以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、インク滴を吐出して画像を記録するインクジェット記録装置に適用した場合について説明する。
[第1の実施の形態]
図1には、本実施の形態に係るインクジェット記録装置12が示されている。
同図に示されるように、このインクジェット記録装置12の筐体14内の下部には給紙トレイ16が備えられており、給紙トレイ16内に積層された用紙Pをピックアップロール18で1枚ずつ取り出すことができる。取り出された用紙Pは、所定の搬送経路22を構成する複数の搬送ローラ対20で搬送される。以下、単に「搬送方向」というときは、記録媒体である用紙Pの搬送方向をいい、「上流」、「下流」というときはそれぞれ、搬送方向の上流及び下流を意味するものとする。
給紙トレイ16の上方には、駆動ロール24及び従動ロール26に張架された無端状の搬送ベルト28が配置されている。搬送ベルト28の上方には記録ヘッドアレイ30が配置されており、搬送ベルト28の平坦部分28Fに対向している。この対向した領域が、記録ヘッドアレイ30からインク滴が吐出される吐出領域SEとなっている。搬送経路22を搬送された用紙Pは、搬送ベルト28で保持されてこの吐出領域SEに至り、記録ヘッドアレイ30に対向した状態で、記録ヘッドアレイ30から画像情報に応じたインク滴が付着される。
そして、用紙Pを搬送ベルト28で保持した状態で周回させることで、吐出領域SE内に複数回通過させて、いわゆるマルチパスによる画像記録を行うことができる。
なお、搬送ベルト28は、一例として、半導電性ポリイミド材(表面抵抗値108〜1013Ω/□、体積抵抗値109〜1014Ω・cm)を、厚さ75μm、幅380mm、周長1000mmに成形したもの等を使用できる。また、駆動ロール24及び従動ロール26としては、一例として、φ50mmのSUSロール等を使用できる。
また、記録媒体を周回させる手段としては、搬送ベルト28に限られない。たとえば円筒状あるいは円柱状に形成された搬送ローラの外周に、記録媒体(用紙P)を吸着保持して回転させる構成でもよい。ただし、本実施形態のように搬送ベルト28を使用すると平坦部分28Fが構成されるので、この平坦部分28Fに対応させて記録ヘッドアレイ30を配置でき、好ましい。
記録ヘッドアレイ30は、本実施形態では、有効な記録領域が用紙Pの幅(搬送方向と直交する方向の長さ)以上とされた長尺状とされ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色それぞれに対応した4つのインクジェット記録ヘッド32が搬送方向に沿って配置されており、フルカラーの画像を記録可能になっている。
各インクジェット記録ヘッド32は、後述する記録ヘッドコントローラ12E(図5参照。)によって作動が制御されるようになっている。記録ヘッドコントローラ12Eは、たとえば、画像情報に応じてインク滴の吐出タイミングや使用するインク吐出口(ノズル)を決め、駆動信号をインクジェット記録ヘッド32に送る。
また、記録ヘッドアレイ30は、搬送方向と直交する方向に不動とされていてもよいが、必要に応じて移動するように構成しておくと、マルチパスによる画像記録で、より解像度の高い画像を記録したり、インクジェット記録ヘッド32の不具合を記録結果に反映させないようにしたりできる。
なお、本実施形態に係る各インクジェット記録ヘッド32は、各々複数の液滴イジェクタ82(図6参照。)群からなる複数の印字ユニットが長手方向に接続されて構成されたものである。
記録ヘッドアレイ30の近傍(本実施形態では搬送方向の両側)には、それぞれのインクジェット記録ヘッド32に対応した4つのメンテナンスユニット34が配置されている。インクジェット記録ヘッド32に対してメンテナンスを行う場合には、図2に示すように、記録ヘッドアレイ30が上方へ移動し、搬送ベルト28との間に構成された間隙にメンテナンスユニット34が移動して入り込む。そして、ノズル面32N(図3参照)に対向した状態で、後述する所定のメンテナンス動作を行う。
なお、本実施形態では、4つのメンテナンスユニット34を2つずつの2組に分割し、記録ヘッドアレイ30による画像記録時には記録ヘッドアレイ30の上流側及び下流側にそれぞれ配置されるようにしている。
一方、図3にも詳細に示すように、記録ヘッドアレイ30の上流側には、電源38が接続された帯電ロール36が配置されている。帯電ロール36は、従動ロール26との間で搬送ベルト28及び用紙Pを挟みつつ従動し、用紙Pを搬送ベルト28に押圧する押圧位置と、搬送ベルト28から離間した離間位置との間を移動可能とされている。押圧位置では、接地された従動ロール26との間に所定の電位差が生じるため、用紙Pに電荷を与えて搬送ベルト28に静電吸着させることができる。
