JP2007075120A - アスペルギルス属の新規プロモーター - Google Patents
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Abstract
【目的】本発明は、アスペルギルス(Aspergillus)属糸状菌の新規プロモーターを提供する。
【構成】アスペルギルス・オリゼのピルベート・デカルボキシラーゼ(Pyruvate decarboxylase)遺伝子、フルクトース-6-ビスホフェート・アルドラーゼ(Fructose-bisphosphate aldolase)遺伝子、ピルベート・デヒドロゲナーゼ(Pyruvate dehydrogenase)遺伝子、ピルベート・キナーゼ(Pyruvate kinase)遺伝子、グルコース-6−ホスフェート・イソメラーゼ(Glucose 6-phosphate isomerase)遺伝子又はグリセルアルデヒド−3−ホスフェート・デヒドロゲナーゼ(Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)遺伝子のプロモーター。
【選択図】図1
【構成】アスペルギルス・オリゼのピルベート・デカルボキシラーゼ(Pyruvate decarboxylase)遺伝子、フルクトース-6-ビスホフェート・アルドラーゼ(Fructose-bisphosphate aldolase)遺伝子、ピルベート・デヒドロゲナーゼ(Pyruvate dehydrogenase)遺伝子、ピルベート・キナーゼ(Pyruvate kinase)遺伝子、グルコース-6−ホスフェート・イソメラーゼ(Glucose 6-phosphate isomerase)遺伝子又はグリセルアルデヒド−3−ホスフェート・デヒドロゲナーゼ(Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)遺伝子のプロモーター。
【選択図】図1
Description
本発明は、アスペルギルス(Aspergillus)属糸状菌の新規プロモーターに関する。更に詳細には、本発明はアスペルギルス・オリゼ由来の新規プロモーター配列をクローニングし、アスペルギルス属糸状菌を宿主として有用蛋白質およびペプチドを発現させるために必要なDNA断片を有するプラスミドと、それを用いた有用蛋白質およびペプチドの製造法に関するものである。
糸状菌は、デンプン、蛋白質、脂質、セルロース等を加水分解する各種加水分解酵素をはじめ多くの有用酵素を菌体外に多量に分泌するため、古くよりこれら有用酵素の給源として利用されてきた。従って、糸状菌に関する培養法、生成物蛋白質の分離精製法などの発酵技術の古い歴史と研究成果の裏付けがあり、多くの菌株の安全性が広く認知されている。また、真核生物であるが故に哺乳動物などの高等生物と同様に蛋白質の糖鎖付加機構を有している。
これらの理由により、糸状菌を異種蛋白質の高生産用宿主として利用することが期待されていた。遺伝子工学技術においては、目的とする蛋白質の生産量は、プロモーター、ターミネーターなどの転写に関わる因子、アミノ酸コドンの種類など翻訳に関わる因子、蛋白質への糖鎖付加、発現した蛋白質の細胞内での存在様式(分泌過程における移動も含む)などの翻訳後に関わ
る因子、遺伝子のコピー数の因子、宿主由来のプロテアーゼなど発現蛋白質の安定性に関わる因子など多くの因子により影響を受ける。これらのうちもっとも重要であり制御しやすい因子は、プロモーターの選択である。
る因子、遺伝子のコピー数の因子、宿主由来のプロテアーゼなど発現蛋白質の安定性に関わる因子など多くの因子により影響を受ける。これらのうちもっとも重要であり制御しやすい因子は、プロモーターの選択である。
この見地から、糸状菌における強力なプロモーターを利用した例は、たとえばアスペルギルス・ニガー由来のグルコアミラーゼ遺伝子のプロモーター[Biotechnology, 5, 368(1987)]、トリコデルマ・リーセイ由来のセロビオハイドロラーゼI遺伝子のプロモーター[Biotechnology, 7, 596(1989)]、アスペルギルス・オリゼ由来のα-アミラーゼ遺伝子のプロモーター[Biotechnology, 6,1419(1988)](特開昭62-272988)、アスペルギルス・ニドランス由来のアルコールデヒドロゲナーゼI遺伝子のプロモーター[Biotechnology, 5, 713(1987)]、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ニガーのグリセルアルデヒド−3−ホスフェイト デヒドロゲナーゼ(GAP-DH)のプロモーターを利用して異種蛋白質の製造(特開平3-187392)の場合などがある。
