計あるいは粘性・粘弾性測定装置などにより測定することができる。
本発明の潤滑剤組成物は、前記一般式(1)で表される化合物のみからなっていてもよいし、基油をさらに含有していてもよい。後者の態様では、前記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を、0.1〜10質量%含有するのが好ましく、1〜10質量%含有するのがより好ましく、1〜5質量%含有するのがさらに好ましい。含有量が前記範囲であると、油膜形成能力が向上し、耐久性向上効果の点で好ましい。
本発明の潤滑剤組成物は、上記した通り、基油を含有していてもよい。基油の種類については特に制限はなく、鉱油及び合成油いずれも用いることができるが、スラッジの軽減の観点からは合成油を用いるのが好ましく、特に合成炭化水素系油を含有するのが好ましい。中でも、基油として、ポリ−α−オレフィンまたはその水素化物、エチレン−α−オレフィン共重合体またはその水素化物、ポリ−α−オレフィンまたはその水素化物とアルキルナフタレンとの混合物、エチレン−α−オレフィン共重合体またはその水素化物とアルキルナフタレンとの混合物から選ばれる少なくとも1種を用いると、前記一般式(1)で表される化合物との相溶性もよく、スラッジの軽減、耐熱性等の観点から好ましい。
本発明に使用可能なポリα−オレフィン水素化物(以下、PAOという)については特に制限されず、種々のものを用いることができる。通常、平均分子量が200〜1600のPAOが好ましく、400〜800のPAOがより好ましい。このようなPAOは、デセン−1、イソブデン等をルイス酸コンプレックス又は酸化アルミニウム触媒等で重合させて得られた重合物を水素化することにより得られる。PAOを基油に用いることで、耐熱性の向上が図れ、なおかつ油から生じるスラッジの量を極端に抑えることができる。
本発明に使用可能なエチレン−α−オレフィン共重合体水素化物(以下、PEAOという)については特に制限されず、種々のものを用いることができる。PEAOとしては、例えばエチレンと1−デセン、イソブテン等のα−オレフィンをルイス酸触媒等で重合させて得られた重合物を水素化することにより得られたものを用いることができる。通常、数平均分子量が200〜4000PEAOを用いるのが好ましく、1000〜2000のPEAOを用いるのがより好ましい。
また、本発明に使用可能なアルキルナフタレンは、ナフタレン環上に1個以上のアルキル基を有するものであれば、特に制限なく種々のものを用いることができる。好ましくはアルキル基の炭素数の合計が5〜25程度のモノ、ジ又はトリアルキルナフタレンであり、より好ましくは低級アルキル基と高級アルキル基の両方を有するものである。低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられ、特にメチル基が好ましい。また、高級アルキル基は、特に制限されるものではなく、直鎖アルキル基又は分枝アルキル基であってもよいが、粘度指数と潤滑性が優れている直鎖アルキル基を有するものが好ましい。このようなアルキルナフタレンは、例えば特開平8−302371号公報に記載されている、ナフタレン環上にメチル基1個と炭素数10〜24の第2級アルキル基を有するジアルキルナフタレン又はその混合物が挙げられる。実用的には、公知のもの、特に市販されているものが入手の容易さの点で有利である。
本発明に用いる基油としては、PAO及びPEAOとアルキルナフタレンとの混合物が好ましく、その配合割合は、前者が0.1〜50質量%、好ましくは2〜40質量%で、後者が50〜99.9質量%、好ましくは60〜98質量%である。PAO及びPEAOとアルキルナフタレンとの配合割合が前記好ましい範囲であると、耐熱性をより向上させることができるとともに、油膜形成率がより改善される。
本発明の組成物には、種々の用途に適応した実用性能を確保するため、各種添加剤、すなわち摩耗防止剤、極圧剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、清浄分散剤、金属不活性化剤、腐食防止剤、防錆剤、消泡剤等を本発明の目的を損なわない範囲で適宜添加することができる。
本発明の潤滑剤組成物は、焼結体中に含有された状態で、例えば、多孔性の焼結体の孔中に保持された状態で、軸受け装置の摺動部の少なくとも一部に用いられてもよい。回転する軸と軸受けの摺動部において、本発明の組成物が焼結体から供給され、摺動部の低摩擦化及び低磨耗化に寄与する。
本発明は、回転体である軸を回転可能に支持し、回転する軸との摺動部の少なくとも一部が、本発明の組成物を含む焼結体からなることを特徴とする軸受け装置、及び多孔性の焼結体と、該焼結体の孔中に保持される本発明の組成物とを有する摺動部材にも関する。焼結体の材質については特に制限されず、例えば、一般的に用いられている銅、鉄、及びアルミニウムの中から選択される1種以上の金属粉末を主原料とし、必要に応じて、すず、亜鉛、鉛、黒鉛の粉末又はこれらの合金粉末を混合し、焼結して得られた焼結金属を用いることができる。上記構成とすることによって、軸受け装置の寿命を格段に長期化できるとともに、作動の安定性も改善することができる。
