JP6304813B2 - 飽和地盤の締め固め工法 - Google Patents

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Description

本発明は、石炭灰であるフライアッシュからなる飽和地盤の締め固め工法に関する。
従来、砂等の粒状材料の圧入により地盤を締め固める工法として、振動や衝撃荷重を利用して締め固められた砂杭群を造成し、砂杭周辺の地盤を改良するサンドコンパクションパイル工法や振動などを用いずに静的な荷重を利用して締め固める静的圧入締固め工法等が知られている。
特許文献1は、埋め立て地盤の支持力、液状化対策に最適であり、プレロード(盛土)量を削減することで省資源化に寄与できる地盤強化複合工法を提供することを目的とし、埋め立て地盤に砂杭を多数造成して地盤の安定化を図る砂杭造成工程、砂杭造成地盤に揚水井を掘り地下水を汲み上げて地盤の不飽和化を図る地盤不飽和化工程、不飽和化された地盤を更に動圧密工法又は振動締固め工法などの衝撃や振動による締固めにより高密度の地盤を得る地盤締固め工程をこの順序で行う地盤強化複合工法を提案する(要約、図1)。
また、火力発電所等から大量に発生する石炭灰処理のため、特許文献2は、火力発電所等からの石炭灰を用いて製造した締固め材料を盛り立てる盛土工法を提案する。また、特許文献3は、石炭焚ボイラから排出される石炭灰を加圧成形機で圧密成形した成形物からなる混合物と石炭灰と水とを混合したスラリーを埋め立てる石炭灰の処理方法を提案する。
特開2000-319865号公報 特開2013-220948号公報 特開平09-155314号公報
サンドコンパクションパイル工法や静的圧入締固め工法によれば、水で飽和した地盤を締め固める場合、細粒分が多く透水性が低い条件では、土粒子間の間隙水が排出されにくく、締め固め効果が小さくなる問題があった。すなわち、通常、締め固めにより間隙水が排出されて土粒子間の間隙が小さくなることで地盤が締まった状態となるが、細粒分が多く透水性が低い地盤ほど、間隙水を速やかに排出できず、締め固めが難しくなってしまう。特に、細粒分が質量含有率で50%以上の砂質シルト・シルトにおいて締め固め効果が小さくなりやすい。
火力発電所等から大量に発生する石炭灰のうちのフライアッシュは、粒径0.075mm未満の細粒分が質量含有率で80%程度と多く、構成粒子の粒径が小さいため透水性が低いが、粘土分は含まれず、土質区分としては「粘土」でなく「シルト」に分類される。かかるフライアッシュは、透水性が低い材料であるため、フライアッシュの処分のために埋め立てられた飽和地盤は締め固めが困難である。
特許文献1の地盤強化複合工法は、砂杭を造成した地盤を不飽和化し、この不飽和化地盤を地盤面への衝撃や振動により締め固める地盤締固め工程が必要であるため、クレーン車やハンマーなどの設備が必要であり、特別な施工工程となって、施工効率が低下し、施工時間・コストが増大してしまう。
また、特許文献2,3の石炭灰処理方法は、石炭灰を用いた締固め材料の盛土工法や石炭灰を利用したスラリーの埋め立て処理方法に関し、石炭灰の処分場において地盤自体を締め固めることで処分容量を確保するものではない。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、細粒分が多く透水性が低いフライアッシュからなる飽和地盤を効率的に締め固めることが可能な締め固め工法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための飽和地盤の締め固め工法は、石炭灰であるフライアッシュからなる水で飽和した地盤を締め固める工法であって、複数の吸水部材を地盤中に挿入する工程と、前記複数の吸水部材を通して負圧発生装置により吸水を行うことで地盤中の地下水位を水平となるように低下させて地盤内を不飽和化する工程と、前記不飽和化した地盤内に含水比10%以下である粒状材料を圧入する工程と、を備える。
