JP2007073717A - 有機薄膜太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、少なくとも二層の光電変換層を有する有機半導体層と、上記有機半導体層上に形成された第2電極層とを有することを特徴とする有機薄膜太陽電池であって、上記光電変換層間の界面が凹凸を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】 図1
Description
また、有機薄膜太陽電池では、有機半導体層として複数層の有機半導体膜を積層する場合があり、このような場合には、各有機半導体膜間の界面状態も太陽電池の性能に大きく影響する。
しかしながら、この方法は、pn接合面積を増大させるものであり、接触面積を増大させて電荷の移動を円滑化させるものではない。
A.有機薄膜太陽電池
本発明の有機薄膜太陽電池は、有機半導体層の構成により、二つの実施態様に分けることができる。本発明の有機薄膜太陽電池の第1実施態様は、有機半導体層が少なくとも二層の光電変換層を有し、光電変換層間の界面が凹凸を有することを特徴とする。また本発明の有機薄膜太陽電池の第2実施態様は、有機半導体層が光電変換層および電荷取出し促進層を有し、光電変換層および電荷取出し促進層間の界面が凹凸を有することを特徴とする。以下、各実施態様に分けて説明する。
本発明の有機薄膜太陽電池の第1実施態様は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、少なくとも二層の光電変換層を有する有機半導体層と、上記有機半導体層上に形成された第2電極層とを有することを特徴とする有機薄膜太陽電池であって、上記光電変換層間の界面が凹凸を有することを特徴とするものである。
図1は、本実施態様の有機薄膜太陽電池の一例を示す概略断面図である。図1に示す例において、有機薄膜太陽電池10は、基板1上に第1電極層2、有機半導体層3および第2電極層4が順次積層されたものである。有機半導体層3は、二層の光電変換層13aおよび13bを有し、光電変換層13aおよび13bの界面が凹凸を有する。
以下、このような有機薄膜太陽電池の各構成について説明する。
本実施態様に用いられる有機半導体層は、少なくとも二層の光電変換層を有するものである。ここで、「光電変換層」とは、有機薄膜太陽電池の電荷分離に寄与し、生じた電子および正孔を各々反対方向の電極層に向かって輸送する機能を有する部材をいう。
なお、上記中心線平均粗さ(Ra)は、スキャン範囲:10μm、スキャン速度:0.4Hzの条件下で、原子間力顕微鏡(ビーコインスツルメンツ(DI)社製 ナノスコープIIIa)を用いて測定した値である。
さらに、下層となる光電変換層の表面粗さは、粗さが小さいことが好ましい。一般に、表面粗さ(表面性状)は、図3に例示するように粗さとうねりで表すことができる。粗さとは、比較的小さい間隔をもつ表面の凹凸をいい、うねりとは、比較的大きな間隔をもつ表面の起伏をいう。粗さが大きすぎると、光電変換層間の密着性が低下し、かえって接触面積が減少してしまうおそれがある。
本実施態様においては、例えば光電変換層22a,22bを直接積層することにより、擬似的には、二つの有機薄膜太陽電池を直列につないだ場合と同程度の起電力2Vを得ることができると期待される(図6(c))。したがって、光電変換効率を高めることができ、さらに理想的には複数の有機薄膜太陽電池を直列につなぐのではなく、一つの有機薄膜太陽電池として利用することができる。
以下、有機半導体層を構成する光電変換層および電荷取出し促進層、ならびに有機半導体層の層構成について説明する。
本実施態様に用いられる光電変換層は、上述したように、電子受容性および電子供与性を有する電子正孔輸送層であってもよく、また電子受容性を有する電子輸送層と電子供与性を有する正孔輸送層とが積層されたものであってもよい。以下、電子正孔輸送層、電子輸送層、および正孔輸送層について説明する。
本実施態様に用いられる電子正孔輸送層は、電子供与性の有機半導体材料および電子受容性の有機半導体材料を含有するものである。電子正孔輸送層は、電子受容性および電子供与性の両方の機能を有する層であり、電子正孔輸送層内で形成されるpn接合を利用して電荷分離が生じるため、単独で光電変換層として機能する。
ここで、導電性高分子はいわゆるπ共役高分子であり、炭素−炭素またはヘテロ原子を含む二重結合または三重結合が、単結合と交互に連なったπ共役系から成り立っており、半導体的性質を示すものである。導電性高分子材料は、高分子主鎖内にπ共役が発達しているため主鎖方向への電荷輸送が基本的に有利である。また、導電性高分子材料は、導電性高分子材料を溶媒に溶解もしくは分散させた塗工液を用いることにより塗布法により容易に製膜可能であることから、大面積の有機薄膜太陽電池を高価な設備を必要とせず低コストで製造できるという利点がある。
上記の中でも、チオフェン−フルオレン共重合体、ポリアルキルチオフェン、フェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体、フェニレンエチニレン−チオフェン共重合体、フェニレンエチニレン−フルオレン共重合体、フルオレン−フェニレンビニレン共重合体、チオフェン−フェニレンビニレン共重合体等が好ましく用いられる。これらは、多くの電子受容性の有機半導体材料に対して、エネルギー準位差が適当であるからである。
