JP2007087851A - アルカリ2次電池用ニッケル電極及びアルカリ2次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製造過程において厳格な条件設定を要さず活物質の脱落が生じにくいニッケル電極の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 コバルト塩を含有する焼結式ニッケル極板の製造方法において、前記コバルト塩が含まれる含浸液にニッケル焼結基板を浸漬する第1含浸処理と、第1含浸処理の後、コバルト塩が浸漬された前記ニッケル焼結基板を乾燥する処理と、前記乾燥処理のあと、前記ニッケル焼結基板を第1アルカリ溶液に浸漬する処理と、第1アルカリ溶液に浸漬する処理に続いて、第1アルカリ溶液よりもアルカリ濃度が高い第2アルカリ溶液に前記ニッケル焼結基板を浸漬する処理を含む。
【選択図】図3
【解決手段】 コバルト塩を含有する焼結式ニッケル極板の製造方法において、前記コバルト塩が含まれる含浸液にニッケル焼結基板を浸漬する第1含浸処理と、第1含浸処理の後、コバルト塩が浸漬された前記ニッケル焼結基板を乾燥する処理と、前記乾燥処理のあと、前記ニッケル焼結基板を第1アルカリ溶液に浸漬する処理と、第1アルカリ溶液に浸漬する処理に続いて、第1アルカリ溶液よりもアルカリ濃度が高い第2アルカリ溶液に前記ニッケル焼結基板を浸漬する処理を含む。
【選択図】図3
Description
本発明は、アルカリ2次電池用焼結式ニッケル電極の製造方法に関し、特に、製造時における活物質の脱落を防止する技術に関する。
従来、動力用電源やバックアップ用電源として、正極に水酸化ニッケルを活物質とするニッケル電極を用いたニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池などのアルカリ2次電池が普及している。
このニッケル電極の一つとして、焼結式ニッケル電極が知られている。焼結式ニッケル電極は、バインダとニッケル紛とを混ぜ合わせてペースト状としたものを、ニッケルメッキ鋼鈑の表裏面上に塗布し、焼成して得られる多孔性焼結基板に、活物質を含浸により充填して作製される。すなわち、焼結基板を硝酸ニッケル水溶液等のニッケル塩溶液中に浸漬することにより基板内に前記ニッケル塩を含浸した後、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ溶液に浸漬してニッケル塩を水酸化ニッケル活物質に置換するという一連の処理を所定回繰り返して焼結基板内部に活物質を充填するものである。この焼結式ニッケル電極はニッケルによる焼結体の導電性により優れた充放電特性を有するため、アルカリ二次電池において広く用いられる。
このニッケル電極の一つとして、焼結式ニッケル電極が知られている。焼結式ニッケル電極は、バインダとニッケル紛とを混ぜ合わせてペースト状としたものを、ニッケルメッキ鋼鈑の表裏面上に塗布し、焼成して得られる多孔性焼結基板に、活物質を含浸により充填して作製される。すなわち、焼結基板を硝酸ニッケル水溶液等のニッケル塩溶液中に浸漬することにより基板内に前記ニッケル塩を含浸した後、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ溶液に浸漬してニッケル塩を水酸化ニッケル活物質に置換するという一連の処理を所定回繰り返して焼結基板内部に活物質を充填するものである。この焼結式ニッケル電極はニッケルによる焼結体の導電性により優れた充放電特性を有するため、アルカリ二次電池において広く用いられる。
これら電池においては、従来から高エネルギー密度化の要請があり、単純に焼結基板に充填する活物質量を増やす他、手段の一つとしてニッケル電極の活物質にコバルト塩を加えることにより導電性を向上させ、ニッケル活物質の利用効率を高めることにより高エネルギー密度化する方法が提案されている。
特開2000-277097
上記アルカリ溶液の濃度は、これまでの検討の結果、濃度が高いほど水酸化ニッケルや水酸化コバルトなどの活物質の含浸量が多くなることがわかっている。
活物質の状態をX線回折により調査すると、アルカリ処理濃度が高くなるにつれX線ピークの半価幅が狭くなることから、活物質の結晶状態が比較的高秩序となることにより結晶密度が高くなっているものと考えられる。
