JP2023012668A - 故障予測装置、故障予測方法、及びプログラム - Google Patents

故障予測装置、故障予測方法、及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2023012668A
JP2023012668A JP2021116247A JP2021116247A JP2023012668A JP 2023012668 A JP2023012668 A JP 2023012668A JP 2021116247 A JP2021116247 A JP 2021116247A JP 2021116247 A JP2021116247 A JP 2021116247A JP 2023012668 A JP2023012668 A JP 2023012668A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
failure
prediction target
prediction
probability
corrected
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021116247A
Other languages
English (en)
Inventor
俊作 松本
Shunsaku Matsumoto
忠士 杉村
Tadashi Sugimura
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2021116247A priority Critical patent/JP2023012668A/ja
Priority to PCT/JP2022/026718 priority patent/WO2023286659A1/ja
Priority to EP22842003.0A priority patent/EP4339851A1/en
Publication of JP2023012668A publication Critical patent/JP2023012668A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06QINFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR ADMINISTRATIVE, COMMERCIAL, FINANCIAL, MANAGERIAL OR SUPERVISORY PURPOSES; SYSTEMS OR METHODS SPECIALLY ADAPTED FOR ADMINISTRATIVE, COMMERCIAL, FINANCIAL, MANAGERIAL OR SUPERVISORY PURPOSES, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G06Q10/00Administration; Management
    • G06Q10/06Resources, workflows, human or project management; Enterprise or organisation planning; Enterprise or organisation modelling
    • G06Q10/063Operations research, analysis or management
    • G06Q10/0635Risk analysis of enterprise or organisation activities
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06QINFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR ADMINISTRATIVE, COMMERCIAL, FINANCIAL, MANAGERIAL OR SUPERVISORY PURPOSES; SYSTEMS OR METHODS SPECIALLY ADAPTED FOR ADMINISTRATIVE, COMMERCIAL, FINANCIAL, MANAGERIAL OR SUPERVISORY PURPOSES, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G06Q10/00Administration; Management
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06QINFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR ADMINISTRATIVE, COMMERCIAL, FINANCIAL, MANAGERIAL OR SUPERVISORY PURPOSES; SYSTEMS OR METHODS SPECIALLY ADAPTED FOR ADMINISTRATIVE, COMMERCIAL, FINANCIAL, MANAGERIAL OR SUPERVISORY PURPOSES, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G06Q10/00Administration; Management
    • G06Q10/04Forecasting or optimisation specially adapted for administrative or management purposes, e.g. linear programming or "cutting stock problem"
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06QINFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR ADMINISTRATIVE, COMMERCIAL, FINANCIAL, MANAGERIAL OR SUPERVISORY PURPOSES; SYSTEMS OR METHODS SPECIALLY ADAPTED FOR ADMINISTRATIVE, COMMERCIAL, FINANCIAL, MANAGERIAL OR SUPERVISORY PURPOSES, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G06Q10/00Administration; Management
    • G06Q10/06Resources, workflows, human or project management; Enterprise or organisation planning; Enterprise or organisation modelling
    • G06Q10/063Operations research, analysis or management
    • G06Q10/0639Performance analysis of employees; Performance analysis of enterprise or organisation operations
    • G06Q10/06395Quality analysis or management
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06QINFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR ADMINISTRATIVE, COMMERCIAL, FINANCIAL, MANAGERIAL OR SUPERVISORY PURPOSES; SYSTEMS OR METHODS SPECIALLY ADAPTED FOR ADMINISTRATIVE, COMMERCIAL, FINANCIAL, MANAGERIAL OR SUPERVISORY PURPOSES, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G06Q10/00Administration; Management
    • G06Q10/20Administration of product repair or maintenance

Landscapes

  • Business, Economics & Management (AREA)
  • Human Resources & Organizations (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Strategic Management (AREA)
  • Economics (AREA)
  • Entrepreneurship & Innovation (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Quality & Reliability (AREA)
  • Operations Research (AREA)
  • Tourism & Hospitality (AREA)
  • Marketing (AREA)
  • General Business, Economics & Management (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Development Economics (AREA)
  • Educational Administration (AREA)
  • Game Theory and Decision Science (AREA)
  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)

Abstract

【課題】物理モデル及び統計モデルの個々の予測結果を補正して、予測対象の故障に関するリスクを精度よく予測することができる故障予測装置を提供する。【解決手段】故障予測装置は、予測対象の故障に関するデータに基づいて生成された統計モデルを用いて、前記予測対象の偶発故障の確率を表す故障率を評価する第1評価部と、前記予測対象の設計データに基づいて生成された物理モデルを用いて、前記予測対象の経年劣化による故障の確率を表す故障確率を評価する第2評価部と、前記予測対象を予め決められた評価項目毎に定性的に評価した定性評価結果を取得する取得部と、前記故障率及び前記故障確率それぞれに対し、前記定性評価結果に基づく補正係数を乗じた補正故障率及び補正故障確率を算出する補正部と、を備える。【選択図】図2

