JP2007074932A - 畜舎 - Google Patents
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Abstract
【課題】農村地域のみならず住宅街近郊においても自然に近い環境で動物を健康に飼育できる畜舎を提供する。
【解決手段】複数の支柱1と、動物を飼育するための飼育床と、この飼育床に敷いて動物を飼育するための飼育用床敷材料と、を備え、支柱1間には壁が設けられておらず、支柱1間は、空気が移動可能に開放されて、2階建てとしている。前記飼育用床敷材料は、少なくとも動物の糞、土、木くず、藁材及び納豆菌を混合し、該混合物を熟成させた後、該熟成物に食品生産時に生ずる食品製造廃棄物を添加して混合し、ついで該混合物に混合加熱処理を施してこれを十分に発酵させて製造したものである。これを飼育場所に敷いて動物を飼育すると、環境の汚染源となる糞尿の有機物を分解し、糞尿から発する臭気を無くすることができるため、住宅街近郊においても飼育可能な畜舎10となる。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の支柱1と、動物を飼育するための飼育床と、この飼育床に敷いて動物を飼育するための飼育用床敷材料と、を備え、支柱1間には壁が設けられておらず、支柱1間は、空気が移動可能に開放されて、2階建てとしている。前記飼育用床敷材料は、少なくとも動物の糞、土、木くず、藁材及び納豆菌を混合し、該混合物を熟成させた後、該熟成物に食品生産時に生ずる食品製造廃棄物を添加して混合し、ついで該混合物に混合加熱処理を施してこれを十分に発酵させて製造したものである。これを飼育場所に敷いて動物を飼育すると、環境の汚染源となる糞尿の有機物を分解し、糞尿から発する臭気を無くすることができるため、住宅街近郊においても飼育可能な畜舎10となる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、豚、牛、馬又は鶏等の動物を飼育するための環境に配慮した畜舎に関する。
豚、牛、馬または鶏等の動物を飼育する畜舎においては、糞尿由来の未分解性有機物等に起因して多大な悪臭が発せられている。この悪臭は、畜舎外部に漏らすことなく処理される必要があり、例えば、糞を好適に堆肥化したり、尿を活性汚泥法により処理したりしなければならないが、このような処理には多大な設備や費用を費やしていた。また、飼育状況によっては畜舎内の換気が必要な場合があるが、換気中は畜舎外に悪臭が漏れ、住宅街など人が住む地域近郊では動物の飼育が困難であった。
このような地域近郊において飼育が可能である飼育技術が知られており、例えば特許文献1には、畜舎並びに各装置を立体的に配置し、畜舎内部の環境を自在に調節できるように構成した高層畜舎が記載されている。
一方、本発明者は、悪臭等を軽減するために鋭意研究を重ねた結果、簡易で低廉な糞尿処理方法を開発し、特許文献2において、悪臭が発生することのない動物飼育用床敷材料に関する技術を開示している。すなわち特許文献2には、動物の糞、土、木くず、藁材に納豆菌を混合して熟成後、食品製造廃棄物を添加して混合し、さらにこれを発酵させて動物糞の臭いの無い動物飼育用床敷材料を得る技術が記載されている。
特許文献1に記載の高層畜舎は、内部で発生した悪臭を外部に逃がさないことが絶対条件であり、密閉状態を保ち処理される必要がある。このため、壁に囲まれた密閉状態で過密に飼育される状況となっており、飼育される動物は自然に近い状態では飼育されないため病弱になりやすいと思われ、また病気が蔓延する恐れもある。また、このような病気をなくし、健康に動物を飼育するためには、ワクチンプログラムに基づいてワクチンや抗生物質を投与して飼育することが一般的であり、例えば、豚一頭が生育するまでに数千円費やすなど、生産農家にとって作業的にも経済的にも負担が大きいという問題がある。
さらに、密閉状態としているため、様々な環境調整用設備、すなわち、空調調節装置、温度調節装置、糞尿処理装置等を設ける必要があり、これらにも多大な費用がかかるという問題もある。
さらに、密閉状態としているため、様々な環境調整用設備、すなわち、空調調節装置、温度調節装置、糞尿処理装置等を設ける必要があり、これらにも多大な費用がかかるという問題もある。
本発明が解決しようとする課題は、農村地域のみならず住宅街近郊においても自然に近い環境で動物を健康に飼育できる畜舎を提供することにある。
本発明の畜舎は、複数の支柱と、動物を飼育するための飼育床と、動物の糞の有する臭気及び発酵処理によって生ずる臭気が無く飼育床に敷いて動物を飼育するための飼育用床敷材料と、を備え、支柱間には壁が設けられておらず、支柱間は、空気が移動可能に開放されていることを特徴とする。
本発明者は、悪臭を発生させず、且つ健康に動物を飼育する技術について更なる研究を行い、本発明に至った。すなわち、支柱間には壁が設けられておらず支柱間は開放された状態としたことにより、畜舎内外の空気が支柱間を行き来することとなる。このため、畜舎内の空気は常に新鮮な状態とすることができたり、また、風が動物に適度に当たったりするため、動物を自然に近い環境で且つ健康な状態で飼育することができる。さらに、動物が健康な状態であるため、病気への抵抗性も高まり、病気が蔓延しにくい飼育環境となる。本発明に係わる動物とは、主に、豚、牛、馬及び鶏を指すが、これら以外の動物を飼育する場合においても適用可能と思われる。
また、動物の糞の有する臭気及び発酵処理によって生ずる臭気が無い飼育用床敷材料を備えたことにより、悪臭の発生を抑え、壁を除いて支柱間を開放させても畜舎の外部に対して悪臭を放つことが無いため、農村地域のみならず住宅街近郊においても動物を飼育することが可能となる。さらに、壁を設けず、空調調節装置、温度調節装置も必要が無いため、建設費用やランニングコストを抑えることもできる。
なお、「臭気が無い」とは、空気中のアンモニア濃度が20ppm以下の状態であり、人間が不快と思う程度の臭いを発していない状況を意味する。
なお、「臭気が無い」とは、空気中のアンモニア濃度が20ppm以下の状態であり、人間が不快と思う程度の臭いを発していない状況を意味する。
