以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明が適用される画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置は用紙搬送装置を備えている。用紙搬送装置は、2つの用紙トレイ1,2を備え、そのいずれかに収容された用紙を用紙搬送路に沿って搬送するものである。用紙搬送路は、後述する画像転写部を経由するように形成されている。用紙トレイ1,2は、それぞれ所定枚数の用紙を積載して収容するもので、上下2段に配置されている。各々の用紙トレイ1,2は、収容対象となる用紙のサイズや種類によってトレイ全体のサイズが異なるものの、基本的には同様の構成となっている。
また、上側に配置された用紙トレイ1の近傍には、給紙用のロールとして、呼び出しロール3と送り出しロール4が配置されている。呼び出しロール3は、用紙トレイ1に収容された用紙の最上面に接触して回転することにより、用紙トレイ1から用紙を呼び出すものである。送り出しロール4は、呼び出しロール3によって呼び出された用紙を一枚ずつ分離して送り出すものである。これと同様に、下側に配置された用紙トレイ2の近傍にも、給紙用のロールとして、呼び出しロール5と送り出しロール6が配置されている。
また、各々の用紙トレイ1,2から給紙された用紙の送り先となる用紙搬送路上には、所定の間隔で複数(図例では4つ)の搬送ロール7,8,9,10が設けられている。各々の搬送ロール7,8,9,10は、用紙をニップ(挟持)しつつ回転することにより、用紙を搬送方向の下流側へと搬送するものである。これら複数の搬送ロール7,8,9,10のうち、最も下流側に配置された搬送ロール10はレジストロールと呼ばれ、このレジストロールの一つ手前(上流側)の搬送ロール9はプレレジストロールとも呼ばれる。よって、以降の説明でも、搬送ロール10をレジストロール、搬送ロール9をプレレジストロールと称することとする。
レジストロール10は、画像形成の対象となる用紙を画像転写部(後述)に向けて送り込むとともに、この送り込みに際して用紙の位置合わせを行うものである。したがって、レジストロール10は、用紙の搬送方向において画像転写部の手前(上流側)に配置される。レジストロール10による用紙の位置合わせは、用紙の先端をレジストロール10に突き当ててスキューを補正したり、スキュー補正後に用紙の搬送開始タイミング(レジストロール10の回転開始タイミング等)を調整したりすることにより行われる。
レジストロール10による用紙の送り先には、感光体ドラム11とバキューム搬送部12が配置されている。感光体ドラム11は、図の反時計回り方向に回転駆動されるものである。感光体ドラム11の周囲には、用紙に転写すべき画像(トナー画像)を形成するための手段として、感光体ドラム11の表面を一様に帯電する帯電器(不図示)と、この帯電器で帯電された感光体ドラム11の表面をレーザビームで走査して静電潜像を書き込む画像書き込み装置(不図示)と、この画像書き込み装置によって静電潜像が書き込まれた感光体ドラム11の表面にトナーを供給する現像器(不図示)と、この現像器で現像されたトナー画像を用紙に転写する転写ロール13と、用紙に転写されずに感光体ドラム11の表面に残留した不要トナーを除去するクリーナー(不図示)と、感光体ドラム11の表面を除電する除電器(不図示)が、それぞれ感光体ドラム11の回転方向に順に配置されている。
バキューム搬送部12は、無端状の搬送ベルト14と、この搬送ベルト14を支持する2つのロール15,16とを有するものである。バキューム搬送部12では、レジストロール10によって送り込まれた用紙を搬送ベルト14に載置し、この搬送ベルト14上で用紙の裏面(トナー画像が転写された面と反対側の面)をバキューム方式で吸着しつつ、ベルト支持用ロール15,16の回転に伴う搬送ベルト14の走行にしたがって用紙を搬送する。
転写ロール13は、バキューム搬送部12の搬送ベルト14を介して感光体ドラム11と対向する位置に配置されている。したがって、バキューム搬送部12で搬送される用紙は搬送中に感光体ドラム11と転写ロール13の対向部分を通過し、この対向部分で感光体ドラム11から用紙にトナー画像が転写される。よって、感光体ドラム11と転写ロール13の対向部分は画像転写部に相当するものとなる。
