JP2007086096A - トナー、トナーの製造方法、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、結着樹脂と、着色剤とを含有し、表面に帯電制御剤を湿式外添して得られるトナーであって、前記トナーは、水系媒体中で造粒して得られるトナーであり、前記結着樹脂は、カルボキシル基末端を有する樹脂を含有し、前記帯電制御剤の少なくとも一種は、非金属陽イオン基を有する化合物であり、前記トナーは、水系媒体中で造粒して得られたトナー母体粒子に、前記帯電制御剤を湿式外添した後の脱水ろ過後、乾燥前のトナーケーキの含水率が、35質量%以下であることを特徴とするトナーである。
【選択図】なし
Description
この方法による場合、混練組成物(トナー)を所望の粒子径にするために分級工程を必要とし、トナーの収率が低下する。特に、高画質の画像を得るためには粒子径は5〜7μm程度が望まれるが、粉砕法でこの領域のトナーを得るためにはトナーの収率が著しく低下するため、小粒子径トナーを得る方法としては実用的でない。
この方法は、重合性単量体、重合開始剤、着色剤及びトナー構成成分を水性分散媒中に懸濁させその後、重合反応を行って、直接的にトナーを製造する方法である。このこの方法により得られるトナーは製造方法が簡略であり、特許文献3に記載されているように、水性分散媒中の分散安定剤に無機微粒子等を高分子分散安定剤と併用して用いることにより、分級を必要としない粒子径分布が割合整ったトナーを得ることが出来る。
そこで、上記のような機械的エネルギーにより帯電制御剤を固着させる方法の不具合を回避する手法として、例えば、特許文献9に記載のような、液中で帯電付与の表面処理を施す方法がある。
しかし、用いた分散剤が強くトナー粒子表面に吸着し、後の洗浄操作によっても除去が困難であり、それに伴って、トナーの帯電性が、用いた分散剤によって大きく支配されてしまう弊害があった。従って、得られるトナーの平均帯電レベルは低く、帯電速度も緩慢で、また湿度の影響を強く受けてしまうものであった。
しかし、上記特許文献9及び特許文献12では、湿式で帯電制御剤を施すこととしているため、帯電制御剤を外添した後に、トナー中に含まれる水分を乾燥させる必要がある。この乾燥時間が異なることで、乾燥後のトナーの帯電特性がばらつき、得られる画像に地汚れ等の不具合が生じてくる。
1.本発明は、少なくとも、結着樹脂と、着色剤とを含有し、表面に帯電制御剤を湿式外添して得られるトナーであって、前記トナーは、水系媒体中で造粒して得られるトナーであり、前記結着樹脂は、カルボキシル基末端を有する樹脂を含有し、前記帯電制御剤の少なくとも一種は、非金属陽イオン基を有する化合物であり、前記トナーは、水系媒体中で造粒して得られたトナー母体粒子に、前記帯電制御剤を湿式外添した後の脱水ろ過後、乾燥前のトナーケーキの含水率が、35質量%以下であることを特徴とするトナーである。
2.また、本発明のトナーは、1.に記載の発明において、前記帯電制御剤の非金属陽イオンは、アンモニウムイオンであることが好ましい。
3.また、本発明のトナーは、1.又は2.に記載の発明において、前記帯電制御剤は、含フッ素4級アンモニウム塩化合物であることが好ましい。
4.また、本発明のトナーは、1.ないし3.のいずれかに記載の発明において、前記結着樹脂は、ポリエステル系樹脂を含有することが好ましい。
5.また、本発明のトナーは、1.ないし4.のいずれかに記載の発明において、前記結着樹脂の酸価は、10〜45KOHmg/gであることが好ましい。
6.また、本発明のトナーは、1.ないし5.のいずれかに記載の発明において、前記水系媒体は、有機樹脂微粒子を含有することが好ましい。
7.また、本発明のトナーは、6.に記載の発明において、前記有機樹脂微粒子は、末端にカルボキシル基を有することが好ましい。
8.また、本発明のトナーは、1.ないし7.のいずれかに記載の発明において、平均円形度が0.90〜0.98であることが好ましい。
9.また、本発明のトナーは、1.ないし8.のいずれかに記載の発明において、体積平均粒径が3.0〜8.0μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。
10.また、本発明のトナーは、1.ないし9.のいずれかに記載の発明において、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることが好ましい。
11.また、本発明のトナーは、1.ないし10.のいずれかに記載の発明において、少なくとも、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、ポリエステル、着色剤、無機酸化物微粒子を有機媒体中にそれぞれ溶解又は分散させたトナー組成物を、樹脂微粒子を含有する水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られることが好ましい。
12.また、本発明のトナーは、1.ないし11.のいずれかに記載の発明において、前記トナーは、磁性体を含有することが好ましい。
13.また、本発明のトナーは、1.ないし11.のいずれかに記載の発明において、前記トナーは、樹脂で被覆された磁性キャリアと混合させて用いることが好ましい。
15.また、本発明のトナーの製造方法は、14.に記載の発明において、前記トナーケーキを乾燥する工程の乾燥時間は、60時間以下であることが好ましい。
16.また、前記トナーの製造方法は、更に2.ないし13.のいずれかに記載のトナーを製造するトナーの製造方法であることが好ましい。
18.また、前記画像形成装置は、更に2.ないし13.のいずれかに記載のトナーを使用する画像形成装置であることが好ましい。
湿式処理とは、例えば、トナー母体粒子を分散させた液中に帯電制御剤の分散液を添加して、液中でトナー母体粒子表面に帯電制御剤を付着させることにより、トナー母体粒子表面に均一に帯電制御剤を付着させる方法であり、トナー母体粒子表面に機械的に帯電制御剤を付着させる乾式外添処理と比べ、帯電制御剤を均一に付着させることができる。
