JP2007073716A - 光電変換材料および有機薄膜太陽電池 - Google Patents

光電変換材料および有機薄膜太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、高効率の有機薄膜太陽電池を提供することを主目的とする。
【解決手段】 本発明は、導電性を有する単量体単位を少なくとも含む共重合体であって、ストークスシフトが0.2eV以上である導電性高分子材料からなることを特徴とする光電変換材料を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、共重合体を含む光電変換層を有する有機薄膜太陽電池に関するものである。
有機薄膜太陽電池は、2つの異種電極間に、電子供与性および電子受容性の機能を有する有機薄膜を配置してなる太陽電池であり、シリコンなどに代表される無機太陽電池に比べて製造工程が容易であり、かつ低コストで大面積化が可能であるという利点を持つ。しかしながら、光電変換効率が低いことから実用に供することは困難であり、有機薄膜太陽電池においては、光電変換効率の高効率化が最大の課題となっている。
一般的な有機薄膜太陽電池としては、例えば透明基板と、透明電極層と、電子供与体および電子受容体として機能する光電変換層と、金属電極層とが順次積層されたものが挙げられる。この光電変換層には導電性高分子材料が用いられており、高効率化のために導電性高分子材料のさらなる開発が試みられている。
例えば導電性高分子材料の1種であるポリチオフェンは、導電性が高く、電荷輸送特性に優れている。しかしながら、ポリチオフェンは、周囲の酸素によって酸化的にドープされ、導電率が増大してしまうため空気に触れると安定ではないと考えられる。このように、導電性高分子材料の多くは、有機薄膜太陽電池に適用する場合に要求される光吸収特性、電荷分離特性、電荷輸送特性、耐酸化特性、および耐水特性等のいずれかの特性に劣る場合があるため、高効率化の妨げとなっていた。
なお、本発明に関する先行技術文献は、発見されていない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高効率の有機薄膜太陽電池を提供することを主目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、導電性を有する単量体単位を少なくとも含む共重合体であって、ストークスシフトが0.2eV以上である導電性高分子材料からなることを特徴とする光電変換材料を提供する。
ストークスシフトが比較的大きい場合には、基底状態と励起状態の熱安定構造が比較的大きく異なると想定されるので、基底状態から励起状態、または励起状態から基底状態となるときの構造変化に十分に長い寿命をもつことになり、電子供与体と電子受容体の衝突頻度が高くなると考えられる。したがって本発明においては、ストークスシフトを上記範囲とすることにより、電荷分離が促進され、発電効率が向上するものと想定される。
また本発明においては、上記単量体単位が、チオフェン環、フルオレン環、フェニレンビニレン基、およびフェニレンエチニレン基からなる群から選択される1つを含むことが好ましい。チオフェン環は電荷輸送性に優れ、フルオレン環は耐酸化性や耐水性に優れ、フェニレンビニレン基は電荷分離性および電荷輸送性に優れ、フェニレンエチニレン基は耐酸化性に優れるからである。
本発明は、また、フルオレン−チオフェン共重合体からなることを特徴とする光電変換材料を提供する。フルオレン−チオフェン共重合体は、空気に曝されても耐酸化性および耐水性が高いので、品質劣化が防止され、特に化学的に安定なものとすることができる。
さらに本発明は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、上述した光電変換材料を含有する光電変換層と、上記光電変換層上に形成された第2電極層とを有することを特徴とする有機薄膜太陽電池を提供する。
本発明の有機薄膜太陽電池は、上述した光電変換材料を含有する光電変換層を用いているので、光吸収特性、電荷分離特性、電荷輸送特性、耐酸化特性、耐水特性等に優れており、これにより光電変換効率を向上させることができる。
上記発明においては、上記光電変換層が塗膜であることが好ましい。すなわち、光電変換層が、塗布法により形成されたものであることが好ましい。塗布法では、簡便な方法で製膜可能であり、また蒸着法等のように真空設備を必要としないため製造コストの削減が図れるからである。
本発明においては、ストークスシフトが所定の範囲である光電変換材料を用いることにより、電荷分離が促進され、発電効率が向上するという効果を奏する。
以下、本発明の光電変換材料および有機薄膜太陽電池について詳細に説明する。
A.光電変換材料
本発明の光電変換材料は、2つの実施態様に分けることができる。本発明の光電変換材料の第1実施態様は、導電性を有する単量体単位を少なくとも含む共重合体であって、ストークスシフトが所定の範囲である導電性高分子材料からなることを特徴とする。また、本発明の光電変換材料の第2実施態様は、フルオレン−チオフェン共重合体からなることを特徴とする。以下、各実施態様に分けて説明する。
1.第1実施態様
本発明の光電変換材料の第1実施態様は、導電性を有する単量体単位を少なくとも含む共重合体であって、ストークスシフトが0.2eV以上である導電性高分子材料からなることを特徴とするものである。
ここで、導電性高分子はいわゆるπ共役高分子であり、炭素−炭素またはヘテロ原子を含む二重結合または三重結合が、単結合と交互に連なったπ共役系から成り立っており、半導体的性質を示すものである。導電性高分子材料は、高分子主鎖内にπ共役が発達しているため主鎖方向への電荷輸送が基本的に有利である。また、導電性高分子材料は、導電性高分子材料を溶媒に溶解もしくは分散させた塗工液を用いることにより塗布法により容易に製膜可能であることから、大面積の有機薄膜太陽電池を高価な設備を必要とせず低コストで製造できるという利点がある。
また、通常、ルミネッセンスは光吸収より低エネルギー側に現れる。これは、励起状態において電子は周囲の原子との相互作用によってエネルギーの一部を失ったのちに発光するためである。これをストークスの法則と呼ぶ。また、光吸収と発光の見られる光子エネルギーの差のことをストークスシフトと呼ぶ。
有機分子の場合、π電子が光吸収によってπ反結合軌道へ励起されると、C−Cの結合長などが変化する。その結合長でのπ反結合軌道とπ結合軌道のエネルギー差はもとの結合長の場合と比べて小さくなるはずである(図1参照)。
図1の縦軸は分子全体のエネルギーEを、横軸は結合長などを象徴する配位座標Qを、それぞれ示している。πへ1つ電子が励起されると、安定な結合長が変化するため実線で示した2つの放物線の底がずれる。電子と原子の質量が1000倍以上違うことから、光遷移過程では原子は静止していると考えてよい(フランク・コンドンの原理)。図1から明らかに、左側の実線の矢印で示した光吸収の起きるエネルギーと右側の実線の矢印で示した発光のエネルギーは異なる。これがストークスシフトであり、シフト量はπ電子と分子変形の相互作用の大きさによって変わる。
ストークスシフトが大きいということは、基底状態と励起状態の熱安定構造が大幅に異なるということができる。そのため、基底状態から励起状態、または励起状態から基底状態となるときの構造変化に十分に長い寿命をもつと想定され、電子供与体と電子受容体の衝突頻度が高くなると考えられる。これにより、電荷分離が促進され、発電効率が向上するものと考えられる。
本発明における導電性高分子材料のストークスシフトは、0.2eV以上であり、好ましくは0.3eV以上であり、特に好ましくは0.7eV以上である。ストークスシフトが上記範囲であれば、上述したように、電荷分離が促進されると考えられ、発電効率を向上させることができるからである。また、ストークスシフトは大きければ大きいほどよいが、通常は上限が1.5eV程度である。
なお、上記ストークスシフトは、導電性高分子材料の吸収波長および発光波長を測定し、下記式により波長からエネルギーに換算して、吸収エネルギーおよび発光エネルギーを算出し、吸収エネルギーと発光エネルギーの差を求めることにより得られる値である。
換算式:E(keV)=1.24/λ(nm)
(E:エネルギー、λ:波長)
本発明における共重合体に含まれる単量体単位としては、導電性を有し、π共役系をもつ環式構造を含むものであれば特に限定されるものではなく、例えば同素環または複素環のいずれを含むものであってもよく、また例えば単環または多環のいずれを含むものであってもよく、さらに例えばベンゼン環または縮合環のいずれを含むものであってもよい。
上記単量体単位の炭素数としては、通常4〜60程度である。なお、炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
このような単量体単位としては、例えばチオフェン環、フルオレン環、フェニレンビニレン基、またはフェニレンエチニレン基のいずれかを含むものが好ましく用いられる。チオフェン環は電荷輸送性に優れ、フルオレン環は耐酸化性および耐水性に優れ、フェニレンビニレン基は電荷分離性および電荷輸送性に優れ、フェニレンエチニレン基は耐酸化性に優れるからである。
また、上記単量体単位は、例えばアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールシリル基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルシリル基、アリールアルキルアミノ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、フェニルエテニル基、アルキルフェニルエテニル基、アルコキシフェニルエテニル基等の置換基を有していてもよい。これらの置換基の中ではアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルアミノ基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基がさらに好ましく、アルキル基、アルコキシ基が最も好ましい。
上記単量体単位として具体的には、下記式で示されるものが挙げられる。
Figure 2007073716