この飽和地盤の締め固め工法によれば、水で飽和したフライアッシュからなる地盤の地下水位を低下させ、この地盤を不飽和状態とした後、この不飽和地盤に粒状材料を圧入することにより、事前に不飽和工程でフライアッシュ粒子間の間隙水が排出されているためフライアッシュ粒子間の間隙を効果的に小さくすることができる。このため、細粒分が多く締め固めの難しいフライアッシュからなる飽和地盤を効率的に締め固めることができる。また、フライアッシュからなり透水性が低い地盤であっても、地下水位を低下させて不飽和化できれば、粒状材料の圧入により地盤を締め固めることができる。
上記飽和地盤の締め固め工法において、改良対象範囲内において前記地下水位が水平に低下するように前記複数の吸水部材の配置を浸透流解析によって決定することが好ましい。
また、前記粒状材料は含水比10%以下であることにより、圧入する粒状材料が地盤中の余分な水分を吸着する効果と、圧入する粒状材料自身が締め固まる効果とを併せて得ることができる。
前記粒状材料の圧入は、サンドコンパクションパイル施工機械を用いて行うことが好ましい。
前記粒状材料は、石炭灰であるフライアッシュおよび/またはクリンカアッシュであることが好ましい。これにより、フライアッシュからなる飽和地盤を締め固めながら、石炭灰であるフライアッシュ・クリンカアッシュを効率的に処分することができる。
前記地盤の透水係数が1×10-7m/sec〜1×10-5m/secであることが好ましい。地盤の透水係数がこの程度の範囲であると、透水性は低いものの、地盤中の地下水位を低下させて地盤内を不飽和化することができる。
なお、フライアッシュおよびクリンカアッシュは、石炭を燃焼させたときに生じる石炭灰である。
本発明の飽和地盤の締め固め工法によれば、細粒分が多く透水性が低いフライアッシュからなる飽和地盤を効率的に締め固めることができる。
本実施形態による飽和地盤の締め固め工法の各工程S01〜S03を説明するためのフローチャートである。 原地盤における図1の工程S01での吸水ロッド挿入位置と工程S03での粒状材料の圧入位置とを概略的に示す上面図である。 図2の原地盤の概略的な縦断面図で、飽和した初期状態を示す図(a)、不飽和化した状態を示す図(b)、および不飽和化が不十分な状態を比較のために示す図(c)である。 図2の円柱状の圧入部の造成に適用可能なサンドコンパクションパイル施工機械を示す概略図である。 図2の円柱状の圧入部の造成の工程(a)〜(f)を説明するための概略図である。 地盤を締め固める前のフライアッシュ粒子の状態を示す概略図(a)および締め固めた後のフライアッシュ粒子の状態を示す概略図(b)である。 図2の吸水ロッドの設置範囲・間隔を決定する方法を説明するためのフローチャートである。 図7のようにして決定された吸水ロッドの設置範囲・設置間隔の具体例を示す上面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態による飽和地盤の締め固め工法の各工程S01〜S03を説明するためのフローチャートである。図2は、原地盤における図1の工程S01での吸水ロッド挿入位置と工程S03での粒状材料の圧入位置とを概略的に示す上面図である。図3は図2の原地盤の概略的な縦断面図であり、飽和した初期状態を示す図(a)、不飽和化した状態を示す図(b)、および不飽和化が不十分な状態を比較のために示す図(c)である。
図1,図2のように、まず、地盤における平面矩形状の締め固め改良対象範囲Sを取り囲むように複数の棒状の吸水ロッド12を地盤中に挿入する(S01)。吸水ロッド12は、先端に小孔を多数設けた鋼管等の円筒管を使用できるが、先端に限らずに円筒管の周囲に多数の小孔を設けたものを使用してもよい。
締め固め改良対象の原地盤は、粒径0.075mm未満の細粒分が質量含有率で50%以上であるフライアッシュで埋め立てられた地盤であって、透水係数が1×10-7m/sec〜1×10-5m/secの範囲内にあり、また、図3(a)のように、初期の地下水位H0が原地盤Gの表面に近く、水で飽和している。フライアッシュは、石炭火力発電所等において石炭の燃焼時に発生する灰であり、燃焼ガスとともに吹き上げられるレベルの微粒子で、電気集塵機などで回収される。
