JP2007091795A - 艶消し粉体塗料用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 艶消し効果に優れ、かつ塗膜の耐候性、平滑性、及び耐酸性に優れる粉体塗料を与えることができるアクリル樹脂系の粉体塗料用樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 数平均分子量2,000〜10,000、官能基当量400以下、ガラス転移温度(Tg)40℃以上、溶解性パラメーター(Sp値)9.90以下のアクリル系樹脂(A)、好ましくは数平均分子量3,000〜6,000、エポキシ当量150〜330、ガラス転移温度(Tg)40〜100℃、溶解性パラメーター(Sp値)9.00〜9.80のエポキシ基含有アクリル系樹脂と、硬化剤(B)、好ましくは脂肪族多価カルボン酸を含有する艶消し粉体塗料用樹脂組成物。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、艶消し効果に優れた粉体塗料を製造する際に使用する粉体塗料用樹脂組成物に関する。
大気汚染などの環境問題の観点より、有機溶剤を含有しない塗料の一形態である粉体塗料の使用量は、その低公害性のため、年々増加している。かかる粉体塗料の用途としては、家電・建材用などのような金属製品の塗装用をはじめ多岐に亘る。
現在、実用に供されている粉体塗料では、ポリエステル樹脂系粉体塗料、エポキシ樹脂系粉体塗料、アクリル樹脂系粉体塗料が主に知られている。
これらのうち、アクリル系樹脂と硬化剤とを組み合わせたアクリル樹脂系粉体塗料は、アクリル樹脂骨格由来の耐候性、耐酸性に優れる(耐久性のある)塗膜性能を有する。
一方、近年、特に屋外用途向けなどに優れた耐候性や意匠性を具備するという市場ニーズの多様化に対応した粉体塗料が望まれてきている。中でも、今後は、溶剤系塗料からの切り替え需要などから、艶消し粉体塗料、とりわけ耐候性に優れる艶消し粉体塗料は、最も必要性が高いと考えられてきている。
上掲したような、粉体塗料では、一般的にシリカなどの艶消し顔料を添加し、艶消し塗料を作成しているのが現状であるが、艶消し顔料の艶消し効果は十分ではなく、塗料作成時にシリカによる粉砕機械の摩耗が生じるなど問題点が多い。
また、その他としては、ポリエチレンワックスなどの艶消し添加剤もあるが、その艶消し効果は十分ではなく、樹脂や硬化剤による艶消しが望まれていた。
近年、別の艶消し手法として、特定のアクリル系樹脂と特定のポリエステル系樹脂の組み合わせによる艶消し方法(例えば、特許文献1参照。)等が提案されている。
しかしながら、前記特許文献1に記載された技術はポリエステル樹脂を含有するため、近年高まっている耐候性や平滑性に対する要求に対して十分と言えなくなってきており、また、耐酸性も不十分であった。
他には、グリシジル基含有アクリル系樹脂、硬化剤として2塩基カルボン酸とカルボキシル基含有化合物の組み合わせによる低光沢粉体塗料(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。
前記特許文献2に記載された技術には、グリシジル基含有アクリル系樹脂に関して、ガラス転移温度とエポキシ当量に関してのみ述べている。また、カルボキシル基含有化合物の一例として耐候性の良いアクリル系樹脂も挙げているが、カルボキシル基含有アクリル樹脂を使用した場合、平滑性が低下するという欠点がある。
そのため、環境対応型塗料である粉体塗料のますますの普及の為には、耐候性、平滑性に優れ、しかも耐酸性にも優れる艶消し粉体塗料用樹脂組成物がどうしても必要であった。
特開平5−070714号公報 WO0244289公報
本発明の目的は、艶消し効果に優れ、かつ塗膜の耐候性、平滑性、及び耐酸性に優れる粉体塗料を与えることができるアクリル樹脂系の粉体塗料用樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、このような現状に鑑みて鋭意検討した結果、数平均分子量が2,000〜10,000で、官能基当量が400以下で、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上で、かつ、溶解性パラメーター(Sp)が9.90以下のアクリル系樹脂(A)を、硬化剤(B)と共に含有する粉体塗料用樹脂組成物は、ポリエステル樹脂を併用しなくとも艶消し効果に優れるだけでなく、平滑性、耐酸性にも優れた塗膜を提供しうる粉体塗料用樹脂組成物であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、数平均分子量2,000〜10,000、官能基当量400以下、ガラス転移温度(Tg)40℃以上、溶解性パラメーター(Sp値)9.90以下のアクリル系樹脂(A)と、硬化剤(B)を含有することを特徴とする艶消し粉体塗料用樹脂組成物を提供するものである。
本発明に係る粉体塗料用樹脂組成物によれば、特に艶消し効果、塗膜の平滑性、耐候性、耐酸性などに優れた塗膜を得ることができる。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
初めに、本発明の粉体塗料用樹脂組成物における必須の構成成分であるうちの数平均分子量2,000〜10,000、官能基当量400以下、ガラス転移温度(Tg)40℃以上、溶解性パラメーター(Sp)9.90以下のアクリル系樹脂(A)について説明する。