ここで、Rは、水素原子または直鎖のアルキル基であり、好ましくは水素原子または−(CHCHである。Rは、直鎖のアルキル基であり、好ましくは−(CHCHである。Rは、アルキル基であり、好ましくは−CHCH(C)(CHCH、−(CHCH(CH)(CHCH(CH、または−(CH17CHである。Rは、アルキル基であり、好ましくは−CHCH(C)(CHCH、−(CHCH(CH)(CHCH(CH、または−CHである。Rは、直鎖のアルキル基であり、好ましくは−(CHCHである。
本発明における共重合体は、重量平均分子量が1000〜300万程度であることが好ましい。重量平均分子量が、上記範囲未満であると製膜できないおそれがあり、上記範囲を超えると光電変換材料の粘度が高くなって均一な膜を形成するのが困難となるからである。
なお、上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。測定条件を下記に示す。
測定用カラム:Shodex社製 HF-2002 スチレン−ジビニルベンゼン共重合体
検出器:示差屈折率検出器(RI) 島津製作所社製 RID-6A
紫外吸収検出器 測定波長254nm 島津製作所社製 SPD-10A
測定条件:移動相 クロロホルム
流量 3ml/min
注入方法 2mlをシリンジにて注入
また、上記共重合体の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、有機薄膜太陽電池にしたときの性能が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていてもよい。主鎖のπ共役をもつ環式構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく、例えば炭素−炭素結合を介してアリール基または複素環と結合している構造が例示される。
上記共重合体は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、それらの中間的な構造を有する共重合体、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。量子収率の高い導電性高分子材料を得る観点からは、完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合体が好ましい。さらに共重合体は、主鎖に枝分かれがあり、末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーであってもよい。
本発明における共重合体は、電荷分離特性や電荷輸送特性等を損なわない範囲で、上記の導電性を有する単量体単位以外の単量体単位を含んでいてもよい。
また、上記単量体単位が非共役の単位で連結されていてもよいし、上記単量体単位に非共役部分が含まれていてもよい。上記単量体単位の連結基としては、−O−、−S−、−N(−R)−、−B(−R)−、−Si(−R)−、−C(−R)−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−N(−R)−C(=O)−、−C(=O)−N(−R)−、−C≡C−などが挙げられる。ここで、Rは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜60のアリール基および炭素数4〜60の複素環からなる群から選ばれる基を示す。
このような共重合体としては、例えばフルオレン−チオフェン共重合体、チオフェン−フェニレンビニレン共重合体、フェニレンエチニレン−チオフェン共重合体、フルオレン−フェニレンビニレン共重合体、フェニレンエチニレン−フルオレン共重合体、フェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体等が挙げられる。具体的には、下記式で示される共重合体が挙げられる。
Figure 2007073716
ここで、Rは、水素原子または直鎖のアルキル基であり、好ましくは水素原子または−(CHCHである。Rは、直鎖のアルキル基であり、好ましくは−(CHCHである。Rは、アルキル基であり、好ましくは−CHCH(C)(CHCH、−(CHCH(CH)(CHCH(CH、または−(CH17CHである。Rは、アルキル基であり、好ましくは−CHCH(C)(CHCH、−(CHCH(CH)(CHCH(CH、または−CHである。Rは、直鎖のアルキル基であり、好ましくは−(CHCHである。
さらに具体的には、下記式で示される共重合体が挙げられる。
Figure 2007073716
中でも、フルオレン−チオフェン共重合体、チオフェン−フェニレンビニレン共重合体、フェニレンエチニレン−チオフェン共重合体、フルオレン−フェニレンビニレン共重合体、フェニレンエチニレン−フルオレン共重合体、およびフェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体は、多くの電子受容性の有機半導体材料に対して、エネルギー準位差が適当であるため、電子供与性の導電性高分子材料として好適に用いることができる。
また、本発明の光電変換材料を用いて有機薄膜太陽電池における光電変換層を形成した場合、光電変換層の電気伝導性が良好であることが好ましい。電気伝導性が良好であれば、有機薄膜太陽電池に必要な電荷輸送性を得ることができるからである。
本発明の光電変換材料に対する良溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、n−ブチルベンゼンなどが挙げられる。本発明の光電変換材料は、共重合体の構造や重量平均分子量にもよるが、通常これらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
また、本発明の光電変換材料を有機薄膜太陽電池の光電変換層に使用する場合、電気を利用するので、固体状態で光吸収特性、電荷分離特性および電荷輸送性を有するものが好適に用いられる。この場合、共重合体の純度がこれらの特性に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製したのちに重合することが好ましく、また合成後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
本発明における共重合体の合成方法としては、例えばモノマーからSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法、FeCl等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、あるいは適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法などが例示される。これらのうち、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法が、反応制御が容易であり、好ましく、Ni(0)触媒により重合する方法が最も好ましい。
例えばフェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体(Poly[1,4-phenyleneethynylene-1,4-(2,5-dioctadodecyloxyphenylene)-1,4-phenyleneethene-1,2-diyl-1,4-(2,5-dioctadodecyloxyphenylene)ethene-1,2-diyl])の合成方法については、Macromolecules, 35, 3825 (2002) や、Mcromol. Chem. Phys., 202, 2712 (2001) に記載の方法を参考にすることができる。
2.第2実施態様
本発明の光電変換材料の第2実施態様は、フルオレン−チオフェン共重合体からなることを特徴とするものである。
チオフェンは電荷輸送性に優れるものの耐酸化性や耐水性に劣り、フルオレンは耐酸化性および耐水性に優れるものの電荷輸送性がチオフェンほど高くないが、フルオレン−チオフェン共重合体とすることにより、電荷輸送性、耐酸化性、耐水性のいずれにも優れる光電変換材料を得ることができる。このようにフルオレン−チオフェン共重合体は、空気に曝されても耐酸化性および耐水性が高いので、品質劣化が防止され、特に化学的に安定である。
本発明におけるフルオレン−チオフェン共重合体は、フルオレン環を含む単量体単位とチオフェン環を含む単量体単位とを有するものである。このフルオレン環を含む単量体単位およびチオフェン環を含む単量体単位は、置換基を有していてもよい。なお、置換基については、上記第1実施態様に記載したものと同様である。
チオフェン環を含む単量体単位として具体的には、下記式で示される基が挙げられる。
Figure 2007073716
ここで、Rは、水素原子または直鎖のアルキル基であり、好ましくは水素原子または−(CHCHである。
フルオレン環を含む単量体単位として具体的には、下記式で示される基が挙げられる。
Figure 2007073716
ここで、Rは、直鎖のアルキル基であり、好ましくは−(CHCHである。
本発明におけるフルオレン−チオフェン共重合体は、重量平均分子量が1000〜300万程度であることが好ましい。重量平均分子量が、上記範囲未満であると製膜できないおそれがあり、上記範囲を超えると光電変換材料の粘度が高くなって均一な膜を形成するのが困難となるからである。なお、上記重量平均分子量の測定方法については、上記第1実施態様に記載したものと同様である。
また、上記フルオレン−チオフェン共重合体の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、有機薄膜太陽電池にしたときの性能が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていてもよい。
上記フルオレン−チオフェン共重合体は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、それらの中間的な構造を有する共重合体、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。量子収率の高い導電性高分子材料を得る観点からは、完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合体が好ましい。さらにフルオレン−チオフェン共重合体は、主鎖に枝分かれがあり、末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーであってもよい。
本発明におけるフルオレン−チオフェン共重合体は、電荷分離特性や電荷輸送特性等を損なわない範囲で、フルオレン環を含む単量体単位およびチオフェン環を含む単量体単位以外の単量体単位を含んでいてもよい。
