JPWO2006101162A1 - 動物飼育用床敷材料、病原性微生物の増殖抑制剤、病原性微生物の増殖抑制方法、動物の飼育方法および飼料 - Google Patents

動物飼育用床敷材料、病原性微生物の増殖抑制剤、病原性微生物の増殖抑制方法、動物の飼育方法および飼料 Download PDF

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茂実 迫田
茂実 迫田
森田 洋
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    • A23K10/18Addition of microorganisms or extracts thereof, e.g. single-cell proteins, to feeding-stuff compositions of live microorganisms

Abstract

動物の飼育時において、病原性微生物の増殖を抑制することのできる動物飼育用床敷材料および飼料を提供する。動物を飼育するための床敷材料、飼料原料に病原性微生物の増殖を抑制するための納豆菌および放線菌を担持させてなることを特徴とする。病原性微生物には、少なくとも腸管出血性大腸菌O157とサルモネラ菌と黄色ブドウ球菌とが含まれ、さらにフザリウム菌が含まれる。放線菌の一例としてはストレプトマイセス属の菌が挙げられる。この動物飼育用床敷材料を動物の飼育場所に敷いて動物を飼育すれば、この動物飼育用床敷材料によって動物が毎日排泄する糞尿をその場で発酵・分解処理しながら、さらに病原性微生物の増殖を抑制することができる。

Description

本発明は、病原性微生物の増殖を抑制するための動物飼育技術に関する。
豚、牛、馬または鶏等の動物を飼育すると、その動物由来の糞尿中の未分解性有機物等に起因して多大な悪臭が発生することが知られている。このような悪臭の発生を抑制する技術としては、糞を好適に堆肥化したり、尿を活性汚泥法により処理したりする技術が知られている。しかし本発明者は、より簡易で低廉な糞尿処理方法を開発し、特許文献1において、悪臭が発生することのない動物飼育用床敷材料に関する技術を開示している。
すなわち特許文献1には、動物の糞、土、木くず、藁材に納豆菌を混合して熟成後、食品製造廃棄物を添加して混合し、さらにこれを発酵させて動物糞の臭いの無い動物飼育用床敷材料を得る技術が記載されている。この動物飼育用床敷材料は、動物の飼育場所に敷くと、環境の汚染源となる糞尿の有機物を分解し、糞尿から発する臭気が軽減し、また河川の汚染や悪臭の蔓延等の環境汚染を招くことなく動物を飼育することができるものである。
特許第3561693号公報
一方、動物は、腸管出血性大腸菌O157、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌等の病原菌等の病原性微生物を保菌していることがある。このような病原性微生物に対しては抗生物質等で対応しているのが現状であるが、その動物の糞尿に病原性微生物が含まれたまま土壌に散布して地下に浸透させたり河川に放出したりすると、病原性微生物は、地下水や河川を汚染し、食中毒の汚染源として深刻な問題を引き起こす原因となる。さらに、動物は糞や動物飼育用床敷材料を食することがあり、動物の飼育中に外部から病原性微生物が混入した動物飼育用床敷材料を食した場合には、その飼育場は瞬く間に病原性微生物に汚染される危険性があり、食の安全性にも課題があった。
また、畜産業においては、土壌病原菌が生産するカビ毒による被害が拡大している。カビ毒とは、カビなどの真菌類が産生する有害代謝物の総称であり、マイコトキシンとも呼ばれている。カビ毒は、ヒト,家畜,魚などでカビに汚染された食品の摂取,食餌により、疾病あるいは異常な生理作用などの中毒症を引き起こすことで知られている。カビによる中毒症の特徴は急性症状を伴うものもあるが、慢性症状が主体となるものが多く、細菌由来の食中毒の多くが急性症状を起こすのとは対照的である。畜産業においてはカビ毒で最も被害が拡大し、現在関心が高まっているものとしては、土壌病原菌の中でもフザリウム属(赤カビの仲間)のカビ(以下、フザリウム菌)によるカビ毒の中毒症がある。