Description

本開示は、故障予測装置、故障予測方法、及びプログラムに関する。
製品のリスクマネジメントで重要となる機器や構造の故障確率、故障率の評価には、一般に定量的な故障物理モデルや故障統計データが用いられる。定量的予測の精度は、機器及び構造の物理モデルの精度、計測データの充実度、製品又は事業分野の経験の有無などに大きく影響を受ける。したがって、十分な経験、計測データなどが蓄積されていない新製品などでは、故障確率、故障率の予測精度が低くなる可能性がある。
例えば、特許文献1には、設備の点検・保守情報、プラントデータ、モニタリングデータ等が十分に蓄積されている設備については統計的劣化モデルを用いて耐用年数を予測し、データを十分に取得できない設備については法定耐用年数に基づき劣化診断を行う技術が記載されている。
特許第5802619号公報
しかしながら、製品の故障を引き起こす要因には、定量的な評価が困難な要因など、経年劣化による故障確率を予測する物理モデル、偶発故障を予測する統計モデル等の数理モデルでは想定することが困難なものがある。このため、従来の技術では、物理モデル及び統計モデルによる故障確率及び故障率の予測精度が低減する可能性がある。
本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであって、物理モデル及び統計モデルの個々の予測結果を補正して、予測対象の故障に関するリスクを精度よく予測することができる故障予測装置、故障予測方法、及びプログラムを提供する。
本開示の一態様によれば、故障予測装置は、予測対象の故障に関するデータに基づいて生成された統計モデルを用いて、前記予測対象の偶発故障の確率を表す故障率を評価する第1評価部と、前記予測対象の設計データに基づいて生成された物理モデルを用いて、前記予測対象の経年劣化による故障の確率を表す故障確率を評価する第2評価部と、前記予測対象を予め決められた評価項目毎に定性的に評価した定性評価結果を取得する取得部と、前記故障率及び前記故障確率それぞれに対し、前記定性評価結果に基づく補正係数を乗じた補正故障率及び補正故障確率を算出する補正部と、を備える。
本開示の一態様によれば、故障予測方法は、予測対象の故障に関するデータに基づいて生成された統計モデルを用いて、前記予測対象の偶発故障の確率を表す故障率を評価するステップと、前記予測対象の設計、製造データや運転、保全履歴データに基づいて生成された物理モデルを用いて、前記予測対象の経年劣化による故障の確率を表す故障確率を評価するステップと、前記予測対象を予め決められた評価項目毎に定性的に評価した定性評価結果を取得するステップと、前記故障率及び前記故障確率それぞれに対し、前記定性評価結果に基づく補正係数を乗じた補正故障率及び補正故障確率を算出するステップと、を有する。
本開示の一態様によれば、プログラムは、予測対象の故障に関するデータに基づいて生成された統計モデルを用いて、前記予測対象の偶発故障の確率を表す故障率を評価するステップと、前記予測対象の設計データに基づいて生成された物理モデルを用いて、前記予測対象の経年劣化による故障の確率を表す故障確率を評価するステップと、前記予測対象を予め決められた評価項目毎に定性的に評価した定性評価結果を取得するステップと、前記故障率及び前記故障確率それぞれに対し、前記定性評価結果に基づく補正係数を乗じた補正故障率及び補正故障確率を算出するステップと、を故障予測装置のコンピュータに実行させる。
本開示に係る故障予測装置、故障予測方法、及びプログラムによれば、予測対象の故障に関するリスクを精度よく予測することができる。
本開示の第1の実施形態に係る故障予測装置の全体構成を示す図である。 本開示の第1の実施形態に係る故障予測装置の機能構成を示す図である。 本開示の第1の実施形態に係る定性評価を説明するための図である。 本開示の第1の実施形態に係る故障予測装置の処理の例を示すフローチャートである。 本開示の第1の実施形態に係る補正故障率の例を示す第1の図である。 本開示の第1の実施形態に係る補正故障率の例を示す第2の図である。 本開示の第1の実施形態に係る補正故障確率の例を示す第1の図である。 本開示の第1の実施形態に係る補正故障確率の例を示す第2の図である。 本開示の第1の実施形態に係る補正故障確率の例を示す第3の図である。 本開示の第2の実施形態に係る故障予測装置の機能構成を示す図である。 本開示の第2の実施形態に係る故障予測装置の処理の例を示すフローチャートである。 本開示の第2の実施形態に係る第1調整部の機能を説明するための第1の図である。 本開示の第2の実施形態に係る第1調整部の機能を説明するための第2の図である。 本開示の第2の実施形態に係る第2調整部の機能を説明するための第1の図である。 本開示の第2の実施形態に係る第2調整部の機能を説明するための第2の図である。 本開示の第2の実施形態に係る第2調整部の機能を説明するための第3の図である。 本開示の第3の実施形態に係る故障予測装置の機能構成を示す図である。 本開示の第3の実施形態に係る故障予測装置の処理の例を示すフローチャートである。
<第1の実施形態>
以下、本開示の第1の実施形態に係る故障予測装置について、図1~図9を参照しながら説明する。
(全体構成)
図1は、本開示の第1の実施形態に係る故障予測装置の全体構成を示す図である。
本実施形態に係る故障予測装置1は、予測対象30の故障に関するリスクを予測する。予測対象30は、例えば、産業プラント(発電プラント、化学プラント等)、船舶、冷凍機などの製品3(施設、設備等を含む)を構成する機器、構造体等である。
上記したように、故障予測モデルによる定量的な故障率及び故障確率の評価では、例えばモデルを生成するためのデータが不足している場合、定量的な評価が困難な不確定要素がある場合など、予測精度が低下する可能性がある。このような予測精度の低下を抑制するため、本実施形態では、図1に示すように、ユーザAが各予測対象30について定性的な評価を行い、故障予測装置1に評価結果を入力する。また、故障予測装置1は、ユーザによる評価結果に基づいて、故障予測モデルによる予測結果を補正する。
(機能構成)
図2は、本開示の第1の実施形態に係る故障予測装置の機能構成を示す図である。
図2に示すように、故障予測装置1は、CPU10と、メモリ11と、ストレージ12と、接続インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。
メモリ11は、いわゆる主記憶装置であって、CPU10がプログラムに基づいて動作するための命令及びデータが展開される。
ストレージ12は、いわゆる補助記憶装置であって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。ストレージ12は、故障予測装置1が取得、生成したデータや、故障の予測に用いるデータ等を記憶する。
接続インタフェース13は、表示装置2A、入力装置2B等との接続を行うためのインタフェースである。表示装置2Aは、情報を視認可能に表示する表示デバイスであって、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどである。入力装置2Bは、故障予測装置1のユーザの操作を受け付ける入力デバイスであって、例えば、一般的なマウス、キーボード、タッチセンサなどである。
通信インタフェース14は、故障予測装置1と外部機器との通信接続用のインタフェースである。本実施形態に係る故障予測装置1は、通信インタフェース14を介して予測対象30と通信可能に接続されており、予測対象30から運転データ(センサ計測値、制御指令値、保全履歴等)を受信する。また、故障予測装置1は、通信インタフェース14を介して各種データベース(故障統計DB50、設計・製造・運転DB51、評価DB52、メンテナンス計画DB53、費用DB54等)と通信可能に接続されていてもよい。
CPU10は、故障予測装置1の全体の動作を司るプロセッサである。CPU10は、所定のプログラムに従って動作することにより、設定部100、第1評価部101、第2評価部102、取得部103、補正部104、第1判定部105、第2判定部106、及び提案部107としての機能を発揮する。
設定部100は、複数の予測対象30それぞれの故障の予測に用いる故障予測モデルの選定を行う。また、設定部100は、メンテナンス計画DB53に記録された予測対象30の予防保全計画、費用DB54に記録されたメンテナンス費用等を参照して、予測対象30の信頼性、稼働率、メンテナンスコスト等の目的関数、及び、予測対象30の信頼性、稼働率、総費用等の制約条件の設定を行う。
故障予測モデルは、統計モデルと、物理モデルとを含む。統計モデルは、評価期間(例えば、10年間)において予測対象30の偶発故障がどのくらい発生するかを示す故障率を出力する。統計モデルは、故障統計DB50に蓄積された予測対象30の故障に関するデータに基づいて予め生成されたものである。故障に関するデータは、例えば、予測対象30、或いは、その類似製品の運用履歴データ、故障履歴データ、メンテナンス履歴データ等である。また、故障予測モデルは、故障率データベースを直接参照して生成されたものであってもよい。故障率データベースは、各予測対象30の故障率に関するデータを格納するデータベースであり、設計時に実施されたFMEA(Failure Mode and Effect Analysis)によって求められた予測対象30の故障リスクに関するデータを含む。また、故障率データベースは、公開信頼性データベース、独自に用意したプライベートデータベース、公開データ及びプライベートデータを重み付けして結合したものなどから得られるデータを含んでいてもよい。
物理モデルは、予測対象30の経年劣化を模擬し、評価期間(例えば、10年)における予測対象30の故障確率の時系列を出力する。物理モデルは、設計・製造・運転DB51に蓄積された予測対象30の設計データ、製造データ、運転データ、保全履歴データ等に基づいて予め生成されたものである。
なお、故障率と故障確率は、以下の式(1)で関連付けられる。なお、以下の式において、λ(t)は時間tにおける故障率、f(t)は故障寿命の確率密度関数、R(t)は時間tにおける信頼度、F(t)は時間tにおける故障確率を表す。故障確率F(t)は、信頼度R(t)の余事象である。
Figure 2023012668000002
第1評価部101は、統計モデルを用いて予測対象30の偶発故障の確率を表す故障率を評価する。
第2評価部102は、物理モデルを用いて予測対象30の経年劣化による故障の確率を表す故障確率を評価する。
取得部103は、予測対象30を予め決められた評価項目毎に定性的に評価した定性評価結果を取得する。
補正部104は、故障率及び故障確率それぞれに対し、ユーザAによる予測対象30の定性評価の評価結果に基づく補正係数を乗じた補正故障率及び補正故障確率を算出する。
第1判定部105は、補正故障率に基づいて、予測対象30の補用品条件が予測対象30に対し予め設定された制約条件を満たすか判定する。メンテナンス計画DB53には、予め各予測対象30の補用品条件が記録されている。補用品条件には、例えば、補用品(故障時の交換用の部品等)の数量が含まれる。
第2判定部106は、補正故障確率に基づいて、予測対象30の予防保全計画が予測対象30に対し予め設定された制約条件を満たすか判定する。メンテナンス計画DB53には、予め各予測対象30の予防保全計画が記録されている。予防保全計画には、例えば、予測対象30の点検、補修、交換等の実施回数、実施範囲、実施時期等が含まれる。
提案部107は、第1判定部105及び前記第2判定部106の少なくとも一方が制約条件を満たさないと判定した場合に、少なくとも一つの評価項目に対応する故障対策の見直しを提案する。
(予測対象の定性評価について)
図3は、本開示の第1の実施形態に係る定性評価を説明するための図である。
図3には、予測対象30の定性評価の配点表の一例が示されている。配点表には、予測対象30の故障頻度補正係数(以下、「補正係数」とも記載する。)の因子(Subfactor)毎に、評価項目及び評価点(Point)が予め規定されている。因子(Subfactor)は故障に関連する「不安・不確定要素」を定性評価に結び付けるものである。評価項目は、複数の予測対象30全てに共通のものであってよい。ユーザは、予測対象30それぞれについて、図3に示す評価項目の確認を行い、確認結果に応じた評価結果(各評価項目の評価点)を故障予測装置1に入力、又は、評価DB52に記録する。なお、図3の例では、評価点が高いほどは故障が発生しやすいことを示す。
また、定性評価の内容について説明する。図3の例では、予測対象30の故障頻度補正係数の因子として、「Universal Subfactor」、「Design Subfactor」、「Stability and Matureness Subfactor」、「Structural Subfactor」、「Monitoring Subfactor」の5つが設定される。
