JP2007073202A - 電解質膜の製造方法 - Google Patents
電解質膜の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007073202A JP2007073202A JP2005255604A JP2005255604A JP2007073202A JP 2007073202 A JP2007073202 A JP 2007073202A JP 2005255604 A JP2005255604 A JP 2005255604A JP 2005255604 A JP2005255604 A JP 2005255604A JP 2007073202 A JP2007073202 A JP 2007073202A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrolyte membrane
- inorganic
- containing solution
- inorganic precursor
- composite electrolyte
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Landscapes
- Conductive Materials (AREA)
- Fuel Cell (AREA)
Abstract
【課題】 高温低湿度下でも十分なプロトン伝導度を発現させることのできる電解質膜およびその製造方法を提供す。
【解決手段】 電解質を高沸点溶媒に溶解してなる電解質含有溶液に、所定の濃度の金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体を含有してなる無機物前駆体含有溶液を加えることにより、無機物ゲルを含有する複合電解質膜を作製することを特徴とする複合電解質膜の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 電解質を高沸点溶媒に溶解してなる電解質含有溶液に、所定の濃度の金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体を含有してなる無機物前駆体含有溶液を加えることにより、無機物ゲルを含有する複合電解質膜を作製することを特徴とする複合電解質膜の製造方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電解質膜の製造方法に関するものである。詳しくは、電解質と、無機物ゲルとを含む複合電解質膜の製造方法及びこれにより得られてなる複合電解質膜に関するものである。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動して高出力密度が得られる燃料電池が移動体用電源、定置型電源として注目されている。燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムである。特に、固体高分子型燃料電池は、比較的低温で作動することから、燃料電池自動車から携帯機器(例えば、携帯電話、携帯情報端末、携帯音楽プレイヤー、ノート型パソコンなど)まで幅広い分野での移動体用電源として期待されている。
こうした固体高分子型燃料電池の電解質膜を作成するにあたり、従来技術として、特許文献1に見られるように、固体高分子型燃料電池としての使用に充分なプロトン伝導度と耐久性とを有するプロトン伝導体(電解質膜)の製造方法が知られている。これによれば、有機プロトン伝導性高分子(電解質)を含む溶液に、無機プロトン伝導材料(無機物)を含む溶液を添加し、一定時間攪拌して調製した溶液を用いてプロトン伝導体膜を形成するものである。
特開2005−25943号公報(段落「0122」「0123」)
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法では、得られたプロトン伝導体(電解質膜)中に無機プロトン伝導材料(無機物)を高分散させることは困難である。そのため、最も乾燥しやすい高温低湿度下では十分なプロトン伝導度を発現させることが困難である。
そこで、本発明の目的は、高温低湿度下でも十分なプロトン伝導度を発現させることのできる電解質膜およびその製造方法を提供するものである。
更に本発明では、無機物の分散性を向上させることのできる電解質膜およびその製造方法を提供するものである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行なった結果、電解質膜を作成するにあたり、電解質にシリカゲル等の無機物ゲルを加えることにより無機物ゲルを含有する複合電解質膜を作製するにあたり、金属アルコキシドやシラン化合物等の無機物前駆体の濃度、および添加する触媒、無機物前駆体の反応温度、更には無機物前駆体の加え方(添加速度)などの条件を特定することで無機物前駆体の反応性を制御することができることを見出した。かかる無機物前駆体の反応性を制御することにより、得られる電解質膜内での無機物ゲルの分散性が向上し、サブミクロンレベルの分散が可能であることを見出したものである。加えて、該サブミクロンレベルはおろか、ナノメートルレベル〜数百ミクロンメートルレベルまでの無機物ゲルであれば、無機物前駆体の反応性を制御することで分散可能であることを見出したものである。こうした知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の上記目的は、電解質を高沸点溶媒に溶解してなる電解質含有溶液に、所定の濃度の金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体を含有してなる無機物前駆体含有溶液を加えることにより無機物ゲルを含有する複合電解質膜を作製するにあたり、前記無機物前駆体の反応性を制御することを特徴とする複合電解質膜の製造方法。によって達成される。
本発明の複合電解質膜の製造方法では、無機物前駆体の反応性を制御することにより、無機物ゲルの分散性が向上し、その結果、プロトン伝導度が向上する。とりわけ、高温低湿度(膜が乾燥しやすい)条件下でのプロトン伝導度を格段に向上することができる。
本発明の複合電解質膜の製造方法は、電解質を高沸点溶媒に溶解してなる電解質含有溶液に、所定の濃度の金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラス(ケイ酸ナトリウム)よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体(以下、単に無機物前駆体ともいう)を含有してなる無機物前駆体含有溶液を加えることにより無機物ゲルを含有する複合電解質膜を作製するにあたり、前記無機物前駆体の反応性を制御することを特徴とするものである。
また、本発明の複合電解質膜の製造方法は、電解質を高沸点溶媒に溶解させて電解質含有溶液を調製する工程(以下、電解質溶液調製工程とも略記する)と、
金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体を溶媒(好ましくは前記高沸点溶媒ないし前記高沸点溶媒と相溶性のある溶媒)に溶解させて所定の濃度の無機物前駆体含有溶液を調製する工程(以下、無機物前駆体溶液調製工程とも略記す)と、
前記電解質含有溶液に前記無機物前駆体含有溶液を加えることにより、無機物ゲルが分散された複合電解質含有溶液を作製する工程(以下、複合電解質溶液作製工程とも略記す)と、
前記複合電解質含有溶液を用いて電解質膜を形成する工程(以下、電解質膜形成工程とも略記す)と、を含むことを特徴とするものである。
金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体を溶媒(好ましくは前記高沸点溶媒ないし前記高沸点溶媒と相溶性のある溶媒)に溶解させて所定の濃度の無機物前駆体含有溶液を調製する工程(以下、無機物前駆体溶液調製工程とも略記す)と、
前記電解質含有溶液に前記無機物前駆体含有溶液を加えることにより、無機物ゲルが分散された複合電解質含有溶液を作製する工程(以下、複合電解質溶液作製工程とも略記す)と、
前記複合電解質含有溶液を用いて電解質膜を形成する工程(以下、電解質膜形成工程とも略記す)と、を含むことを特徴とするものである。
以下、本発明の複合電解質膜の製造方法の上記工程を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の複合電解質膜の製造方法の代表的な製造手順を模式的に表した工程概略図である。
[電解質溶液調製工程]
電解質溶液調製工程では、電解質を高沸点溶媒に溶解させて電解質含有溶液を調製するものである。
電解質溶液調製工程では、電解質を高沸点溶媒に溶解させて電解質含有溶液を調製するものである。
好ましくは、図1に示すように、高沸点溶媒11を攪拌しながら、該溶媒11に電解質13を少量ずつ投入し、全量投入後、一定時間以上攪拌することで電解質含有溶液15を調製するのが望ましい。
ここで、電解質としては、特に制限されるものではなく、プロトン伝導性を示す有機高分子であれば、特に限定されるものではないが、側鎖にプロトン解離性基を有するポリマーが、プロトン伝導性、製膜性の観点から好ましい。この場合のプロトン解離性基としては、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルホンアミド基、スルホンイミド基およびそれらの誘導体を例示できる。
そのような高分子の具体例としては、全フッ素系スルホン酸、炭化水素系プロトン伝導性高分子、具体的にはスルホン化エチレンテトラフルオロエチレン共重合体−グラフトーポリスチレン、スルホンアミド型エチレンテトラフルオロエチレン共重合体−グラフトーポリスチレン、スルホン化ポリエーテルスルホン(以下、単にS−PESとも称する。)、スルホンアミド型ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホンアミド型ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化架橋ポリスチレン、スルホンアミド型架橋ポリスチレン、スルホン化ポリトリフルオロスチレン、スルホンアミド型ポリトリフルオロスチレン、スルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホンアミド型ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリ(アリールエーテルスルホン)、スルホンアミド型ポリ(アリールエーテルスルホン)、スルホン化ポリイミド、スルホンアミド型ポリイミド、スルホン化4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン、スルホンアミド型4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン、ホスホン酸型4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホンアミド型ポリベンゾイミダゾール、ホスホン酸型ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホンアミド型ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリビフェニレンスルフィド、スルホンアミド型ポリビフェニレンスルフィド、スルホン化ポリフェニレンスルホン、スルホンアミド型ポリフェニレンスルホン、スルホン化ポリフェノキシベンゾイルフェニレン、スルホン化ポリスチレン−エチレン-プロピレン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリフェニレンイミド、ポリベンズイミダゾール−アルキルスルホン酸、スルホアリル化ポリベンズイミダゾールなどを用いることができる。ただし、これらに何ら制限されるものではなく、従来公知のあらゆる電解質につき適用することができるものである。これらは1種単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。