本発明の軸受け装置は、自動車、音響機器、事務機器、家電製品、農業機械など種々の分野に広く使用されている小型モータ等に利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
[S−7の合成例]以下の合成スキームに従って、S−7を合成した。
(化合物(S−7−A)の合成)
撹拌器を装着した1Lの三ツ口フラスコに、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルの190.28g(1.0mol)、酢酸エチルの250mLおよびトリエチルアミンの121.0mL(1.2mol)を加え、撹拌して溶液を得た。溶液を5℃以下に冷却し、メタンスルホニルクロリドの120.2g(1.05mol)を、溶液を撹拌しながら滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、268.8gの化合物(S−7−A)を得た。
撹拌器を装着した1Lの三ツ口フラスコに、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルの190.28g(1.0mol)、酢酸エチルの250mLおよびトリエチルアミンの121.0mL(1.2mol)を加え、撹拌して溶液を得た。溶液を5℃以下に冷却し、メタンスルホニルクロリドの120.2g(1.05mol)を、溶液を撹拌しながら滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、268.8gの化合物(S−7−A)を得た。
(化合物(S−7−B)の合成)
撹拌器を装着した500mLの三ツ口フラスコに、フェノールの18.8g(0.2mol)、およびN,N−ジメチルホルムアミドの150mLを加え、撹拌して溶液を得た。水素化ナトリウム(60%in oil)8.8g(0.22mol)を、溶液を撹拌しながら加えた。この溶液に得られた化合物(S−7−A)67.1g(0.25mol)を、溶液を撹拌しながら滴下した。滴下終了後、100℃に加熱して1時間撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、精製後、51.7g(97%)の化合物(S−7−B)を得た。
撹拌器を装着した500mLの三ツ口フラスコに、フェノールの18.8g(0.2mol)、およびN,N−ジメチルホルムアミドの150mLを加え、撹拌して溶液を得た。水素化ナトリウム(60%in oil)8.8g(0.22mol)を、溶液を撹拌しながら加えた。この溶液に得られた化合物(S−7−A)67.1g(0.25mol)を、溶液を撹拌しながら滴下した。滴下終了後、100℃に加熱して1時間撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、精製後、51.7g(97%)の化合物(S−7−B)を得た。
(化合物(S−7−C)の合成)撹拌器を装着した1Lの三ツ口フラスコに、得られた化合物(S−7−B)45.3g(0.17mol)および塩化メチレン70mLを加え、撹拌して溶液を得た。溶液を−5℃に冷却し、クロロスルホン酸の17.2mL(0.25mol)を塩化メチレンの20mLに溶解した溶液を、撹拌しながら滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌した。溶液を−10℃に冷却し、アセトニトリルの50mLおよびN,N−ジメチルアセトアミドの50mLを加え、撹拌して溶液を得た。オキシ塩化リンの44.0g(0.29mol)を、溶液を撹拌しながら滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して中間体のスルホニル誘導体を得た。
撹拌器を装着した1Lの三ツ口フラスコに、濃硫酸27mLおよび水80mLを加え溶液を−10℃に冷却し、得られたスルホニル誘導体を加えた。この溶液に亜鉛45.6g(0.7mol)をゆっくり加えた。90℃に加熱撹拌して還流させ、そのまま2時間加熱撹拌を続けた。加熱状態のままセライトろ過し、酢酸エチルで洗浄した。ろ液を酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、53.22g(94%)の化合物(S−7−C)を得た。
(化合物(S−7―D)の合成)
撹拌器と還流冷却器を装着した200mLの三ツ口フラスコに、酢酸エチル120ml、シアヌルクロリドの18.4g(0.1mol)を加え撹拌して溶液を得た。室温下、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルの20.9g(0.11mol)の酢酸エチル20ml溶液を滴下した。次いで炭酸カリウムの15.2g(0.11mol)を加え50℃で20時間加熱撹拌した。セライトろ過し、酢酸エチルで洗浄した。ろ液を酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、20.3g(60%)の化合物(S−7−D)を得た。