なお、例えばフェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体(Poly[1,4-phenyleneethynylene-1,4-(2,5-dioctadodecyloxyphenylene)-1,4-phenyleneethene-1,2-diyl-1,4-(2,5-dioctadodecyloxyphenylene)ethene-1,2-diyl])の合成方法については、Macromolecules, 35, 3825 (2002) や、Mcromol. Chem. Phys., 202, 2712 (2001) に詳しい。
電子受容性の導電性高分子材料としては、例えばポリフェニレンビニレン、ポリフルオレン、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの共重合体、あるいは、カーボンナノチューブ、フラーレン誘導体、CN基またはCF3基含有ポリマーおよびそれらの−CF3置換ポリマー等を挙げることができる。ポリフェニレンビニレン誘導体の具体例としては、CN−PPV(Poly[2-Methoxy-5-(2´-ethylhexyloxy)-1,4-(1-cyanovinylene)phenylene])、MEH−CN−PPV(Poly[2-Methoxy-5-(2´-ethylhexyloxy)-1,4-(1-cyanovinylene)phenylene])等が挙げられる。
また、電子受容性化合物がドープされる電子供与性の導電性高分子材料としては、上述した電子供与性の導電性高分子材料を挙げることができる。ドープされる電子受容性化合物としては、例えばFeCl3(III)、AlCl3、AlBr3、AsF6やハロゲン化合物のようなルイス酸を用いることができる。なお、ルイス酸は電子受容体として作用する。
本実施態様に用いられる電子輸送層は、電子受容性の有機半導体材料を含有するものである。
電子受容性の有機半導体材料としては、電子受容体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、塗布法により製膜可能なものであることが好ましく、中でも電子受容性の導電性高分子材料であることが好ましい。導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。具体的には、上記電子正孔輸送層に用いられる電子受容性の導電性高分子材料と同様のものを挙げることができる。
本実施態様に用いられる正孔輸送層は、電子供与性の有機半導体材料を含有するものである。
電子供与性の有機半導体材料としては、電子供与体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、塗布法により製膜可能なものであることが好ましく、中でも電子供与性の導電性高分子材料であることが好ましい。導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。具体的には、上記電子正孔輸送層に用いられる電子供与性の導電性高分子材料と同様のものを挙げることができる。
本実施態様に用いられる電荷取出し促進層は、電子供与性または電子受容性のいずれかを有しており、少なくとも二層が積層された光電変換層に対して陽極側に配置されるか陰極側に配置されるかにより、機能が適宜選択されるものである。電荷取出し促進層が、少なくとも二層が積層された光電変換層に対して陽極側に配置される場合には、正孔が取り出しやすいように電子供与性の有するものが用いられる。一方、電荷取出し促進層が、少なくとも二層が積層された光電変換層に対して陰極側に配置される場合には、電子が取り出しやすいように電子受容性の有するものが用いられる。
本実施態様に用いられる有機半導体層は、少なくとも二層の光電変換層を有するものであり、この光電変換層は、電子正孔輸送層であってもよく、電子輸送層と正孔輸送層とが積層されたものであってもよい。また、電子正孔輸送層と、電子輸送層および正孔輸送層との積層の組み合わせについては特に限定されるものではない。例えば、電子正孔輸送層が複数層積層されたものであってもよく、電子輸送層および正孔輸送層がこの順に繰り返し積層されたものであってもよく、電子正孔輸送層と、電子輸送層および正孔輸送層とが積層されたものであってもよい。さらに、有機半導体層は電荷取出し促進層を有していてもよい。
なお、例えば「A/B/C」とは、A,BおよびCの順に積層されていることを示す。
この際、電子供与性の有機半導体材料が所定の吸収極大波長を有するものである場合は、電子受容性の有機半導体材料は、上記電子供与性の有機半導体材料とpn接合を形成して電荷分離を生じさせるものであれば特に限定されるものではない。同様に、電子受容性の有機半導体材料が所定の吸収極大波長を有するものである場合は、電子供与性の有機半導体材料は、上記電子受容性の導電性高分子材料とpn接合を形成して電荷分離を生じさせるものであれば特に限定されるものではない。
具体的な構成としては、(a)電子正孔輸送層/電子正孔輸送層/電子正孔輸送層;(b)正孔輸送層/電子輸送層/正孔輸送層/電子輸送層/正孔輸送層/電子輸送層;(c)正孔輸送層/電子輸送層/電子正孔輸送層/電子正孔輸送層;(d)電子正孔輸送層/正孔輸送層/電子輸送層/電子正孔輸送層;(e)電子正孔輸送層/電子正孔輸送層/正孔輸送層/電子輸送層;(f)正孔輸送層/電子輸送層/正孔輸送層/電子輸送層/電子正孔輸送層;(g)正孔輸送層/電子輸送層/電子正孔輸送層/正孔輸送層/電子輸送層;(h)電子正孔輸送層/正孔輸送層/電子輸送層/正孔輸送層/電子輸送層;などが挙げられる。