本発明においては、帯電制御剤として、非金属陽イオンを有する化合物を使用することで、湿式処理を行う液中で、結着樹脂中に含まれる樹脂中のカルボキシル基と、非金属陽イオンとが相互作用して結合を形成することにより、トナー表面での帯電制御剤の付着性が向上される。
また、これに加えて、本発明のトナーは、上記湿式処理により帯電制御剤を付着し、脱水ろ過した後、乾燥工程前におけるトナーケーキの含水率を、35質量%以下とする。これにより、乾燥工程前におけるトナー母体粒子表面の帯電制御剤の付着性を良好なものとすることができるとともに、乾燥時間を一定時間以下とすることができるため、帯電制御剤の脱離等が防止され、トナーの帯電性能を向上させることができる。
油溶性重合開始剤、重合性単量体中に着色剤、離型剤等を分散し、界面活性剤、その他固体分散剤等が含まれる水系媒体中で後に述べる乳化法によって乳化分散する。その後重合反応を行い粒子化した後に、本発明におけるトナー粒子表面に帯電制御剤を付着させる湿式処理を行えば良い。その際、余剰にある界面活性剤等を洗浄除去したトナー粒子に処理を施すことが好ましい。
重合性単量体としてアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのアミノ基を有すアクリレート、メタクリレートなどを一部用いることによってトナー粒子表面に官能基を導入できる。
また、使用する分散剤として酸基や塩基性基を有すものを選ぶことよって粒子表面に分散剤を吸着残存させ、官能基を導入することができる。
水溶性重合開始剤、重合性単量体を水中で界面活性剤を用いて乳化し、通常の乳化重合の手法によりラテックスを合成する。別途着色剤、離型剤等を水系媒体中分散した分散体を用意し、混合の後にトナーサイズまで凝集させ、加熱融着させることによりトナーを得る。その後に後述する帯電制御剤の湿式処理を行えば良い。ラテックスとして懸濁重合法に使用されうる単量体と同様なものを用いればトナー粒子表面に官能基を導入できる。
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー組成物の油相には、樹脂、プレポリマー、顔料等の着色剤、離型剤、帯電制御剤等を揮発性溶剤に溶解又は分散する。
水系媒体中に、トナー組成物からなる油相を界面活性剤、固体分散剤等の存在下で分散させ、プレポリマーの反応を行わせて粒子化する。その後に後述する帯電制御剤の湿式処理を行えば良い。
トナー粒子に官能基を導入するには、懸濁重合法で用いた官能基を有する単量体との共重合体や、ポリエステル樹脂の場合には酸の単量体として酸基の官能基を3以上有するものを用いたり、得られたポリエステル樹脂の末端の水酸基をさらに複数の酸基を有する化合物によりエステル化することによって得ることができる。また、後に述べる水系媒体中での分散安定剤として、酸基を有する界面活性剤や極性高分子、有機、無機樹脂微粒子を用い、トナー粒子表面に残存させ酸基を導入することができる。酸基としてはカルボキシル基、スルホン基、スルホン酸基、りん酸基などがあげられる。
これらいずれのトナー製造法に共通して、湿式で帯電制御剤の付着処理を施すことができる。トナー粒子が水中で形成され、用いた界面活性剤等を洗浄によって除去した後に、本工程を行うのが好ましい。水中に存在している余剰の界面活性剤をろ過、遠心分離などの固液分離操作をして除去し、得られたケーキ、スラリーを水系媒体中に再分散する。
その後、帯電制御剤として用いられる化合物を分散させた水溶液を、攪拌下徐々に添加する。
帯電制御剤は通常粉体の形態であるが、水系媒体または水/アルコールの混合媒体中で、溶解体または微粒子分散体を得ることができる。本発明において、帯電制御剤として好ましく用いられる化合物は、下記に詳述する。
この、帯電制御剤として用いられる化合物は、トナー粒子固形分に対し0.01〜1重量%使用することができる。
構造式(1)において、sは、1以上の整数を表し、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。
また、R2〜R4は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、又は炭化水素基を表す。該炭化水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、などが挙げられる。これらは、置換基で更に置換されていてもよい。
アルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−デシル基、イソデシル基、などが挙げられ、これらは置換基で更に置換されていてもよい。前記アルケニル基としては、炭素数2〜10のものがより好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、などが挙げられ、これらは置換基で更に置換されていてもよい。前記アリール基としては、炭素数6〜24のものがより好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、スチリル基、メシチル基、シンナミル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、などが挙げられ、これらは置換基で更に置換されていてもよい。
ましい。ポリエステル樹脂は、スチレンアクリル樹脂に比べて、低分子量化が容易であ
り、低温定着性に優れており、省エネルギー化に対して好ましく、また、ポリエステル樹脂が有する末端カルボキシル基が、上記帯電制御剤に含まれる陽イオンと相互作用することができるため、トナー表面の帯電制御剤の付着性を向上させることができる。
さらに、有機溶媒組成物中の、結着樹脂の酸価は、10〜45KOHmg/gの範囲であることが好ましい。結着樹脂の酸価が上記範囲内にあることで、帯電制御剤の陽イオンとの相互作用を効果的に得ることができ、また、紙への接着性を良好なものとすることができる。トナーの酸価が10KOHmg/g未満であると、水系媒体中において、帯電制御剤との相互作用が十分に得られず、トナー母体粒子表面への帯電制御剤の付着性が不十分となる。また、得られるトナーの紙への接着性が低下し、良好な画像が得られない。また、酸価が45KOHmg/gを超えると、乳化時の系内安定性が増してしまい、微粒子の合着が進まなくなるため、シャープな粒度分布のトナーが得難くなる。