フザリウム菌は、畑等の土壌に多く生息し、麦やトウモロコシなどの植物に付着してカビ毒を生産する。このため、フザリウム菌は、飼育場において飼料中に見られることが多いが、動物飼育用床敷材料にも病原性微生物として発生の被害が拡大する恐れがあり、その飼育場は、瞬く間にフザリウム菌に汚染される危険性がある。
本発明が解決しようとする課題は、動物の飼育時において、動物飼育用床敷材料の中の病原性微生物の増殖抑制技術を確立し、動物が食しても安全な動物飼育用床敷材料および飼料を提供することにある。
本発明の動物飼育用床敷材料は、動物を飼育するための床敷材料に病原性微生物の増殖を抑制するための納豆菌および放線菌を担持させてなることを特徴とし、本発明の病原性微生物の増殖抑制方法は、動物の飼育時において、病原性微生物の増殖を抑制するために、納豆菌および放線菌を増殖抑制剤として用いることを特徴とする。
本発明者は納豆菌と放線菌とを選択して組合せたものは、食中毒等の原因となる病原性微生物の増殖抑制作用があることを発見し、本発明に至ったものである。すなわち、納豆菌および放線菌を病原性微生物の増殖抑制剤として用いることにより、糞尿由来および外部より侵入した病原性微生物の増殖を抑制することができる。従って、動物を衛生的に飼育することができるとともに、動物の糞尿による環境汚染を無くすることができる。また、納豆菌と放線菌とにより糞尿中の有機物が分解,処理されるため、悪臭を軽減することもできる。ここで、「増殖を抑制する」とは、病原性微生物に対し拮抗作用や抗菌作用、すなわちこれらの菌数を減少または死滅させることを言い、「増殖抑制剤」とは、病原性微生物の菌数を減少または死滅させるものを言う。
ここで病原性微生物には、少なくとも腸管出血性大腸菌O157とサルモネラ菌と黄色ブドウ球菌とが含まれる。特にこの3種類の菌は食中毒を引き起こす主要因であり、少なくともこれらの病原菌の蔓延を防止することが望ましい。
さらに病原性微生物には、フザリウム菌が含まれることにより、動物へのカビ毒の中毒症を防止することができる。
さらに本発明の動物の飼育方法は、動物を飼育するための床敷材料に病原性微生物の増殖を抑制するための納豆菌および放線菌を担持させてなる動物飼育用床敷材料を、動物の飼育場所に敷いて動物を飼育し、この動物飼育用床敷材料によって動物が毎日排泄する糞尿をその場で発酵および分解処理しながら、病原性微生物の増殖を抑制することを特徴とする。病原性微生物の増殖を抑制する動物飼育用床敷材料を用いて動物を飼育すれば、飼育中の悪臭を抑えた上で病原性微生物の増殖を抑制することができるため、動物の糞尿による環境汚染を無くすることができるとともに、動物を衛生的に飼育することができる。従って、環境汚染や食中毒が発生することを防止することができる。
また、前述のように、納豆菌および放線菌を病原性微生物の増殖抑制剤として用いるが、これらを水に含有させてなる病原性微生物の増殖抑制剤とすれば、液状の増殖抑制剤とすることができる。このため、取り扱い易くなり、動物を飼育するための床敷材料に吹き付けて、または含浸させて、容易に納豆菌および放線菌を担持させることができる。
なお、液状の増殖抑制剤中の納豆菌の菌数は、例えば納豆菌の場合、純粋培養した納豆菌胞子分散液の希釈液で、その1ml中に10,000〜100,000,000個を含むものを使用する。同様に放線菌は、1ml中に10,000〜100,000,000個を含むものを使用する。液(水)中には、納豆菌および放線菌の活性を保つために、廃糖蜜などを加えて置くと良い。なお、納豆菌および放線菌は、市販のものを種菌として使用しても良い。
