JP2007076943A - 成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の成膜装置は、スプレー熱分解法により被処理体の一面上に薄膜を形成する成膜装置であって、前記被処理体を載置する支持手段と、前記被処理体の一面の中心域に向けて、前記薄膜の原料溶液からなるミストを噴霧する吐出手段と、前記被処理体の近傍に排気口を配してなる排気手段と、を少なくとも備え、前記吐出手段は、その吐出口を前記被処理体の一面の中心付近で、その上方近傍に配置してなり、前記排気手段は、前記吐出口から噴霧されたミストを、前記被処理体の一面近傍を漂うように誘導することを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
しかしながら、これらの提案では、特別な排気装置に関する記述は無い。このため、成膜時のミストの吹き付けから拡散、そして排気までを制御することが考慮されていないことが明らかである。
また、成膜室として、隔壁を設けていない開放系にて成膜を行っていたことから、上昇気流が生じて基板上の熱拡散が大きくなりやすくなり、加熱基板温度を高くする必要があった。
本発明の請求項2に係る成膜装置は、請求項1において、前記被処理体と前記吐出手段とを含む空間を包み込むようなフードを備えてなることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る成膜装置は、請求項1又は2において、前記排気口は、前記被処理体の外周近傍にあって、その側方または上方に配されていることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る成膜装置は、請求項1又は2において、前記排気口を複数備えていることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る成膜装置は、請求項1又は2において、前記複数の排気口は、前記被処理体に対し対称な位置に設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る成膜装置は、請求項1又は2において、前記吐出口は、前記被処理体の一面近傍を漂うミスト空間に含まれない位置(高さ)に配されていることを特徴とする。
本発明の成膜装置1は、スプレー熱分解法により被処理体2上に薄膜を形成する成膜装置であって、前記被処理体2を載置する支持手段11と、前記被処理体2の一面の中心域に向けて、前記薄膜の原料溶液からなるミスト3を噴霧する吐出手段12と、前記被処理体2の近傍に排気口13aを配してなる排気手段13と、を少なくとも備える。
これにより、被処理体2の中心付近に向けて吹き付けられたミスト3は、図3に示すように中心部から周辺部へ向かうように被処理体2上を流れ、排気口12aから排気される。このため、被処理体2表面の面内温度分布のばらつきを抑制することができる。その結果、形成される薄膜の膜厚分布のばらつきを小さくすることができる。
吐出手段12は、例えばノズルである。そして吐出手段12から噴霧する原料溶液は、ミスト3(液状微粒子)とされている。
このミスト3は、後述する調整室20において予め原料溶液を噴霧することにより生成されたものであってもよい。
また、被処理体2は、上記温度制御手段からの伝熱等により表面が加熱されており、200〜600℃の温度範囲に制御されている。
フード14は、ステンレススチール等の耐食性金属により構成されている。底部近傍の両側に開口部が形成されている。
前記排気口13aは、図1および図2に示すように、前記被処理体2の外周近傍にあって、その側方または上方に配されていることが好ましい。排気口13aを、被処理体2の側方または上方に設けることにより、浮遊物を巻き込むことなく除去することができる。
調整室20では、上記の吐出手段12とは異なる噴霧手段により原料溶液を予備噴霧し、径の小さい(細かな)液滴だけをミスト3として効率よく取り出してサイズを均一化するよう選別する制御を行う。より細かいミストを吹き付けることができるため、特性のよい膜を形成できる。
この生成されるミスト3は、60.0〜98.8vol%のエアーを含んでいることが好ましい。
搬送路21は、仕切り部材によって外部と隔離され、内壁の温度がミスト3と同じかあるいは高めで、かつ、原料溶液の溶媒の蒸発速度が極端とならない温度を保つように制御されている。すなわち、ミストの温度>搬送路内壁の温度>溶媒の蒸発温度という関係にある。
また。搬送路21の内壁は、フッ素樹脂等の撥水性を有する材料を採用するか、または表面に撥水性を付与する処理を施すことにより、外部と隔離されている。この際、搬送路21を金属等の熱伝導性の良好な材料を使用したものとすると、外気温度の影響を受けやすく、搬送路内壁へのミスト3の付着に繋がることから、塩化ビニル樹脂やフッ素樹脂等の熱伝導の低い樹脂材料を採用することが好ましい。なお、金属材料を採用する場合は、搬送路外壁の温度制御を行うことで対応できる。
さらに、搬送路21の距離は短いほど望ましい。しかしながら、ミスト温度や内壁温度、各手段の配置からの制約などの設計の観点から距離を必要とする場合も考えられることを考慮し、長くする場合は、10m未満とすることが望ましい。