本発明の酸価の測定方法は、JIS K0070に準拠した方法による。
但しサンプルが溶解しない場合は、溶媒にジオキサン又はTHF等の溶媒を用いる。
合によって通常得られるものである。
アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1.4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。また、カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体を含有し、水系媒体中で造粒
する際に活性水素基を有する化合物と反応させる高分子量化工程を含むことが好ましい。
本発明に係るトナーは、その母体粒子が、例えば以下のような原料、並びに製造方法によって製造される。
本発明に係るトナーは結着樹脂として変性ポリエステル(i)を含む。変性ポリエステル(i)としては、ポリエステル樹脂中にエステル結合以外の結合基が存在したり、またポリエステル樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合などで結合した状態をさす。具体的には、ポリエステル末端に、カルボン酸基、水酸基と反応するイソシアネート基などの官能基を導入し、さらに活性水素含有化合物と反応させ、ポリエステル末端を変性したものを指す。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
変性ポリエステル(i)を得るためのポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
本発明においては、前記変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、未変性ポリエステル(ii)を結着樹脂成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様な多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、結着樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
離型剤はマスターバッチ、バインダ樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、本発明の水系媒体には、より、帯電付与のための表面処理剤(帯電制御剤)を固定させるために、有機樹脂微粒子が含まれることが好ましい。有機微粒子は水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。有機微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。洗浄除去するためには、水性分散体を遠心分離器、スパクラフィルター及び/又はフィルタープレス等により固液分離し、得られた樹脂粒子に水を加えて同様に固液分離することを繰り返す方法等が挙げられる。また、有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。この際、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモルフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
具体的には、帯電制御剤を外添した後のトナー母体粒子を含むスラリーを、脱水ろ過により固液分離を行った後、乾燥前のトナーケーキの含水率を、35質量%以下とすることが好ましい。本発明において、トナーケーキとは、トナー粒子表面に、帯電制御剤の湿式外添を行った後、脱水ろ過して得られるウエットケーキ状のものを指す。
乾燥される前の(トナーケーキの)含水率が、上記範囲を超えると、乾燥工程において、トナーの帯電性能の劣化の割合が大きくなる。このメカニズムは明確でないが、乾燥工程に付される前のトナーケーキ中の水分量が多いと、この水分が、トナー母体粒子表面のカルボキシル基と、帯電制御剤に含まれる非金属陽イオンとの結合に作用し、両者の結合力が弱まって、乾燥工程において、帯電制御剤がトナー粒子表面から外れやすくなる現象が起こっていると考えられる。また、トナーケーキの含水率が多いと、乾燥に要する時間が長くなるため、このことからも、更に帯電制御剤がトナー母体粒子表面から外れやすくなり、得られるトナー表面において、充分な帯電制御剤付着量が得られず、安定した帯電性を有するトナーが得られない。
上記含水率は、より好ましくは、30%以下、更に好ましくは25%以下である。
乾燥に用いる設備としては、流動層式乾燥機、減圧乾燥機及び循風乾燥機等公知の設備を用いて行うことができる。また、必要に応じ、風力分級器又はふるい等を用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。
本発明においては、特に、気流下あるいは減圧下で機械的に混合しながら乾燥させる方法が好ましい。気流下で機械的に混合しながら乾燥させる装置としては、アグロマスター(ホソカワミクロン社)、スピンフラッシュドライヤー(マツボー社)等がある。また、減圧下で機械的に混合させながら乾燥させる装置としては、フィルタードライヤー(タナベウィルテック社)、SVミキサー(神鋼パンテック社)、コニカルブレンダードライヤー(日本乾燥機社)等がある。気流により乾燥する場合の気流量(風量)は、大きいほど乾燥が促進されて好ましいが、微粒子が飛散しない程度に抑えることが好ましい。
乾燥工程における最適な温度、風量、減圧度等は、乾燥工程に使用する装置の形状、機構、大きさ等により異なるため、適宜最適化して用いることができる。