バキューム搬送部12による用紙の送り先には定着器17が配置されている。定着器17は、画像転写部で用紙に転写された画像(トナー画像)を紙面に定着させるものである。定着器17の下流側には図示しない排出ロールが設けられ、この排出ロールによって用紙が図示しない排出トレイに排出される構成となっている。
また、用紙の給紙部分を含む用紙搬送路上には、用紙の搬送中にジャムが発生したときに当該ジャムの発生を検出するために、複数(図例では7個)の用紙検知センサ18〜24が設けられている。各々の用紙検知センサ18〜24は、用紙の搬送方向で互いに異なる位置に配置されている。すなわち、用紙検知センサ18は、上側の用紙収容トレイ1の給紙部に設けられた送り出しロール4の近傍(下流側)に配置され、用紙検知センサ19は、下側の用紙収容トレイ2の給紙部に設けられた送り出しロール6の近傍(下流側)に配置されている。
また、用紙検知センサ20は搬送方向の最も上流側に配置された搬送ロール7の近傍(下流側)に配置され、用紙検知センサ21は上記搬送ロール7よりも下流側の搬送ロール8の近傍(下流側)に配置され、用紙検知センサ22は上記搬送ロール8よりも更に下流側のプレレジストロール9の近傍(下流側)に配置されている。また、用紙検知センサ23はレジストロール10の近傍(上流側)に配置され、用紙検知センサ24は定着器17の近傍(下流側)に配置されている。
各々の用紙検知センサ18〜24は、例えば発光素子と受光素子を同一のセンサ面に配置した反射型のフォトセンサからなるもので、センサ面と近接して対向する位置(以下、センサ検知位置)に用紙が存在するときはオン状態となり、存在しないときはオフ状態となる。したがって、各々の用紙検知センサ18〜24は、それぞれセンサ検知位置を用紙の先端が通過した際にはオフ状態からオン状態に切り替わり、その後、センサ検知位置を用紙の後端が通過した際にはオン状態からオフ状態に切り替わる。したがって、各々の用紙検知センサ18〜24のオンオフ状態に基づいて用紙の通過(先端通過、後端通過)を検知することが可能となる。
続いて、上記構成からなる画像形成装置の動作について説明する。まず、ユーザが操作パネル等で選択した用紙トレイ、又は自動選択機能によって選択された用紙トレイが、例えば上側の用紙トレイ1であったとすると、この用紙トレイ1に対応する呼び出しロール3及び送り出しロール4の回転により、用紙トレイ1に収容された用紙が最上位から順に一枚ずつ分離して送り出される。
こうして用紙トレイ1から用紙搬送路へと送り出された用紙は、その後、搬送ロール8の回転によって搬送方向の下流側(図1の上側)へと搬送され、プレレジストロール9に送り込まれる。次に、用紙はプレレジストロール9の回転にしたがってレジストロール10に送り込まれる。レジストロール10の回転は、プレレジストロール9による用紙の送り込みに先立って停止状態とされる。そのため、プレレジストロール9によって送り込まれた用紙の先端部は回転停止状態のレジストロール10のニップ部分に突き当てられる。また、この突き当て状態でプレレジストロール9により用紙を所定量だけ送り込むことにより、レジストロール10の手前で用紙がループ状に撓んだ状態、すなわち用紙のスキューが補正された状態となり、この状態で用紙が一時停止する。
その後、画像書き込み装置(不図示)によって感光体ドラム11の表面に書き込まれた静電潜像がトナー画像に現像されて画像転写部に送り込まれるタイミングに合わせて、レジストロール10の回転を開始する。これにより、先述のようにスキュー補正された用紙は、レジストロール10の回転にしたがって画像転写部へと送り込まれる。そして、画像転写部においては、レジストロール10によって送り込まれた用紙がバキューム搬送部12の搬送ベルト14上に載置され、この搬送ベルト14の走行によって画像転写部(感光体ドラム11と転写ロール13の対向部分)を通過するように移動する。このとき、用紙の先端が画像転写部に到達するタイミングに合わせて画像転写部にトナー画像が到達し、そこで転写ロール13がトナーと逆極性の電荷を付与することにより、感光体ドラム11表面のトナー画像が用紙に転写される。
その後、用紙はバキューム搬送部12によって定着器17に送られ、そこでトナー画像が用紙に定着される。次いで、定着器17から送り出された用紙は排出ロール(不図示)に受け渡され、この排出ロールによって排出トレイ(不図示)に排出される。なお、ここでは、用紙の片面に画像を形成する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、用紙の両面に画像を形成する「両面印刷機能」を備えた画像形成装置にも適用可能である。
