JP2007072284A - カラーフィルター用インクジェットインク、カラーフィルターの製造方法、及び液晶表示装置の製造方法 - Google Patents

カラーフィルター用インクジェットインク、カラーフィルターの製造方法、及び液晶表示装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】画素端部に厚膜部分が生じ難く、且つ電気特性やリコート性も良好な膜を形成可能なカラーフィルター用インクジェットインク、およびこれを用いたカラーフィルターの製造方法、ならびにこの製造方法を用いた液晶表示装置の製造方法の提供。
【解決手段】(A)1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、(B)下記式(1)の構造を有するカルボン酸(b1)がビニルエーテル化合物(b2)により潜在化された多価カルボン酸誘導体、(C)ビニルエーテル系界面活性剤、(D)顔料及び(E)溶剤を含有する、カラーフィルター用インクジェットインク。
Figure 2007072284

(式中の6員環は芳香族又は脂環式の炭化水素、m1は0〜4の整数、t1は0〜1の整数、nは1〜4の整数。)
【選択図】なし

Description

本発明は、画素部(着色層)のような所定パターンの着色硬化層を形成するのに用いられるカラーフィルター用インクジェットインク、当該インクジェットインクを用いたカラーフィルターの製造方法、及び当該カラーフィルターを用いた液晶表示装置の製造方法に関する。
カラーフィルターには、液晶表示装置等の画像出力装置に用いられるカラーフィルター、或いは固体撮像素子等の画像入力装置に用いられるカラーフィルター等がある。
一般にカラー液晶表示装置は、カラーフィルターとTFT基板等の電極基板とを対向させて1〜10μm程度の間隙部を設け、当該間隙部内に液晶化合物を充填し、その周囲をシール材で密封した構造をとっている。カラーフィルターは、透明基板上に、画素間の境界部を遮光するために所定のパターンに形成されたブラックマトリックス層と、各画素を形成するために複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)を所定順序に配列した画素部と、保護膜と、透明電極膜とが、透明基板に近い側からこの順に積層された構造をとっている。また、カラーフィルター及びこれと対向する電極基板の内面側には配向膜が設けられる。さらに間隙部には、カラーフィルターと電極基板の間のセルギャップを一定且つ均一に維持するために、スペーサーが設けられる。スペーサーとしては一定粒子径を有するパールを分散したり、又は、セルギャップに対応する高さを有する柱状スペーサーを、カラーフィルターの内面側であってブラックマトリックス層が形成されている位置と重なり合う領域に形成する。そして、各色に着色された画素それぞれ又はカラーフィルターの背後にある液晶層の光透過率を制御することによってカラー画像が得られる。
従来から行われているカラーフィルターの画素などを所定のパターン形状で形成する方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、及びBのカラーフィルター層を形成する。さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、及びBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
しかしながら、いずれの方法も、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
これらの問題点を解決したカラーフィルターの製造方法として、特許文献1には、熱硬化性樹脂を含有する着色インクをインクジェット方式で基板上に吹き付け、加熱することにより画素部を形成することが記載されている。
着色インクをインクジェット方式で基板上に吹き付けて画素を形成する場合には、画素の端部が盛り上がる場合がある。このように平均膜厚よりも厚膜の部分が画素に生じる場合には、厚膜部分の画素が暗くなったり、クラックが生じやすくなるためITO成膜不良が起こって断線等を引き起こす等により、表示不良の問題が生じる。更に、液晶層のギャップが正確に取れなくなる等の問題が生じる。
特許文献2には、カラーフィルターの画素形成時、スリットコート方式において塗布面端部に形成されるツノ形状の厚膜部が形成されないように解決する手段として、着色顔料、アクリル系モノマー、アクリル系樹脂、光重合開始剤、希釈溶媒、及び界面活性剤を主成分とするカラーフィルター用重合性組成物において、該界面活性剤としてフェニル基を有し分子量が3×103〜4×103のシリコン系界面活性剤を用いることを特徴とするカラーフィルター用重合性組成物を開示している。しかしながら、画素にシリコン系界面活性剤を用いると、体積抵抗値が上昇して電気特性に問題が生じる場合や、その上に形成されるオーバーコート層をはじき易くなるといったリコート性に問題が生じる場合がある。
特開平9−21910号公報 特開2004−29261号公報
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、画素端部に厚膜部分が生じ難く、且つ電気特性やリコート性も良好な硬化層を形成可能なカラーフィルター用インクジェットインクを提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、画素端部に厚膜部分が生じ難く、表示不良の問題が生じ難いカラーフィルターを得ることができるカラーフィルターの製造方法を提供することにある。
また、本発明の第三の目的は、上記目的を達成するカラーフィルターの製造方法を用いた液晶表示装置の製造方法を提供することにある。
本発明者らは前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、エポキシ化合物、特定の多価カルボン酸誘導体及び特定のビニルエーテル系界面活性剤を用いたカラーフィルター用インクジェットインクは画素端部に厚膜部分が生じ難く、表示不良の問題が生じ難いカラーフィルターを得ることができることの知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔6〕である。
〔1〕(A)1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、(B)下記式(1)の構造を有するカルボン酸(b1)がビニルエーテル化合物(b2)により潜在化された多価カルボン酸誘導体、(C)ビニルエーテル系界面活性剤、(D)顔料、(E)溶剤を含有する、カラーフィルター用インクジェットインク。
Figure 2007072284
(式中の6員環は芳香族又は脂環式の炭化水素である。m1は0〜4の整数であり、t1は0〜1の整数であり、nは1〜4の整数である。また、nが1の場合にはR1は水素原子又は炭素数2〜8の炭化水素基であり、nが2〜4の場合にはR1は炭素数2〜8の炭化水素基である。R2は、炭素数1〜5のアルキル基である。)
〔2〕前記ビニルエーテル系界面活性剤(C)の含有量が、固形分全体に対して0.05〜1.25重量%である、前記の〔1〕に記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
〔3〕前記の溶剤(E)が、主溶剤として沸点が180〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を溶剤全量に対して80重量%以上の割合で含有するものである、前記の〔1〕又は〔2〕に記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
〔4〕基板上の所定領域に前記の〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインクを、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、前記インク層を硬化させて着色硬化層を形成する工程とを含む、カラーフィルターの製造方法。
〔5〕基板表面の所定領域の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する工程を更に含み、前記インク層形成領域に、前記の〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインクをインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する、前記の〔4〕に記載のカラーフィルターの製造方法。
〔6〕前記の〔4〕又は〔5〕に記載のカラーフィルターの製造方法を用いてカラーフィルターを製造する工程と、当該製造されたカラーフィルターと液晶駆動側基板を対向させて組み立てる工程を有する、液晶表示装置の製造方法。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクは、画素端部に厚膜部分が生じ難く、且つ電気特性やリコート性も良好な硬化層を形成可能である。更に、バインダーの必須成分として、上記エポキシ化合物(A)と上記多価カルボン酸誘導体(B)を用いるため、インク中にカルボキシル基の反応点を高濃度でエポキシ基と共存させることができ、かかるインクを用いてインク層を形成し加熱すると高い架橋密度が得られる上、インクジェット方式のヘッドからの吐出方向の直進性、吐出量の安定性に非常に優れると共に、インクの状態では調製直後から長期間に渡り良好な粘度を保持し続け、保存安定性にも非常に優れている。さらに多価カルボン酸誘導体(B)と混和性が良好なビニルエーテル系界面活性剤(C)を用いているために画素端部の盛り上がりを低減できる。
また、本発明のカラーフィルターの製造方法によれば、画素端部に厚膜部分が生じ難く、表示不良が低減されたカラーフィルターを得ることができる。また、インクジェット方式を用いた製造方法であるため、コストダウンや歩留まりの向上を実現可能である。更に、架橋密度が高く、耐熱性等に優れた着色硬化層を得ることができる。
また、本発明の液晶表示装置の製造方法によれば、表示不良が低減されたカラーフィルターが得られる工程を用いることから、高品質な液晶表示装置とすることができる。
以下において本発明を詳しく説明する。
1.カラーフィルター用インクジェットインク
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクは、(A)1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、(B)下記式(1)の構造を有するカルボン酸(b1)がビニルエーテル化合物(b2)により潜在化された多価カルボン酸誘導体、(C)ビニルエーテル系界面活性剤、(D)顔料、(E)溶剤を含有する。
Figure 2007072284
(式中の6員環は芳香族又は脂環式の炭化水素である。m1は0〜4の整数であり、t1は0〜1の整数であり、nは1〜4の整数である。また、nが1の場合にはR1は水素原子又は炭素数2〜8の炭化水素基であり、nが2〜4の場合にはR1は炭素数2〜8の炭化水素基である。R2は、炭素数1〜5のアルキル基である。)
本発明によれば、ビニルエーテル系界面活性剤を用いることにより、膜表面全体に当該界面活性剤が拡散し、画素部全体において表面張力が適切なレベルまで下がり、更に表面からの溶剤の蒸発が均一化され、粘度の高低差が抑えられるため、乾燥過程における溶質の流れがなくなる又は緩和され、その結果、画素端部の盛り上がりが低減されると推定される。また、本発明によれば、ビニルエーテル系界面活性剤を用いることにより、電気特性や、画素上に形成されるオーバーコート層におけるリコート性に問題が生じないという利点を有する。
以下、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクに用いられる成分を説明する。
<バインダー系>
本発明においては、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(A)と、多価カルボン酸誘導体(B)を必須成分とするバインダー系を用いる。このバインダー系は、カルボキシル基の反応点が高濃度でエポキシ基と共存するにもかかわらず保存安定性に優れるので、インクジェット方式の吐出ヘッドから吐出している最中に粘度上昇を生じにくく、安定的に吐出することができ、吐出方向の飛行曲がりや吐出ヘッドの目詰まりを生じにくい。
