JP2007085069A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、発破によって改良地盤の地盤構成粒子を密に締固める締固め工法に関する。
従来より、地下水で飽和された緩い砂質土地盤を、爆薬(発破)のエネルギーを利用して人工的に液状化を発生させ、地盤を締固める工法が知られている。この発破締固め工法は、発破孔の間隔を設定した後、ボーリングマシンにより地盤中に削孔を行い、装薬及び孔壁保護のためにケーシングパイプ(樹脂製など)を建て込んだ後、発破孔内に1または複数段に亘って装薬ユニットを挿入設置し爆発させるものである。
前記発破締固め工法に係る先行技術文献としては、例えば下記特許文献1において、埋立地盤内に複数段の爆薬を充填したパイプを埋設し、前記各爆薬を爆圧が水平乃至下部側に向くべく制御した状態で順次下から爆発させて、前記埋立土砂に対する締固め圧力を加えるようにした埋立地盤の発破締固め工法が提案されている。
また下記特許文献2において、少なくとも発破時以降における地盤内の間隙水圧を測定し、この測定結果に基づいて地盤の締り程度を評価し、この評価結果と目標締り程度との対比に基づいて、少なくとも追加発破実施の可否を決定するようにした発破による軟弱地盤の締固め方法が提案されている。
さらに下記特許文献3において、地盤中に所定間隔で多数の発破孔を形成し、この発破孔の所定深さ位置に爆薬を挿入設置し、前記爆薬を爆発させることにより地盤の締固めを行う第1ステップと、少なくとも前記発破孔周辺の緩み領域を柱状型地盤改良工法によって改良を行うとともに、地盤表層領域を表層型地盤改良工法によって改良を行う第2ステップと、からなる発破工法を併用した地盤改良工法が提案されている。
特開昭63−197713号公報
特開平11−181754号公報
特開2002−47638号公報
前述した発破締固め工法は、他の締固め工法と比べて、工期が短くて済む、経済的であるなどの利点を有する。
しかしながら、発破による締固め原理は、地盤構成粒子の再堆積および間隙水圧の正常化への復帰に伴う締固めによって行われるものであり、締固め程度にもおのずと限界がある。例えば、砂質土の例で言えば、おおよそN値20〜25程度が限界とされる。
また、図4に示されるように、発破直後には上昇した間隙水圧によりケーシングパイプより地下水が噴出する。この地下水の噴出は間隙水圧が消散するまでしばらくの間継続するが、地下水の通り道となる発破孔およびその近傍においては、地盤中に上向きの水流が発生し、一時的に地盤構成粒子が浮遊する状態となり、逆に地盤が緩んでしまうという現象が発生していた。なお、図5は発破締固め後におけるスウェーデン式サウンディング試験結果(A1〜A6)を示したものであるが、発破孔付近のサウンディングA3結果の場合には、地盤が緩んだため地盤改良効果がほとんど得られていないことが分かる。
そこで本発明の主たる課題は、地盤構成粒子をより高密度に締固めできるとともに、発破孔及びその周辺において地盤の緩み現象を防止した発破による締固め工法を提供することにある。
前記課題を解決するために請求項1に係る発明として、地盤に所定間隔で多数の発破孔を形成し、この発破孔の所定深さ位置に爆薬を挿入設置し、前記爆薬を爆発させることにより地盤の締固めを行う発破による締固め工法において、
前記発破孔とは別に、間隙水の排水用井戸を地盤改良対象層の下部に達する深さで、又は前記改良対象層を貫通しその下側地盤層に達する深さで多数設けるとともに、この排水用井戸の下部近傍に吸水部を限定した強制排水手段を設備し、爆発時に前記強制排水手段により排水を行うことにより、前記地盤改良対象層において、間隙水を下向き方向に誘導しながら排水し、上昇した間隙水圧の消散を図ることを特徴とする発破による締固め工法が提供される。
前記発破孔とは別に、間隙水の排水用井戸を地盤改良対象層の下部に達する深さで、又は前記改良対象層を貫通しその下側地盤層に達する深さで多数設けるとともに、この排水用井戸の下部近傍に吸水部を限定した強制排水手段を設備し、爆発時に前記強制排水手段により排水を行うことにより、前記地盤改良対象層において、間隙水を下向き方向に誘導しながら排水し、上昇した間隙水圧の消散を図ることを特徴とする発破による締固め工法が提供される。
上記請求項1記載の発明においては、排水用井戸を地盤改良対象層の下部に達する深さで、又は前記改良対象層を貫通しその下側地盤層に達する深さで設けるとともに、この排水用井戸に対してその下部近傍に吸水部を限定した強制排水手段を設備し、前記爆発時に前記強制排水手段により排水を行うことにより、前記地盤改良対象層において、間隙水を下向き方向に誘導しながら排水し、上昇した間隙水圧の消散を図るようにした。
従って、地盤改良対象層の全体に下向きの水流が生じ、それに伴い地盤構成粒子が全体にわたって圧密されることになるため、より高密度の締固めが可能となるとともに、発破孔およびその近傍においても、前記下向き方向に発生した水流によって、地盤が緩んでしまう現象を防止できるようになる。
以上詳説のとおり本発明によれば、地盤改良対象層において、爆発に伴い上昇した過剰間隙水を下向き方向に誘導することにより、地盤構成粒子をより高密度に締固めできるとともに、発破孔及びその周辺において地盤の緩み現象を防止し得るようになる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