乾燥工程に供されるトナーケーキの含水率を、上記範囲内とすることで、乾燥工程に要する時間を、60時間以下とすることができる。乾燥時間が60時間を超えると、トナー表面に付着させた帯電制御剤の脱離が起こりやすくなり、乾燥後のトナーが、充分な帯電量を有するものとすることができない。
帯電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
帯電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
<円形度および円形度分布>
本発明のトナーは特定の形状と形状の分布を有すことが重要であり、平均円形度が0.90未満で、球形からあまりに離れた不定形の形状のトナーでは、満足した転写性やチリのない高画質画像が得られない。なお形状の計測方法としては粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である平均円形度が0.90〜0.98、好ましくは0.975〜0.900のトナーが適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのに有効である事が判明した。より好ましくは、平均円形度が0.970〜0.950で円形度が0.94未満の粒子が15%以下である。また、平均円形度が0.975以上の場合、ブレードクリーニングなどを採用しているシステムでは、感光体上および転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れを引き起こす。例えば、画像面積率の低い現像・転写では転写残トナーが少なく、クリーニング不良が問題となることはないが、カラー写真画像など画像面積率の高いもの、さらには、給紙不良等で未転写の画像形成したトナーが感光体上に転写残トナーとして発生することがあり、蓄積すると画像の地汚れを発生してしまう。また、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまう。
トナー、トナー粒子及び外添剤のフロー式粒子像分析装置による測定は、例えば、東亜医用電子社(株)製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000を用いて測定することができる。
測定は、フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として10-3cm3 の水中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下の水10ml中にノニオン系界面活性剤(好ましくは和光純薬社製コンタミノンN)を数滴加え、更に、測定試料を5mg加え、超音波分散器STM社製UH−50で20kHz,50W/10cm3 の条件で1分間分散処理を行い、さらに、合計5分間の分散処理を行い測定試料の粒子濃度が4000〜8000個/10-3cm3 (測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定する。
試料分散液は、フラットで偏平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。
約1分間で、1200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、表1に示す通り、0.06−400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行う。
(Dv/Dn)
本発明の画像形成用トナーは、体積平均粒径(Dv)が3.0〜8.0μmであり、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40であることが好ましい。このような粒径及び粒径分布を有するトナーとすることにより、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の優れた光沢性が得られる。
一般的には、トナーの粒径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得る為に有利であると言われているが、逆に転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、本発明の範囲よりも体積平均粒径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌において磁性キャリアの表面にトナーが融着し、磁性キャリアの帯電能力を低下させ、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。
逆に、トナーの体積平均粒径が本発明の範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなる場合が多い。
また、Dv/Dnが1.40を超えると、帯電量分布が広くなり、解像力も低下するため好ましくない。
以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
また、本発明のトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、SF−2が100〜180の範囲にあるトナーであることが好ましい。図1は形状係数SF−1を、図2は形状係数SF−2を、それぞれ説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
SF−1は、さらに好ましくは110〜170、より好ましくは120〜160、特に好ましくは130〜150である。SF−2は、さらに好ましくは110〜170、より好ましくは120〜160、特に好ましくは130〜150である。