ここで、飼育用床敷材料は、少なくとも動物の糞、土、木くず、藁材及び納豆菌を混合し、該混合物を熟成させた後、該熟成物に食品生産時に生ずる食品製造廃棄物を添加して混合し、ついでこの混合物に発酵装置で混合加熱処理を施してこれを十分に発酵させ、動物の糞の有する臭気及び発酵処理によって生ずる臭気が無いものである。このように製造すれば、動物の飼育場所に敷いて動物を飼育すると、環境の汚染源となる糞尿の有機物を分解し、糞尿から発する臭気を無くすることができるとともに、汚水汚物処理の手間を省くことができる。
一方、前記飼育用床敷材料は、以下のものとすることもできる。すなわち前記飼育用床敷材料は、腐葉土17〜23重量部、動物の糞17〜23重量部、黒土17〜23重量部、木くず8〜12重量部、糠8〜12重量部、藁材20〜30重量部及び所定量の納豆菌と混合し、ただし前記所定量の納豆菌は前記全混合物1kg当たり、菌数として100,000〜1,000,000,000個とし、ついで該混合物を20〜30日間放置して熟成させ、その後食品生産時に生ずる食品製造廃棄物40〜60重量部を添加し、そして該混合物に混合加熱処理を施してこれを十分に発酵させ、動物の糞の有する臭気及び発酵処理によって生ずる臭気の無いものである。このように製造すれば、動物の飼育場所に敷くと、環境の汚染源となる糞尿の有機物を分解し、糞尿から発する臭気を無くすることができる。
さらに前記飼育用床敷材料は、病原性微生物の増殖を抑制するための放線菌を担持させたことを特徴とする。納豆菌に加えて放線菌を担持させたことにより、病原性微生物の増殖抑制剤として用いることができ、糞尿由来および外部より侵入した病原性微生物の増殖を抑制することができる。従って、動物を衛生的に飼育することができるとともに、動物の糞尿による環境汚染を無くすことができる。また、病原性微生物の増殖を抑制しほとんど死滅している畜舎においては、ワクチン投与を減少、または無投薬としながらも動物を健康に飼育することができる。
さらに、納豆菌と放線菌とにより糞尿中の有機物が分解,処理されるため、悪臭を軽減することもできる。ここで、「増殖を抑制する」とは、病原性微生物に対し拮抗作用や抗菌作用、すなわちこれらの菌数を減少または死滅させることを言い、「増殖抑制剤」とは、病原性微生物の菌数を減少または死滅させるものを言う。
また、複数階建ての畜舎とすることもできる。複数階建てとしながらも、悪臭の発生を抑えた上で壁が無い状態とすることができるため、自然に近い環境で動物を健康に飼育することができるとともに、動物の飼育効率を向上させることができる。
本発明の最大の特徴は、動物の糞の有する臭気及び発酵処理によって生ずる臭気が無い飼育用床敷材料を備え、支柱間には壁が設けられておらず、支柱間は、空気が移動可能に開放されていることにある。このような構成とすることにより、畜舎内外の空気が支柱間を行き来することとなり、動物に自然の空気を常に供給することができるため、自然に近い環境で動物を健康に飼育することができる。また、畜舎の外部に対して悪臭を放つことが無いため、農村地域のみならず住宅街近郊においても動物を飼育することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施形態である畜舎を示す斜視図である。
図1に示すように、本発明の実施形態の畜舎10は、この畜舎10を支えるための複数の支柱1と、屋根2と、図示しない飼育用の飼育床とを備えており、2階建てである。すなわち、飼育床は、1階部分と2階部分とにあり、動物は、1階部分および2階部分において飼育される。各フロア(1階部分と2階部分)においては、飼育スペースを分画するための複数の仕切部材4が設けられている。畜舎10の正面中央付近には、出入り口5が設けられている。また、畜舎10の内部には、2階部分へ移動するための階段(図示せず)および動物を移動させるエレベータ(図示せず)が設けられている。
図1に示すように、本発明の実施形態の畜舎10は、この畜舎10を支えるための複数の支柱1と、屋根2と、図示しない飼育用の飼育床とを備えており、2階建てである。すなわち、飼育床は、1階部分と2階部分とにあり、動物は、1階部分および2階部分において飼育される。各フロア(1階部分と2階部分)においては、飼育スペースを分画するための複数の仕切部材4が設けられている。畜舎10の正面中央付近には、出入り口5が設けられている。また、畜舎10の内部には、2階部分へ移動するための階段(図示せず)および動物を移動させるエレベータ(図示せず)が設けられている。
飼育床には、飼育用床敷材料(図示せず)が敷かれており、後述する製造方法により作られて、動物の糞の有する臭気及び発酵処理によって生ずる臭気が無い状態となっている。畜舎10の側面全面、すなわち各支柱1間には壁が設けられておらず、支柱1間には、畜舎10内外の空気が移動可能に開放された開放部Sが、畜舎10の側面全面に渡り形成されている。これにより、畜舎10内外の空気が各支柱1間を縦横無尽に移動して行き来することとなり、畜舎10内の空気は常に新鮮な状態とすることができたり、また、風が動物に適度に当たったりするため、動物を自然に近い環境で且つ健康な状態で飼育することができる。
また、各支柱1間には、動物が逃亡することを防止するための柵3が設けられている。本実施形態においては、柵3は密の状態になって隙間ない状態で形成されているが、風を通すような隙間を設けて開放させても良い。
仕切部材4は、動物の飼育状況に応じてその設置位置や設置数を変更しても良い。
仕切部材4は、動物の飼育状況に応じてその設置位置や設置数を変更しても良い。
次に、畜舎10で使用される飼育用床敷材料について説明する。飼育用床敷材料は、少なくとも動物の糞、土、木くず、藁材及び納豆菌を混合し、該混合物を60〜80%の相対湿度の雰囲気で熟成させた後、該熟成物に食品生産時に生ずる食品製造廃棄物を添加して混合し、ついで該混合物に発酵装置で60〜65℃の温度において混合加熱処理を施してこれを十分に発酵させ、動物の糞の有する臭気及び発酵処理によって生ずる臭気が無いものである。
