JP2007079689A - 設備計画作成支援装置及びそのプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】 設備の保全計画または建設計画を客観的に、適切に作成することができる設備計画作成支援装置を提供する。
【解決手段】 設備情報に基づいて、設備の損壊時損失費用Cfと最大保全費用Cmmaxを算出し、さらに設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfを算出する。また、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを算出し、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfと保全費用CmPfに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを算出する。また、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出するとともに、設備の許容損壊確率Pfを算出する。そして、設備の許容損壊確率Pfと最小期待総費用損壊確率Pfjustとの常用対数比である適期度Kと、損壊時損失費用Cfとに基づいて設備のリスクグレードを判定する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、設備の保全計画または設備の建設計画の作成を支援する技術、特に、設備の保全計画または設備の建設計画を定量的に作成することができる設備計画作成支援情報を提供する技術に関する。
水力発電所等には多くの設備が設けられている。これらの設備では、長期的な経年において劣化が生ずるため、その健全性を維持するための保全計画(例えば、保全工事の実施時期等)を作成する必要がある。ここで、設備の健全性を維持するための保全費用は、それを増加させるほど設備の損壊するリスクが小さくなり、設備信頼度が高められるが、必要以上に増加させると不経済になる。一方、保全費用を節約しすぎると、設備の損壊するリスクが大きくなり、設備信頼度が低くなる。例えば、設備の保全工事を実施する時期の間隔が短すぎると、設備の損壊するリスクは小さくなるものの、保全工事費用が増大することになる。一方、設備の保全工事を実施する時期の間隔が長すぎると、保全工事費用は低減することができるものの、設備の損壊するリスクが大きくなってしまう。
そこで、設備の保全計画を適切に作成するための設備保全計画作成支援装置の開発が要望されている。
従来、リスク・ベースト・メンテナンス(RBM)手法を用いた設備保全計画作成支援装置が知られている。(特許文献1参照)
この従来の設備保全計画作成支援装置は、「リスク」を「損壊の起こりやすさ」と「損壊した場合の被害の大きさ」との積として定義し、この「リスク」に基づいて設備の保全計画を作成するものである。
特開2004−46707号公報
従来の設備保全計画作成支援装置では、「損壊の起こりやすさ」の評価を専門家が判断しているため、主観的要素の影響が大きく、客観性や定量的評価に乏しい。このため、設備の保全計画を客観的に、適切に作成することができる設備保全計画作成支援技術の開発が要望されている。
また、設備の建設計画に対しても、設備の建設計画を客観的に、適切に作成することができる設備建設計画作成支援技術の開発が要望されている。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、設備の保全計画や設備の建設計画等の設備計画を客観的に、適切に作成することができる設備計画作成支援技術を提供することを目的とする。
本明細書では、「対応する」という記載は「1対1」の関係を表すものとして用いられ、「対する」という記載は「複数対複数」の関係を表すものとして用いられている。例えば、「許容損壊確率Pfに対応する保全費用CmPf」という記載は、特定の値である許容損壊確率Pfが与えられた時の保全費用CmPfを表している。また、「損壊確率Pfに対する保全費用CmPf」という記載は、損壊確率Pfは複数の値をとることができ、損壊確率Pfにそれぞれの値が与えられると保全費用CmPfが決定されることを表している。
(第1発明)
前記課題を解決するための本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。本発明は、設備の保全計画あるいは設備の建設計画を作成する際に用いることができる。
本発明は、処理装置と、設備情報データベースを有する記憶装置と、入力装置と出力装置を備えている。
処理装置は、管理手段と、最小期待総費用損壊確率算出手段と、許容損壊確率算出手段を有している。
管理手段は、装置全体の動作を管理する。例えば、入力装置により入力された設備情報を記憶装置の設備情報データベースに記憶する処理、算出された設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfを出力装置から出力する処理等を実行する。
最小期待総費用損壊確率算出手段は、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用または設備の建設費用の両方をバランスよく適切に低減することができることを示す指標である、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出する。設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustは、設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfと設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfまたは建設費用CbPfから定まる、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる損壊確率Pfとして算出される。設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalは、例えば、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfと設備の損壊確率Pfに対する設備の保全費用CmbPfまたは建設費用CbPfを加算することによって算出することができる。
許容損壊確率算出手段は、設備の安全性確保のための指標である許容損壊確率Pf(損壊確率Pfの許容範囲の上限値)を算出する。許容損壊確率Pfは、設備情報、例えば、設備の耐用年数や前回の保全工事実施年からの経過年数等に基づいて算出される。
本発明の入力装置としては、入力キーや、記憶媒体に記憶されている情報を読み取る読取装置等を用いることができる。本発明の出力装置としては、表示装置や印刷装置等を用いることができる。また、処理装置に通信回線を介して接続されている端末装置の入力装置や出力装置を、本発明の入力装置や出力装置として用いることもできる。
設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfとしては、好適には、設備を保全するのに要する保全工事費用(撤去費用は含まない)を資本回収係数で年費化した保全費用(年費)が用いられる。保全費用を年費として扱うことにより、最小保全費用Cmminを「0」とみなすことが可能となり、損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを求めるために必要な諸元を最大保全費用Cmmaxのみとすることができる。すなわち、保全費用を年費として扱うことにより、最大保全費用Cmmaxが与えられさえすれば、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを容易に求めることが可能になる。
また、設備の損壊確率Pfに対する建設費用CbPfとしては、設備を建設するのに要する建設工事費用を用いる。なお、建設費用CbPfについては、その本来の性質上、年費として扱うものではない。
設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfを比較することにより(最小期待総費用損壊確率Pfjusrと許容損壊確率Pfとの比較結果を設備の保全計画または設備の建設計画を作成する際の指標とすることにより)、設備の安全性を確保しつつ、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用または設備の建設費用の両方をバランスよく最適に低減することができる設備の保全計画または設備の建設計画を作成することができる。
(第2発明)
本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。本発明は、設備の保全計画あるいは設備の建設計画を作成する際に用いることができる。
本発明は、処理装置と、設備情報データベースを有する記憶装置と、入力装置と出力装置を備えている。
処理装置は、管理手段と、最小期待総費用損壊確率算出手段と、許容損壊確率算出手段と、最適保全費用または最適建設費用算出手段を有している。
管理手段は、装置全体の動作を管理する。例えば、入力装置により入力された設備情報を記憶装置の設備情報データベースに記憶する処理、算出された設備の最適保全費用Cmoptまたは設備の最適建設費用Cboptを出力装置から出力する処理等を実行する。
本発明の最小期待総費用損壊確率算出手段は、第1発明の最小期待総費用損壊確率算出手段と同様の方法で、設備の損壊確率Pfに対応する損失費用CfPfと設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfまたは建設費用CbPfから定まる、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出する。
本発明の許容損壊確率算出手段は、第1発明の許容損壊確率算出手段と同様の方法により、設備の損壊確率Pfの許容範囲での上限値である設備の許容損壊確率Pfを算出する。
最適保全費用または最適建設費用算出手段は、設備の許容損壊確率Pfあるいは設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustに対応する保全費用Cmpfまたは建設費用Cbpfに基づいて、設備の最適保全費用Cmoptまたは設備の最適建設費用Cboptを算出する。すなわち、設備の許容損壊確率Pfが設備の最小期待総費用損壊確率Pfjust以上である場合には、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustに対応する保全費用CmPfまたは建設費用CbPfに基づいて設備の最適保全費用Cmoptまたは設備の最適建設費用Cboptを算出する。一方、設備の許容損壊確率Pfが設備の最小期待総費用損壊確率Pfjust未満である場合には、設備の許容損壊確率Pfに対応する保全費用CmPfまたは建設費用CbPfに基づいて設備の最適保全費用Cmoptまたは設備の最適建設費用Cboptを算出する。
ここで、設備の保全費用CmPfとして、設備を保全するのに要する保全工事費用(撤去費用は含まない)を資本回収係数で年費化した設備の保全費用(年費)を用いている場合には、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustあるいは設備の許容損壊確率Pfに対応する設備の最適保全費用Cmoptを資本回収係数で割り返すことによって、設備の最適保全工事費用Ccopt(撤去費用は含まない)を算出することができる。すなわち、設備の最適保全工事費用は、設備の最適保全費用から算出することができる。
このため、本発明では、設備の最適保全費用を出力する態様には、設備の最適保全工事費用を出力する態様も包含される。
この設備の最適保全費用Cmopt(あるいは設備の最適保全工事費用Ccopt)または設備の最適建設費用Cboptにより(最適保全費用Cmoptあるいは最適保全工事費用Ccoptまたは最適建設費用Cboptを設備の保全計画または設備の建設計画を作成する際の指標として用いることにより)、設備の安全性を確保しつつ、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用または設備の建設費用の両方をバランスよく最適に低減することができる設備の保全計画または設備の建設計画を作成することができる。
(第3発明)
本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。本発明は、設備の保全計画を作成する際に用いることができる。
本発明は、処理装置と、設備情報データベースを有する記憶装置と、入力装置と、出力装置を備えている。
処理装置は、管理手段と、最小期待総費用損壊確率算出手段と、許容損壊確率算出手段と、適期度算出手段を有している。
管理手段は、装置全体の動作を管理する。例えば、入力装置により入力された設備情報を設備情報データベースに記憶する処理や、算出された適期度Kを出力装置から出力する処理を実行する。
本発明の最小期待総費用損壊確率算出手段は、第1発明の最小期待総費用損壊確率算出手段と同様の方法で、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfと設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfから定まる、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出する。
本発明の許容損壊確率算出手段は、第1発明の許容損壊確率算出手段と同様の方法で、設備の損壊確率Pfの許容範囲での上限値である設備の許容損壊確率Pfを算出する。
適期度算出手段は、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfに基づいて、設備の適期度Kを算出する。
適期度Kは、例えば、設備の安全性を確保しつつ、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の両方をバランスよく低減するための最適な設備の保全工事実施時期に関する指標であり、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の損壊確率Pfの許容範囲の上限値である設備の許容損壊確率Pfとの比較結果、好適には、対数比や対数差として算出される。
この適期度Kにより(適期度Kを設備の保全計画を作成する際の指標として用いることにより)、設備の安全性を確保しつつ、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の両方をバランスよく最適に低減することができる時期まで保全工事の実施時期を延長可能であるか否か、また、設備の安全性を確保するための保全工事を直ちに実施する必要があるか否かを容易に判断することができる。
(第4発明)
本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。本発明は、設備の保全計画を作成する際に用いることができる。
本発明は、処理装置と、設備情報データベースを有する記憶装置と、入力装置と、出力装置を備えている。
処理装置は、管理手段と、損壊時損失費用算出手段と、損壊確率を考慮した損失費用算出手段と、最大保全費用算出手段と、保全費用算出手段と、期待総費用算出手段と、最小期待総費用損壊確率算出手段と、許容損壊確率算出手段を有している。
管理手段は、処理装置の全体の動作を管理する。例えば、入力装置により入力された設備情報を設備情報データベースに記憶する処理、算出された設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfを出力装置から出力する処理等を実行する。
損壊時損失費用算出手段により、設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて設備の損壊時損失費用Cfが算出され、損壊確率を考慮した損失費用算出手段により、設備の損壊時損失費用Cfに基づいて設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfが算出される。
設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfは、例えば、損壊確率Pfと損壊時損失費用Cfを乗算することによって算出される。設備の損壊時における企業損失費用すなわち損壊時損失費用Cfは、例えば、財産損失費用、減収損失費用、補償損失費用等の和として算出される。
