JP2007080591A - 腕金用絶縁被覆シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 電柱、鉄塔等に固定された腕金に形成された貫通穴を利用してカラス等が営巣することを有効、且つ確実に防止することができ、しかも、腕金の形状、設置状況に関係なく、簡単な作業によって取り付けることができる腕金用絶縁被覆シートを提供する。
【解決手段】 電柱類2に固定されて外面に貫通穴を備えた中空柱状の腕金1を被覆する絶縁被覆シート10であって、貫通穴を含む腕金の要被覆部分に添設されると共に腕金の周方向長を越える周方向長を有することにより周方向両端部を重ねて接着する隠蔽領域Aと、腕金に取り付けた部品、或いは腕金の周囲に装備された障害物を回避する切欠き部Bと、を備えた。
【選択図】 図1

Description

本発明は電柱、鉄塔等に固定されて電線、その他の機器類を支持する腕金を利用して、カラス等の鳥類が営巣したり、鳥類や蛇、その他の生物が腕金と電線間を短絡させることによって発生する地絡事故を有効に防止することができる腕金用絶縁被覆シートに関するものである。
電柱や鉄塔上に固定される腕金は、カラス、鷺等の鳥類によって格好の営巣場所として利用され易いが、腕金や腕金に付属する碍子、電線等に対して針金、木の枝、草、葉等を集積した巣が形成されると、これらが腕金周辺の導体部分間を短絡させる配電線事故をもたらすことが多々ある。腕金は、通常、鉄等の金属板材料を中空多角柱状に成型したものに亜鉛メッキを施した構成を備えており、多様な装柱構造を実現できるようにその側面、上下面等に、丸穴、長穴等の多数の貫通穴が形成されている。
ところで、従来から営巣を防止するために種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1、特許文献2、太い棒状の幹体から多数の細い枝体を多様な方向に突出させた鳥害防止具が開示されており、この防止具を電柱の腕金やその近傍に取り付けることによって営巣の防止を図っている。これらは、腕金周辺の営巣空間をなくすることによって営巣を防止することを目的としている。しかし、カラス等の鳥類は腕金に多数形成されているボルト穴や、前記枝体間の空隙内に枝や針金を差し込んでこれを基礎材とし、その上に営巣材料を組み付けることによって営巣空間を新たに作出して巣を巧妙に完成するため、営巣防止効果は少なかった。
特許文献3にも腕金上面に多数のバリヤー棒体を突設させた営巣防止具が開示されているが、カラス等は腕金の側面等に形成されたボルト穴や、バリヤー棒体間の隙間を巧みに利用して基礎材となる枝や針金を差込んで新たな営巣空間を作りだして営巣するため、営巣防止効果は少なかった。
また、特許文献4、5には、電柱を挟んで平行に固定された抱腕形式の2本の横型(直線状に水平に延びるタイプ)の腕金を、定型化された板状のカバーによって覆うことによって営巣を阻止する構成が開示されている。しかし、腕金の種類はU型、C型、L型等々多種多様に亘っており、しかも腕金周辺に取り付けられる碍子などの部材や、電線の取付け状況が電柱毎に異なるため、このような定型された形状のカバーを全ての状況に適合するように予め設計しておくことは不可能であり、しかも柱上において現場の状況に合わせてカバーの形状を加工することも容易ではない。
なお、腕金は亜鉛メッキされているために接着剤や粘着テープを用いて防巣具を腕金に取り付けることが難しく、ボルト、バンド、金具等を用いて防巣具を取り付ける大がかりな構造とならざるを得なかった。
本発明者が腕金を利用したカラスの営巣状況を仔細に観察したところ、カラスは腕金に予め形成されている多数のボルト穴や、取付けバンドと電柱との隙間に基礎材となる枝や針金を差し込むことによって基礎部を作ってから、その上に他の営巣材料を組み付けることによって堅牢な巣を完成させることが判った。これは、腕金の上面等が防巣具によって覆われている場合においても、腕金側面に僅かでも穴が開口しているかぎり、この穴を利用して営巣できることを意味する。