より詳しくは、飼育用床敷材料は、腐葉土17〜23重量部、動物の糞17〜23重量部、黒土17〜23重量部、木くず8〜12重量部、糠8〜12重量部、藁材20〜30重量部及び所定量の納豆菌を混合し、ただし前記所定量の納豆菌は前記全混合物1kg当たり、菌数として100,000〜1,000,000,000個とし、ついで該混合物を60〜80%の相対湿度の雰囲気に20〜30日間放置して熟成させ、その後食品生産時に生ずる食品製造廃棄物40〜60重量部を添加し、そして該混合物に発酵装置で60〜65℃の温度において混合加熱処理を施してこれを十分に発酵させ、動物の糞の有する臭気及び発酵処理によって生ずる臭気の無いものである。
ここで、藁材としては、稲藁、麦藁の他、茅等、他の禾本科植物等に由来するあらゆる藁状の植物体材料を意味しており、好ましくは稲藁又は麦藁が藁材として使用され、これらの藁材は一般に、例えば5〜30cm程度の長さに切断して用いられる。
藁材は、ケイ酸質で組織成分が強固でかつ中空状の繊維物であり、筒部の表面と内面に納豆菌や土壌菌を固着できることから、飼育用床敷材料で採用される最適の資材の1つである。
藁材は、ケイ酸質で組織成分が強固でかつ中空状の繊維物であり、筒部の表面と内面に納豆菌や土壌菌を固着できることから、飼育用床敷材料で採用される最適の資材の1つである。
また、納豆菌は好気性菌であって藁との相性も良く、糸引き納豆に生育しているバチルス属の働きによる、脂肪、蛋白質、糖質、尿素、アンモニア、硫化水素、動植物油分等の分解が促進される。さらに、最終的には、藁成分の繊維が分解されて炭酸ガスになり、それが飼育用床敷材料中の空気と同時に外気へ放散させることから、飼育用床敷材料中の好気的条件を保持することに一役買い、土壌菌類や納豆菌の働きも活発になる。
ここで、飼育用床敷材料製造時における藁材の使用量は、飼育用床敷材料単位重量当たり約20%以上必要であるが、他の資材とのバランス上、約30%以下が望ましい。しかし、藁材は保温性に優れていることから、低温時には追加することもある。
ここで、飼育用床敷材料製造時における藁材の使用量は、飼育用床敷材料単位重量当たり約20%以上必要であるが、他の資材とのバランス上、約30%以下が望ましい。しかし、藁材は保温性に優れていることから、低温時には追加することもある。
腐葉土としては、例えば、一般に市販されている腐葉土又は自家製の腐葉土が使用される。
動物の糞としては、一般にどのような動物の糞でも使用できるが、草食動物の糞が好ましく、新鮮な牛糞が特に好ましく用いられる。動物の糞には多量の嫌気性細菌、原生動物のほか、菌類も1,000程度存在しており、特に牛の腸内の糞1ml当たり、100億〜1,000億の嫌気性細菌、10万〜100万の繊毛虫(原生動物)のほか、菌類も1000個程度存在し、牛が摂取した飼料を分解している。そして、牛の糞は有機物が非常に分解されやすい状態になっており、糞中の分解されやすい有機物が菌類によって急激に分解される。以上の特性を有する糞は、有機物を分解するため他の素材と混合して使用することは効率的性能を持続するために必要である。
土としては、一般にどのような土でも使用できるが、黒土のような壌土が好ましく用いられる。
動物の糞としては、一般にどのような動物の糞でも使用できるが、草食動物の糞が好ましく、新鮮な牛糞が特に好ましく用いられる。動物の糞には多量の嫌気性細菌、原生動物のほか、菌類も1,000程度存在しており、特に牛の腸内の糞1ml当たり、100億〜1,000億の嫌気性細菌、10万〜100万の繊毛虫(原生動物)のほか、菌類も1000個程度存在し、牛が摂取した飼料を分解している。そして、牛の糞は有機物が非常に分解されやすい状態になっており、糞中の分解されやすい有機物が菌類によって急激に分解される。以上の特性を有する糞は、有機物を分解するため他の素材と混合して使用することは効率的性能を持続するために必要である。
土としては、一般にどのような土でも使用できるが、黒土のような壌土が好ましく用いられる。
木くずとしては、木材の細かい屑(チップ)ならば一般にどのような木くずでも使用できるが、杉材おが屑が好ましく用いられる。木くずやチップを畜舎内に敷設して、尿や水分を吸収させ糞と混合し、有機堆肥を造る技術は公知技術として確立しており、本発明における畜舎10においても、水分調整材として、飼育用床敷材料の約10%以上を使用することが好ましい。汚水の多い場合や雨水の流入のあった場合においては多くの量を使用する。
糠としては、穀類を精白する際に生じる種皮、外胚乳等、特に米の精米時に生ずる米糠が好適に用いられる。糠は、単位重量当たり約8〜12%程度使用するのが望ましい。糠は玄米を精米する際、搗かれて取れる種皮や胚芽の粉末、脂肪、タンパク質、ビタミンに富む。また糠には、マイクロバクテリア属の微生物も多く生殖しており、マイクロバクテリア属の乳酸菌は好気性グラム陽性菌で胞子は形成しない。マイクロバクテリア属の乳酸菌は有害微生物の生育を阻止したり、整腸作用もあり腸内細菌のバランスを良好に保ったりすることに優れ、糞尿の臭いを押さえる働きもしている。また、糠の乳酸菌の中には嫌気状態を好む嫌気性菌も生育する。嫌気性乳酸菌はアンモニアを窒素ガスまでに分解する脱窒素能をもつことから、飼育用床敷材料内に乳酸菌を生育させることは重要である。
以上のことから飼育用床敷材料に糠を使用することは重要である。
以上のことから飼育用床敷材料に糠を使用することは重要である。
食品製造時に生ずる食品製造廃棄物としては、例えば、焼酎、漬物等の発酵過程を経て製造される発酵食品生産時に生ずる野菜くず、廃液、あるいは製糖時において生ずる廃糖蜜等が用いられる。これらの材料は、前述の通り、藁材20〜30重量部に対して、腐葉土17〜23重量部、動物の糞17〜23重量部、土17〜23重量部、木くず8〜12重量部、糠8〜12重量部を配合して混合し、そしてこのようにして生じた混合物を熟成させたものに対して食品生産時に生ずる前記廃棄物が40〜60重量部が添加混合されるが、本発明においては、これらの配合割合は、これらの材料に元々含まれていた微生物及び外部から添加される納豆菌が前記の熟成及び混合加熱処理中に順調に増殖して上記混合物中の有機物が満足に発酵するように定めた。