また、最大保全費用算出手段により、設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて設備の最大保全費用Cmmaxが算出され、保全費用算出手段により、設備の最大保全費用Cmmaxに基づいて設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfが算出される。設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfは、例えば、損壊確率Pfが最小損壊確率Pfminである時に最大保全費用Cmmaxとなり、設備の損壊確率Pfが最大損壊確率Pfmaxである時に最小保全費用Cmmin(例えば、「0」)となる算出式を用いて算出される。
そして、期待総費用算出手段により、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfと設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfに基づいて設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが算出され、最小期待総費用損壊確率算出手段により、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustが算出される。これにより、最小期待総費用損壊確率Pfjustをより客観的に算出することができる。
また、許容損壊確率算出手段により、設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて設備の許容損壊確率Pfが算出される。
設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfを比較することにより、設備の安全性を確保しつつ、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の両方をバランスよく最適に低減することができる設備の保全計画を作成することができる。
(第5発明)
本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。本発明は、設備の保全計画を作成する際に用いることができる。
本発明は、処理装置と、設備情報データベースを有する記憶装置と、入力装置と、出力装置を備えている。
処理装置は、管理手段と、損壊時損失費用算出手段と、損壊確率を考慮した損失費用算出手段と、最大保全費用算出手段と、保全費用算出手段と、期待総費用算出手段と、最小期待総費用損壊確率算出手段と、許容損壊確率算出手段と、適期度算出手段を有している。
管理手段は、装置全体の動作を管理する。例えば、入力装置により入力された設備情報を設備情報データベースに記憶する処理、算出された設備の適期度Kを出力装置から出力する処理等を実行する。
本発明では、第3発明と同様に、設備の損壊時損失費用Cf、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPf、設備の最大保全費用Cmmax、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPf、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotal、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる設備の最小期待総費用損壊確率Pfjust、設備の許容損壊確率Pfが算出される。
そして、適期度算出手段により、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfに基づいて、設備の適期度Kが算出される。これにより、適期度Kをより客観的に算出することができる。
適期度Kは、好適には、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfとの対数比や対数差として算出される。
この適期度Kにより、設備の安全性を確保しつつ、設備の損壊確率を考慮した損失費用と保全費用の両方をバランスよく最適に低減することができる時期まで保全工事の実施時期を延長可能であるか否か、また、設備の安全性を確保するための保全工事を直ちに実施する必要があるか否かを容易に判断することができる。
(第6発明)
本発明の第6発明は、請求項6に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。本発明は、設備の保全計画を作成する際に用いることができる。
本発明は、処理装置と、設備情報データベースを有する記憶装置と、入力装置と、出力装置を備えている。
処理装置は、管理手段と、損壊時損失費用算出手段と、損壊確率を考慮した損失費用算出手段と、最大保全費用算出手段と、保全費用算出手段と、期待総費用算出手段と、最小期待総費用損壊確率算出手段と、許容損壊確率算出手段と、適期度算出手段と、リスクグレード判定手段を有している。
管理手段は、装置全体の動作を管理する。例えば、入力装置により入力された設備情報を設備情報データベースに記憶する処理、判定されたリスクグレード(リスクの程度)を出力装置から出力する処理等を実行する。
本発明では、第4発明と同様に、損壊時損失費用Cf、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPf、設備の最大保全費用Cmmax、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPf、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotal、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる設備の最小期待総費用損壊確率Pfjust、設備の許容損壊確率Pf、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfとの比較結果である設備の適期度Kが算出される。
そして、リスクグレード判定手段により、設備の適期度Kと設備の損壊時損失費用Cfに基づいて設備のリスクグレード(リスクの程度)が判定される。リスクグレードを判定する方法としては、例えば、設備の適期度Kと設備の損壊時損失費用Cfに対応するリスクグレードが記憶されているリスクグレードデータベースを用いて判定する方法や、予め定められている判定式を用いて判定する方法等を用いることができる。
リスクグレードデータベースとしては、設備に共通のリスクグレードデータベースを用いてもよいし、設備毎のリスクグレードデータベースを用いてもよい。
このリスクグレードにより(リスクグレードを設備の保全計画を作成する際の指標として用いることにより)、設備の安全性を確保しつつ、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の両方をバランスよく最適に低減することができる時期まで保全工事の実施時期を延長可能であるか否か、また、設備の安全性を確保するための保全工事を直ちに実施する必要があるか否かをより容易に判断することができる。
(第7発明)
本発明の第7発明は、請求項7に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。
本発明では、適期度K及び損壊時損失費用Cfに対するリスクグレードを記憶するリスクグレードデータベースが記憶装置に設けられている。そして、リスクグレード判定手段は、設備の適期度Kと設備の損壊時損失費用Cfに対応するリスクグレードをリスクグレードデータベースから読み出す。
適期度Kと損壊時損失費用Cfに対するリスクグレードを記憶するリスクグレードテーブルを用いることにより、リスクグレードを容易に判定することができる。
(第8発明)
本発明の第8発明は、請求項8に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。
本発明では、リスクグレードデータベースとして、適期度Kを複数の範囲に区分した適期度レベルと損壊時損失費用Cfを複数の範囲に区分した損壊時影響度レベルに対するリスクグレードを記憶するリスクグレードテーブルが用いられている。そして、リスクグレード判定手段は、設備の適期度Kが属する適期度レベルと設備の損壊時損失費用Cfが属する損壊時影響度レベルに対応するリスクグレードをリスクグレードテーブルから読み出す。
適期度レベルや損壊時影響度レベルを判定する方法としては、例えば、適期度Kの範囲に対する適期度レベルを記憶している適期度レベル判定表や損壊時損失費用Cfの範囲に対する損壊時影響度レベルを記憶している損壊時影響度レベル判定表により判定する方法を用いることができる。適期度レベルや損壊時影響度レベルの判定方法としては、各設備に共通の判定方法を用いてもよいし、設備毎の判定方法を用いてもよい。
適期度レベルと損壊時影響度レベルに対するリスクグレードを記憶するリスクグレードテーブルを用いることにより、リスクグレードを判定する処理が容易となる。
(第9発明)
本発明の第9発明は、請求項9に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。
本発明では、最大保全費用算出手段は、最大保全費用Cmmaxと最小保全費用Cmminを算出する。そして、保全費用算出手段は、損壊確率Pfが最大損壊確率Pfmaxの時に最小保全費用Cmminとなり、損壊確率Pfが最小損壊確率Pfminの時に最大保全費用Cmmaxとなるように、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを算出する。
最小保全費用が「0」であることが判明している場合には、最大保全費用算出手段は、最小保全費用Cmminが「0」であることを算出する。
設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを算出する方法としては、例えば、損壊確率Pfが最大損壊確率Pfmaxの時に最小保全費用Cmminとなり、損壊確率Pfが最小損壊確率Pfminの時に最大保全費用Cmmaxとなる算出式を求め、求めた算出式を用いて算出する方法を用いることができる。この場合、算出式としては種々の算出式を用いることができる。
(第10発明)
本発明の第10発明は、請求項10に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。
本発明では、適期度算出手段は、設備の許容損壊確率Pfと設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustとの対数比または対数差により算出する。
これにより、適期度Kを正確に、容易に算出することができる。
設備の許容損壊確率Pfと設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustとの対数比または対数差としては、常用対数比、常用対数差、自然対数比、自然対数差等を用いることができる。
(第11発明)
本発明の第11発明は、請求項11に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。
本発明では、期待総費用算出手段は、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを[Ctotal=Cmpf+Cf×Pf]により算出する。
これにより、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを正確に、容易に算出することができる。
(第12発明)
本発明の第12発明は、請求項12に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。
本発明では、許容損壊確率算出手段は、設備の許容損壊確率Pfを、[Pf=10−5×[(α×TR−TI)×Co×A]÷(W×n0.5)]により算出する。
[TR:設備の耐用年数、α:設備の耐用年数に対する較正係数、TI:設備の前回の保全工事実施年からの経過年数、Co:(設備の耐用年数TR−設備の竣工からの経過年数TE)に応じた係数、A:設備の重要度レベルの係数、W:目視や検査による損壊の可能性レベルの係数、n:設備損壊時の最大被災人数の係数]
これにより、設備の許容損壊確率Pfを適切に算出することができる。
(第13発明)
本発明の第13発明は、請求項13に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。本発明は、設備の建設計画を作成する際に用いることができる。
本発明は、処理装置と、設備情報データベースを有する記憶装置と、入力装置と、出力装置を備えている。
処理装置は、管理手段と、損壊時損失費用算出手段と、損壊確率を考慮した損失費用算出手段と、最大建設費用・最小建設費用算出手段と、建設費用算出手段と、期待総費用算出手段と、最小期待総費用損壊確率算出手段と、許容損壊確率算出手段を有している。
管理手段は、装置全体の動作を管理する。例えば、入力装置により入力された設備情報を設備情報データベースに記憶する処理、算出された設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfを出力装置から出力する処理等を実行する。
損壊時損失費用算出手段により、設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて設備の損壊時損失費用Cfが算出され、損壊確率を考慮した損失費用算出手段により、設備の損壊時損失費用Cfに基づいて設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfが算出される。
また、最大建設費用・最小建設費用算出手段により、設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて設備の最大建設費用Cbmaxと設備の最小建設費用Cbminが算出され、建設費用算出手段により、設備の最大建設費用Cbmaxと設備の最小建設費用Cbminに基づいて設備の損壊確率Pfに対する建設費用CbPfが算出される。
設備の最大建設費用Cbmax、設備の最小建設費用Cbminとしては、設備を建設するのに要する最大建設費用、設備を建設するのに要する最小建設費用が用いられる。
そして、期待総費用算出手段により、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfと設備の建設費用CbPfに基づいて設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが算出され、最小期待総費用損壊確率算出手段により、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustが算出される。
さらに、許容損壊確率算出手段により、設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて設備の許容損壊確率Pfが算出される。
設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfを比較することにより(最小期待総費用損壊確率Pfjusrと許容損壊確率Pfとの比較結果を設備の建設計画を作成する際の指標とすることにより)、設備の安全性を確保しつつ、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の建設費用の両方をバランスよく最適に低減することができる設備の最適建設費用を判断することができる。例えば、設備の許容損壊確率Pfが最小期待総費用損壊確率Pfjust以上である場合には、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の建設費用の両方をバランスよく低減することができることを示す指標である設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustに対応する建設費用CbPfを設備の最適建設費用として設定することができる。一方、設備の許容損壊確率Pfが最小期待総費用損壊確率Pfjust未満である場合には、設備の安全性確保のための指標である許容損壊確率Pfに対応する建設費用CbPfを設備の最適建設費用として設定することができる。
(第14発明)
本発明の第14発明は、請求項14に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。
本発明では、建設費用算出手段は、損壊確率Pfが最大損壊確率Pfmaxの時に最小建設費用Cbminとなり、損壊確率Pfが最小損壊確率Pfminの時に最大建設費用Cbmaxとなるように、設備の損壊確率Pfに対する建設費用CbPfを算出する。
設備の損壊確率Pfに対する建設費用CbPfを算出する方法としては、例えば、損壊確率Pfが最大損壊確率Pfmaxの時に最小建設費用Cbminとなり、損壊確率Pfが最小損壊確率Pfminの時に最大建設費用Cbmaxとなる算出式を求め、求めた算出式を用いて算出する方法を用いることができる。この場合、算出式としては種々の算出式を用いることができる。