活物質の状態をX線回折により調査すると、アルカリ処理濃度が高くなるにつれX線ピークの半価幅が狭くなることから、活物質の結晶状態が比較的高秩序となることにより結晶密度が高くなっているものと考えられる。
焼結基板内に充填できる活物質量は、焼結基板内の細孔空間の体積により制限されるので、一連の含浸処理を繰り返した結果、より結晶密度の高い活物質が生成する高アルカリ濃度で処理した方が、より多くの活物質を焼結基板内に充填することができるものと思われる。よって、アルカリ処理は8mol/l程度の濃度で行うのが望ましい。
ここにいう上述のアルカリ濃度とは、溶液中に存在する水酸基イオンの濃度を意味しており、これ以降においても同じ意味とする。
ここにいう上述のアルカリ濃度とは、溶液中に存在する水酸基イオンの濃度を意味しており、これ以降においても同じ意味とする。
ところが、コバルト塩を含んだ溶液を含浸し、その後アルカリ溶液に浸漬する際に、上記程度の比較的高濃度のアルカリ溶液を用いた場合、焼結基板表面に水酸化コバルトが析出するという現象が見られた。基板表面に水酸化コバルトを析出させたまま一連の活物質の含浸処理を繰り返すと、この析出した表面の水酸化コバルト上に活物質が堆積し、結果的に基板表面に活物質による突起物が形成される。このような突起物形成は、溶液中のコバルト濃度が高いほど顕著になる。
ところで、活物質充填処理終了後の極板は表面に活物質が付着した状態にある。
このような状態のまま極板を使用すると、表面の活物質により極板厚みが厚く不均一となり、その後の電極を巻回する工程で巻きずれの原因となったり、巻回体の径が大きくなり外装缶に入らない原因となったりする。このため充填処理終了後に基板表面を金属ワイヤーブラシなどでブラッシングして表面に付着した活物質を除去しているが、この突起物が形成されることで除去する表面の活物質が多くなり、その分基板内部に残る活物質量が低下することとなった。
このような状態のまま極板を使用すると、表面の活物質により極板厚みが厚く不均一となり、その後の電極を巻回する工程で巻きずれの原因となったり、巻回体の径が大きくなり外装缶に入らない原因となったりする。このため充填処理終了後に基板表面を金属ワイヤーブラシなどでブラッシングして表面に付着した活物質を除去しているが、この突起物が形成されることで除去する表面の活物質が多くなり、その分基板内部に残る活物質量が低下することとなった。
試行錯誤の末、上述のアルカリ処理に用いる溶液の濃度を低下させることによって、水酸化コバルトの基板表面への析出は抑制されるようになったが、却って活物質の含浸量が低下するという結果となった。
本発明は上記の問題点を鑑み、水酸化コバルトの基板表面への析出を抑制するとともに、活物質の含浸量の低下を抑制することを目的とするものである。
本発明は上記の問題点を鑑み、水酸化コバルトの基板表面への析出を抑制するとともに、活物質の含浸量の低下を抑制することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、本発明のアルカリ2次電池用ニッケル電極の製造方法は、コバルト塩を含有する焼結式ニッケル極板の製造方法において、前記コバルト塩が含まれる含浸液に焼結基板を浸漬する浸漬工程と、前記浸漬工程の後、コバルト塩が浸漬された前記焼結基板を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程のあと、前記焼結基板を第1アルカリ溶液に浸漬する第1アルカリ浸漬工程と、前記第1アルカリ浸漬工程に続いて、前記第1アルカリ溶液よりもアルカリ濃度が高い第2アルカリ溶液に前記焼結基板を浸漬する第2アルカリ浸漬工程を含むことを特徴とする。
より具体的には、コバルト塩が含有されている溶液に焼結基板を浸漬して、前記コバルト塩を前記焼結基板の空孔内に含浸する工程と、前記コバルト塩が含浸された焼結基板を7mol/l以下の第1アルカリ溶液に浸漬して前記コバルト塩を水酸化コバルトに変換する第1アルカリ溶液浸漬ステップと、前記第1アルカリ溶液浸漬ステップ実行後に8mol/l以上のアルカリ溶液に浸漬する第2アルカリ溶液浸漬ステップを備えたことを特徴とする。
鋭意検討した結果、アルカリ処理を一旦コバルトが析出し難い比較的低濃度のアルカリ溶液で処理した後、次いでより高濃度のアルカリ溶液で処理することにより、基板表面へのコバルト析出と活物質含浸量の低下を抑制できることが分かった。