また、これらの単量体単位が非共役の単位で連結されていてもよいし、単量体単位に非共役部分が含まれていてもよい。なお、単量体単位の連結基については、上記第1実施態様に記載したものと同様である。
このようなフルオレン−チオフェン共重合体としては、具体的に下記式で示されるものが挙げられる。
Figure 2007073716
ここで、Rは、水素原子または直鎖のアルキル基であり、好ましくは水素原子または−(CHCHである。Rは、直鎖のアルキル基であり、好ましくは−(CHCHである。
さらに具体的には、下記式で示されるものが挙げられる。
Figure 2007073716
また、本発明の光電変換材料を用いて有機薄膜太陽電池における光電変換層を形成した場合、光電変換層の電気伝導性が良好であることが好ましい。電気伝導性が良好であれば、有機薄膜太陽電池に必要な電荷輸送性を得ることができるからである。
本発明の光電変換材料に対する良溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、n−ブチルベンゼンなどが挙げられる。本発明の光電変換材料は、フルオレン−チオフェン共重合体の構造や重量平均分子量にもよるが、通常これらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
また、本発明の光電変換材料を有機薄膜太陽電池の光電変換層に使用する場合、電気を利用するので、固体状態で光吸収特性、電荷分離特性および電荷輸送性を有するものが好適に用いられる。この場合、フルオレン−チオフェン共重合体の純度がこれらの特性に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製したのちに重合することが好ましく、また合成後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
本発明におけるフルオレン−チオフェン共重合体の合成方法としては、例えばモノマーからSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法、FeCl等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、あるいは適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法などが例示される。これらのうち、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法が、反応制御が容易であり、好ましく、Ni(0)触媒により重合する方法が最も好ましい。
B.有機薄膜太陽電池
次に、本発明の有機薄膜太陽電池について説明する。
本発明の有機薄膜太陽電池は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、上述した光電変換材料を含有する光電変換層と、上記光電変換層上に形成された第2電極層とを有することを特徴とするものである。
本発明の有機薄膜太陽電池は、上述した光電変換材料を含有する光電変換層を用いているので、光吸収特性、電荷分離特性、電荷輸送特性、耐酸化特性、耐水特性等に優れており、これにより光電変換効率を向上させることができる。
本発明の有機薄膜太陽電池について図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明の有機薄膜太陽電池の一例を示す概略断面図である。図2に示す例において、有機薄膜太陽電池10は、基板1上に第1電極層2、光電変換層3および第2電極層4が順次積層されたものである。
以下、このような有機薄膜太陽電池の各構成について説明する。
1.光電変換層
本発明に用いられる光電変換層は、上述した光電変換材料を含有するものである。ここで、「光電変換層」とは、電子受容性および電子供与性の両方の機能を有する層であり、有機薄膜太陽電池の電荷分離に寄与し、生じた電子および正孔を各々反対方向の電極に向かって輸送する機能を有する部材をいう。光電変換層内で形成されるpn接合を利用して電荷分離が生じるのである。
光電変換層は、電子供与性および電子受容性のいずれも有するものであるが、上述した光電変換材料のもつ性質は共重合体の構造等により異なるため、光電変換材料のもつ性質に応じて光電変換層の構成材料が適宜選択される。例えば上記光電変換材料が電子供与性を有する場合、光電変換層は、電子供与性の光電変換材料と、電子受容性の有機半導体材料とを含有するものとなる。また例えば上記光電変換材料が電子受容性を有する場合、光電変換層は、電子受容性の光電変換材料と、電子供与性の有機半導体材料とを含有するものとなる。さらに例えば上記光電変換材料が電子供与性および電子受容性のいずれも有する場合、光電変換層は、電子供与性および電子受容性の光電変換材料を含有するものとなる。
電子供与性を有する光電変換材料としては、上記「A.光電変換材料」の項に記載した中でも、フルオレン−チオフェン共重合体、チオフェン−フェニレンビニレン共重合体、フェニレンエチニレン−チオフェン共重合体、フルオレン−フェニレンビニレン共重合体、フェニレンエチニレン−フルオレン共重合体、フェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体等が好ましく用いられる。これらは、多くの電子受容性の有機半導体材料に対して、エネルギー準位差が適当であるからである。
フルオレン−チオフェン共重合体の具体例としては、(Poly[(9,9-dihexylfluorenyl-2,7-diyl)-co-(bithiophene)]等が挙げられる。
光電変換材料が電子供与性を有する場合に用いられる電子受容性の有機半導体材料としては、電子受容体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、塗布法により製膜可能なものであることが好ましく、中でも電子供与性の導電性高分子材料であることが好ましい。導電性高分子材料は、高分子主鎖内にπ共役が発達しているため主鎖方向への電荷輸送が基本的に有利である。また、導電性高分子材料は、導電性高分子材料を溶媒に溶解もしくは分散させた塗工液を用いることにより塗布法により容易に製膜可能であることから、大面積の有機薄膜太陽電池を高価な設備を必要とせず低コストで製造できるという利点がある。
電子受容性の導電性高分子材料としては、例えばポリフェニレンビニレン、ポリフルオレン、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの共重合体、あるいは、カーボンナノチューブ、フラーレン誘導体、CN基またはCF基含有ポリマーおよびそれらの−CF置換ポリマー等を挙げることができる。ポリフェニレンビニレン誘導体の具体例としては、CN−PPV(Poly[2-Methoxy-5-(2´-ethylhexyloxy)-1,4-(1-cyanovinylene)phenylene])、MEH−CN−PPV(Poly[2-Methoxy-5-(2´-ethylhexyloxy)-1,4-(1-cyanovinylene)phenylene])等が挙げられる。
また、電子受容性を有する光電変換材料としては、用いる電子供与性の有機半導体材料に応じて、上記「A.光電変換材料」の項に記載した中から適宜選択することができる。
光電変換材料が電子受容性を有する場合に用いられる電子供与性の有機半導体材料としては、電子供与体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、塗布法により製膜可能なものであることが好ましく、中でも電子供与性の導電性高分子材料であることが好ましい。導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。
電子供与性の導電性高分子材料としては、例えばポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリシラン、ポリチオフェン、ポリカルバゾール、ポリビニルカルバゾール、ポルフィリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの共重合体、あるいは、フタロシアニン含有ポリマー、カルバゾール含有ポリマー、有機金属ポリマー等を挙げることができる。
さらに、電子供与性および電子受容性を有する光電変換材料としては、電子供与性化合物がドープされた電子受容性の光電変換材料や、電子受容性化合物がドープされた電子供与性の光電変換材料等を用いることができる。
ドープされる電子供与性化合物としては、例えばLi、K、Ca、Cs等のアルカリ金属やアルカリ土類金属のようなルイス塩基を用いることができる。なお、ルイス塩基は電子供与体として作用する。
また、ドープされる電子受容性化合物としては、例えばFeCl(III)、AlCl、AlBr、AsFやハロゲン化合物のようなルイス酸を用いることができる。なお、ルイス酸は電子受容体として作用する。
効率良く電荷を発生させるためには、光電変換層内にて電子供与性の材料および電子受容性の材料が均一に分散されていることが好ましい。この際、電子供与性の材料および電子受容性の材料の混合比は、使用する材料の種類により最適な混合比に適宜調整される。
光電変換層の膜厚は、一般的にバルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池において採用されている膜厚であれば特に限定されるものではないが、具体的には0.2nm〜3000nmの範囲内で設定することができ、好ましくは1nm〜600nmの範囲内である。光電変換層の膜厚が上記範囲より厚いと、光電変換層における体積抵抗が高くなる可能性があり、また光電変換層の膜厚が上記範囲より薄いと、電極間で短絡が生じる可能性があるからである。
また本発明においては、光電変換層が複数層積層されていてもよい。複数層の光電変換層が直接積層された有機薄膜太陽電池では、各光電変換層に互いに異なる吸収波長領域を有する光電変換材料や有機半導体材料をそれぞれ用いることができるので、有機薄膜太陽電池全体として吸収波長領域を広げることができる。また、各光電変換層に同一の吸収波長領域を有する光電変換材料や有機半導体材料を用いた場合には、一層のみの光電変換層を有する有機薄膜太陽電池に比べて、複数層の光電変換層を有する有機薄膜太陽電池では厚みが厚くなるので、厚みの増加に伴って吸光度を大きくすることもできると考えられる。したがって、複数層の光電変換層を直接積層することにより、広範囲の波長領域にわたって発電が可能であり、また、高い光電変換効率を実現できる有機薄膜太陽電池とすることができる。