腐葉土、動物の糞、土、木くず及び糠は、敢えて乾燥させることもなく、また格別水分が加えられていることもない通常のそのままの状態にあるものが使用され、前記の配合割合もこのような状態にあるものについての配合割合を意味している。
腐葉土、動物の糞、土、木くず及び糠は、敢えて乾燥させることもなく、また格別水分が加えられていることもない通常のそのままの状態にあるものが使用され、前記の配合割合もこのような状態にあるものについての配合割合を意味している。
納豆菌の添加は微量でよいが、発酵飼育用床敷材料1kg、すなわち腐葉土17〜23重量部、動物の糞17〜23重量部、土17〜23重量部、木くず8〜12重量部、及び糠8〜12重量部からなる混合材(84〜93重量部)の1kgに対して150,000〜300,000個が好ましい。例えば、純粋培養した納豆菌胞子分散液の希釈液で、その1ml中に10,000〜100,000,000個の菌数の納豆菌を含むものを使用する。この納豆菌希釈液を、飼育用床敷材料1kg当たり、菌数として100,000〜1,000,000,000個を添加することが好ましい。
本発明において使用される土としては、一般にどのような種類の土でも使用できるが、土壌菌に富む壌土が好ましく、特に所謂黒土(黒ポカ)が好ましく使用される。
本発明において使用される土としては、一般にどのような種類の土でも使用できるが、土壌菌に富む壌土が好ましく、特に所謂黒土(黒ポカ)が好ましく使用される。
次に、畜舎10で使用される飼育用床敷材料について図2のフローチャートを用いて説明する。図2は、飼育用床敷材料の製造方法を示す図である。
(1)先ず、用意された藁材を例えば5〜30cm程度に裁断する。
(2)ついで、前記配合割合の腐葉土、動物の糞、木くず、土、糠及び納豆菌を前記配合割合で混合した配合物に前記藁材を前記配合割合で添加して、全体が均質になるまで十分に攪拌混合する。
(1)先ず、用意された藁材を例えば5〜30cm程度に裁断する。
(2)ついで、前記配合割合の腐葉土、動物の糞、木くず、土、糠及び納豆菌を前記配合割合で混合した配合物に前記藁材を前記配合割合で添加して、全体が均質になるまで十分に攪拌混合する。
(3)次に、このようにして生じた混合物は温度15〜60℃及び相対湿度60〜80%の雰囲気に20〜30日間熟成される。
混合物をこのような雰囲気に曝すには、例えば、地面の上において、混合物をビニルシートで覆うことによって達成される。ここの熟成とは各種の菌が十分に作用して熟成温度が約60℃になるということを意味していて、各種の菌が有機物を十分に分解するために行われる。
(4)熟成が終わった熟成物には、焼酎廃液、漬物廃液又は廃糖蜜のような食品生産時に生ずる食品製造廃棄物が前記割合で添加されて、この混合物は発酵装置に投入されるが、熟成物を発酵装置に投入してから、これに廃棄物を添加してもよい。
混合物をこのような雰囲気に曝すには、例えば、地面の上において、混合物をビニルシートで覆うことによって達成される。ここの熟成とは各種の菌が十分に作用して熟成温度が約60℃になるということを意味していて、各種の菌が有機物を十分に分解するために行われる。
(4)熟成が終わった熟成物には、焼酎廃液、漬物廃液又は廃糖蜜のような食品生産時に生ずる食品製造廃棄物が前記割合で添加されて、この混合物は発酵装置に投入されるが、熟成物を発酵装置に投入してから、これに廃棄物を添加してもよい。
(5)発酵装置に投入された混合物は、攪拌混合されながら、例えば60〜65℃の温度で3〜3.5時間加熱処理されることによって、混合物中の有機物の発酵が完了する。この処理中に発生する発酵ガスの悪臭を除去するため、発酵ガスはダクトに引かれてオゾン処理または生物脱臭処理を受けた後、大気中に放出されることが好ましい。
(6)最後に、混合加熱処理が済んだ発酵生成物を発酵装置から取り出して放冷することによって本発明の畜舎において敷かれる飼育用床敷材料が得られる。
(6)最後に、混合加熱処理が済んだ発酵生成物を発酵装置から取り出して放冷することによって本発明の畜舎において敷かれる飼育用床敷材料が得られる。
次に、本発明の実施例について詳細に説明する。
(実施例1)
まず、用意された稲藁を5〜30cm程度に裁断する。ついで、腐葉土20kg、牛糞20kg、おが屑10kg、黒土20kg、米糠10kg及び熟成の状態にした納豆菌及び土壌菌を菌数として約20億個、を互いに混合した配合物に前記稲藁を20kg添加して、混合物全体が均質になるまで十分に攪拌混合した。
次に、このようにして生じた混合物を地面の上でビニルシートで覆うことにより常温〜40℃の温度及び60〜80%の相対湿度の雰囲気に30日間曝し、それによってこの混合物を熟成させた。
(実施例1)
まず、用意された稲藁を5〜30cm程度に裁断する。ついで、腐葉土20kg、牛糞20kg、おが屑10kg、黒土20kg、米糠10kg及び熟成の状態にした納豆菌及び土壌菌を菌数として約20億個、を互いに混合した配合物に前記稲藁を20kg添加して、混合物全体が均質になるまで十分に攪拌混合した。
次に、このようにして生じた混合物を地面の上でビニルシートで覆うことにより常温〜40℃の温度及び60〜80%の相対湿度の雰囲気に30日間曝し、それによってこの混合物を熟成させた。
熟成が終わった熟成物全体に対して焼酎廃液を50kg添加して、この混合物を天神製作所(有限会社)製のSN型発酵装置に投入し、この混合物を攪拌混合しながら、60℃の温度で3時間加熱処理することによって、混合物中の有機物を十分に発酵させた。この処理中に発生する発酵ガスをダクトに引いてオゾン処理または生物脱臭処理を受けさせた後、大気中に放出した。
混合加熱処理が終わって発酵装置から取り出された発酵生成物を放冷して本発明の床敷材料を得た。このようにして製造された床敷材料は、これの原料として使用された牛糞や焼酎廃液等の有する臭気も、また、発酵処理によって生ずるような臭気も無い、取り扱いし易いものであった。
混合加熱処理が終わって発酵装置から取り出された発酵生成物を放冷して本発明の床敷材料を得た。このようにして製造された床敷材料は、これの原料として使用された牛糞や焼酎廃液等の有する臭気も、また、発酵処理によって生ずるような臭気も無い、取り扱いし易いものであった。