また、本発明では、電解質溶液の調製に高沸点溶媒を用いるものである。これは、高沸点溶媒を用いることにより、得られる電解質膜のプロトン伝導性向上に寄与し得るためである。なお、高沸点溶媒によるプロトン伝導性向上効果に関する作用機序は必ずしも明確ではないが、低沸点溶媒だと製膜過程の乾燥段階で高分子(電解質成分)の高次構造ができる前に、溶媒が蒸発するので高次構造ができ難くなるのに対し、本発明のように高沸点溶媒を用いることで、溶媒が蒸発するまでに所定の時間を要することになる。そのため製膜過程の乾燥段階で、電解質中に無機物ゲルが高分散された高次構造(図2参照のこと)ができるようにゆっくりと乾燥させることができる。その結果、高温低湿度下でのプロトン導電性に優れた高次構造膜(図2参照のこと)とすることができるものと考えられる。この点を図面を用いて説明する。図3Aは、本発明の複合電解質膜(高次構造膜;図2)の運転状態(保水状態)下でのプロトン伝導経路と考えられている連続して繋がった状態のウォータークラスター(正しくはイオンクラスターであるが、ウォータークラスターとも呼称されており、ここで後者を用いる。)の構造を模式的に表した概念図である。図3Bには、無機物無添加の炭化水素系樹脂製の電解質膜(高次構造膜;図2)の運転状態(保水状態)下でのウォータークラスターの構造の模式的に表した概念図である。
図3Bに示すように、無機物無添加の炭化水素系樹脂製の電解質膜31’では、ウォータークラスター33の多くが点在(単分散した)状態に形成されるため、高温低湿度状態のように膜が乾燥されやすい状態では、各ウォータークラスター33ごとに保水されていても、新規プロトンパスを形成するには至らない。その結果、十分な水蒸気透過性やプロトン伝導性を発現するのが困難となる。一方、高沸点溶媒を用いてゆっくり乾燥させることで、電解質35中に無機物ゲル37が(無機物ゲル粒子が連なったり、無機物ゲル粒子が電解質高分子鎖に結合または相互作用により緩やかに結びついた状態をとるなどして、ネットワーク化されて)高分散された高次構造を有する本発明の複合電解質膜31となる。こうした複合電解質膜31では、電解質35中に無機物ゲル37の分子間相互作用により、ウォータークラスター33同士が凝集して3〜5nm程度に最適化された大きさのウォータークラスター33aを形成することができ、こうしたウォータークラスター33aやその周辺のウォータークラスター33が連続して繋がった状態のウォータークラスターの構造を形成することができる。かかるウォータークラスター構造の形成により、吸湿・保湿機能を付与することができ、水蒸気透過性能の向上と共に新規プロトンパスを形成することができる。その結果、高温低湿度状態のように膜が乾燥されやすい状態でも、優れたプロトン伝導性を発現することができるものと考えられる。以上の観点から、本発明では、高沸点溶媒が必須かつ重要な役割を果たすものであることから、必須構成要件としたものである。なお、上記ウォータークラスターに関しては、例えば、DSC(示差走査熱量測定)、もしくはAFM(原子間力顕微鏡)、SAXS(X線小角散乱)等を用いて測定することができる。
ここで高沸点溶媒とは、N−メチル−2−ピロリドン(以下、単にNMPとも略記する)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(以下、単にDMSOとも略記する)などの非プロトン性極性溶媒をいう。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記高沸点溶媒としては、使用する電解質を溶解できるものであれば特に制限されるものではない。
電解質13の投入速度としては、特に制限されるものではないが、溶媒10mlmlに対し、20g/分以下、好ましくは0.1〜10g/分程度で少量ずつ投入するのが望ましい。投入速度が10g/分以下であると、溶媒が不足することなく均一に溶解することができる点で優れている。一方、投入速度の下限は特に制限されないが、0.01g/分以上の場合には、電解質の投入に長時間を要することなく行えるため経済である。
調製時の溶液温度は、特に制限されるものではなく、溶液の凝固点よりも高く、溶媒(溶液)の沸点よりも低い範囲内であればよいが、通常0〜200℃、好ましくは30〜120℃の範囲である。
電解質13を全量投入後の攪拌時間は、溶液の温度、電解質の投入量などにより異なるため一義的に規定されるものではないが、電解質13が溶媒11に完全に溶解されていればよい。ただし、常温下での攪拌だけでは、電解質を完全に溶解させにくく、溶け残りを生じる恐れがある。また攪拌時間が非常に長くなる恐れがある。そこで、好ましくは、図1に示すように、電解質13を全量投入後、一定時間攪拌した後に、高温下で更に所定時間攪拌を行った後、常温に戻すことで電解質含有溶液15を調製するのがより望ましい。これは、電解質を完全に溶解させ、溶け残りをなくすためである。電解質の溶け残りがあると、膜厚がうまく制御できなくなる為、加熱等により高温下に長時間置くのが望ましいものである。その後、常温に戻すのは、後工程でのゾル−ゲル反応のときに高温(例えば、80℃程度)のままでは反応が早すぎて沈殿が生じるおそれがあるためである。なお、一度、完全に溶けた高分子(電解質成分)は、常温に戻してもすぐには析出してこないため、以下に説明する以後の工程を順次進める上で、支障が生じないようにすればよい。また、例えば、工業的に量産する際には、こうした原材料などは一度にまとめて大量生産して貯蔵しておき、その中から必要に応じて少量ずつ使用するような形態もある。そうした場合には、貯蔵中に高分子が析出しない程度の温度で保存管理するのが望ましいといえる。
上記の場合、具体的には、全量投入後、0〜200℃、好ましくは常温下で1〜72時間攪拌した後、加熱等により0〜200℃、好ましくは30〜120℃の高温下で更に1〜72時間攪拌を行った後、自然放冷ないし冷却(熱交換など)にて、0〜50℃、好ましくは常温に戻すことで、電解質含有溶液15を調製するのが望ましいといえる。また、溶解速度の観点から、投入初期から溶解終了時点まで攪拌するのが望ましい。
本工程で調製される電解質含有溶液15中の電解質濃度は、特に制限されるものではないが、0.1〜50wt/v%、好ましくは1〜30wt/v%の範囲である。該濃度が0.1wt/v%以上であると、溶媒を大量に必要とせず経済的であるほか、溶液粘度が低くなり過ぎず、適度な粘性を保持することができる。そのため、膜の形成がスムーズかつ容易に行える点で優れている。一方、50wt/v%以下であると、電解質の溶解が十分に行えるほか、ゲル化を生じるおそれもなく、膜の成形がスムーズかつ容易に行える点で優れている。さらに適度な濃度であるため、高濃度化したときのように金属成分が凝集することもないので、電解質膜中に図2に示すような無機物ゲルが(ネットワーク化されて)高分散された高次構造を有するものを効率よく形成することができる点で優れている。
更に、本電解質溶液調製工程では、図1に示すように、上記により調製された電解質含有溶液15に、後工程の無機物前駆体の反応(加水分解反応及び縮合反応)に触媒として作用する成分(以下、加水分解・縮合反応触媒17、または単に触媒とも称する。)ないし該触媒含有溶液を適量添加して触媒を含有する電解質含有溶液15’を調製する工程(触媒添加工程)を更に行うのが望ましい。なお、後述する複合電解質含有溶液ないし複合電解質膜中のゾルゲル反応では、電解質の自己触媒作用による無機物ゲルの高分散化も生じている。すなわち、電解質のスルホン酸基が酸触媒としても作用するので、高分散化(実際には親水・疎水による相分離との協調による)が実現する。そのため、必ずしも、以下に説明する酸触媒と中性触媒を添加する必要はないが、好ましくは、以下に説明する酸触媒と中性触媒を併用する方が、より一層優れた高分散を実現でき利点で望ましいものである。
かかる触媒添加工程につき説明する。
(触媒添加工程)
ここで、上記加水分解・縮合反応触媒としては、無機物前駆体の反応(加水分解反応及び縮合反応)に触媒として作用する成分であればよく、特に制限されるものではないが、好ましくは酸触媒および/または中性触媒を加えることが望ましく、より好ましくは酸触媒および中性触媒の両方を加えるものである。
ここで、上記加水分解・縮合反応触媒としては、無機物前駆体の反応(加水分解反応及び縮合反応)に触媒として作用する成分であればよく、特に制限されるものではないが、好ましくは酸触媒および/または中性触媒を加えることが望ましく、より好ましくは酸触媒および中性触媒の両方を加えるものである。
ここで、酸触媒用の酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸等が使用できるが、これらに制限されるものではない。当該酸触媒は、その後の加水分解反応および縮合反応の触媒として必要である。
上記酸触媒用の酸の添加量は、上記無機物前駆体1モルに対して0.005〜100モル、好ましくは0.01〜20モルである。触媒用の酸の添加量が100モル以下であると、加水分解反応速度が速くなり過ぎないように調整(制御)されているので、膜の表面性を良好に保持することができる点で優れている。また触媒用の酸の添加量が0.005モル以上であると、反応速度が遅くなり過ぎないように調整(制御)されているので、成膜時間が長く掛かりすぎることもなく経済的である。
また、上記中性触媒としては、例えば、水、などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。当該水(中性触媒)は、その後の加水分解反応の触媒として必要である。
上記中性触媒の添加量は、上記無機物前駆体1モルに対して0.005〜100モル、好ましくは0.01〜20モルである。中性触媒の添加量が100モル以下、好適には20モル以下であると、膜が多孔質化して緻密性が失われることもなく、適正な多孔質膜を形成することができる点で優れている。中性触媒の添加量が0.005モル以上であると、反応速度が遅くなったり、未反応物が残りやすくなることもなく、適正な反応速度に制御されているので良好な無機物前駆体含有溶液を調整することができる。ここで、2種以上の無機物前駆体を用いる場合、例えば、3官能アルコキシシラン化合物と4官能アルコキシシラン化合物の両方を用いた場合には、その総量1モルに対して上記の中性触媒の添加量があてはまる。
前記酸触媒と中性触媒からなる加水分解・縮合反応触媒の合計添加量は、無機物前駆体含有溶液中の無機物前駆体1モルに対して、0.005〜100モル、好ましくは0.01〜20モルの範囲が望ましい。該加水分解・縮合反応触媒の添加量が0.005モル以上であると、反応の進行が遅くなりすぎず、良好に反応を進行させることができる。100モル以下であると、良好に反応を制御することができる点で優れている。
加水分解・縮合反応触媒の加え方としては、特に制限されるものではないが、10mlの電解質含有溶液15に対して、滴下速度0.001〜10ml/min、好ましくは0.01〜0.5ml/minの範囲の速度でゆっくりと滴下するのが望ましい。攪拌しながらゆっくり加えるのは、電解質が析出しないようにする観点から望ましいためである。一気に加えると、電解質の沈殿が生じる場合があり、上述したように膜厚がうまく制御できなくなるおそれがあるなど製膜性能に影響を及ぼすおそれがある。即ち、触媒の滴下速度が10ml/min以下であると、良好に反応を制御することができる点で優れている。そのため、電解質の沈殿が生じないで均一に滴下できる。その結果、上述したように膜厚をうまく制御することができるなど、製膜性能を良好に制御することができる。一方、滴下速度0.001ml/min以上の場合には、沈殿を生じないで均一に滴下できる。
なお、加水分解・縮合反応触媒として、上記酸触媒と中性触媒を併用する場合には、それぞれ上記滴下速度にて別々に添加してもよいが、好ましくは、酸触媒と中性触媒を混合した触媒(水溶液)を滴下するのが、滴下時間を短縮することができるため望ましい。即ち、酸触媒と中性触媒を混合した触媒(水溶液)は、上記に規定するような、ゆっくりとした滴下を行う必要はない。従って、例えば、水(中性触媒)に塩酸など(酸触媒用の酸)を滴下したり、市販の塩酸水溶液等を用いる方が、当該工程に要する時間を大幅に短縮できるためである。
