JP2007077196A - フレーバー及びフレグランス組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のフレーバー及びフレグランス組成物は、(R)−2−メチルブタンチオ酸S−アルキルを有効成分として含有することを特徴とし、強く新鮮なパッションフルーツを想起させる香味及び香気を有するものであり、従って、飲食品や香粧品の他、食品材料、食品添加物、保険衛生材料等の広い範囲に用いることができるものである。
【選択図】 なし
Description
Rux Hy Clz 〔(+)−(R−BINAP)〕2 (S)p (1)
{式中、(+)−(R−BINAP)は、(−)−2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチル又は(+)−2,2′−ビス(ジ−p−メチルフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチル等を示し、Sは第三級アミンを示す。yは0又は1を示し、yが0のときxは2、Zは4、pは1を示し、yが1のときxは1、Zは1、pは0を示す。}
{式中、(+)−(X−BINAP)は、二つのナフチル基の5位及び5′位にアミノ基、アセチルアミノ基又はスルホン基が置換してもよく、又、四つのフェニル基のp位に低級アルキル基が置換してもよい(+)−2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチルを示す。R1 及びR2 は、低級アルキル基、ハロゲノ低級アルキル基、低級アルキル基が置換してもよいフェニル基、α−アミノアルキル基又はα−アミノフェニルアルキル基を示すか、或いは、R1 とR2 が一緒になってアルキレン基を形成してもよい。qは1又は2を示す。}
{式中、(+)−(R−BINAP)は前記と同じ内容を示す。YはClO4 、BF4 又はPF6 を示す。lは0又は1を示し、lが0のときvは1、wは2を示し、lが1のときvは2、wは1を示す。}
{式中、(+)−(BIPHEMP)は、(−)−2,2′−ジメチル−6,6′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビフェニル、(−)−2,2′−ジメチル−6,6′−ビス(ジ−p−メチルフェニルホスフィノ)−1,1′−ビフェニル、又は、(−)−2,2′−ジメチル−6,6′−ビス(ジ−p−メトキシフェニルホスフィノ)−1,1′−ビフェニル等を示す。Yは前記と同じ内容を示す。)
旋光度;
機器:DIP−370(日本分光工業株式会社製)
プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR);
機器:AM−400型(400MHz)(ブルッカー社製)
内部標準物質:テトラメチルシラン
赤外吸収スペクトル(IR);
機器:Nicolet Avatar360 FT−IR(ニコレジャパン株式会社製)
質量スペクトル(MS);
機器:M−80B質量分析計(イオン化電圧:20eV)(株式会社日立製作所製)
ガスクロマトグラフ
機器:HP−5890(ヒューレットパッカード社製)
カラム:PEG BC−WAX(0.25mm×50m)(ジーエルサイエンス株式会社製)
(R)−2−メチルブタン酸の製造
あらかじめ窒素置換した100ml容量のステンレス製オートクレーブに、チグリン酸0.2g(2mmol)とメタノール20mlを入れ、続いてRu〔(+)−BINAP〕(BF4 )2 ((+)−BINAPは、(+)−2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチルを示す。)6.0mg(0.007mmol)を入れ、水素圧4kg/cm2 、反応温度20℃で、12時間攪拌して水素化を行い、溶媒を留去して目的とする(R)−2−メチルブタン酸0.2g(収率100%)を得た。旋光度は、[α]D 25=−16.7°(neat)であり、又、ガスクロマトグラフィーによる純度は100%であった。これを、(S)−1−フェニルエチルアミンと反応させ、アミドを合成し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、(R)−2−メチル酪酸の光学純度は、88%e.e.であった。
(R)−2−メチルブタン酸クロライドの製造
合成例1で得た(R)−2−メチルブタン酸{[α]D 25=−16.7°(neat)のもの} 35.8g(350ミリモル)に塩化チオニル50.0g(420ミリモル)を、50℃で3時間かけ滴下した後、80℃で1時間反応させた。過剰の塩化チオニルを減圧下に留去させ、残留物を減圧蒸留し、(R)−2−メチルブタン酸クロライド40.4g(収率96%)を得た。
沸点:35℃/0.1torr
1H−NMR(CDCl3):0.98(t,J=7.5Hz,3H),1.29(d,J=6.9Hz,3H),1.58〜1.66(m,1H),1.79〜1.87(m,1H),2.78〜2.85(m,1H)
13C−NMR:11.46(CH3),16.88(CH3),26.91(CH2),53.29(CH),178.05(CO)
(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチルの製造
0℃に冷却した15%メチルメルカプタン水溶液75g及びジエチルエーテル100mLの混液に、攪拌下、合成例2で得た(R)−2−メチルブタン酸クロライド16.1g(120ミリモル)を1時間かけ、滴下した。有機層を分液し、食塩水にて洗浄後、ジエチルエーテルを留去し、残留物を減圧濃縮して、(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチル15.1g(収率86%)を得た。これをガスクロマトグラフィーで分析した結果、化学純度は100%であり、光学純度は88%e.e.であった。
沸点32℃/5torr.