帯電ロール36には、例えば、アルミニウム、ステンレススチール等を材料とする棒状またはパイプ状の外周面に、導電性付与材を分散させた弾性層を形成し、体積抵抗率106〜108Ω・cm程度に調整したφ10〜25mmのロールなどが使用できる。弾性層は、ウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマー、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、シリコン系ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、ポリノルボーネンゴム等の樹脂材料が単独または二種以上の混合物として使用され、望ましい材料としては発泡ウレタン樹脂がある。上記発泡ウレタン樹脂としては、ウレタン系樹脂に中空ガラスビーズや熱膨張型マイクロカプセル等の中空体を混合分散して独立気泡構造を付与したものが望ましく、このような発泡ウレタン樹脂は帯電ロールとして望ましい低硬度弾性を有し、搬送ベルト28に対する高い接触安定性が得られるとともに、ニップ形成性も良好になる。さらに、弾性層の表面を厚さ5〜100μmの撥水性のスキン層で被覆しても良く、その場合には装置内の湿度変化や帯電層表面へのインクミストの付着などによる特性変化(抵抗値変化)を抑えるのに効果がある。
また、電源38としては、図3では直流電源を挙げているが、用紙Pを所定電位に帯電させることが可能であれば、交流電源でもよい。
なお、帯電ロール36よりもさらに上流側には、図示しないレジロールが設けられており、用紙Pが搬送ベルト28と帯電ロール36との間に至る前に位置合わせされる。
記録ヘッドアレイ30の下流側には、剥離プレート40が配置されており、用紙Pを搬送ベルト28から剥離することができる。剥離プレート40としては、たとえば、厚さ0.5mm、幅330mm、長さ100mmのアルミプレートを使用することができる。
剥離された用紙Pは、剥離プレート40の下流側で排出経路44を構成する複数の排出ローラ対42で搬送され、筐体14の上部に設けられた排紙トレイ46に排出される。
剥離プレート40の下方には、駆動ロール24との間で搬送ベルト28を挟持可能なクリーニングロール48が配置されており、搬送ベルト28の表面をクリーニングするようになっている。
給紙トレイ16と搬送ベルト28の間には、複数の反転用ローラ対50で構成された反転経路52が設けられており、片面に画像記録された用紙Pを反転させて搬送ベルト28に保持させることで、用紙Pの両面への画像記録を容易に行えるようになっている。
搬送ベルト28と排紙トレイ46の間には、4色の各インクをそれぞれ貯留するインクタンク54が設けられている。インクタンク54のインクは、図示しないインク供給配管によって、記録ヘッドアレイ30に供給される。インクとしては、水性インク、油性インク、溶剤系インク等、公知の各種インクを使用できる。
次に、図4を参照して、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッド32とメンテナンスユニット34の構成を詳細に説明する。
同図に示されるように、メンテナンスユニット34には、各印字ユニット64毎に、そのノズル群を閉塞するキャップ70と、キャップ70と配管74を介して連通接続される負圧蓄積タンク76とが備えられており、配管74の中途部にはバルブ72が接続されている。
また、負圧蓄積タンク76は、配管81を介して廃インクタンク80に連通接続されており、その配管81の中途部には吸引ポンプ78が接続されている。そして、キャップ70、バルブ72、負圧蓄積タンク76等は、各印字ユニット64毎に吸引回復動作(メンテナンス)ができるように、図示しない移動手段によって、インクジェット記録ヘッド32の長手方向(図示の矢印方向であり、搬送ベルト28の走行方向と直交する方向)に移動可能とされている。
また、各インクジェット記録ヘッド32は、各インクタンク54からの共通流路となる供給配管66を介してインクが供給される分岐部60を有しており、分岐部60から複数の個別流路62を介して複数(図示のものは4個)の印字ユニット64へ、インクが分岐・供給されるようになっている。
次に、図5を参照して、本実施形態に係るインクジェット記録装置12の電気系の要部構成を説明する。
同図に示されるように、本実施形態に係るインクジェット記録装置12には、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)12Aと、各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられるRAM12Bと、各種プログラムやパラメータ情報等が予め記憶されたROM12Cと、不揮発性で、かつ書き換え可能なメモリ12Dとが備えられている。また、インクジェット記録装置12には、インクジェット記録ヘッド32の作動を制御する記録ヘッドコントローラ12Eと、メンテナンスユニット34の作動を制御するメンテナンスユニットコントローラ12Fと、パーソナル・コンピュータ等の外部装置を電気的かつ機械的に接続する外部インタフェース12Gも備えられている。
そして、これらCPU12A、RAM12B、ROM12C、メモリ12D、記録ヘッドコントローラ12E、メンテナンスユニットコントローラ12F、及び外部インタフェース12Gは、システムバスBUSを介して電気的に相互に接続されている。