<(A)1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物>
(A)1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物(以下、(A)成分又はエポキシ化合物(A)という。)は、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。
エポキシ化合物(A)としては、炭素−炭素不飽和結合とエポキシ基を含有するモノマーを少なくとも用いて重合されたエポキシ基含有重合体(A1)、エポキシ基を2個以上有するエポキシ基含有化合物(A2)を挙げることができる。
本発明に用いるエポキシ基含有重合体(A1)は炭素−炭素不飽和結合とエポキシ基を含有するモノマー(以降、エポキシ基含有モノマーという場合がある)を少なくとも用いた重合体であって、エポキシ基含有モノマーを単独で重合することにより、又は、エポキシ基含有モノマーと他のモノマーとを共重合させることにより得ることができる。その分子形態としては直鎖状であっても、分岐構造を持っていても良く、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等いずれの形態であっても良い。
本発明に用いるエポキシ基含有重合体(A1)は、通常の重合法により重合することができる。すなわち、重合方法は特に限定されず、ラジカル重合、イオン重合等の重合法を採ることができ、より具体的には重合開始剤の存在下、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の重合法を採ることができる。重合方法によってはモノマーが多量に残存する場合があるが、このモノマーが硬化層の物性に影響を与える場合には、減圧留去法や再沈殿精製法等によってモノマーを除去しても良い。
本発明に用いるエポキシ基含有重合体(A1)は、エポキシ基含有構成単位として、下記の式(2)〜(4)で表される構成単位を有するものが好ましい例として挙げられる。
Figure 2007072284
(式中のRは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、Rは水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基であり、p1=1〜8の整数である。)
Figure 2007072284
(式中のRは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、Rは−CHO−基又は−CH−基、Rは水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基であり、q1=0〜7の整数である。)
Figure 2007072284
(式中のRは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、r1=1〜8の整数である。)
本発明に用いるエポキシ基含有重合体(A1)は、その構成単位として、さらに下記の式(5)〜(7)で表される構造を有していてもよい。
Figure 2007072284
(式中のRは水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基であり、R10は炭素数1〜12のアルキル基、主環構成炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、アリール基、アリールオキシ基、又は芳香族ポリアルキレングリコール残基である。)
Figure 2007072284
(式中のR11は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基であり、R12は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アルコキシ基、シロキシアルキル基、又は芳香族炭化水素基である。)
Figure 2007072284
(式中のR13は、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、又は芳香族炭化水素基である。)
前記式(2)〜(4)で表される構成単位は、それぞれ下記式(8)〜(10)で表されるモノマーから誘導される。
Figure 2007072284
(式中のR14は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R15は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基であり、p2=1〜8の整数である。)
前記式(8)において、R14,及びR15として好ましいのは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、またp2として好ましいのは1〜3の整数である。式(8)で表されるモノマーとしては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、その中ではグリシジルメタクリレート(以下、GMA)が入手性の面等から好ましい。なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれであっても良いことを意味する。
Figure 2007072284
(式中のR16は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R17は−CHO−基又は−CH−基、R18は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基であり、q2=0〜7の整数である。)
前記式(9)において、R16,及びR18として好ましいのは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R17として好ましいのは−CHO−基であり、q2として好ましいのは1〜3の整数である。式(9)で表されるモノマーとしては、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルが入手性の面等から好ましい。
Figure 2007072284
(式中のR19は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、r2=1〜8の整数である。)
前記式(10)において、R19として好ましいのは、水素原子又はメチル基である。式(10)で表されるモノマーとしては3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートが硬度等の硬化層特性の面から好ましい。
また前記式(5)〜(7)で表される構成単位は、下記式(11)〜(13)で表されるモノマーから誘導される。
Figure 2007072284
(式中のR20は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基であり、R21は炭素数1〜12のアルキル基、主環構成炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、アリール基、アリールオキシ基、又は芳香族ポリアルキレングリコール残基である。)
前記式(11)において、R21が主環構成炭素数3〜12の脂環式炭化水素基で表される場合、該脂環式炭化水素基は、付加的な構造、例えば環内二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
前記式(11)において、R20として好ましいのは水素又はメチル基であり、R19としては好ましいのはシクロヘキシル基、又はジシクロペンテニル基である。式(11)で表されるモノマーとしては、具体的には、シクロヘキシルメタクリレート、及びジシクロペンテニルメタクリレートが硬度、耐熱性等の硬化層特性の面から好ましい。
Figure 2007072284
(式中のR22は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基であり、R23は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アルコキシ基、シロキシアルキル基、又は芳香族炭化水素基である。)
前記の式(12)において、R22としては好ましいのは水素又はメチル基であり、R23としては好ましいのはフェニル基である。式(12)で表されるモノマーとしては、具体的には、スチレンが他種モノマーとの共重合性、及び入手性の面等から好ましい。
Figure 2007072284
(式中のR24は炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、又は芳香族炭化水素基である。)
前記式(13)において、R24としては好ましいのはシクロヘキシル基、及びフェニル基である。式(13)で表されるモノマーとしては、具体的には、N−シクロヘキシルマレイミド、及びN−フェニルマレイミドが硬度、耐熱性等の硬化層特性の面から好ましい。
本発明の樹脂組成物における、エポキシ基含有重合体(A1)は、エポキシ当量が140〜1000g/molとなる範囲であれば、前記式(2)〜(4)で表されるエポキシ基含有構成単位のうち少なくとも1種類以上をエポキシ基含有重合体(A1)中、10〜100重量%、更に好ましくは、20〜100重量%、特に好ましくは、40〜70重量%有することが好ましい。エポキシ基含有構成単位が10重量%未満では硬化層が強靭性に乏しいものになる可能性がある。
またエポキシ基含有重合体(A1)の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に2,000〜20,000の範囲であることが好ましく、3,000〜15,000の範囲にあることがより好ましい。エポキシ基含有重合体(A1)の分子量が2,000未満であるとカラーフィルターの細部としての硬化層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易く、一方、当該分子量が20,000を上回ると粘度上昇が起こり易くなり、吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、保存安定性が悪くなるおそれがある。
エポキシ基含有重合体(A1)の合成例としては、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、水酸基を含有しない溶剤を仕込み、攪拌しながら115℃に昇温する。水酸基を含有しない溶剤を用いるのは、合成反応の最中にエポキシ基が反応及び開環するのを避けるためである。次いでモノマーと重合開始剤の混合物(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下する。滴下終了後、115℃で2時間保持した後、125℃に昇温し、2時間保ったところで反応を終了することにより、エポキシ基含有重合体(A1)が得られる。
本発明に用いるエポキシ基含有化合物(A2)はエポキシ基を分子中に2個以上有する。具体的には例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらの多官能エポキシ樹脂の中でも、商品名エピコート828(ジャパンエポキシレジン(株)製)、商品名エピコート157S70(ジャパンエポキシレジン(株)製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、及び、商品名YDCN−701(東都化成(株)製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましい。
本発明に用いるエポキシ基含有化合物(A2)は、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
<(B)多価カルボン酸誘導体>
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクにおける多価カルボン酸誘導体(B)は、下記式(1)の構造を有するカルボン酸(b1)のカルボキシル基が下記式(14)で表されるビニルエーテル化合物(b2)(ビニル基及びエーテル基含有化合物)によって潜在化(以降、ブロック化ということがある。)された化合物である。
Figure 2007072284