次に、複数の吸水ロッド12の地上の一端側に真空ポンプ等からなる負圧発生装置(図示省略)を連結し、負圧発生装置を作動させることで地盤内から各吸水ロッド12を通して吸水し、地盤内の地下水位を低下させて、不飽和化する(S02)。
すなわち、上記不飽和化工程S02では、原地盤G内において吸水ロッド12を通した吸水・排水により、図3(b)のように、地下水位Hが図3(a)の初期の地下水位H0からほぼ水平に低下する。このようにして、地下水位が低下した不飽和地盤G1が形成される。
なお、上記工程S02において、吸水ロッド12の配置間隔(ピッチ)が粗い場合、図3(c)のように、地下水位Hが水平に低下しないおそれがある。このため、後述の図7のように吸水ロッド12の先端部に揚水条件を与える浸透流解析を行い、水平に地下水位が低下するように最適な吸水ロッド12の配置間隔を決定することが望ましい。
次に、図2のように、複数の吸水ロッド12により取り囲まれた締め固め改良対象範囲S内においてサンドコンパクションパイル(SCP)施工機械を用いて粒状材料の圧入を行う(S03)。これにより、締め固め改良対象範囲S内の複数箇所に円柱状の圧入部11を造成する。
図4,図5を参照して上記圧入工程S03について具体的に説明する。図4は図2の円柱状の圧入部の造成に適用可能なサンドコンパクションパイル施工機械を示す概略図である。図5(a)〜(f)は図2の円柱状の圧入部の造成の工程を説明するための概略図である。
図4に示すサンドコンパクションパイル(SCP)施工機械20は、クローラクレーン26と、たとえば直径40〜50cm程度のケーシングパイプ21と、粒状材料を一時的に保管するホッパー22と、ケーシングパイプ21を振動機23a(図5)により振動させながら地盤に打ち込むバイブロハンマー23と、ショックアブソーバ24と、バイブロハンマー23などを吊り下げて支持するリーダ25と、を有する。SCP施工機械20を用いてSCP(サンドコンパクションパイル)工法の打ち戻し締め固め方式により図5(a)〜(f)の各工程を経て円柱状の圧入部11を造成することができる。
図4のSCP施工機械20をクローラクレーン26により移動させ、図5(a)のように、ケーシングパイプ21の下端を改良対象範囲S内の地盤面に位置決めする。次に、図5(b)(c)のように、振動機23aを振動させてケーシングパイプ21を原地盤G内の最深部まで貫入させる。この貫入のとき、ホッパー22(図4)を通してケーシングパイプ21に粒状材料SAを投入する。
次に、図5(d)のように、ケーシングパイプ21を所定長さだけ上方に引き抜いて粒状材料SAを地盤G中へ排出する。次に、図5(e)のようにケーシングパイプ21に粒状材料SAを投入しながら、ケーシングパイプ21を所定長さだけ下方に打ち戻し、原地盤G内の粒状材料SAを締め固めて大口径の円柱状にする。図5中の実線cは、各工程におけるケーシングパイプ21の先端の軌跡を示すが、この軌跡cのように上方への引き抜き、下方への打ち戻しを繰り返し、また適宜粒状材料SAを投入する。これにより、図5(f)のように、たとえば直径40〜50cm程度のケーシングパイプ21よりも大口径の、たとえば直径70cm程度の粒状材料SAからなり締め固められた円柱状の圧入部11を地盤G内に造成することができる。なお、圧入部11の地盤G内での長さは、対象地盤におけるフライアッシュ層厚により設定される。
本実施形態の飽和地盤の締め固め工法によれば、水で飽和したフライアッシュからなる地盤の地下水位を低下させ、この地盤を不飽和状態とした後、この不飽和地盤に粒状材料を圧入することにより、事前に不飽和工程でフライアッシュ粒子間の間隙水が排出されているためフライアッシュ粒子間の間隙を効果的に小さくすることができる。このため、粒径0.075mm未満の細粒分が質量含有率で50%以上の締め固めの難しいフライアッシュからなる飽和地盤を効率的に締め固めることができる。また、透水係数が1×10-7m/sec〜1×10-5m/secの範囲内のように透水性が低い地盤であっても、地下水位を低下させて不飽和化できれば、粒状材料の圧入により地盤を締め固めることができる。