また、電解質含有溶液15に加水分解・縮合反応触媒を加える時期としては、後述する複合電解質溶液作製工程で無機物前駆体含有溶液を加える前であれば、特に制限されるものではない。好ましくは無機物前駆体含有溶液を加える数時間前、好ましくは0.1〜72時間前に加水分解・縮合反応触媒を滴下し終えるようにするのが望ましい。こうすることで、溶液が均一化し、望ましい。したがって、上記触媒を加える開始時期は、無機物前駆体含有溶液を加える数時間前に触媒を滴下し終えるように、上記上記触媒の添加量及び触媒の滴下速度から求めることができる。
[無機物前駆体溶液調製工程]
無機物前駆体溶液調製工程では、図1に示すように、金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体を溶媒(好ましくは前記高沸点溶媒ないし前記高沸点溶媒と相溶性のある溶媒)に溶解させて所定の濃度の無機物前駆体含有溶液を調製するものである。
無機物前駆体溶液調製工程では、図1に示すように、金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体を溶媒(好ましくは前記高沸点溶媒ないし前記高沸点溶媒と相溶性のある溶媒)に溶解させて所定の濃度の無機物前駆体含有溶液を調製するものである。
好ましくは、図1に示すように、溶媒21を攪拌しながら、該溶媒21に金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体23を投入後、一定時間以上攪拌して溶解させることで所定の濃度の無機物前駆体含有溶液25を調製するのが望ましい。
本発明に用いることのできる無機物前駆体23としては、金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラス(ケイ酸ナトリウム)よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体であればよい。これらは、上述したように本発明の製造方法を適用することにより得られる複合電解質膜に、ナノメートルレベル〜数百ミクロンメートルレベルの無機物ゲルとして均一に高分散させることができる。その結果、当該複合電解質膜では、プロトン伝導性、とりわけ高温低湿度(膜が最も乾燥されやすい環境)下でのプロトン伝導性が格段(飛躍的)に向上(無機物無添加に比して2倍ないしそれ以上の性能向上を達成)し得ることができるものである。
ここで、金属アルコキシドを構成する金属としては、チタン、アルミニウムおよびジルコニウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの金属を含むことが好ましい。これらの金属のアルコキシドは、反応性が高く、また、無機物前駆体含有溶液の濃度及び添加速度並びに無機物前駆体の反応温度を調整することにより、無機物前駆体の反応性(加水分解速度及び縮合反応速度)を制御することができる。その結果、得られる複合電解質膜に、ナノメートルレベル〜数百ミクロンメートルレベルの無機物ゲルとして均一に高分散させることができ、高温低湿度下でのプロトン伝導性を格段に向上することができる。
上記金属アルコキシドとしては、具体的には、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタンといったチタニウムアルコキシド、トリ−イソプロポキシアルミ、トリ−n−ブトキシアルミといったアルミニウムアルコキシド、テトラ−n−ブトキシジルコニウムといった加水分解速度の速いチタニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド等を挙げることができるが、これらに制限されるものではなく、さらに、その親水性部分に多価金属原子(例えば、Ti,Alなど)を含むものであって、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタノール、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、及びイソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネートなどのチタネート化合物、並びに、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどのアルミニウム化合物を包含する。
更に、本発明の金属アルコキシドには、有機官能基を有する金属アルコキシドを用いてもよい。有機官能基を有する金属アルコキシドは、その分子構造において、Si、Ti、Zr又はAl原子を含み、無機物質に対して高い反応性又は親和性を有する無機部分(SiOH、TiOH、ZrOH、AlOHなどの金属性水酸基=高い親水性を示す)と、有機化合物に対して高い反応性又は親和性を有する有機部分とを有する。有機官能基を有する金属アルコキシドは、シラン化合物と水ガラスの合計を100質量部とした時に0.01〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜75質量部、より好ましくは5〜50質量部である。有機官能基を有する金属アルコキシドの使用量が1質量部以上であると、有機官能基を有する金属アルコキシドによる柔軟性向上の効果が十分に得られる点で優れている。またそれが100質量部以下であると、優れたガスバリヤー性、更には無機物ゲルに吸湿、保水性能などの特性を有効に保持させることができる。
また、シラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(以下、単にTEOSとも略記する。)、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラアセチルオキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランメチルトリアセチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、n−ペンチル・メチルジメトキシシラン、n−ペンチル・メチルジエトキシシラン、シクロヘキシル・メチルジメトキシシラン、シクロヘキシル・メチルジエトキシシラン、フェニル・メチルジメトキシシラン、フェニル・メチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。これらは単独で使用しても、混合物として使用してもよい。
さらに、プロトン伝導性を向上させる目的で、シラン化合物として、プロトン解離性の官能基を含有するシラン化合物を含めてもよい。
プロトン解離性の官能基としては、スルホン酸誘導体基、ホスホン酸誘導体基、スルホンアミド誘導体基もしくはスルホンイミド誘導体基が挙げられる。こうしたプロトン解離性の官能基を含有するシラン化合物としては、例えば、2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、ジエチルホスフェートエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
プロトン解離性の官能基であるスルホン酸基、ホスホン酸基は、例えば、ヘテロポリ酸のような無機固体酸を更に併用する場合には、該無機固体酸との縮合反応の前に加水分解により生成させてもよく、縮合反応後に生成させてもよい。
上記無機固体酸は、無機物であって、陽子供与体または電子受容体として働く固体から適宜選択することができる。好ましくはヘテロポリ酸である。中でも、タングステンとモリブデンとの少なくともいずれか一つと、ケイ素とリンとの少なくともいずれか一つとを適宜含めたヘテロポリ酸が特に好ましい。
具体的には、タングストリン酸、タングストケイ酸、モリブドリン酸等のヘテロポリ酸を挙げることができる。これらは、単独または二種以上の組み合わせで使用してもよく、またそれらと、リン酸、亜リン酸およびそれらの誘導体からなる群の内の少なくとも一つのリン酸化合物とを含めるようにしてもよい。
この際、リン酸化合物の100モル部に対しヘテロポリ酸が1〜5000モル部の範囲にあることが好ましい。さらに好ましくは5〜2000モル部の範囲である。5000モル部以下であると、未反応の無機固体酸が残留することもなく、燃料電池の運転時に発生する水により、無機プロトン伝導材料からの無機固体酸の漏洩の問題もなく、優れたプロトン伝導度を安定して維持することができる点で優れている。また1モル部以上であると、無機プロトン伝導材料におけるプロトン伝導キャリアである無機固体酸の密度は低くなることなく適切に維持できる為、高いプロトン伝導度を有効に発現することができる。
このようなリン酸化合物としては、下記一般式1で表されるリン酸またはその誘導体、あるいは下記一般式2で表される亜リン酸またはその誘導体が好ましい。
式中、Rは炭素数1〜6の1価の有機基を示し、Yは0〜3の整数である。
式中、R’は炭素数1〜6の1価の有機基を示し、Zは0〜3の整数である。
一般式1における、炭素数1〜6の1価の有機基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基等を挙げることができる。
一般式1において、Yは0〜3であるが、Yが0の具体的な例としては、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリプロピルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル等を挙げることができる。
また、一般式1において、Yが1または2の具体的な例としては、リン酸ジメチルエステル、リン酸ジエチルエステル、リン酸ジプロピルエステル、リン酸ジブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル、リン酸メチルエステル、リン酸エチルエステル、リン酸プロピルエステル、リン酸ブチルエステル、リン酸フェニルエステル等に加え、P2O5をメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、フェノール等に溶解することにより調製されるものが挙げられる。更にYが3の具体的な例としては、オルトリン酸を挙げることができる。
一般式2における、炭素数1〜6の1価の有機基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基等を挙げることができる。
一般式2において、Zは0〜3であるが、Zが0の具体的な例としては、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエチルエステル、亜リン酸トリプロピルエステル、亜リン酸トリブチルエステル、亜リン酸トリフェニルエステル等を挙げることができる。
また、一般式2において、Zが1の具体的な例としては、亜リン酸ジメチルエステル、亜リン酸ジエチルエステル、亜リン酸ジプロピルエステル、亜リン酸ジブチルエステル、亜リン酸ジフェニルエステル等、また、Zが2の具体的な例としては、亜リン酸メチルエステル、亜リン酸エチルエステル、亜リン酸プロピルエステル、亜リン酸ブチルエステル、亜リン酸フェニルエステル、更にZが3の具体的な例としては、亜リン酸を挙げることができる。
これらプロトン解離性の官能基を有するシラン化合物は、上記シラン化合物の一部として使用する。使用するシラン化合物の全量におけるモル比で80モル%以下であることが好ましい。80モル%以下であると、該プロトン解離性の官能基が酸触媒の作用を呈することもなく、無機物前駆体溶液の調整過程でゲル化が生じるのを抑制することができる。そのため、その後の複合電解質含有溶液調製工程のように無機物ゲルをナノメートルレベル〜数百ミクロンメートルレベルまで効果的に分散させることができる点で優れている。また、良好な製膜を行うことができるほか、得られた電解質膜のプロトン伝導性の大幅な向上を達成することができる。
上記無機物前駆体は、粉末形状のものを用いるのが、溶解しやすいため望ましい。