本実施態様において、有機半導体層の形成方法としては、安定して各層を積層することができる方法であればよく、表面に凹凸を有する層を形成するか否か等により適宜選択される。例えば、表面に凹凸を有する層を形成する場合、凹凸を形成することができる方法であればよく、具体的には比較的高い粘度の塗工液を塗布し、緩やかに乾燥することで表面凹凸を有する層を形成してもよく、塗工液をロールコート法で塗布し、未乾燥の塗膜面に対して、乾燥初期にドライヤーから吹き出した気流を調整してあてることにより所望の凹凸状態を形成してもよい。さらに、後加工によって表面凹凸を有する層を形成することもできる。例えばマイクロプリンティング法により形成された柔らかい塗膜面に、所望の微細構造を有した版を押し当てる方法や、ブラスト処理により不要な部分を削りとり、所望の凹凸状態を形成する方法などが挙げられる。
なお、塗布法による有機半導体層の形成方法については、後述する「B.有機薄膜太陽電池の製造方法」の項に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
本実施態様に用いられる第1電極層の形成材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されないが、光の照射方向や、後述する第2電極層の形成材料の仕事関数等を考慮して適宜選択することが好ましい。
例えば第2電極層の形成材料を仕事関数の低い材料とした場合には、第1電極層の形成材料は仕事関数の高い材料であることが好ましい。仕事関数の高い材料としては、例えばAu、Ag、Co、Ni、Pt、C、ITO、SnO2、フッ素をドープしたSnO2、ZnO等を挙げることができる。
また、基板側を受光面とした場合には、第1電極層を透明電極とすることが好ましい。この場合、一般的に透明電極として使用されているものを用いることができる。具体的には、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O等を挙げることができる。
なお、上記全光線透過率は、可視光領域において、スガ試験機株式会社製 SMカラーコンピュータ(型番:SM−C)を用いて測定した値である。
なお、上記シート抵抗は、三菱化学株式会社製 表面抵抗計(ロレスタMCP:四端子プローブ)を用い、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の低効率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、測定した値である。
この第1電極層の膜厚としては、単層である場合はその膜厚が、複数層からなる場合は総膜厚が、0.1〜500nmの範囲内、中でも1nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。膜厚が上記範囲より薄い場合は、第1電極層のシート抵抗が大きくなりすぎ、発生した電荷を十分に外部回路へ伝達できない可能性があり、一方、膜厚が上記範囲より厚い場合には、全光線透過率が低下し、光電変換効率を低下させる可能性があるからである。
本実施態様に用いられる第2電極層は、上記第1電極層と対向する電極である。第2電極層の形成材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されないが、光の照射方向や、上記第1電極層の形成材料の仕事関数等を考慮して適宜選択することが好ましい。
例えば基板側を受光面とした場合には、上記第1電極層が透明電極となり、このような場合には、第2電極層は透明でなくともよい。
また、第1電極層を仕事関数の高い材料を用いて形成した場合には、第2電極層は仕事関数の低い材料を用いて形成することが好ましい。具体的に仕事関数の低い材料としては、Li、In、Al、Ca、Mg、Sm、Tb、Yb、Zr、LiF等を挙げることができる。
上記第2電極層の膜厚は、単層である場合にはその膜厚が、複数層からなる場合には各層を合わせた総膜厚が、0.1nm〜500nmの範囲内、中でも1nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。膜厚が上記範囲より薄い場合は、第2電極層のシート抵抗が大きくなりすぎ、発生した電荷を十分に外部回路へ伝達できない可能性があり、一方、膜厚が上記範囲より厚い場合には全光線透過率が低下し、光電変換効率を低下させる可能性があるからである。
本実施態様に用いられる基板は、透明なものであっても不透明なものであっても特に限定されるものではないが、例えば基板側が光の受光面となる場合には、透明基板であることが好ましい。この透明基板としては、特に限定されるものではなく、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を挙げることができる。
本実施態様においては、有機半導体層と陽極との間に正孔取出し層が形成されていてもよい。第1電極層が陽極である場合は、例えば図9に示すように、有機半導体層3と第1電極層2との間に正孔取出し層5が形成される。また、第2電極層が陽極である場合は、図示しないが、有機半導体層と第2電極層との間に正孔取出し層が形成される。
これらの中でも、特にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、トリフェニルジアミン(TPD)が好ましく用いられる。