前記アクリル系樹脂(A)としては、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アルコキシシリル基、アクリロイル基等の官能基の1種または2種以上含有するアクリル系樹脂が挙げられ、これらのうち、耐ブロッキング性など粉体塗料の保存安定性に優れるものが得られることを考慮すると、エポキシ基、カルボキシル基または水酸基を含有するアクリル系樹脂が好ましく、硬化性や塗膜の平滑性により優れる粉体塗料が得られるを考慮すると、エポキシ基を含有するアクリル系樹脂がより好ましい。
本発明で使用するアクリル系樹脂(A)の数平均分子量は2,000〜10,000の範囲が必須であり、2,000より小さい場合では艶消し効果が不十分であり、10,000を超える場合では平滑性が劣り好ましくない。なかでも艶消し効果と平滑性のバランスに優れる粉体塗料が得られることから、数平均分子量は3,000〜6,000の範囲であることがより好ましく、4,000〜6,000の範囲であることが最も好ましい。
また、この本発明で使用するアクリル系樹脂(A)の官能基当量は、400以下であることが必須であり、400を超える場合、艶消し効果が不十分である。なかでも艶消し効果と耐衝撃性などの機械物性に優れる粉体塗料が得られることから、官能基当量は150〜330の範囲であることがより好ましく、170〜300であることが最も好ましい。この場合、官能基としては、前記したようにエポキシ基であることが好ましい。
本発明で使用するアクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は40℃以上であることが必須であり、40℃未満では粉体と量の保存安定性(耐ブロッキング性)が劣り、好ましくない。なかでも保存安定性(耐ブロッキング性)と平滑性に優れる粉体塗料が得られることから、ガラス転移温度(Tg)は40〜100℃であることがより好ましく、50〜90℃であることが最も好ましい。
この本発明で使用するアクリル系樹脂(A)の溶解性パラメーター(Sp値)は、9.90以下であることが必須であり、9.90を超える場合、艶消し効果が不十分である。なかでも艶消し効果に優れる粉体塗料が得られることから、溶解性パラメーター(Sp値)は9.00〜9.80の範囲であることがより好ましく、9.00〜9.70の範囲であることが最も好ましい。
従って、本発明で使用するアクリル系樹脂(A)としては、艶消し効果、保存安定性、平滑性に優れ、これらのバランスも良好な粉体塗料が得られることから、数平均分子量3,000〜6,000、エポキシ当量150〜330、ガラス転移温度(Tg)40〜100℃、溶解性パラメーター(Sp値)9.00〜9.80のエポキシ基含有アクリル系樹脂であることがより好ましく、数平均分子量4,000〜6,000、エポキシ当量170〜300、ガラス転移温度(Tg)50〜90℃、溶解性パラメーター(Sp値)9.00〜9.70のエポキシ基含有アクリル系樹脂であることが最も好ましい。
なお、ここで、溶解性パラメーター(Sp値)とは、樹脂の極性を表すパラメーターであり、以下の方法により求められる。
サンプル樹脂0.5gを100mlマイヤーフラスコに秤量し、テトラヒドロフラン(THF)10mlを加えて樹脂を溶解する。溶解した溶液を液温25℃に保持し、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50mlビュレットを用いてヘキサンを滴下していき、溶液に濁りが生じた点(濁点)の滴下量(vh)を求める。
次に、ヘキサンの代わりに脱イオン水を使用したときの、濁点における滴下量(vd)を求める。
vh、vdより、樹脂の溶解性パラメーター(Sp値)δは、SUH,CLARKE[J. Polym. Sci. A-1 , Vol.5 ,1671-1681 (1967)]により示された式を用いて、以下のようにして、求めることができる。
δ=((Vmh)(1/2)δmh+(Vmd)(1/2)δmd)/(Vmh)(1/2)+(Vmd)(1/2))
ここで、
Vmh=(Vh・Vt)/(φh・Vt+φt・Vh)、
Vmd=(Vd・Vt)/(φd・Vt+φt・Vd)
δmh=φh・δh+φt・δt、
δmd=φd・δd+φt・δt
φh,φd,φt;濁点における、ヘキサン,脱イオン水,THFの体積分率
(φh=vh/(vh+10)、φd=/(vd+10))
δh,δd,δt;ヘキサン,脱イオン水,THFのSP値
Vh,Vd,Vt;ヘキサン,脱イオン水,THFの分子容(ml/mol)
前記アクリル系樹脂(A)は、各種の方法で製造することができるが、各種官能基含有ビニル単量体(a1)、および必要に応じて当該単量体(a1)と共重合可能な他のビニル単量体(a2)を用いて、これらを有機溶剤中で重合させる方法が、最も簡便であることから好ましい。これらビニル単量体(a1)、(a2)はいずれも単独又は2種以上併用して使用することができる。その際、各種の重合開始剤を使用することが可能である。
前記官能基含有ビニル単量体(a1)としては、例えば、エポキシ基含有ビニル単量体、カルボキシル基含有ビニル単量体、水酸基含有ビニル単量体、アミノ基含有ビニル単量体、メチロール基含有ビニル単量体、アルコキシメチル基含有ビニル単量体、アルコキシシリル基含有ビニル単量体、アクリロイル基含有ビニル単量体等が挙げられる。
エポキシ基含有ビニル単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体類;(2−オキソ−1,3−オキソラン)メチル(メタ)アクリレート等の(2−オキソ−1,3−オキソラン)基含有ビニル単量体類;3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート等の脂環式エポキシ基含有ビニル単量体などが挙げられる。
