JP2007085140A - 木造建物の制震構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 施工が容易であるとともに、十分な耐震性を確保しつつ木造の制震性を向上できる木造建物の制震構造を提供する。
【解決手段】 本発明の木造建物の制震構造Uは、土台2上に立設された通し柱3および間柱4と、横架材5とにより構成される矩形枠10を備える木造建物の制震構造Uであって、制震構造20が、矩形枠10に嵌め込まれる、土台2、通し柱3および間柱4に対応する部材が2材接合型角パイプ材30からなる制震枠20とされてなるものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、木造建物の制震構造に関する。さらに詳しくは、木造軸組構造の耐震性および制震性に関する問題点を改善するための木造建物の制震構造に関する。
木造は、古来より日本の最も重要な建築様式であり、その代表的な構法として木造軸組構法がある。木造軸組構法は、柱と梁(横架材)と筋かいとを用いて建物を支えるものであり、地震の水平力には筋かいで耐える構造を有している。
このような木造軸組構法は、設計の自在性に優れている等の理由で広く採用されているが、先の阪神淡路大震災では倒壊家屋の多くが在来工法とも呼ばれる木造軸組構法の建物であったことから、木造軸組構法を対象とした建築基準法の改正も数多く行われた。以下、木造軸組構法について一般に指摘されている問題点を説明する。
図16(a)に示すように、土台101と、土台101に立設された左右の柱102、103と、柱102、103に支持された横架材104と、左の柱102と横架材104との接続部(左上角)と右の柱103と土台101との接続部(右下角)とに両端が接合された筋かい105とからなる構造において、図における右向きの水平力106が加わる場合を考える。
このとき、筋かい105は圧縮力を受けながら右下角の接合部を支点として右に回転する(破線により示す状態)。これにより、左の柱102を土台101から引き抜く引抜き力107が働く。その引抜き力107が過大であると、柱102が土台101から外れたり、土台101自体が折れたりする等して、家屋倒壊の原因となる。また、筋かい105により横架材104が押し上げられ、これにより横架材104と柱102との接合が外れることも家屋倒壊の原因となる。
また、図16(b)に示すように、前例と同様の枠組で、左の柱102と土台101との接続部(左下角)と右の柱103と横架材104との接続部(右上角)とに両端が接合された筋かい108を有する構造において、図における右向きの水平力109が加わるとき、筋かい108を引っ張るような引張り力が働く(破線により示す状態)。その引張り力が過大であると、筋かい108両端のいずれかの接合が外れて筋かい108が機能しなくなる。
このように、筋かいは、柱を土台から引き抜こうとする力と、横架材を押し上げる力とを必然的に生ずるものであり、筋かいを用いた在来工法では、そのような力に抗し得るように各部材の接合強度を上げることが重視される。
その結果、構造耐力上、主要な部分の継手や仕口を強化するために各種補強部材(接合金物)の使用が推奨されている。
図17に、各種補強部材を使用した木造構造の一例を示す。この構造200は、コンクリート基礎201と、コンクリート基礎201の上に設置された木製の土台202と、土台202の上に立設された通し柱203、くだ柱204および間柱205と、通し柱203、くだ柱204および間柱205により支持された胴差(横架材)206と、通し柱203と横架材206との接続部分および土台202とくだ柱204との接続部分に両端が接合された第1筋かい207と、通し柱203と土台202との接続部分および横架材206とくだ柱204との接続部分に両端が接合された第2筋かい208とを備える。