形状係数SF−1、SF−2は、先にも示したように下記式(1)、(2)で表される。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(2)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。また、SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数SF−1は、電子顕微鏡(例えば、日立製作所製FE−SEM(S−800)等が挙げられ、以下同様である。)を用い倍率500倍に拡大したトナー粒子の像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介して画像解析装置[例えば、nexus NEW CUBE ver.2.5(NEXUS社製)及びLuzexIII(ニコレ社製)等が挙げられ、以下同様である。]に導入し解析を行い、式(1)より算出し得られた値である。
形状係数SF−2は、電子顕微鏡を用い倍率3500倍に拡大したトナー粒子の像を50個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介して画像解析装置に導入し解析を行い、式(2)より算出し得られた値である。
本発明のトナーは、磁性キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。またポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂及びスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、及びシリコーン樹脂等が使用できる。また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、本発明のトナーはキャリアを使用しない一成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
使用できる混合設備の例としては、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。
図3は、本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図中符号100は複写装置本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写装置本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。
複写装置本体100には、潜像担持体としての感光体40の周囲に帯電、現像、クリーニング等の電子写真プロセスを実行する各手段を備えた画像形成手段18を、4つ並列にしたタンデム型画像形成装置20が備えられている。タンデム型画像形成装置20の上部には、画像情報に基づいて感光体40をレーザー光により露光し潜像を形成する露光装置21が設けられている。また、タンデム型画像形成装置20の各感光体40と対向する位置には、無端状のベルト部材からなる中間転写ベルト10が設けられている。中間転写ベルト10を介して感光体40と相対する位置には、感光体40上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト10に転写する一次転写手段62が配置されている。
また、中間転写ベルト10の下方には、中間転写ベルト10上に重ね合わされたトナー像を、給紙テーブル200より搬送されてくる転写紙に一括転写する二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22は、2つのローラ23間に、無端ベルトである二次転写ベルト24を掛け渡して構成され、中間転写ベルト10を介して支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写ベルト10上のトナー像を転写紙に転写する。二次転写装置22の脇には、転写紙上の画像を定着する定着装置25が設けられている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
上述した二次転写装置22は、画像転写後の転写紙をこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えている。もちろん、二次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
なお、図示例では、二次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、転写紙の両面に画像を記録すべく転写紙を反転する反転装置28を備える。
初めに、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする、または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第一走行体33および第二走行体34を走行する。そして、第一走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第二走行体34に向け、第二走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と二次転写装置22との間にシートを送り込み、二次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
一方、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
なお、下記において「部」は重量部を、「%」は重量%を意味する。
以下に、本発明の「少なくともバインダ樹脂、着色剤からなるトナー組成物を、有機溶剤に溶解または分散させ、前記溶解物または分散物を水系媒体中で乳化分散させて乳化粒子を形成し、前記乳化粒子に帯電制御剤を外添してトナー母体粒子を得、前記トナー母体粒子を含むトナーケーキを脱水ろ過した後、乾燥させて得られるトナーであって、
前記トナーケーキの、脱水ろ過後、乾燥前の含水率が、35質量%以下である
ことを特徴とする」トナーを具体的に製造することについて、順を追って説明する。