さらに、本発明者らは、動物飼育用床敷材料を飼育中の動物が食することを発見し、本発明に至った。すなわち、本発明の飼料は、飼料原料に病原性微生物の増殖を抑制するための納豆菌および放線菌を担持させてなることを特徴とする。納豆菌および放線菌を混合して飼料を製造すれば、病原性微生物の増殖が抑制されて、動物を衛生的に飼育することができる家畜用の飼料となる。また、納豆菌と放線菌とにより混合物中の有機物が分解,処理されるため、悪臭を軽減することもできる。
ここで、前記飼料原料は、少なくとも食品製造廃棄物であり、この飼料原料に納豆菌および放線菌を担持させて十分に発酵させ、発酵処理によって生ずる臭気の無いものであることを特徴とする。食品製造廃棄物を十分に発酵させたものは、動物が好んで食す飼料とすることができる。また、食品製造廃棄物としては、例えば、小麦の皮、とうもろこし、ふすま、大豆等の穀類由来の廃棄物や、焼酎、漬物等の発酵過程を経て製造される発酵食品生産時に生ずる野菜くず、廃液、あるいは製糖時において生ずる廃糖蜜等を使用することができる。これらの廃棄物には、様々な栄養成分や食味成分が残存するので、動物が食するのに十分な飼料素材となりえる。さらに、十分な発酵処理によって生ずる臭気が無いため、動物は好んで食する。なお、飼料は十分で発酵が進んでいるため、飼料内部の気体に含まれるアンモニアガス濃度が20ppm以下となり、臭気が無い状態となる。ここで、「臭気が無い」とは、家畜用飼料中の気体に含まれるアンモニアガス濃度が20ppm以下の状態であり、人間が不快と思う程度の臭いを発していない状況を意味する。
本発明の最大の特徴は、納豆菌および放線菌を選択して病原性微生物の増殖抑制剤とし動物飼育用床敷材料および飼料に用いたことである。これにより、動物の飼育中に病原性微生物の増殖を抑制することができる。
以下、本発明をその実施形態に基づいて説明する。
本発明の動物飼育用床敷材料には(以下、床敷材料と称す)、動物を飼育するための床敷材料に病原性微生物の増殖を抑制するための納豆菌および放線菌を担持させており、これらの納豆菌および放線菌を病原菌微生物の増殖抑制剤として用いている。放線菌はストレプトマイセス属等が挙げられる。床敷材料には、納豆菌および放線菌を混合して担持させることができ、或いはこれらを含む液状物を吹き付けるか含浸させて担持させて使用することもできる。病原性微生物としては、食虫毒の原因として特に知られている腸管出血性大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌等や、カビ毒の原因として特に知られているフザリウム菌等が挙げられる。以下、実施例について説明する。
(1)床敷材料の調整
床敷材料として約60cmの厚みの層を有するオガクズに増殖抑制剤として各種供試菌の培養液を、以下の試験区に合わせて、納豆菌は103〜1012個/g、放線菌はストレプトマイセス属の菌を103〜107個/gとなるように添加して混合し、3〜7日間、湿度50%〜90%の状態で静置した。
A:オガクズ+納豆菌
B:オガクズ +放線菌
C:オガクズ+納豆菌+放線菌
この後、これらの各混合物の表層から深さ約20cmの位置で約100gをサンプリングし、以下の病原性微生物に対する増殖抑制試験用の試料とした。
(2)腸管出血性大腸菌O157
ヒト由来分離株EHEC O157:H7[VT1産生型(ベロ毒素1型を産生する菌株)]を用いた。増菌は、Bacto-casitone培地(Bacto-casitone:10g、NaCl:5g、Yeast extract:3g、Agar:3g/L,pH7.0)を使用して行った。
(3)サルモネラ菌
Salmonella typhimurium IFO 13245 タイプカルチャーを用いた。増菌はブリリアントグリーン寒天培地を使用して行った。
(4)黄色ブドウ球菌
ヒト由来分離株 Staphylococcus aureus egharakを用いた。増菌は普通栄養寒天培地を使用して行った。