(1)Universal Subfactore
Universal Subfactorは、全ての予測対象30に共通する一般的な故障頻度補正係数の因子である。例えば、Universal Subfactorは、「Appearance」、「Natural Environment」、「Uncertain Natural Load」等の評価項目を含む。
Appearanceは、予測対象30の外観(汚れ、塗装の剥がれ等)を、予測対象30を運用している事業分野における標準的な状態と比較して評価する項目である。汚れ等が放置されている場合は、予測対象30の管理状態が悪く、故障が発生しやすい状態にあると考えられる。このため、ユーザAは、予測対象30の外観の状態が悪いほど評価点が高くなるように評価する。例えば、ユーザは、図3に示すように、予測対象30の外観を「標準より良い(評価点:-1)」、「標準(評価点:0)」、「標準より悪い(評価点:+1)」の三段階で評価する。なお、評価点の値は一例である。これにより、予測対象30の管理状態のように定量的なデータを収集しづらい要因を、ユーザAの目視確認により定量的な評価結果として得ることができる。また、予測対象30の外観を他の標準的な状態と比較して三段階で評価するのみであるので、ユーザAによる評価時間を低減することができる。なお、Appearanceについては、ユーザの主観による評価結果のばらつきを防ぐため、複数のユーザの合意で評価結果を決定するようにしてもよい。また、予め標準的な状態を示す画像を複数準備しておき、ユーザが撮影した予測対象30の画像との比較、評価を故障予測装置1に行わせてもよい。
Natural Environmentは、予測対象30を運用する地域において恒常的に受ける環境の過酷度を評価する項目である。例えば、予測対象30が寒冷地、熱帯地で運用する場合は、温度に起因する故障(低気温による破砕、高気温によるオーバーヒート等)が発生しやすくなる。また、予測対象30が船舶である場合、波の高さ、風の強さ、水温、腐食成分(硝酸態窒素等)が多く含まれる地域で運用される船舶は、他の地域で運用される船舶よりも故障(疲労損傷、腐食等)が発生しやすくなる。ユーザは、設計・製造・運転DB51等に記録された環境(気温、水温等)に関する統計データを参照して、予測対象30の運用地域の過酷度が高いほど評価点が高くなるように評価する。また、ユーザは、予測対象30が環境に応じた対策(例えば、塗装を厚く塗る、高耐久性の塗装を定期的に行う等)を実施している場合、評価点を減じてもよい。
Uncertain Natural Loadは、予測対象30を運用する地域で確率的に発生する極大自然荷重(地震、津波、火山、台風、ハリケーン等の自然災害、異常気象等)を評価する項目である。例えば、予測対象30が火山噴火のリスクのある地域に設置されているとする。ユーザは、噴火時の火山灰の降灰量の統計データ等に基づいて、予測対象30の運用地域における降灰量が多いほど評価点が高くなるように評価する。また、ユーザは、火山灰の他、台風やハリケーン等の巨大な風荷重の大きさ及び発生頻度、気温や湿度の増加に伴う材料の劣化、豪雨等の巨大な流体荷重の大きさ及び発生頻度を評価してもよい。
なお、故障予測装置1は、設計・製造・運転DB51等に記録された各地域の環境及び自然荷重に関する統計データや、予測対象30の環境に応じた対策の実施状況を示すデータを読み出して、Natural Environment及びUncertain Natural Loadを自動的に評価してもよい。
(2)Design Subfactor
Design Subfactorは、予測対象30それぞれの設計に関連する故障頻度補正係数の因子である。例えば、Design Subfactorは、「Complexity」、「Standard and Code」、「Life Consumption」等の評価項目を含む。
Complexityは、予測対象30が複雑な構造を有しているかを評価する項目である。図3の例では、ユーザは、予測対象30が複雑であるほど評価点が高くなるように評価する。構造が複雑であるかは、例えば、予測対象30のノズル数、配管の分岐数等により評価する。
Standard and Codeは、設計規格に準拠している機器、構造体は信頼性が高く、故障が生じにくいという観点から、予測対象30が設計規格に準拠しているかを評価する項目である。ユーザは、設計規格に準拠している予測対象30については、評価点が低くなるように評価する。また、ユーザは、設計規格が存在しない、又は、設計規格に準拠していない予測対象30については、評価点が高くなるように評価する。
Life Consumptionは、予測対象30の設計寿命の消費量を評価する項目である。図3の例では、予測対象30の設計寿命の消費量(設計寿命に対する使用時間)を4つの区間(区間1:n1%未満、区間2:n1%以上n2%未満、区間3:n2%以上n3%未満、区間4:n3%以上)に分割して、各区間に対応する故障頻度で重み付けした評価点が設定されている。各区間の故障頻度は、設計・製造・運転DB51に記録されている、予測対象30の時間経過に応じた故障率を示すデータ(バスタブ曲線)から得る。ユーザは、予測対象30の使用時間から設計寿命の区間を特定して、評価点を決定する。
なお、故障予測装置1は、設計・製造・運転DB51に記録されている予測対象30の設計データ、運転データを読み出して、Design Subfactorの各評価項目を自動的に評価してもよい。
(3)Stability and Matureness Subfactor
Stability and Matureness Subfactorは、予測対象30の安定性及び成熟性に関連する故障頻度補正係数の因子である。例えば、Stability and Matureness Subfactorは、「Unexpected Damage Detection」、「Unplanned Failure Detection」、「Specialty and Matureness」、「Similarity」、「Measures」等の評価項目を含む。
Unexpected Damage Detectionは、定期検査等で予測対象30の運転停止には至らない程度の想定外損傷を検出した頻度を評価する項目である。ユーザAは、検出頻度が少ないほど評価点が低くなるように評価する。
Unplanned Failure Detectionは、定期検査等で予測対象30の運転停止が必要な致命的な故障を検出した頻度を評価する項目である。ユーザAは、検出頻度が少ないほど評価点が低くなるように評価する。
Specialty and Maturenessは、予測対象30の特殊性及び成熟性を評価する項目である。予測対象30が複数の事業分野で長期間運用されている量産品である場合、又は、予測対象30と類似した設計の機器、構造体が一定数以上、運用されている場合は、予測対象30の故障に関する統計データが十分蓄積されており、故障予測の不確かさが小さい。このため、ユーザAは、このような特殊性が低く、かつ成熟性が高い予測対象30については、特定産業のみで運用される非量産品(特殊性が高い)、類似設計品の運用実績が一定数未満である(成熟性が低い)ものよりも評価点が低くなるように評価する。また、予測対象30の設計者又は製造者、運用者(オペレータ)等の経験に応じて、評価点を増減させてもよい。製品に用いられる機器、構造体が新規開発されたもの、特殊なものである場合、初期故障による不具合が生じやすい。本実施形態では、Specialty and Maturenessの評価項目において、予測対象30の特殊性、成熟性の評価結果を補正係数に反映させることにより、故障予測装置1においてこのような初期故障のリスクを加味した故障率及び故障確率を評価することができる。
Similarityは、予測対象30について、過去に発生した損傷又は故障の原因又は条件の類似性を評価する項目である。予測対象30に隣接する構造体が負荷により損傷した場合、予測対象30にも同じような負荷がかかって損傷が生じる可能性がある。また、予測対象30と類似する箇所(例えば、船舶の反対舷に設けられた対応構造)や、同一機種が損傷した場合には、予測対象30にも同じような損傷が生じる可能性がある。このため、ユーザAは、過去に損傷又は故障した機器等と類似する原因又は条件を有する予測対象30について、検査又は対策が終わっていない予測対象30の評価点が、検査又は対策が終わったものよりも高くなるように評価する。また、過去に損傷した機器等に類似する場合と、過去に故障した機器等に類似する場合とで、評価点を異ならせてもよい。
Measuresは、予測対象30が過去に損傷又は故障した原因が特定され、対策されているかを評価する項目である。ユーザAは、損傷又は故障の対策がされていない予測対象30の評価点を、対策済みのものよりも高くなるように評価する。また、対策内容が恒久的なものであるか、一時的な応急対策であるかに応じて、評価点を異ならせてもよい。
なお、故障予測装置1は、故障統計DB50に記録されている予測対象30の故障履歴データ、メンテナンス履歴データを読み出して、Stability and Matureness Subfactorの各評価項目を自動的に評価してもよい。
従来の技術では、例えば予測対象の故障発生時に故障対策を行ったとき、「対策したので再発しない」と評価され、予測モデルに反映されない場合がある。しかしながら、実際には、故障発生個所や故障対策の内容によっては、同一の箇所又は隣接する箇所で故障が再発する可能性があり、予測モデルの予測精度を低下させる一因となっていた。これに対し、本実施形態では、Stability and Matureness Subfactorの各評価項目(特に、Unexpected Damage Detection、Unplanned Failure Detection、Similarity、Measures)において、故障や損傷等不具合発生個所(機器、構造)の不具合状況、発生頻度やその対策、及び、その類似箇所や隣接箇所の検査、強度検討状況を評価している。これにより、過去の故障発生個所、故障内容、対策内容や、隣接又は類似箇所の状況を、定性評価において適切に評価することができる。故障予測装置1は、故障率及び故障確率に対し、この定性評価結果に基づく補正係数を適用することにより、過去の故障やその対策内容を加味した故障リスクを精度よく予測することが可能となる。
(4)Structural Subfactor
Structural Subfactorは、構造体特有の事象に関連する故障頻度補正係数の因子である。例えば、Structural Subfactorは、「Structural Criticality」、「Damage Rate」等の評価項目を含む。
Structural Criticalityは、予測対象30(構造体)の損傷が他の構造体へ及ぼす影響を評価する項目である。例えば、ユーザAは、予測対象30にき裂が生じたときに隣接する構造体に影響を与えてしまう場合、この予測対象30の評価点を、影響を与えない場合と比べて高くなるように評価する。
Damage Rateは、予測対象30(構造体)の疲労、腐食、摩耗、クリープなどの進行性損傷の進展性を評価する項目である。例えば、ユーザAは、予測対象30がき裂の進展を鈍化させる構造、部材を用いていない場合、この予測対象30の評点を、き裂の進展を鈍化させる構造、部材を用いているものよりも高くなるように評価する。
なお、故障予測装置1は、設計・製造・運転DB51に記録されている予測対象30の設計データを読み出して、Structural Subfactorの各評価項目を自動的に評価してもよい。
例えば予測対象30が構造体である場合、部位ごとにき裂などの損傷発生、き裂の進展に関する危険性は異なる。例えば、ある部位にき裂が生じたときに、このき裂が進展する先の部位においてき裂を開く方向の力が働くか、閉じる方向の力が働くかによって、危険性の大小が変化する。このため本実施形態では、Structural Subfactorの各評価項目で構造体特有の損傷危険性を部位ごとに評価する。故障予測装置1は、この評価結果を補正係数に反映することにより、予測対象30の構造、隣接する構造体への影響等を加味した故障リスクを精度よく予測することが可能となる。
(5)Monitoring Subfactor
Monitoring Subfactorは、検査、モニタリングに関連する故障頻度補正係数の因子である。例えば、Monitoring Subfactorは、「Discrepancy Factor」、「Monitoring and Inspection (Time)」、「Monitoring and Inspection (Space)」、「Detectability (Visibility)」、「Detectability (Accessibility)」等を含む。