上記溶媒21としては、上記無機物前駆体を溶解できる溶媒であればよいが、好ましくは上記高沸点溶媒と相溶性のあるもの、ないしは上記高沸点溶媒と同じものが望ましい。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エトキシエタノール等の各種アルコール、アセトン等のケトン類、トルエン、キシレン類、NMP、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)などの塩基性溶媒、ジメチルスルホキシド(以下、単にDMSOとも略記する)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリルなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。好ましくは、NMP、DMSO、DMFなどの非プロトン性極性溶媒から適切なものを選ぶのが望ましい。また、単独使用もしくは共沸溶媒可能な組み合わせ使用するのが望ましい。乾燥段階での溶媒沸点の違いにより製膜過程での膜の高次構造に影響を及ぼす恐れがないためである。
無機物前駆体の投入速度としては、特に制限されるものではない。一度に全量を加えてもよいし、溶媒10mlに対し、0.001〜10g/分、好ましくは0.01〜5g/分程度で少量ずつ投入してもよい。投入速度が10g/分以下であると、無機物の沈殿を生じさせることなく、所望の大きさの無機物を分散させることができる点で優れている。投入速度が0.001g/分以上であると、当該無機物前駆体の投入を、長時間を要することもなく経済的に行うことができる。
無機物前駆体含有溶液の調製時の反応溶液の温度は、特に制限されるものではなく、反応溶液の凝固点よりも高く、反応溶液の沸点よりも低い範囲内であればよいが、通常0〜200℃、好ましくは0〜120℃の範囲である。加熱ないし冷却手段(装置)が不要であることから、常温で行うのがよい。
無機物前駆体を全量投入後の攪拌時間は、溶液温度、無機物前駆体の投入量などにより異なるため一義的に規定されるものではないが、無機物前駆体が溶媒21に完全に溶解されていればよい。また、無機物前駆体の投入初期から溶解終了時点まで攪拌するのが望ましい。
本工程で得られる無機物前駆体含有溶液25は、所定の濃度に調製されているものである。具体的には、無機物前駆体が溶媒21により1〜50倍、好ましくは1〜25倍の範囲で希釈されているのが望ましい。言い換えれば、無機物前駆体含有溶液25中の無機物前駆体濃度は、2〜100wt/v%、好ましくは4〜100wt/v%の範囲である。該無機物前駆体の(希釈)濃度が1倍以上ないし100wt/v%以下の場合には沈殿を生じさせることなく、所望の大きさの無機物を分散させることができる点で優れている。また、その後の無機物前駆体の反応性(加水分解反応および縮合反応)を効率よく良好に制御することができる。一方、該無機物前駆体の(希釈)濃度が50倍以下ないし2wt/v%を上回る場合には、(希釈)溶媒量が多くなり過ぎず経済的である。また、溶媒を留去するまでに長時間を要することもなく、この点でも経済的に優れている。また、その後の無機物前駆体の反応性(加水分解反応および縮合反応)を効率よく良好に制御することができる。
なお、上記電解質溶液調製工程と無機物前駆体溶液調製工程との工程順序は、上述した順に行ってもよいし、この逆でもよい。また、図1に示すように、各工程を同時並行して進めてもよいなど、特に制限されるものではない。
[複合電解質溶液作製工程]
複合電解質溶液作製工程では、電解質含有溶液に無機物前駆体含有溶液を加えることにより、無機物ゲルが分散された複合電解質含有溶液を調製するものである。好ましくは、本工程、更には電解質膜形成工程により、無機物前駆体の反応性(加水分解反応および縮合反応)を制御することが望ましい。そこで、複合電解質溶液作製工程では、図1に示すように、電解質含有溶液15、好ましくは触媒を含有してなる電解質含有溶液15’を攪拌しながら、該電解質含有溶液15(15’)に所定の濃度に調製されてなる無機物前駆体含有溶液25をゆっくりと滴下し、全量滴下後にも、一定時間以上攪拌することで複合電解質含有溶液27を作製するのが望ましい。本工程での、こうした条件では加水分解は、滴下した後の所定時間(具体的には、数十時間以内)に進行し、加水分解された後に縮合反応が進行する。縮合反応も、滴下した後の数十時間で進行し縮合していくが、あまり反応率は高くない。よって、縮合反応ともに、滴下した後、所定時間攪拌中(例えば、一日攪拌中)に1/10から1/2くらい進行し、残りが、次工程での熱処理(例えば、80℃加熱)で進行するように、無機物前駆体の反応性(加水分解反応および縮合反応)を制御するのが望ましい。但し、上記に示した具体的な数値は、あくまで1例であり、かかる数値に何ら制限されるものではない。
複合電解質溶液作製工程では、電解質含有溶液に無機物前駆体含有溶液を加えることにより、無機物ゲルが分散された複合電解質含有溶液を調製するものである。好ましくは、本工程、更には電解質膜形成工程により、無機物前駆体の反応性(加水分解反応および縮合反応)を制御することが望ましい。そこで、複合電解質溶液作製工程では、図1に示すように、電解質含有溶液15、好ましくは触媒を含有してなる電解質含有溶液15’を攪拌しながら、該電解質含有溶液15(15’)に所定の濃度に調製されてなる無機物前駆体含有溶液25をゆっくりと滴下し、全量滴下後にも、一定時間以上攪拌することで複合電解質含有溶液27を作製するのが望ましい。本工程での、こうした条件では加水分解は、滴下した後の所定時間(具体的には、数十時間以内)に進行し、加水分解された後に縮合反応が進行する。縮合反応も、滴下した後の数十時間で進行し縮合していくが、あまり反応率は高くない。よって、縮合反応ともに、滴下した後、所定時間攪拌中(例えば、一日攪拌中)に1/10から1/2くらい進行し、残りが、次工程での熱処理(例えば、80℃加熱)で進行するように、無機物前駆体の反応性(加水分解反応および縮合反応)を制御するのが望ましい。但し、上記に示した具体的な数値は、あくまで1例であり、かかる数値に何ら制限されるものではない。
即ち、無機物前駆体の反応性(加水分解反応および縮合反応)を制御するには、具体的には、無機物前駆体の濃度、添加する触媒、反応温度(次工程の熱処理温度を含む)等の条件を特定することで行うことが出来るものである。このうち、無機物前駆体の濃度、添加する触媒については、既に説明しているので、以下、かかる反応性を制御するための反応温度や無機物前駆体の加え方などを中心に説明する。
ここで、電解質含有溶液15、触媒を含有してなる電解質含有溶液15’、無機物前駆体含有溶液25に関しては、既に説明したとおりである。
所定の濃度に調製された無機物前駆体含有溶液の加え方としては、無機物前駆体の反応性制御の観点からは、電解質含有溶液(好ましくは、触媒を含有してなる電解質含有溶液である。以下、同様であり、単に電解質含有溶液とした場合には、好適な触媒を含有してなる電解質含有溶液も含まれるものとする。)10ml当たり、滴下速度(添加速度)が0.001〜10ml/min、好ましくは0.01〜1ml/minの範囲の速度でゆっくりと滴下するのが望ましい。滴下速度(添加速度)が10ml/min以下であると、反応が早く進みすぎて沈殿を生じさせることもなく、適切に反応を進行させることができる。一方、滴下速度(添加速度)が0.001ml/min以上であると、当該無機物前駆体含有溶液の滴下(添加)に長時間を要することもなく経済的である。
電解質含有溶液に無機物前駆体含有溶液を添加して行う、本工程での無機物前駆体の反応温度(反応溶液温度)は、0〜80℃、望ましくは0℃〜30℃の範囲である。なお、ここでの反応温度は、反応溶液温度をいい、次工程の熱処理温度は含めないものとする。(次工程の熱処理温度も含めた無機物前駆体の反応温度としては、0〜200℃囲、好ましくは20℃〜80℃の範囲である。)。該反応温度が0℃以上であると、溶媒が凍結することなく、良好に利用することができる。一方、80℃以下であると、溶媒が蒸発することなく、良好に利用することができる。また、無機物前駆体の反応性制御が容易であり、反応が早すぎて沈殿が生じることもなく、所望の大きさの無機物を分散させることができる。即ち、単分散されたナノメートルレベル〜数百ミクロンメートルレベルの無機物を形成保持でき、製膜により、こうした無機物ゲルを均一に高分散させることができ(上述したように、図3Aに示すようにこれらがネットワーク化を形成している場合を含む)、所望のプロトン伝導性向上効果を十分に発揮させることができる。望ましくは、無機物前駆体の反応性制御が容易となる30℃以下で行うのがよい。
また、電解質含有溶液への前記無機物前駆体含有溶液の加え方において、滴下側の無機物前駆体含有溶液は、いずれも0〜80℃の範囲、望ましくは0〜30℃の範囲、より望ましくは電解質が沈殿しないできるだけ低い温度で滴下することが望ましい。なお、被滴下(母液)側の電解質含有溶液の温度は、上記無機物前駆体の反応温度(反応溶液温度)と同様であり、無機物前駆体含有溶液の滴下時、更には滴下後の攪拌時にも上記に規定する0〜80℃、望ましくは0℃〜30℃の範囲に保持すればよい。滴下する無機物前駆体含有溶液の温度が0℃以上であると、溶媒が凍結することなく、良好に利用することができる。一方、80℃以下、更に30℃以下であると、反応が急激に進行し沈殿を生じさせることもなく、所望の大きさの無機物を分散させることができる。また、滴下側の無機物前駆体含有溶液温度は、被滴下(母液)側の電解質含有溶液温度以下で滴下するのが望ましい。これにより、電解質が沈殿しないできるだけ低い温度を確保しやすく、また無機物前駆体の反応性の制御も容易となる点で優れている。
無機物前駆体含有溶液を、上記滴下速度にてゆっくりと全量滴下した後の攪拌時間は、反応溶液温度、無機物前駆体含有溶液の投入量などにより異なるため一義的に規定されるものではない。好ましくは、上記したように無機物前駆体の反応性(加水分解反応および縮合反応)制御の観点から、通常0.001時間以上、好ましくは0.001〜72時間、より好ましくは0.1〜48時間の範囲である。全量滴下後の攪拌時間が0.001時間以上であれば、溶液全体を均一に保持することができる。また、無機物前駆体の反応性制御を良好に行うことができる。そのため、ナノメートルレベル〜数百ミクロンメートルレベルの無機物ゲルが高分散されている電解質膜を形成することができる。その結果、高温低湿度状態下でのプロトン伝導性の大幅な向上を達成することができる。一方、全量滴下後の攪拌時間の上限は特に制限されないが、72時間以下であれば、当該処理における無機物前駆体の反応性(加水分解反応および縮合反応)制御が十分になされており、更なる攪拌を継続しなくてもよいことから経済的である。
無機物前駆体含有溶液と電解質含有溶液との混合比率は、それぞれの濃度によっても異なるため一義的に規定することはできない。また、無機物前駆体含有溶液中の無機物前駆体と電解質含有溶液中の電解質との混合比率は、目的とする電解質膜の組成、即ち、本発明の作用効果を達成することのできる組成となるように適宜決定すればよく、特に制限されるものではない。具体的には、電解質膜中の無機物含有量が、電解質膜全重量100重量に対して0.01〜70重量部の範囲となるように、さらに好ましくは電解質膜中の無機物含有量が、電解質膜全重量100重量に対して1〜50重量部の範囲となるように無機物前駆体含有溶液中の無機物前駆体と電解質含有溶液中の電解質との混合比率を調製すればよい。
同様に、本工程で調製される無機物ゲルが分散された複合電解質含有溶液27中の電解質濃度及び無機物ゲルの濃度も、目的とする電解質膜の組成、即ち、本発明の作用効果を達成することのできる組成となるように適宜決定すればよく、特に制限されるものではない。具体的には、電解質膜中の無機物ゲルの含有量が、電解質膜全重量100重量に対して0.01〜50重量部の範囲となるように、複合電解質含有溶液27中の電解質濃度及び無機物ゲルの濃度を調製すればよい。さらに、製造過程における問題が生じないように溶液粘度やその後の製膜性なども十分に勘案して最適な濃度に調製すればよい。
具体的には、複合電解質含有溶液27中の電解質濃度としては、0.1〜100wt/v%、好ましくは1〜50wt/v%の範囲である。該濃度が0.1wt/v%以上であれば、溶媒を大量に使用することもなく経済的である。また、溶液粘度が低くなり過ぎず、適当な粘度に調整されているため、膜形成を迅速かつ容易になし得るものである。100wt/v%以下であると、高粘度になり過ぎず、適切な粘度に調整されているため、ゲル化を生じることなく、高分散された無機物を形成することができ、膜の形成が迅速かつ容易に行える点で優れている。さらに高粘度化により金属成分が凝集するのを制御することができるため、電解質膜中に図3Aに示すような無機物ゲルが(ネットワーク化されて)高分散された高次構造を有するものを良好に形成することができる。