従って、CPU12Aは、RAM12B、ROM12C、及びメモリ12Dに対するアクセスと、記録ヘッドコントローラ12E及びメンテナンスユニットコントローラ12Fの作動の制御と、外部インタフェース12Gを介した外部装置との間の各種情報の授受と、を各々行うことができる。なお、本実施形態に係るインクジェット記録装置12には、以上の構成の他に、ピックアップロール18、搬送ローラ対20、駆動ロール24等の各部を回転駆動させる複数のモータ(図示省略。)の作動を制御するモータコントローラ、帯電ロール36に電圧を印加する電源装置等、多数の電気系の構成要素が含まれているが、錯綜を回避するために、これらの説明については省略する。
次に、図6を参照して、インクジェット記録ヘッド32及び記録ヘッドコントローラ12Eの電気系の要部構成を説明する。
同図に示すように、インクジェット記録ヘッド32は、インクタンク54(図1参照。)からインクが充填される圧力発生室82Aと、圧力発生室82Aと連通してインク滴を吐出するノズル82Bと、圧力発生室82Aの上面に接着されると共に上下方向に撓み変形可能な振動板82Cと、圧力発生室82Aに対応する振動板82Cの上面に接着された圧電素子82Dと、を備えた液滴イジェクタ82が多数設けられている。なお、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッド32は、前述したように、複数の液滴イジェクタ82群からなる複数の印字ユニットが長手方向に接続されて構成されている。
各圧電素子82Dの上面には不図示の電気基板が接合されており、当該電気基板と、圧電素子82Dを振動板82Cに接着する不図示の接着材との間(以下、「駆動信号印加部」という。)に駆動信号を印加して圧電素子82Dを振動させることにより、振動板82Cの撓み変形が生じる結果、圧力発生室82Aの体積が変化してインク滴をノズル82Bから吐出させることができる。
一方、同図に示すように、記録ヘッドコントローラ12Eは、上記駆動信号を生成する駆動信号生成部90と、駆動信号生成部90によって生成された駆動信号を液滴イジェクタ82の何れかの駆動信号印加部に選択的に印加するように切り替える信号切替部92と、を備えている。
また、記録ヘッドコントローラ12Eは、圧電素子82Dに印加される電圧のレベル(以下、「電圧値」という。)を検出する電圧センサ94と、圧電素子82Dを流れる電流のレベル(以下、「電流値」という。)を検出する電流センサ96と、を備えている。なお、本実施形態に係る駆動信号生成部90では、一例として図7に示すような三角波の駆動信号を生成する。
駆動信号生成部90、信号切替部92、電圧センサ94、及び電流センサ96はシステムバスBUSを介してCPU12Aに電気的に接続されており、CPU12Aは駆動信号生成部90による駆動信号の生成状態及び信号切替部92による切り替え状態を制御することができると共に、電圧センサ94及び電流センサ96による検出結果を把握することができる。
ところで、本実施形態に係るインクジェット記録装置12では、予め定められたタイミング(ここでは、非画像記録時で、かつユーザによってメンテナンスユニット34による吸引回復動作の実行を指示する指示入力が行われたタイミング)で各液滴イジェクタ82の固有周期を測定し、当該固有周期に基づいて異常のある液滴イジェクタ82が存在するか否かを判定し、存在する場合にメンテナンスユニット34により吸引回復動作を行うと同時に圧電素子82Dを駆動する液滴イジェクタ異常回復機能が搭載されている。このため、メモリ12Dには、正常イジェクタテーブルTB1、測定結果テーブルTB2、及び異常イジェクタテーブルTB3の3種類のテーブルが記憶される。
図8に示されるように、本実施形態に係る正常イジェクタテーブルTB1は、液滴イジェクタ82を特定するためのイジェクタ番号と、対応する液滴イジェクタ82の正常時における固有周期の各情報が、液滴イジェクタ82毎に記憶されるものとされている。
また、図9に示されるように、本実施形態に係る測定結果テーブルTB2は、正常イジェクタテーブルTB1と同様のイジェクタ番号と、対応する液滴イジェクタ82の圧電素子82Dに予め定められた範囲内の周波数の駆動信号を印加した際の電圧センサ94及び電流センサ96による測定結果の各情報が、液滴イジェクタ82毎に記憶されるものとされている。なお、同図に示されるように、本実施形態に係るインクジェット記録装置12では、上記予め定められた駆動信号の周波数の範囲として、1.0(kHz)〜300.0(kHz)の範囲を適用している。
更に、図10に示されるように、本実施形態に係る異常イジェクタテーブルTB3は、正常イジェクタテーブルTB1と同様のイジェクタ番号と、対応する液滴イジェクタ82の固有周期の各情報が、異常と判定された液滴イジェクタ82毎に記憶されるものとされている。
なお、図8〜図10では、錯綜を回避するために、正常イジェクタテーブルTB1、測定結果テーブルTB2、及び異常イジェクタテーブルTB3共に1つのインクジェット記録ヘッド32のみに対応するものが図示されているが、実際にはインクジェット記録ヘッド32毎に、これらのテーブルが記憶される。
以上のような構成とされた本実施形態のインクジェット記録装置12では、前述したように、給紙トレイ16から取り出された用紙Pが搬送され、搬送ベルト28に至る。そして、帯電ロール36によって搬送ベルト28に押し付けられると共に、帯電ロール36からの印加電圧によって搬送ベルト28に吸着(密着)して保持される。この状態で、搬送ベルトの循環によって用紙Pが吐出領域SEを通過しつつ、記録ヘッドアレイ30からインク滴が吐出されて、用紙P上に画像が記録される。1パスのみで画像記録する場合には、剥離プレート40で用紙Pを搬送ベルト28から剥離し、排出ローラ対42で搬送して排紙トレイ46に排出する。これに対し、マルチパスで画像記録を行う場合には、必要な回数に達するまで用紙Pを周回させて吐出領域SEを通過させた後、剥離プレート40で用紙Pを搬送ベルト28から剥離し、排出ローラ対42で搬送して排紙トレイ46に排出する。