Discrepancy Factorは、設計データで想定された状態量と、実運転中に計測された状態量との乖離度合いを評価する項目である。例えば、複数の状態量のうち、予測対象30の損傷や故障に最も大きく寄与する状態量(例えば、温度等)を選定する。そして、ユーザAは、予測対象30の設計条件と運転条件との比率が大きいほど、評価点が高くなるように評価する。
Monitoring and Inspection (Time)は、検査、モニタリングの間隔を評価する項目である。ユーザAは、予測対象30のモニタリング間隔が長いほど評価点が高く、モニタリング間隔が短いほど評価点が低くなるように評価する。予測対象30の検査や監視の範囲を広げたり、インターバルを短くとることで、故障予測の不確実性を低減させることができる。
Monitoring and Inspection (Space)は、検査、モニタリングの網羅性を評価する項目である。ユーザAは、予測対象30を複数の部位に分割し、検査数が多いほど評価点が低く、検査数が少ないほど評価点が高くなるように評価する。
Detectability (Visibility)は、予測対象30の検査の容易さを評価する項目である。ユーザAは、予測対象30の目視検査が困難であるほど、評価点が高くなるように評価する。
Detectability (Accessibility) は、予測対象30の検査の容易さを評価する項目である。ユーザAは、予測対象30に接近して検査を行うことが困難であるほど、評価点が高くなるように評価する。
なお、故障予測装置1は、設計・製造・運転DB51に記録された設計データ及び運転データ、メンテナンス計画DB53に記録された予防保全計画等に基づいて、Monitoring Subfactorの各評価項目を自動的に評価してもよい。
なお、図3に示した評価項目、評価段階、及び配点は一例であり、これに限られることはない。これらの内容は、予測対象30の機種、予測対象30の運用目的(事業分野)等に応じて任意に変更してもよい。また、統計モデル又は物理モデルに組み込み済みの評価項目については、ユーザAが定性評価の対象から除外するようにしてもよい。若しくは、故障予測装置1の補正部104は、補正係数を算出する際に、統計モデル又は物理モデルに組み込み済みの評価項目の評価点を除外するようにしてもよい。補正部104が補正係数を算出する際にどの評価項目を使用するかは、例えばユーザAが任意に設定可能である。
(処理フロー)
図4は、本開示の第1の実施形態に係る故障予測装置の処理の一例を示すフローチャートである。
以下、図4を参照しながら、故障予測装置1を用いて故障率及び故障確率を評価する方法、並びに、補用品条件及び予防保全計画を評価する方法について説明する。
まず、設定部100は、製品3の全ての予測対象30それぞれについて、故障率及び故障確率の予測に用いる故障予測モデルを選定する(ステップS100)。例えば、設定部100は、入力装置2Bを通じたユーザAの操作に従って故障予測モデルを選定する。
また、設定部100は、予測対象30のメンテナンスに関する目的関数、及び制約条件を設定する(ステップS101)。目的関数は、例えば、製品3の信頼性、稼働率、メンテナンスコスト等である。また、制約条件は、製品3の信頼性及び稼働率の下限値、総費用の上限値等である。例えば、設定部100は、入力装置2Bを通じたユーザAの操作に従って目的関数及び制約条件を設定する。
次に、故障予測装置1は、予測対象30の故障率及び故障確率それぞれの評価及び補正を行う。
まず、故障率の評価及び補正を行う方法について説明する。第1評価部101は、設定部100により選定された統計モデルに基づいて予測対象30の故障率を算出する(ステップS102)。予測対象30が複数ある場合、第1評価部101は、全ての予測対象30の故障率をそれぞれ算出する。
次に、取得部103は、ユーザAによる予測対象30の定性評価結果を取得する(ステップS103)。例えば、取得部103は、ユーザAが入力装置2Bを通じて入力した定性評価結果を取得する。また、ユーザAが定性評価結果を評価DB52に記録した場合、取得部103は評価DB52から予測対象30の定性評価結果を読み出すようにしてもよい。
補正部104は、ステップS102で算出した故障率に、定性評価結果に基づく補正係数を乗じて、補正故障確率を算出する(ステップS104)。本実施形態に係る補正部104は、定性評価における各評価項目の評価点の合計値を補正係数として用いる。なお、他の実施形態では、補正部104は、評価点の合計値が負値となった場合、評価点の絶対値の逆数、又は、指数を補正係数として用いてもよい。
図5は、本開示の第1の実施形態に係る補正故障率の例を示す第1の図である。
図5に示すグラフG10は、ある評価期間(例えば、現在から10年間)における故障率及び補正故障率の例である。グラフG10の実線は、第1評価部101が算出した故障率(補正前故障率)を示す。また、グラフG10の破線は、補正部104が補正前故障率に補正係数を乗じて算出した補正故障率を示す。補正部104は、このようにすることで、例えば予測対象30個々の管理状態、運用実績、モニタリング間隔のような統計モデルでは考慮できない要素を加味した補正故障率を算出することができる。
図6は、本開示の第1の実施形態に係る補正故障率の例を示す第2の図である。
補正部104は、図6のグラフG11に示すように、予測対象30のバスタブ曲線を模擬することにより、設計寿命の消費量に応じて補正係数を変えてもよい。例えば、図3に示すように、Life Consumptionの評価点は、予測対象30の使用時間の区間(区間1~区間4)に応じて{1,0,1,2}のように異なる値が設定されているとする。補正部104は、Life Consumptionの区間毎に、Life Consumptionの評価点及び他の評価点を合計して、各区間に対応する4つの補正係数を求める。補正部104は、Life Consumptionの区間1の評価点「1」と、他の評価項目の評価点とを合計して、区間1の補正係数を求める。また、補正部104は、Life Consumptionの区間2の評価点「0」と、他の評価項目の評価点とを合計して、区間2の補正係数を求める。補正部104は、区間3~4についても同様に補正係数を求める。グラフG11の破線は、補正部104が補正前故障率に区間1~4それぞれの補正係数を乗じて算出した補正故障率を示す。このようにすることで、補正部104は、予測対象30の設計寿命の消費量(使用時間)に応じたより正確な補正故障率を求めることができる。
また、予測対象30が複数ある場合、補正部104は、全ての予測対象30の補正故障率をそれぞれ算出する。
次に、第1判定部105は、補正故障率と、現状の予測対象30の補用品条件(補用品数)と評価期間に基づいて、予測対象30の信頼性、稼働率、及び予測対象30の補用品保有費用を含む総費用の評価を行う(ステップS105)。
また、第1判定部105は、ステップS105で評価した信頼性、稼働率、及び総費用が、ステップS101で設定した制約条件を満足するか判定する(ステップS106)。
第1判定部105により信頼度、稼働率、及び総費用の何れも制約条件を満足すると判定された場合(ステップS106:YES)、故障予測装置1は処理を終了する。
一方、第1判定部105により信頼度、稼働率、及び総費用の少なくとも一つが制約条件を満足しないと判定された場合(ステップS106:NO)、提案部107は、予測対象30の故障対策の見直しを提案する(ステップS107)。
そうすると、ユーザAは、少なくとも一つの評価項目の評価点が変化するように、故障対策の見直しを行った上で、定性評価を再度実施する。例えば、予測対象30の信頼性が制約条件を下回っている場合には、ユーザAは、信頼性が制約条件を満たすように、すなわち、補正係数(定性評価の評価点)が小さくなるように、故障対策の見直しを行う。具体的には、予測対象30が新たに開発される機器であり、設計変更の余地がある場合、予測対象30を構成する部品を成熟性の高い量産品に変更する対策を行うことにより、Specialty and Maturenessの評価点を下げることができる。また、予測対象30のモニタリング間隔を短くする、モニタリングする箇所を増やす対策を行うことにより、Monitoring and Inspectionの評価点を下げることができる。さらに、設計・製造前であれば、予測対象30を設計規格に準拠したものにすることでDesignの評価点を下げたり、設計条件を変更して荷重を低減したり、材料強度を向上することで元々の故障確率を下げることもできる。
次に、取得部103は、ユーザAによる予測対象30の定性評価結果を再取得する(ステップS108)。そうすると、第1評価部101は、再取得した定性評価結果に基づく補正係数を使って、補正故障率を再計算する(ステップS109)。これらの処理は、ステップS103~S104と同様である。
また、ユーザAは、制約条件(信頼性、稼働率、総費用)の見直しを行ってもよい。設定部100は、ユーザAにより変更後の制約条件が入力されると、制約条件の再設定を行う(ステップS110)。
第1判定部105は、ステップS108で再計算した各予測対象30の補正故障率と、現状の予測対象30の補用品条件とに基づいて、製品3の信頼性、稼働率、及び総費用の再評価を行う(ステップS111)。その後、ステップS106に戻り、第1判定部105は、再評価した信頼性、稼働率、及び総費用が制約条件を満足するか判定する。故障予測装置1は、制約条件を満足するまで、ステップS107~S111の処理を繰り返し実行する。
次に、故障確率の評価及び補正を行う方法について説明する。第2評価部102は、設定部100により選定された物理モデル基づいて予測対象30の故障確率を算出する(ステップS112)。予測対象30が複数ある場合、第2評価部102は、全ての予測対象30の故障確率をそれぞれ算出する。
次に、取得部103は、ユーザAによる予測対象30の定性評価結果を取得する(ステップS113)。当該処理は、ステップS103と同様である。
補正部104は、ステップS111で算出した故障確率に、定性評価結果に基づく補正係数を乗じて、補正故障確率を算出する(ステップS114)。本実施形態に係る補正部104は、ステップS104と同様に、評価点の合計値を補正係数として求める。また、他の実施形態では、補正部104は、評価点の合計値が負値となった場合、評価点の絶対値の逆数、又は、指数を補正係数として用いてもよい。
図7は、本開示の第1の実施形態に係る補正故障確率の例を示す第1の図である。
図7に示すグラフG20は、ある評価期間(例えば、現在から10年間)における故障確率及び補正故障確率の時系列の一例である。グラフG20の実線は、第2評価部102が算出した故障確率(補正前故障確率)の時系列を示す。また、グラフG20の破線は、補正部104が補正前故障確率に補正係数を乗じて算出した補正故障確率の時系列を示す。補正部104は、このようにすることで、例えば予測対象30個々の管理状態、運用実績、モニタリング間隔のような物理モデルでの考慮が難しい要素を加味した補正故障確率を算出することができる。
図8は、本開示の第1の実施形態に係る補正故障確率の例を示す第2の図である。
予測対象30は、評価期間の途中で新品に交換される場合がある。図8の例では、時間t1において予測対象30の交換を行うとする。このとき、物理モデルから予測される故障確率(補正前故障確率)は、グラフG21の実線で示すように、交換時(時間t1)で一旦下がるが、時間の経過とともに再び上昇する。補正部104は、この補正前故障確率に補正係数を乗じることにより、グラフG21の破線で示すような補正故障確率の時系列を算出する。このように、補正部104は、評価期間中に交換、修理等が実施される予測対象30の補正故障確率についても、補正係数を使って算出することができる。
図9は、本開示の第1の実施形態に係る補正故障確率の例を示す第3の図である。
補正部104は、図9のグラフG22に示すように、予測対象30のバスタブ曲線を模擬することにより、設計寿命の消費量に応じて補正係数を変えてもよい。例えば、補正部104は、Life Consumptionの区間毎に、Life Consumptionの評価点及び他の評価点を合計して、各区間に対応する4つの補正係数を求める。グラフG22の破線は、補正部104が補正前故障確率に区間毎の補正係数を乗じて算出した補正故障確率を示す。図9の例のように、予測対象30が評価期間の途中で交換される場合、補正部104は、交換前後の期間(時間t1より前の期間、及び、時間t1以降の期間)それぞれについて、区間毎の補正係数を乗じた補正故障確率を求める。なお、補正部104は、図7の例のように交換が実施されない場合には、評価期間全体を4つの区間に分割して、それぞれの区間毎の補正係数を乗じて補正故障確率を求める。経年劣化による故障確率を予測する物理モデルでは、バスタブ曲線で表される初期故障(区間1における故障確率)を模擬することが難しい。しかしながら、補正部104は、このように、予測対象30のバスタブ曲線を加味することにより、物理モデルでは予測しづらい初期故障を反映した補正故障確率を算出することができる。