(第15発明)
本発明の第15発明は、請求項15に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。
本発明では、期待総費用算出手段は、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを[Ctotal=Cbpf+Cf×Pf]により算出する。
これにより、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを正確に、容易に算出することができる。
(第16発明)
本発明の第16発明は、請求項16に記載されたとおりの設備計画作成支援装置である。
本発明では、許容損壊確率算出手段は、設備の許容損壊確率Pfを、[Pf=10−5×(α×TR×A)÷(W×n0.5)]により算出する。
[TR:設備の耐用年数、α:設備の耐用年数に対する較正係数、A:設備の重要度レベルの係数、W:損壊の形態の係数、n:設備損壊時の最大被災人数の係数]
これにより、設備の許容損壊確率Pfを適切に算出することができる。
(第17発明)
本発明の第17発明は、請求項17に記載されたとおりのプログラムである。
請求項1に記載の設備計画作成支援装置では、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の損壊を抑制・予防するための保全費用の両方をバランスよく低減する、あるいは、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備を建設するための建設費用の両方をバランスよく低減することができることを示す指標である設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと、設備の安全性確保のための指標である許容損壊確率Pfが設備計画作成支援情報として出力される。
このため、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfを比較することにより、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と保全費用または建設費用の両方をバランスよく低減することができる、適切な設備の保全計画または設備の建設計画を客観的に作成することができる。
請求項2に記載の設備計画作成支援装置では、設備の安全性を確保しつつ、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の損壊を抑制・予防するための保全費用あるいは設備を建設するための建設費用の両方をバランスよく低減することができる、設備の最適保全費用または設備の最適建設費用が出力される。
このため、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用または設備の建設費用の両方をバランスよく低減することができる最適な設備の保全費用または設備の建設費用に基づいて、設備の保全計画または設備の建設計画を客観的に作成することができる。
請求項3に記載の設備計画作成支援装置では、設備の保全に関する、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfとの比較結果である適期度Kが設備計画作成支援情報として出力される。
このため、適期度Kを判別することにより、設備の保全工事の実施時期として、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と保全費用の両方をバランスよく低減することができる適切な実施時期を、客観的に容易に作成することができる。
請求項4に記載の設備計画作成支援装置では、設備の保全に関する、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと、設備の許容損壊確率Pfが設備計画作成支援情報として出力される。このため、請求項1に記載の設備計画作成支援装置と同様の効果を有する。
また、設備の損壊時損失費用や最大保全費用に基づいて設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出するため、より客観的に設備計画を作成することができる。
請求項5に記載の設備計画作成支援装置では、設備の保全に関する、設備の適期度Kが設備計画作成支援情報として出力される。このため、請求項3に記載の設備計画作成支援装置と同様の効果を有する。
また、設備の損壊時損失費用や最大保全費用に基づいて設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出するため、より客観的に設備計画を作成することができる。
請求項6に記載の設備計画作成支援装置では、設備の適期度Kと設備の損壊時損失費用Cfに対応するリスクグレードが設備計画作成支援情報として出力される。
このため、リスクグレードを判別することにより、設備の保全工事の実施時期として、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と保全費用の両方をバランスよく低減することができる適切な実施時期を客観的に、より容易に決定することができる。
また、設備の適期度Kが同じ場合における設備の保全工事実施時期の優先順位付けを容易に行うことができる。
請求項7に記載の設備計画作成支援装置では、設備の適期度Kと設備の損壊時損失費用Cfに対応するリスクグレードを記憶するリスクグレードデータベースを用いてリスクグレードを判定するため、リスクグレードの判定処理が簡単である。
請求項8に記載の設備計画作成支援装置では、適期度レベルと損壊時影響度レベルに対するリスクグレードを記憶するリスクグレードテーブルを用いてリスクグレードを判定するため、リスクグレードの判定処理がより簡単となる。さらに、リスクグレードを容易に判別することができるため、設備の保全工事の実施時期を容易にきめ細かく決定することができる。
請求項9に記載の設備計画作成支援装置を用いれば、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを容易に算出することができる。
請求項10に記載の設備計画作成支援装置を用いれば、適期度Kを適切に、容易に算出することができる。
請求項11に記載の設備計画作成支援装置を用いれば、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを容易に算出することができる。
請求項12に記載の設備計画作成支援装置を用いれば、設備の許容損壊確率Pfを容易に適切に算出することができる。
請求項13に記載の設備計画作成支援装置では、設備の建設に関する、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと、設備の許容損壊確率Pfが設備計画作成支援情報として出力される。
このため、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfを比較することにより、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と建設費用の両方をバランスよく低減することができる最適な設備の建設費用に基づいて、設備の建設計画を客観的に作成することができる。
また、設備の損壊時損失費用や最大建設費用及び最小建設費用に基づいて設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出するため、より客観的に設備の建設計画を作成することができる。
請求項14に記載の設備計画作成支援装置を用いれば、設備の損壊確率Pfに対する建設費用CbPfを容易に算出することができる。
請求項15に記載の設備計画作成支援装置を用いれば、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを容易に算出することができる。
請求項16に記載の設備計画作成支援装置を用いれば、設備の許容損壊確率Pfを容易に適切に算出することができる。
請求項17に記載のプログラムを用いれば、コンピュータに、請求項1〜16に記載の各手段の処理を実行させることができるプログラムを提供することができる。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の概略構成図である。本実施形態は、水力発電所に設けられている各設備の保全計画を作成する際に好適に用いることができる設備計画作成支援装置として構成したものである。
水力発電所では、設備の損壊を抑制・防止するために設備の保全工事を行っており、設備の保全工事のための保全費用が発生している。従来、保全工事の実施時期は、かなりの余裕を持たせて設定されてきた。つまり、短い期間の周期で高めの保全工事費用をかけるように設定されてきた。そこで、保全費用を減少させる方策として、保全工事の実施時期を従来設定されている時期より延ばすことが考えられる。
ここで、保全費用を減少させると、設備の損壊するリスクが高くなる。設備が損壊した場合には、設備を再建設するための再建設費用、設備を取り替えるための取替費用や設備を撤去するための撤去費用、設備が停止することよる減収金額、設備の損壊によって第三者に与えた損害を補償するための補償費用等の損失費用が発生する。すなわち、保全費用を減少させると、設備の損壊するリスクが高くなり、設備の損壊確率を考慮した損失費用が増大する。
本実施形態では、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用を合計した費用(期待総費用)の最小ポイント(最小期待総費用損壊確率)と安全性を確保するための指標(許容損壊確率)を考慮することによって、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の両方を最適に低減することができる。
本実施形態では、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPf及び設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfから、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを算出する。そして、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出する。この設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustは、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の両方をバランスよく低減することができることを示す客観的な指標である。
また、各設備では、設備の耐用年数や前回の保全工事実施年からの経過年数等により、保全工事実施計画年における設備の安全性確保のために与える損壊確率の許容範囲の上限値、すなわち、許容損壊確率Pfが定まる。本実施形態では、設備の耐用年数や前回の保全工事実施年からの経過年数等によって、設備の許容損壊確率Pfを算出する。この設備の許容損壊確率Pfは、安全性確保のための指標である。すなわち、設備の許容損壊確率Pfを設備の損壊確率の許容範囲における上限値とし、その許容範囲を満足するように設備の保全を行うことにより、設備の安全性が保たれる。
本実施形態では、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfを算出して出力する。この設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfを比較することによって、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の双方をバランスよく低減することができる、設備の保全工事の適切な実施時期を決定することができる。
本実施形態の設備計画作成支援装置100は、処理装置110、入力装置120、表示装置130、印刷装置140、記憶装置150等により構成されている。
処理装置110は、CPU等により構成され、記憶装置150の設備情報データベース150aの管理や、設備の保全計画を作成する際に用いられる設備計画作成支援情報(例えば、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustや設備の許容損壊確率Pf)の算出、出力等の処理を実行する。処理装置110の動作については後述する。
入力装置120は、キーボード、カーソル、記憶媒体に記憶されている情報を読み取る読取装置等により構成され、種々の情報(設備情報や実行指示情報等)を入力する時に用いられる。
表示装置130は、液晶表示装置等により構成され、情報の入力画面や出力画面等を表示する。
印刷装置140は、レーザープリンタやインクジェットプリンタ等により構成され、情報を出力する時に用いられる。
表示装置130や印刷装置140は、本発明の出力装置に対応する。
記憶装置150は、ROMやRAM等により構成され、種々の情報を記憶する。記憶装置150には、設備情報データベース150aが設けられている。
設備情報データベース150aには、処理装置110が、各設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustや許容損壊確率Pfの算出処理等を実行するのに必要な各設備の設備情報が記憶される。設備情報としては、例えば、各設備の竣工時期、耐用年数、前回保全工事を実施した時期、撤去工事方法、設備損壊時に被害を与える対象の種別や規模等が用いられる。また、設備の主要諸元、例えば、水路のトンネルであれば、水路内径や水路形状等も合わせて記憶される。
なお、「設備情報データベース」という記載は、記憶装置150内の配置位置や領域を意味するものではなく、記憶装置150に記憶されている設備情報全体を意味するものとして用いている。
次に、処理装置110の構成を説明する。
処理装置110は、管理手段110a、損壊時損失費用算出手段110b、損壊確率を考慮した損失費用算出手段110c、最大保全費用算出手段110d、保全費用算出手段110e、期待総費用算出手段110f、最小期待総費用損壊確率算出手段110g、許容損壊確率算出手段110h、最適保全費用算出手段110i等を有している。各手段110a〜110iは、ソフトウェアで構成することもできるし、ハードウェアで構成することもできる。
管理手段110aは、入力装置120から入力された情報の処理(例えば、入力装置120から入力された設備情報を記憶装置150の設備情報データベース150aに記憶する処理)、各手段110b〜110iを管理する処理、各手段110b〜110iで算出された情報や記憶装置150に記憶されている情報を出力する処理(例えば、表示装置130への表示処理や印刷装置140からの印刷出力処理)等を実行する。
なお、各手段110b〜110iが記憶装置150に記憶されている設備情報に基づいて処理を実行する際、記憶装置150から設備情報を読み出す処理は、管理手段110aが実行してもよいし、各手段110b〜110iが実行してもよい。また、算出した情報を表示装置130や印刷装置140に出力する処理も、管理手段110aが実行してもよいし、各手段110b〜110iが実行してもよい。以下の説明における、各手段110b〜110iが記憶装置150から設備情報を読み出す処理や、情報を出力する処理は、各手段110b〜110iが直接実行する態様及び管理手段110aを介して実行する態様を含んでいる。
損壊時損失費用算出手段110bは、設備が損壊した場合の損失費用、すなわち、損壊時損失費用Cfを算出する処理を実行する。
設備が損壊した場合の企業損失費用すなわち損壊時損失費用Cfは、例えば、財産損失費用、減収損失費用、補償損失費用等の和に基づいて算出される。財産損失費用は、設備を再建設するのに要する費用(再建設費用)あるいは設備を取り替えるのに要する費用(取替費用)、設備を撤去するのに要する費用(撤去費用)の合計費用である。減収損失費用は、設備を再建設するまでの期間あるいは設備を取り替えるまでの期間、設備の稼動が停止することによる減収金額である。補償損失費用は、設備の損壊によって第三者に与えた損害に対する補償費用である。損壊時損失費用Cfは、これ以外にも、対象設備の損壊により低下する企業の社会的信頼を回復するための対応で生じる企業イメージ損失費用等の種々の情報を用いて算出することができる。また、損壊時損失費用Cfを算出する方法としても、種々の方法を用いることができる。
各設備の財産損失費用、減収損失費用、補償損失費用等を算出するための設備情報は記憶装置150の設備情報データベース150aに記憶されており、損壊時損失費用算出手段110bは、設備情報データベース150aに記憶されている設備情報に基づいて、各設備の損壊時損失費用Cfを算出する。
