JP2007072344A - 液晶装置、液晶装置の製造方法、投射型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶装置を提供する。
【解決手段】 一対の基板10,20間に液晶50を挟持してなる液晶装置であって、一対の基板10,20の少なくとも一方の液晶50側の面に液晶50の配向方向を制御する配向膜1,2を備え、配向膜1,2は、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの少なくとも一方を主体とし、且つ、塩基性酸化物を含有する。
【選択図】 図4
【解決手段】 一対の基板10,20間に液晶50を挟持してなる液晶装置であって、一対の基板10,20の少なくとも一方の液晶50側の面に液晶50の配向方向を制御する配向膜1,2を備え、配向膜1,2は、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの少なくとも一方を主体とし、且つ、塩基性酸化物を含有する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、液晶装置、液晶装置の製造方法、投射型表示装置に関する。
一般に、液晶プロジェクタ(投射型表示装置)のライトバルブや携帯電話等のディスプレイとして用いられる液晶装置には、一対の基板間に挟持された液晶の配向方向を制御する配向膜が設けられている。この配向膜には、従来よりポリイミド等の有機膜をラビング処理した有機配向膜が広く使用されている。
しかしながら、有機配向膜は、配向力に優れる反面、熱や光に弱く、長期間の使用によってその配向力が低下してしまうことがある。特に、高強度の光が照射される液晶プロジェクタでは、光源からの光や熱によって有機配向膜に変性が生じやすく、有機配向膜の劣化が進むと、液晶分子を所望の配向方向に配列できなくなる場合が生じてしまう。さらに、有機配向膜は、その分解生成物によって液晶の性能等に悪影響を及ぼすこともある。
液晶プロジェクタでは、高輝度化や小型化に伴って、ライトバルブの耐光信頼性を確保することが益々重要となってきている。このため、配向膜の耐光性や耐熱性を向上させる技術として、SiOXなどの無機配向膜を用いることが提案されている。例えば、特許文献1では、SiO、SiO2、Al2O3、MgO等の中から選ばれる無機材料を斜方蒸着することにより配向膜を形成することが提案されている。一方、特許文献2では、SiOX層に斜め方向からイオンビームを照射することによって、SiOX自身の自己マスキング(セルフシャドゥイング)効果を利用してカラム状の小突起を形成することが提案されている。
特開平7−20468号公報
特開昭63−278031号公報
ところで、最近では、フッ素系液晶の光分解物から生成されるフッ酸によって無機配向膜が影響されることがわかってきた。特に、SiO2を主体とする無機配向膜は、フッ酸に浸食されると、液晶を配向させる能力が低下して、液晶装置の表示不良を起こすことが問題となっている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶装置及びその製造方法を提供することを目的とする。また、このような液晶装置を備えることにより、良好な表示特性と高い信頼性とを兼ね備えた投射型表示装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明に係る液晶装置は、一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置であって、一対の基板の少なくとも一方の液晶側の面に液晶の配向方向を制御する配向膜を備え、配向膜は、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの少なくとも一方を主体とし、且つ、塩基性酸化物を含有することを特徴とする。
この構成によれば、塩基性酸化物がフッ酸を中和・吸収することから、配向膜がフッ酸により浸食されることを防ぐことができる。したがって、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶装置を提供することができる。
この構成によれば、塩基性酸化物がフッ酸を中和・吸収することから、配向膜がフッ酸により浸食されることを防ぐことができる。したがって、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶装置を提供することができる。
また、塩基性酸化物は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムの中から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
この場合、これらの塩基性酸化物がフッ酸を中和・吸収し、配向膜がフッ酸により浸食されることを防ぐことができる。特に、酸化マグネシウム、酸化カルシウムが好ましく、フッ酸を効率良く中和・吸収することができる。
この場合、これらの塩基性酸化物がフッ酸を中和・吸収し、配向膜がフッ酸により浸食されることを防ぐことができる。特に、酸化マグネシウム、酸化カルシウムが好ましく、フッ酸を効率良く中和・吸収することができる。
また、配向膜は、指向性を有するビームの照射によってエッチング処理された表面部を有することが好ましい。
この場合、配向膜の表面部を一軸配向性に優れた微細な配向構造とすることができる。
この場合、配向膜の表面部を一軸配向性に優れた微細な配向構造とすることができる。
一方、本発明に係る液晶装置の製造方法は、一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置の製造方法であって、一対の基板の少なくとも一方の液晶側の面に、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの少なくとも一方を主体とし、且つ、塩基性酸化物を含有する配向膜を形成することを特徴とする。