[α]D 20=−36.7°(neat)
1H−NMR(CDCl3):0.92(t,J=7.5Hz,3H),1.29(d,J=6.9Hz,3H),1.43〜1.52(m,1H),1.70〜1.78(m,1H),2.28(s,3H),2.54〜2.60(m,1H)
13C−NMR:11.29(CH3),11.58(CH3),17.21(CH3),27.17(CH2),50.04(CH),204.22(CO)
合成例で得た(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチルに関して、瓶口及び濾紙につけたものを使用して、経験5年以上を有する調香師5名により官能評価を行った。評価結果を表1に示す。
特開昭63−239245号公報に記載の方法に準じて合成された(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチルは、光学純度88%e.e.程度の高い純度で得られたが、(R)体の効果が、どの程度の光学純度のもので確実に顕れるかを試験した。ラセミ体を任意の割合で混合することによって、任意の光学純度の(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチルを調製し、(R)体の効果がはっきりと確実に識別できる光学純度を、2:2点識別法(A及びBの2種の試料を識別するのに、最初に試料A及びBを明試料としてパネラーに提示して、その特徴を記憶させたのち、AとBを盲試料として提示し、Aとは異なる方の試料を指摘させ、数回の繰り返しで得られた正解数から2種の試料間に差があるかどうか判定する方法;佐藤信「官能検査入門」54頁(1978年10月16日、株式会社日科技連出版社発行))を応用して測定した。
下記の表2に示すグレープフルーツフレーバー組成物に、合成例で得られた(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチルを加えて、当該有効成分を0.01ppbの濃度で含有する実施例3のフレーバー組成物を調整した。又、ラセミ体の2−メチルブタンチオ酸S−メチルを加えたものを比較例1とした。各フレーバー組成物について経験5年以上を有するフレーバリスト5名により官能評価を行った。
処方例1
成分
サリチル酸ベンジル 55
L−シトロネロール 10
アセト酢酸エチル 5
ガラクソリド 50BB*(IFF社製) 390
ゲラニオール 10
ヘディオン(フルメニッヒ社製) 120
ヘリオブーケ(高砂香料工業株式会社製) 8
シス−3−ヘキセン−1−オール 10%DPG**溶液 10
酢酸 シス−3−ヘキセニル 10%DPG溶液 5
ヘキシルシンナミックアルデヒド 50
β―ヨノン 17
コバノール(高砂香料工業株式会社製) 40
レモンオイル 40
リナロール 45
酢酸リナリル 45
ネロリドール 55
フェニルエチルアルコール 30
ケイ皮酸フェニルエチル 5
サンタレックスT(高砂香料工業株式会社製) 35
トリプラール 10%DPG溶液(IFF社製) 5
マルトール 1%DPG溶液 15
(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチル10ppmDPG溶液 5
計 1000
* 安息酸ベンジル
** ジプロピレングリコール
実施例4での処方において、(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチル10ppmDPG溶液の代わりに、ラセミ体の(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチルを用いた以外は、実施例4と同じ処方によりシャンプー用フレグランス組成物を調製した。
実施例4及び比較例2で調製したシャンプー用フレグランス組成物を用い、下記成分を80℃にて均一になるまで加熱撹拌し、その後35℃まで冷却しシャンプーを調製した。
各シャンプーの香気について経験5年以上を有するパフューマー5名により官能評価を行った。
ラウリル硫酸ナトリウム 40.00
N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−