即ち、図4は電柱100の標準高さ位置に2本の横型の腕金101を抱腕式に固定した状態を示しており、腕金101の上面のスペース上には防巣具105を配置している。しかし、腕金には多数の丸穴や長穴等の貫通穴102が形成されている。カラスは、この貫通穴102に枝、針金等103を差し込んで基礎部を形成することによって、基礎部周辺の僅かな空間を利用して他の営巣材料104を積み重ねて営巣することができる。
或いは、腕金と碍子とを接続するためのねじりストラップに形成される開口部も営巣のための基礎材を差込み固定するために利用されることが多い。
次に、営巣とは無関係に、腕金にとまった鳥類がその嘴で電線の絶縁がない部分、その他の導体部分に触れた場合には地絡事故が発生することがある。このような地絡事故は、鳥類に限らず、蛇、その他の生物によってももたらされることがある。
更に、腕金の両端部の開口内に雀等の小型鳥類が営巣することにより、地絡事故その他の不具合をもたらすことも指摘されている。
また、海岸地域のように腕金に支持された碍子に塩分が付着し易い環境においては、碍子の外面に付着した塩分と水分によって表面漏電が発生するトラッキング現象が発生し易いが、トラッキングが発生すると碍子の支持部が焼損したり、電線の絶縁被膜が焼損して、腕金付近の碍子支持部分が導通した状態に陥りやすい。この状態において、鳥類等が腕金に止まり、碍子支持部分に接触すると、その時点で地絡事故が発生することが多々ある。
また、使用されていない貫通穴から塩が侵入して内部に堆積することにより、腕金が錆びやすくなるという問題がある。
特開2005−110571公報 特開2004−313005公報 特開2000−287605公報 特開平9−028267号公報 特開平9−028268号公報
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、電柱、鉄塔等に固定された腕金に形成された貫通穴を利用してカラス等が営巣することを有効、且つ確実に防止することができ、しかも、腕金の形状、設置状況に関係なく、簡単な作業によって取り付けることができる腕金用絶縁被覆シートを提供することを目的としている。
更に、腕金に止まった鳥類、その他の小動物類が導体間を短絡させる地絡事故や、腕金の内外面に塩分が付着することによる錆発生を防止することを目的としている。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、電柱類に固定されて外面に貫通穴を備えた中空柱状の腕金を被覆する絶縁被覆シートであって、前記貫通穴を含む前記腕金の要被覆部分に添設されると共に前記腕金の周方向長を越える周方向長を有することにより周方向両端部を重ねて接着する隠蔽領域と、前記腕金に取り付けた部品、或いは腕金の周囲に装備された障害物を回避する切欠き部と、を備えたことを特徴とする。
電柱類とは、その使用材料とは関係なく電線等を支持するための腕金を固定する対象物である。腕金は、中空に加工された金属板部材から成り、多用な装柱状況に対応できるように多数の貫通穴等、鳥類の営巣に利用され易い構成を備えている。絶縁被覆シートにより腕金を被覆して貫通穴等の要被覆部分を隠蔽する為には、絶縁被覆シートを、碍子、ボルト、その他の突起物を回避した形状に予めレイアウトしておくか、あらゆる周辺状況に対応して被覆することができるような小片に分けることが考えられる。
また、腕金を絶縁被覆することにより、地絡事故を有効に防止することが可能となる。
