以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明に係わる反応装置の第1の実施形態における反応器400を斜め下から示した分解斜視図であり、図2は、本実施形態における反応器400の二面図であり、図3は、図2の切断線III−IIIに沿った面の矢視断面図であり、図4は、図2の切断線IV−IVに沿った面の矢視断面図である。図2において(a)図は上面図であり、(b)図は側面図である。
図1〜図4に示すように、この反応器400は、下面で開口した箱型部材410と、箱型部材410内に収容された仕切板420と、箱型部材410の下側開口を閉塞する底板430とを備える。
箱型部材410、仕切板420及び底板430は、ステンレス鋼といった板状の金属材料からなるものでも良いし、セラミック材料からなるものでも良いし、ガラス材料からなるものでも良いし、樹脂材料からなるものでも良い。
箱型部材410は、正方形又は長方形に成した天板412と、天板412の四つの辺のうち相対する二辺において天板412に対して垂直に連なった状態で接続された一対の側板414,414と、天板412の別の相対する二辺において天板412に対して垂直に連なった状態で接続された一対の側板416,416とを有する。側板414は側板416に対して垂直に連なった状態で接続され、これら四枚の側板414,414,416,416によって正方形枠状又は長方形枠状に設けられている。
底板430が天板412と平行となるよう底板430の縁部が側板414,414,416,416の下辺部に接合されている。このように箱型部材410の下面開口が底板430によって閉塞されることで、中空を有する平行六面体状の反応容器が構成される。
仕切板420は矩形波状とされている。つまり、仕切板420は、両側において対向した一対の平板状の補強部(板状部)422,422と、2つの補強部422,422の間において補強部422に対向した複数の仕切部424,424,…と、仕切部424の四つの辺のうち一辺において隣り合う仕切部424と仕切部424との間に又は隣り合う仕切部424と補強部422との間に連結された複数の折返し部426,426,…とを有する。
この仕切板420は波高方向が天板412と平行となるように箱型部材410内に収容されている。つまり、補強部422,422が仕切板420の両側の板状部となり、補強部422が側板414に面接触し、好ましくは補強部422が側板414に溶接又は蝋付けにより接合されている。これにより、側板414を補強することができ、反応器400の反応容器の剛性が高められる。
仕切板420の折返し部426は側板416に面接触し、好ましくは折返し部426が側板416に溶接又は蝋付けにより接合されている。これにより、側板416を補強することができ、反応器400の反応容器の剛性が高められる。
折返し部426の上辺部、補強部422の上辺部及び仕切部424の上辺部が仕切板420の上側縁部となり、この仕切板420の上側縁部は箱型部材410の天板412に当接し、好ましくは溶接又は蝋付けにより接合されている。これにより、天板412を補強することができ、反応器400の反応容器の剛性が高められる。
折返し部426の下辺部、補強部422の下辺部及び仕切部424の下辺部が仕切板420の下側縁部となり、この仕切板420の下側縁部は底板430に当接し、好ましくは溶接又は蝋付けにより接合されている。これにより、底板430を補強することができ、反応器400の反応容器の剛性が高められる。
このように仕切板420が箱型部材410に収容されているので、箱型部材410と底板430とによる中空が仕切部424によって複数の空間418,418,…に区画されている。これら複数の空間418,418,…のうち、一方の補強部422と仕切部424との間の空間418に通じる導入口432が底板430に形成され、他方の補強部422と仕切部424との間の空間418に通じる排出口434が底板430に形成されている。
また、仕切部424の波高方向一端部の近傍には上下一対の貫通孔428,428が形成され、隣り合う空間418,418が貫通孔428,428を介して通じている。そのため、箱型部材410と底板430とによる中空が導入口432から排出口434までの流路状に設けられ、その流路が葛折り状とされている。
この反応器400においては、導入口432に反応物をポンプ等によって流し込むと、反応物が空間418,418,…を順に流れる。反応物が空間418,418,…を流れているときに、反応物から生成物が生成される。そして、生成物が排出口434から外へ排出される。各空間418内においては反応物が仕切板420の波高方向に流れる。
ここで、『反応物から生成物への反応』とは、『化学反応』のみならず、『状態変化』をも含む意である。
反応器400の用途に応じて、箱型部材410と底板430のうちの少なくとも一方の外面に加熱器(例えば、電熱線、燃焼器等)を設けても良いし、仕切板420(主に、仕切部424の表面)に触媒を担持させても良いし、箱型部材410と底板430のうちの少なくとも一方の内面に触媒を担持させても良い。
例えば、反応器400を気化器として用いる場合、箱型部材410と底板430のうちの少なくとも一方の外面に電熱線又は燃焼器を設ける。このようにすれば、反応物としての液体が導入口432から排出口434にまで流れる間に加熱され、液体が気化する。これにより、生成物としての気体が排出口434から流れ出る。
また、反応器400を改質器として用いる場合、箱型部材410と底板430のうちの少なくとも一方の外面に電熱線又は燃焼器を設け、仕切部424の表面に改質触媒(例えば、Cu/ZnO系触媒、Pd/ZnO系触媒)を担持させる。このようにすれば、反応物としての燃料と水の混合気(例えば、メタノールと水の混合気)が導入口432から排出口434にまで流れる間に加熱され、改質触媒によって混合気から水素ガス等が生成される。これにより、水素ガス等を含む混合ガスが生成物として排出口434から流れ出る。
また、反応器400を一酸化炭素除去器として用いる場合、箱型部材410と底板430のうちの少なくとも一方の外面に電熱線又は燃焼器を設け、仕切部424の表面に一酸化炭素選択酸化触媒(例えば、白金)を担持させる。このようにすれば、反応物としての水素ガスと酸素ガスと一酸化炭素ガスの混合気が導入口432から排出口434にまで流れる間に加熱され、一酸化炭素選択酸化触媒によって一酸化炭素ガスが選択的に酸化される。これにより、一酸化炭素ガスが除去された状態のガスが生成物として排出口434から流れ出る。