カルボキシル基含有ビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、(無水)フマル酸等のカルボキシル基含有単量体;、イタコン酸、(無水)マレイン酸、(無水)フマル酸と、各種カルボキシル基含有単量体と炭素数1〜18のモノアルキルアルコールとのモノエステル類;各種水酸基含有ビニル単量体と無水コハク酸のごとき無水酸の開環付加物;などが挙げられる。
水酸基含有ビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等;前記した水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類を、ε−カプロラクトンで開環反応させた形の、いわゆるラクトン変性の水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
アミノ基含有ビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−iso−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−iso−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−アミル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−ヘプチル(メタ)アクリルアミドまたはN−2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−iso−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−iso−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−アミロキシメチルアクリルアミド、N−ヘキシロキシ(メタ)アクリルアミド、N−ヘプチロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−2−エチル−ヘキシロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有アミド系ビニル単量体類;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類;tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルコキシシリル基含有ビニル単量体としては、例えば、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランまたはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有単量体が挙げられる。
また、前記した官能基含有ビニル単量体(a1)と共に使用する共重合可能な他のビニル単量体(a2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルオクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;
(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等;エチルカルビトール(メタ)アクリレート等のアルキルカルビトール(メタ)アクリレート類;イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート等;
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレンまたはヘキサフルオロプロピレン等のフッ素含有α−オレフィン類;トリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル、ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル、ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル等の、パーフルオロアルキル・パーフルオロビニルエーテルまたは(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(ただし、アルキル基の炭素数は1〜18なる範囲内であるものとする。)などのような含フッ素ビニル単量体類;
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル単量体類;モノ[(メタ)アクリロイルオキシエチル]フォスフェート、酸性燐酸(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロイルオキシエチル燐酸フェニル等の燐酸エステル基含有ビニル単量体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、炭素原子数9の分岐状(分枝状)脂肪族カルボン酸ビニル、炭素原子数10の分岐状(分枝状)脂肪族カルボン酸ビニル、炭素原子数11の分岐状(分枝状)脂肪族カルボン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪族カルボン酸ビニル;
シクロヘキサンカルボン酸ビニル、メチルシクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−tert−ブチル安息香酸ビニル等の環状構造を有するカルボン酸のビニルエステル類;エチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシn−ブチルビニルエーテル、ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;