図2は定着器17の具体的な構成例を示す図である。図示した定着器17は、大きくは、定着ロール25と、離型剤供給機構26と、ベルト部材27と、ベルト加圧機構28とを備えた構成となっている。
定着ロール25は、図示しない駆動源によって矢印方向(反時計回り方向)に所定の速度(例えば260mm/secの周速)で回転駆動されるようになっている。定着ロール25は、金属製のコア部29と、弾性体層30と、トップコート層31とによって構成されている。
コア部29は、例えば、外径62mm、内径55mm、長さ350mmの円筒状に形成されている。また、コア部29の材料としては、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属材料が用いられる。弾性体層30は、コア部29の表面を被覆するものである。弾性体層30は、例えば、シリコーンゴムなどのゴム状弾性体によって構成されるものである。トップコート層31は、弾性体層6の表面を被覆するものである。トップコート層31は、例えば、厚さ50μmのフッ素ゴムを弾性体層6にディップコートして形成されるもので、その表面は鏡面状態に近い状態に仕上げられている。
また、コア部29の内部には、加熱源としてハロゲンヒータ32が配置されている。これにより、定着ロール25は、ハロゲンヒータ32によって表面温度が所定の温度となるよう内部から加熱されるようになっている。定着ロール25の表面温度は、当該定着ロール25の表面温度を検知する温度センサ(後述)の検知結果に基づいて、所定の温度(例えば、175℃)となるようにコントローラ(後述)によって制御される。
離型剤供給機構26は、定着ロール25の表面(外周面)に、離型剤(剥離剤)として、例えばアミン変性シリコンオイルを供給するものである。離型剤供給機構26は、オイルパイプ33と、オイルウィック34と、ピックアップロール36と、ブレード37と、オイルパン38と、ドナーロール39と、クリーナー40とを用いて構成されている。オイルパイプ33は、適度な粘性を有する液状の離型剤Dを滴下方式で供給するものである。オイルウィック34は、オイルパイプ33から滴下された離型剤Dをピックアップロール36に流し込むものである。ピックアップロール36は、オイルウィック34から流し込まれた離型剤Dをピックアップしつつ図の反時計回り方向に回転することにより、ドナーロール36との接触部に離型剤Dを移送するものである。
ブレード37は、ピックアップロール36の表面から余分な離型剤Dを掻き落とすものである。オイルパン38は、ブレード37によって掻き落とされた離型剤Dを回収して、図示しないオイルタンクに戻すためのものである。ドナーロール39は、ピックアップロール36によって移送された離型剤Dを定着ロール25の表面に塗布するものである。クリーナー40は、ピックアップロール36の表面から付着物を除去するものである。
ベルト部材27は、例えば、厚さ75μmのポリイミドからなるエンドレスベルトによって構成されるものである。ベルト部材27は、加圧ロール41と、インレットロール42と、ステアリングロール43とを用いて、例えば、5kgf前後の張力でループ状に張架されている。加圧ロール41及びインレットロール42は、例えば、ステンレス等によってクラウン形状(ロールの軸方向でロール中心部からロール端部に向かってロール外径が徐々に小さくなる形状)に形成されている。加圧ロール41は、前述したセルフストリッピングによって定着ロール25から用紙45を剥離するために、ベルト部材27を定着ロール25に押し付けるように加圧するものである。
加圧ロール41が加圧する部分では、定着ロール25の弾性体層30がベルト部材27に押されて歪んだ状態となる。そして、定着ロール25とベルト部材27との間に形成されるニップ部を用紙が通過する際には、そのニップ部の出口部分で弾性体層30の歪みが加圧ロール41による圧力から解放される瞬間に、用紙が定着ロール25から剥離される。インレットロール42の内部には、ベルト部材27を加熱するためのハロゲンヒータ(加熱源)44が設けられている。ステアリングロール43は、例えば、ロール表面にシリコーンゴムのコーティングが施されたステンレス等によって円筒状又は円柱状に形成されている。