本実施形態の飽和地盤の締め固め工法による効果について図6を参照してさらに説明する。図6は、地盤を締め固める前のフライアッシュ粒子の状態を示す概略図(a)および締め固めた後のフライアッシュ粒子の状態を示す概略図(b)である。
図6(a)のように、フライアッシュ粒子D,D間の間隙Pが大きく地盤が緩い状態で、かつ、飽和地盤のため間隙Pが間隙水で飽和している場合、地盤を締めても、間隙Pから間隙水を速やかに排出することができないため、粒子D,D間の間隙Pを小さくできず、地盤を締め固めるのが難しい。これに対し、地盤を締める前に、飽和地盤の地下水位を低下させ、不飽和化することで、図6(a)の間隙Pから間隙水を排出し、しかる後に、粒状材料の圧入により地盤を締めることで、図6(b)のように、細粒分が多く透水性が低い地盤であっても、粒子D,D間の間隙水のない間隙Pを効率よく小さくすることができ、地盤を効率的に締め固めることができる。
特許文献1の地盤強化複合工法によれば、埋め立て地盤に多数の砂杭を造成し、次に、砂杭造成地盤を不飽和化し、次に、不飽和化した地盤に重錘落下や振動機により地盤面に振動を与えて締め固めるのに対し、本実施形態の飽和地盤の締め固め工法によれば、飽和地盤を不飽和化した後に、粒状材料を圧入することで地盤を効率的に締め固めることができるので、特許文献1の不飽和化した地盤の地盤面における重錘落下や振動のような特別な施工工程が不要で、施工効率が向上し、施工時間・コストの増大はない。
また、特許文献1では、不飽和化した地盤の地盤面における重錘落下や振動工程が必要なため、地盤が締まることに伴い地盤沈下が発生し易くなり、周辺施設や構造物への影響が懸念される。また、締め固めによる地盤沈下に伴い、周囲の地下水位よりも低い位置で締め固め作業を行うことになり、作業の安全性を確保することが難しくなってしまう。これに対し、本実施形態による粒状材料の圧入方法によれば、原地盤を効果的に締め固めることができるとともに、上述のような地盤沈下は発生し難い。また、過大な量の粒状材料の圧入を行わなければ、地盤の隆起を引き起こすことがないため、周辺施設や構造物への影響が小さい利点がある。
次に、図2の吸水ロッドの設置範囲・設置間隔の決定方法および具体例について図7,図8を参照して説明する。図7は図2の吸水ロッドの設置範囲・間隔を決定する方法を説明するためのフローチャートである。図8は、図7のようにして決定された吸水ロッドの設置範囲・設置間隔の具体例を示す上面図である。
図3(c)に示すように、地下水位が水平に低下せず、部分的に地下水位が高く残留しているような状態では不飽和領域の広さが十分でないため締め固めの効果が発揮されにくい。このため、地下水位を水平に低下させて広く不飽和領域をつくり出すことが必要である。飽和地盤における地下水位が水平に低下するように図2の吸水ロッドの設置範囲・設置間隔を次のようにして決定する。
図7を参照して、まず、図2の吸水ロッドを設置して低下させる地下水位に関する解析領域を設定する(S11)。次に、吸水ロッドの設置範囲および設置間隔を設定する(S12)。かかる吸水ロッドの設置範囲および設置間隔は、広くかつ大きく設定しておく。
次に、吸水ロッドの先端部に揚水条件を与え、地盤の透水係数や地下水位を低下させる深度などから浸透流解析を行う(S13)。かかる浸透流解析により地下水位の空間分布を得る(S14)。
次に、かかる地下水位の空間分布に基づいて地下水位が水平に低下しているかを判断する(S15)。たとえば、得られた地下水位の空間分布において、地下水位の最小低下量をh1、地下水位の最大低下量をh2とすると、次式(1)を満たすか否かにより、地下水位が水平に低下しているか否かを判断する。