塩化ビニル、塩化ビニリデン等の、上述したフッ素含有α−オレフィン類以外の各種ハロゲン化オレフィン類、エチレン、プロピレン、ブテン−1等のα−オレフィン類などが挙げられる。
これら他のビニル単量体(a2)の中でも、艶消し効果に優れる粉体塗料が得られることから、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレートからなる群から選ばれる1種以上のビニル単量体が好ましく、イソボルニルメタクリレートがより好ましい。
なお、前記イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレートからなる群から選ばれる1種以上のビニル単量体を他のビニル単量体(a2)として、官能基含有ビニル単量体(a1)と共に用いて得られるアクリル樹脂(A)としては、前記ビニル単量体(a1)と(a2)からなり、かつ、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレートからなる群から選ばれる1種以上のビニル単量体を10〜40重量%含有するビニル単量体混合物を重合してなるアクリル系樹脂であることが好ましく、さらにエポキシ基含有アクリル系樹脂であることがより好ましい。さらに、ビニル単量体混合物中におけるイソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレートからなる群から選ばれる1種以上のビニル単量体の含有率は、20〜40重量%であることがより好ましい。
前記ビニル単量体(a1)、(a2)を有機溶剤中で重合してアクリル系樹脂(A)を合成する際に使用することができる重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−メチルブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1'−アゾビス−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸、2,2'−アゾビス−(2−アミジノプロペン)2塩酸塩、2−tert−ブチルアゾ−2−シアノプロパン、2,2'−アゾビス(2−メチル−プロピオンアミド)2水和物、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロペン]、2,2'−アゾビス(2,2,4−トリメチルペンタン)等のアゾ化合物;
過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、カリウムパーサルフェート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス−tert−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシーラウレート、tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド等のケトンパーオキシド類;パーオキシケタール類;ハイドロパーオキシド類;ジアルキルパーオキシド類;ジアシルパーオキシド類;パーオキシエステル類;パーオキシジカーボネート類;過酸化水素などが挙げられる。
前記ビニル単量体(a1),(a2)を有機溶剤中で重合してアクリル系樹脂(A)を合成する際に使用することのできる有機溶剤としては、各種のものを使用することができるが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール等のアルキルアルコール類;
メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;エクソンアロマティックナフサNo.2(米国エクソン社製)等の芳香族炭化水素を含有する混合炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;アイソパーC、アイソパーE、エクソールDSP100/140、エクソールD30(いずれも米国エクソン社製)、IPソルベント1016(出光石油化学社製)等の脂肪族炭化水素を含有する混合炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル類等が挙げられる。
また、前記アクリル系樹脂(A)を合成する際には、必要に応じて連鎖移動剤を用いることもでき、例えば、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸エステル、メルカプトエタノール、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
次に、本発明で使用する硬化剤(B)について説明する。
硬化剤(B)はアクリル系樹脂(A)の官能基と反応、または樹脂の硬化を促進し塗膜形成に寄与する成分であり、例えば、エポキシ基に対しては多価カルボン酸類、カルボキシル基に対してはエポキシ基含有化合物類、水酸基に対しては酸無水物、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート及びN−アルコキシメチル基含有アクリル系樹脂等が挙げられる。
前記エポキシ基と反応する硬化剤としては、主として、脂肪族または芳香族の多価カルボン酸類を使用することができる。その代表的なものを例示すれば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ブラシリン酸、ドデカン2酸、エイコサン2酸、テトラエイコサン2酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸;フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、及びこれらの酸無水物等が挙げられる。