なお、以下の説明では、本発明の成膜装置1を用いて、被処理体2である基板上に、透明導電膜としてITO膜を形成する場合を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な薄膜を形成するのに用いることができる。
基板としては、例えば、ソーダガラス、耐熱ガラス、石英ガラスなどのガラスからなる厚さが0.3〜5mm程度のガラス板が好適に用いられる。
基板表面温度が所定の温度に到達し、安定したら、ITO膜の成膜を開始する。
ITO膜の原料溶液としては、加熱することによりスズ添加インジウム(ITO)等の導電性金属酸化物となる成分を含む溶液が好適に用いられる。
ITO膜の原料溶液としては、塩化インジウム・四水和物を0.2mol/L含有した水溶液、またはエタノール溶液、さらにはエタノール−水混合溶液に対し、塩化スズ・五水和物を0.01mol/L含有した水溶液、またはエタノール溶液、さらにはエタノール−水混合溶液が好適に用いられる。
ITO膜の成膜が終了したら、基板温度が所定の温度になるまで冷却し、基板を取り出す。
以上のようにして、基板上にITO膜からなる透明導電膜が形成される。
その結果、このようにして得られる透明導電膜は、膜厚分布のばらつきが抑制されたものとなり、例えば導電性等の薄膜特性の面内均一性が確保されたものとなる。また、異物混入が抑制され、これにより特性に優れた高品質のものとなる。
さらに、ミスト流れを制御することにより、成膜室の隔壁やノズル等の部材へのミスト付着が防止され、洗浄のためのメンテナンスに要する時間を低減することができた。
例えば、上述した説明では、排気口を4つ設けた場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、排気口の数は3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。また、排気口の配置も、上記の例に限定されるものではない。
まず、以下のようにして、原料溶液を調製した。
<ITO原料溶液の調製>
塩化インジウム(III)五水和物(InCl3・4H2O)5.58g/100mlと塩化スズ(IV)五水和物(SnCl4・5H2O)0.36g/100mlの比の薬剤を水に溶解させて調製した。
<ITO成膜>
500mm×500mm×2mmの硼珪酸ガラス基板(TEMPAX#8330)を支持台上に設置し、室温から350〜400℃の表面温度に達するまで加熱した。なお、加熱方法は、ガラス基板の下部に配された加熱基板からの伝熱に加えて、フード上部に配された赤外線ランプからの熱線照射によるものとした。
基板表面温度が安定したことを確認してから、ITO成膜を開始した。
ITO原料溶液は調整室において予備噴霧され、ミスト(液状微粒子)とされている。調整室および搬送路におけるミスト条件を表1に示す。なお、搬送路には、伸縮性を有する塩ビ製蛇腹パイプを採用し、内壁にはテフロン(登録商標)樹脂コートを施して撥水性を確保した。
また、500mm角成膜を実現するため、噴霧ノズルとガラス基板間距離は20mmとし、基板側でX方向に±150mm、ノズル側でY方向に±150mmづつ揺動させることで噴霧濃度の偏りを防いだ。ITO膜の成膜に要した時間は、15分であった。
さらに、成膜室において、90°の間隔で基板の周囲を取り囲むように4本の排気口を設け、4方向より排気した。
比較例では、フードを配さずに、成膜室、排気構造ともに開放系の構造を有する成膜装置を用いたこと以外は、実施例と同様にしてガラス基板上にITO膜を形成した。
以上のようにしてガラス基板上にITO膜を形成した。
Claims (6)
- スプレー熱分解法により被処理体の一面上に薄膜を形成する成膜装置であって、
前記被処理体を載置する支持手段と、
前記被処理体の一面の中心域に向けて、前記薄膜の原料溶液からなるミストを噴霧する吐出手段と、
前記被処理体の近傍に排気口を配してなる排気手段と、を少なくとも備え、
前記吐出手段は、その吐出口を前記被処理体の一面の中心付近で、その上方近傍に配置してなり、
前記排気手段は、前記吐出口から噴霧されたミストを、前記被処理体の一面近傍を漂うように誘導することを特徴とする成膜装置。 - 前記被処理体と前記吐出手段とを含む空間を包み込むようなフードを備えてなることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
- 前記排気口は、前記被処理体の外周近傍にあって、その側方または上方に配されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
- 前記排気口を複数備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
- 前記複数の排気口は、前記被処理体に対し対称な位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
- 前記吐出口は、前記被処理体の一面近傍を漂うミスト空間に含まれない位置(高さ)に配されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
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