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン80部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、チオグリコール酸ブチル12部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液を得た。これを、[微粒子分散液1]とする。該[微粒子分散液1]をレーザー回折式粒度分布測定器(LA−920 島津製)で測定した体積平均粒径は、120nmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは42℃であり、重量平均分子量は3万であった。
水990部、[微粒子分散液1]65部、ドデシルジフェニルェーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノール MON−7):三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量2500、重量平均分子量6700、Tg43℃、酸価25であった。
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応し[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価51であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、前記[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行ない、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。
水1200部、カーボンブラック(キャボット社製、リーガル400R)40部、ポリエステル樹脂(三洋化成製、RS801)60部を、さらには水30部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ1]を得た。
撹拌棒および温度計をセットした容器に、前記[低分子ポリエステル1]400部、カルナバワックス110部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1Kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、ワックスの分散を行なった。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・ワックス分散液1]を得た。[顔料・ワックス分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
[顔料・ワックス分散液1]648部、[プレポリマー1]を154部、[ケチミン化合物1]8.5部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数10000rpmで20分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
すなわち、樹脂微粒子を含む水系媒体中で分散させると共に伸長反応が行なわれる。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行ない、[分散スラリー1]を得た。
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液1OO部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い、ケーキ状物を得た。これを、[濾過ケーキ1]とする。
[濾過ケーキ1]に、水90部に対して[濾過ケーキ1]15部を加えて、これに、一般式(1)の化合物であるN,N,N,−トリメチル−[3−(4−ペルフルオロノネニルオキシベンズアミド)プロピル]アンモニウム=ヨージド(フタージェント310:ネオス社製)を0.0005部分散させることで、トナー粒子表面にフッ素化合物を付着させた後、遠心脱水装置により、濾過する操作を行い、ケーキ状物を得た。これを、[濾過ケーキ2]とする。[濾過ケーキ2]の含水率は、33重量%であった。
含水率測定は、[濾過ケーキ2]の一部をサンプリングし、150℃で40分の乾燥前後の重量より算出した。乾燥装置は、Kett600を使用した。
上記含水率の[濾過ケーキ2−1]を、循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体粒子を得た。これを、[トナー母体粒子1]とする。
上記で得られた[トナー母体粒子1]100部に対して、外添剤として疎水性シリカ0.7部と、疎水化酸化チタン0.3部をヘンシェルミキサーにて混合処理し、トナーを得た。これを、[トナー1]とする。該[トナー1]の各物性値については、表1に一覧を示した。
[トナー1]5重量%、およびシリコーン樹脂を被覆した平均粒子径が40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95重量%からなるニ成分現像剤を調製した。該現像剤を使用して、毎分A4サイズの用紙を45枚印刷できるリコー製imagio Neo 450を用いて、連続印刷して下記の評価方法で評価し、得られた評価結果を表2に示した。
実施例1のフッ素処理後の脱水工程において、フィルタープレス脱水装置により、濾過する操作を行い、ケーキ状物を得た。これを、[濾過ケーキ2]とする。[濾過ケーキ2]の含水率は、38重量%であったこと以外は、実施例1と同様にして[トナー2]を得た。
含水率の測定は、実施例1と同様にして行った。
該[トナー2]の各物性値については、表1に一覧を示した。
更に、実施例1と同様にして、[トナー2]と銅−亜鉛フェライトキャリアを用いて二成分現像剤を調製して二成分現像剤を調製し、この現像剤を使用して、実施例1と同様の評価方法で評価を行った。得られた評価結果を表2に示す。
(評価項目)
(1)体積平均粒径、および(Dv/Dn)の測定
トナーの粒径は、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」を用い、アパーチャー径100μmで測定した。体積平均粒径および個数平均粒径は上記粒度測定器により求めた。(Dv/Dn)は上記の値より自動的に算出した。