撹拌器と還流冷却器を装着した200mLの三ツ口フラスコに、酢酸エチル120ml、シアヌルクロリドの18.4g(0.1mol)を加え撹拌して溶液を得た。室温下、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルの20.9g(0.11mol)の酢酸エチル20ml溶液を滴下した。次いで炭酸カリウムの15.2g(0.11mol)を加え50℃で20時間加熱撹拌した。セライトろ過し、酢酸エチルで洗浄した。ろ液を酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、20.3g(60%)の化合物(S−7−D)を得た。
(化合物(S−7)の合成)
撹拌器と還流冷却器を装着した200mLの三ツ口フラスコに、得られた化合物(S−7−C)77.6g(0.26mol)およびメチルエチルケトン120mLを加え、撹拌して溶液を得た。この溶液に、得られた化合物(S−7−D)33.8g(0.1mol)およびメチルエチルケトン35mLを溶液滴下した。続いて、炭酸カリウムの35.9g(0.26mol)を加え、窒素気流下80℃で5時間加熱撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、精製後、60.3g(70%)の化合物(S−7)を得た。
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ7.4−6.8(m,8H)、4.3−3.35(m,30H)、1.6―1.25(m,24H)、0.85(t,9H)
撹拌器と還流冷却器を装着した200mLの三ツ口フラスコに、得られた化合物(S−7−C)77.6g(0.26mol)およびメチルエチルケトン120mLを加え、撹拌して溶液を得た。この溶液に、得られた化合物(S−7−D)33.8g(0.1mol)およびメチルエチルケトン35mLを溶液滴下した。続いて、炭酸カリウムの35.9g(0.26mol)を加え、窒素気流下80℃で5時間加熱撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、精製後、60.3g(70%)の化合物(S−7)を得た。
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ7.4−6.8(m,8H)、4.3−3.35(m,30H)、1.6―1.25(m,24H)、0.85(t,9H)
[O−7の合成例]
以下の合成スキームに従って、O−7を合成した。
以下の合成スキームに従って、O−7を合成した。
(化合物(O−7−A)の合成)
撹拌器を装着した1Lの三ツ口フラスコに、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルの190.28g(1.0mol)、酢酸エチルの250mLおよびトリエチルアミンの121.0mL(1.2mol)を加え、撹拌して溶液を得た。溶液を5℃以下に冷却し、メタンスルホニルクロリドの120.2g(1.05mol)を、溶液を撹拌しながら滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、268.8gの化合物(O−7−A)を得た。
撹拌器を装着した1Lの三ツ口フラスコに、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルの190.28g(1.0mol)、酢酸エチルの250mLおよびトリエチルアミンの121.0mL(1.2mol)を加え、撹拌して溶液を得た。溶液を5℃以下に冷却し、メタンスルホニルクロリドの120.2g(1.05mol)を、溶液を撹拌しながら滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、268.8gの化合物(O−7−A)を得た。
(化合物(O−7−B)の合成)
撹拌器を装着した500mLの三ツ口フラスコに、ハイドロキノンの82.6g(0.75mol)、およびN,N−ジメチルホルムアミドの350mLを加え、撹拌して溶液を得た。炭酸カリウム49.8g(0.36mol)を、溶液を撹拌しながら加えた。この溶液に得られた化合物(O−7−A)80.5g(0.3mol)を、溶液を撹拌しながら滴下した。滴下終了後、100℃に加熱して2時間撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、精製後、50.8g(60%)の化合物(O−7−B)を得た。