また、反応器400を燃焼器として用いる場合、仕切部424の表面に燃焼触媒(例えば、白金)を担持させる。このようにすれば、反応物としての水素ガスと酸素ガスとの混合気が導入口432から排出口434にまで流れる間に水素ガスが燃焼される。これにより、生成物として水が排出口434から流れ出る。
次に、この反応器400の熱損失を抑制するための断熱構造について説明する。図5は、本実施形態における断熱パッケージ440(断熱容器)を設けた状態の反応器400の透過側面図である。断熱パッケージ440は、例えばステンレス鋼等といった金属材料又はセラミックからなり、断熱パッケージ440内に箱型部材410及び底板430を収容する。この場合、2つの管材442,444を断熱パッケージ440の壁面に貫通させ、断熱パッケージ440内において一方の管材442の端部を導入口432に接続させ、他方の管材444の端部を排出口434に接続させる。ここで、箱型部材410及び底板430を2つの管材442,444によって支持し、断熱パッケージ440の内面から箱型部材410及び底板430を離した状態とすると、箱型部材410及び底板430から断熱パッケージ440への直接的熱伝導を抑えることができて、より断熱性が向上する。また、断熱パッケージ440内を真空排気して内部空間を真空圧とすることにより、真空断熱構造を形成する。断熱パッケージ440の内部空間が真空圧であると、反応器400の反応容器内は常圧であるため、箱型部材410及び底板430が膨張する方向に応力を受ける。しかしながら、補強部422が箱型部材410の側板414に接合されて、側板414が補強され、折返し部426が側板416に接合されて、側板416が補強され、仕切部424の下辺部が底板430に接合されて、底板430が補強され、仕切部424の上辺部が天板412に接合されて、天板412が補強され、これらにより、反応容器全体が補強されて、応力により破壊、変形することが防止される。
次に、図6は本実施形態における変形例の反応器400Aの分解斜視図である。この反応器400Aにおいては、補強部422に四つの三角形状の開口423,423,423,423が形成されている。反応器400Aは、開口423が形成されたことを除いて図1の反応器400と同一に設けられているので、図1等に示された反応器400と図6に示された反応器400Aでは互いに対応する部分に同一の符号を付して、互いに対応する部分の説明を省略する。
このように補強部422に開口423を形成することで、補強部422の体積が減り、補強部422の熱容量を少なくすることができる。そのため、補強部422における熱損失を少なくすることができ、反応のために熱を有効利用することができる。特に、補強部422に四つの三角形状の開口423,423,423,423を形成したものとしても、補強部422の形状がたすき掛け状とされているので、補強部422の強度の低下を最低限に抑えることができる。
〔第2の実施形態〕
図7は、本発明に係わる反応装置の第2の実施形態における反応器500を斜め下から示した分解斜視図であり、図8は、本実施形態における反応器500の二面図であり、図9は、図8の切断線IX−IXに沿った面の矢視断面図であり、図10は、図8の切断線X−Xに沿った面の矢視断面図である。図8において(a)図は上面図であり、(b)図は側面図である。
この反応器500は、下面で開口した箱型部材510と、箱型部材510内に収容されて箱型部材510内の空間を上下に仕切ったセパレート板550と、箱型部材510の下側開口を閉塞した底板530と、セパレート板550によって仕切られた2つの空間のうち上側の空間に収容された仕切板520と、下側の空間に収容された仕切板540と、を備える。
箱型部材510、仕切板520、底板530、仕切板540及び底板530は、ステンレス鋼といった金属材料からなるものでも良いし、セラミック材料からなるものでも良いし、ガラス材料からなるものでも良いし、樹脂材料からなるものでも良い。
箱型部材510は、正方形状又は長方形状の天板512と、天板512の四つの辺のうち相対する二辺において天板512に対して垂直に連なった状態で接続された一対の側板514,514と、天板512の別の相対する二辺において天板512に対して垂直に連なった状態で接続された一対の側板516,516とを有する。側板514は側板516に対して垂直に連なった状態で接続されている。
底板530が天板512と平行となるよう底板530の縁部が側板514,514,516,516の下辺部に接合され、中空を有する平行四面体状の反応容器が構成されている。セパレート板550は、底板530及び天板512と平行となるよう箱型部材510内に収容され、セパレート板550の縁が側板514,514,516,516の上下中腹部に接合されている。
仕切板520は矩形波状とされている。つまり、仕切板520は、両側において対向した一対の平板状の補強部522,522と、2つの補強部522,522の間において補強部522に対向した複数の仕切部524,524,…と、仕切部524の四つの辺のうち一辺において隣り合う仕切部524と仕切部524との間に又は隣り合う仕切部524と補強部522との間に連結された複数の折返し部526,526,…とを有する。
仕切板540も、仕切板520と同様に、一対の補強部542,542と、複数の仕切部544,544,…と、複数の折返し部546,546,…とを有する。仕切板540の仕切形状は仕切板520の仕切形状と同じように形成されている。
仕切板520は波高方向が天板512と平行となるようにセパレート板550と天板512との間の空間に収容されている。補強部522,522が仕切板520の両側の板状部となり、補強部522が側板514に面接触し、好ましくは補強部522が側板514に溶接又は蝋付けにより接合されている。また、仕切板520の折返し部526は側板516に面接触し、好ましくは折返し部526が側板516に溶接又は蝋付けにより接合されている。