これは、活物質含浸量低下の要因と考えられる低結晶密度の活物質が、上記高濃度アルカリ溶液中に浸漬することにより高結晶密度状態へ変化するためであると考えられる。また、低濃度アルカリ溶液で基板表面に析出せず焼結基板内部に一旦生成した水酸化コバルトは、高濃度アルカリ溶液での処理によって改めて表面に析出することはなかった。
これは、活物質含浸量低下の要因と考えられる低結晶密度の活物質が、上記高濃度アルカリ溶液中に浸漬することにより高結晶密度状態へ変化するためであると考えられる。また、低濃度アルカリ溶液で基板表面に析出せず焼結基板内部に一旦生成した水酸化コバルトは、高濃度アルカリ溶液での処理によって改めて表面に析出することはなかった。
特に第1アルカリ溶液浸漬工程では、以下に示す実験結果により、アルカリ濃度が7mol/lを越えると水酸化コバルトの焼結基板表面への析出により活物質の脱落が大幅に増大するため、第2アルカリ溶液浸漬工程のアルカリ濃度は7mol/l以下であることが必要となる。また、第2アルカリ溶液の濃度は8mol/l以上でおよそ含浸量が飽和するので、8mol/l以上で行うのが好ましい。
(実施の形態)
本実施の形態におけるニッケル電極(以下、「ニッケル電極100」という。)は、図1に示すように、複数の孔が配されたニッケルメッキ鋼鈑101の表裏面に、多孔性の焼結体102及び焼結体103が形成され、これら焼結体の細孔に活物質が充填されてなる。
本実施の形態におけるニッケル電極(以下、「ニッケル電極100」という。)は、図1に示すように、複数の孔が配されたニッケルメッキ鋼鈑101の表裏面に、多孔性の焼結体102及び焼結体103が形成され、これら焼結体の細孔に活物質が充填されてなる。
以下、本発明に係るアルカリ2次電池用ニッケル電極の製造方法について詳細に説明する。
(ニッケル焼結基板)
図2にニッケル焼結基板200を示す。ニッケル粉末にカルボキシメチルセルロース等の増粘剤および水を混練してスラリーを調整し、このスラリーをニッケルメッキ鋼板101に塗着する。この後、スラリーを塗着したニッケルメッキ鋼板101を還元性雰囲気下で焼結し、多孔度85%のニッケル焼結基板200を作製する。
(活物質含浸工程)
図3は、活物質含浸処理を実施する工程(以下、「活物質含浸工程」という。)の詳細を示すフローチャートである。
(工程A)
まず、ニッケル焼結基板200を、硝酸コバルトと硝酸ニッケルとをモル比1:1の割合で純水に溶解し、比重を1.30に調製した温度25℃の含浸液aに浸漬する。
(ニッケル焼結基板)
図2にニッケル焼結基板200を示す。ニッケル粉末にカルボキシメチルセルロース等の増粘剤および水を混練してスラリーを調整し、このスラリーをニッケルメッキ鋼板101に塗着する。この後、スラリーを塗着したニッケルメッキ鋼板101を還元性雰囲気下で焼結し、多孔度85%のニッケル焼結基板200を作製する。
(活物質含浸工程)
図3は、活物質含浸処理を実施する工程(以下、「活物質含浸工程」という。)の詳細を示すフローチャートである。
(工程A)
まず、ニッケル焼結基板200を、硝酸コバルトと硝酸ニッケルとをモル比1:1の割合で純水に溶解し、比重を1.30に調製した温度25℃の含浸液aに浸漬する。
続いて、含浸液aに浸漬したニッケル焼結基板200を、温度80℃の雰囲気で60分間乾燥する。そして、第1アルカリ溶液(アルカリ濃度2mol/lで温度80℃の水酸化ナトリウム水溶液)に5分間浸漬し(第1アルカリ溶液浸漬ステップ)、次いで第2アルカリ溶液(アルカリ濃度8mol/lで温度80℃の水酸化ナトリウム水溶液)に30分間浸漬する(第2アルカリ溶液浸漬ステップ)。
更に、このニッケル焼結基板200を、アルカリ溶液を保持した状態のまま100℃の空気中で60分間加熱して熱処理を行い、水洗してアルカリ溶液を除去する。
(工程B)
工程Aを経たニッケル焼結基板200を、硝酸ニッケル、硝酸カドミウム及び硝酸コバルトをモル比90:5:5の割合で混合して純水中に溶解させ、当該溶液の比重を1.77に調製した温度80℃の含浸液bに30分間浸漬する。
(工程B)
工程Aを経たニッケル焼結基板200を、硝酸ニッケル、硝酸カドミウム及び硝酸コバルトをモル比90:5:5の割合で混合して純水中に溶解させ、当該溶液の比重を1.77に調製した温度80℃の含浸液bに30分間浸漬する。