(2)平均円形度
フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)により平均円形度として計測できる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られる。
(3)トナー母体粒子中のフッ素含有量とトナー母体粒子の表面に存在している無機微粒子含有量の測定
本発明におけるトナー母体粒子中のフッ素含有量及びトナー母体粒子の表面に存在している無機微粒子含有量は以下の手法で測定することができる。ここでは特にトナー表面数nm程度の極表面の領域となる。
装置は、XPS(X線光電子分光法)法を用いた。測定方法、装置種類、条件等は同様な結果が得られるのであれば特に制限されないが、以下の条件がより好ましい。
装置;PHI社製1600S型X線光電子分光装置
X線源;MgKα(400W)
分析領域;0.8×2.0mm
前処理;試料はアルミ皿内に詰め、表面を平滑にして測定した。
表面原子濃度算出;PHI社提供の相対感度因子を用いた。
また、得られる結果はatomic%(原子個数%)である。
また、トナー母体粒子の表面に存在している無機微粒子含有量の測定で、用いる無機微粒子が2種類以上の場合は、それぞれ無機微粒子由来の元素濃度の総和を、求める分析値とした。
(4)帯電量
現像剤6gを計量し、密閉できる金属円柱に仕込みブローして帯電量を求める。トナー濃度は4.5〜5.5wt%に調整する。
(5)クリーニング性
評価機Aを用い、100枚出力後の清掃工程を通過した感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム(株)製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、ブランクとの差が0.005未満のものを◎、0.005〜0.010のものを○、0.011〜0.02のものを△、0.02を超えるものを×として評価した。
(6)画像濃度
評価機Aを用い、単色モードで50%画像面積の画像チャートを150,000枚ランニング出力した後、ベタ画像をリコー社製6000ペーパーに画像出力後、画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)により測定を行なった。これを4色単独に行ない平均を求めた。この値が、1.2未満の場合は×、1.2以上1.4未満の場合は△、1.4以上1.8未満の場合は○、1.8以上2.2未満の場合は◎とした。
(7)画像粒状性、鮮鋭性
評価機Bを用い、単色で写真画像の出力を行ない、粒状性、鮮鋭性の度合を目視にて評価した。良好なものから◎、○、△、×で評価した。◎はオフセット印刷並、○はオフセット印刷よりわずかに悪い程度、△はオフセット印刷よりかなり悪い程度、×は従来の電子写真画像程度で非常に悪い。
(8)地肌汚れ
評価機Aを用い、単色モードで50%画像面積の画像チャートを30,000枚ランニング出力した後、白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上の現像剤をテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差を938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定を行なった。画像濃度の差が少ない方が地肌汚れが良く、×、△、○、◎の順にランクが良くなる。
(9)文字画像内部の白抜け
評価機Aを用い、単色モードで50%画像面積の画像チャートを30,000枚ランニング出力した後、文字部画像をリコー社製タイプDXのOHPシートに4色重ねて出力させ、文字部の線画像内部が抜けるトナー未転写頻度を段階見本と比較した。ランク1が最低、ランク5が最高である。ランク1または2の場合は×、ランク3の場合は△、ランク4の場合は○、ランク5の場合は◎とした。
(10)トナー流動性
パウダーテスター(PT−N型、ホソカワミクロン製)に、上から順に目開き75μm、45μm、22μmのメッシュを重ねて装填し、トナー母体を一番上側の75μmメッシュ上に2g入れ、縦方向に1mmの振動を10秒間与え、各メッシュ上のトナー残存量からトナー母体の流動性(凝集度)を算出した。
凝集度(%)=(5×(75μmメッシュ上の残トナー量(g))
+3×(45μmメッシュ上の残トナー量(g))
+(22μmメッシュ上の残トナー量(g)))×10
凝集度が8%以下の場合は◎、8〜16%の場合は○、16〜25%の場合は△、25%以上の場合は×とした。
(11)定着性
評価機Aを用い、普通紙及び厚紙の転写紙(リコー製、タイプ6200及びNBSリコー製複写印刷用紙<135>)にベタ画像で、0.85±0.1mg/cm2のトナー付着量で定着評価した。定着ベルトの温度を変化させて定着試験を行ない、普通紙でホットオフセットの発生しない上限温度を定着上限温度とした。また厚紙で定着下限温度を測定した。定着下限温度は、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。定着上限温度は190℃以上の場合は◎、190〜180℃の場合は○、180〜170℃の場合は△、170℃以下の場合は×とした。また、定着下限温度は135℃以下の場合は◎、135〜145℃の場合は○、145〜155℃の場合は△、155℃以上の場合は×とした。
一方、比較例1のトナーは、表1から分かるように、トナー表面におけるフッ素含量が、実施例1のトナーより少なくなっており、表2において、トナーの帯電性が低下し、地汚れ等の異常画像の発生が見られた。
10 中間転写ベルト(中間転写体)
18 画像形成手段
21 露光装置
25 定着装置
40 感光体(潜像担持体)
22 二次転写装置
62 一次転写手段
100 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
Claims (19)
- 少なくとも、結着樹脂と、着色剤とを含有し、表面に帯電制御剤を湿式外添して得られるトナーにおいて、