撹拌器を装着した500mLの三ツ口フラスコに、ハイドロキノンの82.6g(0.75mol)、およびN,N−ジメチルホルムアミドの350mLを加え、撹拌して溶液を得た。炭酸カリウム49.8g(0.36mol)を、溶液を撹拌しながら加えた。この溶液に得られた化合物(O−7−A)80.5g(0.3mol)を、溶液を撹拌しながら滴下した。滴下終了後、100℃に加熱して2時間撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、精製後、50.8g(60%)の化合物(O−7−B)を得た。
(化合物(O−7―C)の合成)
撹拌器と還流冷却器を装着した200mLの三ツ口フラスコに、酢酸エチル120ml、シアヌルクロリドの18.4g(0.1mol)を加え撹拌して溶液を得た。室温下、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルの20.9g(0.11mol)の酢酸エチル20ml溶液を滴下した。次いで炭酸カリウムの15.2g(0.11mol)を加え50℃で20時間加熱撹拌した。セライトろ過し、酢酸エチルで洗浄した。ろ液を酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、20.3g(60%)の化合物(O−7−D)を得た。
撹拌器と還流冷却器を装着した200mLの三ツ口フラスコに、酢酸エチル120ml、シアヌルクロリドの18.4g(0.1mol)を加え撹拌して溶液を得た。室温下、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルの20.9g(0.11mol)の酢酸エチル20ml溶液を滴下した。次いで炭酸カリウムの15.2g(0.11mol)を加え50℃で20時間加熱撹拌した。セライトろ過し、酢酸エチルで洗浄した。ろ液を酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、20.3g(60%)の化合物(O−7−D)を得た。
(化合物(O−7)の合成)
撹拌器と還流冷却器を装着した200mLの三ツ口フラスコに、得られた化合物(O−7−C)44.0g(0.13mol)およびメチルエチルケトン120mLを加え、撹拌して溶液を得た。この溶液に、得られた化合物(O−7−B)84.7g(0.3mol)を添加した。続いて、炭酸カリウムの45.6g(0.33mol)を加え、室温で1時間攪拌した後、80℃で10時間加熱撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、精製後、77.8g(70%)の化合物(O−7)を得た。
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ7.1−6.85(m,8H)、4.4−3.4(m,30H)、1.6―1.25(m,24H)、0.85(t,9H)
なお、他の例示化合物については、その合成例の詳細は記載しないが、上記化合物S−7及びO−7の合成例を参考にして、試薬の種類を代える等により、上記と同様に合成することができる。
撹拌器と還流冷却器を装着した200mLの三ツ口フラスコに、得られた化合物(O−7−C)44.0g(0.13mol)およびメチルエチルケトン120mLを加え、撹拌して溶液を得た。この溶液に、得られた化合物(O−7−B)84.7g(0.3mol)を添加した。続いて、炭酸カリウムの45.6g(0.33mol)を加え、室温で1時間攪拌した後、80℃で10時間加熱撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、精製後、77.8g(70%)の化合物(O−7)を得た。
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ7.1−6.85(m,8H)、4.4−3.4(m,30H)、1.6―1.25(m,24H)、0.85(t,9H)
なお、他の例示化合物については、その合成例の詳細は記載しないが、上記化合物S−7及びO−7の合成例を参考にして、試薬の種類を代える等により、上記と同様に合成することができる。
[実施例1〜6:潤滑剤組成物の性能評価]
本発明の化合物を用いて、以下の条件で摩擦試験を実施し、摩擦係数を測定した。また、潤滑剤基油のみ用いて、同様に(比較例1〜4)行った。なお、実施例における摩擦係数は、往復動型摩擦試験機(SRV摩擦摩耗試験機)を用いて測定し、下記の試験条件(i)及び(ii)で摩擦試験を行った結果である。実施例1〜6の結果を表1に、比較例1〜4の結果を表2に各々示した。
なお、40℃における見かけ粘度は、実施例1の組成物が167.0mPa・s、実施例2の組成物が79.6mPa・s、実施例4の組成物が90.3mPa・s、実施例5の組成物が108.0mPa・sであった。また、実施例1〜6に用いた一般式(1)の化合物は、いずれも40℃における粘度圧力係数が20GPa-1以下であり、10MPa以上の圧力下で圧力上昇に伴い摩擦係数の最低値を発現する化合物であった。