続いて、含浸液bに浸漬したニッケル焼結基板200を、温度80℃の雰囲気で60分間乾燥する。次いでアルカリ溶液(濃度8mol/lで温度80℃の水酸化ナトリウム水溶液)に30分間浸漬した(第3アルカリ溶液浸漬ステップ)後、水洗を行う。
この工程Bの一連の処理を所定回数(7回)繰り返して、活物質をニッケル焼結基板200に充填する。活物質を充填したニッケル焼結基板はこの後、一旦乾燥を行う。
この工程Bの一連の処理を所定回数(7回)繰り返して、活物質をニッケル焼結基板200に充填する。活物質を充填したニッケル焼結基板はこの後、一旦乾燥を行う。
このようにして活物質を充填したニッケル焼結基板を、活物質充填極板400とする。
(工程C)
工程AおよびBで活物質充填極板400の表面に付着した汚れを除去するために、活物質充填極板表面を水で洗いながらワイヤーブラシでブラッシングを行う。続いて純水中で30秒間水洗した後、80℃の温風で60分間加熱して乾燥する。
(工程C)
工程AおよびBで活物質充填極板400の表面に付着した汚れを除去するために、活物質充填極板表面を水で洗いながらワイヤーブラシでブラッシングを行う。続いて純水中で30秒間水洗した後、80℃の温風で60分間加熱して乾燥する。
これにより、活物質充填極板400が、アルカリ2次電池の構成部品たるニッケル電極100となる。
(活物質脱落評価試験)
本実施の形態におけるアルカリ2次電池用ニッケル電極の製造方法の優位性を検証するために、活物質脱落評価試験を実施した。
(試験内容)
上述した極板の製造方法において、工程Aにおける第1アルカリ溶液の濃度を0.1mol/lから8mol/lの範囲で変化させ、一方、第2アルカリ溶液の濃度を7mol/lから9mol/lの範囲で変化させて、第1アルカリ溶液と第2アルカリ溶液の濃度の組み合わせによる27通りの方法によりニッケル電極を作製した。これら27通りのニッケル電極について、上述の工程Cを実施した前後での重量差を測定することにより、活物質の脱落量を確認した。この結果を図4に示す。
(試験結果)
図4には横軸に第1アルカリ溶液の濃度(mol/l)を示し、縦軸に極板質量に対する脱落量の割合(%)を示す。図4に示された結果からは、第1アルカリ溶液の濃度が同じであれば、第2アルカリ溶液濃度が異なっても、脱落量に殆ど差がないことが分かる。すなわち、脱落量は第1アルカリの濃度に大きく影響される。また、脱落量は第1アルカリの濃度が7mol/lと8mol/lの間で大きく増加し、7mol/l以下ではあまり変化は大きくない。よって、第1アルカリ溶液濃度は7mol/l以下とすることが望ましい。
(活物質含浸密度評価試験)
次に、工程Aにて第1アルカリ溶液のアルカリ濃度を2mol/lに固定し、第2アルカリ溶液のアルカリ濃度を7mol/l、8mol/l、9mol/lで行った場合に基板中に充填された工程B終了後の活物質密度を図5に示す。また、図5において、第1アルカリ溶液のアルカリ濃度と第2アルカリ溶液のアルカリ濃度とを共に同濃度で行った場合、すなわち、工程Aにおけるアルカリ浸漬処理が1回である従来の製造方法で、アルカリ濃度を4、7、8、9mol/lとした場合の結果も合わせて示す。
(活物質脱落評価試験)
本実施の形態におけるアルカリ2次電池用ニッケル電極の製造方法の優位性を検証するために、活物質脱落評価試験を実施した。
(試験内容)
上述した極板の製造方法において、工程Aにおける第1アルカリ溶液の濃度を0.1mol/lから8mol/lの範囲で変化させ、一方、第2アルカリ溶液の濃度を7mol/lから9mol/lの範囲で変化させて、第1アルカリ溶液と第2アルカリ溶液の濃度の組み合わせによる27通りの方法によりニッケル電極を作製した。これら27通りのニッケル電極について、上述の工程Cを実施した前後での重量差を測定することにより、活物質の脱落量を確認した。この結果を図4に示す。
(試験結果)
図4には横軸に第1アルカリ溶液の濃度(mol/l)を示し、縦軸に極板質量に対する脱落量の割合(%)を示す。図4に示された結果からは、第1アルカリ溶液の濃度が同じであれば、第2アルカリ溶液濃度が異なっても、脱落量に殆ど差がないことが分かる。すなわち、脱落量は第1アルカリの濃度に大きく影響される。また、脱落量は第1アルカリの濃度が7mol/lと8mol/lの間で大きく増加し、7mol/l以下ではあまり変化は大きくない。よって、第1アルカリ溶液濃度は7mol/l以下とすることが望ましい。