例えば、対象設備が水路トンネルである場合には、財産損失費用は、水路内径や水路形状等に応じて、これまでの建設事例から得た再建設費用の回帰式により求めた費用に、撤去工事方法に対応する撤去費用を加えて算出する。減収損失費用は、設備の再建設あるいは取替に要する期間およびこれらに関する申請に要する期間に基づき、その期間設備の稼動が停止することによる減収金額を算出する。補償損失費用は、設備の損壊時に被害を与える対象の種別や規模等から算出する。
損壊確率を考慮した損失費用算出手段110cは、損壊確率Pfを考慮した損失費用CfPfを算出する。
本実施形態では、損壊確率を考慮した損失費用算出手段110cは、損壊確率Pfと損壊時損失費用Cfを乗算することによって、損壊確率Pfを考慮した損失費用CfPf、すなわち、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPf[=Pf×Cf]を算出している。
ここで、損壊確率Pfとしては、設備の供用期間における設備の損壊確率の範囲を用いれば十分である。本実施形態では、設備の供用期間における設備の損壊確率の範囲として、CIRIA(Construction Industry Research and Information Association)の「Rationalization of Safety and Serviseability Factors in Structual
Codes. Report63, 1977」による、鋼構造物、コンクリート構造物、道路橋等の構造物の損壊確率の調査結果である[10−1〜10−5]の範囲を用いている。
最大保全費用算出手段110dは、設備を再建設するあるいは設備を取り替えるのに要する費用、すなわち、最大保全工事費用に資本回収係数を乗じて年費化した最大保全費用Cmmaxを算出する。
本実施形態では、最大保全費用算出手段110dは、最大保全費用Cmmaxを、(1式)により、設備を再建設するのに要する再建設費用あるいは設備を取り替えるのに要する取替費用を資本回収係数で年費化した金額として算出している。
Cmmax=(設備の再建設費用あるいは取替費用)×qCD
(1式)
CDは、設備の耐用年数と利率に応じた資本回収係数であり、例えば、(2式)により算出する。
CD=[i×(1+i)TR]÷[(1+i)TR−1]
(2式)
ここで、TRは設備の耐用年数であり、iは利率である。
なお、最大保全工事費用は、厳密には、設備の再建設費用あるいは取替費用と撤去費用の和である。ここで、撤去費用は、設備の耐用年数、回収期間及び利率とは無関係に発生する費用であり、保全費用には含まれない。このため、本実施形態では、最大保全費用Cmmaxは、最大保全工事費用の内、再建設費用あるいは取替費用の部分のみに資本回収係数を乗じて算定している。
各設備の最大保全費用Cmmaxを算出するための設備情報は記憶装置150の設備情報データベース150aに記憶されており、最大保全費用算出手段110dは、設備情報データベース150aに記憶されている設備情報に基づいて各設備の最大保全費用Cmmaxを算出する。
保全費用算出手段110eは、設備の供用期間における設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを算出する。設備の供用期間における設備の損壊確率Pfとしては、設備の供用期間における設備の損壊確率の範囲を用いれば十分である。本実施形態では、設備の供用期間における設備の損壊確率Pfの範囲として、前述した範囲[10−1〜10−5]を用いている。
そして、図3に示す片対数座標において、損壊確率Pfの範囲10−1〜10−5内の最大損壊確率Pf=10−1(Pfmax)に対応する保全費用CmPfが最小保全費用Cmmin(=0)、最小損壊確率Pf=10−5(Pfmin)に対応する保全費用CmPfが最大保全費用Cmmaxとなるように、保全費用CmPfをモデル化する。最大保全費用Cmmaxは、前述した最大保全費用算出手段110dによって算出されたものを用いることができる。
本実施形態では、図3の片対数座標上における2点鎖線の直線を表す式によって、10−1〜10−5の範囲内の各損壊確率Pfに対する保全費用CmPfが算出される。
すなわち、本実施形態の保全費用算出手段110eによる、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfの算出処理では、図3の片対数座標上における2点鎖線の直線を表す式によって、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを算出する。
本実施形態では、最大保全費用Cmmaxとして、設備の再建設費用あるいは取替費用を資本回収係数で年費化した金額(年費)を用いているため、保全費用CmPfも年費化した保全費用CmPfを算出している。
期待総費用算出手段110fは、設備の供用期間における、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを算出する。
本実施形態では、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfと、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPf(=Pf×Cf)を用いて、(3式)により算出している。
total=CmPf+CfPf
(3式)
設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfは保全費用算出手段110eで算出したものを用いることができ、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfは、損壊確率を考慮した損失費用算出手段110cで算出したものを用いることができる。また、損壊確率Pfとしては、10−1〜10−5の範囲内の損壊確率を用いることができる。
ここで、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを、片対数座標上において、損壊確率Pfの範囲10−1〜10−5内でプロットすると、図3の二点鎖線で示す直線CmPfとなる。
また、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPf(=Pf×Cf)を、片対数座標上において、損壊確率Pfの範囲10−1〜10−5内でプロットすると、図3の一点鎖線で示す曲線CfPfとなる。
したがって、(3式)で表される設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalは、図3に示す曲線Ctotalとなる。
最小期待総費用損壊確率算出手段110gは、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる損壊確率(最小期待総費用損壊確率Pfjust)を算出する。
図3に示すように、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalは、損壊確率Pfの範囲10−1〜10−5内で最小値となるポイントを有する。
最小期待総費用損壊確率算出手段110gは、この設備の期待総費用Ctotalが最小値となるポイントに対応する損壊確率Pfを最小期待総費用損壊確率Pfjustとして算出する。
許容損壊確率算出手段110hは、各設備の許容損壊確率Pfを算出する。
許容損壊確率Pfは、設備の安全性確保のために設定する損壊確率Pfの許容範囲の上限値、すなわち、設備の安全性確保に必要な最低限の保全費用CmPfに対応する損壊確率Pfである。
許容損壊確率Pfを算出する方法としては種々の方法を用いることができるが、本実施形態では、(4式)により算出している。
許容損壊確率Pf=10−5×[(α×TR−TI)×Co×A]÷(W×n0.5
(4式)
ここで、TRは設備の耐用年数であり、αは設備の耐用年数に対する較正係数であり、TIは設備の前回の保全工事実施年からの経過年数である。
また、Coは、(TR−TE)(TE:設備の竣工からの経過年数)に応じた係数であり、許容損壊確率を(TR−TE)に応じて安全側(より小さい許容損壊確率の側)へシフトさせる。例えば、(TR−TE)が小さいほど、係数Coは小さい値が設定される。
また、Aは、設備の重要度に応じて設定される重要度レベルの係数である。例えば、設備の重要度が低いほど、係数Aは大きい値が設定される。
また、Wは、目視や検査による損壊の可能性レベルの係数である。例えば、損壊の可能性が大きいほど、係数Wは大きい値が設定される。係数Wは、各設備の点検員等による点検結果を反映させる。係数Wとしては、点検結果に基づいて入力装置120から入力された値を用いてもよいし、点検装置から入力された点検結果に基づいて処理装置110が判別した値を用いてもよい。
nは、設備の損壊時に被災の可能性がある最大被災人数の係数である。例えば、最大被災人数が多いほど、係数nは大きい値が設定される。
設備の損壊確率Pfの範囲、例えば、前述した10−1〜10−5の範囲は、各既設設備の経済性と安全性についてバランスがとれた範囲を包括しているから、各設備における安全性の指標の範囲を包括するものでもある。したがって、許容損壊確率Pfが各既設設備の損壊確率の範囲での上限値に位置するように、許容損壊確率Pfの算出式や、算出式で用いられている係数を設定する。
各設備の許容損壊確率Pfを算出するための設備情報は記憶装置150の設備情報データベース150aに記憶されており、許容損壊確率算出手段110hは、設備情報データベース150aに記憶されている設備情報に基づいて、各設備の許容損壊確率Pfを算出する。
最適保全費用算出手段110iは、各設備の保全を行う場合の合理的な保全費用の目安である最適保全費用Cmoptを算出する。
最適保全費用Cmoptは、許容損壊確率Pfと最小期待総費用損壊確率Pfjustとの位置関係によって異なる。すなわち、許容損壊確率Pfが最小期待総費用損壊確率Pfjust以上である場合には、最小期待総費用損壊確率Pfjustに対応する保全費用CmPfが最適保全費用Cmoptとして算出される。一方、許容損壊確率Pfが最小期待総費用損壊確率Pfjust未満である場合には、許容損壊確率Pfに対応する保全費用CmPfが最適保全費用Cmoptとして算出される。
本実施形態では、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfとして、再建設費用あるいは取替費用に資本回収係数qCDを乗じて年費化した最大保全費用Cmmaxに基づいて算出される金額(年費)を用いているため、算出した最適保全費用Cmopt(年費)を(式5)により、資本回収係数qCDで割り返し、最適保全工事費用Ccoptを算出している。
最適保全工事費用Ccopt=最小期待総費用損壊確率Pfjustあるいは許容損壊確率Pfに対応する最適保全費用Cmopt÷qCD
(5式)
CDは、資本回収係数であり、前述した(2式)により算出することができる。
なお、(1式)では、最大保全工事費用から撤去費用を除いた金額、すなわち、再建設費用あるいは取替費用に資本回収係数qCDを乗ずることで最大保全費用Cmmaxを算出している。このため、算出した最適保全費用Cmoptを資本回収係数qCDで割り返すことにより得られる最適保全工事費用Ccoptも、撤去費用が含まれていないことになる。したがって、保全工事を実施する際に撤去費用が発生する場合には、算出した最適保全工事費用Ccoptに撤去費用を加算したものが実際の保全工事費用となる。
以上のようにして算出した最小期待総費用損壊確率Pfjustは、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の両方をバランスよく低減することができることを示す指標である。また、許容損壊確率Pfは、設備の安全性確保のための指標である。
したがって、最小期待総費用損壊確率Pfjustと許容損壊確率Pfが分かれば、両者の位置関係(例えば、常用対数比や常用対数差あるいは自然対数比や自然対数差)から、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の両方をバランスよく低減することができる最適な設備の保全計画(例えば、設備の適切な保全工事実施時期や最適な保全工事費用に基づいた保全計画)を客観的に、適切に設定することができる。
これを、最小期待総費用損壊確率Pfjustと許容損壊確率Pfとの関係を示している図9を用いて具体的に説明する。
設備が竣工になってから間もない場合あるいは設備の保全工事を行ってから間もない場合には、許容損壊確率Pfは、最小期待総費用損壊確率Pfjustより大きく、例えば、図9に示す、損壊確率Pfa1のポイントにある。すなわち、設備の安全性確保のための指標である許容損壊確率Pfが、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の両方をバランスよく低減することができることを示す指標である最小期待総費用損壊確率Pfjustより大きい。この場合、設備の安全性を確保するための、許容損壊確率Pfにより許容される損壊確率の範囲は、図9に示す許容範囲1である。この状態は、許容損壊確率Pfが最小期待総費用損壊確率Pfjustよりも大きい側にあるため、しばらくの間は対象設備の保全工事を行わなくても、最小期待総費用損壊確率Pfjustに対応する抵コストの保全費用を最適保全費用Cmoptとして採用し続けられる余裕がある。したがって、設備の保全工事の実施時期を延長することが可能であると判定することができる。
この場合、最小期待総費用損壊確率Pfjustに対応する保全費用CmPf(Cmjust)が最適保全費用Cmoptであるとして算出され、さらに、これを用いて(式5)により最適保全工事費用Ccoptが算出される。
次に、設備の経年や劣化等が進むと、許容損壊確率Pfは最小期待総費用損壊確率Pfjustを通過する時期、例えば、図9に示す、損壊確率Pfa2(=Pfjust)のポイントに達する。この場合、設備の安全性を確保するための、許容損壊確率Pfにより許容される損壊確率の範囲は、図9に示す許容範囲2である。この状態では、最小期待総費用損壊確率Pfjustに対応する低コストの保全費用CmPf(Cmjust)を最適保全費用Cmoptとして算出できる限界の時期に来ている。つまり、これ以上経年が進行すると保全費用が増加することから、損壊確率を考慮した損失費用の低減と保全費用の低減という観点において、バランスのとれた時期であり、保全工事を実施することが合理的であると考えられる時期である。したがって、設備の保全工事を実施する適切な時期に達していると判定することができる。
さらに設備の経年や劣化等が進むと、許容損壊確率Pfが最小期待総費用損壊確率Pfjustより小さくなり、例えば、図9に示す、損壊確率Pfa3のポイントに達する。この場合、設備の安全性を確保するための、許容損壊確率Pfにより許容される損壊確率の範囲は、図9に示す許容範囲3である。この状態は、設備損壊のリスクがかなり高まっている状態に該当する。この場合は、許容損壊確率Pfが最小期待総費用損壊確率Pfjustよりもかなり小さい側にあるため、最小期待総費用損壊確率Pfjustに対応する保全費用CmPf(Cmjust)を最適保全費用Cmoptとして算出できない。よって、この場合の最適保全費用Cmoptは、許容損壊確率Pfによる許容範囲内での最小の保全費用となる。すなわち、損壊確率Pf=Pfa3に対応する保全費用(図9では、損壊確率Pfa3に対応する保全費用Cma3)となる。さらに設備損壊のリスクをこのまま保有し続けると、許容損壊確率Pfが遂には最小損壊確率Pfminに到達するため、最大保全費用Cmmaxが最適保全費用Cmoptという状態になる。つまり、対象設備のリスクを長期間に亘り保有し続けた場合には、最適保全費用Cmopt=最大保全費用Cmmaxという保全を行うことが必要であるという意味になる。したがって、このような状態の時には、設備の保全工事を直ちに実施する必要があると判定することができる。
次に、本実施形態の動作を、図2に示すフローチャートを用いて説明する。
図2に示す処理は、入力装置120から最小期待総費用損壊確率Pfjust及び許容損壊確率Pfの算出処理の実行指示が入力された場合や、予め定められている適宜の時期、予め定められている状態が発生した時等、種々の時期に開始される。なお、設備情報データベース150aには、設備情報が記憶されているものとする。
ステップA1では、設備情報データベース150aに記憶されている設備情報に基づいて、設備の損壊時損失費用Cfを算出する。このステップA1の処理は、損壊時損失費用算出手段110bによって実行される。
ステップA2では、ステップA1で算出した損壊時損失費用Cfに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfを算出する。このステップA2の処理は、損壊確率を考慮した損失費用算出手段110cによって実行される。
ステップA3では、設備情報データベース150aに記憶されている設備情報に基づいて、設備の最大保全費用Cmmaxを算出する。ステップA3の処理は、最大保全費用算出手段110dによって実行される。