この方法によれば、含有される塩基性酸化物がフッ酸を中和・吸収することから、フッ酸に対して耐浸食性を有する配向膜を形成することがことができる。したがって、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶装置を容易に製造することができる。
この方法によれば、含有される塩基性酸化物がフッ酸を中和・吸収することから、フッ酸に対して耐浸食性を有する配向膜を形成することがことができる。したがって、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶装置を容易に製造することができる。
また、塩基性酸化物として、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムの中から選ばれる少なくとも1つを含有させることが好ましい。
この場合、これら塩基性酸化物がフッ酸を中和・吸収することから、フッ酸に対して耐浸食性を有する配向膜を形成することがことができる。特に、酸化マグネシウム、酸化カルシウムが好ましく、フッ酸を効率良く中和・吸収することができる。
この場合、これら塩基性酸化物がフッ酸を中和・吸収することから、フッ酸に対して耐浸食性を有する配向膜を形成することがことができる。特に、酸化マグネシウム、酸化カルシウムが好ましく、フッ酸を効率良く中和・吸収することができる。
また、少なくとも金属アルコキシドと金属酸化物微粒子との中から選ばれる配向膜の前駆体を含むゾル溶液を調製し、調製したゾル溶液を配向膜の形成面上に塗布して薄膜を形成した後に、この薄膜を熱処理により硬化させることによって、配向膜を容易に形成することができる。この方法は、一般にゾル・ゲル法と呼ばれるものであり、斜方蒸着法等の気相法を用いる従来の方法に比べて、高度な真空設備を必要とせず、プロセスを簡略化することができる。
また、薄膜の表面部に指向性を有するビームを照射してエッチング処理を施すことによって、形成される配向膜の表面部を一軸配向性に優れた微細な配向構造とすることができる。
また、本発明に係る投射型表示装置は、上述した本発明の液晶装置又は本発明の製造方法により製造されてなる液晶装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、良好な表示特性と高い信頼性とを兼ね備えた投射型表示装置を提供することができる。
この構成によれば、良好な表示特性と高い信頼性とを兼ね備えた投射型表示装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
本実施の形態では、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)を画素スイッチング素子として備えたアクティブマトリクス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば投射型表示装置のライトバルブ(光変調手段)として好適に用いることができるものである。
(液晶表示装置)
先ず、図1ないし図4に示す液晶装置100の構成について説明する。図1は、液晶装置100を各構成要素とともに対向基板の側から見た平面図であり、図2は、液晶装置100の図1中に示すH−H’線に沿う断面図である。図3は、液晶装置100の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路を示す図である。図4は、液晶装置100の断面構造を拡大して示す図である。
先ず、図1ないし図4に示す液晶装置100の構成について説明する。図1は、液晶装置100を各構成要素とともに対向基板の側から見た平面図であり、図2は、液晶装置100の図1中に示すH−H’線に沿う断面図である。図3は、液晶装置100の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路を示す図である。図4は、液晶装置100の断面構造を拡大して示す図である。
この液晶表示装置100は、図1および図2に示すように、TFTアレイ基板10と対向基板20とがシール材52によって貼り合わされ、このシール材52によって区画された領域内に液晶層50が封入されている。シール材52の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる遮光膜(周辺見切り)53が形成されている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路201および外部回路実装端子202がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板20の角部においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
なお、データ線駆動回路201および走査線駆動回路204をTFTアレイ基板10の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板10の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的および機械的に接続するようにしてもよい。
また、液晶表示装置100においては、使用する液晶の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
また、液晶表示装置100においては、使用する液晶の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