h1/h2>0.8 (1)
式(1)を満たさない場合は、地下水位の最小低下量と最大低下量との差が大きく、このため、地下水位が水平に低下していないと判断し、工程S12に戻る。一方、式(1)を満たす場合は、地下水位の最小低下量と最大低下量との差がさほどなく、地下水位がほぼ水平に低下していると判断する。
式(1)を満たさないため工程S12に戻った場合、吸水ロッドの設置範囲および設置間隔の少なくとも一方の設定を変え、設置範囲および設置間隔の少なくとも一方を小さくするようにして絞り込みを行ってから、上述と同様にして工程S13〜工程S15を実行する。
工程S15において式(1)を満たすまで工程S12〜工程S15を繰り返し、その結果、式(1)を満たした場合、地下水位がほぼ水平に低下すると判断し、そのときの吸水ロッドの設置範囲および設置間隔を最適範囲および最適間隔と決定する(S16)。この決定された吸水ロッドの設置範囲を、図2の締め固め対象範囲Sとすることができる。
上述のようにして、改良対象の飽和地盤において地下水位がほぼ水平に低下するように吸水ロッドの設置範囲・設置間隔を決定することができる。たとえば、図8のように、吸水ロッド12は50m×50mの平面正方形状の範囲を包囲するように設置され、吸水ロッド12の必要本数が100本である場合、吸水ロッド12の設置間隔は2mである。
締め固め改良対象の原地盤は、粒径0.075mm未満の細粒分が質量含有率で50%以上のフライアッシュで埋め立てられた地盤であり、地下水位が図3(a)のように地盤表面近くにある飽和地盤である。このような飽和地盤は、従来、締め固めが容易でなかったが、本実施形態によれば、効率的に締め固めることができる。
また、原地盤へ圧入する粒状材料としては、高い湿潤状態にある材料でなく、乾燥状態に近い材料を用いることが好ましく、たとえば、石炭火力発電所より排出される石炭灰であるフライアッシュ、クリンカアッシュ、またはこれらの混合物を用いることができ、これにより、フライアッシュからなる飽和地盤を締め固めながら、石炭灰(フライアッシュ・クリンカアッシュ)を効率的に処分することができる。
上述のように、フライアッシュ・クリンカアッシュのような石炭灰を圧入する粒状材料として用いる場合、埋立処分を行う前の乾燥した生灰、または、湿潤状態にある原材料を乾燥させて用いる。圧入する粒状材料についても飽和度が高い状態にあれば締まり難く、また、圧入する粒状材料が乾燥状態に近ければ、圧入時に原地盤中の余分な水分を吸着し、原地盤の締め固め効果向上に寄与することができる。
一般に、砂質土を締固める際に圧入する粒状材料の好ましい含水比は、10〜20%程度である。圧入する粒状材料が原地盤中の余分な水分を吸着する効果と、圧入する粒状材料自身が締め固まる効果を考慮すると、含水比を10%以下にした粒状材料を用いることが望ましく、これら二つの効果を併せて得ることができる。
本発明者等の検討・研究によれば、本実施形態の飽和地盤の締め固め工法は、石炭火力発電所等で石炭の燃焼時に生じる石炭灰のうち、粒径の小さいフライアッシュが埋め立てられた地盤の締め固めに効果的であることが見いだされた。すなわち、フライアッシュからなる石炭灰地盤は、粒径0.075mm未満の細粒分が質量含有率で80%程度と多いものの、粘土分は含まれず、土質区分としては「シルト」に分類される。かかるフライアッシュは、透水性が低いため砂質土に比べて締め固めることが難しいが、透水係数が1×10-7m/sec〜1×10-5m/sec程度であり、この程度の透水性であれば、飽和地盤において地下水位低下工法により、地下水位を低下させることが可能である。なお、粘土のように透水係数が10-9m/sec〜10-8m/secと小さいと、飽和地盤において地下水位を低下させることは難しい。
以上から、フライアッシュを埋め立てた地盤は透水性が低く、締め固めは砂質土ほど容易ではないものの、透水係数が10-7m/sec程度以上であるため、地下水位低下工法により地下水位を下げ、飽和地盤を不飽和化することが可能である。したがって、水で飽和したフライアッシュからなる地盤を、まず地下水位低下工法により不飽和化してから、粒状材料の圧入により効果的に締め固めることができる。