前記トナーは、水系媒体中で造粒して得られるトナーであり、
前記結着樹脂は、カルボキシル基末端を有する樹脂を含有し、
前記帯電制御剤の少なくとも一種は、非金属陽イオン基を有する化合物であり、
前記トナーは、水系媒体中で造粒して得られたトナー母体粒子に、前記帯電制御剤を湿式外添した後の脱水ろ過後、乾燥前のトナーケーキの含水率が、35質量%以下である
ことを特徴とするトナー。 - 請求項1に記載のトナーにおいて、
前記帯電制御剤の非金属陽イオンは、アンモニウムイオンである
ことを特徴とするトナー。 - 請求項1又は2に記載のトナーにおいて、
前記帯電制御剤は、含フッ素4級アンモニウム塩化合物である
ことを特徴とするトナー。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載のトナーにおいて、
前記結着樹脂は、ポリエステル系樹脂を含有する
ことを特徴とするトナー。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載のトナーにおいて、
前記結着樹脂の酸価は、10〜45KOHmg/gである
ことを特徴とするトナー。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載のトナーにおいて、
前記水系媒体は、有機樹脂微粒子を含有する
ことを特徴とするトナー。 - 請求項6に記載のトナーにおいて、
前記有機樹脂微粒子は、末端にカルボキシル基を有する
ことを特徴とするトナー。 - 請求項1ないし7のいずれかに記載のトナーにおいて、
前記トナーは、平均円形度が0.90〜0.98である
ことを特徴とするトナー。 - 請求項1ないし8のいずれかに記載のトナーにおいて、
前記トナーは、体積平均粒径が3.0〜8.0μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にある
ことを特徴とするトナー。 - 請求項1ないし9のいずれかに記載のトナーにおいて、
前記トナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にある
ことを特徴とするトナー。 - 請求項1ないし10のいずれかに記載のトナーにおいて、
前記トナーは、少なくとも、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、ポリエステル、着色剤、無機酸化物微粒子を有機媒体中にそれぞれ溶解又は分散させたトナー組成物を、樹脂微粒子を含有する水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られる
ことを特徴とするトナー。 - 請求項1ないし11のいずれかに記載のトナーにおいて、
前記トナーは、磁性体を含有する
ことを特徴とするトナー。 - 請求項1ないし11のいずれかに記載のトナーにおいて、
前記トナーは、樹脂で被覆された磁性キャリアと混合させて用いる
ことを特徴とするトナー。 - 少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有するトナーの製造方法において、
前記トナーの製造方法は、水系媒体中で造粒してトナー母体粒子を得る造粒工程と、前記トナー母体粒子を水系媒体中に再分散させたスラリーに帯電制御剤を添加して湿式外添する工程と、前記スラリーを脱水ろ過してトナーケーキを得る工程と、前記トナーケーキを乾燥する工程と、を有するトナーの製造方法において、
前記結着樹脂は、カルボキシル基末端を有する樹脂を含有し、
前記帯電制御剤の少なくとも一種は、非金属陽イオン基を有する化合物であり、
前記帯電制御剤を湿式外添した後の脱水ろ過工程後、乾燥工程前のトナーケーキの含水率が、35質量%以下である
ことを特徴とするトナーの製造方法。 - 請求項14に記載のトナーの製造方法において、
前記トナーケーキを乾燥する工程の乾燥時間は、60時間以下である
ことを特徴とするトナーの製造方法。 - 前記トナーの製造方法は、更に請求項2ないし13のいずれかに記載のトナーを製造する
ことを特徴とするトナーの製造方法。 - 潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体表面に均一に帯電を施す帯電手段と、帯電した該潜像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光手段と、該潜像担持体表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、可視像化する現像手段と、該潜像担持体表面の可視像を記録部材に転写する転写手段と、記録部材上の可視像を定着させる定着手段とを備える画像形成装置において、
前記現像手段で使用されるトナーは、少なくとも結着樹脂と、着色剤とを含有し、表面に帯電制御剤を湿式外添して得られるトナーであって、前記トナーは、水系媒体中で造粒して得られるトナーであり、前記結着樹脂は、カルボキシル基末端を有する樹脂を含有し、前記帯電制御剤の少なくとも一種は、非金属陽イオン基を有する化合物であり、前記トナーは、水系媒体中で造粒して得られたトナー母体粒子に、前記帯電制御剤を湿式外添した後の脱水ろ過後、乾燥前のトナーケーキの含水率が、35質量%以下である
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記画像形成装置は、更に請求項2ないし13のいずれかに記載のトナーを使用することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項17又は18に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、静電潜像を担持する像担持体と、少なくとも、静電潜像を担持する像担持体に対向して配置される現像装置とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
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