また、予測対象30が複数ある場合、補正部104は、全ての予測対象30の補正故障確率をそれぞれ算出する。
次に、第2判定部106は、補正故障確率と、現状の予測対象30の予防保全計画(予測対象30の点検、補修、交換等の実施回数、実施時期等の予防保全計画)とに基づいて、予測対象30の信頼性、稼働率、及び総費用の評価を行う(ステップS115)。
また、第2判定部106は、ステップS115で評価した信頼性、稼働率、及び総費用が、ステップS101で設定した制約条件を満足するか判定する(ステップS116)。
第2判定部106により信頼度、稼働率、及び総費用の何れも制約条件を満足すると判定された場合(ステップS116:YES)、故障予測装置1は処理を終了する。
一方、第2判定部106により信頼度、稼働率、及び総費用の少なくとも一つが制約条件を満足しないと判定された場合(ステップS116:NO)、提案部107は、予測対象30の故障対策の見直しを提案する(ステップS117)。この処理はステップS107と同様である。ユーザAは、少なくとも一つの評価項目の評価点が変化するように、故障対策の見直しを行った上で、定性評価を再度実施する。
次に、取得部103は、ユーザAによる予測対象30の定性評価結果を再取得する(ステップS118)。そうすると、第2評価部102は、再取得した定性評価結果に基づく補正係数を使って、補正故障確率を再計算する(ステップS119)。これらの処理は、ステップS113~S114と同様である。
また、ユーザAは、制約条件(信頼性、稼働率、総費用)の見直しを行ってもよい。設定部100は、ユーザAにより変更後の制約条件が入力されると、制約条件の再設定を行う(ステップS120)。
第2判定部106は、ステップS119で再計算した各予測対象30の補正故障確率と、現状の予測対象30の予防保全計画とに基づいて、製品3の信頼性、稼働率、及び総費用の再評価を行う(ステップS121)。その後、ステップS116に戻り、第2判定部106は、再評価した信頼性、稼働率、及び総費用が制約条件を満足するか判定する。故障予測装置1は、制約条件を満足するまで、ステップS117~S121の処理を繰り返し実行する。
補正部104は、定性評価結果から、故障率及び故障確率で共通の補正係数を算出してもよいし、異なる補正係数を算出してもよい。例えば、定性評価の評価項目(図3)のうち、物理モデル又は統計モデルに組み込み済みの評価項目がある場合、補正部104は、この評価項目の評価点を補正係数から除外してもよい。具体的には、故障率が予測対象30と同程度の複雑性を備えた機器、設備の故障統計から算出されている場合、補正部104は、Complexityの評価点を除外して故障率の補正係数を算出する。或いは、FEM(Finite Element Model)等の構造解析モデル(物理モデル)において予測対象30の構造の複雑性が考慮されている場合、補正部104は、Complexityの評価点を除外して故障確率の補正係数を算出する。また、例えば、Natural Environmentの評価内容(波の高さ等)が物理モデルで考慮されている場合は、Natural Environmentの評価点を除外して故障確率の補正係数を算出してもよい。これにより、補正部104は、故障率及び故障確率をより精度よく補正することができる。
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る故障予測装置1は、統計モデルを用いて予測対象30の故障率を評価する第1評価部101と、物理モデルを用いて予測対象30の故障確率を評価する第2評価部102と、予測対象30を予め決められた評価項目毎に定性的に評価した定性評価結果を取得する取得部103と、故障率及び故障確率それぞれに対し、定性評価結果に基づく補正係数を乗じた補正故障率及び補正故障確率を算出する補正部104と、を備える。
このようにすることで、故障予測装置1は、故障率及び故障確率それぞれの予測結果を補正して、予測対象30の故障に関するリスクを精度よく予測することができる。また、故障予測装置1は、予測対象30の定性評価結果に基づく補正係数を故障率及び故障確率の双方に適用することにより、偶発故障及び経年劣化による故障の双方を、故障の蓋然性という共有の観点で評価することができる。
また、故障予測装置1は、補正故障率に基づいて予測対象30の補用品条件が制約条件を満たすか判定する第1判定部105と、補正故障確率に基づいて予測対象30の予防保全計画が制約条件を満たすか判定する第2判定部106と、第1判定部105及び第2判定部106の少なくとも一方が制約条件を満たさないと判定した場合に、少なくとも一つの評価項目に対応する故障対策の見直しを提案する提案部107と、を更に備える。
このようにすることで、故障予測装置1は、定性評価結果による補正後の故障率及び故障補正率を使って、予測対象30が制約条件を満たしているかをより正確に評価することができる。また、故障予測装置1は、予測対象30が制約条件を満足しない場合には、ユーザAに対し、予測対象30の故障対策の見直しを提案することができる。
<第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態に係る故障予測装置1について、図10~図16を参照しながら説明する。第1の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
(機能構成)
図10は、本開示の第2の実施形態に係る故障予測装置の機能構成を示す図である。
図10に示すように、本実施形態に係る故障予測装置1のCPU10は、第1調整部108、及び第2調整部109の機能を更に有している。
第1調整部108は、補正故障率に基づいて補用品条件を調整する。
第2調整部109は、補正故障確率に基づいて予防保全計画を調整する。
(処理フロー)
図11は、本開示の第2の実施形態に係る故障予測装置の処理の例を示すフローチャートである。
以下、図11を参照しながら、故障予測装置1を用いて故障率及び故障確率を評価する方法、並びに、補用品条件及び予防保全計画を評価する方法について説明する。
まず、設定部100は、故障予測モデルの選定(ステップS200)と、目的関数及び制約条件の設定(ステップS201)とを行う。これらの処理は、第1の実施形態(図4のステップS100~S101)と同じである。
次に、故障予測装置1は、ステップS202~S204において、予測対象30の故障率の評価及び補正を行う。なお、ステップS202~S204の処理は、第1の実施形態(図4のステップS102~S104)と同じである。
次に、第1調整部108は、予測対象30の補用品条件を調整する(ステップS205)。例えば、製品3は生産に使用される設備であるとする。予測対象30が故障したとき、スペアとなる補用品が用意されていないと、製品3の稼働を停止する期間が長くなり、生産ロスによる損益額が大きくなる。十分な数の補用品が準備されていれば、生産ロスを小さくすることができる。一方で、補用品を多く持つほど、補用品に係るコストが増加する。したがって、第1調整部108は、補用品のコストの増加を抑制しつつ、生産ロス削減額を最大化することができる(すなわち、補用品による利益を最大化することができる)補用品数を決定する。
図12は、本開示の第2の実施形態に係る第1調整部の機能を説明するための第1の図である。
図12に示すように、第1調整部108は、補正故障率に基づいて、予測対象30の評価期間(例えば、10年間)における故障回数の確率分布G30を求める。
図13は、本開示の第2の実施形態に係る第1調整部の機能を説明するための第2の図である。
また、第1調整部108は、故障回数の確率分布G30に基づいて、補用品数を評価する指標(KPI)として、生産ロス削減額、補用品コスト、及び補用品による利益を表す関数を求める。図13のグラフG31は、補用品数に応じた、生産ロス削減額、補用品コスト、及び補用品による利益の予測金額を表している。図13の例では、補用品数が12個の場合に利益額が最大となるので、第1調整部108は、予測対象30の補用品条件(補用品数)を「12個」に設定する。
次に、第1判定部105は、補正故障率と、ステップS205で調整した予測対象30の補用品条件(補用品数)とに基づいて、予測対象30の信頼性、稼働率、及び予測対象30のメンテナンスに係る総費用の評価を行う(ステップS206)。以降のステップS207~S212の処理は、第1の実施形態(図4のステップS106~S111)と同じである。
また、故障予測装置1は、ステップS213~S215において、予測対象30の故障確率の評価及び補正を行う。なお、ステップS213~S215の処理は、第1の実施形態(図4のステップS112~S114)と同じである。
次に、第2調整部109は、予防保全計画(予測対象30の点検、補修、交換等の実施回数、実施時期等)を調整する(ステップS216)。第2調整部109は、例えば、RBM(Risk-Based Maintenance)の手法を使って、予測対象30の故障リスクを算出し、メンテナンス周期(例えば、交換周期)を調整する。
図14は、本開示の第2の実施形態に係る第2調整部の機能を説明するための第1の図である。
図14に示すグラフG40は、予測対象30に生じる劣化の進行度について想定されるワーストケースからベストケースまでの不確実性を確率分布として設定して、予測対象30の損傷量のシミュレーションを行ったものである。図14の例では、予測対象30は、評価期間(サービス提供期間)中に所定間隔で2回の交換が行われる。また、各交換周期において、予測対象30の損傷量が破損限界を超過する確率Pfは、予測対象の故障確率を表す。第2調整部109は、この故障確率Pfに補正係数を乗じた補正故障確率を使って、予測対象30の評価期間中の故障回数の期待値を求める。
図15は、本開示の第2の実施形態に係る第2調整部の機能を説明するための第2の図である。
第2調整部109は、予測対象30の故障回数の期待値に基づいて、予測対象30の予防保全費と、事後保全費の期待値とを求める。予防保全費は、予測対象30の交換に要する費用である。事後保全費は、実際の事後保全に要するコストに補正故障確率を乗算することで、期待値として求められる。図15のグラフG41は、予測対象30の交換周期の長さと、予測対象30の予防保全費、事後保全費、及びこれらの合計である総保全費との関係の一例を示すものである。交換周期が長くなるほど、予防保全費は小さくなる。一方で、予測対象30の交換周期が長くなるほど、事後保全費が大きくなる。第2調整部109は、予防保全費と事後保全費とを合計した総保全費が最小となる交換周期を、最適交換周期として設定する。
また、例えば予測対象30が複数の部材からなる構造体である場合、交換周期毎に予測対象30の一部を交換するメンテナンスを行ってもよい。この場合、第2調整部109は、交換周期毎の交換部位(メンテナンス範囲)を設定してもよい。例えば、第2調整部109は、予測対象30を構成する部材のうち、各回の交換周期では、故障確率が高い上位X%の部材を交換すると設定する。なお、交換された部材は故障確率が下がるため、各回で交換される部材は変わる。これにより、第2調整部109は、予測対象30が破損限界を超えないようにしつつ、交換周期毎に全ての部材を交換するよりも予防保全費用を低減することが可能な予防保全計画を設定することができる。
図16は、本開示の第2の実施形態に係る第2調整部の機能を説明するための第3の図である。
第2調整部109は、ユーザAによるメンテナンスメニュー(予防保全周期、メンテナンス範囲)の選択を受け付けるようにしてもよい。このとき、第2調整部109は、例えば図16に示すように、メンテナンスメニュー毎のパレート効率性を示すグラフG42をユーザAに提示する。グラフG42は、メンテナンスメニュー毎の予防保全費と信頼性との関係を表した例である。信頼性の閾値、メンテナンス費用の閾値は、ステップS101で設定された制約条件を示す。なお、他の実施形態では、グラフG42は、信頼性及び総費用、総費用及び予防保全費の関係を表すものであってもよい。総費用は、予防保全費用と事故の影響度を合計したものであり、事故の影響度には、復旧工事費用、事故調査費用、故障停止期間中の生産損失なども含む。ユーザAは、このグラフG42を参照して、信頼性及びメンテナンス費用の両方の制約条件を満たすメンテナンスメニューを選択する。また、ユーザAは、制約条件を満たすメンテナンスメニューの内容を確認して、最適なものを選択するようにしてもよい。第2調整部109は、ユーザAにより選択されたメンテナンスメニューに基づいて、予防保全計画を設定する。