本発明は、図1〜図3に示されるように、地盤改良対象層GI領域に所定間隔で多数の発破孔4、4…を形成する一方で、この発破孔4,4…とは別に、間隙水の排水用井戸1、1…を適宜の間隔で設置するとともに、この排水用井戸1の下部近傍に吸水部2aを限定した強制排水手段3を設備し、発破時に前記強制排水手段3により排水を行うことにより、前記地盤改良対象層GIにおいて、間隙水を下向き方向に誘導しながら排水し、間隙水圧の消散を図るものである。
以下、さらに具体的に詳述すると、
例えば、格子目状に所定の間隔で、例えばピッチ約5〜10mのグリッド交点部に直径約10〜20cm程度の発破孔4,4…をボーリングマシンを用いて形成する。この削孔には装薬及び孔壁保護のために、塩ビ管などの樹脂管をケーシングパイプ5として建て込むようにするのが望ましい。削孔およびケーシングパイプ5の建込みを完了したならば、地上から所定の深さ位置に装薬ユニット6を挿入設置する。この装薬ユニット6の設置は、深さ方向の複数箇所、通常は2〜3箇所に分けて設置するのが望ましい。前記装薬ユニット6としては、本出願人が先の特開平11−118399号公報において提案した装薬ユニットを好適に用いることができる。なお、発破孔4内には前記装薬ユニット6と共に、砂、砕石などの粒状物を充填するようにするのが望ましい。
例えば、格子目状に所定の間隔で、例えばピッチ約5〜10mのグリッド交点部に直径約10〜20cm程度の発破孔4,4…をボーリングマシンを用いて形成する。この削孔には装薬及び孔壁保護のために、塩ビ管などの樹脂管をケーシングパイプ5として建て込むようにするのが望ましい。削孔およびケーシングパイプ5の建込みを完了したならば、地上から所定の深さ位置に装薬ユニット6を挿入設置する。この装薬ユニット6の設置は、深さ方向の複数箇所、通常は2〜3箇所に分けて設置するのが望ましい。前記装薬ユニット6としては、本出願人が先の特開平11−118399号公報において提案した装薬ユニットを好適に用いることができる。なお、発破孔4内には前記装薬ユニット6と共に、砂、砕石などの粒状物を充填するようにするのが望ましい。
一方、前記排水用井戸1は、例えば前記発破孔4,4…の間に位置するように同じく格子状配置により、図1に示されるように、改良対象層GIの下部に達する深さで、又は図2に示されるように、前記改良対象層GIを貫通してその下側地盤層GPに達する深さで、ボーリングマシンを用いて形成する。この排水用井戸1内にはその下部近傍に吸水部2aを限定した強制排水手段3を設備する。具体的には、図3に詳細に示されるように、吸込位置を下端部に限定するために、ケーシングパイプ2を建て込むとともに、ケーシングパイプ2の内部に、先端にストレーナ7を備える排水管9を挿入設置し、排水管9の中間に排水ポンプ8を設けた強制排水手段3を設け、地下水を前記ケーシングパイプ2の下端口(2a)から吸込み強制排水可能とする。
なお、前記ポンプ方式に代えて、真空ポンプやバキュームポンプなどの真空方式(図示せず)とすることも可能である。真空装置による揚水は、1つの真空設備で複数の排水用井戸1からの揚水が可能となることから、排水ポンプ8を個々に設置するよりも経済的となり、かつ急速排水が可能となる。
次に、本発明の発破締固め工法について、具体的な地盤締固めのメカニズムを以下に詳述する。
まず、地盤中に設置した前記装薬ユニット6,6を発破させることにより、地下水位以下において爆発の衝撃力により間隙水圧が過剰になるとともに、粒子堆積構造が破壊され、当該地盤に液状化が発生する。一方で、排水用井戸1の下端吸水口2aから地下水を強制排水することにより、前記地盤改良対象層GIにおいて、間隙水は下向き方向に誘導されながら排水され、上昇した間隙水圧の消散が図られる。
この間隙水(地下水)の下向き方向の水流に伴い、地盤構成粒子が全体にわたって圧密され、より高密度の締固めが可能となるとともに、発破孔およびその近傍においても、前記下向き方向に発生した水流によって、地盤構成粒子の浮遊を防止し、地盤が緩んでしまう現象を防止することができるようになる。
なお、前記発破は、複数回、例えば2回に分け、1回目の発破の後、間隙水圧の消散を待って2回目の発破を行うようにすれば、より大きな締固め効果が得られるようになる。
〔他の形態例〕
(1)本発明では、液状化層において、改良対象層GIに下向きの水流を生じさせ地盤構成粒子を圧密することによって、より高い締固めを可能としたが、本工法はシルト質地盤などの埋立て地において、圧密を促進するための工法として利用することも可能である。
(1)本発明では、液状化層において、改良対象層GIに下向きの水流を生じさせ地盤構成粒子を圧密することによって、より高い締固めを可能としたが、本工法はシルト質地盤などの埋立て地において、圧密を促進するための工法として利用することも可能である。
1…排水用井戸、2…ケーシングパイプ、2a…吸水部、3…強制排水手段、4…発破孔、5…ケーシングパイプ、6…装薬ユニット、7…ストレーナ、8…排水ポンプ、9…排水管、GI…改良対象層、GP…下側地盤層
Claims (1)
- 地盤に所定間隔で多数の発破孔を形成し、この発破孔の所定深さ位置に爆薬を挿入設置し、前記爆薬を爆発させることにより地盤の締固めを行う発破による締固め工法において、
前記発破孔とは別に、間隙水の排水用井戸を地盤改良対象層の下部に達する深さで、又は前記改良対象層を貫通しその下側地盤層に達する深さで多数設けるとともに、この排水用井戸の下部近傍に吸水部を限定した強制排水手段を設備し、爆発時に前記強制排水手段により排水を行うことにより、前記地盤改良対象層において、間隙水を下向き方向に誘導しながら排水し、上昇した間隙水圧の消散を図ることを特徴とする発破による締固め工法。
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