上記飼育用床敷材料を次のようにして、畜舎10で使用した。畜舎10で飼われている豚1頭に対して、約1.0m3 の床敷材料を縦1.3m×横1.3m×高さ0.6mの直方体の大きさに広げて、畜舎10の床に敷いた。
この飼育用床敷材料の上に、豚1頭につき、1日に3kgずつの糞と尿、すなわち合計6kgの糞尿が加えられ、発酵処理後の飼育用床敷材料の成分について分析したところ、その分析値は表1の通りであった。
この飼育用床敷材料の上に、豚1頭につき、1日に3kgずつの糞と尿、すなわち合計6kgの糞尿が加えられ、発酵処理後の飼育用床敷材料の成分について分析したところ、その分析値は表1の通りであった。
年間を通じて、畜舎10の内部温度は常温〜40℃であり、畜舎10の飼育用床敷材料の表面湿度は60〜80%で、その内部湿度は40〜90%であった。糞尿によるぬかるみを無くすため、週に1回飼育用床敷材料を均一にならし、またそれの表面湿度を50〜60%に維持するため、この飼育用床敷材料に時々散水した。このような処理を通して糞尿は床敷材料によって発酵して、糞尿中の有機物は分解した結果、臭気の強さは緩和された。
3か月後に、飼育用床敷材料の上から20cmまでの上層部分を新鮮な飼育用床敷材料と入れ換え、その50%を1年後に新鮮な飼育用床敷材料と取り替えた。飼育用床敷材料と混ざることによって発酵した糞尿にまみれた飼育用床敷材料を腐葉土及び黒土と混合・発酵することによって堆肥が得られた。この豚1頭から1日に排泄された糞と尿の量及び成分分析値を表2に、そして上記の堆肥の成分分析値を表3にそれぞれ示した。
以上のようにして製造された飼育用床敷材料には動物の糞尿中の有機物を速やかに分解して、その悪臭を除去する作用を有する土壌菌や納豆菌のような微生物が豊富に付着しているので、この飼育用床敷材料を動物の飼育床に敷いた畜舎10においては、その動物から排泄される糞尿が分解され臭気を軽減することができる。また、畜舎10の外部に対して悪臭を放つことが無いため、農村地域のみならず住宅街近郊においても動物を飼育することが可能となる。さらに、壁を設けず、空調調節装置、温度調節装置も必要が無いため、建設費用やランニングコストを抑えることもできる。
また、糞尿が多く含まれた飼育用床敷材料に腐葉土と土を混ぜ発酵させると肥効成分に富んだ堆肥が得られるので、糞尿の活性汚泥法による処理やゼオライト又は活性炭のような吸着材を用いる処理において生ずる余剰汚泥の処分や、河川の汚染や悪臭の蔓延等の環境汚染を招くことなく、動物の糞尿を好都合に処理することもできるとともに、汚水汚物処理の手間を省くことができる。
(実施例2)
実施例1で使用した稲藁20kgの代わりに麦藁20kgを、そして焼酎廃液50kgの代わりに廃糖蜜20kgをそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして飼育用床敷材料を製造し、そしてこの飼育用床敷材料を発酵後に堆肥の原料として使用したところ、実施例1と同様な結果が得られた。
実施例1で使用した稲藁20kgの代わりに麦藁20kgを、そして焼酎廃液50kgの代わりに廃糖蜜20kgをそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして飼育用床敷材料を製造し、そしてこの飼育用床敷材料を発酵後に堆肥の原料として使用したところ、実施例1と同様な結果が得られた。
(実施例3)
実施例1と同様にして、まず、稲藁を5〜30cm程度に裁断する。ついで、腐葉土2kg、牛糞2kg、おが屑1kg、黒土2kg、米糠1kg及び前記稲藁を2kgからなる10kgの飼育用床敷材料を、9ロット用意し、各ロットの飼育用床敷材料に対して、純粋培養した納豆菌の希釈液を下記各区分添加量を互いに添加混合して、混合物全体が均質になるまで十分に攪拌混合した。
実施例1と同様にして、まず、稲藁を5〜30cm程度に裁断する。ついで、腐葉土2kg、牛糞2kg、おが屑1kg、黒土2kg、米糠1kg及び前記稲藁を2kgからなる10kgの飼育用床敷材料を、9ロット用意し、各ロットの飼育用床敷材料に対して、純粋培養した納豆菌の希釈液を下記各区分添加量を互いに添加混合して、混合物全体が均質になるまで十分に攪拌混合した。
純粋培養した納豆菌胞子分散液の希釈液の添加量は、前記腐葉土、牛糞、おが屑、黒土、米糠、及び稲藁からなる各飼育用床敷材料1kg当たり、菌数として100,000〜1,000,000,000個を9区に分けて、前記9ロットの各飼育用床敷材料に添加した。すなわち、各飼育用床敷材料(1kg)に対して、第1区:100,000個、第2区:500,000個、第3区:1,000,000個、第4区:5,000,000個、第5区:10,000,000個、第6区:50,000,000個、第7区:100,000,000個、第8区:500,000,000個、第9区:1,000,000,000個、を添加し、撹拌混合した。
次に、このようにして得られた各混合物を地面の上でビニルシートで覆うことにより常温〜40℃の温度及び60〜80%の相対湿度の雰囲気に30日間曝し、それによって各混合物を熟成させた。
熟成が終わった各熟成物全体に対して廃糖蜜を各5kgずつ添加して、これら混合物を天神製作所(有限会社)製のSN型発酵装置に投入し、各混合物を攪拌混合しながら、60℃の温度で3時間加熱処理することによって、混合物中の有機物を十分に発酵させた。この処理中に発生する発酵ガスをダクトに引いてオゾン処理または生物脱臭処理を受けさせた後、大気中に放出した。
熟成が終わった各熟成物全体に対して廃糖蜜を各5kgずつ添加して、これら混合物を天神製作所(有限会社)製のSN型発酵装置に投入し、各混合物を攪拌混合しながら、60℃の温度で3時間加熱処理することによって、混合物中の有機物を十分に発酵させた。この処理中に発生する発酵ガスをダクトに引いてオゾン処理または生物脱臭処理を受けさせた後、大気中に放出した。
混合加熱処理が終わって発酵装置から取り出された各発酵生成物を放冷して飼育用床敷材料を得た。このようにして製造された各飼育用床敷材料は、これの原料として使用された牛糞等の有する臭気も、また、発酵処理によって生ずるような臭気も無い、取り扱いし易いものであった。