本実施態様においては、有機半導体層と陰極との間に電子取出し層が形成されていてもよい。第2電極層が陰極である場合は、例えば図9に示すように、有機半導体層3と第2電極層4との間に電子取出し層6が形成される。また、第1電極層が陰極である場合は、図示しないが、有機半導体層と第1電極層との間に電子取出し層が形成される。
本実施態様の有機薄膜太陽電池は、上述した構成部材の他にも、必要に応じて後述する構成部材を有していてもよい。例えば、本実施態様の有機薄膜太陽電池は、保護シート、充填材層、バリア層、保護ハードコート層、強度支持層、防汚層、高光反射層、光封じ込め層、紫外線・赤外線遮断層、封止材層等の機能層を有していてもよい。また、層構成に応じて、各機能層間に接着層が形成されていてもよい。
本実施態様においては、第2電極層上に保護シートが形成されていてもよい。保護シートは、本発明の有機薄膜太陽電池を外界から保護するために設けられる層である。
さらに、上記保護シートには、着色等により意匠性を付与することもできる。この際、保護シートへの顔料の練り込等により着色してもよく、例えば青色ハードコート層等の着色層を積層することにより着色してもよい。
本実施態様においては、第2電極層と保護シートとの間に充填材層が形成されていてもよい。充填材層は、有機薄膜太陽電池の裏面側、すなわち第2電極層と上記保護シートとを接着させ、有機薄膜太陽電池を封止するために設けられる層である。
本実施態様においては、上記基板の表面、または上記保護シートの表面にバリア層が形成されていてもよい。また、上記基板または上記保護シートが複数層からなる場合は、各層の間にバリア層を設けてもよい。本実施態様に用いられるバリア層は、透明な層であり、かつ外部からの酸素や水蒸気の浸入を妨げ、本発明の有機薄膜太陽電池を保護するために設けられる層である。
また、バリア層の水蒸気透過率は、37.8℃、100%Rhの条件において5g/m2/day以下であり、中でも0.01g/m2/day以下であることが好ましい。さらに、40℃、90%Rhの条件においては、水蒸気透過率が1g/m2/day以下であることが好ましく、測定装置の精度から水蒸気透過率の下限は5.0×10−3g/m2/dayとする。なお、上記水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W 3/33)を用いて測定した値である。
また、バリア層は、単一の層であってもよく、複数の層が積層されたものであってもよい。複数層積層する場合には、直接積層形成してもよく、貼り合わせてもよい。
上記蒸着層としては、蒸着法により形成される層であれば、その蒸着法の種類等は特に限定されるものではなく、CVD法であってもよく、またPVD法であってもよい。蒸着層が、例えばプラズマCVD法等のCVD法により形成される場合には、緻密でバリア性の高い層を形成することが可能となるが、製造効率やコスト等の面からはPVD法が好ましい。PVD法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が挙げられるが、中でも、そのバリア性等の面から真空蒸着法であることが好ましい。真空蒸着法として、例えばエレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法、または高周波誘電加熱方式による真空蒸着法等が挙げられる。
アンカー層の形成方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、CVD法、ロールコート法、スピンコート法などが挙げられる。また、これらの方法を組み合わせてもよい。中でも、成膜時のインラインコートが好ましい。これは、量産性に優れ、アンカー層の密着性を高めることができるからである。
本実施態様においては、有機薄膜太陽電池の最外面に保護ハードコート層が設けられていてもよい。保護ハードコート層は、紫外線遮蔽性および耐候性を有するものであり、有機薄膜太陽電池を外部環境から保護するため、有機半導体層を保護し、有機半導体層に含まれる有機半導体材料の劣化を防ぐために設けられる層である。
また、上記樹脂に耐光性添加剤を添加してもよい。耐光性添加剤としては、光安定剤(HALS)、紫外線吸収剤(UVA)等が挙げられる。
アンカー層の形成方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、CVD法、ロールコート法、スピンコート法などが挙げられる。また、これらの方法を組み合わせてもよい。中でも、成膜時のインラインコートが好ましい。これは、量産性に優れ、アンカー層の密着性を高めることができるからである。
本実施態様においては、上記保護ハードコート層の内側に強度支持層が形成されていてもよい。強度支持層の形成位置としては、保護ハードコート層の内側であればいずれの位置に設置されていてもよいが、好ましくは各機能層間に設けられる。また、基板自体に強度支持層の機能が付与されていてもよい。
耐熱性としては、温度100℃で72時間保持する耐熱試験を行った場合に、耐熱試験前に対する耐熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。さらに、温度125℃で72時間保持する耐熱試験を行った場合に、耐熱試験前に対する耐熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。なお、耐熱試験は、JIS C60068-2-2に準ずるものとする。