また、これらの多価カルボン酸は、単独でも2種以上を併用してもよい。上記のうちでも、塗膜物性、貯蔵安定性に優れる粉体塗料が得られることから、脂肪族多価カルボン酸が好ましく、とりわけ塗膜物性に優れる粉体塗料が得られることから、脂肪族2塩基酸が特に好ましい。
水酸基と反応する硬化剤のうち、アミノ樹脂としては、例えば、メラミン、尿素、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン等のアミノ基含有化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキザール等のアルデヒド系化合物とを、公知慣用の方法により反応させて得られる縮合物又は各縮合物をアルコール類でエーテル化させて得られるものなどが挙げられる。特に、炭素原子数1〜4のアルコール類で部分的に、あるいは完全にエーテル化させたものが好ましく、かかるアミノ樹脂の具体例としては、ヘキサメチルエーテル化メチロールメラミン、ヘキサブチルエーテル化メチロールメラミン、メチルブチル混合エーテル化メチロールメラミン、メチルエーテル化メチロールメラミン、ブチルエーテル化メチロールメラミン、イソブチルエーテル化メチロールメラミン、あるいは、それらの縮合物などが挙げられる。アミノ樹脂は、通常、常温固形であることが好ましいが、塗料用として使用されているものであれば、常温で固形でないものも使用することができる。
また、ブロックイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の環状脂肪族ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、などの有機ジイソシアネート;これらの有機ジイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂(ポリエステルポリオール)、水などとの付加物;前記した有機ジイソシアネート同士の重合体(イソシアヌレート型ポリイソシアネートをも含む。)やイソシアネート・ビウレット体などの各種のポリイソシアネートを、公知慣用のブロック化剤、ラクタム、オキシムなど活性水素含有化合物でブロック化せしめて得られるもの等が挙げられる。これらの市販品の例を挙げれば、VESTANAT B1358/100、VESTAGON B1065、同 B1530(いずれもドイツ国デグサ社製のブロックポリイソシアネ−ト)、クレランUI、クレランTPLS2122(住友バイエルウレタン社製のブロックポリイソシアネ−ト)などがある。また、ポリイソシアネ−トとして、分子内にウレトジオン結合を有する、いわゆるセルフブロックタイプの化合物も使用することができる。
さらに、N−アルコキシメチル基含有アクリル系樹脂としては、例えば、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−iso−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−iso−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルコキシメチル基を有する単量体と、必要により他の単量体とを共重合して得られるアクリル系樹脂が挙げられる。
本発明の艶消し粉体塗料用樹脂組成物には、前記アクリル系樹脂(A)と硬化剤(B)と共に、更に必要に応じて、前記アクリル系樹脂(A)と同じ官能基を官能基当量が500以上となる範囲で有する数平均分子量2,000〜10,000で、ガラス転移温度(Tg)40℃以上のアクリル系樹脂(C)を含有させることができる。
前記アクリル系樹脂(C)は、アクリル系樹脂(A)と硬化剤(B)と共に用いることによって粉体塗料の艶消し効果や平滑性などを向上させる効果があり、アクリル系樹脂(A)と同じ官能基を有し、硬化剤(B)を共用するものである。
前記アクリル系樹脂(C)中の官能基としては、特に耐ブロッキング性などの保存安定性に優れる粉体塗料が得られることから、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基が好ましく、更に硬化性や塗膜の平滑性にも優れる粉体塗料が得られることから、なかでもエポキシ基がより好ましい。
前記アクリル系樹脂(C)の数平均分子量は2,000〜10,000であることが必須であり、2,000より小さい場合では艶消し効果が不十分であり、10,000を超える場合では平滑性が劣り好ましくない。3,000〜6,000の範囲がより好ましい。
また、アクリル系樹脂(C)の官能基当量は、500以上であることが必須であり、500未満の場合、平滑性向上効果が十分でない。更に好ましくは500〜800である。
アクリル系樹脂(C)のガラス転移温度(Tg)は、40℃以上であることが必須であり、更には50〜90℃の範囲が好ましい。アクリル系樹脂(C)のガラス転移温度(Tg)が40℃未満であると、粉体塗料の保存安定性(耐ブロッキング性)が劣り、好ましくない。
アクリル系樹脂(C)の溶解性パラメーター(Sp値)は艶消し効果の優れる粉体塗料が得られることから10.00以上が好ましく、10.30〜11.00がより好ましい。
