JP2007072042A - 液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 液晶注入口に光硬化樹脂組成物を塗布し、紫外線を照射して硬化する封止工程において、液晶組成物及び配向膜の分解または劣化を防止して高表示品質及び高信頼性な液晶表示素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 液晶注入口に光硬化樹脂組成物を塗布し、紫外線を照射して硬化する封止工程において、液晶組成物の複屈折をΔnとするとき、Δnが0.08未満のときには330nm以下の、Δnが0.08以上のときには630×Δn+280nm以下の波長領域の光線を除去した紫外線を照射して硬化させる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、封止剤硬化工程で照射する紫外線による液晶組成物及びポリイミド配向膜の光劣化を防止することにより表示品質及び信頼性を向上させた液晶表示素子の製造方法に関するものである。
一般に、液晶表示素子は、内面に透明電極を形成し、さらに配向剤を塗布し、焼成後配向処理が施された一対の透明基板における表示領域の周囲に、シール剤を塗布する。このシール剤を用いて、液晶組成物を注入するための注入口を除いて、両基板をスペーサーにより一定の間隔を保って貼り合せて焼成することにより一体化し、液晶セルを形成する。次に、この液晶セルに、注入口から液晶組成物を注入する。次いで、該注入口を紫外線硬化型の樹脂組成物からなる封止剤を塗布した後、該封止剤に紫外線を照射して硬化させることにより、液晶表示素子を得る。
上記の製造工程でつくられる液晶表示素子において、封止剤に照射した紫外線は同時に液晶組成物及び配向膜にも照射される。液晶組成物及び配向膜を構成する分子は特定領域の紫外線を吸収して励起状態となり、励起された分子の一部分が自己分解または液晶セル中の不純物と反応して分解する。そこで、充填された液晶組成物及び配向膜が分解することを防止する方法として、光源から出射される紫外光のうち、液晶組成物または配向膜に有害な特定波長領域の光線を除去した紫外線を封止剤に照射して硬化させる方法が、下記の特許文献1から4に開示されている。
特開平10−221699号公報 特開平11−2825号公報 特開平11−281987号公報 特開2001−235760号公報
上記特許文献1では、アクリル系またはエン/チオール系のラジカル重合光硬化樹脂からなる封止剤を光重合させるときに、液晶表示素子内の配向膜の損傷を防止するためにカットフィルターを介して350から500nmの範囲の光を照射して封止剤を硬化している。
また上記特許文献2では、封止剤を光重合させるときに、液晶表示素子内の液晶組成物に悪影響を与える特定波長領域の紫外線をカットしている。カットする波長領域は300nm以下であり、カットフィルターとしては導光材として用いる光ファイバーまたはフィルターを用いている。
また上記特許文献3では、封止剤を光重合させるときに、液晶物質の劣化防止するために、光源から出射する光をプリズムで分光して、350から400nmの範囲の紫外光を照射して封止剤を硬化している。
また上記特許文献4では、封止剤を光重合させるときに、液晶物質の分解または劣化を防止するために、330nm以下の波長領域の光線を除去した紫外線を照射して封止剤を硬化している。カットフィルターとしてはポリエーテルスルホンからなるフィルターを用いている。
一般に、有機化合物はその分子構造により紫外光の吸収波長領域が異なることが知られている。液晶組成物及び配向膜を構成する液晶分子及びポリイミドは有機化合物の一種であり、当然その分子構造により紫外光の吸収波長領域が異なる。しかし、上記の特許文献においては、液晶分子及びポリイミドの分子構造を考慮することなく、実施例に用いた液晶組成物または光重合開始剤の吸収領域から画一的に除去する紫外線波長領域を決定しているので、液晶組成物及び配向膜の種類が変わり、紫外光の吸収波長領域が移動した場合には有害波長領域を確実に除去できない欠点がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、封止剤に紫外線を照射するに際し、液晶組成物及び配向膜の複屈折に応じて、除去する波長領域を変化させた紫外線を照射して硬化させることにより、高表示品質及び高信頼性な液晶表示素子の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の液晶表示素子の製造方法は、シール剤によって対向して貼り合わされた一対の基板間に注入口を介して液晶組成物を注入する工程と、前記注入口に紫外線硬化型の封止剤を形成する工程と、前記液晶組成物の複屈折Δnの値によって規定される所定の波長領域の光線を除去した紫外線を前記封止剤に照射して硬化させる工程と、を有することを特徴とする。このような製造方法を用いることにより、使用する複屈折の異なる全ての液晶組成物及び配向膜に対して、高表示品質及び高信頼性な液晶表示素子を得ることができる。