耐湿熱性としては、あらかじめ温度40℃以上、湿度90%RH以上の条件に調整された恒温恒湿槽環境内に有機薄膜太陽電池を96時間以上保持する耐湿熱試験を行った場合に、耐湿熱試験前に対する耐湿熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。さらに、あらかじめ温度80℃以上、湿度80%RH以上の条件に調整された恒温恒湿槽環境内に有機薄膜太陽電池を500時間以上保持する耐湿熱試験を行った場合に、耐湿熱試験前に対する耐湿熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。なお、耐湿熱試験は、JIS C60068-2-3に準じ、楠本化成(株)製 環境試験機「HIFLEX αシリーズ FX424P」を用いて評価するものとする。
透明性としては、全光線透過率が70%以上、中でも85%以上であることが好ましい。なお、全光線透過率は、可視光領域において、スガ試験機株式会社製 SMカラーコンピュータ(型番:SM−C)を用いて測定した値である。
これは、有機薄膜太陽電池には優れた耐熱性、耐湿熱性、透過性が要求されるためである。
本実施態様においては、層構成に応じて、各層間に接着層が形成されていてもよい。
接着層は、耐熱性、耐湿熱性に優れるものである。
耐熱性としては、温度100℃で72時間保持する耐熱試験を行った場合に、耐熱試験前に対する耐熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。さらに、温度125℃で72時間保持する耐熱試験を行った場合に、耐熱試験前に対する耐熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。
耐湿熱性としては、あらかじめ温度40℃以上、湿度90%RH以上の条件に調整された恒温恒湿槽環境内に有機薄膜太陽電池を96時間以上保持する耐湿熱試験を行った場合に、耐湿熱試験前に対する耐湿熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。さらに、あらかじめ温度80℃以上、湿度80%RH以上の条件に調整された恒温恒湿槽環境内に有機薄膜太陽電池を500時間以上保持する耐湿熱試験を行った場合に、耐湿熱試験前に対する耐湿熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。
これは、有機薄膜太陽電池には優れた耐熱性、耐湿熱性が要求されるためである。なお、耐熱試験および耐湿熱試験については、上述したものと同様である。
本発明の有機薄膜太陽電池の第2実施態様は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、光電変換層および電荷取出し促進層を有する有機半導体層と、上記有機半導体層上に形成された第2電極層とを有することを特徴とする有機薄膜太陽電池であって、上記光電変換層および上記電荷取出し促進層間の界面が凹凸を有することを特徴とするものである。
図10は、本実施態様の有機薄膜太陽電池の一例を示す概略断面図である。図10に示す例において、有機薄膜太陽電池10は、基板1上に第1電極層2、有機半導体層3および第2電極層4が順次積層されたものである。有機半導体層3は、光電変換層13および電荷取出し促進層15を有し、光電変換層13および電荷取出し促進層15間の界面が凹凸を有する。
本実施態様に用いられる有機半導体層は、光電変換層および電荷取出し促進層を有するものであり、光電変換層および電荷取出し促進層の界面が凹凸を有する。具体的には、光電変換層および電荷取出し促進層の界面において中心線平均粗さ(Ra)が10nm〜1μmの範囲内であることが好ましく、中でも10nm〜500nmの範囲内、特に10nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。すなわち、中心線平均粗さ(Ra)が所定の範囲となる界面において下層となる光電変換層または電荷取出し促進層の表面の中心線平均粗さ(Ra)が上記範囲となることが好ましい。中心線平均粗さが上記範囲より小さいと、光電変換層および電荷取出し促進層間の密着性が低下し、かえって接触面積が減少してしまうおそれがあるからである。また、塗布法により、表面の中心線平均粗さが上記範囲より小さい光電変換層または電荷取出し促進層を形成するのは困難であるからである。一方、中心線平均粗さが上記範囲より大きいと、接触面積を増大させる効果が十分に得られない可能性があるからである。
なお、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法については、上記第1実施態様に記載した方法と同様である。
さらに、下層となる光電変換層または電荷取出し促進層の表面粗さは、粗さが小さいことが好ましい。粗さが大きすぎると、層間の密着性が低下し、かえって接触面積が減少してしまうおそれがある。
図11に示す有機薄膜太陽電池10では、基板1上に第1電極層2と有機半導体層3と第2電極層4とが順次積層されており、有機半導体層3が、電荷取り出し促進層15aと光電変換層13と電荷取出し促進層15bとがこの順に直接積層されたものとなっている。光電変換層13内部では電子および正孔が発生し、この電子および正孔は第1電極層2または第2電極層4に向かってそれぞれ逆方向に移動する。この場合、光電変換層13と第1電極層2および第2電極層4との間にそれぞれ電荷取出し促進層15aおよび15bが形成されているので、光電変換層13と第1電極層2および第2電極層4との界面における抵抗障壁を低減することができ、正孔および電子を効率良く取り出すことが可能である。