(5)病原性微生物の増殖抑制試験
300ml容三角フラスコにニュートリエントブロス培地100mlを加え、綿栓をした。これを121℃、15分間オートクレーブ処理を行った。無菌的に、試料A〜Cをそれぞれ10g添加して、35℃、60rpmで2日間、集積振とう培養を行った。これに病原性微生物(腸管出血性大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌)をそれぞれ1×103CFU(colony forming units)/mlになるように加えて、35℃で0,12,24,36,48時間保持した。培養液をサンプリングして、希釈層操作を行いながら寒天培地に広げて、30℃で24時間培養を行い、出現するコロニー数を計測した。試験結果は培養液1ml当たりのCFUの対数値(viable cells(log10 CFU/ml))として表1に示す。
Figure 2006101162
試料Aにおいては、大腸菌O157とサルモネラ菌は増殖し、黄色ブドウ球菌に対しては、増殖抑制効果が判然としなかった。すなわち、納豆菌を単独で用いた場合には、増殖抑制効果は確認できなかった。
試料Bにおいては、大腸菌O157の増殖抑制効果が確認されたが、サルモネラ菌と黄色ブドウ球菌については同効果が判然としなかった。すなわち、放線菌を単独で用いた場合には、3種類の病原性微生物をカバーした増殖抑制効果は確認できなかった。なお、放線菌単独による一部の病原性微生物の拮抗作用は一般的に知られているが、この一般的知見によれば、本試験のように3種類の病原性微生物についてその効果をカバーできるものではない。
ここで、試料Cにおいては、大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌のいずれにおいても増殖が抑制され、3種類全ての病原性微生物に対し増殖抑制効果が確認された。従って、納豆菌と放線菌とを組合せることは、これらの菌のバランスにより増殖抑制作用の相乗効果があるものと推察される。また、このような状況においては、床敷材料中の有用菌の微生物相はバランスの良い状態が維持されていると推察される。
(6)病原性微生物に対する抗菌性試験
抗菌活性はペーパーディスク法により測定した。検定菌は、腸管出血性大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌を用いた。300ml容三角フラスコにニュートリエントブロス培地100mlを加え、綿栓をした。これを121℃、15分でオートクレーブ処理を行った。無菌的に、試料B,Cをそれぞれ10g添加して、35℃、60rpmで振とう培養を行った。培養液をサンプリングして、この培養液をペーパーディスク(ADVANTEC社製、直径8mm)に添加して、30℃で15時間培養を行い、ペーパーディスクの周囲に現れた阻止円の有無の確認および阻止円の径を測定した。混釈用の培地として、腸管出血性大腸菌O157はBacto-casitoneを、サルモネラ菌はブリリアントグリーン寒天培地を、黄色ブドウ球菌はフォーゲルジョンソン寒天培地を使用した。
以上の試験結果を表2に示す。
Figure 2006101162
なお、判定として、「−」は抗菌性が無く、以下抗菌性があるものとして、「+」は径が8mm以上11mm未満、「++」は径が11mm以上13mm未満、「+++」は径が13mm以上15mm未満、「++++」は径が15mm以上とした。
試料Bにおいては、大腸菌O157の増殖は抑制され抗菌性が確認されたが、サルモネラ菌と黄色ブドウ球菌については抗菌効果が判然としなかった。すなわち、前述(表1)の試験と同様に、放線菌を単独で用いた場合には、3種類の病原性微生物をカバーした増殖抑制効果は確認できなかった。
試料Cにおいては、前述(表1)の試験と同様に、大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌のいずれにおいても阻止円が形成され、高い抗菌効果が確認された。