(式中の6員環は芳香族又は脂環式の炭化水素である。m1は0〜4の整数であり、t1は0〜1の整数であり、nは1〜4の整数である。また、nが1の場合にはR1は水素原子又は炭素数2〜8の炭化水素基であり、nが2〜4の場合にはR1は炭素数2〜8の炭化水素基である。R2は、炭素数1〜5のアルキル基である。)
Figure 2007072284
(式中のR25は炭素数1〜10の炭化水素基である。)
式(1)で表されるカルボン酸(c1)のうち、Rが水素原子以外の化合物としては、アルコール化合物と酸無水物との反応により得られるハーフエステル体が挙げられる。
この反応の際に用いられるアルコール化合物としては、エタノール、プロパノール、ヘキサノール、オクタノール、イソプロピルアルコール等の1価のアルコール化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール等の2価のアルコール化合物;グリセリン、ペンタントリオール、へキサントリオール、シクロヘキサントリオール、トリメチロールプロパン等の3価のアルコール化合物;ペンタエリスリトール等の4価のアルコール化合物が好ましい例として挙げられ、より好ましくはヘキサノール、イソプロピルアルコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
また、この反応の際に用いられる酸無水物としては下記式(15)で表される化合物が挙げられ、具体的には、無水フタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物(以下、無水トリメリット酸と呼ぶことがある)、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい例として挙げられる。なお、以上のハーフエステル体の中では、架橋密度が高く密着性の高い硬化層が得られることから、炭素数3〜6の2価以上の多価アルコールと無水トリメリット酸またはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸との組み合わせにより得られるものが(b1)として好適に挙げられ、中でも透明性と保存安定性の面から、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を選択することが好ましく挙げられる。
Figure 2007072284
(式中の6員環は芳香族又は脂環式の炭化水素である。m1は0〜2の整数であり、t1は、0〜1の整数である。R2は、炭素数1〜5のアルキル基である。)
式(1)で表されるカルボン酸(b1)のうち、Rが水素原子である化合物は、式(16)または式(17)が挙げられ、これらのカルボン酸をブロック化した多価カルボン酸誘導体(B)は溶解力が高いため、相溶性の低い(A1)または(A2)との組み合わせにおいては好適に用いられる。
Figure 2007072284
(式中のm2は0〜2の整数である。)
Figure 2007072284
(式中のm3は0〜2の整数であり、t2は0〜1の整数である。R2は、炭素数1〜5のアルキル基である。)
上記式(16)または(17)で表されるカルボン酸(b1)としては、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(以下、トリメリット酸)等の芳香族トリカルボン酸;1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸(以下、CHTA)などの脂環式トリカルボン酸;ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)等の芳香族テトラカルボン酸;シクロヘキサンテトラカルボン酸などの脂環式テトラカルボン酸が挙げられる。中でもトリメリット酸、CHTA、ピロメリット酸が架橋密度、および密着性の高い硬化層が得られることから、(b1)として好ましい。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクにおいて(b1)として用いることができるカルボン酸は1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
一方、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクにおける多価カルボン酸誘導体(B)の原料である、式(14)で表されるビニルエーテル化合物(b2)としては、例えばイソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルへキシルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類が挙げられる。本発明のカラーフィルター用インクジェットインクに好適に用いることができるビニルエーテル化合物(b2)としては、イソプロピルビニルエーテルおよびn−プロピルビニルエーテルが挙げられ、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる多価カルボン酸誘導体(B)は、前記のカルボン酸(b1)と、前記のビニルエーテル化合物(b2)とを室温ないし150℃の範囲の温度で反応させることにより得ることができる。ブロック化反応は平衡反応であるため、カルボン酸(b1)に対しビニルエーテル化合物(b2)を若干多く使用すると反応が促進され、収率を向上させることができる。具体的には、カルボン酸(b1)のカルボキシル基に対するビニルエーテル化合物(b2)のビニル基のモル当量比は、1/1〜2/1であることが望ましい。このモル当量比が2/1を越える場合、反応温度を上げることができず、反応速度が著しく低い場合がある。
<バインダー系の配合割合>
上記エポキシ基含有重合体(A1)、エポキシ基含有化合物(A2)、及び多価カルボン酸誘導体(B)の配合割合は、重量比ではエポキシ基含有重合体(A1)を10〜80重量部、エポキシ基含有化合物(A2)を10〜60重量部、及び多価カルボン酸誘導体(B)を10〜60重量部の割合で配合するのが好ましく、エポキシ基含有重合体(A1)を20〜60重量部、エポキシ基含有化合物(A2)を20〜50重量部、及び多価カルボン酸誘導体(B)を20〜50重量部の割合で配合するのがより好ましく、エポキシ基含有重合体(A1)を30〜40重量部、エポキシ基含有化合物(A2)を25〜35重量部、及び多価カルボン酸誘導体(B)を35〜45重量部の割合で配合するのがさらに好ましい。
前記のエポキシ基含有重合体(A1)とエポキシ基含有化合物(A2)の合計配合量と多価カルボン酸誘導体(B)の配合量の比は以下の範囲であることが好ましい。多価カルボン酸誘導体(B)のビニルエーテル化合物の脱離(脱潜在化、脱ブロック)後に生成するカルボキシル基のモル濃度と、エポキシ基含有重合体(A1)とエポキシ基含有化合物(A2)のエポキシ基のモル濃度との比(カルボキシル基/エポキシ基)が0.2/1.0〜1.6/1.0になるような配合量にすることが好ましく、より好ましいモル濃度比は0.5/1.0〜1.2/1.0である。カルボキシル基とエポキシ基とのモル濃度比が0.2/1.0未満であると、硬化後にエポキシ基が多量に残留するため、架橋密度が低くなり、本発明の効果が得られなくなる可能性がある。また、カルボキシル基とエポキシ基とのモル濃度比が1.6/1.0を上回ると、カルボキシル基が過剰となり、多くの場合樹脂物性が低下する。なお、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクにおける必須成分である(A1)、(A2)、(B)に含まれない追加成分として、カルボキシル基、およびエポキシ基を含むカルボキシル基と反応しうる官能基を含む化合物を添加する際には、組成物中のカルボキシル基のモル濃度と、エポキシ基を含むカルボキシル基と反応しうる官能基のモル濃度との比が、上記範囲となるように配合することが好ましい。
また、硬化層に十分な密着性、強度、硬度を付与するためには、顔料やその他の成分を含めたインクの固形分全量に占めるエポキシ基含有重合体(A1)、エポキシ基含有化合物(A2)、及び多価カルボン酸誘導体(B)の合計割合を50重量%〜98.95重量%とするのが好ましい。ここで、配合割合を特定するためのインクの固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の多官能エポキシ樹脂等も固形分に含まれる。
<(C)ビニルエーテル系界面活性剤>
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクは、ビニルエーテル系界面活性剤(C)を必須成分として含む。ここで、ビニルエーテル系界面活性剤(C)とは、ビニルエーテルモノマーを用いて得られる重合体よりなる界面活性剤である。これを用いることにより膜表面全体に当該界面活性剤が拡散し、画素部全体において多価カルボン酸誘導体(B)と混和性が良好であることに起因して、表面張力が適切なレベルまで下がり、更に表面からの溶剤の蒸発が均一化され、粘度の高低差が抑えられるため、乾燥過程における溶質の流れがなくなる又は緩和され、その結果、画素端部の盛り上がりが低減されるといった予期せぬ効果が得られた。
ビニルエーテル系界面活性剤(C)に用いられるビニルエーテルモノマーとしては、式(18)で表されるアルキルビニルエーテルであることが好ましい。
Figure 2007072284
(式中のR26は1〜8の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素である。)
式(18)中のR26は、炭素数が1〜8の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素である。好ましくは炭素数が3〜4、より好ましくは炭素数が4の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素である。炭素数が8を上回ると重合体の溶剤等への溶解性が低下するおそれがある。アルキルビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルなどが挙げられるが、中でも、ビニルエーテルモノマーとしてイソブチルビニルエーテルを用いたビニルエーテル系界面活性剤が、端部に厚膜部分を生じ難くする点から好ましい。
ビニルエーテル系界面活性剤(C)においては、前記ビニルエーテルモノマーと他のモノマーとを用いて共重合させてもよい。共重合可能なモノマーとしては、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、モルホリンエチルビニルエーテル等の窒素含有ビニルエーテル類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類;ジイソプロピルフマレート、ジシクロヘキシルフマレート等のフマル酸ジエステル;無水マレイン酸;無水イタコン酸等が挙げられる。重合方法はラジカル重合、イオン重合等の重合法を採ることができる。式(18)で表されるアルキルビニルエーテルは重合させるモノマーの全体中、70〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%含まれることが好ましい。70重量部を下回ると適切な効果が現れず、端部が厚膜になるおそれがある。
上記ビニルエーテル系界面活性剤(C)の重量平均分子量は1,000〜10,000、更に1,500〜5,000であることが、端部に厚膜部分を生じ難くする効果の点から好ましい。なお、本発明における重量平均分子量は、GPC測定においてポリスチレン換算により求めたものである。
さらに、上記ビニルエーテル系界面活性剤(C)のSP値は、8〜9、更には、8〜8.5であることが、端部に厚膜部分を生じ難くする効果の点から好ましい。これは本発明のカラーフィルター用インクジェットインクの場合、カルボキシル基が潜在化されているので上記ビニルエーテル系界面活性剤との溶解性に優れ、さらに加熱時に脱ブロックすることによりビニルエーテル系界面活性剤がバインダー中に相溶せずに表面付近に集まり易くなり、塗膜表面全体に当該界面活性剤が拡散し、塗膜表面全体の表面張力を適切なレベルにし、塗膜表面からの乾燥が均一化され易くなるからと推定される。
なおここで、SP値とは、物質同士の相溶性、非相溶性を示す指標であり、混合される2つの物質間でSP値の差が小さければ相溶性、溶解性が大きく、易溶性となり、一方、その差が大きければ相溶性、溶解性が小さく、難溶性〜不溶性となる。