光電変換層が複数層積層されている場合、隣接する光電変換層の界面が凹凸を有していてもよい。この場合、隣接する光電変換層の界面の中心線平均粗さ(Ra)が10nm〜1μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10nm〜500nm、さらに好ましくは10nm〜300nmの範囲内である。隣接する光電変換層の接触面積を増加させて、電荷取出し効率をさらに高めることができるからである。
本実施態様に用いられる有機半導体層は、光電変換層および電荷取出し促進層を有するものである。この光電変換層は、電子正孔輸送層であってもよく、電子輸送層と正孔輸送層とが積層されたものであってもよい。
なお、例えば「A/B/C」とは、A,BおよびCの順に積層されていることを示す。
次に、本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法について説明する。
本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法は、基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、上記第1電極層上に、粘度が50cps〜6000cpsの範囲内である下層形成用塗工液を塗布して下層の塗膜を形成する下層形成工程、および、上記下層の塗膜上に上層の膜を形成する上層形成工程を有し、少なくとも二層の膜を有する有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記有機半導体層上に第2電極層を形成する第2電極層形成工程とを有することを特徴とするものである。
以下、有機薄膜太陽電池の製造方法における各工程について説明する。
本発明における第1電極層形成工程は、基板上に第1電極層を形成する工程である。
第1電極層の形成方法としては、一般的な電極の形成方法を用いることができ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、あるいは、CVD法等の乾式塗工法が挙げられる。また、ITO微粒子を含有する塗工液等を塗布する湿式塗工法を用いることもできる。
また、第1電極層のパターニング方法としては、第1電極層を所望のパターンに精度良く形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばフォトリソグラフィー法等を挙げることができる。
なお、第1電極層のその他の点については、上記「A.有機薄膜太陽電池」の第1電極層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明における有機半導体層形成工程は、所定の粘度を有する下層形成用塗工液を塗布して下層の塗膜を形成する下層形成工程と、上記下層の塗膜上に上層の膜を形成する上層形成工程とを有するものであり、少なくとも二層の膜を有する有機半導体層を形成する工程である。以下、有機半導体層形成工程における各工程について説明する。
本発明における下層形成工程は、所定の粘度を有する下層形成用塗工液を塗布して下層の塗膜を形成する工程である。
なお、粘度は、JIS Z 8803(1991)に準じ、単一円筒型回転粘度計を用いて測定した値である。
有機半導体材料は、重量平均分子量が10万以上であることが好ましく、より好ましくは30万以上、最も好ましくは50万以上である。また、重量平均分子量は500万以下であることが好ましく、より好ましくは300万以下である。重量平均分子量が小さすぎると、上層形成用塗工液中の溶媒に有機半導体材料が溶解してしまう可能性があるからである。逆に、重量平均分子量が大きすぎると、下層形成用塗工液の粘度が高くなりすぎる場合があるからである。
測定用カラム:Shodex社製 HF-2002 スチレン−ジビニルベンゼン共重合体
検出器:示差屈折率検出器(RI) 島津製作所社製 RID-6A
紫外吸収検出器 測定波長254nm 島津製作所社製 SPD-10A
測定条件:移動相 クロロホルム
流量 3ml/min
注入方法 2mlをシリンジにて注入
例えばポリフェニレンビニレン(MDMO−PPV;ポリ(2−メトキシ−5−(3´,7´−ジメチルオクチルオキシ)−1−4−フェニレンビニレン)を高分子量化する方法については、Thin Solid Films, 363, 98-101 (2002) に記載の方法を参考にすることができる。
熱可塑性樹脂材料としては、具体的にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等を挙げることができる。
熱硬化性樹脂材料としては、具体的にフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
また、電離放射線硬化性樹脂材料としては、紫外線硬化性樹脂材料、電子線硬化性樹脂材料等が挙げられる。紫外線硬化性樹脂材料としては、具体的にウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、エステルアクリレート、アクリレート、エポキシ、ビニルエーテル、オキセタン等を挙げることができる。電子線硬化性樹脂材料としては、具体的に不飽和ポリエステル、不飽和アクリル、ポリエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエン、ポリチオール等を挙げることができる。