以上のことから、本抗菌性試験においても、3種類全ての病原性微生物に対し抗菌効果が確認された。従って、納豆菌と放線菌とを組合せることは、これらの菌のバランスにより抗菌作用の相乗効果があるものと推察される。
なお、本実施例では床式材料の原料としてオガクズを用いた試験としているが、他の木質系の有機物等を混合して使用した場合においても同様の効果が期待できる。
実施例1で供試した試料A,B,Cについて、メダカ(Oryzias latipes)を用いた安全性の評価を行った。この安全性の評価方法として、以下に示す。
300ml容三角フラスコにニュートリエントブロス培地100mlを加え、綿栓をした。これを121℃、15分でオートクレーブ処理を行った。無菌的に試料A,B,Cをそれぞれ10g添加して、35℃、60rpmで2日間集積振とう培養を行った。
また、300ml容ビーカーに滅菌水200mlを加え、これに前述の集積振とう培養液を10%(試料A)、4%(試料C)、または1%(試料B)の終濃度になるように添加した。これにメダカを2匹入れて72時間後まで経過観察を行った。また対照として、一般的に敷材に用いられているオガクズ(スギ由来)のみにおいても同様に確認試験を行った。
試験結果は、対照としたオガクズのみの試験区では24時間後にメダカは全て死滅したが、試料A,B,Cのいずれにおいても72時間まで飼育しても問題なく生育したことから、これらの試料は安全である、すなわち、納豆菌,放線菌を添加した動物飼育用床敷材料は、安全性の高い微生物群の集合体であることが確認された。従って、この動物飼育用床敷材料は、自然環境に悪影響を及ぼすことが無い。
実施例1の試料Cに木くず等の木質資材を加えて混合した床敷材料を作成し、豚舎において、豚1頭当たり約1m3の床敷材料を縦1.3m×横1.3m×高さ0.6mの直方体の大きさに広げて使用した。この床敷材料の上に豚1頭につき、1日に3kgずつの糞と尿、すなわち合計約6kgの糞尿が加えられ、これの発酵処理を行った。また、表面湿度を50%〜60%に維持するため、この床敷材料に時々散水した。以上のように、発酵された糞尿を含み、適度な水分状態にある床敷材料を得た。この床敷材料を100g採取し、5Lの水で洗い流した排水について、病原性微生物を分析した結果、大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌のいずれもが陰性であった。
次に、床敷材料のフザリウム菌に対する抗菌性試験(増殖抑制試験)を行った。
(1)床敷材料の調整
床敷材料として、約60cmの厚みの層を有するオガクズに増殖抑制剤として各種供試菌の培養液を、以下の試料に合わせて、納豆菌は103〜1012個/g、放線菌はストレプトマイセス属の菌を103〜107個/gとなるように添加して混合し、3〜7日間、湿度50%〜90%の状態で静置した。
D:オガクズ
E:オガクズ+納豆菌+放線菌
この後、これらの各混合物の表層から深さ約20cmの位置で約100gをサンプリングし、フザリウム菌に対する増殖抑制試験用の試料とした。なお、試料Eは、実施例1の試料C(オガクズ+納豆菌+放線菌)と同一であり、本発明品である。
(2)フザリウム菌
Fusarium oxysporum NBRC 31631(独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部生物遺伝資源部門遺伝資源保存課より分譲)を用いた。
(3)フザリウム菌の抗菌性試験
試料Dおよび試料Eついて30℃で4日間または9日間、各試料に生育する微生物を増加させるための集積培養を行なった。集積培養は、300ml容三角フラスコに、使用培地100mlを入れ、綿栓をし、オートクレーブ(TOMY ES-315、121℃、20min)で滅菌し、試料D,Eそれぞれ0.3gをクリーンベンチ(SANYO MCV-B131F)内にて添加し、振とう培養槽(THOMAS T-25、30℃,70 rpm)中において30℃で培養して行った。集積培養したものについては顕微鏡で微生物の存在を確認した。