請求項2の発明は、電柱類に固定されてその外周面に貫通穴を備えた中空柱状の腕金を被覆する絶縁被覆シートであって、腕金外面の要被覆部分を被覆する複数の絶縁シート片を備え、各絶縁シート片は、前記腕金、或いはその周囲に装備された障害物を回避した状態で、前記貫通穴を含む前記腕金の要被覆部分に添設されると共に前記腕金の周方向長を越える周方向長を有することにより周方向両端部、或いは幅方向端部同士を重ねて接着するための構成を備えていることを特徴とする。
腕金の周面には接着剤が接着しにくい亜鉛メッキ層が形成されていたり、汚れの付着により接着剤が接着しにくくなっていることが多い。このため、本発明では、絶縁被覆シートの端部同士を接着することによって腕金外面へのシートの固定を可能としている。
請求項3の発明は、請求項1において、前記隠蔽領域の周方向両端部の少なくとも一方の端部には、他方の端部と接着するための接着層が予め形成されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2において、前記絶縁シート片の周方向両端部の少なくとも一方の端部、又は幅方向端部には、他方の端部と接着するための接着層が予め形成されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、電柱類に固定されて外面に貫通穴を備えた中空柱状の腕金を被覆する絶縁被覆シートであって、適所に接着層を備えた細幅長尺の絶縁テープから成り、前記絶縁テープを螺旋状に前記腕金外面に連続して巻き付けることにより、前記貫通穴を含む前記腕金の要被覆部分を隠蔽するように構成したことを特徴とする。
任意の狭い幅を有した長尺の絶縁テープを用いて腕金外面を被覆するようにすれば、突起等の障害物を回避しながら連続した被覆作業が可能となり、作業性が向上する。
以上のように本発明によれば、腕金に多数形成されている貫通穴を絶縁被覆シートによって隠蔽するようにしたので、カラス等の鳥類が、電柱、鉄塔等に固定された腕金に形成された貫通穴を利用して営巣材料を固定した上で営巣することを有効、且つ確実に防止することができ、しかも、腕金の形状、設置状況に関係なく、簡単な作業によって絶縁被覆シートを取り付けることが可能となる。
更に、腕金に止まった鳥類、その他の小動物類が導体間を短絡させる地絡事故や、腕金の内外面に塩分が付着することによる錆発生を防止することもできる。
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)は本発明の絶縁被覆シート及びこの絶縁被覆シートを取り付ける対象物としての腕金の構成を示す図、(b)は絶縁被覆シートを取り付けた状態の腕金を示す図、(c)は腕金の開口部側からの構成説明図である。
腕金1は、この例では鉄等の金属板を中空多角柱状に成型すると共に外面に亜鉛メッキを施した構成を備えている。腕金1としては、図示のような直線棒状の横型の他にも、C型、U型、D型等々種々の形態があるが、本実施形態では横型の腕金に適用する絶縁被覆シートについて説明する。
腕金1は、電柱2の標準地上高にボルト3、或いは図示しないバンド等によって固定されている。この装柱構造は、2本の横型腕金1を電柱2を挟んで平行に対向配置した抱腕式のタイプであり、各腕金1の側面や上面には他のボルト4が突設されると共に、丸穴、長穴等の貫通穴5が貫通形成されている。更に、腕金の上面にはピン碍子6が固定されている。
貫通穴5は、あらゆる装柱状況に対応してボルトやその他の部品を取付けすることができるように腕金の外面に複数形成されているため、使用されていない貫通穴5を利用してカラス等が営巣することは前述の通りである。
本発明の絶縁被覆シート10は、十分な機械的強度と、電気的な耐圧を備えたビニル等の絶縁材料から構成されており、腕金の外面を被覆するように固定されることにより、鳥類の営巣のための手掛かりとなる貫通穴5や端部開口7を塞いだり、鳥類や動物等が接触することによって地絡事故の原因となり得る露出部分を隠蔽するために使用される。
絶縁被覆シート10は主として腕金を被覆すべく使用されるため、高圧に耐え得る程度の耐圧である必要はなく、ある程度の耐圧を有していれば十分である。