上記各飼育用床敷材料を次のようにして、畜舎10で使用した。畜舎10で飼われている豚1頭に対して、約1.0m3 の飼育用床敷材料を縦1.3m×横1.3m×高さ0.6mの直方体の大きさに広げて、畜舎10の飼育床に敷いた。各飼育用床敷材料の上に、豚1頭につき、1日に3kgずつの糞と尿、すなわち合計6kgの糞尿を加えた。その結果、畜舎10における異臭は殆どなく、特に納豆菌の添加量の多い区分において極めて衛生的で優れたものであった。発酵処理後の飼育用床敷材料の成分分析についても良結果なものであった。
さらに、本発明の畜舎10の飼育用床敷材料には、病原性微生物の増殖を抑制するための放線菌を担持させている。すなわち、納豆菌および放線菌を病原菌微生物の増殖抑制剤として用いている。放線菌はストレプトマイセス属等が挙げられる。飼育用床敷材料には、納豆菌および放線菌を混合して担持させることができ、或いはこれらを含む液状物を吹き付けて担持させて使用することもできる。病原性微生物としては、食虫毒の原因として特に知られている腸管出血性大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌等が挙げられる。以下、実施例について説明する。
(実施例4)
(1)床敷材料の調整
飼育用床敷材料として約60cmの厚みの層を有するオガクズに増殖抑制剤として各種供試菌の培養液を、以下の試験区に合わせて、納豆菌は103〜1012個/g、放線菌はストレプトマイセス属の菌を103〜107個/gとなるように添加して混合し、3〜7日間、湿度50%〜90%の状態で静置した。
A:オガクズ+納豆菌
B:オガクズ +放線菌
C:オガクズ+納豆菌+放線菌
この後、これらの各混合物の表層から深さ約20cmの位置で約100gをサンプリングリングし、以下の病原性微生物に対する増殖抑制試験用の試料とした。
(1)床敷材料の調整
飼育用床敷材料として約60cmの厚みの層を有するオガクズに増殖抑制剤として各種供試菌の培養液を、以下の試験区に合わせて、納豆菌は103〜1012個/g、放線菌はストレプトマイセス属の菌を103〜107個/gとなるように添加して混合し、3〜7日間、湿度50%〜90%の状態で静置した。
A:オガクズ+納豆菌
B:オガクズ +放線菌
C:オガクズ+納豆菌+放線菌
この後、これらの各混合物の表層から深さ約20cmの位置で約100gをサンプリングリングし、以下の病原性微生物に対する増殖抑制試験用の試料とした。
(2)腸管出血性大腸菌O157
ヒト由来分離株EHEC O157:H7[VT1産生型(ベロ毒素1型を産生する菌株)]を用いた。増菌は、Bacto-casitone培地(Bacto-casitone:10g、NaCl:5g、Yeast extract:3g、Agar:3g/L,pH7.0)を使用して行った。
ヒト由来分離株EHEC O157:H7[VT1産生型(ベロ毒素1型を産生する菌株)]を用いた。増菌は、Bacto-casitone培地(Bacto-casitone:10g、NaCl:5g、Yeast extract:3g、Agar:3g/L,pH7.0)を使用して行った。
(3)サルモネラ菌
Salmonella typhimurium IFO 13245 タイプカルチャーを用いた。増菌はブリリアントグリーン寒天培地を使用して行った。
Salmonella typhimurium IFO 13245 タイプカルチャーを用いた。増菌はブリリアントグリーン寒天培地を使用して行った。
(4)黄色ブドウ球菌
ヒト由来分離株 Staphylococcus aureus egharakを用いた。増菌は普通栄養寒天培地を使用して行った。
ヒト由来分離株 Staphylococcus aureus egharakを用いた。増菌は普通栄養寒天培地を使用して行った。
(5)病原性微生物の増殖抑制試験
300ml容三角フラスコにニュートリエントブロス培地100mlを加え、綿栓をした。これを121℃、15分間オートクレーブ処理を行った。無菌的に、試料A〜Cをそれぞれ10g添加して、35℃、60rpmで2日間、集積振とう培養を行った。これに病原性微生物(腸管出血性大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌)をそれぞれ1×103CFU(colony forming units)/mlになるように加えて、35℃で0,12,24,36,48時間保持した。培養液をサンプリングして、希釈層操作を行いながら寒天培地に広げて、30℃で24時間培養を行い、出現するコロニー数を計測した。試験結果は培養液1ml当たりのCFUの対数値(viable cells(log10 CFU/ml))として表4に示す。
300ml容三角フラスコにニュートリエントブロス培地100mlを加え、綿栓をした。これを121℃、15分間オートクレーブ処理を行った。無菌的に、試料A〜Cをそれぞれ10g添加して、35℃、60rpmで2日間、集積振とう培養を行った。これに病原性微生物(腸管出血性大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌)をそれぞれ1×103CFU(colony forming units)/mlになるように加えて、35℃で0,12,24,36,48時間保持した。培養液をサンプリングして、希釈層操作を行いながら寒天培地に広げて、30℃で24時間培養を行い、出現するコロニー数を計測した。試験結果は培養液1ml当たりのCFUの対数値(viable cells(log10 CFU/ml))として表4に示す。
試料Aは、大腸菌O157とサルモネラ菌は増殖し、黄色ブドウ球菌に対しては、増殖抑制効果が判然としなかった。すなわち、納豆菌を単独で用いた場合には、増殖抑制効果は確認できなかった。
試料Bは、大腸菌O157の増殖抑制効果が確認されたが、サルモネラ菌と黄色ブドウ球菌については同効果が判然としなかった。すなわち、放線菌を単独で用いた場合には、3種類の病原性微生物をカバーした増殖抑制効果は確認できなかった。なお、放線菌単独による一部の病原性微生物の拮抗作用は一般的に知られているが、この一般的知見によれば、本試験のように3種類の病原性微生物についてその効果をカバーできるものではない。