ここで、図3に、有機薄膜太陽電池の一例を示す。2つの電極層21,23の間に光電変換層22を挟んだ構成の有機薄膜太陽電池Sにおいて、光電変換層22にある光エネルギーLを照射することでJの電流が生じ、Vの起電力が得られるとする(図3(a))。この有機薄膜太陽電池Sを2個直列に接続し、そこに2Lの光エネルギーを照射したとき、仮に2個それぞれの有機薄膜太陽電池Sに対して等価な光エネルギー(=2L/2=L)を供給することができるとすれば、2倍の起電力(=2V)を得ることができる(図3(b))。すなわち、直列につないだ複数の有機薄膜太陽電池がどれも光吸収できるのであれば、その分起電力は増えるのである。
本発明においては、例えば光電変換層22a,22bを直接積層することにより、擬似的には、二つの有機薄膜太陽電池を直列につないだ場合と同程度の起電力2Vを得ることができると期待される(図3(c))。したがって、光電変換効率を高めることができ、さらに理想的には複数の有機薄膜太陽電池を直列につなぐのではなく、一つの有機薄膜太陽電池として利用することができる。
このように本発明においては、光電変換層を複数層積層することにより、光の有効利用を実現できる。
光電変換層が複数層積層されている場合、光電変換層の積層数としては2層以上であればよいが、中でも2層〜5層程度であることが好ましく、より好ましくは2層または3層である。積層数が多すぎると、透過率が低下し、光の利用効率が低下するからである。
また、光の有効利用を実現するには、光電変換材料や有機半導体材料の吸収波長領域を適宜選択すればよい。光電変換層は電子供与性の材料と電子受容性の材料とを含有するので、電子供与性の材料と電子受容性の材料のいずれか一方が、所定の吸収極大波長を有するものであればよい。この際、電子供与性の材料が所定の吸収極大波長を有するものである場合は、電子受容性の材料は、上記電子供与性の材料とpn接合を形成して電荷分離を生じさせるものであれば特に限定されるものではない。同様に、電子受容性の材料が所定の吸収極大波長を有するものである場合は、電子供与性の材料は、上記電子受容性の材料とpn接合を形成して電荷分離を生じさせるものであれば特に限定されるものではない。
光電変換層に互いに異なる吸収波長領域を有する電子供与性の材料を用いる場合には、太陽光(白色光)を広範囲で吸収するために、各々の電子供与性の材料のもつ吸収極大波長が50nm程度以上異なることが好ましい。
またこの場合、光電変換層が三層積層されていることが特に好ましい。例えば一層目に赤色の波長領域に吸収極大波長をもつ電子供与性の材料を用い、二層目に緑色の波長領域に吸収極大波長をもつ電子供与性の材料を用い、三層目に青色の波長領域に吸収極大波長をもつ電子供与性の材料を用いることにより、太陽光(白色光)をより広範囲で吸収することができるからである。
本発明に用いられる光電変換層の形成方法としては、所定の膜厚に均一に形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、塗布法が好適に用いられる。すなわち、光電変換層は塗膜であることが好ましい。なお、本発明において「塗膜」とは、塗布法により形成されるものをいい、例えば塗工液を用いて塗布することにより形成されるものをいう。
塗布法により光電変換層を形成する場合には、光電変換材料を溶媒に分散させて光電変換層形成用塗工液を調製し、この光電変換層形成用塗工液を塗布することにより光電変換層を形成することができる。
光電変換層形成用塗工液に用いられる溶媒としては、光電変換材料を分散可能なものであれば特に限定されるものではない。
上記光電変換層形成用塗工液の塗布方法としては、例えばダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、ビードコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等を挙げることができる。中でも、スピンコート法またはダイコート法が好ましく用いられる。これらの方法は、光電変換層を所定の膜厚となるように精度良く形成することができるからである。
また、光電変換層が複数層積層されている場合には、下層の光電変換層に含まれる光電変換材料の重量平均分子量が比較的高いことが好ましい。これにより、例えば上層の光電変換層形成用塗工液中の溶媒に下層の光電変換層の構成成分が溶出するのを抑制することができ、上層の光電変換層形成用塗工液に使用される溶媒が制限されることないという利点を有するからである。したがって、このような方法を採ることにより、数多くの光電変換層を積層することが可能である。
光電変換材料の重量平均分子量としては、10万以上であることが好ましく、より好ましくは30万以上、最も好ましくは50万以上であり、また500万以下であることが好ましく、より好ましくは300万以下である。光電変換材料の重量平均分子量が小さすぎると、上層の光電変換層形成用塗工液中の溶媒に光電変換材料が溶解してしまう可能性があるからである。逆に、光電変換材料の重量平均分子量が大きすぎると、下層の光電変換層形成用塗工液の粘度が高くなり、均一な塗膜を形成しにくい場合があるからである。
なお、上記重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値である。測定条件を下記に示す。
測定用カラム:Shodex社製 HF-2002 スチレン−ジビニルベンゼン共重合体
検出器:示差屈折率検出器(RI) 島津製作所社製 RID-6A
紫外吸収検出器 測定波長254nm 島津製作所社製 SPD-10A
測定条件:移動相 クロロホルム
流量 3ml/min
注入方法 2mlをシリンジにて注入
また、下層の光電変換層が、光電変換材料に加えて、所定の重量平均分子量をもつ高分子材料を含有していてもよい。高分子材料としては、上層の光電変換層形成用塗工液中の溶媒に溶解しないものであれば特に限定されるものではなく、上層の光電変換層形成用塗工液に使用する溶媒の種類によって適宜選択される。具体的には、電子供与性の有機半導体材料や電子受容性の有機半導体材料、あるいは、絶縁性樹脂材料などが挙げられる。
絶縁性樹脂材料としては、下層の光電変換層の耐溶媒性を向上させ、膜強度を高めるものであれば特に限定されるものではなく、例えば熱可塑性樹脂材料、熱硬化性樹脂材料、電離放射線硬化性樹脂材料などが挙げられる。
熱可塑性樹脂材料としては、具体的にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等を挙げることができる。
熱硬化性樹脂材料としては、具体的にフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
また、電離放射線硬化性樹脂材料としては、紫外線硬化性樹脂材料、電子線硬化性樹脂材料等が挙げられる。紫外線硬化性樹脂材料としては、具体的にウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、エステルアクリレート、アクリレート、エポキシ、ビニルエーテル、オキセタン等を挙げることができる。電子線硬化性樹脂材料としては、具体的に不飽和ポリエステル、不飽和アクリル、ポリエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエン、ポリチオール等を挙げることができる。
上記絶縁性樹脂材料は、重量平均分子量が1万以上であることが好ましく、より好ましくは5万以上である。また、重量平均分子量は300万以下であることが好ましく、より好ましくは100万以下である。絶縁性樹脂材料の重量平均分子量が小さすぎると、上層の光電変換層形成用塗工液中の溶媒に絶縁性樹脂材料が溶解してしまう可能性があるからである。逆に、絶縁性樹脂材料の重量平均分子量が大きすぎると、下層の光電変換層形成用塗工液の粘度が高くなり、均一な塗膜を形成しにくい場合があるからである。
なお、上記重量平均分子量の測定方法としては、上述した方法と同様である。
上述した光電変換材料や高分子材料が所定の重量平均分子量となるように高分子量化する方法としては、一般的に用いられている方法を採用することができ、例えば酸化重合法、電解重合法、蒸着重合法、化学重合法、エネルギー照射重合法などが挙げられる。高分子量化する方法は、光電変換材料や高分子材料の種類によって適宜選択される。例えばポリフェニレンビニレン(MDMO−PPV;ポリ(2−メトキシ−5−(3´,7´−ジメチルオクチルオキシ)−1−4−フェニレンビニレン)を高分子量化する方法については、Thin Solid Films, 363, 98-101 (2002) に記載の方法を参考にすることができる。
さらに、光電変換層を複数層積層する場合には、上記の方法とともに、溶媒に対する溶解度の差を利用する方法を部分的に併用してもよい。例えば、光電変換層を三層積層する場合、一層目の光電変換層上に二層目の光電変換層を形成する際には溶媒に対する溶解度の差を利用する方法を適用し、二層目の光電変換層上に三層目の光電変換層を形成する際には上記の方法を適用することができる。
2.第1電極層
本発明に用いられる第1電極層の形成材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されないが、光の照射方向や、後述する第2電極層の形成材料の仕事関数等を考慮して適宜選択することが好ましい。
例えば第2電極層の形成材料を仕事関数の低い材料とした場合には、第1電極層の形成材料は仕事関数の高い材料であることが好ましい。仕事関数の高い材料としては、例えばAu、Ag、Co、Ni、Pt、C、ITO、SnO、フッ素をドープしたSnO、ZnO等を挙げることができる。
また、基板側を受光面とした場合には、第1電極層を透明電極とすることが好ましい。この場合、一般的に透明電極として使用されているものを用いることができる。具体的には、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O等を挙げることができる。
本発明おいては、第1電極層の全光線透過率が85%以上、中でも90%以上、特に92%以上であることが好ましい。基板側を受光面とした場合、第1電極層の全光線透過率が上記範囲であることにより、第1電極層にて光を十分に透過することができ、光電変換層にて光を効率的に吸収することができるからである。