一方、インクジェット記録ヘッド32をメンテナンスする際には、まず、インクジェット記録ヘッド32が所定高さ上昇して、メンテナンスユニット34が搬送ベルト28とインクジェット記録ヘッド32との間に配置される(図2参照)。
その後、各キャップ70を、各インクジェット記録ヘッド32における1つの印字ユニット64のノズル面に対向配置させ、バルブ72を開放し、負圧蓄積タンク76による負圧で、1つの印字ユニット64におけるノズル群に対して吸引回復動作を行う。この吸引回復動作を、キャップ70、バルブ72、負圧蓄積タンク76等を上記図示しない移動手段によってインクジェット記録ヘッド32の長手方向に移動させつつ全ての印字ユニット64に対して順次行うことにより、各インクジェット記録ヘッド32のメンテナンスが終了する。
次に、図11を参照して、本発明に特に関係する液滴イジェクタ異常回復機能の実行時におけるインクジェット記録装置12の作用を詳細に説明する。なお、図11は、液滴イジェクタ異常回復機能の実行時にCPU12Aによって実行される異常回復処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ12Dの所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、正常イジェクタテーブルTB1に各液滴イジェクタ82の正常時における固有周期が予め記憶されている場合について説明する。また、ここでは、錯綜を回避するために、1つのインクジェット記録ヘッド32のみに対する処理として説明するが、実際には、同様の処理が全てのインクジェット記録ヘッド32に対して行われる。
同図のステップ100では、測定結果テーブルTB2及び異常イジェクタテーブルTB3の記憶内容をクリアする初期設定を行い、次のステップ102にて、図12に示される測定処理ルーチン・プログラムを実行する。なお、図12は当該測定処理ルーチン・プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムもまた、メモリ12Dの所定領域に予め記憶されている。以下、測定処理ルーチン・プログラムについて説明する。
まず、ステップ200では、変数fに初期周波数(ここでは、1.0(kHz))を代入し、次のステップ202では、処理対象とするインクジェット記録ヘッド32に設けられている何れか1つの液滴イジェクタ82(以下、「処理対象イジェクタ」という。)に対して、変数fに代入されている周波数の駆動信号を印加するように駆動信号生成部90及び信号切替部92を制御する。
以上の処理によって処理対象イジェクタの圧電素子82Dには変数fに代入されている周波数の駆動信号が印加されるので、次のステップ204にて、この状態下で電圧センサ94により検出された電圧値及び電流センサ96により検出された電流値を取得し、次のステップ206にて、取得した電圧値及び電流値を測定結果テーブルTB2の該当欄に記憶する。
次のステップ208では、変数fに代入されている周波数が所定終了周波数(ここでは、300.0(kHz))に達しているか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ210に移行して、変数fの値を所定増分(ここでは、1.5(kHz))だけ増分した後に上記ステップ202に戻り、肯定判定となった時点でステップ212に移行する。上記ステップ202〜ステップ210の繰り返し処理により、一例として図9に示される測定結果テーブルTB2の処理対象イジェクタに対応する測定結果が記憶されることになる。
ステップ212では、以上の処理によって測定結果テーブルTB2に記憶された測定結果に基づいて、駆動信号の各周波数(ここでは、1.0(kHz)、2.5(kHz)、・・・、300.0(kHz))毎に電圧値と電流値の位相差を導出し、更に、次のステップ214にて、導出した各周波数毎の位相差のディップ部(瞬間低下部)を検出する。なお、本実施形態に係るインクジェット記録装置12では、上記ディップ部の検出を、上記初期周波数に対応する位相差より所定値(ここでは、当該位相差の5%に相当する値)以上小さく、かつ対応する駆動周波数が最も小さい極小点を検出することにより行っているが、これに限らず、例えば、位相差が最も小さい極小点を検出する形態等とすることもできる。
次のステップ216では、上記ステップ214の処理によって検出されたディップ部に対応する駆動周波数を測定結果テーブルTB2から読み出すと共に、処理対象イジェクタに対応する固有周期Fbを正常イジェクタテーブルTB1から読み出し、次のステップ218にて、読み出した駆動周波数の逆数を固有周期Fxとし、当該固有周期Fxと固有周期Fbの差の絶対値が所定値以上であるか否かを判定して、肯定判定となった場合は、処理対象イジェクタが、圧力発生室82Aに気泡が生じて異常な状態となっているものと見なしてステップ220に移行する。なお、本実施形態に係るインクジェット記録装置12では、上記所定値として、固有周期Fbの10%に相当する値を適用しているが、これに限るものでないことも言うまでもない。