SP値の測定方法や計算方法は幾つかあるが、本発明においては、Michael M. Coleman, John F. Graf, Paul C. Painter (Pennsylvania State Univ.)が書いた、"Specific Interactions and the Miscibility of Polymer Blends" (1991), Technomic Publishing Co.に記載されている計算方法を用いる。但し、‐COOH基と‐OH基については記載がないため、R. F. Fedorsが書いたPolymer Engineering and Science, 14(2), 147(1974)に記載の値を用いる。例えば、ポリビニルイソブチルエーテルの場合、SP値は8.35、ポリビニルイソプロピルエーテルの場合、SP値は8.31となる。
また、上記ビニルエーテル系界面活性剤(C)の含有量は、固形分全体に対して0.05〜1.25重量%、更に固形分全体に対して0.10〜1.00重量%であることが、端部に厚膜部分を生じ難くする点から好ましい。0.05重量%未満の場合では適切な効果が現れず、端部が厚膜になるおそれがあり、一方、1.25重量%を上回ると、塗膜の端部が低くなりすぎて画素端部の白抜けを発生させるおそれがあり、また、体積抵抗、リコート性が劣るおそれがある。なお、上記ビニルエーテル系界面活性剤(C)の含有量は、ビニルエーテル系界面活性剤の固形分の含有量として表している。
<(D)顔料>
着色剤としての顔料(D)は、画素(画素部)のR、G、B等やブラックマトリックス層の求める色に合わせて、有機着色剤及び無機着色剤の中から任意のものを選んで使用することができる。有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。これらの中で有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、カラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
また、前記無機顔料あるいは体質顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。本発明において、顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
カラーフィルターの基板上に、本発明のインクジェットインクを用いてブラックマトリックス層のパターンを形成する場合には、インクジェットインク中に遮光性の高い黒色顔料を配合する。遮光性の高い黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックや四三酸化鉄などの無機系着色剤、或いは、シアニンブラックなどの有機系着色剤を使用できる。
画素を形成する場合には、顔料(D)をインクジェットインクの固形分全量に対して、通常は1〜60重量%、好ましくは15〜40重量%の割合で配合する。顔料(D)が1重量%未満の場合には、インクジェットインクを所定の膜厚(通常は0.1〜2.0μm)に塗布した際の光の透過濃度が十分でないおそれがある。また、顔料(D)が60重量%を上回る場合には、インクジェットインクを基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがある。
<(E)溶剤>
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、当該インクを高濃度液又は直ちにヘッドから吐出できるように調製するために、溶剤(E)を配合する。
本発明のインクジェットインクは、沸点が180℃〜260℃、特に210℃〜260℃で且つ常温(特に18℃〜25℃の範囲)での蒸気圧が0.5mmHg以下、特に0.1mmHg以下の溶剤成分を主溶剤として用い、そのような主溶剤を溶剤の全量に対して80重量%以上の割合で配合するのが好ましい。また、主溶剤の表面張力は、29mN/m以上であることが好ましい。
沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分は適度な乾燥性及び蒸発性を有している。そのため、このような溶剤成分を高い配合割合で含有する単独溶剤又は混合溶剤を用いると、インクジェットインクが吐出ヘッドのノズル先端において急速には乾燥しないので、インクの急激な粘度上昇や目詰まりが発生せず、吐出の直進性や安定性に悪影響を及ぼさない。それと共に、被吐出面に吹き付けた後は乾燥が適度な速度で進行するので、インクが被塗布面になじんで塗工膜表面が水平且つ滑らかになってから、自然乾燥又は一般的な加熱工程によってインクを速やかに且つ完全に乾燥させることができる。湿潤剤や極めて沸点の高い溶剤を用いる場合と比べて、乾燥工程後の塗膜中に溶剤が残留するおそれも少ない。
溶剤(E)は、必要に応じて主溶剤以外の溶剤成分を少量ならば含有していても良い。しかしながら、その場合でも、上記した沸点と蒸気圧を有する主溶剤を溶剤全量に対して80重量%以上の割合で使用することが好ましい。主溶剤の割合が溶剤全量の80重量%に満たない場合には、インクジェット方式に適した乾燥性、蒸発性を確実に得ることができない場合がある。
主溶剤は、できるだけ高い配合割合で用いるのが望ましく、具体的には80重量%以上とし、できるだけ100重量%とするのが望ましい。
基板表面に濡れ性可変層を形成し露光することにより、基板上のインク層を形成したい部分に親インク性領域を形成し、当該親インク性領域に本発明のインクジェットインクをインクジェット方式によって選択的に付着させる場合には、主溶剤として、JIS K 6768:1999「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上、好ましくは30°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すものを選択して用いてもよい。
濡れ性に関して上記挙動を示す溶剤を用いてインクを調製すると、インクは、後述する濡れ性可変層の濡れ性を変化させる前は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな反撥性を示し、当該濡れ性可変層の濡れ性を変化させて親水性が大きくなる方向に変化させた後は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな親和性を示す。従って、濡れ性可変層の表面の一部を選択的に露光して形成した親インク性領域に対するインクの濡れ性と、その周囲の領域に対する撥インク性領域の濡れ性の差を大きくとることができるようになり、親インク性領域にインクジェット方式で吹き付けたインクが、親インク性領域の隅々にまで均一に濡れ広がる。その結果、微細且つ精緻なインク層のパターンをインクジェット方式により形成できるようになる。
ここで、臨界表面張力に関し上記特性を有する試験片は如何なる材料で形成されていても差し支えない。臨界表面張力30mN/mを示す試験片としては、例えば、表面が平滑なポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、平滑なガラス表面に前記ポリマーや表面改質剤等を塗布したものの中から実際に上記試験を行って該当するものを選択することができる。また、臨界表面張力70mN/mを示す試験片としては、例えば、ナイロンや親水化処理したガラス表面等を塗布したものの中から実際に上記試験を行って該当するものを選択することができる。
また、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには顔料(D)が含まれるため、特に溶剤の大部分を占める主溶剤としては、顔料の分散性、分散安定性の点から、水酸基を含有しないものを用いることが好ましい。
主溶剤として好ましいものとしては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。これらの溶剤は、沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の要求を満たしているだけでなく、分子中に水酸基を有していない点でも好ましい。さらに、これらの溶剤は、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から顔料分散液の調製に用いられている分散性の高い溶剤と混合し、或いは混合せずそのまま分散溶剤として用い、顔料分散液を調製することができる。
好ましいものとして例示した上記溶剤は、JIS K 6768:1999に規定するぬれ張力試験方法において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すという要求も満たしている。従って、これらの溶剤は、基板表面に濡れ性可変層を設けて露光し、露光部分と未露光部分の間の濡れ性の差を利用してインクジェットインクを選択的に付着させる場合にも、主溶剤として好適に用いることができる。
また、溶剤中に水分が混入している場合も溶剤中に水分子の水酸基が存在することになるので、水酸基を有する溶剤を用いる場合と同様の問題を生じるおそれがある。従って、酸−エポキシ間の架橋反応系から水分を実質的に排除するために、水との混和性の低い溶剤を用いてインクジェットインクを調製するのが好ましい。かかる観点から、インクジェットインクを調製する溶剤の水に対する溶解性は、液温が20℃の水100重量部に対して20重量部以下であることが好ましい。
具体例として挙げた上記主溶剤の中では、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートは水酸基を有しておらず、また、液温が20℃の水100重量部に対する溶解性も6.5重量部と低い水混和性を示すので、特に好ましい。
溶剤は、当該溶剤を含むインクジェットインクの全量に対して、通常は40〜95重量%の割合で用いてインクジェットインクを調製する。溶剤が40重量%未満の場合では、インクジェットインクの粘度が高く、インクジェットヘッドからの吐出が困難になる。また、溶剤が95重量%を上回る場合では、所定の濡れ性変化部位(インク層形成部位)に対するインク盛り量(インク堆積量)が充分でないうちに当該濡れ性変化部位に堆積させたインクの膜が決壊し、周囲の未露光部へはみ出し、さらには隣の濡れ性変化部位(インク層形成部位)にまで濡れ広がってしまう。言い換えれば、インクを付着させるべき濡れ性変化部位(インク層形成部位)からはみ出さないで堆積させることのできるインク盛り量が不充分となり、乾燥後の膜厚が薄すぎて、それに伴い充分な光の透過濃度を得ることができなくなる。
<触媒>
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、硬化層の硬度及び耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。具体的には、(イ)ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、リン酸モノ及びジエステル類などを、アンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン類などの各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合物、(ロ)BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前述のルイス塩基で中和した化合物、(ハ)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第一級アルコール、第二級アルコールとのエステル化合物、(ニ)第一級アルコール類、第二級アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。また、オニウム化合物としては、アンモニウム化合物[R3NR']+X-、スルホニウム化合物[R3SR']+X-、オキソニウム化合物[R3OR']+X-等を挙げることができる。なお、ここでR及びR’はアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ等の基である。
また、熱潜在性触媒は、液晶汚染性等の面から、ハロゲンフリーの酸性触媒であることが好ましい。ハロゲンフリーの酸性触媒として具体的には、ノフキュアーLC−1、ノフキュアーLC−2及びノフキュアーLC−10(いずれも商品名、日本油脂(株)製)を例示することができる。