なお、上記全光線透過率は、可視光領域において、スガ試験機株式会社製 SMカラーコンピュータ(型番:SM−C)を用いて測定した値である。
また、本発明においては、第1電極層のシート抵抗が20Ω/□以下、中でも10Ω/□以下、特に5Ω/□以下であることが好ましい。シート抵抗が上記範囲より大きい場合、発生した電荷を十分に外部回路へ伝達できない可能性があるからである。
なお、上記シート抵抗は、三菱化学株式会社製 表面抵抗計(ロレスタMCP:四端子プローブ)を用い、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の低効率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、測定した値である。
上記第1電極層は、単層であってもよく、また異なる仕事関数の材料を用いて積層されたものであってもよい。
この第1電極層の膜厚としては、単層である場合はその膜厚が、複数層からなる場合は総膜厚が、0.1〜500nmの範囲内、中でも1nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。膜厚が上記範囲より薄い場合は、第1電極層のシート抵抗が大きくなりすぎ、発生した電荷を十分に外部回路へ伝達できない可能性があり、一方、膜厚が上記範囲より厚い場合には、全光線透過率が低下し、光電変換効率を低下させる可能性があるからである。
また、上記第1電極層は、基板上に全面に形成されていてもよく、パターン状に形成されていてもよい。
第1電極層の形成方法としては、一般的な電極の形成方法を用いることができ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、またはCVD法などを挙げることができる。
3.第2電極層
本発明に用いられる第2電極層は、上記第1電極層と対向する電極である。第2電極層の形成材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されないが、光の照射方向や、上記第1電極層の形成材料の仕事関数等を考慮して適宜選択することが好ましい。
例えば基板側を受光面とした場合には、上記第1電極層が透明電極となり、このような場合には、第2電極層は透明でなくともよい。
また、第1電極層を仕事関数の高い材料を用いて形成した場合には、第2電極層は仕事関数の低い材料を用いて形成することが好ましい。具体的に仕事関数の低い材料としては、Li、In、Al、Ca、Mg、Sm、Tb、Yb、Zr、LiF等を挙げることができる。
第2電極層は、単層であってもよく、また、異なる仕事関数の材料を用いて積層されたものであってもよい。
上記第2電極層の膜厚は、単層である場合にはその膜厚が、複数層からなる場合には各層を合わせた総膜厚が、0.1nm〜500nmの範囲内、中でも1nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。膜厚が上記範囲より薄い場合は、第2電極層のシート抵抗が大きくなりすぎ、発生した電荷を十分に外部回路へ伝達できない可能性があり、一方、膜厚が上記範囲より厚い場合には全光線透過率が低下し、光電変換効率を低下させる可能性があるからである。
また、上記第2電極層は、光電変換層上に全面に形成されていてもよく、パターン状に形成されていてもよい。
第2電極層の形成方法としては、一般的な電極の形成方法を用いることができ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、またはCVD法などを挙げることができる。
4.基板
本発明に用いられる基板は、透明なものであっても不透明なものであっても特に限定されるものではないが、例えば基板側が光の受光面となる場合には、透明基板であることが好ましい。この透明基板としては、特に限定されるものではなく、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を挙げることができる。
本発明においては、上記の中でも基板が透明樹脂フィルム等のフレキシブル材であることが好ましい。透明樹脂フィルムは、加工性に優れており、製造コスト低減や軽量化、割れにくい有機薄膜太陽電池の実現において有用であり、曲面への適用等の種々のアプリケーションへの適用可能性が広がるからである。
5.有機半導体層
本発明においては、光電変換層と第1電極層との間、および光電変換層と第2電極層との間の少なくともいずれか一方に有機半導体層が形成されていてもよい。また、光電変換層が複数層積層されている場合には、各光電変換層間に有機半導体層が形成されていてもよい。本発明に用いられる有機半導体層としては、電子受容性および電子供与性を有する電子正孔輸送層、電子受容性を有する電子輸送層、電子供与性を有する正孔輸送層などが挙げられる。以下、電子正孔輸送層、電子輸送層、正孔輸送層について説明する。
(i)電子正孔輸送層
本発明に用いられる電子正孔輸送層は、電子供与性の有機半導体材料および電子受容性の有機半導体材料を含有するものである。電子正孔輸送層は、電子受容性および電子供与性の両方の機能を有する層であり、電子正孔輸送層内で形成されるpn接合を利用して電荷分離が生じる。
なお、電子供与性の有機半導体材料および電子受容性の有機半導体材料については、上記光電変換層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また本発明においては、電子供与性化合物がドープされた電子受容性の有機半導体材料や、電子受容性化合物がドープされた電子供与性の有機半導体材料等を用いることもできる。中でも、電子供与性化合物もしくは電子受容性化合物がドープされた導電性高分子材料が好ましく用いられる。導電性高分子材料は、高分子主鎖内にπ共役が発達しているため主鎖方向への電荷輸送が基本的に有利であり、また、電子供与性化合物や電子受容性化合物をドープすることによりπ共役主鎖中に電荷が発生し、電気伝導度を大きく増大させることが可能であるからである。
電子供与性化合物がドープされる電子受容性の導電性高分子材料としては、上述した電子受容性の導電性高分子材料を挙げることができる。また、電子受容性化合物がドープされる電子供与性の導電性高分子材料としては、上述した電子供与性の導電性高分子材料を挙げることができる。なお、ドープされる電子供与性化合物および電子受容性化合物については、上記光電変換層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
効率良く電荷を発生させるためには、電子正孔輸送層内にて電子供与性の有機半導体材料および電子受容性の有機半導体材料が均一に分散されていることが好ましい。この際、電子供与性の有機半導体材料および電子受容性の有機半導体材料の混合比は、使用する有機半導体材料の種類により最適な混合比に適宜調整される。
電子正孔輸送層の膜厚は、一般的にバルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池において採用されている膜厚であれば特に限定されるものではないが、具体的には0.2nm〜3000nmの範囲内で設定することができ、好ましくは1nm〜600nmの範囲内である。電子正孔輸送層の膜厚が上記範囲より厚いと、電子正孔輸送層における体積抵抗が高くなる可能性があり、電子正孔輸送層の膜厚が上記範囲より薄いと、光を十分に吸収できない場合があるからである。
(ii)電子輸送層
本発明に用いられる電子輸送層は、電子受容性の有機半導体材料を含有するものである。なお、電子受容性の有機半導体材料については、上記光電変換層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
電子輸送層の膜厚は、特に限定されるものではないが、具体的には0.1nm〜1500nmの範囲内で設定することができ、好ましくは1nm〜300nmの範囲内である。電子輸送層の膜厚が上記範囲より厚いと、電子輸送層における体積抵抗が高くなる可能性があり、電子輸送層の膜厚が上記範囲より薄いと、光を十分に吸収できない場合があるからである。
(iii)正孔輸送層
本発明に用いられる正孔輸送層は、電子供与性の有機半導体材料を含有するものである。なお、電子供与性の有機半導体材料については、上記光電変換層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
正孔輸送層の膜厚は、特に限定されるものではないが、具体的には0.1nm〜1500nmの範囲内で設定することができ、好ましくは1nm〜300nmの範囲内である。正孔輸送層の膜厚が上記範囲より厚いと、正孔輸送層における体積抵抗が高くなる可能性があり、正孔輸送層の膜厚が上記範囲より薄いと、光を十分に吸収できない場合があるからである。
(iv)その他
本発明においては、例えば図4に示すように、光電変換層3と第1電極層2との間に正孔輸送層11が形成され、光電変換層3と第2電極層4との間に電子輸送層12が形成されていてもよい。この有機薄膜太陽電池10では、光電変換層3内部で発生した電子と正孔が第1電極層2または第2電極層4に向かってそれぞれ逆方向に移動する。この場合、光電変換層3と第1電極層2および第2電極層4との間にそれぞれ正孔輸送層11および電子輸送層12が設けられているので、光電変換層3と第1電極層2および第2電極層4との界面における抵抗障壁を低減することができ、正孔および電子を効率良く取り出すことが可能である。
また本発明においては、例えば図5に示すように、光電変換層3aと光電変換層3bとの間に正孔輸送層11が形成されていてもよい。この有機薄膜太陽電池10では、光電変換層3a,3b内部で発生した電子と正孔が第1電極層2または第2電極層4に向かってそれぞれ逆方向に移動する。この場合、光電変換層3aと光電変換層3bとの間に正孔輸送層11が設けられているので、光電変換層3aと光電変換層3bとの界面における抵抗障壁を低減することができ、例えば第1電極層2を陽極とすると光電変換層3bから光電変換層3aに正孔が移動しやすくなるため、正孔取出し効率を向上させることが可能である。
さらに本発明においては、例えば図6に示すように、光電変換層3aと光電変換層3bとの間に電子輸送層12が形成されていてもよい。この有機薄膜太陽電池10では、光電変換層3a,3b内部で発生した電子と正孔が第1電極層2または第2電極層4に向かってそれぞれ逆方向に移動する。この場合、光電変換層3aと光電変換層3bとの間に電子輸送層12が設けられているので、光電変換層3aと光電変換層3bとの界面における抵抗障壁を低減することができ、例えば第2電極層4を陰極とすると光電変換層3aから光電変換層3bに電子が移動しやすくなるため、電子取出し効率を向上させることが可能である。