試料Bは、大腸菌O157の増殖抑制効果が確認されたが、サルモネラ菌と黄色ブドウ球菌については同効果が判然としなかった。すなわち、放線菌を単独で用いた場合には、3種類の病原性微生物をカバーした増殖抑制効果は確認できなかった。なお、放線菌単独による一部の病原性微生物の拮抗作用は一般的に知られているが、この一般的知見によれば、本試験のように3種類の病原性微生物についてその効果をカバーできるものではない。
ここで、試料Cは、大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌のいずれにおいても増殖が抑制され、3種類全ての病原性微生物に対し増殖抑制効果が確認された。従って、納豆菌と放線菌とを組合せることは、これらの菌のバランスにより増殖抑制作用の相乗効果があるものと推察される。また、このような状況においては、飼育用床敷材料中の有用菌の微生物相はバランスの良い状態が維持されていると推察される。
(6)病原性微生物に対する抗菌性試験
抗菌活性はペーパーディスク法により測定した。検定菌は、腸管出血性大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌を用いた。300ml容三角フラスコにニュートリエントブロス培地100mlを加え、綿栓をした。これを121℃、15分でオートクレーブ処理を行った。無菌的に、試料B,Cをそれぞれ10g添加して、35℃、60rpmで振とう培養を行った。培養液をサンプリングして、この培養液をペーパーディスク(ADVANTEC社製、直径8mm)に添加して、30℃で15時間培養を行い、ペーパーディスクの周囲に現れた阻止円の有無の確認および阻止円の径を測定した。混釈用の培地として、腸管出血性大腸菌O157はBacto-casitoneを、サルモネラ菌はブリリアントグリーン寒天培地を、黄色ブドウ球菌はフォーゲルジョンソン寒天培地を使用した。
以上の試験結果を表5に示す。
抗菌活性はペーパーディスク法により測定した。検定菌は、腸管出血性大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌を用いた。300ml容三角フラスコにニュートリエントブロス培地100mlを加え、綿栓をした。これを121℃、15分でオートクレーブ処理を行った。無菌的に、試料B,Cをそれぞれ10g添加して、35℃、60rpmで振とう培養を行った。培養液をサンプリングして、この培養液をペーパーディスク(ADVANTEC社製、直径8mm)に添加して、30℃で15時間培養を行い、ペーパーディスクの周囲に現れた阻止円の有無の確認および阻止円の径を測定した。混釈用の培地として、腸管出血性大腸菌O157はBacto-casitoneを、サルモネラ菌はブリリアントグリーン寒天培地を、黄色ブドウ球菌はフォーゲルジョンソン寒天培地を使用した。
以上の試験結果を表5に示す。
試料Bにおいては、大腸菌O157の増殖は抑制され抗菌性が確認されたが、サルモネラ菌と黄色ブドウ球菌については抗菌効果が判然としなかった。すなわち、前述(表4)の試験と同様に、放線菌を単独で用いた場合には、3種類の病原性微生物をカバーした増殖抑制効果は確認できなかった。
試料Cにおいては、前述(表4)の試験と同様に、大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌のいずれにおいても阻止円が形成され、高い抗菌効果が確認された。
試料Cにおいては、前述(表4)の試験と同様に、大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌のいずれにおいても阻止円が形成され、高い抗菌効果が確認された。
以上のことから、本抗菌性試験においても、3種類全ての病原性微生物に対し抗菌効果が確認された。従って、納豆菌と放線菌とを組合せることは、これらの菌のバランスにより抗菌作用の相乗効果があるものと推察される。
なお、本実施例では床敷材料の原料としてオガクズを用いた試験としているが、実施例1〜3で製造した飼育用床敷材料においても同様の効果が期待できる。
なお、本実施例では床敷材料の原料としてオガクズを用いた試験としているが、実施例1〜3で製造した飼育用床敷材料においても同様の効果が期待できる。
(実施例5)
実施例4で供試した試料A,B,Cについて、メダカ(Oryzias latipes)を用いた安全性の評価を行った。この安全性の評価方法として、以下に示す。
300ml容三角フラスコにニュートリエントブロス培地100mlを加え、綿栓をした。これを121℃、15分でオートクレーブ処理を行った。無菌的に試料A,B,Cをそれぞれ10g添加して、35℃、60rpmで2日間集積振とう培養を行った。
また、300ml容ビーカーに滅菌水200mlを加え、これに前述の集積振とう培養液を10%(試料A)、4%(試料C)、または1%(試料B)の終濃度になるように添加した。これにメダカを2匹入れて72時間後まで経過観察を行った。また対照として、一般的に敷材に用いられているオガクズ(スギ由来)のみにおいても同様に確認試験を行った。
実施例4で供試した試料A,B,Cについて、メダカ(Oryzias latipes)を用いた安全性の評価を行った。この安全性の評価方法として、以下に示す。
300ml容三角フラスコにニュートリエントブロス培地100mlを加え、綿栓をした。これを121℃、15分でオートクレーブ処理を行った。無菌的に試料A,B,Cをそれぞれ10g添加して、35℃、60rpmで2日間集積振とう培養を行った。
また、300ml容ビーカーに滅菌水200mlを加え、これに前述の集積振とう培養液を10%(試料A)、4%(試料C)、または1%(試料B)の終濃度になるように添加した。これにメダカを2匹入れて72時間後まで経過観察を行った。また対照として、一般的に敷材に用いられているオガクズ(スギ由来)のみにおいても同様に確認試験を行った。