本発明はアスペルギルス・オリゼ由来の新規なプロモーターを得、この発現系を使用して異種蛋白質を製造する方法を提供することにある。
本発明者等は上記目的を達成するために鋭意研究し、アスペルギルス・オリゼから新規なプロモーター配列をクローニングすることに成功し、本発明を完成した。即ち、本発明によりアスペルギルス・オリゼ由来の新規なプロモーターが提供され、それを使用する点で新規なものである。
本発明においては、以下のようにして上記の目的を達することが出来た。例えば、グルコース存在下で強く発現する遺伝子の同定と単離は、以下のようにしてできる。
糸状菌をグルコースを唯一の炭素源とした培地で培養し、得られた菌体からポリA付加RNAを取得する。このポリA付加RNAを用いてcDNAを合成し、適当なベクターを用いてcDNAライブラリーを構築する。
このライブラリーの中から独立したクローンを無作為に多数、例えば500個選別(約8,000遺伝子で構成されている麹菌であれば約500個で推定できると考えられる。)し、プラスミドDNAを抽出して約800bpの塩基配列を解析する。
こうして得られた塩基配列は、各cDNAのコード領域を5’末端領域の塩基配列を含み、DNA塩基配列データベースに対して相同性解析を行うことにより、含まれる遺伝子を推定する。さらに、全ての塩基配列間で総当たりで相同性検索を行うことにより、それぞれのcDNAの頻度解析を行い、培地中のグルコース存在下で強く発現している遺伝子を同定することができる。
次に、この様にして同定したグルコース存在下で強く発現している遺伝子のプロモーターの単離は、通常よく用いられる方法、即ち上記で得られた各cDNAをプローブにして遺伝子ライブラリーからスクリーニングすること等により成し遂げられるし、或いはPCR(Polymerase chain reaction)を用いる方法によっても成し遂げられる。
PCRを用いる方法の一例として、以下の方法を用いることが出来る。糸状菌からゲノムDNAを抽出してEcoRV、ScaI、DraI、PvuIIあるいはSspI等の6bpを認識して平滑末端に切断するそれぞれの制限酵素で完全消化し、そのゲノムDNA断片の両端に適当なアダプターを連結する。
この両端にアダプターが連結されたゲノムDNA断片を鋳型として、cDNAの塩基配列から合成したプライマーおよびアダプターの一本鎖部分の配列を有するプライマーを用いてPCRを行う。増幅産物を電気泳動で確認して1〜2kbp程度の長さを有するDNA断片を電気泳動によって単離・精製し、適当なクローニングベクターに連結して大腸菌にクローニングする。
数個の独立したクローンからプラスミドを調製してクローニングしたDNA断片の両末端の塩基配列を解析し、cDNAと相同な塩基配列を有しcDNAの上流に位置するDNA断片をこのcDNA由来の遺伝子のプロモーターと判断する。
プロモーター領域を有するDNA断片のうち、翻訳開始コドンより上流1kbp程度以上を有するDNA断片を選別し、全塩基配列を決定し、グルコース存在下で強く発現している遺伝子のプロモーターの単離を行うことが出来る。上述した工程を図1に示す。
本発明のプロモーターは上述のようにして決定された塩基配列に対してストリンジェントな条件、例えば、0.1% SDS(60℃、0.3mol NaCl、0.03M クエン酸ソーダ)でハイブリダイズする塩基配列をも包含する。
本発明のプロモーターは、その下流に、所望の有用タンパク質遺伝子を連結してベクターを構築し、該ベクターで宿主を形質転換し、それを培養することにより、有用タンパク質を著量生産させることができる。
宿主としては、アスペルギルス・オリゼをはじめ、その他のアスペルギルス属、ノイロスポラ属、ペニシリウム属、トリコデルマ属などの微生物が使用できる。特に、発現効率の点から、宿主として、アスペルギルス・オリゼを用いることが好ましい。