このような構造を有する液晶表示装置100の画像表示領域においては、図3に示すように、複数のドット100aがマトリクス状に構成されているとともに、これらのドット100aの各々には、画素スイッチング用のTFT30が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するデータ線6aがTFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図2に示す対向基板20の対向電極21との間で一定期間保持される。また、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、画素電極9と対向電極21との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量60が付加されている。符号3bは蓄積容量60を構成する容量線である。
液晶表示装置100は、図4に示すように、上下に対向配置された透明のガラス等からなるTFTアレイ基板10及び対向基板20の間に液晶層50が挟持された基本構造を具備している。
TFTアレイ基板10の内面には、マトリクス状に配置されたそれぞれの画素100aに対して、TFT30及びITO等の透明導電膜からなる画素電極9が設けられている。
実際には、データ線6a、走査線3a等の配線が形成されているが、図4(a)ではこれらの図示を省略している。また、TFTアレイ基板10の内面には、これらTFT30や画素電極9を覆うように、液晶層50の配向を制御する配向膜1が画像表示領域全体に亘って設けられている。
実際には、データ線6a、走査線3a等の配線が形成されているが、図4(a)ではこれらの図示を省略している。また、TFTアレイ基板10の内面には、これらTFT30や画素電極9を覆うように、液晶層50の配向を制御する配向膜1が画像表示領域全体に亘って設けられている。
対向基板20の内面には、遮光膜23が設けられている。遮光膜23は、TFT30や配線等(データ線6a、走査線3a等)が形成される各画素100aの縁に沿って、格子状に設けられている。遮光膜23によって照明光が遮られる領域が非照明領域であり、遮光膜23の開口部を通して照明光が透過する領域が照明領域である。照明領域のみが表示に寄与する。対向基板20の内面には、ITO等の透明導電膜からなる対向電極21が遮光膜23を覆うように全面に設けられており、さらに対向電極21を覆うように、液晶層50の配向を制御する配向膜2が画像表示領域全体に亘って設けられている。
これらの基板10,20の間には、液晶層50が保持されている。液晶層50を構成する液晶材料としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶など配向し得るものであればいかなる液晶材料を用いても構わないが、TN型液晶パネルの場合、ネマチック液晶を形成させるものが好ましく、例えば、フェニルシクロヘキサン誘導体液晶、ビフェニル誘導体液晶、ビフェニルシクロヘキサン誘導体液晶、テルフェニル誘導体液晶、フェニルエーテル誘導体液晶、フェニルエステル誘導体液晶、ビシクロヘキサン誘導体液晶、アゾメチン誘導体液晶、アゾキシ誘導体液晶、ピリミジン誘導体液晶、ジオキサン誘導体液晶、キュバン誘導体液晶等が挙げられる。さらに、これらネマチック液晶分子にモノフルオロ基、ジフルオロ基、トリフルオロ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基などのフッ素系置換基を導入した液晶分子も含まれる。
配向膜1,2は、無機材料成分である酸化ケイ素(シリカ)と酸化アルミニウム(アルミナ)との少なくとも一方を主体として構成されている。この配向膜1,2は、後述の配向膜形成用液体(ゾル溶液)を用いて、ゾル・ゲル法によって形成されたものである。また、配向膜1,2は、例えばイオンビームエッチングなどの指向性を有するビームの照射によってエッチング処理された表面部1a,2aを有している。配向膜1,2の表面部1a,2aは、このようなエッチング処理によって一軸配向性に優れた微細な配向構造(凹凸構造)となっている。
なお、イオンビームエッチングの用いるイオン源としては、例えばNe、Ar、Kr、Xe等の不活性ガスや、CHF3、CF4等のフロン系のガス、塩素系のガス等を用いることができる。このうち、一般的には安価で効率の良いArを用いるのが好ましい。活性ガスなのでイオン源が簡単で腐食対策なしで使用可能である。また、フロン系のガスは、FラジカルでSiO2を選択的にエッチングできる上に、コンタミの発生が少ない。
配向膜1,2には、塩基性酸化物が含有されている。この塩基性酸化物には、アルカリ土類金属のうち、例えば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムの中から選ばれる少なくとも1つを用いることができる。これより、液晶装置100では、フッ素系液晶の光分解物から生成されるフッ酸によって配向膜1,2が影響を受ける、特に酸化ケイ素が主体の場合に浸食されることを、配向膜1,2に含有される塩基性酸化物がフッ酸を中和・吸収することによって防ぐことができる。特に、酸化マグネシウム、酸化カルシウムは、フッ酸を効率良く中和・吸収することができるため、配向膜1,2の液晶50を配向させる能力が低下するのを防ぐことができる。したがって、本発明では、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶装置100を得ることができる。
(液晶装置の製造方法)
次に、上述した液晶装置100の製造方法について説明する。
上述した液晶装置100は、TFTアレイ基板10の表面に配向膜1を形成したものと、対向基板20の表面に配向膜2を形成したものとを枠状に設けたシール材52を介して貼り合わせ、そのシール材52の枠内に液晶を充填した後、基板10,20の外面側に必要に応じて偏光板等を貼着することによって作製することができる。