前記アクリル系樹脂(C)は、前記アクリル系樹脂(A)と同様の方法で製造することができる。アクリル系樹脂(C)を製造する際に使用できるビニル単量体としては、アクリル系樹脂(A)に使用できるビニル単量体を同様に使用でき、例えば、エポキシ基含有ビニル単量体等の官能基含有ビニル単量体(a1)と、更に必要に応じてメチルメタクリレート、スチレン等の他のビニル単量体(a2)を使用することができ、これらを単独又は2種以上併用して使用することができる。
本発明の艶消し粉体塗料用樹脂組成物において、アクリル系樹脂(A)と硬化剤(B)との配合比は、重量比(A)/(B)が60/40〜80/10となる範囲が好ましい。なかでも、アクリル系樹脂(A)がエポキシ基含有アクリル系樹脂の場合、エポキシ基含有アクリル系樹脂中のエポキシ基(EP)と硬化剤(B)中のカルボキシル基(COOH)の当量比(EP)/(COOH)が0.5〜1.5となる範囲が好ましい。
また、更にアクリル系樹脂(C)を併用する場合は、アクリル系樹脂(A)とアクリル系樹脂(C)中の官能基の合計と硬化剤(B)中の官能基の当量比(A+C)/(B)が0.5〜1.5となる範囲になるよう調整することが好ましい。
アクリル系樹脂(A)とアクリル系樹脂(C)の配合比は、重量比(A)/(C)が25/75〜95/5の範囲であることが好ましく、より好ましくは50/50〜90/10の範囲である。
本発明の粉体塗料用樹脂組成物には、さらに、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂などをはじめ、硬化触媒、流動調節剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ベンゾイン、帯電防止剤、酸化防止剤などのような種々の塗料用添加剤類、顔料等を、必要に応じて加えることができる。顔料を用いる場合は、必要に応じ顔料分散剤の使用や顔料分散可能なアクリル系樹脂を用いることができる。
本発明の粉体塗料用樹脂組成物は、品質安定性、安定した量産性の観点から、いわゆる溶融混練法によって製造することが好ましい。粉体塗料組成物は、例えば、アクリル系樹脂(A)及び硬化剤(B)、更には、エポキシ基含有アクリル樹脂(C)や、その他の前述した各種原料を混合し、加熱ロール、エクストルーダーなどの溶融混練機を用いて、50〜130℃なる温度で、充分に溶融混合させた後、冷却し、粉砕・分級することによって、目的とする粉体塗料用樹脂組成物を得ることができる。
本発明の艶消し粉体塗料用樹脂組成物は、塗膜の平滑性、耐候性や耐酸性といった耐久性、意匠性を必要とする自動車、オートバイなどの車両・車両分品分野、家電分野、門扉やアルミサッシのような建材、建築分野、アルミホイールのような非鉄金属、プラスティック、木工など各種塗料用途に使用することができる。
本発明の粉体塗料組成物を使用した塗膜の形成方法としては、例えば、前記した粉体塗料用樹脂組成物を用いた粉体塗料を静電吹付法または流動浸漬法などの公知慣用の方法で、各種基材に塗装し、次いで、100〜250℃の温度で焼き付ける方法等が挙げられる。
以上に述べてきたような方法で、本発明の粉体塗料用樹脂組成物を用いた粉体塗料を種々の基材に塗装し、焼き付け乾燥させることによって、艶消し効果、平滑性、耐候性ならびに耐酸性などに優れた塗膜を有する塗装物を得ることができる。
なお、本発明の粉体塗料用樹脂組成物を用いた粉体塗料の艶消し効果については明らかではないが、高官能基当量で、かつ低極性(低Sp値)のアクリル系樹脂と硬化剤が反応する際に塗料中に急激な硬化収縮が起き、できた塗膜表面に微細な凹凸が生じ光を乱反射するためと推測される。
次に、本発明を参考例、実施例及び比較例を挙げて、一層具体的に説明する。以下において、特に断りのない限り、「部」は、すべて「重量部」を意味するものとする。
なお、エポキシ当量、数平均分子量、溶解性パラメーター(Sp値)、ガラス転移温度、酸価および軟化点は、以下のようにして求めたものである。
・エポキシ当量:塩酸―ピリジンの混合溶液に樹脂試料を溶解して、130℃で一時間加熱環流し、冷却し、水酸化カリウムのアルコール溶液で逆滴定して求めた値。
・数平均分子量:テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおける分子量測定により求めた数平均分子量。
・溶解性パラメーター(SP値):前記アクリル樹脂(A)に関する記載において詳述した方法により求めた値であり、サンプル樹脂のテトラヒドロフラン溶液に、ヘキサンを滴下したときの濁点の滴下量(vh)と、ヘキサンの代わりに脱イオン水を滴下したときの濁点における滴下量(vd)より、SUH,CLARKE[J. Polym. Sci. A-1 , Vol.5 ,1671-1681 (1967)]により示された式を用いて求めることができる。
・ガラス転移温度(℃):下記のFoxの式で計算した温度(K)を(℃)に換算した数値。
100/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+W4/Tg4
式中、W1、W2は、各種成分の重量分率(重量%)を示す。
式中、Tg1、Tg2は、各種成分のホモポリマーのガラス転移温度(K)を示す。
ここで、上記ホモポリマーのガラス転移温度は、Polymer Handbook(Second Edition、J,Brandrup・E,H,Immergut編)に記載の値を使用した。)
・酸価:ベンジルアルコールに樹脂試料を溶解して、水酸化カリウムのアルコール溶液で滴定して求めた値(単位:mgKOH/g)。
・軟化点:環球式自動軟化点試験器[明峰社製作所(株)製]を用い、グリセリンの加熱浴で3℃/分の昇温速度で昇温し、試料が軟化し始め、球が落下した時の温度を測定した値(単位:℃)。
参考例1〔アクリル系樹脂(A)の調製例〕