ステップA4では、ステップA3で算出した設備の最大保全費用Cmmaxと、損壊確率Pfの範囲(例えば、10−1〜10−5の範囲)に基づいて、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを算出する。例えば、設備の損壊確率Pfの範囲内における保全費用CmPfの算出式を求め、求めた算出式を用いて、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを算出する。ステップA4の処理は、保全費用算出手段110eによって実行される。
ステップA5では、ステップA2で算出した設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPf、ステップA4で算出した設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを算出する。ステップA4の処理は、期待総費用算出手段110fによって実行される。
ステップA6では、ステップA5で算出した、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出する。ステップA6の処理は、最小期待総費用損壊確率算出手段110gによって実行される。
ステップA7では、設備情報データベース150aに記憶されている設備情報に基づいて、設備の許容損壊確率Pfを算出する。ステップA7の処理は、許容損壊確率算出手段110hによって実行される。
ステップA8では、ステップA6で算出した設備の最小期待総費用損壊確率PfjustとステップA7で算出した設備の許容損壊確率Pfを表示装置130や印刷装置140等から出力する。ステップA8の処理は、管理手段110aによって実行される。
ステップA9では、ステップA6で算出した設備の最小期待総費用損壊確率PfjustとステップA7で算出した設備の許容損壊確率Pfに基づいて、設備の最適保全費用Cmoptを算出する。そして、算出した、設備の最適保全費用Cmoptを表示装置130や印刷装置140等から出力する。
なお、算出した設備の最適保全費用Cmoptを出力する代わりに、算出した設備の最適保全費用Cmoptを資本回収係数qCDで割り返すことによって最適保全工事費用Ccopt(5式参照)を算出し、算出した最適保全工事費用Ccoptを出力するように構成してもよい。最適保全工事費用Ccoptは最適保全費用Cmoptから算出されるため、最適保全工事費用Ccoptを出力することは、最適保全費用Cmoptを出力する概念に包含される。
ステップA9の処理は、最適保全費用算出手段110iと管理手段110aによって実行される。
なお、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfは、同時期に出力してもよいし、異なる時期に出力してもよい。
また、端末装置から通信回線を介して設備計画作成支援装置100に、図2の処理を開始させる実行指示信号を送信し、また、設備計画作成装置100から端末装置に、通信回線を介して設備の最小期待総費用損壊確率Pfjust及び設備の許容損壊確率Pfや設備の最適保全費用Cmopt(あるいは最適保全工事費用Ccopt)を端末装置に送信するように構成することもできる。このように構成した場合も、処理装置110(管理手段110a)から設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfや設備の最適保全費用Cmoptを出力する概念に含まれる。
以上のように、本実施形態では、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の損壊を抑制・予防するための保全費用の両方をバランスよく低減することができることを示す指標である設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと、設備の安全性確保のための指標である設備の許容損壊確率Pfが設備計画作成支援情報として出力される。このため、設備の保全工事の実施時期として、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と保全費用の両方をバランスよく低減することができる適切な時期を決定することができる。
これにより、設備の保全計画を、適切に、客観的に、容易に作成することができる。
また、設備の損壊確率を考慮した損失費用CfPf、保全費用CmPf、許容損壊確率Pfを勘案した最適保全費用Cmopt(あるいは最適保全工事費用Ccopt)を算出することができる。
また、通常用いられている設備情報を用いて設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfを算出することができるため、安価に簡単に構成することができる。
本実施形態では、最小期待総費用損壊確率Pfjustと許容損壊確率Pfの比較結果を、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と保全費用の両方をバランスよく低減することができる最適な設備の保全計画を作成するための指標として用いることができる。
なお、第1の実施形態では、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pf、最適保全費用Cmopt(あるいは最適保全工事費用Ccopt)を算出して出力したが、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfのみを算出して出力するように構成してもよいし、最適保全費用Cmopt(あるいは最適保全工事費用Ccopt)のみを出力するように構成してもよい。設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfのみを算出して出力する場合には、図1の最適保全費用算出手段110i、図2のステップA9を省略することができる。
第1の実施形態では、出力される設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfを比較することによって、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と保全費用の双方をバランスよく適切に低減することができる時期を設備の保全工事の実施時期として決定する。
ここで、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfとの比較結果を出力することができれば、設備の保全工事の適切な時期をより容易に判断することができる。
以下に、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfとの比較結果を出力することができる、本発明の第2の実施形態を説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態の概略構成図である。
本実施形態の設備計画作成支援装置200は、処理装置210、入力装置220、表示装置230、印刷装置240、記憶装置250等により構成されている。
処理装置210は、CPU等により構成され、記憶装置250の設備情報データベース250aやリスクグレードテーブル250bの管理や、設備の保全計画を作成する際に用いられる設備計画作成支援情報を算出する処理(例えば、適期度Kを算出する処理やリスクグレードを判定する処理等)や出力する処理を実行する。
入力装置220、表示装置230、印刷装置240は、第1の実施形態の入力装置120、表示装置130、印刷装置140と同様のものを用いることができる。
記憶装置250には、設備情報データベース250aとリスクグレードテーブル250bが設けられている。設備情報データベース250aとリスクグレードテーブル250bは、異なる記憶装置に設けることもできる。
設備情報データベース250aには、処理装置210が、各設備の適期度Kの算出処理やリスクグレードの判定処理等を実行するのに必要な各設備の設備情報が記憶される。設備情報としては、例えば、第1の実施形態で説明した設備情報等が用いられる。
リスクグレードテーブル250bには、設備のリスクグレードを判定するためのリスクグレード情報が記憶されている。本実施形態では、適期度Kを複数の範囲に区分した適期度レベルと損壊時損失費用Cfを複数の範囲に区分した損壊時影響度レベルに対してリスクグレードが記憶されている。損壊時損失費用Cfは、損壊時損失費用算出手段210bにより算出され、適期度Kは、適期度算出手段210iにより算出される。
リスクグレードテーブル250bは、設備毎に設けることもできるが、複数の設備で共用することができる場合には、複数の設備に対して1つのリスクグレードテーブルを設けることができる。
次に、処理装置210の構成を説明する。
処理装置210は、管理手段210a、損壊時損失費用算出手段210b、損壊確率を考慮した損失費用算出手段210c、最大保全費用算出手段210d、保全費用算出手段210e、期待総費用算出手段210f、最小期待総費用損壊確率算出手段210g、許容損壊確率算出手段210h、適期度算出手段210i、リスクグレード判定手段210j、最適保全費用算出手段210k等を有している。各手段210a〜210kは、ソフトウェアで構成することもできるし、ハードウェアで構成することもできる。
管理手段210aは、入力装置220から入力された情報の処理(例えば、入力装置220から入力された設備情報やリスクグレード情報を記憶装置250の設備情報データベース250aやリスクグレードデータベース250bに記憶する処理)、各手段210b〜210kを管理する処理、各手段210b〜210kで算出された情報や記憶装置250に記憶されている情報を出力する処理等を実行する。
損壊時損失費用算出手段210b、損壊確率を考慮した損失費用算出手段210c、最大保全費用算出手段210d、保全費用算出手段210e、期待総費用算出手段210f、最小期待総費用損壊確率算出手段210g、許容損壊確率算出手段210h、最適保全費用算出手段210kは、第1の実施形態の損壊時損失費用算出手段110b、損壊確率を考慮した損失費用算出手段110c、最大保全費用算出手段110d、保全費用算出手段110e、期待総費用算出手段110f、最小期待総費用損壊確率算出手段110g、許容損壊確率算出手段110h、最適保全費用算出手段110iと同様の構成であるため説明を省略する。
適期度算出手段210iは、設備の保全工事を実施すべき適期に達しているか否か、適期を過ぎているか否かを示す定量的指標である適期度Kを算出する。
本実施形態では、適期度Kを、(式6)を用いて、設備の許容損壊確率Pfと最小期待総費用損壊確率Pfjustとの常用対数比として算出している。
K=log10Pf÷log10Pfjust
(式6)
設備の許容損壊確率Pfは、許容損壊確率算出手段210hによって算出されたものを用いることができる。また、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustは、最小期待総費用損壊確率算出手段210gによって算出されたものを用いることができる。
なお、設備の許容損壊確率Pfと最小期待総費用損壊確率Pfjustとの比較結果である適期度Kとしては、設備の許容損壊確率Pfと最小期待総費用損壊確率Pfjustとの常用対数比に限定されず、設備の許容損壊確率Pfと最小期待総費用損壊確率Pfjustとの自然対数比、常用対数差、自然対数差、商等の種々の比較結果を用いることができる。
ここで、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustは、(3式)により算出される設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる損壊確率であり、設備の損壊時損失費用Cfと最大保全費用Cmmaxが与えられると、一意に定まる。
一方、設備の許容損壊確率Pfは、(4式)により算出する場合には、設備の前回の保全工事実施年からの経過年数が長くなるに従って小さくなる。設備の許容損壊確率Pfが小さくなると、図3に示す損壊確率Pfの許容範囲の上限値は、安全性確保のために必要な保全費用がより高くなる側へ移行する。
図9を用いて、設備の保全工事実施時期に関する適期度Kを、設備の許容損壊確率Pfと最小期待総費用損壊確率Pfjustとの関係に基づいて具体的に説明する。
設備が竣工になってから間もない場合あるいは設備の保全工事を行ってから間もない場合には、許容損壊確率Pfが最小期待総費用損壊確率Pfjustより大きく、例えば、図9に示す、損壊確率Pfa1のポイントにある。この時、設備の安全性を確保するための、許容損壊確率Pfにより許容される損壊確率の範囲は、図9に示す許容範囲1であり、[適期度K<1.0]の状態にある。この状態では、前述したように、許容損壊確率Pfが最小期待総費用損壊確率Pfjustより大きい側にあるため、しばらくの間は対象設備の保全工事を行わなくても、最小期待総費用損壊確率Pfjustに対応する抵コストの保全費用を最適保全費用Cmoptとして採用し続けられる余裕がある。したがって、設備の保全工事の実施時期を延長することが可能であると判定することができる。
次に、設備の経年や劣化等が進み、許容損壊確率Pfが小さくなって最小期待総費用損壊確率Pfjustを通過する時期になると、例えば、図9に示す、損壊確率Pfa2(=Pfjust)のポイントに達する。この時、設備の安全性を確保するための、許容損壊確率Pfにより許容される損壊確率の範囲は、図9に示す許容範囲2であり、[適期度K=1.0]の状態となる。この状態では、前述したように、最小期待総費用損壊確率Pfjustに対応する低コストの保全費用を最適保全費用Cmoptとして採用できる限界の時期に来ている。つまり、これ以上経年が進行すると保全費用が増加することから、許容損壊確率Pfにより設備の安全性を確保しながら、損壊確率を考慮した損失費用と保全費用の両方の低減という観点において、バランスのとれた時期であり、保全工事を実施することが合理的であると考えられる時期である。したがって、設備の保全工事を実施する適切な時期に達していると判定できる。
さらに設備の経年や劣化等が進むと、許容損壊確率Pfが最小期待総費用損壊確率Pfjustより小さくなり、例えば、図9に示す、損壊確率Pfa3のポイントに達する。この時、設備の安全性を確保するための、許容損壊確率Pfにより許容される損壊確率の範囲は、図9に示す許容範囲3であり、[適期度K>1.0]の状態となる。この状態は、前述したように、設備損壊のリスクが高まっている状態に該当する。この場合は、許容損壊確率Pfが最小期待総費用損壊確率Pfjustよりも小さい側にあるため、最小期待総費用損壊確率Pfjustに対応する保全費用は、最適保全費用Cmoptとして採用できない。よって、この場合の最適保全費用Cmoptは、許容損壊確率Pfによる許容範囲内での最小の保全費用となり、損壊確率Pf=許容損壊確率Pfに対応する保全費用ということになる。さらに設備損壊のリスクをこのまま保有し続けると、設備損壊のリスクがより大きくなって行き、許容損壊確率Pfがより小さくなって行くのと相まって、最適保全費用Cmoptもより大きい金額になって行くことになる。したがって、設備の保全工事を直ちに実施する必要があると判定できる。
以上のように、設備の許容損壊確率Pfと最小期待総費用損壊確率Pfjustとの比較結果である適期度Kは、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の損壊を抑制・防止するための保全費用のバランスを表している。このため、適期度Kを用いることによって、設備の保全工事の実施時期として、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の両方をバランスよく低減することができる適切な時期を設定することができる。すなわち、設備の保全工事実施時期を適切に設定することができる。
ところで、設備が損壊した時の影響度は対象設備によって異なることがある。よって、設備の保全工事実施時期に関する適期度Kが同じであっても、設備が損壊した時の影響度が小さければ設備の保全工事実施時期を先延ばしにすることができる場合がある。一方、設備の保全工事時期に関する適期度Kが同じであっても、設備が損壊した時の影響度が大きければ設備の保全工事を早期に実施しなければならない場合がある。
本実施形態では、設備の保全工事実施時期をより容易に、適正に決定することができるようにするために、リスクグレード判定手段210jを設けている。
リスクグレード判定手段210jは、適期度算出手段210iにより算出された適期度Kと損壊時損失費用算出手段210bにより算出された損壊時損失費用Cfに基づいて、設備のリスクグレード(リスクの程度)を判定する。
本実施形態では、適期度算出手段210iによって算出された適期度Kの範囲と、損壊時損失費用算出手段210bによって算出された損壊時損失費用Cfの範囲に基づいてリスクグレードを判定している。