例えば有機半導体材料が所定の重量平均分子量を有する場合、絶縁性樹脂材料の重量平均分子量は、有機半導体材料の重量平均分子量より小さくてもよい。絶縁性樹脂材料の重量平均分子量が上記有機半導体材料の重量平均分子量より小さくても、絶縁性樹脂材料が上層形成用塗工液に溶出等することはほとんどないと考えられるからである。この理由は明らかではないが、重量平均分子量が上記範囲である有機半導体材料を含有することにより、下層全体として下層中の構成材料が溶出等しにくくなると考えられる。
また例えば有機半導体材料が上述した重量平均分子量を有するものではない場合、絶縁性樹脂材料は、重量平均分子量が1万以上であることが好ましく、より好ましくは5万以上である。また、重量平均分子量は300万以下であることが好ましく、より好ましくは100万以下である。絶縁性樹脂材料の重量平均分子量が小さすぎると、上層形成用塗工液中の溶媒に絶縁性樹脂材料が溶解してしまう可能性があるからである。逆に、絶縁性樹脂材料の重量平均分子量が大きすぎると、下層形成用塗工液の粘度が高くなりすぎる場合があるからである。
なお、上記重量平均分子量の測定方法としては、上述した方法と同様である。
本発明における上層形成工程は、上記下層の塗膜上に上層の膜を形成する工程である。
上層の膜の形成方法としては、下層の塗膜上に均一な膜を形成できる方法であれば特に限定されるものではないが、下層の塗膜上に上層形成用塗工液を塗布して上層の塗膜を形成することが好ましい。このような工程であれば、表面に凹凸を有する下層の塗膜上に、表面凹凸に追随するように上層形成用塗工液を塗布することができ、上下の膜の密着性を高めることができるからである。
有機半導体材料は、形成しようとする層に応じて適宜選択される。本発明においては、上層の膜は、光電変換層を構成する電子正孔輸送層であってもよく、電子輸送層または正孔輸送層であってもよく、あるいは電荷取出し促進層であってもよいので、それぞれの層に応じた有機半導体材料が用いられる。なお、各層に用いられる有機半導体材料については、上記「A.有機薄膜太陽電池」の有機半導体層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
したがって、上層形成用塗工液中の溶媒が下層形成用塗工液中の溶媒に対して相溶性を有する場合には、本発明の効果が顕著に発揮される。
本発明においては、下層形成工程および上層形成工程を行うことにより、二層以上の膜を積層することが可能である。
例えば図4に示すように、三層の膜(13a,13b,13c)の全ての界面にて凹凸が存在するように三層の膜を積層する場合には、下層形成工程により一層目の膜(13a)を形成し、次いでまた下層形成工程により二層目の膜(13b)を形成し、最後に上層形成工程により三層目の膜(13c)を形成する。一層目および二層目の膜(13a,13b)を所定の重量平均分子量を有する有機半導体材料や絶縁性樹脂材料を用いて形成することで、三層目までを安定して積層することができるのである。このように、有機半導体層中の全ての膜の界面において凹凸が存在するように形成するには、下層形成工程および上層形成工程を行うことで複数層の膜を積層することが可能である。
第1層形成用塗工液を塗布して塗膜を形成する塗布法を用いる場合には、第1層形成用塗工液が、重量平均分子量が10万以上である有機半導体材料を含有することが好ましい。所定の重量平均分子量を有する有機半導体材料を用いることで、例えば図5において一層目の膜(13a)上に二層目の膜(13b)を安定して積層することができるからである。
また、第1層形成用塗工液は、有機半導体材料と絶縁性樹脂材料とを含有するものであってもよい。この場合も同様に、絶縁性樹脂材料を用いることで、例えば図5において一層目の膜(13a)の耐溶媒性を向上させることができ、二層目の膜(13b)を安定して積層することができるからである。
第2層形成用塗工液を塗布して塗膜を形成する塗布法を用いる場合、上記上層形成工程と同様にして膜を形成すればよい。
本発明における第2電極層形成工程は、上記有機半導体層上に第2電極層を形成する工程である。
第2電極層の形成方法としては、一般的な電極の形成方法を用いることができ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法等の乾式塗工法を挙げることができる。また、Ag等の金属コロイドを含有する金属ペースト等を用いて塗布する湿式塗工法を用いることもできる。
また、第2電極層のパターニング方法としては、第2電極層を所望のパターンに精度良く形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばフォトリソグラフィー法等を挙げることができる。
なお、第2電極層のその他の点については、上記「A.有機薄膜太陽電池」の第2電極層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
[実施例]
(第1電極層の形成)
ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム基板(厚み:125μm)の表面にPVD法によりSiO2薄膜を形成し、そのSiO2薄膜の上面に透明電極であるITO膜(膜厚:150nm、シート抵抗:20Ω/□)を圧力勾配型プラズマガンを用いた反応性イオンプレーティング法(パワー:3.7kW、製膜圧力:0.3Pa、製膜レート:150nm/min、基板温度:20℃)により製膜した後に、エッチングによりパターンニングした。次いで、ITOパターンが形成された基板をアセトン、基板洗浄液、IPAをそれぞれ用いて洗浄した。