温度計、撹拌機、還流冷却器および窒素導入口を備えた反応容器に、キシレン65部を入れ、135℃にまで昇温した。これにグリシジルメタクリレート49部、イソボルニルメタクリレート20部、2−エチルヘキシルアクリレート11部、スチレン20部および重合開始剤としてのtert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1部からなる混合物を、5時間に亘って滴下した。滴下終了後も、同温度に、さらに10時間保持して、重合反応を続行し反応を完結せしめることによって、エポキシ基含有アクリル系樹脂(A−1)の溶液を得た。さらに、得られたエポキシ基含有アクリル系樹脂(A−1)の溶液を、180℃、20Torrの減圧下に保持し、キシレンを除去することによってエポキシ基含有アクリル系樹脂(A−1)を得た。エポキシ基含有アクリル系樹脂(A―1)の性状値を第1表に示す。
参考例2〜5(同上)
第1表に示すような、それぞれ、ビニル単量体類と重合開始剤とからなる混合物を用いるというように変更した以外は参考例1と同様にして、エポキシ基含有アクリル系樹脂(A−2)〜(A−5)の溶液を得た。さらに得られたエポキシ基含有アクリル系樹脂(A−2)〜(A−5)の溶液を、180℃、20Torrの減圧下に保持し、キシレンを除去することによってエポキシ基含有アクリル系樹脂(A−2)〜(A−5)を得た。エポキシ基含有アクリル系樹脂(A−2)〜(A−5)の性状値を第1表に示す。
参考例6〜8〔比較対照用のアクリル系樹脂(a)の調製例〕
第1表に示すような、それぞれ、ビニル単量体類と重合開始剤とからなる混合物を用いるというように変更した以外は参考例1と同様にして、エポキシ基含有アクリル系樹脂(a−1)〜(a−3)の溶液を得た。さらに得られたエポキシ基含有アクリル系樹脂(a−1)〜(a−3)の溶液を、180℃、20Torrの減圧下に保持し、キシレンを除去することによってエポキシ基含有アクリル系樹脂(a−1)〜(a−3)を得た。エポキシ基含有アクリル系樹脂(a−1)〜(a−3)の性状値を第2表に示す。
Figure 2007091795
Figure 2007091795
参考例9〔アクリル系樹脂(C)の調製例〕
温度計、撹拌機、還流冷却器および窒素導入口を備えた反応容器に、キシレン65部を入れ、135℃にまで昇温した。これにグリシジルメタクリレート20部、ブチルメタクリレート30部、メチルメタクリレート40部、2−ヒドロキシメチルメタクリレート10部および重合開始剤としてのtert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの2.0部からなる混合物を、5時間に亘って滴下した。滴下終了後も、同温度に、さらに10時間保持して、重合反応を続行し反応を完結せしめることによって、エポキシ基含有アクリル系樹脂(C−1)の溶液を得た。さらに得られたエポキシ基含有アクリル系樹脂(C−1)の溶液を、180℃、20Torrの減圧下に保持し、キシレンを除去することによって、数平均分子量4800、エポキシ当量550、溶解性パラメーター(Sp値)10.60、ガラス転移温度(Tg)51℃のエポキシ基含有アクリル系樹脂(C―1)を得た。
参考例10(他のエポキシ基含有アクリル系樹脂の調製例〕
温度計、撹拌機、還流冷却器および窒素導入口を備えた反応容器に、キシレン65部を入れ、135℃にまで昇温した。これにグリシジルメタクリレート28部、ブチルアクリレート10部、メチルメタクリレート22部、スチレン40部および重合開始剤としてのtert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート2.0部からなる混合物を、5時間に亘って滴下した。滴下終了後も、同温度に、さらに10時間保持して、重合反応を続行し反応を完結せしめることによって、他のエポキシ基含有アクリル系樹脂(D−1)の溶液を得た。さらに得られたエポキシ基含有アクリル系樹脂(D−1)の溶液を、180℃、20Torrの減圧下に保持し、キシレンを除去することによって、数平均分子量5000、エポキシ当量515、溶解性パラメーター(Sp値)9.79のエポキシ基含有アクリル系樹脂(D―1)を得た。
参考例11(同上)
温度計、撹拌機、還流冷却器および窒素導入口を備えた反応容器に、トルエン60部およびノルマルブタノール20部を入れ、110℃にまで昇温した。これにメタクリル酸29部、メチルメタクリレート50部、ブチルアクリレート21部および重合開始剤としてのtert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート5.0部からなる混合物を、5時間に亘って滴下した。滴下終了後も、同温度に、さらに10時間保持して、重合反応を続行し反応を完結せしめることによって、カルキシル基含有アクリル系樹脂(D−2)の溶液を得た。さらに、得られたカルキシル基含有アクリル系樹脂(D−2)の溶液を、180℃、20Torrの減圧下に保持し、トルエンとノルマルブタノールを除去することによって、数平均分子量4500、酸価158(カルボキシル基当量355)のカルキシル基含有アクリル系樹脂(D−2)を得た。
参考例12〔カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂(P−1)の調製例〕
攪拌機、温度計、精留塔及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、ネオペンチルグリコール430部、トリメチロールプロパン30部、テレフタル酸250部、イソフタル酸370部およびジブチル錫オキサイド0.5部を仕込んで、窒素雰囲気中で攪拌を行いながら240℃まで5時間を要して昇温した。240℃で脱水縮合反応を続行せしめ、酸価が10以下になったことを確認した後、180℃まで降温し、イソフタル酸100部を加え、再び240℃まで5時間を要して昇温した。そのまま240℃で脱水縮合反応を続行せしめ、酸価34、軟化点119℃のポリエステル樹脂を得た。以下、これをポリエステル樹脂(P−1)と略記する。