ベルト加圧機構28は、定着ロール25に近接かつ対向する位置で、ベルト部材27を定着ロール25に押し付けるように加圧するものである。この加圧力を受けてベルト部材27は、定着ロール25に圧接した状態、又は定着ロール25との間に用紙45をニップした状態で、定着ロール25の回転にしたがって回転(従動回転)するようになっている。その際、定着ロール25とベルト部材27との間(ニップ部)に送り込まれる用紙45上にはトナー画像46が転写(担持)されたものとなる。
ベルト加圧機構28は、押圧パッド47と、ベースプレート48と、支持プレート49と、シム50と、シート部材51とを用いて構成されている。押圧パッド47は、ベルト部材27の内周側からシート部材51を介してベルト部材27を定着ロール25側に押圧することにより、定着ロール25とベルト部材27との間に幅広のニップ部を形成するものである。押圧パッド47は、ベースプレート48側に配置された圧縮コイルバネ(不図示)の付勢力をもってベルト部材27を定着ロール25側に押圧するようになっている。このため、押圧パッド47によるニップ圧は、上記圧縮コイルバネの付勢力に依存したものとなる。押圧パッド47は、例えば、厚さ5mmのシリコーンゴムの発泡体を用いて構成されるものである。
ベースプレート48は、例えば、ステンレス製の金属プレーによって構成されている。支持プレート49は、例えば、ステンレス製の金属プレートからなるものである。支持プレート49の長手方向の両端部にはネジ52が取り付けられ、このネジ52により支持プレート49がシム50を介してベースプレート48に固定されている。シム50は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の合成樹脂からなるもので、ベースプレート48と支持プレート49との間に介装されている。
また、ベースプレート48には、ネジ53によって潤滑剤塗布部材54が取り付けられている。潤滑剤塗布部材54は、ベルト部材27とシート部材51との間の摩擦係数を小さくするために、ベルト部材27の内面に潤滑剤(例えば、シリコンオイル)を塗布するものである。
シート部材51は、例えば、厚さ75μm程度で、耐熱性及び耐磨耗性を有する樹脂のシートによって筒状に形成されている。シート部材51は、ベルト部材27と押圧パッド47との摺動抵抗を低減するために、定着ロール25と押圧パッド47との間に介装されている。シート部材51の表面には、摩擦抵抗を小さくするために、例えばエンボス形状の凹凸が形成されている。シート部材51を形成する材料は、耐熱性及び耐磨耗性を有するものであれば、如何なるものでも使用可能である。具体例としては、ポリイミド(PI)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズオキサゾール(PBO)、ポリアイドイミド(PAI)、ピーク(Peek)等を挙げることができる。
図3は本発明の第1実施形態に係る画像形成装置が備える荷重可変機構の構成とこれを駆動する制御系の構成を示す概略図である。図において、加圧ロール41は、当該加圧ロール41に巻き付けられたベルト部材27を定着ロール25に押し付けるように加圧している。このとき、ベルト部材27を介して定着ロール25が加圧ロール41から受ける荷重(力)を「ロール荷重」と定義する。
加圧ロール41の回転軸55はロール軸方向に延出しており、この延出部分にバネ受け部材56が嵌合されている。加圧ロール41及び回転軸55は、例えば、回転軸55の両端部を直接又は中間部材(不図示)を介して定着器本体フレーム部(不図示)に移動自在に係合させることにより、定着ロール25に対して接離する方向に移動自在に支持されている。
バネ受け部材56は、加圧ロール41の端部に一つずつ嵌合されている。この場合、必要に応じて、回転軸55とバネ受け部材56との間に軸受け部材(不図示)を組み込むようにしてもよい。バネ受け部材56にはシャフト57が固定され、このシャフト57に圧縮コイルバネ58が取り付けられている。また、シャフト57には、バネ受け部材56と対向する状態でバネ押し部材59が取り付けられている。バネ押し部材59にはシャフト57の外径よりも僅かに大きい孔径の貫通孔(不図示)が形成され、この貫通孔をシャフト57に嵌合させることにより、バネ押し部材59がシャフト57の軸方向に移動自在に取り付けられている。