すなわち、本実施形態では、図6の適期度レベル判定表に示すように、設定値X1〜X5によって、適期度Kを、適期度レベルA〜Fの複数の範囲に区分けしている。また、図7の損壊時影響度レベル判定表に示すように、損壊時損失費用Cfを、設定値Y1〜Y5によって、損壊時影響度レベルA〜Fの複数の範囲に区分けしている。適期度レベル判定表や損壊時影響度レベル判定表は、各設備に共通に設けてもよいし、設備毎に設けてもよい。
また、記憶装置250のリスクグレードテーブル250bには、適期度レベルA〜Fと損壊時影響度レベルA〜Fに対するリスクグレードI〜IVを記憶させている。なお、リスクグレードI〜IVは、次のような意味で用いている。すなわち、グレードIの場合は、適期度レベル、損壊時影響度レベルが非常に低いため、設備損壊のリスクの保有を許容する(設備の保全工事の実施時期を延長可能である)。グレードIIの場合は、適期度レベル、損壊時影響度レベルが低いため、設備損壊のリスクの予防低減策について、その先送りを検討する。グレードIIIの場合は、適期度レベル、損壊時影響度レベルが中位であるため、計画に従い設備損壊のリスクの予防低減策を講ずる。グレードIVの場合は、適期度レベル、損壊時影響度レベルが高いため、設備損壊のリスクの予防低減策について、その前倒しを検討する。
リスクグレード判定手段210jは、適期度算出手段210iによって算出された設備の適期度Kが属する適期度レベルと、損壊時損失費用算出手段210bによって算出された設備の損壊時損失費用Cfが属する損壊時影響度レベルを判定し、判定した適期度レベルと損壊時影響度レベルに対応するリスクグレードを記憶装置250のリスクグレードテーブル250bから読み出す(リスクグレードを判定する)。そして、リスクグレード判定手段210jによって判定したリスクグレードを出力する。例えば、表示装置230に表示しあるいは印刷装置240から印刷出力する。
リスクグレードの出力方法としては、リスクグレードI〜IVを出力する方法を用いることもできるし、図8に示すようなリスクグレードテーブルに、判定したリスクグレードの位置を識別可能に(例えば、文字や背景の色、文字の字体等を変えることによって)出力する方法を用いることもできる。
リスクグレードを出力する際に、最適保全費用算出手段210kで算出した最適保全費用Cmopt(あるいは最適保全工事費用Ccopt)も出力する。
次に、本実施形態の動作を、図5に示すフローチャートを用いて説明する。
図5に示す処理は、入力装置220からリスクグレード判定処理の実行指示が入力された場合や、予め定められている適宜の時期、予め定められている状態が発生した時等、種々の時期に開始される。なお、設備情報データベース250a及びリスクグレードテーブル250bには、設備情報及びリスクグレード情報が記憶されているものとする。
ここで、図5に示すステップB1〜B7、B11の処理は、図2に示したステップA1〜A7、A9と同様であるため、説明は省略する。
ステップB8では、ステップB7で算出した設備の許容損壊確率PfとステップB6で算出した設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustとの常用対数比を適期度Kとして算出する。ステップB8の処理は、適期度算出手段210iによって実行される。
ステップB9では、ステップB8で算出した適期度KとステップB1で算出した損壊時損失費用Cf及びリスクグレードテーブル250bに基づいて、設備のリスクグレードを判定する。ステップB9の処理は、リスクグレード判定手段210jによって実行される。
ステップB10では、ステップB9で判定した設備のリスクグレードを出力する。ステップB10の処理は、管理手段210aによって実行される。
以上のように、本実施形態では、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の損壊を抑制・予防するのに必要な設備の保全費用の両方をバランスよく低減することができることを示す指標である設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の安全性確保のための指標である許容損壊確率Pfとの比較結果(本実施形態では、常用対数比)を設備の保全工事実施時期に関する適期度Kとして算出し、適期度Kと損壊時損失費用Cfとに基づいて、設備のリスクグレードを判定して出力している。
これにより、設備の保全工事の実施時期として、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の両方をバランスよく低減することができる適切な時期を客観的に容易に決定することができる。さらに、適期度Kと損壊時損失費用Cfとに基づいて、設備のリスクグレードを判定して出力しているため、設備の保全工事の適切な実施時期や優先度をより容易に、的確に決定することができる。
また、最適保全費用が出力されるため、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の両方をバランスよく低減することができる最適な保全費用を決定することができる。
また、通常用いられている設備情報を用いて適期度Kや損壊時損失費用Cfの算出処理、リスクグレードの判定処理を行うことができるため、安価に簡単に構成することができる。
本実施形態では、最小期待総費用損壊確率Pfjustと許容損壊確率Pfの比較結果である適期度Kおよび損壊時損失費用Cfに基づいたリスクグレードと、最適保全費用Cmopt(あるいは最適保全工事費用Ccopt)を、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と保全費用の両方をバランスよく低減することができる設備の保全計画を作成するための指標として用いている。
なお、以上の説明では、適期度Kを適期度レベルに対して複数の範囲に区分するとともに、損壊時損失費用Cfを損壊時影響度レベルに対して複数の範囲に区分けし、リスクグレードテーブルに適期度レベルと損壊時影響度レベルに対するリスクグレードを記憶させたが、適期度Kと損壊時損失費用Cfに対するリスクグレードを記憶するリスクグレードデータベースを用いることもできる。この場合には、リスクグレード判定手段は、適期度Kと損壊時損失費用Cfに対するリスクグレードをリスクグレードデータベースから読み出すことによってリスクグレードを判定する。
また、リスクグレード判定手段により、適期度Kと損壊時損失費用Cfとリスクグレード判定式に基づいてリスクグレードを判定するように構成することもできる。
また、適期度レベルや損壊時影響度レベルの範囲や区分けの数は、適宜変更可能である。
また、適期度レベルと損壊時影響度レベルに対するリスクグレードの設定方法や、適期度Kと損壊時損失費用Cfに対するリスクグレードの設定方法は、適宜変更可能である。
また、実施形態ではリスクグレードと最適保全費用を出力したが、適期度Kと最適保全費用を出力するように構成することもできる。この場合には、最小期待総費用損壊確率Pfjustおよび許容損壊確率Pfの比較結果である適期度Kと、最適保全費用Cmopt(あるいは最適保全工事費用Ccopt)が、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と保全費用の両方をバランスよく低減することができる設備の保全計画を作成するための指標として用いられる。
あるいは、適期度Kとリスクグレードと最適保全費用を出力するように構成することもできる。
あるいは、適期度Kとリスクグレードを出力するように構成することもできる。
あるいは、適期度Kのみあるいはリスクグレードのみを出力するように構成することもできる。この場合には、最小期待総費用損壊確率Pfjustと許容損壊確率Pfの比較結果である適期度K、あるいは、適期度Kと損壊時損失費用Cfに基づいたリスクグレードが、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と保全費用の両方をバランスよく低減することができる設備の保全計画を作成するための指標として用いられる。
適期度Kのみを算出して出力するように構成する場合には、図4に示したリスクグレード判定手段210j、最適保全費用算出手段210kが省略可能である。また、図5に示したステップB9、B11が省略され、ステップB10の処理が「適期度Kを出力する」処理に変更される。
適期度Kは、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の損壊を抑制・予防するのに必要な設備の保全費用の両方をバランスよく低減することができることを示す指標である設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の安全性確保のための指標である許容損壊確率Pfとの比較結果である。このため、適期度Kのみを算出して出力する場合でも、適期度Kにより、設備の保全工事の実施時期として、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の両方をバランスよく低減することができる適切な実施時期を設定することができる。すなわち、設備の保全工事実施時期を適切に、客観的に、容易に設定することができる。また、最適保全費用を算出して出力することにより、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用の両方をバランスよく低減することができる最適な保全費用を決定することができる。
第1及び第2の実施形態では、設備の保全計画の作成を支援する設備計画作成支援情報を算出して出力する場合について説明したが、本発明は、設備の建設計画の作成を支援する設備計画作成支援情報を算出して出力するように構成することもできる。
以下に、設備の建設計画を支援する設備計画作成支援情報を算出して出力することができる、本発明の第3の実施形態を説明する。
図10は、本発明の第3の実施形態の概略構成図である。
本実施形態の設備計画作成支援装置300は、処理装置310、入力装置320、表示装置330、印刷装置340、記憶装置350等により構成されている。
処理装置310は、CPU等により構成され、記憶装置350の設備情報データベース350aの管理や、設備の建設計画を作成する際に用いられる設備計画作成支援情報(例えば、最小期待総費用損壊確率Pfjustと許容損壊確率Pfや最適建設費用Cbopt)を算出して出力する処理等を実行する。
入力装置320、表示装置330、印刷装置340は、第1の実施形態の入力装置120、表示装置130、印刷装置140と同様のものを用いることができる。
記憶装置350には、設備情報データベース350aが設けられている。
設備情報データベース350aには、処理装置310が、設備の建設計画を作成する際に用いられる、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustや設備の許容損壊確率Pfの算出処理、最適建設費用Cboptの算出処理等を実行するのに必要な各設備の設備情報が記憶される。
次に、処理装置310の構成を説明する。
処理装置310は、管理手段310a、損壊時損失費用算出手段310b、損壊確率を考慮した損失費用算出手段310c、最大建設費用・最小建設費用算出手段310d、建設費用算出手段310e、期待総費用算出手段310f、最小期待総費用損壊確率算出手段310g、許容損壊確率算出手段310h、最適建設費用算出手段310i等を有している。各手段310a〜310iは、ソフトウェアで構成することもできるし、ハードウェアで構成することもできる。
管理手段310aは、入力装置320から入力された情報の処理、各手段310b〜310iを管理する処理、各手段310b〜310iで算出された情報や記憶装置350に記憶されている情報を出力する処理等を実行する。
損壊時損失費用算出手段310b、損壊確率を考慮した損失費用算出手段310cは、第1の実施形態の損壊時損失費用算出手段110b、損壊確率を考慮した損失費用算出手段110cと同様の構成であるため説明を省略する。
最大建設費用・最小建設費用算出手段310dは、設備を建設するのに要する最大建設費用Cbmaxと最小建設費用Cbminを算出する。各設備の最大建設費用Cbmaxと最小建設費用Cbminを算出するための設備情報は記憶装置350の設備情報データベース350aに記憶されている。
本実施形態では、最大建設費用・最小建設費用算出手段310dは、最大建設費用Cbmax及び最小建設費用Cbminを設備の建設に要する最大工事費用及び最小工事費用として算出している。
建設費用算出手段310eは、設備の供用期間における設備の損壊確率Pfに対する建設費用CbPfを算出する。設備の供用期間における設備の損壊確率Pfとしては、設備の供用期間における設備の損壊確率の範囲を用いれば十分である。本実施形態では、設備の供用期間における設備の損壊確率Pfの範囲として、前述した範囲[10−1〜10−5]を用いている。
そして、図12に示す片対数座標において、損壊確率Pfの範囲10−1〜10−5内の最大損壊確率Pf=10−1(Pfmax)に対応する建設費用CbPfが最小建設費用Cbmin、最小損壊確率Pf=10−5(Pfmin)に対応する建設費用CbPfが最大建設費用Cbmaxとなるように、建設費用CbPfをモデル化する。最大建設費用Cbmaxと最小建設費用Cbminは、最大建設費用・最小建設費用算出手段310dによって算出されたものを用いることができる。
本実施形態の建設費用算出手段310eによる建設費用CbPfの算出処理では、図12の片対数座標上における2点鎖線の直線を表す式によって、10−1〜10−5の範囲内の各損壊確率Pfに対する建設費用CbPfが算出される。
期待総費用算出手段310fは、設備の供用期間における設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを算出する。
本実施形態では、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを、設備の損壊確率Pfに対する建設費用CbPfと、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPf(=Pf×Cf)を用いて、(7式)により算出している。
total=CbPf+CfPf
(7式)
設備の損壊確率Pfに対する建設費用CbPfは建設費用算出手段310eで算出したものを用いることができ、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfは損壊確率を考慮した損失費用算出手段310cで算出したものを用いることができる。
設備の損壊確率Pfに対する建設費用CbPfを、片対数座標上において、損壊確率Pfの範囲10−1〜10−5内でプロットすると、図12の2点鎖線で示す直線CbPfとなる。
また、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPf(=Pf×Cf)を、片対数座標上において、損壊確率Pfの範囲10−1〜10−5内でプロットすると、図12の1点鎖線で示す曲線CfPfとなる。
したがって、(7式)で表される設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalは、図12に示す曲線Ctotalとなる。
最小期待総費用損壊確率算出手段310gは、第1の実施形態の最小期待総費用損壊確率算出手段110gと同様の方法で、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる損壊確率(最小期待総費用損壊確率Pfjust)を算出する。
許容損壊確率算出手段310hは、設備情報データベース350aに記憶されている設備情報に基づいて、設備の許容損壊確率Pfを算出する。
設備の許容損壊確率Pfを算出する方法としては種々の方法を用いることができるが、本実施形態では、(8式)により算出している。
Pf=10−5×(α×TR×A)÷(W×n0.5
(8式)
ここで、TRは、設備の耐用年数であり、αは、設備の耐用年数に対する較正係数であり、Aは、設備の重要度レベルの係数であり、Wは、損壊の形態の係数であり、nは、設備損壊時の最大被災人数の係数である。
以上のようにして算出した設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustは、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の建設費用の両方をバランスよく低減することができることを示す指標である。また、設備の許容損壊確率Pfは、設備の安全性確保のための指標である。
したがって、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと許容損壊確率Pfが分かれば、設備の建設費用を適切に決定することができる。