この絶縁被覆シート10は、一枚のビニールシートを腕金1の形状、電柱の形状、ボルト3、4、ピン碍子6等の取付け部品類の位置や形状に対応して所要の形状となるようにレイアウトされている。
即ち、この絶縁被覆シート10は、貫通穴5を含む腕金1の外面(要被覆部分)に添設されて、鳥類の営巣のために利用される貫通穴5を塞ぐばかりでなく、それ以外の腕金外面を隠蔽することによって、鳥類や動物等を原因とした地絡事故を防止する。
また、海岸地域において碍子の外面に付着した塩分と水分によって表面漏電が発生するトラッキングは、碍子や電線の絶縁部分を焼損させて腕金を導通状態にすることがあるが、この場合にも腕金のほぼ全体を絶縁材料である絶縁被覆シート10により被覆しておくことにより、鳥類が腕金に止まった場合に発生し易かった地絡事故を未然に防止することが可能となる。
また、使用されていない穴を塞ぐことにより、腕金内部に塩分が堆積して錆を発生させる不具合も解消できる。
また、絶縁被覆シート10は、腕金1の周方向長を越える周方向長Lを有することにより、図1(a)中に示すように周方向両端部(少なくとも一部)を重ねて接着する隠蔽領域(図中にハッチングにて図示)Aと、腕金1に取り付けられた部品、或いはその周囲に装備された障害物を回避する切欠き部(切り込み線を含む)Bと、を備えている。
図1(b)はこの絶縁被覆シート10を腕金1に巻き付けて固定した状態を示しており、隠蔽領域Aが腕金1の要隠蔽部分を被覆すると共に、切欠き部分Bはボルト3、4、ピン碍子6に対応する位置に形成され、これらの障害物を回避する(露出させる)ように切欠き部分の形状や位置がレイアウトされている。従って、絶縁被覆シート10を添設させる要隠蔽部分は隠蔽領域Aによって隠蔽され、絶縁被覆シートの添設に際して障害となる突起等の障害物は切欠き部分Bによって回避された状態となる。つまり、突起等の障害物は切欠き部Bから露出することとなる。
隠蔽領域Aは、腕金1の要隠蔽部分を被覆する領域であり、図1(c)に示すようにその周方向長Lが腕金の周方向長を越えているため、腕金外周面に一周以上巻き付くことによって重なった端部同士を、接着剤、両面テープ、マジックテープ(登録商標)等から成る接着層11によって接着することにより、絶縁被覆シート10は腕金の外面に強固に固定される。腕金外面には亜鉛メッキが施されているために直接接着剤によりシートを接着することは困難であるが、本実施形態では重なったシート端部間を接着剤により接着するので、亜鉛メッキ層の存在にも拘わらず確実に絶縁被覆シートを腕金外面に固定することができる。接着層11は、予め絶縁被覆シートの周方向両端部のうちの少なくとも一方に形成しておけばよい。
この絶縁被覆シート10は、腕金を装柱する前に地上において腕金に装着することもできるし、柱上での作業によっても装着することができる。予め、腕金の寸法、障害物の位置や形状が判明しているので、切欠き部Bを形成するためにシートの適所を切除する作業は容易である。なお、ボルト3、4が腕金の外面から突出する量が僅かに過ぎない場合には、絶縁被覆シート10によって隠蔽することが可能であり、わざわざボルトを露出させるための切欠き部を形成する手間が掛かることを考慮すれば、絶縁被覆シートによって隠蔽する方が作業が効率化する。従って、切欠き部Bを設ける箇所は、ピン碍子、その他の隠蔽することができないサイズ、形状等の突起物などに限定すればよい。
また、この絶縁被覆シート10を用いて腕金を被覆することにより、図4に示した如き防巣具を腕金上に取り付けない場合には、防巣具を固定する腕金部分に相当するシート部分を切り欠く必要がなく、絶縁被覆シート10の形状をシンプル化することができる。
或いは、防巣具を腕金に取り付ける場合には、この防巣具を回避するように切欠き部Bをシートに設ければよい。