また、複合電解質含有溶液27中の無機物ゲルの濃度としては、0.0001〜70wt/v%、好ましくは0.01〜50wt/v%の範囲である。該濃度が0.0001wt/v%以上であると、無機物添加による良好な効果を発現させることができる。70wt/v%以下であると、ひび割れのない電解質膜を得ることができる点で優れている。
[電解質膜形成工程]
電解質膜形成工程では、図1に示すように、前記複合電解質含有溶液を用いて電解質膜を形成するものである。
電解質膜形成工程では、図1に示すように、前記複合電解質含有溶液を用いて電解質膜を形成するものである。
好ましくは、図1に示すように、複合電解質含有溶液27を適当な基材に適当な塗工手段を用いて塗布する工程(塗布工程)と、塗布工程により形成された塗膜(ウェット状態)を所定条件で熱処理する工程(熱処理工程)と、熱処理により得られた膜(ドライ状態)を純水等の溶液を使って剥離する工程(剥離工程)と、剥離された純水等の溶液を含んだ膜を適当な乾燥手段で乾燥する工程(乾燥工程)とを行って、所望の複合電解質膜29を形成するのが望ましい。以下、各工程に即して説明する。
(塗布工程)
まず、塗布工程では、図1に示すように、複合電解質含有溶液27を適当な基材に適当な塗工手段を用いて塗布するものである。
まず、塗布工程では、図1に示すように、複合電解質含有溶液27を適当な基材に適当な塗工手段を用いて塗布するものである。
複合電解質含有溶液を塗工・製膜する際に用いることのできる基材としては、複合電解質含有溶液に対して不活性(反応性活性がなく、薬品耐性を有する)であり、熱処理工程での温度に対する安定性(耐熱性を有し、表面平滑性が損なわれにくく、寸法変化を受けにくい)を有するなど、基材に求められる特性を備えてなるものであれば特に制限されるものではなく、既存のガラス基板、フッ素樹脂(例えば、テフロン(ポリテトラフルオロエチレン)のデュポン社の商品名)基材、更には押出成形やキャスト成形による樹脂基材等を用いることができる。
上記押出成形やキャスト成形による樹脂基材に用いることのできる樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、ナイロン等があり、使用目的やコストに応じて使い分けられる。
更に本発明では、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、などのポリエステル類やポリエチレン、ポリプロピレン、ポリジシクロペンタジエン、(などのオレフィン類などの疎水性樹脂を少なくとも表面に用いた基材、あるいは表面改質して疎水性を付与したガラス基材などが望ましい。特に芳香族環を有する構造では電解質と構造が類似していることから、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの芳香族環を有するポリエステル類がより好ましいものといえる。これら疎水性表面を有する基材を用いて製膜された電解質膜では、親水性表面のガラス基材を用いて製膜されたものに比して、プロトン伝導性を格段に高める(例えば、ポリエチレンテレフタレート基材では、ガラス基材に比して約1.7倍向上する)ことができることを見出した為である。かかる作用機序は明らかではないが、疎水性表面の基材に塗工された電解質は、ウェット状態で電解質成分中のスルホン酸基が外側を向くように配向されて基材側の膜表面から順次高次構造化(図2参照)されることで、新たなプロトン伝導経路が反対側の膜表面まで製膜過程で効率よく形成されると考える。
上記基材の厚さは、フィルム状基材の場合には、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μmである。特に、基板側(例えば、基板下部の台座内部)に加熱手段などを内設するような場合)には、熱伝導性などを勘案してフィルム状基材を用いるのが望ましい。一方、ガラス基材(樹脂基材を除くものではない)のようにフィルム状に成形し難く、取り扱いが難しくなるような場合には、通常0.1〜30mm、好ましくは0.1〜10mmの範囲とするのがよいなど、使用目的に応じて適宜決定すればよい。
また、塗工手段としては、特に制限されるものではなく、例えば、スプレーコーティング法;転写法;インクジェット法やスクリーン印刷法などの印刷塗工技術を用いた塗工法;コーターやローラーなどによる塗工法などを用いることができる。また塗装装置としても上記した各塗工手段に適用した自動塗工装置を用いることができる。なお、押し出し法などのように高温状態にして製膜する方法では、電解質のスルホン酸基が切断されるおそれがあるので、上記したように基材にキャスティングして製膜する方法がよい。
なお、塗工に際しては、一度に所望の厚さになるように塗工してもよいし、図1に示すように、所望の厚さになるように2回以上に分けて重ね塗り塗工してもよい。電解質膜の膜厚が厚くなってくると一度に塗工すると塗工むらや比重差による分離の進行などが生じやすくなる為、何回かに分けて重ね塗りした方が、表面が平滑で均一(均質)な高次構造膜を形成することができる点で優れている。
塗工時の温度としては、塗布直後に急激な温度上昇などにより溶媒が急激に蒸発(飛散)するなどして、製膜性能(例えば、平滑性や高次構造など)に影響を与えない範囲内であれば、特に制限されるものではなく、常温で行ってもよいし、適当に加熱して行ってもよいし、適当に冷却して行ってもよい。具体的には、0〜250℃、好ましくは20〜150℃の範囲で行うのが望ましい。加熱または冷却する場合には、基材側にヒーターや冷媒通路形成するなどして加熱・冷却してもよいし、装置内部全体を温度管理可能な装置としてもよいなど、特に制限されるものではない。
塗工時の圧力としては、塗布直後に急激な圧力変化などにより溶媒が急激に蒸発(飛散)するなどして、製膜性能に影響を与えない範囲内であれば、特に制限されるものではなく、減圧下、大気圧下、加圧下のいずれで行ってもよい。好ましくは大気圧下で行うのがよい。
塗工時の雰囲気としては、塗膜性能に影響を与えない雰囲気であれば特に制限されるものではなく、大気雰囲気、不活性雰囲気、酸素雰囲気のいずれで行ってもよい。作業性のの観点から、好ましくは大気雰囲気で行うのが望ましい。
塗工後の塗膜(ウェット状態)の厚さは、ウェット・ドライ間の膨潤・収縮割合を考慮した上で、使用目的に応じて適宜調整すればよく特に制限されるものではない。
なお、本工程では、次工程の熱処理を行う前に、塗工後の塗膜(ウェット状態)を予熱処理してもよい。なお、かかる予熱処理は、本工程と熱処理工程との間に別途行ってもよいし、または熱処理工程にて、(1)所定の熱処理温度まで昇温速度をコントロールしたり、あるいは(2)熱処理温度を段階的に変化させて、予熱温度を含む低温熱処理を経て所望の高温熱処理を行うようにすることで、上記予熱処理と同様の効果を奏するようにしてもよい。
これら予熱処理は、塗工時の温度よりも高く、尚且つ熱処理温度よりも低い温度で塗膜を予熱して、急激な温度上昇による塗膜へのダメージを抑えることが目的である。かかる目的を達成できるものであれば、いかなる温度に設定してもよく、昇温速度も任意に設定すればよい。なお、塗工時の温度と熱処理温度の差が小さいような場合には、特に予熱処理を行わなくてもよい。
(熱処理工程)
熱処理工程は、図1に示すように、塗布工程により形成された塗膜(ウェット状態)を適当な熱処理手段を用いて所定条件で熱処理するものである。本熱処理工程では、塗膜(ウェット状態)内の高分子(電解質、更には無機物ゲル)が高次構造を形成することができるように、塗膜(ウェット状態)の乾燥をゆっくりすることが極めて望ましいものである。なお、高次構造が形成されていくイメージは、図2A〜Eに順を追って図解しているように、いわば糸(高分子鎖)20が、一本から二本、三本と部分的に絡んでいき、太い糸になるイメージである。図2Eに示す太い部分は、やや結晶性の挙動を示す。かかる高次構造では各糸間(電解質の高分子鎖間や電解質の高分子鎖と無機物ゲル間)で架橋とまでは言えないが、例えば、電解質側の高分子鎖中のスルホン酸基のダブルボンドの酸素と無機物ゲル側のアルコキシシラン化合物等の無機物前駆体が加水分解して生じる金属性水酸基(例えば、SiOH、TiOH、ZrOH、AlOHなど)の水素が水素結合を形成して、電解質高分子と無機物ゲルのネットワークが絡み合っているものといえる(図3参照)。即ち、相互貫入網目と呼ばれるネットワークが形成されているものといえる。こうした構造をとることで、ウォータークラスターの形成に必要な吸湿・保水性能が付与され、高温低湿度下でも新たなプロトン伝導経路に必要十分なウォータークラスターが保持されているため(図3A参照)、無機物ゲル無添加の場合に比して3倍以上のプロトン伝導度を発現させることができるものといえる(図5、6参照)。
熱処理工程は、図1に示すように、塗布工程により形成された塗膜(ウェット状態)を適当な熱処理手段を用いて所定条件で熱処理するものである。本熱処理工程では、塗膜(ウェット状態)内の高分子(電解質、更には無機物ゲル)が高次構造を形成することができるように、塗膜(ウェット状態)の乾燥をゆっくりすることが極めて望ましいものである。なお、高次構造が形成されていくイメージは、図2A〜Eに順を追って図解しているように、いわば糸(高分子鎖)20が、一本から二本、三本と部分的に絡んでいき、太い糸になるイメージである。図2Eに示す太い部分は、やや結晶性の挙動を示す。かかる高次構造では各糸間(電解質の高分子鎖間や電解質の高分子鎖と無機物ゲル間)で架橋とまでは言えないが、例えば、電解質側の高分子鎖中のスルホン酸基のダブルボンドの酸素と無機物ゲル側のアルコキシシラン化合物等の無機物前駆体が加水分解して生じる金属性水酸基(例えば、SiOH、TiOH、ZrOH、AlOHなど)の水素が水素結合を形成して、電解質高分子と無機物ゲルのネットワークが絡み合っているものといえる(図3参照)。即ち、相互貫入網目と呼ばれるネットワークが形成されているものといえる。こうした構造をとることで、ウォータークラスターの形成に必要な吸湿・保水性能が付与され、高温低湿度下でも新たなプロトン伝導経路に必要十分なウォータークラスターが保持されているため(図3A参照)、無機物ゲル無添加の場合に比して3倍以上のプロトン伝導度を発現させることができるものといえる(図5、6参照)。
以上のことから、本工程での熱処理温度としては、0℃〜350℃、好ましくは30℃〜150℃、より好ましくは50〜120℃の範囲で行うのが望ましい。熱処理温度が0℃以上であると、乾燥をゆっくりすることがでるため、高次構造を形成する上で都合である。例えば、スルホン酸基のダブルボンドの酸素と金属性水酸基の水素の結合反応を促進させるだけの熱量(エネルギー量)を供給することができるため、電解質高分子と無機物ゲルのネットワークが絡み合う状態にまでスムーズに成長させることができる。また、反応を進行させるために長時間を要することもなく経済的である。熱処理温度が350℃以下であると、電解質の分解を生じさせることなく良好に熱処理することができる。また、使用する基材や溶媒の種類が制限されることもない。更に、塗膜(ウェット状態)の乾燥をゆっくりすることができ、高次構造を形成する上で優れている。即ち、高次構造を形成する前に溶媒が飛んでしまったり、基材が塑性変形したりして、所望の膜構造を形成することなく、良好な高次構造膜を形成することができる点で優れている。その結果、電解質膜のプロトン伝導性を格段に高めることができる。
熱処理圧力としては、乾燥をゆっくりすることができ、膜性能に影響を与えない範囲内であれば、特に制限されるものではなく、減圧下、大気圧下、加圧下のいずれで行ってもよい。好ましくは大気圧下で行うのがよい。
熱処理雰囲気としては、膜性能に影響を与えない雰囲気であれば特に制限されるものではなく、大気雰囲気、不活性雰囲気、酸素雰囲気のいずれで行ってもよい。作業性の観点から、好ましくは大気雰囲気で行うのが望ましい。
(剥離工程)