折返し部526の上辺部、補強部522の上辺部及び仕切部524の上辺部が仕切板520の上側縁部となり、この仕切板520の上側縁部は箱型部材510の天板512に当接し、好ましくは溶接又は蝋付けにより接合されている。折返し部526の下辺部、補強部522の下辺部及び仕切部524の下辺部が仕切板520の下側縁部となり、この仕切板520の下側縁部はセパレート板550に当接し、好ましくは溶接又は蝋付けにより接合されている。
箱型部材510内の天板512とセパレート板550との間の空間内に仕切板520が収容されて、その空間が仕切部524によって複数の空間518,518,…に区画されている。
また、仕切板540は波高方向が天板512と平行となるようにセパレート板550と底板530との間の空間に収容されている。補強部542,542が仕切板540の両側の板状部となり、補強部542が側板514に面接触し、好ましくは補強部542が側板514に溶接又は蝋付けにより接合されている。また、仕切板540の折返し部546は側板516に面接触し、好ましくは折返し部546が側板516に溶接又は蝋付けにより接合されている。
折返し部546の上辺部、補強部542の上辺部及び仕切部544の上辺部は仕切板540の上側縁部となり、この仕切板540の上側縁部がセパレート板550に当接し、好ましくは溶接又は蝋付けにより接合されている。折返し部546の下辺部、補強部542の下辺部及び仕切部544の下辺部が仕切板540の下側縁部となり、この仕切板540の下側縁部が底板530に当接し、好ましくは溶接又は蝋付けにより接合されている。
これらにより、箱型部材510、底板530が仕切板520、540、セパレート板550によって補強され、反応器500の反応容器の剛性が高められる。
箱型部材510内の底板530とセパレート板550との間の空間内に仕切板540が収容されて、その空間が仕切部544によって複数の空間519,519,…に区画されている。下の仕切板540はセパレート板550を挟んで上の仕切板520に重なり、上の空間518はセパレート板550によって下の空間519と仕切られている。
仕切部524には貫通孔528が形成され、隣り合う空間518,518が貫通孔528を介して通じている。仕切部544には貫通孔548が形成され、隣り合う空間519,519が貫通孔548を介して通じている。セパレート板550には複数の貫通孔552,552,…が形成され、上下に隣り合う空間518,519が貫通孔552を介して通じている。貫通孔528、貫通孔548,貫通孔552によって、これら空間518,518,…と空間519,519,…が一連の葛折り状の流路となっている。
これら複数の空間519,519,…のうち何れかに通じる導入口532が底板430に形成され、他の空間519に通じる排出口534が底板530に形成されている。
この反応器500においては、導入口532に反応物をポンプ等によって流し込むと、反応物が空間518,518,…と空間519,519,…を流れる。反応物が空間518,518,…と空間519,519,…を流れているときに、反応物から生成物が生成される。そして、生成物が排出口534から外へ排出される。各空間518,519内においては反応物は仕切板520,540の波高方向に流れる。
なお、この反応器500においても、第一実施形態の反応器400と同様に、用途に応じて、箱型部材510と底板530のうちの少なくとも一方の外面に加熱器を設けても良いし、仕切板520,540に触媒を担持させても良いし、箱型部材510と底板530のうちの少なくとも一方の内面に触媒を担持させても良いし、セパレート板550に触媒を担持させても良い。
第1の実施形態の場合と同様に、内部を真空圧とした断熱パッケージ(断熱容器)内に反応器500を収容することにより、反応器500の熱損失を抑制することができる。この場合においても、箱型部材510及び底板530による反応容器が膨張する方向に応力を受けるが、本実施形態においても、箱型部材510、底板530がセパレート板550、仕切板520,540によって補強されて、反応器500の反応容器の剛性が高められているため、応力により破壊、変形することを防ぐことができる。また、断熱パッケージを貫通した2本の管材のうち1本を導入口532に接続し、もう1本を排出口534に接続して、箱型部材510及び底板530を2本の管材によって支持し、断熱パッケージの内面から箱型部材510及び底板530を離した状態として、断熱パッケージへの直接的熱伝導を抑えて、断熱性を向上させるようにしても良い。
〔第3の実施形態〕
図11は、本発明に係わる反応装置の第3の実施形態におけるマイクロリアクタモジュール600(反応装置)の側面図である。このマイクロリアクタモジュール600は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA、電子手帳、デジタルカメラ、携帯電話機、腕時計、レジスタ、プロジェクタといった電子機器に内蔵され、燃料電池に使用する水素ガスを生成するものである。
図11に示すように、このマイクロリアクタモジュール600は、反応物の供給や生成物の排出が行われる給排部602と、比較的高温に設定されて改質反応が起こる高温反応部604(第1の反応部)と、高温反応部604の設定温度より低い温度に設定されて選択酸化反応が起きる低温反応部606(第2の反応部)と、高温反応部604と低温反応部606との間で反応物や生成物を送る連結管608とを具備する。
図12は、本実施形態におけるマイクロリアクタモジュール600を機能ごとに分けた場合の概略側面図である。図12に示すように、給排部602には主に気化器610及び第一燃焼器612が設けられている。第一燃焼器612には空気と気体燃料(例えば、水素ガス、メタノールガス等)がそれぞれ別々にあるいは混合気として供給され、これらの触媒燃焼によって熱が発する。気化器610には水と液体燃料(例えば、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、ブタン、ガソリン)がそれぞれ別々にあるいは混合された状態で燃料容器から供給され、第一燃焼器612における燃焼熱によって水と液体燃料が気化器610内において気化する。