正孔取出し層形成用塗工液(導電性高分子ペースト;ポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェンの水分散体)を、上記ITOパターンが形成された基板上にスピンコート法にて製膜し、150℃で30分間乾燥させて正孔取出し層(膜厚:100nm)を形成した。
次に、一層目の電子正孔輸送層を形成した。ポリアルキルチオフェン(P3HT;ポリ3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル(レジオレギュラー))の0.3wt%クロロホルム溶液と、ポリフェニレンビニレン(MDMO−PPV;ポリ(2−メトキシ−5−(3´,7´−ジメチルオクチルオキシ)−1−4−フェニレンビニレン))(重量平均分子量:120万)の0.3wt%クロロホルム溶液と、フラーレン(PCBM;1−(3−メトキシカルボニル)プロピル−1−フェニル(6、6)−C60)の0.1wt%クロロホルム溶液とを重量比3:5:2で混合し、混合溶液をφ1μmのろ紙でろ過して、一層目の電子正孔輸送層形成用塗工液を調製した。
この電子正孔輸送層形成用塗工液を上記正孔取出し層上にスピンコート法にて塗布し、110℃で10分間乾燥させて一層目の電子正孔輸送層(膜厚:30nm)を形成した。
電子正孔輸送層形成用塗工液を一層目の電子正孔輸送層上に回転数2000rpmの条件でスピンコート法にて塗布し、塗膜面に塗工液が一部残留している半乾燥状態のまま、無風下で基板側から温度110℃で10分間乾燥させて、二層目の電子正孔輸送層(膜厚:30nm)を形成した。この電子正孔輸送層の表面には凹凸が存在しており、中心線平均粗さ(Ra)は60nmであった。
この電子正孔輸送層形成用塗工液を二層目の電子正孔輸送層上にスピンコート法にて塗布し、110℃で10分間乾燥させて三層目の電子正孔輸送層(膜厚:30nm)を形成した。
次に、有機半導体層上に、Ca薄膜(膜厚:100nm)、Al薄膜(膜厚:500nm)を順次蒸着法にて製膜し、金属電極とした。
最後に、封止用ガラス材により金属電極の上から封止して、バルクヘテロ接合型の有機薄膜太陽電池を作製した。
2 … 第1電極層
3 … 有機半導体層
4 … 第2電極層
5 … 正孔取出し層
6 … 電子取出し層
10 … 有機薄膜太陽電池
13,13a,13b,13c … 光電変換層
15,15a,15b … 電荷取出し促進層
Claims (8)
- 基板と、前記基板上に形成された第1電極層と、前記第1電極層上に形成され、少なくとも二層の光電変換層を有する有機半導体層と、前記有機半導体層上に形成された第2電極層とを有する有機薄膜太陽電池であって、
前記光電変換層間の界面が凹凸を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池。 - 前記有機半導体層がさらに電荷取出し促進層を有することを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
- 基板と、前記基板上に形成された第1電極層と、前記第1電極層上に形成され、光電変換層および電荷取出し促進層を有する有機半導体層と、前記有機半導体層上に形成された第2電極層とを有する有機薄膜太陽電池であって、
前記光電変換層および前記電荷取出し促進層間の界面が凹凸を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池。 - 前記有機半導体層が塗膜であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の有機薄膜太陽電池。
- 前記第1電極層と前記有機半導体層との間に正孔取出し層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の有機薄膜太陽電池。
- 基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、
前記第1電極層上に、粘度が50cps〜6000cpsの範囲内である下層形成用塗工液を塗布して下層の塗膜を形成する下層形成工程、および、前記下層の塗膜上に上層の膜を形成する上層形成工程を有し、少なくとも二層の膜を有する有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、
前記有機半導体層上に第2電極層を形成する第2電極層形成工程と
を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。 - 前記上層形成工程が、前記下層の塗膜上に上層形成用塗工液を塗布して上層の塗膜を形成する工程であることを特徴とする請求項6に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
- 前記下層形成用塗工液が、重量平均分子量が10万以上である有機半導体材料を含有することを特徴とする請求項7に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
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