得られたプロモーターへの有用タンパク質遺伝子の連結、ベクターへの挿入は、それ自体公知の方法で行うことができる。有用タンパク質遺伝子としては、特に限定するものではない。また、ベクターとしては、アルギニン要求性などの栄養要求性相補遺伝子、アセトアミド資化などの炭素、窒素源資化遺伝子、オリゴマイシン耐性などの薬剤耐性遺伝子などが挙げられる。
宿主の形質転換も自体公知の方法で行うことができる。また、該形質転換体の培養も常法に従って、所望のタンパク質に適した培地、培養条件を適宜選択することにより行うことができ、得られたタンパク質の採取、精製も公知の方法で行うことができる。
以下、実施例を参照しながら本発明を詳細に説明するが、実施例に使用したプラスミドなどは一例として挙げたものであり、本発明に使用できるものであればこれらに限定されるものではない。
グルコース存在下で高発現する遺伝子の同定
(1) 菌体の取得
アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)ATCC 42149を以下の培養条件で培養した。YPD培地(酵母エキス1%、ポリペプトン2%及びグルコース2%よりなる培地(pH6.0)に本菌株を接種し、30℃において22時間通気攪拌培養し、菌体をろ過して得た。得られた湿菌体4gを液体窒素中で凍結し、そのまま、液体窒素及び海砂を入れた乳鉢に移し、乳棒で微細な粉末とした。
(1) 菌体の取得
アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)ATCC 42149を以下の培養条件で培養した。YPD培地(酵母エキス1%、ポリペプトン2%及びグルコース2%よりなる培地(pH6.0)に本菌株を接種し、30℃において22時間通気攪拌培養し、菌体をろ過して得た。得られた湿菌体4gを液体窒素中で凍結し、そのまま、液体窒素及び海砂を入れた乳鉢に移し、乳棒で微細な粉末とした。
(2) cDNAライブラリーの作製シグイン(Chigwin)等の方法〔バイオケミストリー(Biochemistry)、18巻、5294頁(1979)〕に従って4.6mgの全RNAを得た。その後、オリゴ(dT)セルロース・カラム(ファルマシア社)に供し、1.4mgの全RNAから30μgのポリA付加RNA画分を得た。
このポリA付加RNAを用いて、NotI制限酵素切断部位を含むプライマー(5'-TTCTAGAATTCAGCGGCCGCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTVN-3':ここでVはA,C,Gの混合、NはA,C,G,Tの混合を表す)及びMMLVリバーストランスクリプターゼ(RNaseH-)(クロンテック)[逆転写酵素]を用いて一本鎖cDNAを合成し、さらにE.coli DNA polymerase I(クロンテック)、E.coli DNA ligase(クロンテック)およびE.coli RNase H(クロンテック)により、両端が平滑化された二本鎖のcDNAとした。
cDNA分離用カラム(クロンテック)を用いたゲル濾過により短鎖cDNAを除去した後、EcoRI制限酵素切断部位を含むアダプター(5'-AATTCGGCACGAGG-3'及び5'-CCTCGTGCCG-3')を連結した。
こうして得られたcDNA断片は、NotI制限酵素で完全消化した後、EcoRIおよびNotI制限酵素で消化したプラスミドベクターpUC19に連結した。このプラスミドを大腸菌に形質転換することにより、ほぼ完全長のcDNAを含む大腸菌cDNAライブラリーを構築した。
(3) 高発現する遺伝子の探索
このライブラリーの中から独立したクローンを無作為に500個選別し、プラスミドDNAを抽出して、M13ユニバーサルプライマー(5'-CACGACGTTGTAAAACGAC-3')、Taq DNAポリメラーゼ(パーキン・エルマー社)、DNAサーマル・サイクラー(パーキン・エルマー社)及びDNAシークエンサー(LI−COR社、モデル4000L)を用いたサイクル・シークエンス法により約800bpの塩基配列を解析した。
このライブラリーの中から独立したクローンを無作為に500個選別し、プラスミドDNAを抽出して、M13ユニバーサルプライマー(5'-CACGACGTTGTAAAACGAC-3')、Taq DNAポリメラーゼ(パーキン・エルマー社)、DNAサーマル・サイクラー(パーキン・エルマー社)及びDNAシークエンサー(LI−COR社、モデル4000L)を用いたサイクル・シークエンス法により約800bpの塩基配列を解析した。