ここで、土台202はアンカーボルト211によりコンクリート基礎201に繋止され、通し柱203はホールダウン金物212により土台202を通して基礎201に繋止され、くだ柱204と土台202との接合部はL型金物213により補強され、横架材206と通し柱203との接合部はI型金物214により補強され、くだ柱204と横架材206との接合部はT型金物215により補強され、第1筋かい207および第2筋かい208の両端接合部は、それぞれプレート状金物216により補強されている。
このように、現状において推奨されている木造軸組構法の仕様は、柱脚、柱頭および筋かい端部における継手や仕口を各種補強部材により補強しようとするものである。
しかしながら、前掲の推奨仕様には、下記のような問題点がある。
(1)各材の接合に金物(補強部材)を多用して、建物の剛性を単純に高めたことによって、地震による建物の揺れが「がたがた」とした小刻みで素早いものとなる。これにより、家具等が転倒する危険性が増大したり、建物の傷みが早まる等の弊害が生じている。
つまり、建物を倒壊させないことを重視して単純に構造部材の接合を強化したことにより、確かに建物の耐震性は向上したが、木造が本来有している地震に対する柔軟性、つまり地震の揺れを直接的に建物の内部環境に伝えないようにする制震性を奪い、居住性の低下や建物の短寿命化を招来している。
(2)ホールダウン金物は、主に通し柱脚部に設けられるものであるが、その設置位置は他部材の設置位置と重なることが多く、施工の空間的余裕が小さいのが一般的である。その上、かつてのM12よりもサイズの大きいM16のアンカーボルトの使用が推奨されているために、さらに空間的余裕は小さくなっている。このため、ホールダウン金物を用いた構造では、施工に多少の狂いが生じただけで、その手直しが困難となる場合も多い。したがって、相当に高い取付精度が要求されることになり、施工の難易度が高くなっている。
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、施工が容易であるとともに、十分な耐震性を確保しつつ木造の制震性を向上できる木造建物の制震構造を提供することを目的としている。
本発明の木造建物の制震構造は、土台上に立設された通し柱および間柱と、横架材とにより構成される矩形枠を備える木造建物であって、前記制震構造が、前記矩形枠に嵌め込まれる制震枠とされてなることを特徴とする。
本発明の木造建物の制震構造においては、前記制震枠にダンパーが備えられてなるのが好ましい。
また、本発明の木造建物の制震構造においては、前記制震枠が、中間部に水平補強部材を有してなるのが好ましい。
さらに、本発明の木造建物の制震構造においては、前記制震枠の土台、通し柱および間柱に対応する部材が、2材接合型角パイプ材とされてなるのが好ましい。
さらに、本発明の木造建物の制震構造においては、前記角パイプ材の内側の板厚が、外側の板厚より厚くされてなるのが好ましい。
さらに、本発明の木造建物の制震構造においては、前記角パイプ材が、一面を構成する第1材と、他の三面を構成する第2材とを備え、前記第1材の端部と前記第2材の端部とがかしめにより接合されてなるのが好ましい。
さらに、本発明の木造建物の制震構造においては、前記かしめがなされた箇所に前記制震枠を固定するスクリューボルトが配設されてなるのが好ましい。
さらに、本発明の木造建物の制震構造においては、前記ダンパーが、スクリューボルトに振動減衰部材を装着することにより構成されてなるのが好ましい。
しかして、本発明の木造建物の制震構造は木造建物に備えられる。
本発明によれば、木造建物の制震性を向上できるという優れた効果が得られる。
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
実施形態1
図1に、本発明の実施形態1に係る木造建物の制震構造を示す。この制震構造Uは、鉄筋コンクリート製基礎1の上に設置された土台2と、土台2の上に立設された通し柱3およびそれに隣り合う間柱4と、通し柱3および間柱4により支持された胴差(横架材)5とを有する木造建物において、土台2、通し柱3、間柱4および横架材5からなる枠10内に嵌め込まれ、地震による水平力41、42に抗して枠10が矩形を保つように補強する制震枠20を備えてなるものとされる。制震枠20は、建物の1階のみならず、後述するように、2階以上の対応箇所に同様に設けられるものとされる。