ステップ220では、異常イジェクタテーブルTB3に処理対象イジェクタのイジェクタ番号と固有周期Fxとを対応付けて記憶し、その後にステップ222に移行する。なお、上記ステップ218において否定判定となった場合には、上記ステップ220の処理を実行することなくステップ222に移行する。
ステップ222では、処理対象としているインクジェット記録ヘッド32に設けられている全ての液滴イジェクタ82について上記ステップ200〜ステップ220の処理が終了したか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ200に戻り、肯定判定となった時点で本測定処理ルーチン・プログラムを終了する。
以上の測定処理ルーチン・プログラムの実行により、異常イジェクタテーブルTB3には、圧力発生室82Aに気泡が生じていると推定される液滴イジェクタ82の固有周期が当該液滴イジェクタ82のイジェクタ番号に対応付けられた状態で記憶されることになる。
測定処理ルーチン・プログラムが終了すると、異常回復処理プログラム(図11参照。)のステップ104に移行し、異常イジェクタテーブルTB3にイジェクタ番号が記憶されているか否かを判定することにより、測定処理ルーチン・プログラムにおいて異常と判断された液滴イジェクタ82が存在するか否かを判定して、否定判定となった場合は本異常回復処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ106に移行する。
ステップ106では、異常イジェクタテーブルTB3から全てのイジェクタ番号及び固有周期を読み出し、次のステップ108では、処理対象とするインクジェット記録ヘッド32の印字ユニット64のうち、上記ステップ106にて読み出したイジェクタ番号に対応する液滴イジェクタ82が存在する何れかの印字ユニット64(以下、「処理対象印字ユニット」という。)に対する吸引回復動作を行うようにメンテナンスユニットコントローラ12Fを制御する。
このとき、処理対象印字ユニットに存在する、上記ステップ106にて読み出したイジェクタ番号に対応する液滴イジェクタ82の圧電素子82Dを当該イジェクタ番号と共に読み出した固有周期で振動させることのできる駆動信号を、対応する液滴イジェクタ82の圧電素子82Dに所定期間(ここでは、吸引回復動作を行っている全期間)だけ印加するように記録ヘッドコントローラ12Eを制御する。ここで、処理対象印字ユニットに上記ステップ106にて読み出したイジェクタ番号に対応する液滴イジェクタ82が複数存在する場合もあるが、この場合は、当該複数の液滴イジェクタ82の各圧電素子82Dに対して、対応する固有周期で振動させることのできる駆動信号を1つずつ所定順番(ここでは、イジェクタ番号の小さい順番)で所定期間(ここでは、吸引回復動作を行っている期間を駆動信号の印加対象とする液滴イジェクタ82の数で除算して得られた期間)ずつ印加するように記録ヘッドコントローラ12Eを制御する。
次のステップ110では、処理対象印字ユニットに対する吸引回復動作の終了待ちを行い、次のステップ112にて、上記ステップ106にて読み出したイジェクタ番号に対応する液滴イジェクタ82が存在する全ての印字ユニット64に対して吸引回復動作が終了したか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ108に戻り、肯定判定となった時点で本異常回復処理プログラムを終了する。なお、上記ステップ108〜ステップ112の処理を繰り返し実行する際には、それまでに処理対象としなかった印字ユニット64を処理対象印字ユニットとする。
以上詳細に説明したように、本実施形態では、液体(ここでは、インク)が充填される圧力発生室、当該圧力発生室と連通して前記液体による液滴(ここでは、インク滴)を吐出するノズル、及び振動されることによって前記圧力発生室の体積を変化させて前記液滴を前記ノズルから吐出させるアクチュエータ(ここでは、圧電素子82D)を有する液滴イジェクタを備えた液滴吐出ヘッド(ここでは、インクジェット記録ヘッド32)と、前記ノズルに対して吸引回復動作を行う吸引回復手段(ここでは、メンテナンスユニット34)と、を備えると共に、正常時における前記液滴イジェクタの固有周期を示す基準固有周期情報(ここでは、正常イジェクタテーブルTB1の固有周期情報)を記憶手段(ここでは、メモリ12D)によって予め記憶しておき、予め定められたタイミングで前記液滴イジェクタの固有周期を測定し、測定した前記固有周期が前記記憶手段に記憶されている基準固有周期情報により示される固有周期から所定値以上離れているか否かを判定することにより前記液滴イジェクタに異常があるか否かの判定を行い、異常があると判定された場合に前記吸引回復動作を行うように前記吸引回復手段を制御すると共に、当該吸引回復動作と同時に前記測定した前記固有周期で振動するように前記アクチュエータを制御しているので、的確な固有周期でアクチュエータを振動させることができる結果、短時間で、かつ効果的に気泡を除去することができる。