実施例1〜7および比較例1〜6
(粉体塗料組成物および粉体塗料の調製)
それぞれ、第3表または第4表に示す割合で粉体塗料用樹脂組成物を配合せしめ、得られたそれぞれの組成物を、「ZSK−25WLE」(ウエルナー・アンド・フライデラー社製の2軸混練機)を使用して、80〜120℃のバレル温度で溶融混練せしめたのちに、微粉砕し、さらに140メッシュの金網で分級せしめることによって、各種の粉体塗料を(P−1)〜(P−7)、(p−1)〜(p−6)として調製した。
Figure 2007091795
Figure 2007091795
《第3表及び第4表の脚註》
1)BYK−360P:表面調整剤、ドイツ国BYK社製
2)CR−90:酸化チタン「タイペーク CR−90」、石原産業(株)製
3)セリダスト9615A:ポリオレフィン系ワックス、クラリアントジャパン(株)製
次いで、得られた粉体塗料(P−1)〜(P−7)、(p−1)〜(p−7)を使用して、下記の塗膜形成方法に従って各種の塗膜を作製した後、それぞれの塗膜について塗膜性能試験を行なった。被塗物として使用する基材としては、0.8mm(厚さ)×70mm×150mmの燐酸亜鉛処理鋼板を用いた。
粉体塗料(P−1)〜(P−7)、(p−1)〜(p−7)を、それぞれ、基材に焼き付けた後の膜厚が60〜80μmとなるようにして静電粉体塗装せしめた後、170℃/20分間なる条件下に焼き付けを行ない、粉体塗料からなる塗膜(以下、粉体塗膜と略記する。)を有する被塗物を得た。
かくして得られた、被塗物上の粉体塗膜について塗膜性能の評価を行った。それらの結果をまとめて第5表および第6表に示した。
Figure 2007091795
Figure 2007091795
なお、評価判定の要領は、次の通りである。
・光沢:60°鏡面光沢(JIS K5400)
・ヘイズ:反射ヘイズ値〔20°光沢の散乱度合い(曇り度合い)の測定〕
ビー・ワイ・ケー・ガードナー製ヘイズーグロス リフレクトメーター( )にて測定した値。数値高いと曇り度合い大きい(艶消し効果大きい)。
・平滑性:PCI〔(パウダーコーティングインスティチュート)、1981年に設立された北アメリカの粉体塗料工業を代表する粉体塗料の普及、粉体塗料業界の交流を目的とした非営利組織(ホームページ:http://www.powdercoating.org/home.htm)〕
による粉体塗膜の平滑性目視判定用標準板を用いて判定した値。
標準板はNo.1〜NO.10までの10枚あり、標準板は1〜10へ段階的に平滑性が良好となる。平滑性がどの標準板に当たるかを目視により判定。
No. 1:平滑性不良
No.10:平滑性良好
・耐候性:サンシャイン・ウエザーメーター〔スガ試験機(株)製〕を使用して、600時間の促進耐候性試験を行い、塗膜の光沢保持率(60°G.R%)を測定した。
・耐衝撃性:塗膜面にデュポン衝撃試験機を用いて、塗膜面上に立てた1/2インチ径のポンチに、500gの重りを落下させ、ワレが発生しない最も高い高さ(cm)で耐衝撃性を判定した。
・耐酸性:pH1の硫酸溶液0.1mlを塗膜にのせたのち、60℃の条件下に1時間保存した後、目視で下記の基準で判定した。
◎:全く異状が認められない。
○:僅かながらの光沢の低下が認められる。
△:かなりの光沢の低下が認められる。
×:酸による浸食により塗膜が破壊されている。

Claims (7)

  1. 数平均分子量2,000〜10,000、官能基当量400以下、ガラス転移温度(Tg)40℃以上、溶解性パラメーター(Sp値)9.90以下のアクリル系樹脂(A)と、硬化剤(B)を含有することを特徴とする艶消し粉体塗料用樹脂組成物。
  2. アクリル系樹脂(A)が数平均分子量3,000〜6,000、エポキシ当量150〜330、ガラス転移温度(Tg)40〜100℃、溶解性パラメーター(Sp値)9.00〜9.80のエポキシ基含有アクリル系樹脂である請求項1に記載の艶消し粉体塗料用樹脂組成物。
  3. アクリル系樹脂(A)がイソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレートからなる群から選ばれる1種以上のビニル単量体を10〜40重量%含有するビニル単量体混合物を重合してなるエポキシ基含有アクリル系樹脂である請求項2に記載の艶消し粉体塗料用樹脂組成物。
  4. 硬化剤(B)が脂肪族多価カルボン酸である請求項2に記載の艶消し粉体塗料用樹脂組成物。
  5. 前記アクリル系樹脂(A)と同じ官能基を官能基当量が500以上となる範囲で有する数平均分子量2,000〜10,000でガラス転移温度(Tg)40℃以上のアクリル系樹脂(C)を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の艶消し粉体塗料用樹脂組成物。
  6. アクリル系樹脂(C)が数平均分子量3,000〜6,000、エポキシ当量500〜800、ガラス転移温度(Tg)50〜90℃、溶解性パラメーター(Sp値)10.00以上のエポキシ基含有アクリル系樹脂である請求項2〜4のいずれか1項に記載の艶消し粉体塗料用樹脂組成物。
  7. アクリル系樹脂(A)とアクリル系樹脂(C)の重量比(A)/(C)が25/75〜95/5である請求項5に記載の艶消し粉体塗料用樹脂組成物。

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