ここで、制震枠20は、図1に示すように、通し柱3に沿って配設される第1縦材21と、間柱4に沿って配設される第2縦材22と、土台2に沿って配設される下部横材23と、第1縦材21および第2縦材22の中央より若干上方に配設され、第1縦材21および第2縦材22の内側面に両端が接合される中間部横材(補強梁)24と、横架材5に沿って配設される木製の上部横材25とを有してなるものとされる。これら各材のうち、第1縦材21、第2縦材22、下部横材23および中間部横材24は、鋼製の2材接合型角パイプ材30(図4参照)から形成されている。この角パイプ材30の詳細は後で説明する。なお、建物2階以上に設けられる制震枠においては、下部横材23Aは、横架材(横架材)5に沿って配設される。図中、符号21A,22Aは、それぞれ建物2階に設けられる制震枠の第1縦材および第2縦材を示す。
また、図1に示すように、第1縦材21および第2縦材22と、下部横材23、中間部横材24および上部横材25との接合部分には、互いに垂直な2つの板材からなるコーナー用接合材28(図2、図3参照)が設けられており、このコーナー用接合材28により前記各材21、22、23、24、25がビス止めにより接合されている。
また、制震枠20は、下部横材23が、土台2を通してアンカーボルト26、26により基礎1と繋結され、第1縦材21および第2縦材22がそれぞれ、スクリューボルト27、27、…により通し柱3または間柱4と緊結され、上部横材25が、例えば両ねじボルト29により横架材5を間に挟んで、上方の制震枠の下部横材23Aと繋結されている。
すなわち、図2に示すように、下部横材23と、第1縦材21および第2縦材22との接合箇所にはそれぞれコーナー用接合材28、28がビス止めされており、これらのコーナー用接合材28、28を貫通して、アンカーボルト26、26が、下部横材23を土台2とともに基礎1と繋結するよう設けられるとともにスクリューボルト27、27、27が、第1縦材21および第2縦材22を通し柱3または間柱4と緊結するよう設けられている。
また、図3に示すように、中間部横材24と、第1縦材21および第2縦材22との接合箇所にはそれぞれコーナー用接合材28、28がビス止めされており、これらのコーナー用接合材28、28を貫通して、スクリューボルト27、27が、第1縦材21および第2縦材22を通し柱3または間柱4と緊結するよう設けられている。
また、図3に示すように、上部横材25と、第1縦材21および第2縦材22との接合箇所にはそれぞれコーナー用接合材28、28がビス止めされており、これらのコーナー用接合材28、28を貫通して、スクリューボルト27、27が、第1縦材21および第2縦材22を通し柱3または間柱4と緊結するよう設けられるとともに両ねじボルトト29、29が、上部横材25を、横架材5を間に挟んで上方の制震枠の下部横材23Aと緊結するよう設けられている。これにより、1階部分の制震枠20と2階部分のそれとが一体的に結合されて、通し柱3を上端から下端まで鋼製の制震枠20により補強することが可能となる。したがって、耐震性は格段に向上する。なお、両ねじボルト29は、通しボルトに代えてもよい。また、2階部分に制震枠を設けないような場合には、上部横材25は、横架材5のみに緊結される。
次に、制震枠20の主要構成要素である2材接合型の角パイプ材30を説明する。
角パイプ材30は、図4に示すように、1面を構成する鋼板からなる第1材31と、他の3面を構成する第1材31の鋼板より板厚の薄い鋼板からなる矩形溝形鋼とされた第2材32との2材を接合してなるものであり、第1材31両側端部と第2材32の溝開口両端部とをかしめにより結合してなるものとされる。
すなわち、図4に示すように、第1材31両側端部を上方内側に折り曲げて横U字状の係合部31aとする一方、第2材32の溝開口端部を前記横U字状の係合部31aとは逆向きの横U字状の係合部32aとし、両係合部31a、32aを互いに係合させ、かしめにより結合している。また、図4に示すように、第1材31には、係合部31a、32aの係合外れを防止するためのV字状突条31bが係合部32aの背後の位置に設けられるものとされる。