また、本実施形態では、前記液滴吐出ヘッドを、前記液滴イジェクタを複数備えたものとし、前記固有周期の測定を前記液滴イジェクタ毎に行い、前記液滴イジェクタに異常があるか否かの判定を前記液滴イジェクタ毎に行い、前記アクチュエータの制御を異常があると判定された液滴イジェクタにおけるアクチュエータのみについて行うものとしているので、複数の液滴イジェクタを有する液滴吐出ヘッドにおいても、効率的に気泡を除去することができる。
特に、本実施形態では、前記液滴吐出ヘッドを、前記複数の液滴イジェクタが前記液滴の吐出先となる記録媒体の幅全体に対応するように設けられたものとしているので、このような液滴吐出ヘッドにおいても、短時間で、かつ効果的に気泡を除去することができる。
また、本実施形態では、前記アクチュエータの振動の制御を三角波により構成された駆動信号により行うものとしているので、当該駆動信号が入力される回路の故障の発生や、ノイズの発生を防止することができると共に、消費電力を抑制することができる。
また、本実施形態では、吸引回復動作を前記液滴吐出ヘッドによる液滴の不吐出時のタイミングで実行するものとしているので、記録画像の品質に対する悪影響を回避することができる。
更に、本実施形態では、前記アクチュエータを圧電素子としているので、圧電素子を用いた液滴吐出ヘッドにおいて、短時間で、かつ効果的に気泡を除去することができる。
[第2の実施の形態]
本第2実施形態では、液滴イジェクタ異常回復機能の実行時における圧電素子82Dの駆動を、測定された固有周期を含む予め定められた周期範囲内を掃引(スイープ)するように行う場合の形態例について説明する。なお、本実施形態に係るインクジェット記録装置12の構成は、インクジェット記録ヘッド32及び記録ヘッドコントローラ12Eの電気系の要部構成を除いて、上記第1実施形態に係るものと同様であるので、ここでは、まず、本実施形態に係るインクジェット記録装置12のインクジェット記録ヘッド32及び記録ヘッドコントローラ12Eの電気系の要部構成を、図13を参照しつつ説明する。なお、図13の図6と同一の構成要素には、図6と同一の符号を付して、その説明を省略する。
同図に示すように、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッド32及び記録ヘッドコントローラ12Eは、信号切替部92が設けられていない点と、電圧センサ94及び電流センサ96が液滴イジェクタ82毎に設けられている点のみが、上記第1実施形態に係るものと異なっている。なお、本第2実施形態に係る駆動信号生成部90は、一例として図14に示すような三角波で、かつ周波数が所定範囲で変化する駆動信号を生成するものとされている。
駆動信号生成部90と複数(液滴イジェクタ82の数)の電圧センサ94及び電流センサ96は、システムバスBUSを介してCPU12Aに電気的に接続されており、CPU12Aは駆動信号生成部90による駆動信号の生成状態を制御することができると共に、各電圧センサ94及び電流センサ96による検出結果(各圧電素子82Dに印加される電圧の電圧値と各圧電素子82Dを流れる電流の電流値の検出結果)を把握することができる。
次に、図15を参照して、本発明に特に関係する液滴イジェクタ異常回復機能の実行時における本第2実施形態に係るインクジェット記録装置12の作用を詳細に説明する。なお、同図の図11と同様の処理を行うステップについては図11と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
ステップ102’では、図16に示される測定処理ルーチン・プログラムを実行する。なお、図16は本第2実施形態に係る測定処理ルーチン・プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、以下、当該測定処理ルーチン・プログラムについて説明する。
まず、ステップ300では、変数fに初期周波数(ここでは、1.0(kHz))を代入し、次のステップ302では、処理対象とするインクジェット記録ヘッド32に設けられている全ての液滴イジェクタ82(以下、「全イジェクタ」という。)に対して、変数fに代入されている周波数の駆動信号を印加するように駆動信号生成部90を制御する。
以上の処理によって全イジェクタの圧電素子82Dには変数fに代入されている周波数の駆動信号が印加されるので、次のステップ304にて、この状態下で各電圧センサ94により検出された電圧値及び各電流センサ96により検出された電流値を全イジェクタ分取得し、次のステップ306にて、取得した全イジェクタ分の電圧値及び電流値を測定結果テーブルTB2の該当欄に記憶する。
次のステップ308では、変数fに代入されている周波数が所定終了周波数(ここでは、300.0(kHz))に達しているか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ310に移行して、変数fの値を所定増分(ここでは、1.5(kHz))だけ増分した後に上記ステップ302に戻り、肯定判定となった時点でステップ312に移行する。上記ステップ302〜ステップ310の繰り返し処理により、一例として図9に示される測定結果テーブルTB2の全イジェクタに対応する測定結果が記憶されることになる。