バネ押し部材59には偏心カム60が突き当てられている。偏心カム60は、当該偏心カム60に嵌合する駆動軸60と一体に回転するものである。駆動軸60は、モータ62の駆動にしたがって回転するもので、定着ロール25及び加圧ロール41と平行な向きで配置されている。モータ62は、例えば、パルスの入力によってモータの回転制御(回転方向、回転角度などの制御)を行えるパルスモータを用いて構成されるものである。モータ62から駆動軸60への動力伝達は、図示しない動力伝達機構(例えば、歯車伝達機構)を用いて行われる。
上記構成からなる荷重可変機構において、圧縮コイルバネ58のバネ圧は、ベルト部材27を介して加圧ロール41を定着ロール25に押し付ける力となって作用する。このため、ロール荷重は圧縮コイルバネ58のバネ圧に依存したものとなる。また、モータ62の駆動によって回転軸61を回転させると、回転軸61と一体に偏心カム60が回転し、これに連動してバネ押し部材59がシャフト57の軸方向に移動する。
いま、モータ62の駆動によって回転軸61と偏心カム60を一方向に回転させたときに、これに連動してバネ押し部材59がバネ受け部材56に接近する方向でシャフト57の軸方向に移動した場合は、バネ押し部材59の移動によって圧縮コイルバネ58が圧縮される。このため、加圧ロール41の回転軸55に作用する圧縮コイルバネ58のバネ圧が増大し、その分だけロール荷重が高くなる。
また、モータ62の駆動によって回転軸61と偏心カム60を他方向に回転させたときに、これに連動してバネ押し部材59がバネ受け部材56から離間する方向でシャフト57の軸方向に移動した場合は、バネ押し部材59の移動によって圧縮コイルバネ58が伸長される。このため、加圧ロール41の回転軸55に作用する圧縮コイルバネ58のバネ圧は減少し、その分だけロール荷重が低くなる。
したがって、上記荷重可変機構では、モータ62の回転動作を制御することにより、ロール荷重を無段階に調整可能となっている。ただし、本実施形態においては、ロール荷重を高・低の2段階、すなわち第1の荷重と、当該第1の荷重よりも低い第2の荷重の2段階で変更(切り替え)可能なものとする。また、ロール荷重の変更は、画像形成装置全体の処理動作を制御するコントローラ63からの指示にしたがってモータドライバ64により実行されるものとする。その際、コントローラ63は、予め設定された所定の制御条件(後述)を満たしたかどうかを判断し、所定の制御条件を満たしたと判断した場合に、ロール荷重の変更指示をモータドライバ64に与える。また、コントローラ63には、温度センサ65の測定値が取り込まれる構成となっている。温度センサ65は、定着ロール25の表面の温度を測定(検知)するものである。
図4は本発明の第1実施形態に係る画像形成装置において、コントローラ63により実行される画像形成処理の手順を示すフローチャートである。まず、画像形成処理の開始にあたって、変数Mの値を初期化(M=0)する(ステップS1)。次に、画像形成に使用する用紙を搬送して電子写真プロセス(帯電、露光、現像、転写、定着)に基づく画像形成動作を行う(ステップS2)。この画像形成動作は、用紙1枚ごとに1回ずつ行われるものである。
次に、変数Mの値を1インクリメントする(ステップS3)。変数Mの値は、画像形成処理を開始してからの用紙連続処理枚数を示す。用紙連続処理枚数とは、1回のジョブで複数ページ分の画像データを処理する場合に、そのページ総数に相当する複数枚の用紙を連続的に搬送して画像形成を行うときの用紙の処理枚数をいう。
続いて、所定の制御条件として、変数Mの値が予め設定された所定値(所定の枚数)に達しかどうか判断する(ステップS4)。所定値は、例えば図5の制御テーブルに示すように、用紙の坪量や種類(図例ではコート紙、非コート紙)に応じて、A1,A2,B1,B2,C1,C2のように別々の値に設定することが望ましい。ここでは、用紙の坪量及び種類に応じて所定値を設定しているが、本発明はこれに限らず、用紙の種類に関係なく用紙の坪量に応じて所定値を設定してもよいし、逆に、用紙の坪量に関係なく用紙の種類に応じて所定値を設定してもよい。また、用紙の種類を、用紙のサイズや紙質などで区別してもよい。また、用紙の坪量や種類の認識(判別)は、操作パネル等を用いたユーザからの入力指示に基づいて行ってもよいし、用紙トレイごとに設定された用紙情報に基づいて行ってもよい。