剥離工程は、図1に示すように、熱処理により得られた膜(ドライ状態)を純水等の溶液を使って基材から剥離するものである。
剥離工程は、図1に示すように、熱処理により得られた膜(ドライ状態)を純水等の溶液を使って基材から剥離するものである。
これは、基材に固定された膜が破れたりしないように、純水等の溶液で膨潤させて膜にテンションが加わらないようにして基材から外すものである。
上記溶液としては、次の乾燥工程で揮発させることで除去することができるものであればよく、特に制限されるものではない。具体的には、純水、有機溶媒などが挙げられる。好ましくは、膜内部に一部残留しても膜性能に影響しないものが望ましく、具体的には、純水である。
また、該溶液の温度は、特に制限されるものではなく、常温のままでもよいし、加熱して用いてもよいし、冷却して用いてもよい。好ましくは、次の乾燥工程での時間短縮が容易なように、加熱して用いるのが望ましい。例えば、純水を加熱した熱水などを用いてもよい。かかる観点から、該溶液の温度は、0〜120℃、好ましくは20〜80℃の範囲である。
また、膜への溶液の供給方法としては、特に制限されるものではなく、スプレー法、含浸法などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
剥離の仕方は、例えば、膨潤により剥離するのが、しわや破れおよびピンホール発生などの問題が無く、きれいに剥離することが出来る。
更に、当該剥離工程においては、未反応物の洗浄処理を兼ねて剥離処理を行うのが望ましい。例えば、(1)洗浄を兼ねて純水中に基材を入れて洗浄処理を行いながら基材から膜を剥離してもよい。あるいは(2)弱酸水溶液に基材を漬けて、未反応物の洗浄(好ましくは洗浄処理を行いながら剥離)を行い、その後、純水に基材ないし剥離された膜のみを入れて、弱酸水溶液や該弱酸と未反応物の中和物を洗浄・除去する(剥離されていなければ、ここで剥離も一緒に行う)ようにしてもよいなど、特に制限されるものではない。
(乾燥工程)
乾燥工程では、図1に示すように、剥離された純水等の溶液を含んだ膜を適当な乾燥手段で乾燥するものである。これにより、無機物ゲルを含有する所望の複合電解質膜を得ることができる。特に、上述したように無機物前駆体の反応性を制御することにより、得られる電解質膜内での無機物ゲルの分散性が向上し、ナノメートルレベル〜数百ミクロンメートルレベルの無機物ゲルを高分散してなる複合電解質膜を得ることができる。
乾燥工程では、図1に示すように、剥離された純水等の溶液を含んだ膜を適当な乾燥手段で乾燥するものである。これにより、無機物ゲルを含有する所望の複合電解質膜を得ることができる。特に、上述したように無機物前駆体の反応性を制御することにより、得られる電解質膜内での無機物ゲルの分散性が向上し、ナノメートルレベル〜数百ミクロンメートルレベルの無機物ゲルを高分散してなる複合電解質膜を得ることができる。
乾燥温度は、用いる溶液の種類(沸点)によっても異なる為、一義的に規定することはできないが、通常0〜300℃、好ましくは20〜120℃の範囲である。乾燥温度が0℃以上であると、溶媒が凍結することもなく良好に使用することができる。また使用可能な溶媒の種類が制限されることもない。一方、300℃以下であると、電解質が分解することなく良好に膜乾燥を行うことができる。
乾燥時の圧力は、膜性能に影響を与えない範囲内であれば特に制限されるものではなく、減圧下、大気圧下、加圧下のいずれで行ってもよい。好ましくは、乾燥時間が短縮可能な減圧下で行うのが望ましい。
乾燥時の雰囲気としては、特に制限されるものではなく、膜性能に影響を与えない雰囲気であれば特に制限されるものではなく、大気雰囲気、不活性雰囲気、酸素雰囲気のいずれで行ってもよい。作業性の観点から、好ましくは大気雰囲気で行うのが望ましい。
次に、本発明に係る複合電解質膜は、上記した本発明の製造方法により作製されてなることを特徴とするものである。本発明の複合電解質膜では、上述したように無機物前駆体の反応性を制御することにより、電解質膜内での無機物ゲルの分散性が向上し、ナノメートルレベル〜数百ミクロンメートルレベル、中でもナノメートルレベル〜サブミクロンレベルの無機物ゲルを高分散してなる複合電解質膜を得ることができる。その結果、高温低湿度下でも十分なプロトン伝導度を発現させることのできるものである(図5、6参照)。これは、上述したように本発明の複合電解質膜では、図2A〜Eに示すように、糸状の電解質高分子鎖20が高次構造化されており、各高分子鎖近傍では、架橋とまでは言えないが、例えば、電解質のスルホン酸基のダブルボンドの酸素と無機物ゲルの金属性水酸基の水素が水素結合を形成して、電解質の高分子鎖と無機物ゲルのネットワークが絡み合っているなど、こうした水素結合などの分子間相互作用が複合的に関与するためと考えられる。例えば、こうした水素結合による作用のほかにも、親水・疎水性相互作用、静電的相互作用等も関与しているものと考えられる。特に、無機物の高分散凝集は、(ナノメートルオーダー〜)サブミクロンオーダーの出来事であるので、二分子間の結合である水素結合による作用の他にも、親水・疎水による電解質の相分離、静電的相互作用による無機原料の電解質親水部付近の凝集などが複合的に関与しているものと考えられる。既存の製造方法のように、無機物前駆体の反応性を制御することなく、電解質に無機物ゲルを添加させても、ナノメートルレベル〜サブミクロンレベルの無機物ゲルにすることはできず、もっと大きな数μmサイズの無機物ゲルとなって凝集・沈殿し(塊状化し)、分散させることができなくなってしまう。そのためナノメートルレベル〜数百ミクロンメートルレベル、中でもナノメートルレベル〜サブミクロンレベルの無機物ゲルを電解質膜内に均一に分散させることもできない。既存の製造方法により得られる数μmサイズの無機物ゲルでは、分散状態を保持し難く、塗布乾燥する過程で凝集、沈降するなどして(塊状化し)、膜内に偏在化して存在することになり、上述したように、高分散された無機物ゲルが連結されたウォータークラスターを形成することで新規なプロトンパスを形成するということもできない。そのため、高温低湿度では十分なプロトン伝導性を発現させることができないものであったといえる。一方、本発明の複合電解質膜では、無機物ゲルが均一に分散され、この無機物ゲルと電解質の高分子鎖とが絡み合った高次構造膜とすることができる。こうした無機物ゲルが分散された高次構造膜では、吸湿・保水性に優れた無機物ゲルにより膜内に連結されたウォータークラスターを形成することができ、新規なプロトンパスを形作ることができる。更に、電解質膜と無機物ゲルとの相互作用により、電解質のスルホン酸基により吸湿・保水される領域を、膜内部に均一に高分散化されて存在する当該無機物ゲルが拡張する機能(相乗効果)が新たに発現できているものと考えられる。これらの結果、高温低湿度でも優れたプロトン伝導性を発現させることができるものである。
また、本発明に係る複合電解質膜は、電解質と、金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体由来の無機物ゲルとを含む複合電解質膜であって、前記複合電解質膜全重量100重量部に対して前記無機物ゲルが、0.01〜70重量部、好ましくは1〜50重量部の範囲で分散されていることを特徴とするものとして捕らえることもできる。
ここで、無機物ゲルが0.1重量部以上であると、吸湿・保水性に優れた無機物ゲル量として十分であり、高温低湿度で十分なプロトン伝導性を発現させることができる。無機物ゲルが70重量部以下であれば、無機物ゲルが高濃度過ぎることもなく、適切な濃度に制御されているため、製造過程で凝集、沈降を生じることもなく、膜内に均一に高分散させることができる。また、相対的に電解質量が適当な範囲に制御されている為、高いプロトン伝導性を保持することができる。
なお、無機物ゲルとしては、製造方法で説明したような無機物前駆体が加水分解及び縮合反応(ゾル−ゲル反応)して形成されたものであればよい。具体的には、シリカゲル、チタニアゲル、アルミナゲル、ジルコニアゲルなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
また、本発明に係る複合電解質膜は、電解質と、金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体由来の無機物ゲルとを含む複合電解質膜であって、前記無機物ゲルが、(平均)粒径0.1nm〜10μm、さらに望ましくは0.001〜0.1μmの範囲である粒子として分散されていることを特徴とするものとして捕らえることもできる。
ここで、無機物ゲルの平均粒径が0.1nm以上であれば、上述した製造後述を利用することで、問題なく、こうしたサイズの粒子を作成することができる。また、個々の粒子を利用して、あるいは該粒子と電解質成分間の相互作用により、膜内部に蓄えられる水分量(吸湿・保水作用等による)を十分確保することできる。その結果、高温低湿度でも、こうした水分が失われにくく長期間保持することができ、高温低湿度状態のままでも、高いプロトン伝導性を長く保持することができる。無機物ゲルの平均粒径が10μm以下であれば、十分に製膜することができる。また、本発明の上記製造技術を適用することで、製造過程で上記サイズ以下の無機物ゲルであれば、膜内に良好に分散させることができる。
また、本発明に係る複合電解質膜は、電解質と、金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体由来の無機物ゲルとを含む複合電解質膜であって、プロトン伝導度が、前記無機物ゲル無添加の電解質膜に対して、より高いプロトン伝導度を有することを特徴とするものとして捕らえることもできる。好ましくは、(プロトン伝導度測定による相対湿度30%RH、温度80℃でのプロトン伝導度の向上分が、前記無機物ゲル無添加の電解質膜に対して、5%以上、好ましくは50%以上高いことが望ましい。
本発明の複合電解質膜のプロトン伝導度の向上分が、無機物ゲル無添加の電解質膜に対して、5%以上であれば、低湿度におけるプロトン伝導度として十分である。
本発明に係る複合電解質膜は、燃料電池の電解質膜として利用することができる。
ここで、本発明に係る複合電解質膜を利用することのできる燃料電池としては、特に限定されず、高分子電解質型(固体高分子型)燃料電池;アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池に代表される酸型電解質の燃料電池;ダイレクトメタノール型燃料電池、マイクロ燃料電池などが挙げられる。また、こうした燃料電池は、高温低湿度でのプロトン伝導性に優れることから、高温低湿度でも所望の電池性能を発現することできる。そのため、搭載スペースが限定される車両などの移動体用電源の他、定置用電源などとして有用であるが、特にシステムの起動停止や出力変動が頻繁に発生し、高温低湿度で運転されることのある自動車用途で特に好適に使用できる。特に高分子電解質型(固体高分子型)燃料電池は、小型かつ高密度・高出力化が可能であることから、定置用電源の他、搭載スペースが限定される自動車などの移動体用電源などとして有用である。
実施例1
図4に示す手順で、複合電解質膜を作製した。
図4に示す手順で、複合電解質膜を作製した。
1.加水分解・縮合反応触媒を含む電解質溶液の調製
1−1.電解質溶液(触媒含まず)の調製
高沸点溶媒であるNMP20mlを攪拌しながら、該NMP溶媒に電解質としてスルホン化ポリエーテルスルホン(以下、単にS−PESともいう)5.0gを少量ずつ投入し(投入速度;溶媒10mlに対し、0.1〜10g/分程度)、全量投入後、常温下で、30分以上攪拌した。その後、ヒーター加熱により80℃の高温下で更に12時間攪拌を行った後、自然放冷にて常温に戻すことで、電解質含有溶液として25wt/v%のS−PES含有NMP溶液を調製した。
1−1.電解質溶液(触媒含まず)の調製
高沸点溶媒であるNMP20mlを攪拌しながら、該NMP溶媒に電解質としてスルホン化ポリエーテルスルホン(以下、単にS−PESともいう)5.0gを少量ずつ投入し(投入速度;溶媒10mlに対し、0.1〜10g/分程度)、全量投入後、常温下で、30分以上攪拌した。その後、ヒーター加熱により80℃の高温下で更に12時間攪拌を行った後、自然放冷にて常温に戻すことで、電解質含有溶液として25wt/v%のS−PES含有NMP溶液を調製した。