このように、光電変換層に隣接して正孔輸送層または電子輸送層が形成されている場合には、層間の界面おける抵抗障壁が緩やかになり、電荷の取り出しを促進することができる。また、電荷の取り出しを促進することができるので、従来のような電荷取出し層を別途設ける必要がないという利点を有する。
本発明においては、例えば図7に示すように、光電変換層3と第1電極層2との間に電子正孔輸送層13が形成されていてもよい。また、例えば図8に示すように、光電変換層3と第1電極層2との間に正孔輸送層11および電子輸送層12が形成されていてもよい。電子正孔輸送層では、層内部でpn接合が形成されて電荷分離が生じる。また、正孔輸送層と電子輸送層とが直接積層されている場合には、正孔輸送層と電子輸送層との界面においてpn接合が形成されて電荷分離が生じる。このように電荷分離が生じる層が複数層積層された有機薄膜太陽電池では、上記光電変換層が複数層積層されている場合と同様に、光の有効利用が可能である。この場合、各層に使用される材料が互いに異なる吸収波長領域を有するものである場合には吸収波長領域の拡張が可能であり、各層に使用される材料が同一の吸収波長領域を有するものである場合には吸光度の増大が可能である。
なお、光を有効利用する場合のその他の点については、上記光電変換層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明に用いられる有機半導体層の形成方法としては、所定の膜厚に均一に形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、塗布法が好適に用いられる。すなわち、有機半導体層は塗膜であることが好ましい。
また本発明においては、光電変換層および有機半導体層が積層されているため、下層に含まれる材料の重量平均分子量が比較的高いことが好ましい。これにより、例えば上層形成用塗工液中の溶媒に下層の構成成分が溶出するのを抑制することができ、上層形成用塗工液に使用される溶媒が制限されることないという利点を有するからである。したがって、このような方法を採ることにより、数多くの層を積層することが可能である。
下層に含まれる材料の重量平均分子量としては、10万以上であることが好ましく、より好ましくは30万以上、最も好ましくは50万以上であり、また500万以下であることが好ましく、より好ましくは300万以下である。下層に含まれる材料の重量平均分子量が小さすぎると、上層形成用塗工液中の溶媒に下層に含まれる材料が溶解してしまう可能性があるからである。逆に、下層に含まれる材料の重量平均分子量が大きすぎると、下層形成用塗工液の粘度が高くなり、均一な塗膜を形成しにくい場合があるからである。
なお、上記重量平均分子量の測定方法としては、上述した方法と同様である。
また、下層が絶縁性樹脂材料を含有していてもよい。下層の耐溶媒性を向上させ、膜強度を高めることができるからである。なお、絶縁性樹脂材料については、上記光電変換層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
さらに、光電変換層や有機半導体層を複数層積層する場合には、上記の方法とともに、溶媒に対する溶解度の差を利用する方法を部分的に併用してもよい。
塗布法により有機半導体層を形成する場合には、有機半導体材料を溶媒に分散させて有機半導体層形成用塗工液を調製し、この有機半導体層形成用塗工液を塗布することにより有機半導体層を形成することができる。
有機半導体層形成用塗工液に用いられる溶媒としては、有機半導体材料を分散可能なものであれば特に限定されるものではない。
上記有機半導体層形成用塗工液の塗布方法としては、例えばダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、ビードコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等を挙げることができる。中でも、スピンコート法またはダイコート法が好ましく用いられる。これらの方法は、有機半導体層を所定の膜厚となるように精度良く形成することができるからである。
6.正孔取出し層
本発明においては、光電変換層または有機半導体層と陽極との間に正孔取出し層が形成されていてもよい。第1電極層が陽極である場合は、光電変換層または有機半導体層と第1電極層との間に正孔取出し層が形成され、また第2電極層が陽極である場合は、光電変換層または有機半導体層と第2電極層との間に正孔取出し層が形成される。
正孔取出し層は、光電変換層や有機半導体層から陽極への正孔の取出しが容易に行われるように設けられる層である。これにより、光電変換層や有機半導体層から陽極への正孔取出し効率が高められるため、光電変換効率を向上させることが可能となる。
このような正孔取出し層に用いられる材料としては、光電変換層や有機半導体層から陽極への正孔の取出しを安定化させる材料であれば特に限定されるものではない。具体的には、ドープされたポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、トリフェニルジアミン(TPD)等の導電性有機化合物、またはテトラチオフルバレン、テトラメチルフェニレンジアミン等の電子供与性化合物と、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン等の電子受容性化合物とからなる電荷移動錯体を形成する有機材料等を挙げることができる。また、Au、In、Ag、Pd等の金属等の薄膜も使用することができる。さらに、金属等の薄膜は、単独で形成してもよく、上記の有機材料と組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、特にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、トリフェニルジアミン(TPD)が好ましく用いられる。
上記正孔取出し層の膜厚としては、上記有機材料を用いた場合は、10nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、上記金属薄膜である場合は、0.1nm〜5nmの範囲内であることが好ましい。
7.電子取出し層
本発明においては、光電変換層または有機半導体層と陰極との間に電子取出し層が形成されていてもよい。第2電極層が陰極である場合は、光電変換層または有機半導体層と第2電極層との間に電子取出し層が形成され、また第1電極層が陰極である場合は、光電変換層または有機半導体層と第1電極層との間に電子取出し層が形成される。
電子取出し層は、光電変換層や有機半導体層から陰極への電子の取出しが容易に行われるように設けられる層である。これにより、光電変換層や有機半導体層から陰極への電子取出し効率が高められるため、光電変換効率を向上させることが可能となる。
このような電子取出し層に用いられる材料としては、光電変換層や有機半導体層から陰極への電子の取出しを安定化させる材料であれば特に限定されない。具体的には、ドープされたポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、トリフェニルジアミン(TPD)等の導電性有機化合物、またはテトラチオフルバレン、テトラメチルフェニレンジアミン等の電子供与性化合物と、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン等の電子受容性化合物とからなる電荷移動錯体を形成する有機材料等を挙げることができる。また、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属との金属ドープ層が挙げられる。好適な材料としては、バソキュプロイン(BCP)または、バソフェナントロン(Bphen)と、Li、Cs、Ba、Srなどの金属ドープ層が挙げられる。
8.その他の構成部材
本発明の有機薄膜太陽電池は、上述した構成部材の他にも、必要に応じて後述する構成部材を有していてもよい。例えば、本発明の有機薄膜太陽電池は、保護シート、充填材層、バリア層、保護ハードコート層、強度支持層、防汚層、高光反射層、光封じ込め層、紫外線・赤外線遮断層、封止材層等の機能層を有していてもよい。また、層構成に応じて、各機能層間に接着層が形成されていてもよい。
(i)保護シート
本発明においては、第2電極層上に保護シートが形成されていてもよい。保護シートは、本発明の有機薄膜太陽電池を外界から保護するために設けられる層である。
保護シートに用いられる材料としては、例えばアルミニウム等の金属板もしくは金属箔、フッ素系樹脂シート、環状ポリオレフィン系樹脂シート、ポリカーボネート系樹脂シート、ポリ(メタ)アクリル系樹脂シート、ポリアミド系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート、または耐候性フィルムとバリアフィルムとをラミネート積層した複合シートなどが挙げられる。
上記保護シートの厚みは、20μm〜500μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは50μm〜200μmの範囲内である。
また、上記保護シートは、後述するバリア層の項に記載するような、バリア性を有するものであってもよい。さらに、上記保護シートには、着色等により意匠性を付与することもできる。この際、保護シートへの顔料の練り込等により着色してもよく、例えば青色ハードコート層等の着色層を積層することにより着色してもよい。
(ii)充填材層
本発明においては、第2電極層と保護シートとの間に充填材層が形成されていてもよい。充填材層は、有機薄膜太陽電池の裏面側、すなわち第2電極層と上記保護シートとを接着させ、有機薄膜太陽電池を封止するために設けられる層である。
このような充填材層としては、一般に太陽電池の充填材層として使用されているものであればよく、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂が挙げられる。
また、上記充填材層の厚みは、50μm〜2000μmの範囲内であることが好ましく、200μm〜800μmの範囲内であることがより好ましい。厚みが上記範囲より薄くなると強度が低下し、逆に厚みが上記範囲より厚くなるとクラック等が発生しやすくなるからである。
(iii)バリア層