上記ステップS4において、変数Mの値が所定値に達したと判断した場合は、ロール荷重の変更処理を行う(ステップS5)。ロール荷重は、画像形成処理を開始する時点(初期状態)では、第1の荷重に設定されている。したがって、ステップS5では、ロール荷重を第1の荷重から、それよりも低い第2の荷重に変更する旨の指示をモータドライバ64に与える。これにより、モータドライバ64は、コントローラ63からの指示にしたがって上記モータ62を駆動することにより、ロール荷重を第1の荷重から第2の荷重に変更する。また、変数Mの値が所定値に達していなかった場合は、ロール荷重の変更処理を行うことなく、次の処理ステップに進む。
その後、未処理ページ(次に画像形成すべきページ)が残っているかどうかを確認する(ステップS6)。そして、未処理ページが残っている場合は、上記ステップS2に戻って同様の処理を繰り返す。また、未処理ページが残っていない場合は、その時点で画像形成処理を終了する。
本発明の第1実施形態に係る画像形成装置では、画像形成処理中に用紙連続処理枚数が所定値に達したときに、コントローラ63がモータ62を駆動して、ロール荷重を第1の荷重から、それよりも低い第2の荷重に変更するため、定着ロール25の弾性体層30の歪みが小さくなる。このため、セルフストリッピングで用紙45上のトナーに作用する剪断力が弱くなる。したがって、用紙を連続的に処理する場合でも、画像ズレの発生を有効に防止することができる。
図6は本発明の第2実施形態に係る画像形成装置において、コントローラ63により実行される画像形成処理の手順を示すフローチャートである。なお、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の構成は、上記第1実施形態の装置構成と同様である。まず、画像形成に使用する用紙を搬送して電子写真プロセス(帯電、露光、現像、転写、定着)に基づく画像形成動作を行う(ステップS11)。この画像形成動作は、用紙1枚ごとに1回ずつ行われるものである。次に、温度センサ65の測定値を取り込む(ステップS12)。
次いで、所定の制御条件として、先ほど取り込んだ温度センサ65の測定値と予め設定された所定値とを比較することにより、温度センサ65の測定値が所定値以上になっているかどうかを判断する(ステップS13)。所定値については、上記第1実施形態(図5)と同様に、用紙の坪量や種類に応じて設定することが望ましい。
ここで、温度センサ65の測定値が所定値以上になっていると判断した場合は、ロール荷重の変更処理を行う(ステップS14)。ロール荷重は、画像形成処理を開始する時点(初期状態)では、第1の荷重に設定されている。したがって、ステップS14では、ロール荷重を第1の荷重から、それよりも低い第2の荷重に変更する旨の指示をモータドライバ64に与える。これにより、モータドライバ64は、コントローラ63からの指示にしたがって上記モータ62を駆動することにより、ロール荷重を第1の荷重から第2の荷重に変更する。また、温度センサ65の測定値が所定値未満であった場合は、ロール荷重の変更処理を行うことなく、次の処理ステップに進む。
その後、未処理ページ(次に画像形成すべきページ)が残っているかどうかを確認する(ステップS15)。そして、未処理ページが残っている場合は、上記ステップS11に戻って同様の処理を繰り返す。また、未処理ページが残っていない場合は、その時点で画像形成処理を終了する。
本発明の第2実施形態に係る画像形成装置では、画像形成処理中に温度センサ65の測定値が所定値以上となったときに、コントローラ63がモータ62を駆動して、ロール荷重を第1の荷重から、それよりも低い第2の荷重に変更するため、定着ロール25の弾性体層30の歪みが小さくなる。このため、セルフストリッピングで用紙45上のトナーに作用する剪断力が弱くなる。したがって、定着ロール25の表面温度が高くなった場合でも、画像ズレの発生を有効に防止することができる。
図7は本発明の第3実施形態に係る画像形成装置が備える荷重可変機構の構成とこれを駆動する制御系の構成を示す概略図である。この第3実施形態においては、上記第1実施形態の装置構成と比較して、定着ロール25の表面の温度を2つの温度センサ65A,65Bで測定するとともに、各々の測定値がコントローラ63に個別に入力される構成となっている点が異なる。2つの温度センサ65A,65Bは、定着ロール25の軸方向で互いに異なる位置に配置されている。すなわち、定着ロール25の軸方向で、用紙が通過する部分を通紙部25A、用紙が通過しない部分を非通紙部25Bとすると、温度センサ65Aは、定着ロール25の通紙部25Aでロール表面の温度を測定し、温度センサ65Bは、定着ロール25の非通紙部25Bでロール表面の温度を測定するものである。