高温反応部604には主に第二燃焼器614と、第二燃焼器614の上に設けられた改質器400Bとが設けられている。第二燃焼器614には空気と気体燃料(例えば、水素ガス、メタノールガス等)がそれぞれ別々にあるいは混合気として供給され、これらの触媒燃焼によって熱が発する。なお、燃料電池では水素ガスの電気化学反応により電気が生成され、燃料電池から排出されたオフガスに含まれる未反応の水素ガスが空気と混合した状態で第一燃焼器612及び第二燃焼器614に供給されても良い。勿論、燃料容器に貯留されている液体燃料(例えば、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、ブタン、ガソリン)が別の気化器によって気化されて、その気化した燃料と空気の混合気が第一燃焼器612及び第二燃焼器614に供給されるようにしても良い。
この改質器400Bには気化器610から水と液体燃料が気化された混合気(第1の反応物)が供給され、改質器400Bが第二燃焼器614によって加熱される。改質器400Bでは水蒸気と気化された液体燃料から水素ガス等(第1の生成物)が触媒反応により生成され、更に微量ながら一酸化炭素ガスが生成される。燃料がメタノールの場合には、次式(1)、(2)のような化学反応が起こる。なお、水素が生成される反応は吸熱反応であって、第二燃焼器614の燃焼熱が用いられる。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 …(1)
2CH3OH+H2O→5H2+CO+CO2 …(2)
低温反応部606には主に一酸化炭素除去器500Bが設けられている。一酸化炭素除去器500Bは、第一燃焼器612によって加熱され、改質器400Bから水素ガス及び上記(2)の化学反応によって生成された微量の一酸化炭素ガス等を含む混合気(第2の反応物)が供給されるとともに、更に酸素(または空気でもよい)が供給される。一酸化炭素除去器500Bでは混合気のうち一酸化炭素が選択的に酸化され、これにより一酸化炭素が除去される。一酸化炭素が除去された状態の混合気(第2の生成物;水素リッチガス)が燃料電池の燃料極に供給される。
マイクロリアクタモジュール600の具体的な構成について図11、図13〜図17を用いて説明する。図13は、本実施形態におけるマイクロリアクタモジュール600の分解斜視図であり、図14は、図11の切断線XIV−XIVに沿った面の矢視断面図であり、図15は、図11の切断線XV−XVに沿った面の矢視断面図であり、図16は、図11の切断線XVI−XVIに沿った面の矢視断面図であり、図17は、図11の切断線XVII−XVIIに沿った面の矢視断面図である。
図11、図13、図14に示すように、給排部602は、液体燃料導入管622と、液体燃料導入管622の上端部において液体燃料導入管622を囲むように設けられた燃焼器プレート624と、液体燃料導入管622の周囲に配列された5本の管材626,628,630,632,634とを具備する。
液体燃料導入管622は、例えばステンレス鋼等の管状の金属材料からなり、液体燃料導入管622内には吸液材623が充填されている。吸液材623は液体を吸収するものであり、吸液材623は、例えば無機繊維又は有機繊維を結合材で固めたもの、無機粉末を焼結したもの、無機粉末を結合材で固めたもの、グラファイトとグラッシーカーボンの混合体、等からなる。具体的には、フェルト材、セラミック多孔質材、繊維材、カーボン多孔質材といったものが吸液材623として用いられる。
管材626,628,630,632,634は、例えばステンレス鋼等の管状の金属材料からなる。
燃焼器プレート624も、例えばステンレス鋼等の板状の金属材料からなる。燃焼器プレート624の中央部に貫通孔が形成され、その貫通孔に液体燃料導入管622が嵌め込まれ、液体燃料導入管622と燃焼器プレート624が接合されている。ここで、液体燃料導入管622は、例えば蝋付けによって燃焼器プレート624と接合される。蝋剤としては、液体燃料導入管622や燃焼器プレート624を流れる流体の温度のうちの最高温度よりも高い融点であり、融点が700度以上の、金に、銀、銅、亜鉛、カドミウムを含有した金蝋や、金、銀、亜鉛、ニッケルを主成分とした蝋、或いは金、パラジウム、銀主成分とした蝋が特に好ましい。また、燃焼器プレート624の一方の面には隔壁が突出するように設けられている。隔壁は一部が燃焼器プレート624の外縁全周に亘って設けられ、他の一部が径方向に亘って設けられ、燃焼器プレート624が低温反応部606の下面に接合されることによって、接合面に燃焼用流路625が形成され、液体燃料導入管622が燃焼用流路625によって囲繞されている。燃焼用流路625の壁面には、燃焼混合気を燃焼させる燃焼用触媒が担持されている。燃焼用触媒としては、例えば白金が挙げられる。なお、液体燃料導入管622内の吸液材623は燃焼器プレート624の位置まで充填されている。
図11、図13に示すように、高温反応部604、低温反応部606及び連結管608は、積層された絶縁プレート640とベースプレート642とを共通の基体としている。そのため、絶縁プレート640が高温反応部604、低温反応部606及び連結管608に共通した下面となるが、連結管608の下面が高温反応部604の下面に対して面一になっているとともに、更に低温反応部606の下面に対して面一になっている。
ベースプレート642は、低温反応部606の基体となるベース部652と、高温反応部604の基体となるベース部654と、連結管608の基体となる連結ベース部656とからなる。ベースプレート642は、ベース部652とベース部654と連結ベース部656とを一体形成したものであり、連結ベース部656において括れた状態とされている。このベースプレート642は、例えばステンレス鋼等の板状の金属材料からなる。
絶縁プレート640は、低温反応部606の基体となるベース部662と、高温反応部604の基体となるベース部664と、連結管608の基体となる連結ベース部666とからなる。絶縁プレート640は、ベース部662とベース部664と連結ベース部666とを一体形成したものであり、連結ベース部666において括れた状態とされている。この絶縁プレート640は、例えばセラミック等の電気絶縁体からなる。