ステップ312では、以上の処理によって測定結果テーブルTB2に記憶された測定結果に基づいて、駆動信号の各周波数(ここでは、1.0(kHz)、2.5(kHz)、・・・、300.0(kHz))毎に電圧値と電流値の位相差を全イジェクタについて導出し、更に、次のステップ314にて、導出した全イジェクタの各周波数毎の位相差のディップ部(瞬間低下部)を検出する。なお、本実施形態に係るインクジェット記録装置12でも、上記ディップ部の検出を、上記初期周波数に対応する位相差より所定値(ここでは、当該位相差の5%に相当する値)以上小さく、かつ対応する駆動周波数が最も小さい極小点を検出することにより行っているが、これに限らず、例えば、位相差が最も小さい極小点を検出する形態等とすることもできる。
次のステップ316では、上記ステップ314の処理によって検出された全イジェクタのディップ部に対応する駆動周波数を測定結果テーブルTB2から読み出すと共に、全イジェクタに対応する固有周期Fbを正常イジェクタテーブルTB1から読み出し、次のステップ318にて、読み出した駆動周波数の逆数を固有周期Fxとし、当該固有周期Fxと固有周期Fbの差の絶対値が所定値以上である液滴イジェクタが存在するか否かを判定して、肯定判定となった場合は、存在すると判定された液滴イジェクタ82が、圧力発生室82Aに気泡が生じて異常な状態となっているものと見なしてステップ320に移行する。なお、本実施形態に係るインクジェット記録装置12では、上記所定値として、固有周期Fbの10%に相当する値を適用しているが、これに限るものでないことも言うまでもない。
ステップ320では、異常イジェクタテーブルTB3に上記ステップ318において存在すると判定された液滴イジェクタ82のイジェクタ番号と固有周期Fxとを対応付けて記憶し、その後に本測定処理ルーチン・プログラムを終了する。なお、上記ステップ318において否定判定となった場合には、上記ステップ320の処理を実行することなく本測定処理ルーチン・プログラムを終了する。
以上の測定処理ルーチン・プログラムの実行により、異常イジェクタテーブルTB3には、圧力発生室82Aに気泡が生じていると推定される液滴イジェクタ82の固有周期が当該液滴イジェクタ82のイジェクタ番号に対応付けられた状態で記憶されることになる。
測定処理ルーチン・プログラムが終了すると、異常回復処理プログラム(図15参照。)のステップ104に移行し、その後、ステップ108’にて、処理対象とするインクジェット記録ヘッド32の印字ユニット64のうち、上記ステップ106にて読み出したイジェクタ番号に対応する液滴イジェクタ82が存在する何れかの印字ユニット64(「処理対象印字ユニット」)に対する吸引回復動作を行うようにメンテナンスユニットコントローラ12Fを制御する。
このとき、処理対象印字ユニットに存在する、上記ステップ106にて読み出したイジェクタ番号に対応する液滴イジェクタ82の圧電素子82Dを当該イジェクタ番号と共に読み出した固有周期を含む予め定められた周期範囲(ここでは、当該固有周期を中心として±5%の範囲)内を掃引(スイープ)するように振動させることのできる駆動信号を、対応する液滴イジェクタ82の圧電素子82Dに所定期間(ここでは、吸引回復動作を行っている全期間)だけ印加するように記録ヘッドコントローラ12Eを制御する。ここで、処理対象印字ユニットに上記ステップ106にて読み出したイジェクタ番号に対応する液滴イジェクタ82が複数存在する場合もあるが、この場合は、当該複数の液滴イジェクタ82の各圧電素子82Dに対して、対応する固有周期を含む予め定められた周期範囲内を掃引するように振動させることのできる駆動信号を1つずつ所定順番(ここでは、イジェクタ番号の小さい順番)で所定期間(ここでは、吸引回復動作を行っている期間を駆動信号の印加対象とする液滴イジェクタ82の数で除算して得られた期間)ずつ印加するように記録ヘッドコントローラ12Eを制御する。
以上詳細に説明したように、本第2実施形態では、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができると共に、アクチュエータ(ここでは、圧電素子82D)の制御を測定した固有周期を含む予め定められた周期範囲内を掃引するように行っているので、より効果的に気泡を除去することができる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
例えば、上記実施形態では、異常回復処理プログラムを実行するタイミングを、ユーザによってメンテナンスユニット34による吸引回復動作の実行を指示する指示入力が行われたタイミングとした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、インクジェット記録装置12が待機状態となっているタイミングや、インクジェット記録ヘッド32により画像を記録しているときのインク滴が非吐出とされているタイミング等とする形態とすることもできる。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施形態では、インクジェット記録ヘッド32として、複数の液滴イジェクタ群からなる複数の印字ユニットが長手方向に接続されて構成されたものを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、インクジェット記録ヘッド32本体に直接複数の液滴イジェクタが配列されたものを適用する形態とすることもできる。