図8は本発明の第3実施形態に係る画像形成装置において、コントローラ63により実行される画像形成処理の手順を示すフローチャートである。まず、画像形成に使用する用紙を搬送して電子写真プロセス(帯電、露光、現像、転写、定着)に基づく画像形成動作を行う(ステップS21)。この画像形成動作は、用紙1枚ごとに1回ずつ行われるものである。次に、各々の温度センサ65A,65Bの測定値を取り込む(ステップS22)。
次いで、所定の制御条件として、先ほど取り込んだ温度センサ65A,65Bの測定値の差分(温度差)と予め設定された所定の温度差とを比較することにより、測定値の差分が所定の温度差以上になっているかどうかを判断する(ステップS23)。具体的には、温度センサ65Aの測定値を温度換算でTa(℃)とし、温度センサ65Bの測定値を温度換算でTb(℃)とすると、それらの差分ΔTを“ΔT=Ta−Tb”で算出する。そして、この算出によって得られたセンサ測定値の差分ΔTと予め設定された所定の温度差ΔTrとの大小関係を比較することにより、センサ測定値ΔTが所定の温度差ΔTr以上になっているかどうかを判断する。この場合、所定の温度差については、上記第1実施形態(図5)と同様に、用紙の坪量や種類に応じて設定することが望ましい。
ここで、センサ測定値の差分が所定の温度差以上になっていると判断した場合は、ロール荷重の変更処理を行う(ステップS24)。ロール荷重は、画像形成処理を開始する時点(初期状態)では、第1の荷重に設定されている。したがって、ステップS24では、ロール荷重を第1の荷重から、それよりも低い第2の荷重に変更する旨の指示をモータドライバ64に与える。これにより、モータドライバ64は、コントローラ63からの指示にしたがって上記モータ62を駆動することにより、ロール荷重を第1の荷重から第2の荷重に変更する。また、センサ測定値の差分が所定の温度差未満であった場合は、ロール荷重の変更処理を行うことなく、次の処理ステップに進む。
その後、未処理ページ(次に画像形成すべきページ)が残っているかどうかを確認する(ステップS25)。そして、未処理ページが残っている場合は、上記ステップS21に戻って同様の処理を繰り返す。また、未処理ページが残っていない場合は、その時点で画像形成処理を終了する。
本発明の第3実施形態に係る画像形成装置では、画像形成処理中に温度センサ65A,65Bの測定値の差分が所定の温度差以上となったときに、コントローラ63がモータ62を駆動して、ロール荷重を第1の荷重から、それよりも低い第2の荷重に変更するため、定着ロール25の弾性体層30の歪みが小さくなる。このため、セルフストリッピングで用紙45上のトナーに作用する剪断力が弱くなる。したがって、定着ロール25の通紙部25Aと非通紙部25Bの温度差が大きくなった場合でも、画像ズレの発生を有効に防止することができる。
なお、上記実施形態においては、ロール荷重を高・低の2段階で変更可能としたが、本発明はこれに限らず、例えば、高・中・低の3段階で変更可能とし、予め設定された所定の制御条件を満たすたびに、ロール荷重を高→中→低と段階的に変更するものであってもよい。また、ロール荷重を4段階以上の多段階で変更する構成としてもよい。
また、上記実施形態においては、画像形成処理を開始するときの初期荷重を第1の荷重に設定し、画像形成処理中に所定の制御条件を満たしたときに、ロール荷重を第1の荷重から、それよりも低い第2の荷重に変更するものとしたが、これと反対に、第2の荷重を初期荷重に設定し、画像形成処理中に所定の制御条件を満たしたときに、ロール荷重を第2の荷重から、それよりも高い第1の荷重に変更することも可能である。
11…感光体ドラム、13…転写ロール、17…定着器、25…定着ロール、27…ベルト部材、41…加圧ロール、55…回転軸、56…バネ受け部材、57…シャフト、58…圧縮コイルバネ、59…バネ押し部材、60…偏心カム、61…駆動軸、62…モータ、63…コントローラ、64…モータドライバ、65,65A,65B…温度センサ