例えば、設備の許容損壊確率Pfが最小期待総費用損壊確率Pfjustより大きく、図12に示す許容損壊確率PfがPfa1のポイントにあるものと算定された場合には、設備の安全性を確保するための、許容損壊確率Pfにより許容される損壊確率の範囲は、図12に示す許容範囲1である。この場合、最小期待総費用損壊確率Pfjustが許容損壊確率Pfにより許容される損壊確率の範囲内に位置するため、最小期待総費用損壊確率Pfjustに対応する建設費用CbPfを、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の建設費用の両方をバランスよく低減することができる最適な建設費用Cboptとして出力する。一方、設備の許容損壊確率Pfが最小期待総費用損壊確率Pfjustより小さく、図12に示す許容損壊確率PfがPfa3のポイントにあるものと算定された場合には、設備の安全性を確保するための、許容損壊確率Pfにより許容される損壊確率の範囲は、図12に示す許容範囲3である。この場合、許容損壊確率Pfにより許容される損壊確率の範囲内における最小の建設費用、すなわち、許容損壊確率Pfa3に対応する建設費用CbPfを、最適な建設費用Cboptとして出力する。
次に、本実施形態の動作を、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
図11に示す処理は、入力装置320から最小期待総費用損壊確率Pfjustと許容損壊確率Pfの算出処理の実行指示が入力された場合や、予め定められている適宜の時期、予め定められている状態が発生した時等、種々の時期に開始される。
図11に示すステップC1、C2の処理は、図2に示したステップA1、A2と同様である。
ステップC3では、設備情報データベース350aに記憶されている設備情報に基づいて、設備の最大建設費用Cbmaxと最小建設費用Cbminを算出する。ステップC3の処理は、最大建設費用・最小建設費用算出手段310dによって実行される。
ステップC4では、ステップC3で算出した設備の最大建設費用Cbmaxと最小建設費用Cbmin、損壊確率Pfの範囲(例えば、10−1〜10−5の範囲)に基づいて、設備の損壊確率Pfに対する建設費用CbPfを算出する。ステップC4の処理は、建設費用算出手段310eによって実行される。
ステップC5では、ステップC2で算出した設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPf、ステップC4で算出した設備の損壊確率Pfに対する建設費用CbPfに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを算出する。ステップC5の処理は、期待総費用算出手段310fによって実行される。
ステップC6、C7、C8の処理は、図2に示したステップA6、A7、A8の処理と同様である。
ステップC9では、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと許容損壊確率Pfに基づいて、最適建設費用Cboptを算出して出力する。
以上のように、本実施形態では、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の建設費用の両方をバランスよく低減することができることを示す指標である設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと、設備の安全性確保のための指標である許容損壊確率Pfが設備計画作成支援情報として出力される。このため、設備を建設する際の建設費用として、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の建設費用の両方をバランスよく低減することができる最適な建設費用を決定することができる。
これにより、設備の建設計画を、適切に、客観的に作成することができる。
また、通常用いられている設備情報を用いて設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfを算出することができるため、安価に簡単に構成することができる。
本実施形態では、最小期待総費用損壊確率Pfjustと許容損壊確率Pfの比較結果、最適建設費用Cboptが、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と建設費用の両方をバランスよく低減することができる設備の建設計画を作成するための指標として用いることができる。
なお、本実施形態では、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfや最適建設費用Cboptを出力したが、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと設備の許容損壊確率Pfのみ、あるいは最適建設費用Cboptのみを出力するように構成することもできる。
本発明は、実施形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
例えば、各手段の処理の順番は、図2、図5、図11のフローチャートに示した順番に限定されない。
また、各情報を算出する方法は実施形態で説明した方法に限定されない。例えば、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfは、[CfPf=K×Pf×Cf]や[CfPf=Pf×Cf]により算出することもできる。ここで、Kは損壊確率を考慮した損失費用の相対的な大小を調整するための係数、nはべき指数である。
ここで、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfや建設費用CbPfを片対数座標上の直線で表したが、直線以外の曲線で表すこともできる。また、最大損壊確率Pfmaxに対応する最小保全費用Cmminは、「0」でなくてもよい。この場合には、最大保全費用算出手段110dあるいは210dは、設備情報に基づいて、最大保全費用Cmmaxと最小保全費用Cmminを算出するように構成され、あるいは、最大保全費用Cmmaxと最小保全費用Cmminを算出する最大保全費用・最小保全費用算出手段に置き換えられる。
また、損壊確率Pfの範囲は、10−1〜10−5の範囲に限定されず、より広い範囲を設定する等、種々の範囲を設定することができる。さらに、個別の設備種別毎に損壊確率の範囲を設定することもできる。
また、本発明は、処理装置と通信回線を介して接続された端末装置から送信された実行指示信号に応じて設備計画作成支援情報(最小期待総費用損壊確率Pfjustと許容損壊確率Pf、適期度K、リスクグレード等)を算出し、算出した設備計画作成支援情報が通信回線を介して端末装置に出力されるように構成することもできる。この場合には、端末装置の入力装置、表示装置、印刷装置等が、本発明の入力装置、表示装置、印刷装置等に対応する。
また、水力発電所に設けられている設備の保全計画や建設計画の作成を支援する設備計画作成支援情報を算出する設備計画作成支援装置について説明したが、本発明は、水力発電所に設けられている設備以外の種々の設備の保全計画や建設計画の作成を支援する設備計画作成支援情報を算出する設備計画作成支援装置として構成することができる。
本発明は、実施形態で説明した処理装置110、210、310の各手段の処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして構成することができる。
また、本発明は、実施形態で説明した処理装置110、210、310の各手段の処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶された記憶媒体として構成することができる。
また、本発明は、「設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出する設備計画作成支援装置または設備計画作成支援情報算出方法。」として構成することができる。
このように構成した場合でも、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用あるいは設備の建設費用の両方をバランスよく低減することができることを示す指標である設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustが設備計画作成支援情報として出力されるため、設備の保全費用あるいは設備の建設費用として、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の保全費用あるいは設備の建設費用の両方をバランスよく低減した保全費用あるいは建設費用を決定することができる。
また、本発明は、「設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、許容損壊確率Pfを算出する設備計画作成支援装置または設備計画作成支援情報算出方法。」あるいは「設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、最小期待総費用損壊確率Pfjustと許容損壊確率Pfの比較結果である適期度Kを算出する設備計画作成支援装置または設備計画作成支援情報算出方法。」あるいは「設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、最小期待総費用損壊確率Pfjustと許容損壊確率Pfの比較結果である適期度Kと、設備の損壊時算出費用Cfに対応するリスクグレードを算出する設備計画作成支援装置または設備計画作成支援情報算出方法。」として構成することができる。
このような設備計画作成支援装置または設備計画作成支援情報算出方法を用いることにより、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の損壊を抑制・予防するための保全費用の両方をバランスよく最適に低減することができる設備の保全計画、あるいは、設備の安全性を確保しながら、設備の損壊確率を考慮した損失費用と設備の建設費用の両方をバランスよく最適に低減することができる設備の建設計画を定量的に、容易に作成することができる。
第1の実施形態の概略構成図である。 第1の実施形態の動作を説明するフローチャートである。 第1の実施形態における期待総費用、最小期待総費用損壊確率、許容損壊確率を示すグラフである。 第2の実施形態の概略構成図である。 第2の実施形態の動作を説明するフローチャートである。 適期度レベル判定表の一例を示す図である。 損壊時影響度レベル判定表の一例を示す図である。 リスクグレードテーブルの一例を示す図である。 適期度を説明するグラフである。 第3の実施形態の概略構成図である。 第3の実施形態の動作を説明するフローチャートである。 第3の実施形態における期待総費用、最小期待総費用損壊確率、許容損壊確率を示すグラフである。
符号の説明
100、200、300 設備計画支援装置
110、210、310 処理装置
110a、210a、310a 管理手段
110b、210b、310b 損壊時損失費用算出手段
110c、210c、310c 損壊確率を考慮した損失費用算出手段
110d、210d 最大保全費用算出手段
110e、210e 保全費用算出手段
110f、210f、310f 期待総費用算出手段
110g、210g、310g 最小期待総費用損壊確率算出手段
110h、210h、310h 許容損壊確率算出手段
110i、210k 最適保全費用算出手段
120、220、320 入力装置
130、230、330 表示装置
140、240、340 印刷装置
150、250、350 記憶装置
150a、250a、350a 設備情報データベース
210i 適期度算出手段
210j リスクグレード判定手段
250b リスクグレードテーブル
310i 最適建設費用算出手段

Claims (17)

  1. 設備の保全計画または設備の建設計画の作成を支援する設備計画作成支援装置であって、
    処理装置と、記憶装置と、入力装置と、出力装置を備え、
    前記記憶装置は、設備の設備情報を記憶する設備情報データベースを有し、
    前記処理装置は、管理手段と、最小期待総費用損壊確率算出手段と、許容損壊確率算出手段を有し、
    前記管理手段は、前記入力装置により入力された設備情報を前記記憶装置の設備情報データベースに記憶し、また、前記最小期待総費用損壊確率算出手段により算出された設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと前記許容損壊確率算出手段により算出された設備の許容損壊確率Pfを前記出力装置から出力し、
    前記最小期待総費用損壊確率算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfと設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfまたは建設費用CbPfとから定まる、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出し、
    前記許容損壊確率算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の許容損壊確率Pfを算出する、
    ことを特徴とする設備計画作成支援装置。
  2. 設備の保全計画または設備の建設計画の作成を支援する設備計画作成支援装置であって、
    処理装置と、記憶装置と、入力装置と、出力装置を備え、
    前記記憶装置は、設備の設備情報を記憶する設備情報データベースを有し、
    前記処理装置は、管理手段と、最小期待総費用損壊確率算出手段と、許容損壊確率算出手段と、最適保全費用または最適建設費用算出手段を有し、
    前記管理手段は、前記入力装置により入力された設備情報を前記記憶装置の設備情報データベースに記憶し、また、前記最適保全費用または最適建設費用算出手段により算出された設備の最適保全費用Cmoptまたは設備の最適建設費用Cboptを前記出力装置から出力し、
    前記最小期待総費用損壊確率算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfと設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfまたは建設費用CbPfとから定まる、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出し、
    前記許容損壊確率算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の許容損壊確率Pfを算出し、
    前記最適保全費用または最適建設費用算出手段は、前記許容損壊確率算出手段により算出された設備の許容損壊確率Pfが前記最小期待総費用損壊確率算出手段により算出された設備の最小期待総費用損壊確率Pfjust以上である場合には、設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustに対応する保全費用CmPfまたは建設費用CbPfに基づいて設備の最適保全費用Cmoptまたは設備の最適建設費用Cboptを算出し、前記許容損壊確率算出手段により算出された設備の許容損壊確率Pfが前記最小期待総費用損壊確率算出手段により算出された設備の最小期待総費用損壊確率Pfjust未満である場合には、設備の許容損壊確率Pfに対応する保全費用CmPfまたは建設費用CbPfに基づいて設備の最適保全費用Cmoptまたは設備の最適建設費用Cboptを算出する、
    ことを特徴とする設備計画作成支援装置。
  3. 設備の保全計画の作成を支援する設備計画作成支援装置であって、
    処理装置と、記憶装置と、入力装置と、出力装置を備え、
    前記記憶装置は、設備の設備情報を記憶する設備情報データベースを有し、
    前記処理装置は、管理手段と、最小期待総費用損壊確率算出手段と、許容損壊確率算出手段と、適期度算出手段を有し、
    前記管理手段は、前記入力装置により入力された設備情報を前記記憶装置の設備情報データベースに記憶し、また、前記適期度算出手段により算出された設備の適期度Kを前記出力装置から出力し、
    前記最小期待総費用損壊確率算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfと設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfとから定まる、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出し、
    前記許容損壊確率算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の許容損壊確率Pfを算出し、