熱潜在性触媒は、エポキシ基含有重合体(A1)、エポキシ基含有化合物(A2)、及び、多価カルボン酸誘導体(B)の合計100重量部に対して、通常は0.01〜10.0重量部程度の割合で配合する。
<顔料分散剤>
顔料分散剤は、顔料を良好に分散させるために、硬化性樹脂組成物中に必要に応じて配合される。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性等の界面活性剤などを使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。また、特殊アクリル系重合体などの分散補助樹脂を更に用いても良い。
すなわち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類などの高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
上記顔料分散剤の含有量は、固形分全体に対して10〜50重量%、更に固形分全体に対して15〜40重量%であることが好ましい。
<レベリング剤>
前記のように、本発明に用いる(C)は、レベリング剤としての作用も有するが、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、本発明の効果が損なわれない限り、レベリング剤を添加しても良い。レベリング剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン系界面活性剤、脂肪酸エステル系界面活性剤、特殊アクリル系重合体などが挙げられる。
<その他の成分>
更に、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
a)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
b)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
c)紫外線吸収剤:例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなど。
d)凝集防止剤:例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなど。
<インクの製造方法>
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクは、各成分を単独溶剤又は混合溶剤である溶剤に投入して混合し、固形成分を溶解又は分散させて製造しても良い。
しかしながら、顔料をバインダー系等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、顔料を溶剤中に十分に分散させられないことが多い。そこで通常は、顔料の分散性及び分散安定性が良好な溶剤を用意し、そこに顔料を分散剤と共に投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、顔料分散液を調製する。そして、得られた顔料分散液を、顔料以外の成分と共に、ほとんど主溶剤からなるか又は主溶剤のみからなる溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合することによって、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクとすることができる。
顔料分散液を投入する残部の溶剤としては、最終的な溶剤全体の組成から顔料分散液の調製に用いた溶剤の分を差し引いた組成を有するものを用い、最終濃度にまで希釈してインクジェットインクを完成させても良い。また、顔料分散液を比較的少量の主溶剤に投入して高濃度のインクジェットインクを調製しても良い。高濃度のインクジェットインクは、そのまま保存し、使用直前に最終濃度に希釈してインクジェット方式に使用することができる。
<硬化層の物性>
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクを用いて形成された硬化層は、カラーフィルターの細部に要求される透明性、硬度、耐熱性(加熱による膜減りや変色の程度など)、その他の諸特性に優れている。例えば、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクを用いて、下記の硬度、耐熱性等を兼ね備えた硬化層を透明基板上に形成することができる。
a)硬度:JIS K 5600−5−4:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」において2H以上の鉛筆硬度を示す。
b)耐熱性:カラーフィルターを250℃で1時間放置後の硬化層の膜厚減少が10%以下で、且つ、当該放置前後の色差が1以下とすることができる。
c)耐溶剤性(耐薬品性):硬化層を設けたカラーフィルターをイソプロピルアルコール、N−メチルピロリドン又はγ−ブチロラクトンいずれかの溶剤に液温40℃で1時間浸漬した後に硬化層の膜厚を測定して算出される膜厚減少を、いずれの溶剤に浸漬した場合でも10%以下とすることができる。
d)耐温純水性:硬化層を設けたカラーフィルターを80℃の純水に1時間浸漬後にJIS K5600−5−6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」を行った結果を6点以上とすることができる。
本発明において作成される硬化層が優れた硬度、耐溶剤性及び耐温純水性を示すのは、硬化層の架橋密度が非常に高いことが多いに貢献しているものと推測される。
<用途>
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクは、カラーフィルターにおいて画素やブラックマトリックス等、所定のパターンを有する膜を形成するのに特に好適に用いられる。カラーフィルターとしては、液晶表示装置等の画像出力装置に用いられるカラーフィルター、或いは固体撮像素子等の画像入力装置に用いられるカラーフィルターのいずれにも好適に用いることができる。
2.カラーフィルターの製造方法
本発明のカラーフィルターの製造方法は、基板上の所定領域に上記本発明のカラーフィルター用インクジェットインクを、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、前記インク層を硬化させて着色硬化層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクにR、G、B又はブラック等の所望の顔料を配合し、カラーフィルターの透明基板上の所定領域にインクジェット方式により選択的に付着させ、硬化させることによって、画素部や遮光層などの着色硬化層を形成することができる。
上記のような工程を含むカラーフィルターの製造方法の一例を、以下に説明する。先ず、図1(A)に示すようにカラーフィルターの透明基板1を準備する。この透明基板としては、従来よりカラーフィルターに用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可とう性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可とう性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性及び高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。本発明においては、通常、透明基板を用いるが、反射性の基板や白色に着色した基板でも用いることは可能である。また、基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与その他の目的で表面処理を施したものを用いてもよい。
次に、図1(B)に示すように、透明基板1の一面側の画素部間の境界となる領域に遮光部2を形成する。遮光部2は、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成することができる。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
また、遮光部2としては、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層であってもよい。用いられる樹脂バインダーとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種又は2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。このような樹脂製遮光部のパターニングの方法としては、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
次に、図1(C)に示すように、遮光部のパターン上に、撥インク性凸部を必要に応じて形成する。このような撥インク性凸部の組成は、撥インク性を有する樹脂組成物であれば、特に限定されるものではない。また、特に透明である必要はなく、着色されたものであってもよい。例えば、遮光部に用いられる材料であって、黒色の材料を混入しない材料等を用いることができる。具体的には、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の水溶性樹脂を1種又は2種以上混合した組成物や、O/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を挙げることができる。本発明においては、取扱性及び硬化が容易である点等の理由から、光硬化性樹脂が好適に用いられる。また、この撥インク性凸部は、撥インク性が強いほど好ましいので、その表面をシリコーン化合物や含フッ素化合物等の撥インク処理剤で処理したものでもよい。
撥インク性凸部のパターニングは、撥インク性樹脂組成物の塗工液を用いる印刷や、光硬化性塗工液を用いるフォトリソグラフィーにより行うことができる。撥インク性凸部の高さは、上述したようにインクジェット法により着色する際にインクが混色することを防止するために設けられるものであることから、ある程度高いことが好ましいが、カラーフィルターとした場合の全体の平坦性を考慮すると、画素部の厚さに近い厚さであることが好ましい。具体的には、吹き付けるインクの堆積量によっても異なるが、通常は0.1〜2.5μmの範囲内であることが好ましい。
また、撥インク性凸部の形成において、撥インク性を付与するのに、プラズマ処理等の表面処理を用いても良い。表面処理としては、例えば、導入ガスにフッ素又はフッ素化合物を含んだガスを使用し、減圧雰囲気下や大気圧雰囲気下でプラズマ照射をする減圧プラズマ処理や大気圧プラズマ処理が挙げられる。フッ素系化合物及び酸素を含んだガス中でプラズマ処理を行なうと、有機材料においては上記反応と並行してフッ素系化合物が有機材料表面に入り込む現象が生ずる。特にフッ素系化合物が酸素よりも多い場合、例えば、フッ素系化合物及び酸素の総量に対するフッ素系化合物の含有量が60%以上に設定されているような、フッ素系化合物の量が過多のガス雰囲気下では、酸素による酸化反応よりもフッ素系化合物混入化現象の方が盛んになるため、混入化現象によって有機材料表面が非極性化され、撥インク性が付与される。
次に、各色の画素部形成用インクとして、各色の上記本発明のインクジェットインクを用意する。そして、図1(D)に示すように、透明基板1の表面に、遮光層2のパターンにより画成された各色の画素部形成領域4R、4G、4Bに、対応する色の画素部形成用インクをインクジェット方式により吹き付けてインク層を形成する。このインクの吹き付け工程において、画素部形成用インクは、ヘッド5の先端部で粘度増大を起こし難く、良好な吐出性を維持し続けることができる。従って、所定の画素部形成領域内に、対応する色のインクを正確に、且つ、均一に付着させることができるため正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。また、各色の画素部形成用インクを、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、各色ごとに画素部を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。