こうして得られた塩基配列は、各cDNAの5’末端領域の塩基配列を含んでいる。GenBank DNA塩基配列データベースに対して、BLASTXを用いて相同性解析を行うことにより、含まれる遺伝子を推定した。
さらに、Sequencher(GeneCodes社)を用いて全ての塩基配列間で総当たりで相同性検索を行うことにより、それぞれのcDNAの頻度解析を行い、培地中のグルコース存在下で強く発現している遺伝子のリストを作製した。
表中においては、以下のように示す。
score :ランタ゛ムに選んだ500のcDNA配列解析での出現頻度
Source :GenBankデータベースに対するホモロジーサーチでヒットしたもの
Sc=Saccharomyces cerevisiae
Ao=Aspergillus oryzae
An=Aspergillus nidulans
Sp=Schizosaccharomyces pombe
score :ランタ゛ムに選んだ500のcDNA配列解析での出現頻度
Source :GenBankデータベースに対するホモロジーサーチでヒットしたもの
Sc=Saccharomyces cerevisiae
Ao=Aspergillus oryzae
An=Aspergillus nidulans
Sp=Schizosaccharomyces pombe
その結果、グルコース存在下で強く発現している遺伝子としてピルベート・デカルボキシラーゼ(Pyrvate decarboxylase)遺伝子、フルクトース-6-ビスホスェート・アルドラーゼ(Fructose-bisphosphate aldolase)遺伝子、ピルベート・デヒドロゲナーゼ(Pyrvate dehydrogenase)遺伝子、ピルベート・キナーゼ(Pyrvat
e kinase)遺伝子、グルコース-6−ホスフェート・イソメラーゼ(Glucose 6-phosphate isomerase)遺伝子、グリセルアルデヒド−3−ホスフェート・デヒドロゲナーゼ(Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)遺伝子を新たに発見した。
e kinase)遺伝子、グルコース-6−ホスフェート・イソメラーゼ(Glucose 6-phosphate isomerase)遺伝子、グリセルアルデヒド−3−ホスフェート・デヒドロゲナーゼ(Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)遺伝子を新たに発見した。
ピルベート・デカルボキシラーゼのcDNAに対応するのプロモーター領域の取得Aspergillus oryzae RIB-40株(ATCC 42149)からティンバレークとバーナード(Timberlake and Bernard)の方法に従って得たゲノムDNAを、6bpを認識して平滑末端に切断するDraIで完全消化し、(P)5'-ACCTGCCC-3'(NH2)および5'-CTAATACGACTCACTATAGGGCTCGAGCGGC
CGCCCGGGCAGGT-3'からなるアダプターを連結した。
CGCCCGGGCAGGT-3'からなるアダプターを連結した。
このゲノムDNA断片を鋳型とし、センスプラーマーとしてアダプターの一本鎖部分の配列を有するプライマーAD(5'-CTAATACGACTCACTATAGGGC-3')を、アンチセンスプライマーとしてピルベート・デカルボキシラーゼcDNAの塩基配列から合成したプライマー#1(5'-TCTGTCGCCATTGTAAGGACTCAG-3')を用いてPCRを行った。PCR反応は、Expand HF(ベーリンガー・マンハイム社)を用い、DNAサーマル・サイクラー(パーキン・エルマー社)により行った。反応溶液の組成は以下の通りである。
(終濃度)
H2O 20.25 μl
[10×]Reaction buffer 2.5 μl [1×]
dNTPs, Mix 10 mM 0.5 μl 200 μM
センスプライマー(フ゜ライマーAD) 0.25 μl 5 μM
アンチセンスプライマー(フ゜ライマー#1) 0.25 μl 5 μM
*template(DNA 0.2μg) 1 μl
Expand HF DNAポリメラーゼミックス 0.25 μl 1.25u/TEST