次に、上述した液晶装置100の製造方法について説明する。
上述した液晶装置100は、TFTアレイ基板10の表面に配向膜1を形成したものと、対向基板20の表面に配向膜2を形成したものとを枠状に設けたシール材52を介して貼り合わせ、そのシール材52の枠内に液晶を充填した後、基板10,20の外面側に必要に応じて偏光板等を貼着することによって作製することができる。
図5は、本発明の特徴部分である前記配向膜1,2を形成する際の各工程を示すフローチャートである。前記配向膜1,2は、図5に示すように、配向膜形成用液体を調製する配向膜形成用液体調製工程S1と、得られた前記配向膜形成用液体を基板に塗布し、塗膜を形成する塗膜形成工程S2と、形成された前記塗膜を硬化させる硬化工程S3と、硬化した前記塗膜に配向処理を施す配向処理工程S4とを経ることで形成される。
先ず、配向膜形成用液体調製工程S1では、金属アルコキシドを主原料とするゾル溶液を調製する。金属アルコキシドは、一般式:M(OR)n(M:金属、R:アルキル基)で表される材料である。金属Mとしては、Si,Al,Ti,In,Zn,Sn,V,Sr,La等の種々の材料を用いることができる。また、アルキル基Rとしては、C1〜C5のアルキル基を代表例として挙げることができる。本実施の形態では、金属MをSi又はAlとして、アルミニウムアルコキシドと、シリコンアルコキシドとの少なくとも一方を主原料に用いる。これに塩基性酸化物の前駆体として、アルカリ土類金属のアルコキシドを混合して配向形成用液体を調製する。
また、金属アルコキシドに代えて、金属酸化物微粒子を主原料とするゾル溶液を調整し、これに塩基性酸化物微粒子を混合して配向膜形成用液体を調製することもできる。この場合、膜の機械的強度は金属アルコキシドを主原料とする膜に劣るが、有機物であるアルコキシドを含まないため、より優れた耐光性を有する配向膜1,2とすることができる。
さらに、金属アルコキシドと金属酸化物微粒子との混合系に調整することにより、膜強度と耐光性とを併せ持った配向膜1,2とすることもできる。塩基性酸化物としては、アルカリ土類金属のうち、例えば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムの中から選ばれる少なくとも1つを用いることができる。なお、本実施の形態では、酸化マグネシウムを用いている。
配向膜形成用液体には、必要に応じて溶剤やpH調整剤等を添加することができる。また、必要に応じて、硬化剤(重合促進剤)を添加してもよい。これにより、後述する塗膜の硬化を容易に行うことができる。さらに、必要に応じて、配向膜形成用液体にろ過処理を施すこともでき、これにより、配向膜形成用液体中に含まれる不純物を取り除くことができ、均一な膜厚の配向膜を効率良く形成することができるようになる。
次に、塗膜形成工程S2では、上記工程で得られた配向膜形成用液体を基板10,20上に塗布し、配向膜形成用液体で構成された塗膜を形成する。配向膜形成用液体を塗布する方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法、インクジェット法、フレキソコート法等が挙げられる。これらの方法は、必要に応じて、選択して又は組み合わせて用いることができる。
次に、硬化工程S3では、塗膜を硬化し、基板10,20の全面に配向膜1,2を形成する。塗膜の硬化は、例えば、加熱処理、エネルギー線照射処理等を施すことにより行うことができる。エネルギー線としては、例えば、可視光線、紫外線、放射線、赤外線等が挙げられる。このような処理を施すことにより、塗膜中において、前述したような反応基が、脱離、縮合等し、塗膜が硬化して、配向膜1,2が形成される。
塗膜の硬化は、特に、塗膜を構成する配向膜形成用液体中に含まれる水分や溶媒等を除去した後(塗膜に対して乾燥処理を施した後)に行うのが好ましい。これにより、膜厚の安定した配向膜を効率良く形成することができる。また、塗膜の硬化は、例えば、エネルギー線を照射して塗膜を低温で仮硬化させた後に、加熱処理により本硬化することにより行ってもよい。すなわち、塗膜の硬化は、塗膜を、一旦、比較的低温で仮硬化させた後に、高温で完全に硬化させるものであってもよい。これにより、膜厚の安定した配向膜をより効率良く形成することができる。
次に、配向処理工程S4では、硬化した配向膜1,2の表面部1a,2aに対して、例えばArイオンを用いたイオンビームなどの指向性を有するビームを斜め照射してエッチング処理を行う。このとき、表面1a,2aに含まれる酸化物のエッチング耐性の違いから、一軸配向性に優れた微細な配向構造(凹凸構造)を容易に作り出すことができる。また、このような微細な配向構造を有することにより、充分な配向規制力を液晶50に与えることができ、長時間の使用に対しても配向力を維持することができる。
なお、イオンビームエッチングの用いるイオン源としては、例えばNe、Ar、Kr、Xe等の不活性ガスや、CHF3、CF4等のフロン系のガス、塩素系のガス等を用いることができる。このうち、一般的には安価で効率の良いArを用いるのが好ましい。活性ガスなのでイオン源が簡単で腐食対策なしで使用可能である。また、フロン系のガスは、FラジカルでSiO2を選択的にエッチングできる上に、コンタミの発生が少ない。
本発明では、配向膜を蒸着により形成する場合とは異なり、蒸気圧が異なる複数の材料であっても自在にゾル溶液として調製を容易に行うことができる。また、調製したゾル溶液を配向膜1,2の形成面上に塗布して塗膜を形成した後に、この塗膜を硬化させることによって、配向膜1,2を容易に形成することができる。この方法は、一般にゾル・ゲル法と呼ばれるものであり、蒸着法等の気相法を用いる従来の方法に比べて、高度な真空設備を必要とせず、プロセスを簡略化することができる。したがって、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶装置100を容易に製造することができる。