ここで、S−PESの投入速度は、溶媒10mlに対し、0.5g/分とした。
1−2.電解質溶液(触媒含む)の調製
上記25wt/v%のS−PES含有NMP溶液を攪拌しながら、該25wt/v%のS−PES含有NMP溶液に、加水分解・縮合反応触媒として水(中性触媒)をゆっくりと滴下した後、0.5時間攪拌を行って、加水分解・縮合反応触媒を含む電解質含有溶液として約25wt/v%のS−PES含有NMP水溶液を調製した。
上記25wt/v%のS−PES含有NMP溶液を攪拌しながら、該25wt/v%のS−PES含有NMP溶液に、加水分解・縮合反応触媒として水(中性触媒)をゆっくりと滴下した後、0.5時間攪拌を行って、加水分解・縮合反応触媒を含む電解質含有溶液として約25wt/v%のS−PES含有NMP水溶液を調製した。
ここで、水の添加量は、後述する無機物前駆体であるTEOS(テトラエトキシシラン)に対して10molとした。また、水の滴下速度は、25wt/v%のS−PES含有NMP溶液10mlに対して、0.01ml/minの速度でゆっくりと滴下した。
2.無機物前駆体溶液の調製
溶媒として、上記1で用いた高沸点溶媒と同じであるNMP1gを攪拌しながら、該NMP溶媒に無機物前駆体であるTEOS0.1gを投入後、1時間以上攪拌して溶解させることで所定の濃度の無機物前駆体含有溶液として9.1wtwt/v%のTEOS含有NMP溶液を調製した。
溶媒として、上記1で用いた高沸点溶媒と同じであるNMP1gを攪拌しながら、該NMP溶媒に無機物前駆体であるTEOS0.1gを投入後、1時間以上攪拌して溶解させることで所定の濃度の無機物前駆体含有溶液として9.1wtwt/v%のTEOS含有NMP溶液を調製した。
ここで、TEOSの投入速度は、NMP溶媒1gに対し、0.1g/分とした。
3.複合電解質含有溶液の作製
上記1で得られたS−PES含有NMP水溶液に、所定の濃度に調製されてなる上記2で得られた9.1wt/v%のTEOS含有NMP溶液を常温(室温)下でゆっくりと滴下し、全量滴下後にも、常温(室温)のまま12時間以上攪拌することで複合電解質含有溶液を作製した。
上記1で得られたS−PES含有NMP水溶液に、所定の濃度に調製されてなる上記2で得られた9.1wt/v%のTEOS含有NMP溶液を常温(室温)下でゆっくりと滴下し、全量滴下後にも、常温(室温)のまま12時間以上攪拌することで複合電解質含有溶液を作製した。
ここで、TEOS含有NMP溶液の滴下速度は、電解質含有溶液10ml当たり、0.1ml/minとした。
4.電解質膜の形成
4−1.複合電解質含有溶液の塗布
上記3で作製された複合電解質含有溶液を、自動塗工装置を用いて、50μm厚のテフロンフィルム基材に塗工して塗膜(ウェット状態)を形成した。塗布処理は、大気雰囲気下、常温、常圧で行った。
4−1.複合電解質含有溶液の塗布
上記3で作製された複合電解質含有溶液を、自動塗工装置を用いて、50μm厚のテフロンフィルム基材に塗工して塗膜(ウェット状態)を形成した。塗布処理は、大気雰囲気下、常温、常圧で行った。
4−2.塗膜(ウェット状態)の熱処理
上記4−1により形成された塗膜(ウェット状態)を、乾燥機を用いて80℃で最低12時間以上熱処理することで膜(ドライ状態)を得た。熱処理は、大気雰囲気下、常圧にて行った。
上記4−1により形成された塗膜(ウェット状態)を、乾燥機を用いて80℃で最低12時間以上熱処理することで膜(ドライ状態)を得た。熱処理は、大気雰囲気下、常圧にて行った。
4−3.膜(ドライ状態)の純水剥離
4−2で得られた膜を常温(室温)下で基材に固定された膜が破れたりしないように、純水に5分浸漬して膨潤させて膜にテンションが加わらないようにして、基材から剥離した。ここでも、大気雰囲気下、常温、常圧で行った。
4−2で得られた膜を常温(室温)下で基材に固定された膜が破れたりしないように、純水に5分浸漬して膨潤させて膜にテンションが加わらないようにして、基材から剥離した。ここでも、大気雰囲気下、常温、常圧で行った。
4−4.膜の乾燥
剥離された純水を含んだ膜を、乾燥器に入れ、常温(室温)で3時間以上、真空乾燥を行って、所望の複合電解質膜を形成した。
剥離された純水を含んだ膜を、乾燥器に入れ、常温(室温)で3時間以上、真空乾燥を行って、所望の複合電解質膜を形成した。
5.複合電解質膜の性能評価
以下に示すプロトン伝導度測定により、得られら複合電解質膜につき温度及び相対湿度を変えてプロトン伝導度を測定した。得られた結果を図5、6に示す。
以下に示すプロトン伝導度測定により、得られら複合電解質膜につき温度及び相対湿度を変えてプロトン伝導度を測定した。得られた結果を図5、6に示す。
<プロトン伝導度測定>
40・60・80℃×30・60・95%RHの9条件で測定を実施した。インピーダンスの測定にはソーラトロン社のインピーダンスアナライザーを用い、交流法にて行った。振幅10mV、10k〜100kHzの周波数掃引を行い、得られたcole−coleプロットの実軸との切片を抵抗とした。
40・60・80℃×30・60・95%RHの9条件で測定を実施した。インピーダンスの測定にはソーラトロン社のインピーダンスアナライザーを用い、交流法にて行った。振幅10mV、10k〜100kHzの周波数掃引を行い、得られたcole−coleプロットの実軸との切片を抵抗とした。
非導電性の基材上に、上記の複合電解質膜を配置し、その上に、白金線を0.5cm間隔で5本並行に巻き付けた非導電性電極支持基材を配置し、白金線の間を適宜通電し、白金線間距離を0.5cm、1cm、1.5cm、2cmと変えて抵抗を測定し、得られたそれぞれの抵抗値を電極間距離に対しプロットした。このプロットは直線になった。この勾配から以下の式にて、プロトン伝導度を算出した。
比較例1
1.電解質溶液の調製
高沸点溶媒であるNMP20mlを攪拌しながら、該NMP溶媒に電解質としてS−PES5.0gを少量ずつ投入し、全量投入後、常温下で、30分以上攪拌した。その後、ヒーター加熱により80℃の高温下で更に12時間攪拌を行った後、自然放冷にて常温に戻すことで、電解質含有溶液として25wt/v%のS−PES含有NMP溶液を調製した。
1.電解質溶液の調製
高沸点溶媒であるNMP20mlを攪拌しながら、該NMP溶媒に電解質としてS−PES5.0gを少量ずつ投入し、全量投入後、常温下で、30分以上攪拌した。その後、ヒーター加熱により80℃の高温下で更に12時間攪拌を行った後、自然放冷にて常温に戻すことで、電解質含有溶液として25wt/v%のS−PES含有NMP溶液を調製した。
ここで、S−PESの投入速度は、溶媒10mlに対し、0.5g/分とした。
2.電解質膜の形成
2−1.電解質含有溶液の塗布
上記1で作製された電解質含有溶液を、自動塗工装置を用いて、50μm厚のポリエチレンナフタレート基材に塗工して塗膜(ウェット状態)を形成した。塗布処理は、大気雰囲気下、常温、常圧で行った。
2−1.電解質含有溶液の塗布
上記1で作製された電解質含有溶液を、自動塗工装置を用いて、50μm厚のポリエチレンナフタレート基材に塗工して塗膜(ウェット状態)を形成した。塗布処理は、大気雰囲気下、常温、常圧で行った。
2−2.塗膜(ウェット状態)の熱処理
上記2−1により形成された塗膜(ウェット状態)を、乾燥機を用いて80℃で最低12時間以上熱処理することで膜(ドライ状態)を得た。熱処理は、大気雰囲気下、常圧にて行った。
上記2−1により形成された塗膜(ウェット状態)を、乾燥機を用いて80℃で最低12時間以上熱処理することで膜(ドライ状態)を得た。熱処理は、大気雰囲気下、常圧にて行った。
2−3.膜(ドライ状態)の純水剥離
2−2で得られた膜を常温(室温)下で基材に固定された膜が破れたりしないように、純水に5分浸漬して膨潤させて膜にテンションが加わらないようにして、基材から剥離した。ここでも、大気雰囲気下、常温、常圧で行った。
2−2で得られた膜を常温(室温)下で基材に固定された膜が破れたりしないように、純水に5分浸漬して膨潤させて膜にテンションが加わらないようにして、基材から剥離した。ここでも、大気雰囲気下、常温、常圧で行った。
2−4.膜の乾燥
剥離された純水を含んだ膜を、真空乾燥器に入れ、常温(室温)で3時間以上、真空乾燥を行って、所望の複合電解質膜を形成した。
剥離された純水を含んだ膜を、真空乾燥器に入れ、常温(室温)で3時間以上、真空乾燥を行って、所望の複合電解質膜を形成した。
3.電解質膜の性能評価
実施例1に示すプロトン伝導度測定により、得られら電解質膜につき温度及び相対湿度を変えてプロトン伝導度を測定した。得られた結果を図5、6に示す。
実施例1に示すプロトン伝導度測定により、得られら電解質膜につき温度及び相対湿度を変えてプロトン伝導度を測定した。得られた結果を図5、6に示す。
図5、6の結果から明らかなように、比較例1の無機物無添加の電解質膜に比して、本発明の複合電解質膜では、低湿度条件下でプロトン伝導度を3倍以上向上させることが出来ることが確認できた。このことから、低湿度条件での運転が行われ得る燃料電池自動車などの用途に極めて有用に適用できることが確認できた。特に、実施例1の電解質膜は、炭化水素系樹脂製の電解質膜であり、フッ素系樹脂製の電解質膜に比して安価に製造することができ、なおかつプロトン伝導度を格段に高めることが出来るものである。
11 高沸点溶媒、
13 電解質、
15 電解質含有溶液、
15’ 触媒を含有する電解質含有溶液、
17 加水分解・縮合反応触媒、
20 糸状の電解質高分子鎖、
21 溶媒、
23 無機物前駆体、
25 所定の濃度の無機物前駆体含有溶液、
27 複合電解質含有溶液、
29、31 複合電解質膜、
31’ 炭化水素系樹脂製の電解質膜、
33、33a ウォータークラスター(イオンクラスター)、
35 電解質、
37 無機物ゲル(ネットワーク化された状態をイメージしたもの)。
13 電解質、
15 電解質含有溶液、
15’ 触媒を含有する電解質含有溶液、
17 加水分解・縮合反応触媒、
20 糸状の電解質高分子鎖、
21 溶媒、
23 無機物前駆体、
25 所定の濃度の無機物前駆体含有溶液、
27 複合電解質含有溶液、
29、31 複合電解質膜、
31’ 炭化水素系樹脂製の電解質膜、
33、33a ウォータークラスター(イオンクラスター)、
35 電解質、
37 無機物ゲル(ネットワーク化された状態をイメージしたもの)。
Claims (21)
- 電解質を高沸点溶媒に溶解してなる電解質含有溶液に、所定の濃度の金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体を含有してなる無機物前駆体含有溶液を加えることにより無機物ゲルを含有する複合電解質膜を作製するにあたり、
前記無機物前駆体の反応性を制御することを特徴とする複合電解質膜の製造方法。 - 電解質を高沸点溶媒に溶解させて電解質含有溶液を調製する工程と、
金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体を前記高沸点溶媒ないし前記高沸点溶媒と相溶性のある溶媒に溶解させて所定の濃度の無機物前駆体含有溶液を調製する工程と、
前記電解質含有溶液に前記無機物前駆体含有溶液を加えることにより、無機物ゲルが分散された複合電解質含有溶液を調製する工程と、
前記複合電解質含有溶液を用いて電解質膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする複合電解質膜の製造方法。 - 前記無機物前駆体含有溶液の濃度及び添加速度並びに無機物前駆体の反応温度を調整することにより、無機物前駆体の反応性を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の複合電解質膜の製造方法。
- 前記無機物前駆体の反応温度が、0〜200℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合電解質膜の製造方法。
- 前記無機物前駆体の反応温度が、20℃〜80℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合電解質膜の製造方法。