25 μl
*EcoRV分解したDNAを0.2μg/10μlになるようにTEでとかしたもの
H2O 20.25 μl
[10×]Reaction buffer 2.5 μl [1×]
dNTPs, Mix 10 mM 0.5 μl 200 μM
センスプライマー(フ゜ライマーAD) 0.25 μl 5 μM
アンチセンスプライマー(フ゜ライマー#1) 0.25 μl 5 μM
*template(DNA 0.2μg) 1 μl
Expand HF DNAポリメラーゼミックス 0.25 μl 1.25u/TEST
25 μl
*EcoRV分解したDNAを0.2μg/10μlになるようにTEでとかしたもの
上記の反応液25μlを0.2ml反応チューブ中で混合してDNA Thermal Cyclerにセットし、以下のような温度設定によりステップダウンPCRを行った。
95℃、1分 1サイクル
95℃、30秒 74℃、15秒 70℃、3分 3サイクル
95℃、30秒 70℃、15秒 70℃、3分 3サイクル
95℃、30秒 66℃、15秒 70℃、3分 3サイクル
95℃、30秒 62℃、15秒 70℃、3分 3サイクル
95℃、30秒 58℃、15秒 70℃、3分 3サイクル
95℃、30秒 54℃、15秒 70℃、3分 20サイクル
95℃、30秒 74℃、15秒 70℃、3分 3サイクル
95℃、30秒 70℃、15秒 70℃、3分 3サイクル
95℃、30秒 66℃、15秒 70℃、3分 3サイクル
95℃、30秒 62℃、15秒 70℃、3分 3サイクル
95℃、30秒 58℃、15秒 70℃、3分 3サイクル
95℃、30秒 54℃、15秒 70℃、3分 20サイクル
増幅産物を1.5%アガロース・ゲル電気泳動で確認して1.6kbpのDNA断片を得た。このDNA断片をアガロース・ゲル中より単離・精製し、TAクローニングベクターpCRII(インビトロジェン社)に連結して大腸菌にクローニングした。
そのクローンからプラスミドを調製してクローニングしたDNA断片の両末端の塩基配列を解析し、本DNA断片がピルベート・デカルボキシラーゼcDNAと相同な塩基配列及びその上流に翻訳開始コドンより上流1588bpのDNA領域を含むことを確認した。
この様にして、1588bpのピルベート・デカルボキシラーゼ遺伝子のプロモーターを取得した。その全塩基配列を決定し、配列番号:1に示す。
フルクトース-6-ビスホフェート・アルドラーゼのcDNAに対応するのプロモーター領域の取得実施例2と同様にして、フルクトース-6-ビスホフェート・アルドラーゼ遺伝子のプロモーターを取得した。この場合、アスペルギルスオリゼのゲノムDNAを完全消化する際に、6bpを認識して平滑末端に切断する制限酵素としてScaIを用いた。
また、アンチセンスプライマーとして、フルクトース-6-ビスホフェート・アルドラーゼcDNAの塩基配列から合成したプライマー#2(5'-ATGACACCAGTCTTGCGGGAAAGC-3')を用いた。こうして得られた1092bpのフルクトース-6-ビスホフェート・アルドラーゼ遺伝子のプロモーターの全塩基配列を配列番号:2に示す。
ピルベート・デヒドロゲナーゼのcDNAに対応するのプロモーター領域の取得実施例2と同様にして、ピルベート・デヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーターを取得した。この場合、アスペルギルスオリゼのゲノムDNAを完全消化する際に、6bpを認識して平滑末端に切断する制限酵素としてPvuIIを用いた。
また、アンチセンスプライマーとして、ピルベート・デヒドロゲナーゼcDNAの塩基配列から合成したプライマー#3(5'-CACCACCTTCCGTAGCATAGCCCC-3')を用いた。こうして得られた2572bpのピルベート・デヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーターの全塩基配列を配列番号:3に示す。
ピルベート・キナーゼのcDNAに対応するのプロモーター領域の取得実施例2と同様にして、ピルベート・キナーゼ遺伝子のプロモーターを取得した。この場合、アスペルギルスオリゼのゲノムDNAを完全消化する際に、6bpを認識して平滑末端に切断する制限酵素としてScaIを用いた。