第1材31は、防錆処理がなされた鋼板(板厚:0.8mm)とされる。例えば、溶融亜鉛−5%アルミニウムめっき鋼板(板厚:0.8mm)、高耐食溶融亜鉛−6%アルミニウム−3%マグネシウムめっき鋼板(板厚:0.8mm)などとされる。また、第2材32は防錆処理がなされた鋼板(板厚:0.7mm)とされる。例えば、溶融亜鉛−5%アルミニウムめっき鋼板(板厚:0.7mm)、高耐食溶融亜鉛−6%アルミニウム−3%マグネシウムめっき鋼板(板厚:0.7mm)などとされる。
このように、角パイプ材30は、上記具体例のように、比較的肉厚の薄鋼板からなる第1材31と、比較的肉薄の矩形溝形鋼からなる第2材32の2材をかしめにより接合したものであり、第1材31両側端部にかしめ部33、33を有するものとされる。第1材31が第2材32よりも肉厚とされ、さらにその両側端部のかしめ部33が他の箇所よりも格段に肉厚が大きいことから、角パイプ材30の第1材31からなる面(以下、強化面という)34は、他の面よりも曲げ強度が格段に大きくなっている。
ここで、角パイプ材30は、図2および図3に示すように、両側端部にかしめ部33を有する前記強化面34が制震枠20の内側となるように配される一方、強度の小さい薄肉の第2材32からなる、前記強化面34の反対面が土台2、通し柱3および間柱4と接する外側となるように配されている。
これにより、制震枠20の形状を保つための十分な剛性を前記強化面34により確保しつつ、土台2、通し柱3、間柱4および横架材5からなる枠10の矩形形状の多少の変形を、剛性の小さい第2材32の断面形状の弾性変形により吸収することが可能となる。この結果、木造軸組構造の継手、仕口を接合金物により単純に補強する場合と比較して、より柔軟に地震の揺れを受けることが可能となる。したがって、建物の制震性が向上する。
また、制震構造Uは、通し柱3に筋かいを用いない構造であるために、地震による水平力41、42(図1参照)により、通し柱3を土台2から引き抜くような力が働くこともなく、横架材4を押し上げるような力が働くこともない。
これにより、通し柱3にいわゆるホールダウン金物を用いることなく、十分な耐震性を確保することが可能となる。したがって、施工が格段に容易となる。
図5に、制震枠20の縦材(第2縦材22)と、横材(下部横材23)との接合部を拡大して示す。
図5に示すように、コーナー用接合材28は、角パイプ材30のかしめ部33にビス28aを貫通させて取り付けられており、これによりコーナー用接合材28の各材への取付強度を大きくすることが可能となる。したがって、制震枠20の矩形形状を保つための十分な剛性を確保することが可能となる。
このように、実施形態1の制震構造Uにおいては、筋かいといわゆるホールダウン金物とを通し柱3から廃して、土台2、通し柱3、間柱4および横架材5からなる枠10を、その内部に嵌め込まれる制震枠20により補強するものとし、しかもその制震枠20の主要構成要素を鋼製の2材接合型角パイプ材30とし、かつ角パイプ材30の弾力性に富む第2材32を枠10の各材2、3、4、5と接する外側に配するものとしている。
これにより、制震枠20を、アンカーボルト26、スクリューボルト27等を用いて枠10の各材に留めるという簡易な作業により、地震の水平力41、42により通し柱3を引き抜く引抜き力が生ずるのを回避して、木造本来の制震性を損なうことなく十分な耐震性を確保するよう施工することが可能となる。
実施形態2
以下、図6を参照して、本発明の実施形態2を説明する。実施形態2は、実施形態1を改変してなるものであり、制震構造Uの振動減衰特性を高めるように制震枠20にダンパー40を付加してなるものとされる。実施形態2のその余の構成は実施形態1と同様とされるので、その詳細説明は省略する。
すなわち、制震枠20Aは、第1縦材21または第2縦材22を貫通して、通し柱3または間柱4にねじ込まれるスクリューボルト41と、スクリューボルト41のボルトヘッド41aと第1縦材21または第2縦材22との間に所定の圧縮力をかけられた状態で介装される振動減衰部材42とを有する所定数のダンパー40を備えるものとされる。