カルボキシメトキシエチル−
N−カルボキシメチル
エチレンジアミン二ナトリウム 10.00
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(2) 2.00
ブチレングリコール 2.00
クエン酸 0.35
塩化ナトリウム 0.10
メチルパラベン 0.20
プロピルパラベン 0.10
エデト酸四ナトリウム 0.10
実施例4又は比較例2のフレグランス組成物 0.50
精製水 バランス
計 100.00
実施例4と比較例2とのシャンプーの香気を評価した結果、(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチルを含む実施例4の処方に基づくシャンプーの香気は、拡散性に優れ、フレッシュでナチュラル感を付与されていたとパネラー全員が指摘した。
処方例2
成分
レモンオイル 100
ライムオイル 180
ゲラニルニトリル 10
アルデヒドC−8 10%DPG溶液 25
アルデヒドC−10 10%DPG溶液 35
デカン酸エチル 12
トリプラール(IFF社製) 3
イソシクロシトラール 10%DPG溶液(IFF社) 25
酢酸スチラリル 20
α―ターピネオール 30
リナロール 70
酢酸リナリル 50
ゲラニオール 60
酢酸ゲラニル 5
リリアール(ジボダン社製) 80
ヘキシルシンナミックアルデヒド 120
マイラックアルデヒド(IFF社製) 15
サリチル酸 シス−3−ヘキセニル 15
β―ヨノン 25
ヘリオトロピン 5
トナリッド(PFW社製) 30
ジプロピレングリコール バランス
(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチル10ppmDPG溶液 5
計 1000
実施例5での処方において、(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチル 10ppmDPG溶液の代わりに、ラセミ体の−2−メチルブタンチオ酸S−メチルを用いた以外は、実施例5と同じ処方によりボディーシャンプー用フレグランス組成物を調製した。
実施例5及び比較例3で調製したボディシャンプー用フレグランス組成物を用い、ボディシャンプーを調製した。
各ボディシャンプーの香気について経験5年以上を有するパフューマー5名により官能評価を行った。
ジブチルヒドロキシトルエン 0.05
メチルパラベン 0.10
プロピルパラベン 0.10
エデト酸四ナトリウム 0.10
塩化カリウム 0.20
グリセリン 5.00
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(2) 3.00
ポリオキシエチレンラウリル
エーテル酢酸ナトリウム(3E.O.)(30%) 10.00
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液(34%) 25.00
ミリスチン酸カリウム(40%) 25.00
実施例4及び比較例3のフレグランス組成物 0.50
精製水 バランス
計 100.00
実施例5と比較例3とのボディシャンプーの香気を評価した結果、(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチルを含む実施例5の処方に基づくボディシャンプーの香気は、爽やかさがアップしたシトラス感を付与されていたとパネラー全員が指摘した。
処方例3
成分
α―ピネン 8
アルデヒドC−16 1
グリコール酸アリルアミル 1
アンブレットリド(IFF社製) 8
ベルガモット 15
カルビトール 100
カルダモンオイル 3
L−シトロネロール 30
β−ダマスコン 2
ジメチルオクタノール 10%DPG溶液 4
ジプロピレングリコール 29
ダイナスコン 10%DPG溶液 5
酢酸エチル 10%DPG溶液 4
アセト酢酸エチル 15
ガルバナムオイル 10%DPG溶液 10
ヘディオン(フィルメニッヒ社製) 195
ヘリオブーケ(高砂香料工業株式会社製) 10
シス−3−ヘキセン−1−オール 2
シス−3−ヘキセン−1−オール 10%DPG溶液 3