試験結果は、対照としたオガクズのみの試験区では24時間後にメダカは全て死滅したが、試料A,B,Cのいずれにおいても72時間まで飼育しても問題なく生育したことから、これらの試料は安全である、すなわち、納豆菌,放線菌を添加した動物飼育用床敷材料は、安全性の高い微生物群の集合体であることが確認された。従って、この動物飼育用床敷材料は、自然環境に悪影響を及ぼすことが無く、畜舎10において安心して動物を飼育することができる。
(実施例6)
実施例4の試料Cに木くず等の木質資材を加えて混合した飼育用床敷材料を作成し、畜舎10において、豚1頭当たり約1m3の飼育用床敷材料を縦1.3m×横1.3m×高さ0.6mの直方体の大きさに広げて使用した。この飼育用床敷材料の上に豚1頭につき、1日に3kgずつの糞と尿、すなわち合計約6kgの糞尿が加えられ、これの発酵処理を行った。また、表面湿度を50%〜60%に維持するため、この床敷材料に時々散水した。以上のように、発酵された糞尿を含み、適度な水分状態にある飼育用床敷材料を得た。この飼育用床敷材料を100g採取し、5Lの水で洗い流した排水について、病原性微生物を分析した結果、大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌のいずれもが陰性であった。
実施例4の試料Cに木くず等の木質資材を加えて混合した飼育用床敷材料を作成し、畜舎10において、豚1頭当たり約1m3の飼育用床敷材料を縦1.3m×横1.3m×高さ0.6mの直方体の大きさに広げて使用した。この飼育用床敷材料の上に豚1頭につき、1日に3kgずつの糞と尿、すなわち合計約6kgの糞尿が加えられ、これの発酵処理を行った。また、表面湿度を50%〜60%に維持するため、この床敷材料に時々散水した。以上のように、発酵された糞尿を含み、適度な水分状態にある飼育用床敷材料を得た。この飼育用床敷材料を100g採取し、5Lの水で洗い流した排水について、病原性微生物を分析した結果、大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌のいずれもが陰性であった。
以上のことから、畜舎10において、飼育用床敷材料に納豆菌および放線菌を病原性微生物の増殖抑制剤として用いることにより、大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌の増殖を抑制することができ、また、開放部Sから外部の風が入り込むためさらに病原菌の増殖を抑制することができる。また、納豆菌と放線菌とにより糞尿中の有機物が分解,処理されるため悪臭を軽減することもでき、この飼育用床敷材料を飼育床に敷いて動物を飼育し、この飼育用床敷材料によって動物が毎日排泄する糞尿をその場で発酵および分解処理しながら、さらに病原性微生物の増殖を抑制することができる。従って、動物を衛生的に飼育することができ、環境汚染や食中毒が発生することを防止することができるとともに、病原性微生物の増殖を抑制しこれらがほとんど死滅している畜舎においては、ワクチン投与を減少または無投薬としながらも動物を健康に且つ経済的に飼育することができる。
なお、本実施形態である畜舎10は2階建てとしているが、3階建て以上とすることもできる。本発明においては、畜舎内部の悪臭の発生を抑えているため、複数階建てとしながらも、壁が無い状態とすることができる。従って、農村地域のみならず住宅街近郊においても自然に近い環境で動物を健康に飼育することができるとともに、動物の飼育効率をさらに向上させることができる。
以上のように、本発明の畜舎10においては、動物の糞の有する臭気及び発酵処理によって生ずる臭気が無い飼育用床敷材料により悪臭の発生を抑えることができるため、支柱間には壁が設けず、支柱間は空気が移動可能に開放されていても、畜舎の外部に対して悪臭を放ったり、環境を悪化させることが無いため、農村地域のみならず住宅街近郊においても動物を飼育することができる。また、畜舎内外の空気は支柱間を行き来することとなり、動物に自然の空気を常に供給することができるため、自然に近い環境で動物を健康に飼育することができる。
本発明は、自然に近い環境で動物を健康に飼育できる畜舎として広く利用することができる。
10 畜舎
1 支柱
2 屋根
3 柵
4 仕切部材
5 出入り口
S 開放部
1 支柱
2 屋根
3 柵
4 仕切部材
5 出入り口
S 開放部
Claims (5)
- 複数の支柱と、動物を飼育するための飼育床と、動物の糞の有する臭気及び発酵処理によって生ずる臭気が無く前記飼育床に敷いて動物を飼育するための飼育用床敷材料と、を備え、
前記支柱間には壁が設けられておらず、前記支柱間は、空気が移動可能に開放されていることを特徴とする畜舎。 - 前記飼育用床敷材料は、少なくとも動物の糞、土、木くず、藁材及び納豆菌を混合し、該混合物を熟成させた後、該熟成物に食品生産時に生ずる食品製造廃棄物を添加して混合し、ついで該混合物に発酵装置で混合加熱処理を施してこれを十分に発酵させ、動物の糞の有する臭気及び発酵処理によって生ずる臭気が無いものである請求項1記載の畜舎。
- 前記飼育用床敷材料は、腐葉土17〜23重量部、動物の糞17〜23重量部、黒土17〜23重量部、木くず8〜12重量部、糠8〜12重量部、藁材20〜30重量部及び所定量の納豆菌を混合し、ただし前記所定量の納豆菌は前記全混合物1kg当たり、菌数として100,000〜1,000,000,000個とし、ついで該混合物を20〜30日間放置して熟成させ、その後食品生産時に生ずる食品製造廃棄物40〜60重量部を添加し、そして該混合物に混合加熱処理を施してこれを十分に発酵させ、動物の糞の有する臭気及び発酵処理によって生ずる臭気の無いものである請求項1記載の畜舎。
- さらに前記飼育用床敷材料は、病原性微生物の増殖を抑制するための放線菌を担持させたものである請求項2または3記載の畜舎。
- 複数階建てである請求項1から4のいずれかの項に記載の畜舎。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2005
- 2005-09-12 JP JP2005264229A patent/JP2007074932A/ja active Pending
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