次に、図1(E)に示すように、各色のインク層6R、6G、6Bを乾燥し必要に応じてプリベークした後、加熱することにより硬化させる。特に、インク層の端部が乾燥後に盛り上がらないようにするための乾燥条件としては、通常のプリベーク段階の前に減圧乾燥工程を入れるようにすることが好ましい。例えば、10Torrで120秒間減圧乾燥後に、80℃のホットプレート上で10分間のプリベークを行うことが挙げられる。或いは、インク層の端部が乾燥後に盛り上がらないようにするための乾燥条件としては、通常のプリベーク条件(80℃程度)より低い温度条件で、10分間程度より長い時間乾燥することが好ましい。例えば、40℃〜60℃にて30分間〜60分間の乾燥工程を有することが挙げられる。インク層を加熱すると、インクジェットインク中に含まれる硬化性樹脂の架橋要素が架橋反応を起こし、インク層が硬化する。
本発明のカラーフィルターの製造方法により得られるカラーフィルターの画素は、上記本発明のインクジェットインクを用いて形成されるため、エポキシ化合物、多価カルボン酸誘導体、及びビニルエーテル系界面活性剤/又はその化学変化体を含むことが特徴的である。ここでエポキシ化合物、多価カルボン酸誘導体、及びビニルエーテル系界面活性剤とは、上記本発明のインクジェットインクにおいて述べたものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。また、エポキシ化合物、多価カルボン酸誘導体、及びビニルエーテル系界面活性剤の化学変化体とは、カラーフィルター形成時や使用時に熱や光等によってエポキシ化合物、多価カルボン酸誘導体、及びビニルエーテル系界面活性剤が化学反応を引き起こして変化したものをいう。
画素は、通常、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色で形成される。画素における着色パターン形状は、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができ、着色面積は任意に設定することができる。
画素部の厚さは、光学特性等を考慮して、通常は0.5〜2.5μm程度とする。また、本発明のカラーフィルターにおいては、前記画素の膜厚の最高値、中でも前記画素の端部の膜厚の最高値が3.5μm以下、特に好ましくは3μm以下であることが好ましい。また、本発明のカラーフィルターにおいては、前記画素の膜厚の最高値、中でも前記画素の端部の膜厚の最高値と平均膜厚との差が1μm以下、特に好ましくは0.7μm以下であることが好ましい。このような場合には、厚膜部分の画素が暗くなったり、クラックが生じやすくなる等の問題が生じないため、表示不良が低減するからである。また、液晶層のギャップが正確に取れなくなる等の問題が生じないからである。なお、膜厚は、基板の基準面(平均高さを有する面)からの高さをいう。また、画素の平均膜厚は、画素内の塗膜体積を画素面積で割ることにより、算出することができる。更に、端部の膜厚の最高値とは、端部盛り上がり部位の中で膜厚が最も高い箇所における膜厚の値をいう。
次に、図1(F)に示すように、透明基板の画素部7R、7G、7Bを形成した側に、保護層8を形成する。保護層は、カラーフィルターを平坦化するとともに、画素部等に含有される成分が、液晶表示装置の液晶層へ溶出するのを防止するために設けられる。保護層の厚みは、使用される材料の光透過率、カラーフィルターの表面状態等を考慮して設定することができ、例えば、0.1〜2.0μmの範囲で設定することができる。保護層は、例えば、公知の透明感光性樹脂、二液硬化型透明樹脂等の中から、透明保護層として要求される光透過率等を有するものを用いて形成することができる。
このようにして、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクを用いてカラーフィルター101が製造される。この例においては、本発明のインクを用いて画素部を形成するが、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクを用いるインクジェット方式によれば、画素部以外にも遮光部2などを所望のパターン状に形成することができる。
遮光部2を形成したい場合には、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクであって黒色顔料などの遮光性着色剤を配合してなる遮光部形成用インクを調製し、この遮光部形成用インクを、透明基板1の表面の所定領域にインクジェット方式により選択的に付着させてインク層を所定のパターン状に形成し、当該インク層を電離放射線照射などの方法で硬化させ、必要に応じてベークすることによって遮光部を形成できる。
また、上記例においては、図1(B)に示すように、透明基板1の一面側の画素部間の境界となる領域に遮光部2を形成し、更にその上に図1(C)に示すように、撥インク性凸部3を形成しているが、遮光部2と撥インク性凸部3の機能を兼ね備えたような、比較的高さがあって隔壁の役割も果たす遮光部2のみを基板上に設けても良い。この場合の遮光部2としては、撥インク性を有することが好ましく、例えば、撥水性材料を混合した撥水性遮光部、撥水性材料が表面に塗布された撥水性遮光部や、プラズマ処理により撥水性が付与された遮光部などが挙げられる。これら撥水性を付与する手段は、上記撥水性凸部において説明したのと同様の手段を用いることができる。
また、本発明のカラーフィルターの製造方法においては、基板表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する工程を更に含み、前記インク層形成領域に、上記本発明のカラーフィルター用インクジェットインクをインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成することが好ましい。親インク性の大きいインク層形成領域にインクを付着させると、インクの濡れ広がり性が向上し、色抜けや膜厚ムラをより効果的に防止でき、明るさや色むらが生じない画素を得ることができるからである。
基板表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する工程としては、特に限定されず、上述したようなプラズマ処理等の表面処理を用いても良い。例えば、フッ素系化合物及び酸素を含んだガス中でプラズマ処理を行なうと、無機材料の表面にはプラズマ放電により未反応基が発生し、酸素により未反応基が酸化されてカルボニル基や水酸基等の極性基が発生し、親インク性が付与される。一方、有機材料においては上記反応と並行してフッ素系化合物が有機材料表面に入り込む現象が生ずる。特にフッ素系化合物が酸素よりも多い場合、例えばフッ素系化合物及び酸素の総量に対するフッ素系化合物の含有量が60%以上に設定されているような、フッ素系化合物の量が過多のガス雰囲気下では、酸素による酸化反応よりもフッ素系化合物混入化現象の方が盛んになるため、混入化現象によって有機材料表面が非極性化され、撥インク性が付与される。したがって、ガラス基板上に有機材料により遮光部2や凸部を形成した後に、上記のようなフッ素系化合物が過多の条件でプラズマ処理を行なうと、インク層形成領域に該当するガラス基板上は周囲に比べて親インク性が大きくなり、遮光部2や凸部は撥インク性となり、凸部は撥インク性凸部3となる。このようにして得られたインク層形成領域はインクが濡れ広がり易く、色抜けや膜厚ムラが防止される上、他のインク形成領域との境界に該当する凸部からのインク流出が防止される。また、この場合において、遮光部2を無機材料で形成し、その上に凸部を有機材料で形成すると、ガラス基板と遮光部2は、親インク性が大きくなり、凸部は撥インク性となる。
一方、基板表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する工程の他の方法としては、カラーフィルターの透明基板上に、光触媒の作用により親インク性が大きくなる方向に濡れ性を変化させる濡れ性可変層を形成し、当該濡れ性可変層の表面の所定領域内の濡れ性を露光により選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する方法がある。
このような濡れ性可変層を基板上に設ける場合には、主溶剤として、JIS K 6768:1999「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すものを用いて調製したインクを用いるのが好ましい。
本発明のカラーフィルターの製造方法において、上記のような濡れ性可変層を基板上に設ける態様の一例を、以下に説明する。先ず、図2(A)に示すように、カラーフィルターの透明基板1の一面側の画素部間の境界となる領域に遮光部2を形成する。この遮光部のパターンによって、各色の画素部形成領域4R、4G、4Bが画成される。透明基板1としては、図1を用いて述べた例において説明したものと同じものを用いることができ、遮光部2も、図1を用いて述べた例において説明したものと同様のものを設けることができる。
次に、図2(B)に示すように、透明基板1の表面の少なくとも一部領域、特に、この例では、画素部形成領域を含む領域に、濡れ性可変層としての光触媒含有層9をベタ塗りのパターン(ソリッドパターン状)に形成する。
次に、図2(C)に示すように、光触媒含有層9にフォトマスク10を介して光線12を照射して露光を行い、画素部形成領域4R、4G、4Bの親インク性を増大させる。
上記光触媒含有層9のような濡れ性可変層の画素部形成領域の濡れ性を選択的に変化させて親インク性を大きくすると、本発明のインクは、画素部形成領域に容易に付着して均一に広がり、一方、画素部形成領域の周囲領域では強く反撥して排除されるので、画素部形成領域に選択的に且つ均一に付着し、その結果、正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。
この方法において用いる濡れ性可変層は、JIS K 6768:1999に規定するぬれ張力試験方法において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が、濡れ性を変化させる前においては20〜50mN/mを示し、且つ、濡れ性を変化させた後においては40〜120mN/m、好ましくは70〜110mN/mを示すものであることが好ましい。
臨界表面張力をこのように変化させることのできる濡れ性可変層を用いると、インクは、濡れ性を変化させて親インク性を大きくした画素部形成領域等のパターン形成領域において、非常に小さな接触角を示し、一方、パターン形成領域の周囲においては非常に大きな接触角を示し、濡れ性の差を非常に大きくとることができる。
フォトマスク10を用いて露光を行う場合は、隣接し合う画素部形成領域間の境界部に未露光部を確保しつつ、露光部11の幅を画素部形成領域4の幅よりも広くとるようにすることが好ましい。このようにすることにより、画素部形成領域4の隅々まで十分に露光され、親インク性が増大するので、画素部の色抜け等の不都合が生じ難くなる。光触媒含有層9は、フォトマスクを用いずとも、レーザー光線の走査によるフォトリソグラフィーなどの他の方法で所定のパターン状に露光してもよい。また、透明基板の裏面側(光触媒含有層9が設けられているのとは反対側)から露光を行うと、遮光部2がフォトマスクとして機能するので、フォトマスクが不要である。
光触媒含有層9に照射される光は、光触媒を活性化できるものであれば可視光線であっても不可視光線であっても差し支えないが、通常は、紫外光を含む光を用いる。このような紫外光を含む光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を挙げることができる。この露光に用いる光の波長は400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定することができ、また、露光に際しての光の照射量は、露光された部位が光触媒の作用により親水性を増大させるのに必要な照射量とすることができる。
親インク性が大きくなる方向に濡れ性を変化させることのできる濡れ性可変層としては、例えば、a)図示した光触媒含有層9のように光触媒を含有し且つ光触媒の作用により濡れ性可変層自体の親水性が増大するもののほか、b)濡れ性可変層の下側(透明基板側)に光触媒含有層を備え、光触媒含有層内に存在する光触媒の作用によって濡れ性可変層の親水性が増大するもの、c)光触媒及び当該光触媒の作用により分解するバインダーからなる分解性濡れ性可変層であって、当該分解性濡れ性可変層の露光部分が分解、除去されて親水性を有する下地、例えば透明基板等が露出するもの、或いは、d)光触媒の作用により分解するバインダーからなる分解性濡れ性可変層の下側に光触媒含有層を備え、光触媒含有層内に存在する光触媒の作用によって当該分解性濡れ性可変層の露光部分が分解、除去されて親水性を有する下地、例えば光触媒含有層等が露出するものなどを例示することができる。