図13、図15に示すように、ベースプレート642に絶縁プレート640を接合した状態で、貫通孔671〜678がベースプレート642のベース部652及び絶縁プレート640のベース部662を貫通している。図11、図13に示すように、絶縁プレート640のベース部662が低温反応部606の下面となるが、低温反応部606の下面に管材626,628,630,632,634及び液体燃料導入管622が蝋付け等により接合されている。ここで、管材626が貫通孔671に通じ、管材628が貫通孔672に通じ、管材630が貫通孔673に通じ、管材632が貫通孔674に通じ、管材634が貫通孔675に通じ、液体燃料導入管622が貫通孔678に通じている。また、図13、図14、図15に示すように、燃焼器プレート624が低温反応部606の下面に接合されているが、燃焼器プレート624の燃焼用流路625の一端部が貫通孔676に通じ、燃焼用流路625の他端部が貫通孔677に通じている。
図15に示すように、ベースプレート642には、改質燃料供給流路702と、連通流路704と、空気供給流路706と、混合室708と、燃焼燃料供給流路710と、燃焼室712と、排ガス流路714と、燃焼燃料供給流路716と、排気室718とが形成されている。
改質燃料供給流路702は、貫通孔678から連結ベース部656を通ってベース部654の角部にまで至るよう形成されている。混合室708は、ベース部652において四角形状に形成されている。連通流路704は、ベース部654の角部から連結ベース部656を通って混合室708まで至るように形成されている。空気供給流路706は、貫通孔675から混合室708まで至るように形成されている。
燃焼室712は、ベース部654の中央部においてC字状に形成されている。この燃焼室712の壁面には、燃焼混合気を燃焼させる燃焼用触媒が担持されている。
燃焼燃料供給流路710は、貫通孔672から連結ベース部656を通って燃焼室712まで至るように形成されている。排ガス流路714は、貫通孔677から貫通孔673に至るよう形成されているとともに、燃焼室712から連結ベース部656を通って貫通孔673に至るように形成されている。燃焼燃料供給流路716は、ベース部652において貫通孔674から貫通孔676に至るように形成されている。排気室718はベース部652において矩形状に形成され、排気室718の角部に貫通孔671が通じている。
ベース部652上に一酸化炭素除去器500Bが設けられている。この一酸化炭素除去器500Bは第2実施形態における反応器500を応用したものであり、一酸化炭素除去器500Bは図7〜図10に示された反応器500と同様に設けられている。そして、図16に示された一酸化炭素除去器500Bの断面は図9に示された反応器500の断面に対応し、図17に示された一酸化炭素除去器500Bの断面は図10に示された反応器500の断面に対応する。なお、一酸化炭素除去器500Bと反応器500との間で互いに対応する部分に同一の符号を付して、互いに対応する部分の説明を省略する。
図11、図13に示すように、一酸化炭素除去器500Bの底板530がベース部652の上面に接合されている。底板530によって、改質燃料供給流路702の一部と、排ガス流路714の一部と、燃焼燃料供給流路710の一部と、連通流路704の一部と、空気供給流路706と、混合室708と、燃焼燃料供給流路716と、排気室718とが蓋される。底板530に形成された導入口532は混合室708の角部709の上に位置され、底板530に形成された排出口534は排気室718の角部719の上に位置されている。
この一酸化炭素除去器500Bにおいては、箱型部材510と底板530の内面や仕切板520、仕切板540及びセパレート板550に一酸化炭素選択酸化触媒(例えば、白金)が担持されている。
次いで、ベース部654上に改質器400Bが設けられている。この改質器400Bは第1実施形態における反応器400を応用したものであり、改質器400Bは図1〜図4に示された反応器400と同様に設けられている。そして、図17に示された改質器400Bの断面は図3に示された反応器400の断面に対応する。なお、改質器400Bと反応器400との間で互いに対応する部分に同一の符号を付して、互いに対応する部分の説明を省略する。
図11、図13に示すように、改質器400Bの底板430がベース部654の上面に接合されている。底板430によって、改質燃料供給流路702の一部と、排ガス流路714の一部と、燃焼燃料供給流路710の一部と、連通流路704の一部と、燃焼室712とが蓋される。底板430に形成された導入口432は改質燃料供給流路702の端部703の上に位置され、底板430に形成された排出口434は連通流路704の端部705の上に位置されている。
この改質器400Bにおいては、箱型部材410と底板430の内面や仕切板420に改質触媒(例えば、Cu/ZnO系触媒、Pd/ZnO系触媒)が担持されている。
図13に示すように、改質器400Bの底板430と一酸化炭素除去器500Bの底板530とは連結蓋680によって連結された状態で一体形成されている。底板430と底板530と連結蓋680とを一体にした板材690は、連結蓋680において括れた状態とされている。この板材690がベースプレート642に接合されているが、板材690の連結蓋680はベースプレート642の連結ベース部656に接合され、これにより連結管608が構成される。この連結管608においては、改質燃料供給流路702の一部と、排ガス流路714の一部と、燃焼燃料供給流路710の一部と、連通流路704の一部とが連結蓋680によって蓋される。
図11等に示すように、連結管608の外形は角柱状とされ、連結管608の幅が高温反応部604の幅及び低温反応部606の幅よりも狭く、連結管608の高さも高温反応部604及び低温反応部606の高さよりも低い。そして、連結管608は高温反応部604と低温反応部606との間に架設されているが、連結管608は高温反応部604の幅方向中央部において高温反応部604に連結しているとともに低温反応部606の幅方向中央部において低温反応部606に連結している。
なお、上述したように、連結管608には、改質燃料供給流路702、連通流路704、燃焼燃料供給流路710及び排ガス流路714が設けられている。
次に、給排部602、高温反応部604、低温反応部606及び連結管608の内側に設けられた流路の経路について説明する。図18は本実施形態のマイクロリアクタモジュール600における、気体燃料と空気からなる燃焼混合気が供給されてから、生成物である水等が排出されるまでの経路を示した図であり、図19は本実施形態のマイクロリアクタモジュール600における、液体燃料と水が供給されてから、生成物である水素ガスが排出されるまでの経路を示した図である。ここで図18、図19と図12の対応関係について説明すると、液体燃料導入管622が気化器610に相当し、燃焼用流路625が第一燃焼器612に相当し、燃焼室712が第二燃焼器に相当する。