更に、図1(a)中に点線で示すように、絶縁被覆シート10の長手方向両端縁から閉止片12を突設させて、この閉止片12によって腕金1の長手方向両端部の開口7を閉止するようにしてもよい。即ち、この閉止片12は、腕金に巻き付けられた隠蔽領域Aの長手方向両端縁から延びて腕金端部の開口7を閉止してから折り返して反対側に位置する隠蔽領域に接着固定される。この際、ピン碍子6等の障害物を回避するための切欠き12aを必要に応じて形成しておくことにより、装着作業が容易となる。
本実施形態に係る絶縁被覆シートによれば、隠蔽領域Aによって腕金外面に設けた貫通穴5、端部開口7を閉止、隠蔽することができるため、小型鳥類、小動物の営巣、侵入、ゴミや塩分の堆積等を防止することが可能となり、地絡事故、錆の発生等を防止することができる。
上記実施形態では、一枚の絶縁被覆シートによって腕金の要被覆領域を隠蔽するように構成したが、多様なサイズ、形状を有した腕金や、腕金に取り付けられる突起物としての部品類のバリエーションに対応しつつ、柔軟に腕金の要被覆領域を被覆することができるようにするためには、次の実施形態に示すように絶縁被覆シートを複数枚の絶縁シート片によって構成することが好ましい。
図2(a)(b)及び(c)は本発明の他の実施形態に係る絶縁被覆シートを取り付ける対象物としての腕金の正面図、平面図、及び側面図である。
この絶縁被覆シート10は、一つの腕金1の外面の要被覆部分を被覆する複数の絶縁シート片15a、15b、・・・15nを備えている。
各絶縁シート片15a、15b、・・・15nは、腕金1、或いはその周囲に装備されたピン碍子6等の障害物を回避した状態で、貫通穴5、その他の外面を含む腕金の要被覆部分に添設される。各絶縁シートは、腕金1の周方向長を越える周方向長Lを有することにより周方向両端部(少なくとも一部)を重ねて接着するための構成を備えている。
個々の絶縁シート片の幅Wは同一寸法に設定してもよいし、異ならせても良いが、同一寸法に設定しておくことが取扱いの上では便利である。隣接し合う絶縁シート片の幅方向端部同士は重なっても差し支えないため、腕金の長手方向寸法に合わせて厳密に個々の絶縁シート片の幅寸法を設定する必要はない。絶縁シート片の幅方向端部同士の重なり部分は接着剤により接着することが位置ずれを防ぐ上で好ましい。
ピン碍子等の障害物が存在しない腕金外面に対して添設される絶縁シート片については、切欠き部Bは不要であるが、障害物を回避しつつ腕金外面に添設する必要のある絶縁シート片については、例えば図2(a)に示すように隠蔽領域Aの周方向端縁、或いは幅方向端縁の適所に障害物を回避する個所に切欠き部Bを形成する。
また、腕金の側面に取り付ける碍子20をねじりストラップ21により固定する場合にはねじりストラップに設けられている穴がカラス等の営巣のために利用される虞があるので、絶縁シート片を予め細い幅に裁断しておいたものをこのねじりストラップの穴を塞ぐように巻き付けておくのが好ましい。
次に、図3(a)は本発明の他の実施形態に係る絶縁被覆シートの構成説明図、(b)は腕金に巻き付けた状態を示す図である。
この絶縁被覆シート10は、適所に接着層11を備えた細幅長尺の絶縁テープ30から成る。この絶縁テープ30は、通常はロール状に巻いてコンパクト化しておく。接着層11は例えばビニル等からなる絶縁テープの裏面全体に形成しておく。この絶縁テープ30を腕金外面に巻き付ける際には、腕金の適所から巻き始めて螺旋状に長手方向へずらしてゆくことにより、絶縁テープを途中で切断することなく一巻き以上連続して巻き付けて腕金の要被覆部分を隠蔽させることが可能となる。この際、ピン碍子等の障害物を回避しつつ巻き付けることができるので作業性が向上する。
障害物の存在により連続して巻き付ける作業が不可能となる場合には、適当な箇所で絶縁テープ30を切断してから、切断端部同士を重ねて連続性をもたせた状態で巻き付け作業を再開するようにしてもよい。