    前記適期度算出手段は、前記最小期待総費用損壊確率算出手段により算出された設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと前記許容損壊確率算出手段により算出された設備の許容損壊確率Pfに基づいて、設備の適期度Kを算出する、
    ことを特徴とする設備計画作成支援装置。
  4. 設備の保全計画の作成を支援する設備計画作成支援装置であって、
    処理装置と、記憶装置と、入力装置と、出力装置を備え、
    前記記憶装置は、設備の設備情報を記憶する設備情報データベースを有し、
    前記処理装置は、管理手段と、損壊時損失費用算出手段と、損壊確率を考慮した損失費用算出手段と、最大保全費用算出手段と、保全費用算出手段と、期待総費用算出手段と、最小期待総費用損壊確率算出手段と、許容損壊確率算出手段を有し、
    前記管理手段は、前記入力装置により入力された設備情報を前記記憶装置の設備情報データベースに記憶し、また、前記最小期待総費用損壊確率算出手段により算出された設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと前記許容損壊確率算出手段により算出された設備の許容損壊確率Pfを前記出力装置から出力し、
    前記損壊時損失費用算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の損壊時損失費用Cfを算出し、
    前記損壊確率を考慮した損失費用算出手段は、前記損壊時損失費用算出手段により算出された設備の損壊時損失費用Cfに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfを算出し、
    前記最大保全費用算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の最大保全費用Cmmaxを算出し、
    前記保全費用算出手段は、前記最大保全費用算出手段により算出された設備の最大保全費用Cmmaxに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを算出し、
    前記期待総費用算出手段は、前記損壊確率を考慮した損失費用算出手段により算出された設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfと前記保全費用算出手段により算出された設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを算出し、
    前記最小期待総費用損壊確率算出手段は、前記期待総費用算出手段により算出された設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出し、
    前記許容損壊確率算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の許容損壊確率Pfを算出する、
    ことを特徴とする設備計画作成支援装置。
  5. 設備の保全計画の作成を支援する設備計画作成支援装置であって、
    処理装置と、記憶装置と、入力装置と、出力装置を備え、
    前記記憶装置は、設備の設備情報を記憶する設備情報データベースを有し、
    前記処理装置は、管理手段と、損壊時損失費用算出手段と、損壊確率を考慮した損失費用算出手段と、最大保全費用算出手段と、保全費用算出手段と、期待総費用算出手段と、最小期待総費用損壊確率算出手段と、許容損壊確率算出手段と、適期度算出手段を有し、
    前記管理手段は、前記入力装置により入力された設備情報を前記記憶装置の設備情報データベースに記憶し、また、前記適期度算出手段により算出された設備の適期度Kを前記出力装置から出力し、
    前記損壊時損失費用算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の損壊時損失費用Cfを算出し、
    前記損壊確率を考慮した損失費用算出手段は、前記損壊時損失費用算出手段により算出された設備の損壊時損失費用Cfに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfを算出し、
    前記最大保全費用算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の最大保全費用Cmmaxを算出し、
    前記保全費用算出手段は、前記最大保全費用算出手段により算出された設備の最大保全費用Cmmaxに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを算出し、
    前記期待総費用算出手段は、前記損壊確率を考慮した損失費用算出手段により算出された設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfと前記保全費用算出手段により算出された設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを算出し、
    前記最小期待総費用損壊確率算出手段は、前記期待総費用算出手段により算出された設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出し、
    前記許容損壊確率算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の許容損壊確率Pfを算出し、
    前記適期度算出手段は、前記最小期待総費用損壊確率算出手段により算出された設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと前記許容損壊確率算出手段により算出された設備の許容損壊確率Pfに基づいて、設備の適期度Kを算出する、
    ことを特徴とする設備計画作成支援装置。
  6. 設備の保全計画の作成を支援する設備計画作成支援装置であって、
    処理装置と、記憶装置と、入力装置と、出力装置を備え、
    前記記憶装置は、設備の設備情報を記憶する設備情報データベースを有し、
    前記処理装置は、管理手段と、損壊時損失費用算出手段と、損壊確率を考慮した損失費用算出手段と、最大保全費用算出手段と、保全費用算出手段と、期待総費用算出手段と、最小期待総費用損壊確率算出手段と、許容損壊確率算出手段と、適期度算出手段と、リスクグレード判定手段を有し、
    前記管理手段は、前記入力装置により入力された設備情報を前記記憶装置の設備情報データベースに記憶し、また、前記リスクグレード判定手段により判定されたリスクグレードを前記出力装置から出力し、
    前記損壊時損失費用算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の損壊時損失費用Cfを算出し、
    前記損壊確率を考慮した損失費用算出手段は、前記損壊時損失費用算出手段により算出された設備の損壊時損失費用Cfに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfを算出し、
    前記最大保全費用算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の最大保全費用Cmmaxを算出し、
    前記保全費用算出手段は、前記最大保全費用算出手段により算出された設備の最大保全費用Cmmaxに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを算出し、
    前記期待総費用算出手段は、前記損壊確率を考慮した損失費用算出手段により算出された設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfと前記保全費用算出手段により算出された設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを算出し、
    前記最小期待総費用損壊確率算出手段は、前記期待総費用算出手段により算出された設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出し、
    前記許容損壊確率算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の許容損壊確率Pfを算出し、
    前記適期度算出手段は、前記最小期待総費用損壊確率算出手段により算出された設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと前記許容損壊確率算出手段により算出された設備の許容損壊確率Pfに基づいて、設備の適期度Kを算出し、
    前記リスクグレード判定手段は、前記適期度算出手段により算出された設備の適期度Kと前記損壊時損失費用算出手段により算出された設備の損壊時損失費用Cfに基づいて、設備のリスクグレードを判定する、
    ことを特徴とする設備計画作成支援装置。
  7. 請求項6に記載の設備計画作成支援装置であって、
    前記記憶装置は、適期度K及び損壊時損失費用Cfに対するリスクグレードを記憶するリスクグレードデータベースを有し、
    前記管理手段は、前記入力装置から入力されたリスクグレードを前記記憶装置のリスクグレードデータベースに記憶し、
    前記リスクグレード判定手段は、前記適期度算出手段によって算出された設備の適期度K及び前記損壊時損失費用算出手段によって算出された設備の損壊時損失費用Cfに対応するリスクグレードを前記記憶装置のリスクグレードデータベースから読み出す、
    ことを特徴とする設備計画作成支援装置。
  8. 請求項7に記載の設備計画作成支援装置であって、
    前記リスクグレードデータベースは、適期度Kを複数の範囲に区分した適期度レベルと損壊時損失費用Cfを複数の範囲に区分した損壊時影響度レベルに対するリスクグレードを記憶するリスクグレードテーブルであり、
    前記リスクグレード判定手段は、前記適期度算出手段によって算出された設備の適期度Kが属する適期度レベルと前記損壊時損失費用算出手段によって算出された設備の損壊時損失費用Cfが属する損壊時影響度レベルを判別し、判別した適期度レベルと損壊時影響度レベルに対応するリスクグレードを前記記憶装置のリスクグレードテーブルから読み出す、
    ことを特徴とする設備計画作成支援装置。
  9. 請求項4〜8のいずれかに記載の設備計画作成支援装置であって、
    前記損壊確率Pfは、最大損壊確率Pfmaxと最小損壊確率Pfminの範囲に設定されており、
    前記最大保全費用算出手段は、最大保全費用Cmmaxと最小保全費用Cmminを算出し、
    前記保全費用算出手段は、最大損壊確率Pfmaxに対応する保全費用CmPfが最小保全費用Cmminとなり、最小損壊確率Pfminに対応する保全費用CmPfが最大保全費用Cmmaxとなるように、設備の損壊確率Pfに対する保全費用CmPfを算出する、
    ことを特徴とする設備計画作成支援装置。
  10. 請求項3、5〜9のいずれかに記載の設備計画作成支援装置であって、前記適期度算出手段は、設備の適期度Kを、設備の許容損壊確率Pfと設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustとの対数比または対数差により算出することを特徴とする設備計画作成支援装置。
  11. 請求項4〜10のいずれかに記載の設備計画作成支援装置であって、前記期待総費用算出手段は、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを、[Ctotal=Cmpf+Cf×Pf]により算出することを特徴とする設備計画作成支援装置。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の設備計画作成支援装置であって、前記許容損壊確率算出手段は、設備の許容損壊確率Pfを、
    [Pf=10−5×[(α×TR−TI)×Co×A]÷(W×n0.5)]
    [TR:設備の耐用年数、α:設備の耐用年数に対する較正係数、TI:設備の前回の保全工事実施年からの経過年数、Co:(設備の耐用年数TR−設備の竣工からの経過年数)に応じた係数、A:設備の重要度レベルの係数、W:目視や検査による損壊の可能性レベルの係数、n:設備損壊時の最大被災人数の係数]
    により算出することを特徴とする設備計画作成支援装置。
  13. 設備の建設計画の作成を支援する設備計画作成支援装置であって、
    処理装置と、記憶装置と、入力装置と、出力装置を備え、
    前記記憶装置は、設備の設備情報を記憶する設備情報データベースを有し、
    前記処理装置は、管理手段と、損壊時損失費用算出手段と、損壊確率を考慮した損失費用算出手段と、最大建設費用・最小建設費用算出手段と、建設費用算出手段と、期待総費用算出手段と、最小期待総費用損壊確率算出手段と、許容損壊確率算出手段を有し、
    前記管理手段は、前記入力装置により入力された設備情報を前記記憶装置の設備情報データベースに記憶し、前記最小期待総費用損壊確率算出手段により算出された設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustと前記許容損壊確率算出手段により算出された設備の許容損壊確率Pfを前記出力装置から出力し、
    前記損壊時損失費用算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の損壊時損失費用Cfを算出し、
    前記損壊確率を考慮した損失費用算出手段は、前記損壊時損失費用算出手段により算出された設備の損壊時損失費用Cfに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfを算出し、
    前記最大建設費用・最小建設費用算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の最大建設費用Cbmaxと設備の最小建設費用Cbminを算出し、
    前記建設費用算出手段は、前記最大建設費用・最小建設費用算出手段により算出された設備の最大建設費用Cbmaxと設備の最小建設費用Cbminに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する建設費用CbPfを算出し、
    前記期待総費用算出手段は、前記損壊確率を考慮した損失費用算出手段により算出された設備の損壊確率Pfに対する損失費用CfPfと前記建設費用算出手段により算出された設備の損壊確率Pfに対する建設費用CbPfに基づいて、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを算出し、
    前記最小期待総費用損壊確率算出手段は、前記期待総費用算出手段により算出された設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalが最小となる設備の最小期待総費用損壊確率Pfjustを算出し、
    前記許容損壊確率算出手段は、前記記憶装置の設備情報データベースに記憶されている設備情報に基づいて、設備の許容損壊確率Pfを算出する、
    ことを特徴とする設備計画作成支援装置。
  14. 請求項13に記載の設備計画作成支援装置であって、
    前記損壊確率Pfは、最大損壊確率Pfmaxと最小損壊確率Pfminの範囲に設定されており、
    前記建設費用算出手段は、最大損壊確率Pfmaxに対応する建設費用CbPfが最小建設費用Cbminとなり、最小損壊確率Pfminに対応する建設費用CbPfが最大建設費用Cbmaxとなるように、設備の損壊確率Pfに対する建設費用CbPfを算出する、
    ことを特徴とする設備計画作成支援装置。
  15. 請求項13または14に記載の設備計画作成支援装置であって、前記期待総費用算出手段は、設備の損壊確率Pfに対する期待総費用Ctotalを[Ctotal=Cbpf+Cf×Pf]により算出することを特徴とする設備計画作成支援装置。
  16. 請求項1、2、13〜15のいずれかに記載の設備計画作成支援装置であって、前記許容損壊確率算出手段は、設備の許容損壊確率Pfaを、
    [Pf=10−5×(α×TR×A)÷(W×n0.5)]
    [TR:設備の耐用年数、α:設備の耐用年数に対する較正係数、A:設備の重要度レベルの係数、W:損壊の形態の係数、n:設備損壊時の最大被災人数の係数]
    により算出することを特徴とする設備計画作成支援装置。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の処理装置における各手段の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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