本発明の化合物を用いて、以下の条件で摩擦試験を実施し、摩擦係数を測定した。また、潤滑剤基油のみ用いて、同様に(比較例1〜4)行った。なお、実施例における摩擦係数は、往復動型摩擦試験機(SRV摩擦摩耗試験機)を用いて測定し、下記の試験条件(i)及び(ii)で摩擦試験を行った結果である。実施例1〜6の結果を表1に、比較例1〜4の結果を表2に各々示した。
なお、40℃における見かけ粘度は、実施例1の組成物が167.0mPa・s、実施例2の組成物が79.6mPa・s、実施例4の組成物が90.3mPa・s、実施例5の組成物が108.0mPa・sであった。また、実施例1〜6に用いた一般式(1)の化合物は、いずれも40℃における粘度圧力係数が20GPa-1以下であり、10MPa以上の圧力下で圧力上昇に伴い摩擦係数の最低値を発現する化合物であった。
(試験条件(i))
試験条件はシリンダ−オンプレートの条件で行った。
試験片(摩擦材):SUJ−2
プレート:φ24×6.9mm
シリンダ:φ11×15mm
温度:20℃
荷重:400N
振幅:1.5mm
振動数:50Hz
試験時間:試験開始5分間
(試験条件(ii))
試験条件はシリンダ−オンプレートの条件で行った。
試験片(摩擦材):SUJ−2
プレート:φ24×6.9mm
シリンダ:φ11×15mm
前処理:200N、150℃、30分で予め摺動させた。
続けて下記条件で摩擦係数を測定した。
温度:60℃
荷重:100N
振幅:1.5mm
振動数:50Hz
試験時間:試験開始5分間
試験条件はシリンダ−オンプレートの条件で行った。
試験片(摩擦材):SUJ−2
プレート:φ24×6.9mm
シリンダ:φ11×15mm
温度:20℃
荷重:400N
振幅:1.5mm
振動数:50Hz
試験時間:試験開始5分間
(試験条件(ii))
試験条件はシリンダ−オンプレートの条件で行った。
試験片(摩擦材):SUJ−2
プレート:φ24×6.9mm
シリンダ:φ11×15mm
前処理:200N、150℃、30分で予め摺動させた。
続けて下記条件で摩擦係数を測定した。
温度:60℃
荷重:100N
振幅:1.5mm
振動数:50Hz
試験時間:試験開始5分間
上記表に示した結果から、本発明の実施例の組成物は、高圧下で比較的低い温度でも低摩擦係数を示すとともに、高圧・高温処理した後でも低摩擦係数を示すことが理解できる。
また、前記一般式(2)で表される化合物、例示化合物S−2、の種々の圧力における摩擦係数(温度40℃)を測定した。結果を下記表中に示す。
Claims (13)
- 40℃における粘度圧力係数が20GPa-1以下であり、10MPa以上の圧力下で圧力上昇に伴い摩擦係数の最小値を発現させる性質を有する、下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有する潤滑剤組成物:
一般式(1)
- 40℃における見かけ粘度が300mPa・S以下である請求項1に記載の潤滑剤組成物。
- 前記一般式(1)中のY及びZの双方が硫黄原子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 前記一般式(1)中のY及びZの双方が酸素原子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 前記一般式(1)中のT、A及びBのうち少なくとも1つがオリゴアルキレンオキシ基を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 焼結軸受に用いる請求項1〜6のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 回転する軸を回転可能に支持する軸受け装置であって、回転する軸との摺動部の少なくとも一部が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物を含む焼結体からなる軸受け装置。
- 焼結体と、該焼結体に浸透した請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物とを有する摺動部材。
- 前記一般式(2)中のY及びZの双方が硫黄原子である請求項10に記載のトリアジン環化合物。
- 前記一般式(2)中のY及びZの双方が酸素原子である請求項10に記載の
トリアジン環化合物。 - 前記一般式(2)中のT、R11及びR12のうち少なくとも一つがオリゴアルキレンオキシ基を含有する請求項10〜12のいずれか1項に記載のトリアジン環化合物。
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- 2006-09-01 JP JP2006237709A patent/JP2007092055A/ja not_active Abandoned
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