図13に示すように、低温反応部606の下面つまり絶縁プレート640の下面には、電熱線720が蛇行した状態にパターニングされ、低温反応部606から連結管608を通って高温反応部604にかけてこれらの下面には、電熱線722が蛇行した状態にパターニングされている。低温反応部606の下面から燃焼器プレート624の表面を通って液体燃料導入管622の側面にかけて電熱線724がパターニングされている。ここで、液体燃料導入管622の側面及び燃焼器プレート624の表面には、窒化シリコン、酸化シリコン等の絶縁膜が成膜され、その絶縁膜の表面に電熱線724が形成されている。絶縁膜又は絶縁プレート640に電熱線720,722,724をパターニングすることで、印加しようとする電圧が金属材料製のベースプレート642、液体燃料導入管622、燃焼器プレート624等に掛かることがなく、電熱線720,722,724の発熱効率を向上させることができる。
電熱線720,722,724は、絶縁膜又は絶縁プレート640から拡散防止層、発熱層の順に積層したものである。発熱層は3層の中で最も低い抵抗率の材料(例えば、Au)であり、電熱線720,722,724に電圧が印加されると電流が集中的に流れて発熱する。拡散防止層は、電熱線720,722,724が発熱しても発熱層の材料が拡散防止層に熱拡散されにくく、且つ拡散防止層の材料が発熱層に熱拡散しにくい材料であり、比較的融点が高く且つ反応性が低い物質(例えば、W)を用いることが好ましい。また、拡散防止層が絶縁膜に対して密着性が低く剥離しやすい場合には、更に、絶縁膜と拡散防止層の間に密着層を設けるようにしてもよく、密着層としては拡散防止層に対しても絶縁膜又は絶縁プレート640に対しても密着性に優れた材料(例えば、Ta、Mo、Ti、Cr)からなる。電熱線720は、起動時に低温反応部606を加熱し、電熱線722は、起動時に高温反応部604及び連結管608を加熱し、電熱線724は、給排部602の気化器610及び第一燃焼器612を加熱する。この後、燃料電池からの水素を含むオフガスで第二燃焼器614が燃焼されたら、電熱線722は第二燃焼器612の補助として高温反応部604及び連結管608を加熱する。同様に、燃料電池からの水素を含むオフガスで第一燃焼器612が燃焼される場合、電熱線720は第一燃焼器612の補助として低温反応部606を加熱する。
また、電熱線720,722,724は温度に依存して電気抵抗が変化し、抵抗値の変化から温度の変化を読み取る温度センサとしても機能する。具体的には、電熱線720,722,724の温度は電気抵抗に比例する。
電熱線720,722,724の何れの端部も低温反応部606の下面に位置し、これら端部が燃焼器プレート624を囲むように配列されている。電熱線720の両端部にはそれぞれリード線731,732が接続され、電熱線722の両端部にはそれぞれリード線733,734が接続され、電熱線724の両端部にはそれぞれリード線735,736が接続されている。なお、図11においては、図面を見やすくするために、電熱線720,722,724及びリード線731〜736の図示を省略する。
また、図13に示すように、連結管608の表面に、ゲッター材728を設けるようにしてもよい。このゲッター材728には電熱材等のヒータが設けられ、ゲッター材728にはそれぞれリード線737,738が接続されている。ゲッター材728は加熱されることで活性化して吸着作用をもつものであり、後述する断熱パッケージ791の内部空間に残留する気体や、マイクロリアクタモジュール600から断熱パッケージ791の内部空間に漏洩した気体や、外部から断熱パッケージ791内に侵入した気体を吸着することにより、断熱パッケージ791の内部空間の真空度が悪化して断熱効果が低下することを抑えるものである。ゲッター材728の材料としてはジルコニウム、バリウム、チタニウム又はバナジウムを主成分とした合金が挙げられる。なお、図11においては、図面を見やすくするために、リード線737,738の図示を省略する。
次に、図20は、本実施形態のマイクロリアクタモジュール600を覆う断熱パッケージ791(断熱容器)の分解斜視図である。図20に示すように、断熱パッケージ791はマイクロリアクタモジュール600の全体を覆うように構成され、高温反応部604、低温反応部606及び連結管608が断熱パッケージ791内に収容されている。断熱パッケージ791は、下面が開口した平行四面体形状のケース792と、ケース792の下面開口を閉塞したプレート793とから構成され、プレート793がケース792に接合されている。ケース792及びプレート793のどちらも、例えばガラス等の断熱材又は金属材料からなる。また、内側となる面にはアルミニウム、金等の金属反射膜を成膜するようにしてもよい。このような金属反射膜が成膜されていると、給排部602、高温反応部604、低温反応部606及び連結管608からの輻射による熱損失を抑制することができる。
プレート793を複数の通し孔が貫通し、管材626,628,630,632,634、液体燃料導入管622及びリード線731〜738がそれぞれの通し孔に挿通された状態で、この通し孔から断熱パッケージ791内に外気や水分が侵入しないように、管材626,628,630,632,634、液体燃料導入管及びリード線731〜738とプレート793の貫通孔とは、例えばガラス材又は絶縁封止材で接合、封止される。また、断熱パッケージ791の内部空間は密閉されて真空排気され、その内部空間が真空圧とされて真空断熱構造とされる。これによって、マイクロリアクタモジュール600の各部の熱が外部に伝搬してしまうことを抑えて、熱損失を低減することができる。
管材626,628,630,632,634及び液体燃料導入管622は、一部が断熱パッケージ791の外側に露出される。そのため、断熱パッケージ791の内側においては管材626,628,630,632,634及び液体燃料導入管622が支柱としてプレート793に対して立った状態とされ、高温反応部604、低温反応部606及び連結管608が管材626,628,630,632,634及び液体燃料導入管622に支持されて、高温反応部604、低温反応部606及び連結管608が断熱パッケージ791の内面から離れている。