本発明においては、上記基板の表面、または上記保護シートの表面にバリア層が形成されていてもよい。また、上記基板または上記保護シートが複数層からなる場合は、各層の間にバリア層を設けてもよい。本発明に用いられるバリア層は、透明な層であり、かつ外部からの酸素や水蒸気の浸入を妨げ、本発明の有機薄膜太陽電池を保護するために設けられる層である。
バリア層は、酸素透過率が5cc/m/day/atm以下であり、中でも0.1cc/m/day/atm以下であることが好ましい。一方、酸素透過率の下限は測定装置の精度から5.0×10−3cc/m/day/atmとする。なお、上記酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/21)を用い、23℃、90%Rhの条件で測定した値である。
また、バリア層の水蒸気透過率は、37.8℃、100%Rhの条件において5g/m/day以下であり、中でも0.01g/m/day以下であることが好ましい。さらに、40℃、90%Rhの条件においては、水蒸気透過率が1g/m/day以下であることが好ましく、測定装置の精度から水蒸気透過率の下限は5.0×10−3g/m/dayとする。なお、上記水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W 3/33)を用いて測定した値である。
バリア層の形成材料としては、上述したバリア性が得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば無機酸化物、金属、ゾルゲル材料等が挙げられる。具体的には、無機酸化物としては、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化イットリウム、酸化ホウ素(B)、酸化カルシウム(CaO)、酸化窒化炭化ケイ素(SiO)等が挙げられ、金属としては、Ti、Al、Mg、Zr等が挙げられ、ゾルゲル材料としてはシロキサン系ゾルゲル材料等が挙げられる。これらの材料は、単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記バリア層の膜厚は、用いられる材料の種類等により適宜選択されるが、10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。膜厚が上記の範囲より薄いと、十分なバリア性が得られない可能性があり、膜厚が上記範囲より厚いと、成膜に長時間を要するからである。
また、バリア層は、単一の層であってもよく、複数の層が積層されたものであってもよい。複数層積層する場合には、直接積層形成してもよく、貼り合わせてもよい。
バリア層の形成方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法やCVD法などの蒸着法、またはロールコート法、スピンコート法などが挙げられる。また、これらの方法を組み合わせてもよい。
さらに、バリア層としては、上述したバリア性を有する層であれば特に限定されるものではないが、そのバリア性の高さ等から、蒸着法により形成された蒸着層を有することが好ましい。
上記蒸着層としては、蒸着法により形成される層であれば、その蒸着法の種類等は特に限定されるものではなく、CVD法であってもよく、またPVD法であってもよい。蒸着層が、例えばプラズマCVD法等のCVD法により形成される場合には、緻密でバリア性の高い層を形成することが可能となるが、製造効率やコスト等の面からはPVD法が好ましい。PVD法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が挙げられるが、中でも、そのバリア性等の面から真空蒸着法であることが好ましい。真空蒸着法として、例えばエレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法、または高周波誘電加熱方式による真空蒸着法等が挙げられる。
また、上記蒸着層の材料としては、金属または無機酸化物が好ましく、Ti、Al、Mg、Zr、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化窒化ケイ素、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化イットリウム、B、CaO等を挙げることができ、中でも酸化ケイ素が好ましい。酸化ケイ素からなる層は、高いバリア性および透明性を有するからである。
上記蒸着層の厚さは、用いられる材料の種類や構成により最適条件が異なり適宜選択されるが、5nm〜1000nm、中でも10nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。蒸着層の厚さが上記の範囲より薄い場合には、均一な層とすることが困難な場合があり、上記バリア性を得ることができない場合があるからである。また、蒸着層の厚さが上記の範囲より厚い場合には、成膜後に引っ張り等の外的要因により蒸着層に亀裂が生じること等により、バリア性が著しく損なわれる可能性があるからである。また形成に時間を要し、生産性も低下するからである。
また、バリア層の下地層として、アンカー層が形成されていてもよい。これにより、バリア性や耐候性を高めることができるからである。アンカー層の形成材料としては、例えば接着性樹脂、無機酸化物、有機酸化物、金属等が挙げられる。
アンカー層の形成方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、CVD法、ロールコート法、スピンコート法などが挙げられる。また、これらの方法を組み合わせてもよい。中でも、成膜時のインラインコートが好ましい。これは、量産性に優れ、アンカー層の密着性を高めることができるからである。
(iv)保護ハードコート層
本発明においては、有機薄膜太陽電池の最外面に保護ハードコート層が形成されていてもよい。保護ハードコート層は、紫外線遮蔽性および耐候性を有するものであり、有機薄膜太陽電池を外部環境から保護するため、光電変換層や有機半導体層等を保護し、これらの層に含まれる有機材料の劣化を防ぐために設けられる層である。
保護ハードコート層の形成材料としては、紫外線遮蔽性および耐候性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えばアクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記樹脂に耐光性添加剤を添加してもよい。耐光性添加剤としては、光安定剤(HALS)、紫外線吸収剤(UVA)等が挙げられる。
上記保護ハードコート層の膜厚は、0.5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。膜厚が上記範囲より薄いと、紫外線遮蔽性および耐候性が不十分となる場合があり、また膜厚が上記範囲より厚いと、コーティング加工が困難となり、量産性に劣る場合があるからである。
保護ハードコート層の形成方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、CVD法、ロールコート法、スピンコート法などが挙げられる。また、これらの方法を組み合わせてもよい。中でも、ロールコート法が好ましく用いられる。ロールコート法は量産性に優れ、紫外線遮蔽および耐候性の良好な保護ハードコート層を形成できるからである。
また、保護ハードコート層の下地層として、アンカー層が形成されていてもよい。これにより、耐候性を高めることができるからである。
アンカー層の形成方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、CVD法、ロールコート法、スピンコート法などが挙げられる。また、これらの方法を組み合わせてもよい。中でも、成膜時のインラインコートが好ましい。これは、量産性に優れ、アンカー層の密着性を高めることができるからである。
(v)強度支持層
本発明においては、上記保護ハードコート層の内側に強度支持層が形成されていてもよい。強度支持層の形成位置としては、保護ハードコート層の内側であればいずれの位置に設置されていてもよいが、好ましくは各機能層間に設けられる。また、基板自体に強度支持層の機能が付与されていてもよい。
強度支持層は、耐熱性、耐湿熱性、耐加水分解性、透明性に優れるものである。
耐熱性としては、温度100℃で72時間保持する耐熱試験を行った場合に、耐熱試験前に対する耐熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。さらに、温度125℃で72時間保持する耐熱試験を行った場合に、耐熱試験前に対する耐熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。なお、耐熱試験は、JIS C60068-2-2に準ずるものとする。
耐湿熱性としては、あらかじめ温度40℃以上、湿度90%RH以上の条件に調整された恒温恒湿槽環境内に有機薄膜太陽電池を96時間以上保持する耐湿熱試験を行った場合に、耐湿熱試験前に対する耐湿熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。さらに、あらかじめ温度80℃以上、湿度80%RH以上の条件に調整された恒温恒湿槽環境内に有機薄膜太陽電池を500時間以上保持する耐湿熱試験を行った場合に、耐湿熱試験前に対する耐湿熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。なお、耐湿熱試験は、JIS C60068-2-3に準じ、楠本化成(株)製 環境試験機「HIFLEX αシリーズ FX424P」を用いて評価するものとする。
透明性としては、全光線透過率が70%以上、中でも85%以上であることが好ましい。なお、全光線透過率は、可視光領域において、スガ試験機株式会社製 SMカラーコンピュータ(型番:SM−C)を用いて測定した値である。
これは、有機薄膜太陽電池には優れた耐熱性、耐湿熱性、透過性が要求されるためである。