以上のように、本実施形態の飽和地盤の締め固め工法は、石炭灰であるフライアッシュを埋め立てた地盤に適用して非常に効果的であるので、フライアッシュを処分した石炭灰処分場に適用することが可能である。すなわち、フライアッシュを処分した石炭灰処分場において、飽和地盤を締め固めることで地盤改良を実現できるとともに、圧入する粒状材料としてフライアッシュやクリンカアッシュのような石炭灰を用いることができ、石炭灰を効率的に処分することができる。このため、本発明は、見方を変えれば、石炭火力発電所等から大量に発生する産業廃棄物である石炭灰の効率的な処分工法として捉えることもできる。なお、クリンカアッシュは、石炭火力発電所等において高温なボイラー内で赤く溶けた状態の灰をボイラー底部の水槽に落下・急冷させ、砂状に破砕した粒径が比較的大きい石炭灰である。
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。たとえば、地下水位を低下させる工法として、本実施形態では、吸水ロッドを地盤中に挿入して真空吸水するウエルポイント工法を適用したが、本発明はこれに限定されず、たとえば、井戸を掘り、下端に揚水ポンプを設置して地下水を排出させるディープウエル工法を適用してもよい。すなわち、図1の工程S01,S02は、地盤内に井戸を掘削する工程、および、井戸の下端に設置した揚水ポンプにより地下水を排出することで飽和地盤を不飽和化する工程であってもよい。
また、本発明は、フライアッシュを埋め立てた地盤に限らず、粒径0.075mm未満の細粒分が質量含有率で50%以上の砂質シルトやシルトのような透水係数が1×10-5m/sec以下の飽和地盤の締め固めにも適用可能であり、かかる飽和地盤を効率的に締め固めることができる。この場合、圧入する粒状材料は、砂質土等であってもよいが、含水比が10%以下であることが好ましい。
本発明によれば、細粒分が多く透水性が低いフライアッシュからなる飽和地盤であっても効率的に締め固めることができるので、たとえば、海岸近くに設置された石炭灰処分場における飽和したフライアッシュからなる地盤を締め固めることができるとともにフライアッシュやクリンカアッシュのような石炭灰を圧入することで石炭灰を効率的に処分可能である。
11 圧入部
12 吸水ロッド(吸水部材)
20 サンドコンパクションパイル(SCP)施工機械
G 原地盤
G1 不飽和地盤
H 地下水位
SA 粒状材料

Claims (6)

  1. 石炭灰であるフライアッシュからなる水で飽和した地盤を締め固める工法であって、
    複数の吸水部材を地盤中に挿入する工程と、
    前記複数の吸水部材を通して負圧発生装置により吸水を行うことで地盤中の地下水位を水平となるように低下させて地盤内を不飽和化する工程と、
    前記不飽和化した地盤内に含水比10%以下である粒状材料を圧入する工程と、を備える飽和地盤の締め固め工法。
  2. 改良対象範囲内において前記地下水位が水平に低下するように前記複数の吸水部材の配置を浸透流解析によって決定する請求項に記載の飽和地盤の締め固め工法。
  3. 地盤隆起を引き起こさない量の前記粒状材料を圧入する請求項1または2に記載の飽和地盤の締め固め工法。
  4. 前記粒状材料の圧入は、サンドコンパクションパイル施工機械を用いて行う請求項1乃至3のいずれか1項に記載の飽和地盤の締め固め工法。
  5. 前記粒状材料は、石炭灰であるフライアッシュおよび/またはクリンカアッシュである請求項1乃至のいずれか1項に記載の飽和地盤の締め固め工法。
  6. 前記地盤の透水係数が1×10-7m/sec〜1×10-5m/secである請求項1乃至のいずれか1項に記載の飽和地盤の締め固め工法。
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