[投射型表示装置]
次に、本発明の電子機器の具体例として図6に示す投射型表示装置について説明する。図6は、投射型表示装置の要部を示す概略構成図である。この投射型表示装置は、上述した各実施形態に係る液晶装置を、光変調手段として備えたものである。
次に、本発明の電子機器の具体例として図6に示す投射型表示装置について説明する。図6は、投射型表示装置の要部を示す概略構成図である。この投射型表示装置は、上述した各実施形態に係る液晶装置を、光変調手段として備えたものである。
この投射型液晶表示装置は、図6に示すように、光源810と、ダイクロイックミラー813、814と、反射ミラー815、816、817と、入射レンズ818と、リレーレンズ819と、出射レンズ820と、本発明の液晶装置からなる光変調手段822、823、824と、クロスダイクロイックプリズム825と、投射レンズ826とを備えている。
光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、赤色光用光変調手段822に入射される。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、緑色光用光変調手段823に入射される。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が青色光用光変調手段824に入射される。なお、上記各光変調手段822,823,824には、上記各実施形態の液晶装置が採用されている。
各光変調手段により変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投影され、画像が拡大されて表示される。
この投射型表示装置には、上記各実施形態の液晶装置が採用されているので、高強度の光照射を行なっても配向膜の光劣化は従来ほど大きくは進行しない。したがって、長期間にわたって表示特性に優れた且つ安定した表示を行なうことができる。
以上、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの例に限定されないことは言うまでもない。すなわち、上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々の変更が可能である。
また、本発明の液晶装置は、投射型表示装置の光変調手段に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれにおいても信頼性が高く表示品質に優れた電子機器を提供することができる。
また、本発明の液晶装置は、投射型表示装置の光変調手段に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれにおいても信頼性が高く表示品質に優れた電子機器を提供することができる。
1,2…配向膜、1a,2a…表面部、10…TFTアレイ基板、20…対向基板、50…液晶、100…液晶装置
Claims (8)
- 一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置であって、
前記一対の基板の少なくとも一方の前記液晶側の面に前記液晶の配向方向を制御する配向膜を備え、
前記配向膜は、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの少なくとも一方を主体とし、且つ、塩基性酸化物を含有することを特徴とする液晶装置。 - 前記塩基性酸化物は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムの中から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
- 前記配向膜は、指向性を有するビームの照射によってエッチング処理された表面部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置。
- 一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置の製造方法であって、
前記一対の基板の少なくとも一方の前記液晶側の面に、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの少なくとも一方を主体とし、且つ、塩基性酸化物を含有する配向膜を形成することを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 前記塩基性酸化物として、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムの中から選ばれる少なくとも1つを含有させることを特徴とする請求項4に記載の液晶装置の製造方法。
- 少なくとも金属アルコキシドと金属酸化物微粒子との中から選ばれる化合物を含むゾル溶液を調製し、調製したゾル溶液を前記配向膜の形成面上に塗布して薄膜を形成した後に、この薄膜を熱処理により硬化させることを特徴とする請求項4または5に記載の液晶装置の製造方法。
- 前記薄膜の表面部に指向性を有するビームを照射してエッチング処理を施すことを特徴とする請求項6に記載の液晶装置の製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の液晶装置または請求項4ないし7のいずれか一項に記載の製造方法により製造されてなる液晶装置を備えたことを特徴とする投射型表示装置。
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