また、アンチセンスプライマーとして、ピルベート・キナーゼcDNAの塩基配列から合成したプライマー#4(5'-CCCCGACCGATGAACGAGGCAAAG-3')を用いた。こうして得られた845bpのピルベート・キナーゼ遺伝子のプロモーターの全塩基配列を配列番号:4に示
す。
す。
グルコース-6−ホスフェート・イソメラーゼのcDNAに対応するのプロモーター領域の取得実施例2と同様にして、グルコース-6−ホスフェート・イソメラーゼ遺伝子のプロモーターを取得した。この場合、アスペルギルスオリゼのゲノムDNAを完全消化する際に、6bpを認識して平滑末端に切断する制限酵素としてDraIを用いた。
また、アンチセンスプライマーとして、グルコース-6−ホスフェート・イソメラーゼcDNAの塩基配列から合成したプライマー#5(5'-GAGGAGAGCAGAGTGGTAAACAGC-3')を用いた。こうして得られた1717bpのグルコース-6−ホスフェート・イソメラーゼ遺伝子のプロモーターの全塩基配列を配列番号:5に示す。
グリセロアルデヒド-3−ホスフェート・デヒドロゲナーゼのcDNAに対応するのプロモーター領域の取得実施例2と同様にして、グリセロアルデヒド-3−ホスフェート・デヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーターを取得した。この場合、アスペルギルスオリゼのゲノムDNAを完全消化する際に、6bpを認識して平滑末端に切断する制限酵素としてSspIを用いた。
また、アンチセンスプライマーとして、グリセロアルデヒド-3−ホスフェート・デヒドロゲナーゼcDNAの塩基配列から合成したプライマー#6(5'-ATCTTCTTGCCGTTGACGATGAGG-3')を用いた。こうして得られた1042bpのグリセロアルデヒド-3−ホスフェート・デヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーターの全塩基配列を配列番号:6に示す。
ピルベート・デカルボキシラーゼ遺伝子プロモーターによる大腸菌由来β-グルクロニダーゼのアスペルギルス・オリゼでの発現
(1) 大腸菌由来β-グルクロニダーゼ遺伝子発現カセットの構築
実施例2で取得した1.6 kbのDNA断片を鋳型にして、PCRによりピルベート・デカルボキシラーゼ遺伝子プロモーターを含む1.0 kbのDNA断片を得た。PCR反応に用いたプライマーは、
センスプライマー:5'-GTCGACATGCCAGCTTTGCCATTTTGAT-3'
アンチセンスプライーマー:5'-GTCGACTGTAAGGACTCAGTAAGAGG-3'
であった。
(1) 大腸菌由来β-グルクロニダーゼ遺伝子発現カセットの構築
実施例2で取得した1.6 kbのDNA断片を鋳型にして、PCRによりピルベート・デカルボキシラーゼ遺伝子プロモーターを含む1.0 kbのDNA断片を得た。PCR反応に用いたプライマーは、
センスプライマー:5'-GTCGACATGCCAGCTTTGCCATTTTGAT-3'
アンチセンスプライーマー:5'-GTCGACTGTAAGGACTCAGTAAGAGG-3'
であった。
この断片を制限酵素Sal 消化後、大腸菌由来β-グルクロニダーゼ遺伝子を有するプラスミドpBRJ275(4.5 kb、クロンテック社)のSalI部位に挿入し、転写方向が順方向に挿入されたプラスミドpBRJPP(5.5 kb)を得た。
次に、アスペルギルス・オリゼのエノラーゼ遺伝子を含む2.9-kb BglII断片(Biosci. Biotech. Biochem., 60巻161-163頁,1996)からエノラーゼ遺伝子のターミネーター領域0.6-kb EcoRV-HindIII断片をpBluescript(ストラタジーン社)のEcoRV-HindIII部位にサブクローニングし、プラスミドpBET(3.6 kb)を得た。
プラスミドpBRJPPからピルベート・デカルボキシラーゼ遺伝子プロモーターとそれに続く大腸菌由来β-グルクロニダーゼ遺伝子を含む2.8-kb PstI-EcoRI断片を取得し、これをプラスミドpBETのPstI-EcoRI部位に挿入して、大腸菌由来β-グルクロニダーゼ遺伝子発現カセットを含むプラスミドpBPPETG(6.4 kb)を得た。
(2) 大腸菌由来β-グルクロニダーゼ遺伝