(活物質含浸密度評価試験)
次に、工程Aにて第1アルカリ溶液のアルカリ濃度を2mol/lに固定し、第2アルカリ溶液のアルカリ濃度を7mol/l、8mol/l、9mol/lで行った場合に基板中に充填された工程B終了後の活物質密度を図5に示す。また、図5において、第1アルカリ溶液のアルカリ濃度と第2アルカリ溶液のアルカリ濃度とを共に同濃度で行った場合、すなわち、工程Aにおけるアルカリ浸漬処理が1回である従来の製造方法で、アルカリ濃度を4、7、8、9mol/lとした場合の結果も合わせて示す。
従来の製造方法のように第1アルカリ溶液のアルカリ濃度と第2アルカリ溶液のアルカリ濃度とを同濃度でアルカリ浸漬処理を行った場合、上述したようにアルカリ濃度が高いほど含浸密度が高くなり、8mol/l以上ではほぼ一定となる。
一方、第1アルカリ溶液のアルカリ濃度を2mol/lと低くし、第2アルカリ溶液のアルカリ濃度を高くした場合であっても、第2アルカリの濃度が同じであれば、上記従来の製法と同様の含浸密度が得られた。これは、第1アルカリ浸漬処理で生成した低密度の活物質が第2アルカリ浸漬処理で高密度の状態に変化したためであると考えられる。また、この場合においても第2アルカリ溶液のアルカリ濃度が8mol/lで含浸密度はほぼ飽和した。よって、第2アルカリ溶液のアルカリ濃度は8mol/l以上であることが望ましい。
(その他)
本願発明は上記実施の形態に限るものではなく、例えば上記工程Bにおいても工程Aと同様のアルカリ浸漬工程としてもよい。本発明は、焼結基板に活物質を充填する一連のプロセスにおいて、いずれかの段階でコバルトを含む含浸液を含浸する場合には、適用可能である。
一方、第1アルカリ溶液のアルカリ濃度を2mol/lと低くし、第2アルカリ溶液のアルカリ濃度を高くした場合であっても、第2アルカリの濃度が同じであれば、上記従来の製法と同様の含浸密度が得られた。これは、第1アルカリ浸漬処理で生成した低密度の活物質が第2アルカリ浸漬処理で高密度の状態に変化したためであると考えられる。また、この場合においても第2アルカリ溶液のアルカリ濃度が8mol/lで含浸密度はほぼ飽和した。よって、第2アルカリ溶液のアルカリ濃度は8mol/l以上であることが望ましい。
(その他)
本願発明は上記実施の形態に限るものではなく、例えば上記工程Bにおいても工程Aと同様のアルカリ浸漬工程としてもよい。本発明は、焼結基板に活物質を充填する一連のプロセスにおいて、いずれかの段階でコバルトを含む含浸液を含浸する場合には、適用可能である。
また、上記実施の形態において、工程Aにおける熱処理はなくても本発明の効果に影響を及ぼさない。
本発明にかかるアルカリ2次電池用ニッケル電極の製造方法及びアルカリ2次電池の製造方法は、携帯電話、デジタルカメラ及びパソコンなどを駆動するバッテリーに利用することが可能である。
100 ニッケル電極
101 ニッケルメッキ鋼鈑
102 ニッケル焼結体
103 ニッケル焼結体
200 ニッケル焼結基板
202 ニッケル焼結体
203 ニッケル焼結体
400 活物質充填極板
101 ニッケルメッキ鋼鈑
102 ニッケル焼結体
103 ニッケル焼結体
200 ニッケル焼結基板
202 ニッケル焼結体
203 ニッケル焼結体
400 活物質充填極板
Claims (2)
- コバルト塩を含有する焼結式ニッケル極板の製造方法において、
前記コバルト塩が含まれる含浸液に焼結基板を浸漬する浸漬工程と、
前記浸漬工程の後、コバルト塩が浸漬された前記焼結基板を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程のあと、前記焼結基板を第1アルカリ溶液に浸漬する第1アルカリ浸漬工程と、
前記第1アルカリ浸漬工程に続いて、前記第1アルカリ溶液よりもアルカリ濃度が高い第2アルカリ溶液に前記焼結基板を浸漬する第2アルカリ浸漬工程を含むことを特徴とする焼結式ニッケル極板の製造方法。 - 前記第1アルカリ溶液のアルカリ濃度が7mol/l以下であり、
前記第2アルカリ溶液のアルカリ濃度が8mol/l以上であることを特徴とする請求項1に記載の焼結式ニッケル極板の製造方法。
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