本発明における「親インク性が大きくなる方向に濡れ性を変化させることのできる濡れ性可変層」は、基板に濡れ性可変層を設けてなる積層体において、濡れ性可変層形成面の濡れ性を親インク性が大きくなる方向に変化させるものであればよく、上記例示a)、b)のように、濡れ性可変層自体の親インク性が増大するものだけでなく、上記例示c)、d)のように、濡れ性可変層が分解して親インク性の下地が露出するものも、これに含まれる。
なお、上記a)図示した光触媒含有層9のように光触媒を含有し且つ光触媒の作用により濡れ性可変層自体の親水性が増大するもの、及びb)濡れ性可変層の下側(透明基板側)に光触媒含有層を備え、光触媒含有層内に存在する光触媒の作用によって濡れ性可変層の親水性が増大するものについては、特開2001−350012号公報の段落番号149〜段落番号174記載のものを好適に用いることができる。
次に、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクであって、1又は2以上の顔料を配合してなる、各色の画素部形成用インクを用意する。そして、上述した図2(C)の工程において親インク性を増大させた画素部形成領域4R、4G、4Bに、対応する色の画素部形成用インクを選択的に付着させて、図2(D)に示すようなインク層6R、6G、6Bを形成する。
次に、図2(E)に示すように、各色のインク層6R、6G、6Bを乾燥し必要に応じてプリベークした後、加熱することにより硬化させ、さらに必要に応じて、ベークを行って各色の画素部7R、7G、7Bを形成する。特に、インク層の端部が乾燥後に盛り上がらないようにするための乾燥条件としては、図1を用いて説明した場合と同様に行うことが好ましい。インク層を加熱すると、組成中に含まれる硬化性樹脂の架橋要素が架橋反応を起こし、インク層が硬化する。
次に、図2(F)に示すように、透明基板の画素部7R、7G、7Bを形成した側に、保護層8を形成する。図2(E)及び図2(F)に示すような硬化工程及び保護層形成工程は、図1を用いて説明した場合と同様に行うことができる。
他の例においては、このようにしてカラーフィルター102が製造される。この例においては、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクである画素部形成用インクを用いて画素部を形成するが、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクを、基板表面の濡れ性の差を利用して親インク性領域だけに選択的に付着させることによって、遮光部2のような画素部以外の着色硬化層も所望のパターン状に形成することができる。
3.液晶表示装置の製造方法
本発明の液晶表示装置の製造方法は、上記本発明のカラーフィルターの製造方法を用いてカラーフィルターを製造する工程と、当該製造されたカラーフィルターと液晶駆動側基板を対向させて組み立てる工程を有する。
本発明の液晶表示装置の製造方法によれば、上記本発明のカラーフィルター用インクジェットインクを用い、より性能の良いカラーフィルターが得られる上記本発明のカラーフィルターの製造方法を用いた工程を有することから、高品質な液晶表示装置とすることができる。
上記のようにして製造されたカラーフィルターと、液晶駆動側基板(TFTアレイ基板)を対向させ、両基板の内面側周縁部をシール材により接合すると、両基板は所定距離のセルギャップを保持した状態で貼り合わされる。そして、基板間の間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明の製造方法により製造される液晶表示装置に属する、アクティブマトリックス方式のカラー液晶表示装置が得られる。
液晶表示装置におけるその他の製造方法及び構成は、通常用いられる方法及び構成を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
本発明の製造方法によって得られる液晶表示装置としては、上述したカラーフィルターを有するものであれば特に限定はされず、公知の液晶表示装置を挙げることができる。具体的には、IPS(In-Plane Switching)型、STN(Super Twisted Nematic)型、TN(Twisted Nematic)型、強誘電性型、反強誘電性型、MVAモード型等を挙げることができる。
(製造例1及び2:エポキシ基含有重合体(A1)の合成)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合割合に従って、水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を44重量部仕込み、攪拌しながら加熱して115℃に昇温した。次いで、115℃の温度で第1表に記載した組成のモノマー、重合開始剤、及び水酸基を含有しない上記溶剤BCAの混合物(滴下成分)56.0重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、115℃で2.5時間保持した後、125℃に昇温し、2時間保ったところで反応を終了することにより、表1に記載の特性を有するエポキシ基含有重合体(A1)が得られた。
Figure 2007072284
*1)表中の略号は以下の通りである。
GMA:グリシジルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
パーヘキシルI:tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日本油脂(株)製商品名)
*2)性状:目視による外観を示す。
*3)140℃、60分熱風乾燥した時の加熱残分より算出した。
*4)エポキシ当量:過剰の0.2N・塩酸ジオキサン溶液でエポキシ基の開環反応を行った後、未反応の塩酸を0.1N・KOHエタノール溶液にて逆滴定し、エポキシ当量を算出した。
*5)E型粘度計を用いて20℃で測定した。
*6)重量平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値である。
(製造例3及び4:多価カルボン酸誘導体(B)の合成)
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えた4つ口フラスコに、表2に示す配合割合に従って仕込み、攪拌しながら加熱し70℃に昇温した。次いで、温度を保ちながら攪拌し続け、混合物の酸価が3.0mgKOH/g以下になったところで反応を終了し、表2記載の特性を有する多価カルボン酸誘導体(B)が得られた。
Figure 2007072284
*1)溶液の酸価:0.1N・KOHエタノール溶液で滴定し、算出した。溶液の酸価は、JIS K 0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」の酸価の測定方法に準じて、テトラヒドロフラン(THF)溶液に、一定量の樹脂を溶解させ、フェノールフタレインを指示薬としてKOH/エタノール溶液にて滴定し、測定を行った。
*2)ブロック化率:溶液の酸価より、固形分換算し算出した。
*3)ブロック酸固形分:仕込んだカルボン酸と当量のビニルエーテル化合物が反応して生成した多価カルボン酸誘導体の反応物中の割合
*4)溶液の酸当量:水・メタノール溶液にてブロック剤を解離後、酸価を測定した。酸価は、JIS K 0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」の加水分解酸価測定に準じて測定した。
(製造例5〜6:ビニルエーテル系界面活性剤(C)の合成)
撹拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、置換に十分な量の窒素を導入して窒素雰囲気とした。次にモレキュラーシーブで乾燥したトルエン100重量部とBF3−エーテレート(BF3−etherate)0.10重量部を加えた。そして、内容物を30℃に昇温してから同温度に保った状態で、表3に記載した組成のビニルエーテル化合物100重量部を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後さらに50℃で1時間の反応を行った。反応終了後、25%アンモニア溶液0.5重量部と2度の蒸留を行った水50mlを反応混合物に添加し、得られた混合物を十分に撹拌した。次いで、分液ろう斗で水層を分離除去した。さらに、2度の蒸留を行った各100mlで2度の洗浄を行った後、トルエンと残存水を80℃×20kPaの条件で減圧留去することにより、表3に記載の特性を有する粘ちょう液体であるビニルエーテル系界面活性剤(C)を得た。
Figure 2007072284
*1)性状:目視による外観を示す。
*2)重量平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値である。
(実施例1:カラーフィルター用インクジェットインク(青色)の調製)
(1)顔料分散液の調製
各顔料、顔料分散剤、及び溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)を用いて4時間分散し、PB15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)顔料分散液及びPV23(C.I.ピグメントバイオレット23)顔料分散液を調製した。
[顔料分散液の組成]
・各顔料:10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン(株)製)(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
(2)バインダー組成物の調製
・バインダー組成
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記割合に従って前記製造例記載のエポキシ基含有重合体(A1)、エポキシ基含有化合物(A2)、前記製造例記載の多価カルボン酸誘導体(B)及び熱潜在性触媒を加え、室温で十分に攪拌溶解し、粘度調整のために希釈溶剤を加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。バインダー組成物の酸/エポキシ当量比は0.9であった。
[バインダー組成物の配合割合]
・製造例1のエポキシ基含有重合体(A1)(固形分37.6重量%):66.7重量部
・製造例3の多価カルボン酸誘導体(B)(固形分35.2重量%):49.7重量部
・エポキシ基含有化合物(A2)(商品名エピコート157S70、ジャパンエポキシレジン(株)製)(固形分27.2重量%):54.4重量部
・熱潜在性触媒(商品名LC−1、日本油脂製):3.6重量部
・BCA:75.6重量部
表4に示す配合割合で、上記調製したPB15:6顔料分散液、PV23顔料分散液、及び、バインダー組成物を充分に混合した後、表4に示す配合割合で界面活性剤を添加し、実施例1のカラーフィルター用インクジェットインクを得た。
(実施例2〜6:カラーフィルター用青色インクジェットインクの調製)
実施例1と同様に顔料分散液、バインダー組成物を調製、混合した後、界面活性剤を添加した。配合割合を表4に示す。
(比較例1:カラーフィルター用青色インクジェットインクの調製)
実施例1と同様に顔料分散液、バインダー組成物を調製、混合した。界面活性剤は添加しなかった。配合割合を表5に示す。
(比較例2〜4:カラーフィルター用青色インクジェットインクの調製)
実施例1と同様に顔料分散液、バインダー組成物を調製、混合した後、各界面活性剤を添加した。配合割合を表5に示す。
[評価方法]
1.塗膜端部の膜厚
基板上の塗膜形成部に、上記各インクジェットインクを用いて、インクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。
その後、120秒間10Torrで減圧乾燥を行い、更に、80℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分加熱してポストベークを行い、更に230℃で30分加熱してポストベークを行って、基板上に乾燥硬化後の平均膜厚が1.8μmとなる塗膜を形成した。