次に、第2判定部106は、補正故障確率と、ステップS217で調整した予測対象30の予防保全計画とに基づいて、予測対象30の信頼性、稼働率、及び予測対象30のメンテナンスに係る総費用の評価を行う(ステップS217)。以降のステップS218~S223の処理は、第1の実施形態(図4のステップS116~S121)と同じである。
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る故障予測装置1は、補正故障率に基づいて補用品条件を調整する第1調整部108を更に備える。
このようにすることで、故障予測装置1は、補正故障率に基づいて、最適な補用品条件を精度よく設定することができる。
また、故障予測装置1は、補正故障確率に基づいて予防保全計画を調整する第2調整部109を更に備える。
このようにすることで、故障予測装置1は、補正故障確率に基づいて、最適な予防保全計画を精度よく設定することができる。
<第3の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態に係る故障予測装置1について、図17~図18を参照しながら説明する。第1~第2の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
(機能構成)
図17は、本開示の第3の実施形態に係る故障予測装置の機能構成を示す図である。
図17に示すように、本実施形態に係る故障予測装置1のCPU10は、第3調整部110の機能を更に有している。
第3調整部110は、複数の予測対象30それぞれの補正故障率、補正故障確率、補用品条件、及び予防保全計画に基づいて、製品3全体について予め設定された制約条件を満たすように、複数の予測対象それぞれの補用品条件及び予防保全計画を調整する。
(処理フロー)
図18は、本開示の第3の実施形態に係る故障予測装置の処理の例を示すフローチャートである。
以下、図18を参照しながら、故障予測装置1を用いて故障率及び故障確率を評価する方法、並びに、補用品条件及び予防保全計画を評価する方法について説明する。
まず、設定部100は、複数の予測対象30それぞれの故障予測モデルの選定(ステップS300)と、製品3全体の目的関数及び制約条件の設定(ステップS301)とを行う。これらの処理は、第1の実施形態(図4のステップS100~S101)と同じである。
次に、故障予測装置1は、ステップS302~S304において、予測対象30の故障率の評価及び補正を行い、ステップS305において補用品条件の調整を行う。ステップS302~S305の処理は、第2の実施形態(図11のステップS202~S205)と同じである。
また、故障予測装置1は、ステップS306~S308において、予測対象30の故障確率の評価及び補正を行い、ステップS309において予防保全計画の調整を行う。ステップS306~S309の処理は、第2の実施形態(図11のステップS213~S216)と同じである。
次に、第3調整部110は、第1調整部108及び第2調整部109が補用品条件及び予防保全計画の調整を行う際に算出した各種パラメータ(図12~図16)に基づいて、製品3の全ての予測対象30の目的変数(信頼度又は総費用)の感度を算出する(ステップS310)。
例えば、第3調整部110は、各予測対象30について、図16に示すパレート効率性のグラフG42を作成する。また、第3調整部110は、予測対象30の信頼性、又はメンテナンスの総費用のうち、予め設定された方、又は、ユーザAに指定された方を目的変数として設定する。そして、第3調整部110は、予測対象30の予防保全費を説明変数Mとして、予測対象30の目的変数(信頼性R、又は総費用T)に対する回帰式を作成する。製品3がn個の予測対象30を有している場合、iは1からnまでの整数である。
また、第3調整部110は、初期メンテナンス計画における予防保全費Mi,j(j=0)における、予測対象30の信頼性感度及び総費用感度を算出する。初期メンテナンス計画は、予めユーザAにより設定されたメンテナンス計画である。また、初期メンテナンス計画は複数設定されていてもよい。信頼性感度は、以下の式(2)で表される。また、総費用感度は、以下の式(3)で表される。ここで、iは機器IDを表し、jは機器、設備に対するメンテナンス条件IDを表す。
Figure 2023012668000003
Figure 2023012668000004
第3調整部110は、製品3を構成する全ての予測対象30について、信頼性感度及び総費用感度を算出する。
次に、第3調整部110は、算出した信頼性感度及び総費用感度に基づいて、製品3全体のメンテナンスメニューを設定する(ステップS311)。
具体的には、第3調整部110は、目的変数を大きく向上させる説明変数(予防保全費M)である高感度変数と、目的変数への影響が小さい説明変数である低感度変数を抽出する。そして、第3調整部110は、高感度変数を増加(予防保全費を増加)させるように、製品3のメンテナンスメニューを設定する。また、第3調整部110は、低感度変数を現状維持、又は低下させるように、製品3のメンテナンスメニューを設定してもよい。
例えば目的変数が信頼性である場合、第3調整部110は、信頼性を高くする影響が大きい説明変数(予防保全費M)のうち上位X%(例えば10%)を高感度変数として抽出し、信頼度への影響が小さい説明変数のうち上位Y%(例えば10%)を低感度変数として抽出する。なお、X、Yは任意の値であり、それぞれ異なる値が設定されてもよい。第3調整部110は、信頼性を大きく向上させる予防保全費Mが増加するように、すなわち、予防保全費Mに関連する予測対象30の予防保全を優先するように、メンテナンスメニューを設定する。また、第3調整部110は、信頼性への影響が小さい予防保全費Mに関連する予測対象30については、予防保全の優先度を現状維持、又は低下させてもよい。
また、例えば目的変数が総費用である場合、第3調整部110は、総費用を低くする影響が大きい説明変数(予防保全費M)のうち上位X%を高感度変数として抽出し、総費用への影響が小さい説明変数のうち上位Y%を低感度変数として抽出する。第3調整部110は、総費用を大きく低減させる予防保全費Mが増加するように、すなわち、予防保全費Mに関連する予測対象30の予防保全を優先するように、メンテナンスメニューを設定する。また、第3調整部110は、総費用への影響が小さい予防保全費Mに関連する予測対象30については、予防保全の優先度を現状維持、又は低下させてもよい。
次に、第1判定部105(又は、第2判定部106)は、各予測対象30の補正故障率及び補正故障確率と、ステップS311で設定したメンテナンスメニューとに基づいて、製品3全体の信頼性、稼働率、及び総費用の評価を行う(ステップS312)。この処理は、第2の実施形態(図11のステップS206、S217)と同じである。また、以降のステップS313~S318の処理は、第2の実施形態(図11のステップS207~S212、S218~S223)と同じである。
また、第3調整部110は、更新されたメンテナンス計画(メンテナンスメニュー)における予防保全費Mi,j(j=1,2,…)における感度を計算しながら、制約条件を満たす範囲で信頼性最大、或いは、総費用最小のメンテナンスメニューを探索するようにしてもよい。
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る故障予測装置1は、複数の予測対象30それぞれの補正故障率、補正故障確率、補用品条件、及び予防保全計画に基づいて、製品3全体について予め設定された制約条件を満たすように、製品3全体の補用品条件及び予防保全計画を調整する第3調整部110を更に備える。
このようにすることで、故障予測装置1は、製品3全体のメンテナンス計画を最適化することができる。
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
<付記>
上述の実施形態に記載の故障予測装置、故障予測方法、及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の第1の態様によれば、故障予測装置(1)は、予測対象(30)の故障に関するデータに基づいて生成された統計モデルを用いて、予測対象(30)の偶発故障の確率を表す故障率を評価する第1評価部(101)と、予測対象(30)の設計データに基づいて生成された物理モデルを用いて、予測対象(30)の経年劣化による故障の確率を表す故障確率を評価する第2評価部(102)と、予測対象(30)を予め決められた評価項目毎に定性的に評価した定性評価結果を取得する取得部(103)と、故障率及び故障確率それぞれに対し、定性評価結果に基づく補正係数を乗じた補正故障率及び補正故障確率を算出する補正部(104)と、を備える。
このようにすることで、故障予測装置は、故障率及び故障確率それぞれの予測結果を補正して、予測対象の故障に関するリスクを精度よく予測することができる。また、故障予測装置は、予測対象の定性評価結果に基づく補正係数を故障率及び故障確率の双方に適用することにより、偶発故障及び経年劣化による故障の双方を、故障の蓋然性という共有の観点で評価することができる。
(2)本開示の第2の態様によれば、第1の態様に係る故障予測装置(1)は、補正故障率に基づいて、予測対象(30)の補用品条件が予測対象(30)に対し予め設定された制約条件を満たすか判定する第1判定部(105)と、補正故障確率に基づいて、予測対象(30)の予防保全計画が予測対象(30)に対し予め設定された制約条件を満たすか判定する第2判定部(106)と、第1判定部(105)及び第2判定部(106)の少なくとも一方が制約条件を満たさないと判定した場合に、少なくとも一つの評価項目に対応する故障対策の見直しを提案する提案部(107)と、を更に備える。
このようにすることで、故障予測装置は、定性評価結果による補正後の故障率及び故障補正率を使って、予測対象が制約条件を満たしているかをより正確に評価することができる。また、故障予測装置は、予測対象が制約条件を満足しない場合には、ユーザに対し、予測対象の故障対策の見直しを提案することができる。
(3)本開示の第3の態様によれば、第2の態様に係る故障予測装置(1)は、補正故障率に基づいて補用品条件を調整する第1調整部(108)を更に備える。
このようにすることで、故障予測装置は、補正故障率に基づいて、最適な補用品条件を精度よく設定することができる。
(4)本開示の第4の態様によれば、第2又は第3の態様に係る故障予測装置(1)は、補正故障確率に基づいて予防保全計画を調整する第2調整部(109)を更に備える。
このようにすることで、故障予測装置は、補正故障確率に基づいて、最適な予防保全計画を精度よく設定することができる。
(5)本開示の第5の態様によれば、第1から第4の何れか一の態様に係る故障予測装置(1)は、複数の予測対象(30)それぞれの補正故障率、補正故障確率、補用品条件、及び予防保全計画に基づいて、複数の予測対象(30)からなる製品(3)全体について予め設定された制約条件を満たすように、製品(3)全体における補用品条件及び予防保全計画を調整する第3調整部(110)を更に備える。
このようにすることで、故障予測装置は、製品全体のメンテナンス計画を最適化することができる。
(6)本開示の第6の態様によれば、故障予測方法は、予測対象(30)の故障に関するデータに基づいて生成された統計モデルを用いて、予測対象(30)の偶発故障の確率を表す故障率を評価するステップと、予測対象(30)の設計データに基づいて生成された物理モデルを用いて、予測対象(30)の経年劣化による故障の確率を表す故障確率を評価するステップと、予測対象(30)を予め決められた評価項目毎に定性的に評価した定性評価結果を取得するステップと、故障率及び故障確率それぞれに対し、定性評価結果に基づく補正係数を乗じた補正故障率及び補正故障確率を算出するステップと、を有する。
(7)本開示の第7の態様によれば、プログラムは、予測対象(30)の故障に関するデータに基づいて生成された統計モデルを用いて、予測対象(30)の偶発故障の確率を表す故障率を評価するステップと、予測対象(30)の設計データに基づいて生成された物理モデルを用いて、予測対象(30)の経年劣化による故障の確率を表す故障確率を評価するステップと、予測対象(30)を予め決められた評価項目毎に定性的に評価した定性評価結果を取得するステップと、故障率及び故障確率それぞれに対し、定性評価結果に基づく補正係数を乗じた補正故障率及び補正故障確率を算出するステップと、を故障予測装置(1)のコンピュータに実行させる。
1 故障予測装置
10 CPU
100 設定部
101 第1評価部
102 第2評価部
103 取得部
104 補正部
105 第1判定部
106 第2判定部
107 提案部
108 第1調整部
109 第2調整部
110 第3調整部
11 メモリ
12 ストレージ
13 接続インタフェース
14 通信インタフェース
2A 表示装置
2B 入力装置
3 製品
30 予測対象