また、液体燃料導入管622は、平面視して高温反応部604、低温反応部606及び連結管608全体の重心において低温反応部606の下面に連結していることが望ましい。
なお、ゲッター材728は、例えば連結管608の表面に設けられるが、ゲッター材728の設ける位置は断熱パッケージ791の内側であれば特に限定されない。
次に、マイクロリアクタモジュール600の動作について説明する。
まず、リード線737,738の間に電圧が印加されると、ゲッター材728がヒータによって加熱され、ゲッター材728が活性化される。これにより、断熱パッケージ791内のガスがゲッター材728に吸着され、断熱パッケージ791内の真空度が高まり、断熱効率が高まる。
また、リード線731,732の間に電圧が印加されると、電熱線720が発熱し、低温反応部606が加熱される。リード線733,734の間に電圧が印加されると、電熱線722が発熱し、高温反応部604が加熱される。リード線735,736の間に電圧が印加されると、電熱線724が発熱し、液体燃料導入管622の上部が加熱される。液体燃料導入管622、高温反応部604、低温反応部606及び連結管608が金属材料からなるため、これらの間で熱伝導しやすい。なお、電熱線720,722,724の電流・電圧が制御装置によって測定されることで、液体燃料導入管622、高温反応部604及び低温反応部606の温度が測定され、測定温度が制御装置にフィードバックされ、制御装置によって電熱線720,722,724の電圧が制御され、これにより液体燃料導入管622、高温反応部604及び低温反応部606の温度制御がなされる。
電熱線720,722,724によって液体燃料導入管622、高温反応部604及び低温反応部606が加熱された状態において、液体燃料導入管622に液体燃料と水の混合液がポンプ等によって連続的又は断続的に供給されると、混合液が吸液材623に吸収され、毛細管現象により混合液が液体燃料導入管622内の上に向かって浸透する。そして、吸液材623内の混合液が気化し、燃料と水の混合気が吸液材から蒸散する。吸液材623内にて混合液が気化するから、突沸を抑えることができ、安定して気化することができる。
そして、吸液材623から蒸散した混合気は貫通孔678、改質燃料供給流路702、導入口432を通って改質器400B内に流れ込む。その後、混合気は改質器400B内を流れている際には、混合気が加熱されて触媒反応することによって、水素ガス等が生成される(燃料がメタノールの場合には、上記化学反応式(1)、(2)を参照。)。
改質器400Bで生成された混合気(水素ガス、二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス等を含む。)が排出口434及び連通流路704を通って混合室708へと流れ込む。一方、空気がポンプ等によって管材634に供給され、貫通孔675及び空気供給流路706を通って混合室708へ流れ込み、水素ガス等の混合気と空気が混合される。
そして、空気、水素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス等を含む混合気が混合室708から導入口532を通って一酸化炭素除去器500B内へ流れ込む。混合気が一酸化炭素除去器500B内を流れている時に、混合気中の一酸化炭素ガスが選択的に酸化され、一酸化炭素ガスが除去される。
そして、一酸化炭素が除去された状態の混合気が排出口534から排気室718、貫通孔671、管材626を経由して、燃料電池の燃料極等に供給される。燃料電池では水素ガスの電気化学反応により電気が生成され、未反応の水素ガス等を含むオフガスが燃料電池から排出される。
以上の動作は初期段階の動作であり、その後の発電動作中は、混合液が液体燃料導入管622に供給され続ける。そして、燃料電池から排出されたオフガスに空気が混合され、その混合気(以下、燃焼混合気という。)が管材632及び管材628に供給される。管材632に供給された燃焼混合気は貫通孔674、燃焼燃料供給流路716、貫通孔676を通って燃焼用流路625に流れ込み、燃焼混合気が燃焼用流路625において触媒燃焼し、燃焼熱が発する。燃焼用流路625が低温反応部606の下側において液体燃料導入管622を周回しているため、燃焼熱によって液体燃料導入管622が加熱されるとともに低温反応部606が加熱される。そのため、電熱線720,724に供給する電力を小さくすることができ、エネルギーの利用効率が高まる。
一方、管材628に供給された燃焼混合気は貫通孔672、燃焼燃料供給流路710を通って燃焼室712へ流れ込み、燃焼混合気が燃焼室712において触媒燃焼する。これにより燃焼熱が発する。この燃焼熱によって改質器400Bが加熱される。そのため、電熱線722に供給する電力を小さくすることができ、エネルギーの利用効率が高まる。
なお、燃料容器に貯留されている液体燃料が気化されて、その気化した燃料と空気の燃焼混合気が管材628,632に供給されるようにしても良い。
混合液が液体燃料導入管622に供給された状態であって、燃焼混合気が管材628,632に供給された状態において、制御装置が電熱線720,722,724の抵抗値によって温度を測定しながら、電熱線720,722,724の印加電圧を制御するとともに、ポンプ等を制御する。制御装置によってポンプが制御されると、管材628,632に供給される燃焼混合気の流量が制御され、これにより燃焼器612,614の燃焼熱量が制御される。このように制御装置が電熱線720,722,724及びポンプを制御することによって、それぞれ、液体燃料導入管622、高温反応部604及び低温反応部606の温度制御がなされる。ここで、高温反応部604が250℃〜400℃、好ましくは300℃〜380℃、低温反応部606が高温反応部4より低い温度、具体的には120℃〜200℃、さらに好ましくは140℃〜180℃となるよう、温度制御を行う。