この4日間または9日間培養した集積培養液を使用して寒天培地をシャーレ内で作成し、これにフザリウム菌を塗布して、フザリウム菌が生えるかどうか調べることで抗カビ性の評価を行なった。抗カビ性の評価は、フザリウム菌は自身がピンク色に染まるため、フザリウム菌の塗布後、2〜5日後の発生状況について、視覚的に判断することにより行なった。
Figure 2006101162
なお、判定として、「1」は全体がピンク色、「2」は大部分がピンク色、「3」は約半分程度がピンク色、「4」は一部にピンク色を呈しており、「5」は色を呈さないことを示す。
本抗菌性試験において、フザリウム菌に対し抗菌効果が確認された。従って、納豆菌と放線菌とを組合せること(試料E)は、これらの菌のバランスにより抗菌作用の相乗効果があるものと推察される。
次に、以下の試験区(F〜H)を作成し、液体培地中にフザリウム菌の胞子懸濁液を接種して(FおよびH)、7日間まで30℃で培養し、フザリウム菌の生育状況を調べた。試験区Gは、フザリウム菌を接種せず、納豆菌および放線菌のみとした。
F:フザリウム菌
G: 納豆菌+放線菌
H:フザリウム菌+納豆菌+放線菌
生育状況は、培養液100ml当たりの乾燥菌体重量(g)により算出し、結果を表4に示す。なお、液体培地はNB培地(ニュートリエントブロス培地、栄研化学株式会社製)を使用した。
Figure 2006101162
試験区F(フザリウム単独のもの)は、菌糸が培養液中に多く確認され、菌体量は最大で0.2g/100mlを示した。これに対して、試験区Gおよび試験区Hでは菌糸の存在が殆ど確認されず、菌体量もフザリウム菌単独のものと比べて少なかった。従って、納豆菌と放線菌を組み合わせることにより、本抗菌性試験からも、フザリウム菌に対する抗菌効果が確認された。
次に、飼料について説明する。飼料は、食品製造廃棄物としての小麦の皮20〜30質量部、とうもろこし20〜30質量部、ふすま20〜30質量部、大豆20〜30質量部および納豆菌と放線菌を混合し、ただし前記所定量の納豆菌は前記全混合物1kg当たり、菌数として100,000〜1,000,000,000個とし、発酵装置で60〜65℃の温度において混合加熱処理を施してこれを十分に発酵させ、発酵処理によって生ずる臭気の無いもの(アンモニアガス濃度が20ppm以下)である。
上記飼料を、豚舎で飼料として給餌したところ、豚は好んで食べたことから、飼料としては好適であった。また、本発明の家畜用飼料は、一般的な飼料に比べて繊維分が豊富と思われ、豚が食した後の糞尿は臭いが軽減されていた。
また、豚舎で200頭/240m2(10パドック)で飼育したところ、6ヶ月の間に100頭出荷したにも関わらず、この間、新たに床敷材料(家畜用飼料)を2m3補給したことから、10リットル/頭/月以上の床敷材料(家畜用飼料)が豚に食されたことになる。このように、通常の飼料として給餌しても、豚は床敷材料(飼料)を好んで食すると推察される。
なお、飼料の原料やその混合割合は一例であり、上記に限定されるものではなく、例えば、木くず等の木質資材を適宜混合することもできる。
一般的にオガクズ等の木くずを飼料原料とした場合には、木くずに含まれるタンニンやリグニン等の渋みが飼料には向かないが、本発明においてはこれらが分解されて、この渋みによる動物の抵抗感がないと推察される。また、食品製造廃棄物の他の例としては、例えば、焼酎、漬物等の発酵過程を経て製造される発酵食品生産時に生ずる野菜くず、廃液、あるいは製糖時において生ずる廃糖蜜等には、様々な栄養成分や食味成分が残存するので、動物が食するのに十分な飼料素材となりえると考えられる。従って、木くずと食品製造廃棄物が混合されて十分に発酵が進んだものを、動物は好んで食すると考えられる。また、倒木等の樹木を新たな利用技術として飼料化することは、山林荒廃を防止することができ、森林保全に有効である。