β―ヨノン 10
ジャスミンアブソリュート 3
ライムオイル 10%DPG溶液 5
酢酸リナリル 40
8−メルカプトメントン 10%DPG溶液 8
ムスクT(高砂香料工業株式会社製) 200
ネロリドール 46
フェニルエチルアルコール 17
β―ピネン 117
ルボフィックス(フィルメニッヒ社製) 12
ローズアブソリュート 3
ローズオイル 10%DPG溶液 5
L−ローズオキサイド 10%DPG溶液 15
サンタレックスT(高砂香料工業株式会社製) 40
トリプラール(IFF社製) 14
ベルートン(フィルメニッヒ社製) 12
マルトール 5
(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチル10ppmDPG溶液 5
計 1000
実施例6での処方において、(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチル10ppmDPG溶液の代わりに、ラセミ体の2−メチルブタンチオ酸S−メチルを用いた以外は、実施例6と同じ処方によりローズ様フレグランス組成物を調製した。
実施例6及び比較例4で調製したローズ様フレグランス組成物を用い、化粧クリームを調製した。
[化粧クリーム](質量%)
ステアリルアルコール 6.0
ステアリン酸 2.0
水添ラノリン 4.0
スクワラン 9.0
オクチルデカノール 10.0
グリセリン 6.0
ポリエチレングリコール 1500 4.0
ポリオキシエチレン(25)セチルエーテル 3.0
モノステアリン酸グルセリン 2.0
メチルパラベン 適量
エチルパラベン 適量
実施例6又は比較例4のフレグランス組成物 0.1
精製水 バランス
計 100.0
実施例6と比較例4との化粧クリームの香気を評価した結果、(R)−2−メチルブタンチオ酸S−メチルを含む実施例6の処方に基づく化粧クリームの香気は、非常に拡散性のあるナチュラル感を付与されていたとパネラー全員が指摘した。
Claims (13)
- (R)−2−メチルブタンチオ酸S−アルキルを有効成分として含有することを特徴とするフレーバー及びフレグランス組成物。
- (R)−2−メチルブタンチオ酸S−アルキルの光学純度が50%e.e.以上である請求項1に記載のフレーバー及びフレグランス組成物。
- フレーバー組成物である請求項1又は2に記載のフレーバー及びフレグランス組成物。
- (R)−2−メチルブタンチオ酸S−アルキルを、10−6〜107ppbの濃度で含有することを特徴とするフレーバー組成物。
- 請求項4に記載のフレーバー組成物によってフレーバー付けされた製品。
- フレーバー付けされた製品が、飲食品類、口腔用組成物及び医薬品類から選ばれる1種である請求項5に記載のフレーバー付けされた製品。
- (R)−2−メチルブタンチオ酸S−アルキルを、10−9〜105ppbの濃度で添加してなること特徴とするフレーバー付けされた製品。
- フレグランス組成物である請求項1又は2に記載のフレーバー及びフレグランス組成物。
- (R)−2−メチルブタンチオ酸S−アルキルを、10−6〜107ppbの濃度で含有することを特徴とするフレグランス組成物。
- 請求項9に記載のフレグランス組成物によってフレグランス付けされた製品。
- フレグランス付けされた製品が、フレグランス製品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品、ヘアケア製品、石鹸、身体洗浄剤、浴用剤、洗剤、柔軟仕上げ剤、洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤、エアゾール剤、消臭・芳香剤、忌避剤及び雑貨から選ばれる1種である請求項10に記載のフレグランス付けされた製品。
- (R)−2−メチルブタンチオ酸S−アルキルを、10−9〜107ppbの濃度で添加してなること特徴とするフレグランス付けされた製品。
- (R)−2−メチルブタンチオ酸S−アルキルを添加することを特徴とする香味及び香気を増強、改善又は変調する方法。
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