ここで、振動減衰部材42は、天然ゴムまたは合成ゴム(クロロプロピレンゴム等)とされる。
このように、実施形態2のダンパー40を付加するものとしているので、制震枠の振動減衰性を大きくして、さらに良好な制震性を達成することができる。
実施例1−6および比較例1−3
以下、図7〜図15を参照して、本発明の実施例を説明する。図7に、本発明による効果を検証するために行った加振試験の各試験体の構成を示す。図7(a)は、木枠10Aの中段内側に木製の横材50を設けた第1試験体E1を示し、図7(b)は、木枠10Aの内側に実施形態1の制震枠20を設けた第2試験体E2を示し、図7(c)は、第2試験体E2に10個のダンパー40を付加した第3試験体E3を示し、図7(d)は、第2試験体E2に18個のダンパー40を付加した第4試験体E4を示す。
ここで、各試験体E1、E2、E3、E4は、下端部を図示しない加振装置の上に固定し、上端部は自由端として、最上部に上部加速度計51を取り付け、中段に中段加速度計52を取り付け、最下部に下部加速度計53を取り付けている。
図8〜図11に、各試験体E1、E2、E3、E4を所定条件(2[Hz]、800[Gal]の加速度で10秒間)にて前記加振装置により加振したときの各加速度計51、52、53による計測結果を示す。図8は、第1試験体E1についての計測結果(比較例1:上部加速度計51の計測結果、比較例2:中段加速度計52の計測結果、比較例3:上部加速度計53の計測結果)を示し、図9は、第2試験体E2についての計測結果(実施例1:上部加速度計51の計測結果、実施例2:中段加速度計52の計測結果、実施例3:上部加速度計53の計測結果)を示し、図10は、第3試験体E3についての計測結果(実施例4:上部加速度計51の計測結果、実施例5:中段加速度計52の計測結果、実施例6:上部加速度計53の計測結果)を示し、図11は、第4試験体E4についての計測結果(実施例7:上部加速度計51の計測結果、実施例8:中段加速度計52の計測結果、実施例9:上部加速度計53の計測結果)を示す。
図8に示すように、木枠のみの第1試験体E1は、他の試験体に比べて剛性が低いために、上部加速度計51および中段加速度計52により計測された加速度(比較例1、比較例2)が、他の試験体と比較して小さくなっている。その加速度の最大値は、約1245[Gal]であった(比較例1の計測開始から8.36秒後)。
この結果は、木枠10Aと横材50のみからなる第1試験体E1は、地震の揺れが建物内部に直接的に伝わりにくいこと、つまり制震性が高いことを示している。しかしながら、木枠10Aと横材50のみからなる第1試験体E1を実際の建物に適用した場合、地震の水平力に抗する十分な耐震性を得られないことは明白である。
図9に示すように、第2試験体E2は、下段から中段にかけて全く同様の揺れ(実施例2、3参照)であり、その部分が一つの剛体として揺れているのが分かる。加速度の最大値は、約1466[Gal](実施例1の計測開始から8.28秒後)であり、木枠のみの第1試験体E1と比較しても、最大値が約18%しか大きくなっておらず、それほど素早い揺れにはなっていない、つまり制震性が高いことが分かる。
また、第2試験体E2を実際の建物に適用した場合、第1試験体E1と比較して加速度が大きくなる割合は前記約18%よりもさらに小さくなるものと思われる。
したがって、実施形態1の制震構造Uにより、木造本来の制震性を損なわずに、十分な耐震性を確保し得ることが分かる。
図10および図11に示すように、第3試験体E3と第4試験体E4とは、ほとんど差がなく(実施例4〜実施例9参照)、下段から、中段、上段にかけて、一様に加速度は大きくなっている。加速度の最大値は、約1773[Gal](実施例4の計測開始から8.36秒後)と約1772[Gal](実施例7の計測開始から8.28秒後)であり、木枠のみの第1試験体E1と比較して、最大値が約42%大きくなっている。