Claims (7)

  1. 予測対象の故障に関するデータに基づいて生成された統計モデルを用いて、前記予測対象の偶発故障の確率を表す故障率を評価する第1評価部と、
    前記予測対象の設計データに基づいて生成された物理モデルを用いて、前記予測対象の経年劣化による故障の確率を表す故障確率を評価する第2評価部と、
    前記予測対象を予め決められた評価項目毎に定性的に評価した定性評価結果を取得する取得部と、
    前記故障率及び前記故障確率それぞれに対し、前記定性評価結果に基づく補正係数を乗じた補正故障率及び補正故障確率を算出する補正部と、
    を備える故障予測装置。
  2. 前記補正故障率に基づいて、前記予測対象の補用品条件が前記予測対象に対し予め設定された制約条件を満たすか判定する第1判定部と、
    前記補正故障確率に基づいて、前記予測対象の予防保全計画が前記予測対象に対し予め設定された制約条件を満たすか判定する第2判定部と、
    前記第1判定部及び前記第2判定部の少なくとも一方が前記制約条件を満たさないと判定した場合に、少なくとも一つの前記評価項目に対応する故障対策の見直しを提案する提案部と、
    を更に備える、請求項1に記載の故障予測装置。
  3. 前記補正故障率に基づいて前記補用品条件を調整する第1調整部を更に備える、
    請求項2に記載の故障予測装置。
  4. 前記補正故障確率に基づいて前記予防保全計画を調整する第2調整部を更に備える、
    請求項2又は3の何れか一項に記載の故障予測装置。
  5. 複数の前記予測対象それぞれの前記補正故障率、前記補正故障確率、前記補用品条件、及び前記予防保全計画に基づいて、複数の前記予測対象からなる製品全体について予め設定された制約条件を満たすように、前記製品全体における補用品条件及び予防保全計画を調整する第3調整部を更に備える、
    請求項2から4の何れか一項に記載の故障予測装置。
  6. 予測対象の故障に関するデータに基づいて生成された統計モデルを用いて、前記予測対象の偶発故障の確率を表す故障率を評価するステップと、
    前記予測対象の設計データに基づいて生成された物理モデルを用いて、前記予測対象の経年劣化による故障の確率を表す故障確率を評価するステップと、
    前記予測対象を予め決められた評価項目毎に定性的に評価した定性評価結果を取得するステップと、
    前記故障率及び前記故障確率それぞれに対し、前記定性評価結果に基づく補正係数を乗じた補正故障率及び補正故障確率を算出するステップと、
    を有する故障予測方法。
  7. 予測対象の故障に関するデータに基づいて生成された統計モデルを用いて、前記予測対象の偶発故障の確率を表す故障率を評価するステップと、
    前記予測対象の設計データに基づいて生成された物理モデルを用いて、前記予測対象の経年劣化による故障の確率を表す故障確率を評価するステップと、
    前記予測対象を予め決められた評価項目毎に定性的に評価した定性評価結果を取得するステップと、
    前記故障率及び前記故障確率それぞれに対し、前記定性評価結果に基づく補正係数を乗じた補正故障率及び補正故障確率を算出するステップと、
    を故障予測装置のコンピュータに実行させるプログラム。
JP2021116247A 2021-07-14 2021-07-14 故障予測装置、故障予測方法、及びプログラム Pending JP2023012668A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021116247A JP2023012668A (ja) 2021-07-14 2021-07-14 故障予測装置、故障予測方法、及びプログラム
PCT/JP2022/026718 WO2023286659A1 (ja) 2021-07-14 2022-07-05 故障予測装置、故障予測方法、及びプログラム
EP22842003.0A EP4339851A1 (en) 2021-07-14 2022-07-05 Failure predicting device, failure predicting method, and program