絶縁テープ30は、異なった幅寸法のものを複数個使い分けることにより、現場の状況に柔軟に対応した作業が可能となる。例えば、腕金外面の突起物を回避するように絶縁テープを巻き付けることにより、絶縁テープの切欠き部を形成する必要もなく、最低限の手数で腕金外面に対する被覆を完了することが可能となる。
絶縁テープ30を腕金外面に螺旋状に巻き付けるに際しては、隣接する絶縁テープ部分同志の幅方向端部を重複させて接着させることによって腕金に対する固定を確実にすることができる。
或いは、腕金外面に対して略一巻きする毎に切断したり、予め所定長に切断した上で腕金外面に巻き付ける方が作業性がよい場合にはそのようにすることも自由である。
上記各実施形態に示した本発明の絶縁被覆シートは、取付け対象となる腕金の形状に応じて柔軟に対応することができるため、直線状に延びる横型の腕金のみならず、C型、U型、D型等々、種々の形態の腕金に対しても簡単に被着することができる。
なお、貫通穴5に相当する部分、その他、補強を必要とする絶縁被覆シート部分には、二重に絶縁被覆シート10を貼り付けるようにしてもよい。
(a)は本発明の絶縁被覆シート及びこの絶縁被覆シートを取り付ける対象物としての腕金の構成を示す図、(b)は絶縁被覆シートを取り付けた状態の腕金を示す図、(c)は腕金の開口部側からの構成説明図である。 (a)(b)及び(c)は本発明の他の実施形態に係る絶縁被覆シートを取り付ける対象物としての腕金の正面図、平面図、及び側面図である。 (a)は本発明の他の実施形態に係る絶縁被覆シートの構成説明図、(b)は腕金に巻き付けた状態を示す図である。 従来の腕金の問題点を説明する図である。
符号の説明
1…腕金、2…電柱、3、4…ボルト、5…貫通穴、6…ピン碍子、7…開口、
10…絶縁被覆シート、11…接着層、12…閉止片、15a…各絶縁シート片、15a…絶縁シート片、20…碍子、21…ストラップ、30…絶縁テープ。

Claims (5)

  1. 電柱類に固定されて外面に貫通穴を備えた中空柱状の腕金を被覆する絶縁被覆シートであって、
    前記貫通穴を含む前記腕金の要被覆部分に添設されると共に前記腕金の周方向長を越える周方向長を有することにより周方向両端部を重ねて接着する隠蔽領域と、前記腕金に取り付けた部品、或いは腕金の周囲に装備された障害物を回避する切欠き部と、を備えたことを特徴とする腕金用絶縁被覆シート。
  2. 電柱類に固定されてその外周面に貫通穴を備えた中空柱状の腕金を被覆する絶縁被覆シートであって、
    腕金外面の要被覆部分を被覆する複数の絶縁シート片を備え、
    各絶縁シート片は、前記腕金、或いはその周囲に装備された障害物を回避した状態で、前記貫通穴を含む前記腕金の要被覆部分に添設されると共に前記腕金の周方向長を越える周方向長を有することにより周方向両端部、或いは幅方向端部同士を重ねて接着するための構成を備えていることを特徴とする腕金用絶縁被覆シート。
  3. 前記隠蔽領域の周方向両端部の少なくとも一方の端部には、他方の端部と接着するための接着層が予め形成されていることを特徴とする請求項1に記載の腕金用絶縁被覆シート。
  4. 前記絶縁シート片の周方向両端部の少なくとも一方の端部、又は幅方向端部には、他方の端部と接着するための接着層が予め形成されていることを特徴とする請求項2に記載の腕金用絶縁被覆シート。
  5. 電柱類に固定されて外面に貫通穴を備えた中空柱状の腕金を被覆する絶縁被覆シートであって、
    適所に接着層を備えた細幅長尺の絶縁テープから成り、
    前記絶縁テープを螺旋状に前記腕金外面に連続して巻き付けることにより、前記貫通穴を含む前記腕金の要被覆部分を隠蔽するように構成したことを特徴とする腕金用絶縁被覆シート。
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