また、上記飼料は、腸管出血性大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌およびフザリウム菌に対して陰性であり、さらに、鞭虫、豚回虫、コクシジウム等も陰性であった。これらのことにより、納豆菌と放線菌を組み合わせれば、病原性微生物の増殖抑制剤として有用である。
以上のことから、動物の飼育場において、床敷材料に納豆菌および放線菌を病原性微生物の増殖抑制剤として用いることにより、大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌の増殖を抑制することができる。また、納豆菌と放線菌とにより糞尿中の有機物が分解,処理されるため悪臭を軽減することもでき、この床敷材料を動物の飼育場所に敷いて動物を飼育し、この床敷材料によって動物が毎日排泄する糞尿をその場で発酵および分解処理しながら、病原性微生物の増殖を抑制することができる。従って、動物を衛生的に飼育することができ、環境汚染や食中毒が発生することを防止することができる。
また、この床敷材料においては、病原性微生物の増殖を抑えて有用微生物が生育できる好適な環境になると考えられる。さらに本実施例では、病原性微生物の一例として腸管出血性大腸菌O157,サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌を挙げたが、フザリウム菌に対しても抗菌効果(増殖抑制効果)が認められ、さらに、他の土壌病原菌や病原菌微生物(例えばレジオネラ菌等)に対しても同様の効果を期待できる。また、床敷材料の原料としては、オガクズや木くず等の木質資材の他、藁材、腐葉土等を一部に使用することもできる。さらに前記床敷材料は、動物が食しても安全であり、飼料としても使用することもできる。
本発明は、自然環境に悪影響を及ぼすことなく、動物の飼育中に、動物飼育用床敷材料中の病原性微生物の増殖を抑制する技術として利用することができる。

Claims (9)

  1. 動物を飼育するための床敷材料に病原性微生物の増殖を抑制するための納豆菌および放線菌を担持させてなることを特徴とする動物飼育用床敷材料。
  2. 前記病原性微生物には、少なくとも腸管出血性大腸菌O157とサルモネラ菌と黄色ブドウ球菌とが含まれる請求項1記載の動物飼育用床敷材料。
  3. 前記病原性微生物には、フザリウム菌が含まれる請求項1または2記載の動物飼育用床敷材料。
  4. 水に病原性微生物の増殖を抑制するための納豆菌および放線菌を含有させてなることを特徴とする病原性微生物の増殖抑制剤。
  5. 動物の飼育時において、病原性微生物の増殖を抑制するために、納豆菌および放線菌を増殖抑制剤として用いることを特徴とする病原性微生物の増殖抑制方法。
  6. 水に病原性微生物の増殖を抑制するための納豆菌および放線菌を含有させてなる液状の増殖抑制剤を、動物を飼育するための床敷材料に吹き付けて、または含浸させて納豆菌および放線菌を担持させる請求項5記載の病原性微生物の増殖抑制方法。
  7. 動物を飼育するための床敷材料に病原性微生物の増殖を抑制するための納豆菌および放線菌を担持させてなる動物飼育用床敷材料を、動物の飼育場所に敷いて動物を飼育し、前記動物飼育用床敷材料によって動物が毎日排泄する糞尿をその場で発酵および分解処理しながら、病原性微生物の増殖を抑制することを特徴とする動物の飼育方法。
  8. 飼料原料に病原性微生物の増殖を抑制するための納豆菌および放線菌を担持させてなることを特徴とする飼料。
  9. 前記飼料原料は、少なくとも食品製造廃棄物であり、
    前記飼料原料に納豆菌および放線菌を担持させて十分に発酵させ、発酵処理によって生ずる臭気の無いものである請求項8記載の飼料。

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