この結果は、第3試験体E3および第4試験体E4の制震性が、第2試験体E2よりも低いことを示している。しかしながら、第3試験体E3および第4試験体E4を実際の建物に適用した場合、加速度が大きくなる割合は小さくなるものと思われる。したがって、ダンパー40により振動減衰性が向上することを考慮すれば、第3試験体E3および第4試験体E4(実施形態2の制震構造)によっても、木造本来の制震性を損なわずに、十分な耐震性を確保し得ることが分かる。
図12〜図15に、前記比較例1〜3および実施例1〜9の振動減衰領域(計測開始から18.01秒以後の3.75秒間の領域)のみを取り出して示す。
図12〜図15に示すように、第2試験体E2、第3試験体E3および第4試験体E4は、いずれも木枠のみの第1試験体E1よりも振動が停止するまでの時間が短く、振動減衰性が高いことがわかる。
また、第2試験体E2、第3試験体E3および第4試験体E4の間では、今回の試験では振動減衰性に関する有意の差は見出せなかった。しかしながら、実際の建物に適用した場合には、ダンパー40を設けた第3試験体E3および第4試験体E4が、第2試験体E2よりも振動減衰性は高いものと予想できる。
本発明は制震性を要求される木造建物に適用できる。
本発明の実施形態1に係る木造建物の制震構造の概略図である。 同制震構造下部の詳細図である。 同制震構造上部の詳細図である。 2材接合型角パイプ材の詳細を示す断面図である。 制震枠の縦材と間柱との接合部分の詳細を示す一部断面図である。 本発明の実施形態2に係る木造建物の制震構造要部の詳細図である。 各試験体の概略図である。 第1試験体各部の時間−加速度線図である。 第2試験体各部の時間−加速度線図である。 第3試験体各部の時間−加速度線図である。 第4試験体各部の時間−加速度線図である。 第1試験体各部の振動減衰性を示す時間−加速度線図である。 第2試験体各部の振動減衰性を示す時間−加速度線図である。 第3試験体各部の振動減衰性を示す時間−加速度線図である。 第4試験体各部の振動減衰性を示す時間−加速度線図である。 従来の木造軸組構法の問題点を示す説明図である。 従来推奨されている木造軸組構法の一例の概略図である。
符号の説明
U 制震構造
1 基礎
2 土台
3 通し柱
4 間柱
5 胴差(横架材)
20 制震枠
21 第1縦材
22 第2縦材
23 下部横材
24 中間部横材
25 上部横材
26 アンカーボルト
27 スクリューボルト
28 コーナー用接合材
30 角パイプ材
31 第1材
32 第2材
33 かしめ部
34 強化面
40 ダンパー

Claims (9)

  1. 土台上に立設された通し柱および間柱と、横架材とにより構成される矩形枠を備える木造建物の制震構造であって、
    前記制震構造が、前記矩形枠に嵌め込まれる制震枠とされてなることを特徴とする木造建物の制震構造。
  2. 前記制震枠にダンパーが備えられてなることを特徴とする請求項1記載の木造建物の制震構造。
  3. 前記制震枠が、中間部に水平補強部材を有してなることを特徴とする請求項1記載の木造建物の制震構造。
  4. 前記制震枠の土台、通し柱および間柱に対応する部材が、2材接合型角パイプ材とされてなることを特徴とする請求項1記載の木造建物の制震構造。
  5. 前記角パイプ材の内側の板厚が、外側の板厚より厚くされてなることを特徴とする請求項4記載の木造建物の制震構造。
  6. 前記角パイプ材が、一面を構成する第1材と、他の三面を構成する第2材とを備え、前記第1材の端部と前記第2材の端部とがかしめにより接合されてなることを特徴とする請求項4記載の木造建物の制震構造。
  7. 前記かしめがなされた箇所に前記制震枠を固定するスクリューボルトが配設されてなることを特徴とする請求項6記載の木造建物の制震構造。
  8. 前記ダンパーが、スクリューボルトに振動減衰部材を装着することにより構成されてなることを特徴とする請求項7記載の木造建物の制震構造。
  9. 請求項1ないし8のいずれか一項に記載の木造建物の制震構造を備えてなることを特徴とする木造建物。
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