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021116247A JP2023012668A (ja) 2021-07-14 2021-07-14 故障予測装置、故障予測方法、及びプログラム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023012668A true JP2023012668A (ja) 2023-01-26

Family

ID=84920086

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021116247A Pending JP2023012668A (ja) 2021-07-14 2021-07-14 故障予測装置、故障予測方法、及びプログラム

Country Status (3)

Country Link
EP (1) EP4339851A1 (ja)
JP (1) JP2023012668A (ja)
WO (1) WO2023286659A1 (ja)

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ITTO20030999A1 (it) * 2003-12-12 2005-06-13 Fiat Ricerche Metodo di attivazione della rigenerazione di un filtro del particolato in base ad una stima della quantita' di particolato accumulata nel filtro del particolato.
JP2007108843A (ja) * 2005-10-11 2007-04-26 Toshiba Corp 半導体装置設計支援方法、半導体装置設計支援システム、半導体装置設計支援プログラム
JP2009053938A (ja) * 2007-08-27 2009-03-12 Toshiba Corp 複数モデルに基づく設備診断システム及びその設備診断方法
JP5802619B2 (ja) 2012-07-06 2015-10-28 株式会社日立製作所 設備維持管理業務支援システム
JP6251201B2 (ja) * 2015-01-08 2017-12-20 三菱重工業株式会社 稼動率予測装置及び稼動率予測方法
US20170160338A1 (en) * 2015-12-07 2017-06-08 Intel Corporation Integrated circuit reliability assessment apparatus and method
US10466142B2 (en) * 2016-07-13 2019-11-05 Hitachi, Ltd. Equipment control based on failure determination
JP6501982B2 (ja) * 2016-12-09 2019-04-17 三菱電機株式会社 故障リスク指標推定装置および故障リスク指標推定方法
JP7039784B2 (ja) * 2017-12-21 2022-03-23 三菱重工業株式会社 寿命評価装置及び寿命評価方法
JP7507467B2 (ja) 2020-01-24 2024-06-28 学校法人近畿大学 エナメル質再生シート

Also Published As

Publication number Publication date
EP4339851A1 (en) 2024-03-20
WO2023286659A1 (ja) 2023-01-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Frangopol et al. Life-cycle of structural systems: recent achievements and future directions
Peng et al. Joint optimization of condition-based maintenance and production lot-sizing
US6226597B1 (en) Method of maintaining components subject to fatigue failure
US8423397B2 (en) Asset management systems and methods
JP5844978B2 (ja) ガスタービンを監視するためのシステム及び方法
TWI607328B (zh) Operational auxiliary device and wind power generation system
Nielsen et al. On risk-based operation and maintenance of offshore wind turbine components
US20120166249A1 (en) Asset management system
Wang et al. Reliability and condition-based maintenance modeling for systems operating under performance-based contracting
US8676727B2 (en) Abnormality diagnosis filter generator
JP4952946B2 (ja) 機器の劣化度算出方法およびリスク評価方法
JP2003099119A (ja) 最適保守計画決定方法
US20210398087A1 (en) Planning device, planning method, and program
Welte Deterioration and maintenance models for components in hydropower plants
WO2023286659A1 (ja) 故障予測装置、故障予測方法、及びプログラム
Zhou et al. Quantification of value of information associated with optimal observation actions within partially observable Markov decision processes
JP7441768B2 (ja) 保全シミュレーション装置、および、保全シミュレーション方法
Besuner Probabilistic fracture mechanics
Dinh Opportunistic predictive maintenance for multi-component systems with multiple dependences
Werbińska-Wojciechowska et al. Inspection models for technical systems
Nwadinobi et al. Improved Markov stable state simulation for maintenance planning
CN117150032B (zh) 一种水电站发电机组的智能维护系统及方法
Knezevic 3 MIRCE Science: a mathematical scheme for predicting impacts of reliability engineering on the time evolution of physical systems
WO2024042733A1 (ja) 故障確率評価システム
Nwadinobi et al. Development of Simulation for Condition Monitoring and Evaluation of Manufacturing Systems

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240119