子発現カセットをアスペルギルス・オリゼへ導入するためのプラスミドの構築
プラスミドpBPPETGから制限酵素PstI及びHindIII消化により、3.4-kbの大腸菌由来β-グルクロニダーゼ遺伝子発現カセットを取得して、アスペルギルス・オリゼの形質転換マーカーとしてniaD遺伝子を有するプラスミドpN3(特開昭62-45777)のPstI-HindIII部位に挿入し、本発現カセットをアスペルギルス・オリゼへ導入するためのプラスミドpNPPETG(11.6 kb)を構築した。
子発現カセットをアスペルギルス・オリゼへ導入するためのプラスミドの構築
プラスミドpBPPETGから制限酵素PstI及びHindIII消化により、3.4-kbの大腸菌由来β-グルクロニダーゼ遺伝子発現カセットを取得して、アスペルギルス・オリゼの形質転換マーカーとしてniaD遺伝子を有するプラスミドpN3(特開昭62-45777)のPstI-HindIII部位に挿入し、本発現カセットをアスペルギルス・オリゼへ導入するためのプラスミドpNPPETG(11.6 kb)を構築した。
(3) 大腸菌由来β-グルクロニダーゼ遺伝
子のアスペルギルス・オリゼでの発現プラスミドpBPPETGをUnkels らの方法(Mol. Gen. Genet., 218巻 99-104頁,1989)に従ってアスペルギルス・オリゼniaD欠損株AO1.1に導入した。得られた形質転換体を3%グルコース及び50μg/ml 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドール-β-D-グルクロニドを含むCzapek-Doxプレート上で30℃で10日間培養したところ、コロニーが青色を呈した。対照として得た形質転換マーカーのみを有するプラスミドpN3由来の形質転換体は青色を呈しなかった。このことは大腸菌由来β-グルクロニダーゼ遺伝子がアスペルギルス・オリゼで発現し、発現したβ-グルクロニダーゼ酵素が基質5-ブロモ-4-クロロ-3-インドール-β-D-グルクロニドに作用したことを示す。
子のアスペルギルス・オリゼでの発現プラスミドpBPPETGをUnkels らの方法(Mol. Gen. Genet., 218巻 99-104頁,1989)に従ってアスペルギルス・オリゼniaD欠損株AO1.1に導入した。得られた形質転換体を3%グルコース及び50μg/ml 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドール-β-D-グルクロニドを含むCzapek-Doxプレート上で30℃で10日間培養したところ、コロニーが青色を呈した。対照として得た形質転換マーカーのみを有するプラスミドpN3由来の形質転換体は青色を呈しなかった。このことは大腸菌由来β-グルクロニダーゼ遺伝子がアスペルギルス・オリゼで発現し、発現したβ-グルクロニダーゼ酵素が基質5-ブロモ-4-クロロ-3-インドール-β-D-グルクロニドに作用したことを示す。
青色を示した形質転換体の1つを栄養培地で生育させ集めた菌体を洗浄後、3%グルコースを含むCzapek-Dox培地で8時間培養し、得られた菌体の無細胞抽出液中のβ-グルクロニダーゼ活性をJeffersonらの方法(Proc. Natl. Acad. Sci.U.S.A., 83巻、8447-8451, 1986年)で測定したところ、比活性は80 nmol p-ニトロフェノール/min/mg-蛋白質であった。これに対し、pN3由来形質転換体は、>1 nmol p-ニトロフェノール/min/mg-蛋白質であった。
本発明により、アスペルギルス・オリゼ由来の新規なプロモーターが提供され、当該プロモーター配列を含むベクターにより形質転換されたアスペルギルス属糸状菌における外来蛋白質の生産が可能である。
Claims (4)
- 配列番号:3に示した塩基配列で示されるDNA。
- 請求項1記載のDNAとストリンジェントな条件下(0.1%SDS、0.3mol NaCl、0.03Mクエン酸ソーダ、60℃)でハイブリダイズするDNA。
- アスペルギルス属由来である請求項1又は
請求項2記載のプロモーター。 - アスペルギルス・オリゼ由来である請求項1又は請求項2記載のプロモーター。
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