次いで、本実施形態におけるマイクロリアクタモジュール600を備える発電ユニット801の概略構成について説明する。図21は本実施形態におけるマイクロリアクタモジュール600を備える発電ユニット801の一例を示す斜視図である。図21に示すように、以上のようなマイクロリアクタモジュール600は、発電ユニット801に組み付けて用いることができる。この発電ユニット801は、例えば、フレーム802と、フレーム802に対して着脱可能な燃料容器804と、流路、ポンプ、流量センサ及びバルブ等を有する流量制御ユニット806と、断熱パッケージ791に収容された状態のマイクロリアクタモジュール600と、燃料電池、燃料電池を加湿する加湿器及び燃料電池で生成された副生成物を回収する回収器等を有する発電モジュール808と、マイクロリアクタモジュール600及び発電モジュール808に空気(酸素)を供給するエアポンプ810と、二次電池、DC−DCコンバータ及び発電ユニット801の出力で駆動する外部の機器と電気的に接続するための外部インターフェース等を有する電源ユニット812とを具備して構成される。流量制御ユニット806によって燃料容器804内の水と液体燃料の混合気がマイクロリアクタモジュール600に供給されることで、上述のように水素リッチガスが生成され、水素リッチガスが発電モジュール808の燃料電池に供給され、生成された電気が電源ユニット812の二次電池に蓄電される。
図22は、発電ユニット801を電源として用いる電子機器851の一例を示す斜視図である。図22に示すように、この電子機器851は、携帯型の電子機器であって、例えばノート型パーソナルコンピュータである。電子機器851は、CPU、RAM、ROM、その他の電子部品から構成された演算処理回路を内蔵するとともにキーボード852を備え付けた下筐体854と、液晶ディスプレイ856を備え付けた上筐体858と、を備える。下筐体854と上筐体858はヒンジで結合されており、上筐体858を下筐体854に重ねてキーボード852に液晶ディスプレイ856を相対させた状態で折り畳むことができるように構成されている。下筐体854の右側面から底面にかけて、発電ユニット801を装着するための装着部860が形成され、装着部860に発電ユニット801を装着すると、発電ユニット801の電気によって電子機器851が動作する。
以上のように本実施の形態によれば、仕切板420によって高温反応部604の改質器400Bが補強されて剛性が高まり、仕切板520,540によって低温反応部606の一酸化炭素除去器500Bが補強されて剛性が高まる。特に、改質器400B及び一酸化炭素除去器500Bが真空の断熱パッケージ791内に収容されているために、改質器400B及び一酸化炭素除去器500Bが膨張するような応力が作用するが、改質器400Bの内には仕切板420が接合され、一酸化炭素除去器500Bの内には仕切板520,540が接合されているから、改質器400B及び一酸化炭素除去器500Bが膨張して変形することを抑えることができる。
また、断熱パッケージ791の内部空間が断熱空間となっており、高温反応部604が低温反応部606から離れ、高温反応部604から低温反応部606までの間隔が連結管608の長さ分となっている。従って、高温反応部604から低温反応部606への伝熱の経路が連結管608に限られ、高温を要しない低温反応部606への伝熱が限定される。特に、連結管608の高さ及び幅は高温反応部604と低温反応部606の高さ及び幅よりも小さいから、連結管608を通じた熱伝導も極力抑えられている。そのため、高温反応部604の熱損失を抑えることができるとともに、低温反応部606が設定温度以上に昇温することも抑えることができる。即ち、1つの断熱パッケージ791内に高温反応部604と低温反応部606を収容した場合でも、高温反応部604と低温反応部606の間で温度差を発生することができる。
また、低温反応部606と高温反応部604との間を通じた流路702,704,710,714を1本の連結管608にまとめた状態とされているので、連結管608等に発生する応力を小さくすることができる。つまり、高温反応部604と低温反応部606との間には温度差があるから、低温反応部606よりも高温反応部604のほうがより膨張するが、高温反応部604が連結管608との連結部以外は自由端となっているので、連結管608等に発生する応力を抑えることができる。特に、連結管608は高さや幅が高温反応部604や低温反応部606よりも小さく、更に連結管608は高温反応部604及び低温反応部606の幅方向中央部において高温反応部604及び低温反応部606に連結しているから、連結管608、高温反応部604及び低温反応部606の応力発生を抑えることができる。
管材626,628,630,632,634及び液体燃料導入管622は断熱パッケージ791の外側に延出しているが、これらは全て低温反応部606に連結されている。そのため、高温反応部604から断熱パッケージ791外への直接の伝熱を抑えることができ、高温反応部604の熱損失を抑えることができる。従って、1つの断熱パッケージ791内に高温反応部604と低温反応部606を収容した場合でも、高温反応部604と低温反応部606の間で温度差を発生することができる。
連結管608の下面、高温反応部604の下面及び低温反応部606の下面が面一となっているため、電熱線722を比較的簡単にパターニングすることができ、電熱線722の断線を抑えることができる。
また、液体燃料導入管622内に吸液材623を充填させて、液体燃料導入管622を気化器610としたので、マイクロリアクタモジュール600の小型化・簡略化を図りつつ、混合液の気化に必要な温度状態(液体燃料導入管622の上部が120℃となる状態)とすることができる。
また、燃焼器プレート624は液体燃料導入管622の上端部において液体燃料導入管622の周囲に設けられて、更に液体燃料導入管622内の吸液材623が燃焼器プレート624の高さの位置まで充填されているから、第一燃焼器612における燃焼熱を混合液の気化に効率よく用いることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更をおこなっても良い。
例えば、低温反応部606と高温反応部604との間には一本の連結管608が架設されているが、複数の連結管が低温反応部606と高温反応部604との間に架設されていても良い。
また、反応器500、一酸化炭素除去器500Bにおいては、箱型部材510内に一枚のセパレート板が収容されて2つの空間に仕切られているが、複数枚のセパレート板が箱型部材510に収容されて更に多くの空間に仕切られていても良い。この場合、各空間内に仕切板を仕切板520,540と同様に収容する。