塗膜端部の膜厚の測定は、光干渉方式の三次元非接触表面形状計測装置(米国マイクロマップ社、製品名Micromap557N)により行なった。端部の膜厚の最高値を示した。
2.体積抵抗値
上記各インクジェットインクを用いて、厚さ0.7mm、10cm角のクロム蒸着ガラス基板上にスピンコートし、80℃のホットプレート上で10分間加熱後、200℃オーブン中で30分間加熱し、更に230℃オーブン中で30分間加熱して、硬化後の平均膜厚が1.8μmとなるように成膜した。
JIS K 6911に準拠し、(株)ダイアインスツルメンツ製、Hiresta−GP(MCP−HT450)を用いて、印加電圧10Vにて体積抵抗値を測定した。
3.リコート性(オーバーコート性)
上記体積抵抗値を測定した各インクジェットインクの塗膜上に、オーバーコート膜用組成物(ザ・インクテック(株)、製品名IT−MP3260)を塗布し、90℃のホットプレート上で3分間加熱後、光源として超高圧水銀灯を用いて365nm換算で35.5mW/cmの照度にて3秒間光照射した。その後現像を行い、230℃オーブン中で30分間加熱し、硬化後の膜厚が1.8μmとなるように成膜した。その結果、はじき(オーバーコート膜がはじかれて膜厚が不均一になっている箇所)の有無を目視で確認した。はじきがない場合を○、はじきがあった場合を×で示した。
評価結果を各成分配合量と併せて、実施例1〜6については表4に、比較例1〜4については表5にそれぞれ示す。
Figure 2007072284
Figure 2007072284
表4及び表5中の略号は以下の通りである。
*1)LHP−90:ビニルエーテル系界面活性剤(商品名LHP−90(ポリビニルイソブチルエーテルを含有、SP値8.38、固形分50重量%)、楠本化成(株))
*2)BYK−307:シリコン系界面活性剤(商品名;BYK−307(固形分100重量%)、ビッグケミージャパン(株))
*3)BYK−320:シリコン系界面活性剤(商品名;BYK−320(固形分52重量%)、ビッグケミージャパン(株))
*4)サーフィノール61:アセチレングリコール系界面活性剤(商品名;サーフィノール61(固形分100重量%)、日信化学工業(株))
*5)顔料分散液及びバインダー成分については固形分のみを記述した。これら成分中に含まれる溶剤は全て溶剤欄に計上した。
*6)界面活性剤の記載量には、溶剤も含まれる。
実施例1〜6の結果より、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクが端部膜厚を低減させるのに優れ、更にリコート性、体積抵抗に優れていることがわかる。
これに対し、界面活性剤を用いない比較例1や本発明に用いる界面活性剤とは異種の界面活性剤を用いる比較例3、4では端部膜厚が所望の範囲を超えていた。また、本発明に用いる界面活性剤とは異種の界面活性剤を用いる比較例2では体積抵抗、リコート性に劣る結果となった。
(実施例7:カラーフィルター用インクジェットインク(赤色)の調製)
(1)顔料分散液の調製
各顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PR254(C.I.ピグメントレッド254)顔料分散液及びPR177(C.I.ピグメントレッド177)顔料分散液を調製した。
[顔料分散液の組成]
・各顔料:10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)(固形分30重量%)):10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体(固形分30重量%)):10重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
(2)インクの調製
表6に示される配合割合で、上記調製したPR254顔料分散液、PR177顔料分散液、及び、実施例1と同じバインダー組成物とBCAを充分に混合した。その後、表6に示される配合割合でビニルエーテル系界面活性剤(LHP−90)を添加し、実施例6のカラーフィルター用赤色インクジェットインクを得た。
(比較例5:カラーフィルター用インクジェットインク(赤色)の調製)
実施例7で調製した顔料分散液と比較例1で調製したバインダー組成物を混合した。界面活性剤は添加しなかった。配合割合を表6に示す。
評価結果を各成分配合量と併せて、表6に示す。
Figure 2007072284
実施例7のインクジェットインクを用いた場合、端部膜厚が所望の範囲内であったのに対し、比較例5のインクジェットインクを用いた場合、端部膜厚が所望の範囲を超えていた。
(実施例8:カラーフィルター用インクジェットインク(緑色)の調製)
(1)顔料分散液の調製
各顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PG36(C.I.ピグメントグリーン36)顔料分散液、PG7(C.I.ピグメントグリーン7)顔料分散液、PY138(C.I.ピグメントイエロー138)顔料分散液及びPY150(C.I.ピグメントイエロー150)顔料分散液を調製した。
[顔料分散液の組成]
・各顔料:10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体(固形分30重量%)):10重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
(2)インクの調製
表7に示される配合割合で上記調製したPG36顔料分散液、PG7顔料分散液、PY138顔料分散液及びPY150顔料分散液、並びに、実施例1と同じバインダー組成物とBCAを充分に混合した。表7に示される配合割合でビニルエーテル系界面活性剤(LHP−90)を添加し、実施例7のカラーフィルター用インクジェットインク(緑色)を得た。
(比較例6:カラーフィルター用緑色インクジェットインクの調製)
実施例8で調製した顔料分散液と比較例1で調製したバインダー組成物を混合した。界面活性剤は添加しなかった。配合割合を表7に示す。
評価結果を各成分配合量と併せて、表7に示す。
Figure 2007072284
実施例8のインクジェットインクを用いた場合、端部膜厚が所望の範囲内であったのに対し、比較例6のインクジェットインクを用いた場合、端部膜厚が所望の範囲を超えていた。
(実施例9:カラーフィルターの作製)
厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(旭硝子(株)製)上に、ブラックマトリックス用硬化性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により線幅20μm、膜厚1.2μmのブラックマトリックスパターンを形成した。
上記基板のブラックマトリックスにより区画された青色画素形成部に、実施例1の青色インクジェットインクをインクジェット方式によって、正確且つ均一に付着させた。次に、同じ基板の緑色画素形成部に、実施例8のカラーフィルター用インクジェットインク(緑色)をインクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。次に、同じ基板の赤色画素形成部に、実施例7のカラーフィルター用インクジェットインク(赤色)をインクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。
その後、120秒間10Torrで減圧乾燥を行い、更に、80℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分加熱してポストベークを行い、更に230℃で30分加熱してポストベークを行って、基板上に乾燥硬化後の平均膜厚が1.8μmのRGB3色の画素パターンを形成した。画素の端部の膜厚は、それぞれ表8に示すように従来に比べて低減されることが明らかになった。
RGB画素パターンを形成した基板を、IPAに5分間浸漬させ、次いでIPA蒸気にて乾燥を行ない洗浄した後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化インジウムスズ)電極を120nmの厚さになるように成膜した。このITO成膜を行った基板を更にIPAに5分間浸漬し、IPAで蒸気洗浄を行った後、ポリイミドをスピンコートし、180℃、60分間の焼成を行って配向膜を形成し、カラーフィルターを得た。
(比較例7:カラーフィルターの作製)
カラーフィルター用インクジェットインク(青色)として、比較例1のカラーフィルター用インクジェットインク(青色)、カラーフィルター用インクジェットインク(緑色)として、比較例6のカラーフィルター用インクジェットインク(緑色)、カラーフィルター用インクジェットインク(赤色)として、比較例5のカラーフィルター用インクジェットインク(赤色)を用いた以外は、実施例9と同様にして基板上に乾燥硬化後の平均膜厚が1.8μmのRGB3色の画素パターンを形成し、同様にカラーフィルターを製造した。
Figure 2007072284
ビニルエーテル系界面活性剤が含まれないインクを用いた比較例7の画素端部の膜厚は、それぞれ表8に示すように厚くなってしまった。
本発明のインクジェットインクを用いてカラーフィルターを製造する方法の説明図である。 本発明のインクジェットインクを用いてカラーフィルターを製造する別の方法を説明する図である。
符号の説明
1 透明基板
2 遮光部
3 撥インキ性凸部
4 画素部形成領域
5 インクジェットヘッド
6 インク層
7 画素部
8 保護膜
9 光触媒含有層
10 フォトマスク
11 露光部
12 光線
101、102 カラーフィルター

Claims (6)

  1. (A)1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、
    (B)下記式(1)の構造を有するカルボン酸(b1)がビニルエーテル化合物(b2)により潜在化された多価カルボン酸誘導体、
    (C)ビニルエーテル系界面活性剤、
    (D)顔料及び
    (E)溶剤
    を含有する、カラーフィルター用インクジェットインク。
    Figure 2007072284
    (式中の6員環は芳香族又は脂環式の炭化水素である。m1は0〜4の整数であり、t1は0〜1の整数であり、nは1〜4の整数である。また、nが1の場合にはR1は水素原子又は炭素数2〜8の炭化水素基であり、nが2〜4の場合にはR1は炭素数2〜8の炭化水素基である。R2は、炭素数1〜5のアルキル基である。)
  2. 前記ビニルエーテル系界面活性剤(C)の含有量が、固形分全体に対して0.05〜1.25重量%である、請求項1に記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
  3. 前記の溶剤(E)が、主溶剤として沸点が180〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を溶剤全量に対して80重量%以上の割合で含有するものである、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
  4. 基板上の所定領域に請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルター用インクジェットインクを、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、前記インク層を硬化させて着色硬化層を形成する工程とを含む、カラーフィルターの製造方法。
  5. 基板表面の所定領域の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する工程を更に含み、前記インク層形成領域に、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルター用インクジェットインクをインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する、請求項4に記載のカラーフィルターの製造方法。
  6. 請求項4又は5に記載のカラーフィルターの製造方法を用いてカラーフィルターを製造する工程と、当該製造されたカラーフィルターと液晶駆動側基板を対向させて組み立てる工程を有する、液晶表示装置の製造方法。
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