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施形態では、異常であるものと判定された液滴イジェクタ82のみに対して固有周期で振動させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、異常であるものと判定された液滴イジェクタ82に加えて、正常であるものと判定された液滴イジェクタ82も振動させる形態とすることもできる。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記第1実施形態では、電圧センサ94及び電流センサ96を1つずつ備え、各液滴イジェクタ82の圧電素子82Dに関する電圧値及び電流値を圧電素子82D毎に順に測定する場合について説明し、上記第2実施形態では、電圧センサ94及び電流センサ96を各液滴イジェクタ82に対して1つずつ備え、各液滴イジェクタ82の圧電素子82Dに関する電圧値及び電流値を同時に測定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの形態を組み合わせた形態、例えば、複数の液滴イジェクタ82毎にグループ化し、各グループに1組ずつ電圧センサ94及び電流センサ96を設け、各グループ内で駆動信号を切り替えて電圧値及び電流値を測定する形態とすることもできる。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施形態では、固有周期を固定的に定められた駆動周波数範囲(1.0(kHz〜300.0(kHz))内で検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、各液滴イジェクタ82毎に、正常イジェクタテーブルTB1に記憶されている固有周期を中心とした比較的狭い範囲(例えば、当該固有周期を中心として±10(kHz)の範囲)で検出する形態とすることもできる。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施形態では、正常イジェクタテーブルTB1及び異常イジェクタテーブルTB3に固有周期を記憶する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、上記固有周期に代えて、当該固有周期の逆数に等しい固有周波数を記憶する形態とすることもできる。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施形態では、液滴イジェクタ82の固有周期を電圧値及び電流値の位相差に基づいて導出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、当該電圧値を当該電流値により除算することによって得られるインピーダンスに基づいて、当該インピーダンスのディップ部を上記各実施形態における位相差のディップ部と同様に導出して適用することにより上記固有周期を導出する形態とすることもできる。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施形態では、駆動信号として三角波を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、正弦波や、矩形波を適用する形態とすることもできる。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
その他、上記実施形態で説明したインクジェット記録装置12やインクジェット記録ヘッド32等の構成(図1〜図7、図13、図14参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
例えば、インクジェット記録ヘッドは長尺状のもの(所謂、FWA(Full Width Array)型のもの)には限定されず、PWA(Partial Width Array)型のインクジェット記録ヘッドとすることもできる。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施形態で説明した各種プログラムの各々の処理の流れ(図11、図12、図15、図16参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、上記実施形態で説明した各種テーブルのデータ構造(図8〜図10参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
更に、上記実施形態では、本発明の液滴としてインクを用いる場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、インクに代えて、例えば、反応液を用いることもできる。詳細には、記録媒体上でインク液滴と反応液滴とを混合することにより画質がさらに向上するため、反応液滴をノズルで吐出させる際、本発明を上記と同様に適用することができる。その他、インクジェット方法により、液晶表示素子の配向膜形成材料の塗布、フラックスの塗布、接着剤の塗布、プリント基板の配線材料の塗布、などにも本発明を上記と同様に適用することができる。