- 前記所定の濃度の無機物前駆体含有溶液が、無機物前駆体を1〜50倍の範囲で希釈した無機物前駆体含有溶液であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合電解質膜の製造方法。
- 前記無機物前駆体含有溶液の加え方が、電解質含有溶液10mlml当たり、滴下速度0.01〜1ml/minの範囲の速度でゆっくりと滴下するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合電解質膜の製造方法。
- 前記無機物前駆体含有溶液および電解質含有溶液の加え方において、無機物前駆体含有溶液および電解質含有溶液は、いずれも0〜80℃の範囲で滴下することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合電解質膜の製造方法。
- 前記無機物前駆体含有溶液の加水分解・縮合反応触媒として、酸触媒および/または中性触媒をさらに加えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合電解質膜の製造方法。
- 前記加水分解・縮合反応触媒として、酸触媒と中性触媒とを混合したものを加えることを特徴とする請求項9に記載の複合電解質膜の製造方法。
- 前記電解質含有溶液に前記無機物前駆体含有溶液を加える前に、前記加水分解・縮合反応触媒を前記電解質含有溶液に加えることを特徴とする9または10に記載の複合電解質膜の製造方法。
- 前記酸触媒の添加量が、無機物前駆体1モルに対して0.01〜100モルの範囲で加えることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の複合電解質膜の製造方法。
- 前記中性触媒の添加量が、無機物前駆体1モルに対して0.01〜100モルモルの範囲で加えることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の複合電解質膜の製造方法。
- 前記加水分解・縮合反応触媒全体の添加量が、前記無機物前駆体含有溶液中の無機物前駆体1モルに対して、0.005〜100モルの範囲であることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の複合電解質膜の製造方法。
- 前記加水分解・縮合反応触媒全体の添加量が、前記無機物前駆体含有溶液1モルに対して1〜20モルの範囲であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の複合電解質膜の製造方法。
- 請求項1〜15のいずれかに記載の製造方法により作製されてなることを特徴とする複合電解質膜。
- 電解質と、金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体由来の無機物ゲルとを含む複合電解質膜であって、
前記複合電解質膜全重量100重量部に対して前記無機物ゲルが、0.1〜50重量部の範囲で分散されていることを特徴とすることを特徴とする複合電解質膜。 - 電解質と、金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体由来の無機物ゲルとを含む複合電解質膜であって、
前記無機物ゲルが、平均粒径0.001〜1μmの範囲である粒子として分散されていることを特徴とする複合電解質膜。 - 電解質と、金属アルコキシド、シラン化合物および水ガラスよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の無機物前駆体由来の無機物ゲルとを含む複合電解質膜であって、
プロトン伝導度が、前記無機物ゲル無添加の電解質膜に対して、より高いプロトン伝導度を有することを特徴とする複合電解質膜。 - プロトン伝導度試験による相対湿度30%RH、温度80℃でのプロトン伝導度が、前記無機物ゲル無添加の電解質膜に対して、5%以上%以上高いことを特徴とする請求項19に記載の複合電解質膜。
- 請求項16〜20の少なくとも2つの要件を具備してなることを特徴とする複合電解質膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005255604A JP2007073202A (ja) | 2005-09-02 | 2005-09-02 | 電解質膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005255604A JP2007073202A (ja) | 2005-09-02 | 2005-09-02 | 電解質膜の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007073202A true JP2007073202A (ja) | 2007-03-22 |
Family
ID=37934510
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005255604A Pending JP2007073202A (ja) | 2005-09-02 | 2005-09-02 | 電解質膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007073202A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010103010A (ja) * | 2008-10-24 | 2010-05-06 | Toyota Motor Corp | 電解質膜の製造方法 |
JP2010106276A (ja) * | 2008-10-29 | 2010-05-13 | Samsung Electronics Co Ltd | 電解質組成物、触媒インク及びこれを使用して製造された固体電解質膜 |
JP2016004658A (ja) * | 2014-06-16 | 2016-01-12 | 学校法人早稲田大学 | 電解質膜、膜電極接合体、燃料電池、および電解質膜の製造方法 |
CN115928145A (zh) * | 2022-12-28 | 2023-04-07 | 嘉庚创新实验室 | 一种碱性电解水制氢用有机-无机复合隔膜及其制备方法 |
-
2005
- 2005-09-02 JP JP2005255604A patent/JP2007073202A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010103010A (ja) * | 2008-10-24 | 2010-05-06 | Toyota Motor Corp | 電解質膜の製造方法 |
JP2010106276A (ja) * | 2008-10-29 | 2010-05-13 | Samsung Electronics Co Ltd | 電解質組成物、触媒インク及びこれを使用して製造された固体電解質膜 |
JP2016004658A (ja) * | 2014-06-16 | 2016-01-12 | 学校法人早稲田大学 | 電解質膜、膜電極接合体、燃料電池、および電解質膜の製造方法 |
CN115928145A (zh) * | 2022-12-28 | 2023-04-07 | 嘉庚创新实验室 | 一种碱性电解水制氢用有机-无机复合隔膜及其制备方法 |
CN115928145B (zh) * | 2022-12-28 | 2023-10-13 | 嘉庚创新实验室 | 一种碱性电解水制氢用有机-无机复合隔膜及其制备方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20230154641A1 (en) | Patterned nanoparticle structures | |
Guo et al. | An autotransferable g‐C3N4 Li+‐modulating layer toward stable lithium anodes | |
Özdemir et al. | Polybenzimidazole based nanocomposite membranes with enhanced proton conductivity for high temperature PEM fuel cells | |
Amiinu et al. | Toward anhydrous proton conductivity based on imidazole functionalized mesoporous silica/nafion composite membranes | |
US9925559B2 (en) | Graphene-containing coating film, and method for preparing the same | |
JP2007257882A (ja) | 電解質膜およびその製造方法 | |
WO2012161135A1 (ja) | 半導体基板用パッシベーション膜形成用材料、半導体基板用パッシベーション膜及びその製造方法、並びに太陽電池素子及びその製造方法 | |
JP4457462B2 (ja) | プロトン伝導膜の製造方法及びそれからなる燃料電池 | |
JP2007084786A (ja) | ナノ複合体とその製造方法、ナノ複合電解質膜及びそれを用いた燃料電池 | |
JP2011052222A (ja) | ナノ複合体イオン錯体を利用した電解質膜の製造方法 | |
JP2005005046A (ja) | シロキサン高分子電解質膜及びそれを用いた固体高分子型燃料電池 | |
JP2007073202A (ja) | 電解質膜の製造方法 | |
JP2010126735A (ja) | ナノ粒子薄膜の製造方法、ナノ粒子薄膜及びそれを用いた電子デバイス | |
JP2016050133A (ja) | イオン伝導体用プルシアンブルー型金属錯体薄膜 | |
KR20050074307A (ko) | 혼합 금속 산화층 및 그 제조 방법 | |
Molla-Abbasi et al. | A novel heteropolyacid-doped carbon nanotubes/Nafion nanocomposite membrane for high performance proton-exchange methanol fuel cell applications | |
Zhang et al. | Impregnation of imidazole functionalized polyhedral oligomeric silsesquioxane in polymer electrolyte membrane for elevated temperature fuel cells | |
JP2008091342A (ja) | 高分子電解質膜とその製造方法、及び該高分子電解質膜を含む燃料電池 | |
JP2006179448A (ja) | 電解質膜及びこれを用いた膜−電極接合体並びにこれを用いた燃料電池 | |
Malik et al. | Development of functionalized quantum dot modified poly (vinyl alcohol) membranes for fuel cell applications | |
KR20140048573A (ko) | 비정질 실리콘산화물이 코팅된 탄소 복합체, 이의 제조방법 및 이를 이용한 연료전지용 전극촉매 | |
JP2007073201A (ja) | 電解質膜の製造方法 | |
Kim et al. | Properties of composite membrane based on sulfonated poly (arylene ether sulfone): effect of functional groups in phosphotungstic acid particles prepared by sol–gel method | |
JP2008200608A (ja) | 導電性フッ素樹脂薄膜の製造方法および導電性フッ素樹脂薄膜 | |
JP2005320472A (ja) | プロトン伝導膜、触媒電極とプロトン伝導体との接合体、燃料電池 |