強度支持層の形成材料としては、例えばシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、シンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)系樹脂、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリアセタール(POM)系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(mPPE)系樹脂、ポロフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTEE)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP))、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)系樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)系樹脂、ポリスルホン(PSF)系樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)系樹脂、ポリアリレート(PAR)系樹脂、ポリアミドイミド(PAI)系樹脂、ポリイミド(PI)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、二軸延伸ポリスチレン(OPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル(PE)、ポリアクリロニトリル(PAN)等が挙げられる。また、これらの樹脂の耐候グレードを用いることもできる。さらに、これらの樹脂をガラス繊維等と組み合わせることにより更に強化してもよい。
上記強度支持層の膜厚は、10μm〜800μmの範囲内であることが好ましく、特に100μm〜400μmの範囲内であることが好ましい。膜厚が上記範囲より薄いと、十分な強度が得られない場合があり、また膜厚が上記範囲より厚いと、製造工程上の加工が困難となる場合があるからである。
(vi)接着層
本発明においては、層構成に応じて、各層間に接着層が形成されていてもよい。
接着層は、耐熱性、耐湿熱性に優れるものである。
耐熱性としては、温度100℃で72時間保持する耐熱試験を行った場合に、耐熱試験前に対する耐熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。さらに、温度125℃で72時間保持する耐熱試験を行った場合に、耐熱試験前に対する耐熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。
耐湿熱性としては、あらかじめ温度40℃以上、湿度90%RH以上の条件に調整された恒温恒湿槽環境内に有機薄膜太陽電池を96時間以上保持する耐湿熱試験を行った場合に、耐湿熱試験前に対する耐湿熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。さらに、あらかじめ温度80℃以上、湿度80%RH以上の条件に調整された恒温恒湿槽環境内に有機薄膜太陽電池を500時間以上保持する耐湿熱試験を行った場合に、耐湿熱試験前に対する耐湿熱試験後の発電効率の低下率が10%以内であることが好ましい。
これは、有機薄膜太陽電池には優れた耐熱性、耐湿熱性が要求されるためである。なお、耐熱試験および耐湿熱試験については、上述したものと同様である。
接着層の形成材料としては、例えばシリコーン系樹脂、ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ホットメルト系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、スチレンブタジエン系樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の耐候グレードを用いることもできる。
上記接着層の膜厚は、1μm〜200μmの範囲内、特に2μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。膜厚が上記範囲より薄いと、強度が劣る可能性があり、また膜厚が上記範囲より厚いと、製造工程上の加工が困難となる場合があるからである。
接着層の形成方法としては、例えばドライラミネート法、溶融押し出しラミネート法等が挙げられる。また、粘着シートを介して積層してもよい。好ましくは、ロールコートによるドライラミネート法が用いられる。この方法は、量産性に優れ、良好な密着性が得られるからである。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
(透明電極層の形成)
ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム基板(厚み:125μm)の表面にPVD法によりSiO薄膜を形成し、そのSiO薄膜の上面に透明電極であるITO膜(膜厚:150nm、シート抵抗:20Ω/□)を圧力勾配型プラズマガンを用いた反応性イオンプレーティング法(パワー:3.7kW、酸素部分圧:73%、製膜圧力:0.3Pa、製膜レート:150nm/min、基板温度:20℃)により製膜した後に、エッチングによりパターンニングした。次いで、ITOパターンが形成された基板をアセトン、基板洗浄液、IPAをそれぞれ用いて洗浄した。
(正孔取出し層の形成)
上記ITOパターンが形成された基板上に、正孔取出し層形成用塗工液(導電性高分子ペースト;ポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェンの水分散体)をスピンコート法にて塗布し、150℃で30分間乾燥させて正孔取出し層(膜厚:100nm)を形成した。
(光電変換層の形成)
フルオレン−チオフェン共重合体(Poly[(9,9-dihexylfluorenyl-2,7-diyl)-co-(bithiophene)])の0.3wt%クロロホルム溶液と、フラーレン(PCBM;1−(3−メトキシカルボニル)プロピル−1−フェニル(6,6)−C60)の0.1wt%クロロホルム溶液とを重量比1:1で混合し、光電変換層形成用塗工液を調製した。
この光電変換層形成用塗工液を上記正孔取出し層上にスピンコート法にて塗布し、110℃で10分間乾燥させて光電変換層(膜厚:100nm)を形成した。
用いたフルオレン−チオフェン共重合体(Poly[(9,9-dihexylfluorenyl-2,7-diyl)-co-(bithiophene)])のストークスシフトを下記表1に示す。
Figure 2007073716
(金属電極の形成)
次に、光電変換層上に、Ca薄膜(膜厚:100nm)、Al薄膜(膜厚:500nm)を順次蒸着法にて製膜し、金属電極とした。
最後に、封止用ガラス材により金属電極の上から封止して、バルクヘテロ接合型の有機薄膜太陽電池を作製した。
[実施例2]
光電変換層を以下のように形成した以外は、実施例1と同様にして、有機薄膜太陽電池を作製した。
(光電変換層(一層目)の形成)
チオフェン−フェニレンビニレン共重合体としては、下記式で示されるものを用いた。このチオフェン−フェニレンビニレン共重合体のストークスシフトは0.5eVであった。
Figure 2007073716
チオフェン−フェニレンビニレン共重合体の0.3wt%クロロホルム溶液と、ポリフェニレンビニレン(MDMO−PPV;ポリ(2−メトキシ−5−(3´,7´−ジメチルオクチルオキシ)−1−4−フェニレンビニレン)(重量平均分子量100万)の0.3wt%クロロホルム溶液と、フラーレン(PCBM;1−(3−メトキシカルボニル)プロピル−1−フェニル(6,6)−C60)の0.1wt%クロロホルム溶液とを重量比3:5:2で混合し、一層目の光電変換層形成用塗工液を調製した。
この光電変換層形成用塗工液を上記正孔取出し層上にスピンコート法にて塗布し、110℃で10分間乾燥させて一層目の光電変換層(膜厚:100nm)を形成した。
(光電変換層(二層目)の形成)
フェニレンエチニレン−チオフェン共重合体としては、下記式で示されるものを用いた。このフェニレンエチニレン−チオフェン共重合体のストークスシフトは0.6eVであった。
Figure 2007073716
フェニレンエチニレン−チオフェン共重合体の0.3wt%クロロホルム溶液と、フラーレン(PCBM;1−(3−メトキシカルボニル)プロピル−1−フェニル(6,6)−C60)の0.1wt%クロロホルム溶液とを重量比3:1で混合し、二層目の光電変換層形成用塗工液を調製した。
この光電変換層形成用塗工液を上記一層目の光電変換層上にスピンコート法にて塗布し、110℃で10分間乾燥させて二層目の光電変換層(膜厚:100nm)を形成した。
ストークスシフトの説明図である。 本発明の有機薄膜太陽電池の一例を示す概略断面図である。 有機薄膜太陽電池を説明するための説明図である。 本発明の有機薄膜太陽電池の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機薄膜太陽電池の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機薄膜太陽電池の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機薄膜太陽電池の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機薄膜太陽電池の他の例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 … 基板
2 … 第1電極層
3,3a,3b … 光電変換層
4 … 第2電極層
10 … 有機薄膜太陽電池
11 … 正孔輸送層
12 … 電子輸送層
13 … 電子正孔輸送層

Claims (5)

  1. 導電性を有する単量体単位を少なくとも含む共重合体であって、ストークスシフトが0.2eV以上である導電性高分子材料からなることを特徴とする光電変換材料。
  2. 前記単量体単位が、チオフェン環、フルオレン環、フェニレンビニレン基、およびフェニレンエチニレン基からなる群から選択される1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の光電変換材料。
  3. フルオレン−チオフェン共重合体からなることを特徴とする光電変換材料。
  4. 基板と、前記基板上に形成された第1電極層と、前記第1電極層上に形成され、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の光電変換材料を含有する光電変換層と、前記光電変換層上に形成された第2電極層とを有することを特徴とする有機薄膜太陽電池。
  5. 前記光電変換層が塗膜であることを特徴とする請求項4に記載の有機薄膜太陽電池。
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