また、上記課題を解決するために、本発明の液晶表示素子の製造方法は、前記液晶組成物の複屈折Δnの値によって規定される所定の波長領域の光線は、Δnが0.08未満のときには330nm以下の波長領域の光線であり、Δnが0.08以上のときには630×Δn+280nm以下の波長領域の光線であり、該波長領域の光線を除去した紫外線を前記封止剤に照射して硬化させることを特徴とする。このような製造方法を用いることにより、充填した複屈折の異なる全ての液晶組成物に対して、さらに高表示品質及び高信頼性な液晶表示素子を得ることができる。
また、上記課題を解決するために、本発明の液晶表示素子の製造方法は、光増感剤を添加した封止剤を用いて、液晶組成物の複屈折をΔnとするとき、Δnが0.08未満のときには330nm以下の、Δnが0.08以上のときには630×Δn+280nm以下の波長領域の光線を除去した紫外線を照射して硬化させることを特徴とする。このような製造方法を用いることにより、特に複屈折の大きな液晶組成物を充填したとき、高表示品質及び高信頼性な液晶表示素子を得ることができる。
また、上記課題を解決するために、本発明の液晶表示素子の製造方法は、前記液晶組成物の複屈折Δnの値によって規定される所定の波長領域の光線を除去した紫外線を照射して前記封止剤を硬化させる工程は、紫外線照射光源からの光をフィルターを介して前記封止剤に照射するものであって、前記フィルターによって所定の波長領域の光線を除去することを特徴とする。このような製造方法を用いることにより、充填した複屈折の異なる全ての液晶組成物に対して、液晶組成物に有害な波長領域の光線を除去することができ、高表示品質及び高信頼性な液晶表示素子を得ることができる。
また、上記課題を解決するために、本発明の液晶表示素子の製造方法は、前記フィルターの光透過率曲線の急峻性が1.3以下であること特徴とする。このような製造方法を用いることにより、充填した複屈折の異なる全ての液晶組成物に対して、液晶組成物に有害な波長領域の光線を除去することができ、また封止剤の硬化に有効な波長領域の光の透過率を高くすることができ、高表示品質及び高信頼性な液晶表示素子を得ることができる。
また、上記課題を解決するために、本発明の液晶表示素子の製造方法は、前記フィルターが光干渉フィルターであること特徴とする。このような製造方法を用いることにより、充填した複屈折の異なる全ての液晶組成物に対して、液晶組成物に有害な波長領域の光線を必要とする任意の波長で除去することができ、また封止剤の硬化に有効な波長領域の光の透過率を高くすることができ、さらに高表示品質及び高信頼性な液晶表示素子を得ることができる。
本発明で用いる光源としては、可視光及び紫外光を出射する高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が有用である。しかし、これらの光源から出射される光線には液晶組成物及び配向膜に有害な波長成分が含まれる。液晶組成物及び配向膜を構成する液晶分子及びポリイミドは特定領域の紫外光または可視光を吸収して励起状態となる。励起状態にある不安定な液晶分子及びポリイミドは、その大部分は蛍光または熱を発生してもとの安定な基底状態の液晶分子及びポリイミドに戻るが、その一部分は自己分解または液晶表示素子中の不純物と反応して分解物を生成する。この分解生成物にはイオン性の物質と電気的に中性な物質がある。イオン性の物質は波長が250nm以下の紫外線で生成し、反応例としては弗素系の液晶分子から弗素イオンの発生等がある。また、ポリイミド配向膜の劣化により、配向膜表面に吸着していた無機イオンが脱離することも考えられる。電気的に中性な物質はカルボニル基を介して生成するものが多く、反応例としてはエステル系液晶分子の加水分解によるカルボン酸とフェノールの生成、ポリイミドのNorrishI型反応による脱カルボニル反応及びNorrishII型反応による水素引き抜き及び主鎖切断反応がある。
イオン性の物質と電気的に中性な物質では液晶表示素子の表示品質及び信頼性に与える影響が異なる。イオン性の物質は液晶表示素子の点灯時に透明電極表面または配向膜表面に吸着することにより液晶層にかかる電圧が低下して焼付きまたは残像現象を引き起こす。液晶表示素子中のイオン性物質の量を推定する手段としては、イオン密度測定、抵抗測定、電圧保持率測定、残留DC測定等が用いられる。電気的に中性な物質には低分子化合物と高分子化合物があり、低分子化合物が液晶中に溶解している場合には、液晶組成物のネマチック−等方性液体転移温度、屈折率等の物性値が変化して表示品質に異常が発生する。また低分子化合物が配向膜表面に吸着した場合には、液晶分子のプレチルトが変化して閾値電圧等の表示品質が変化する。高分子化合物は配向膜として用いたポリイミドの一部が光劣化したものであり、液晶分子の配向を乱して表示品質に異常が発生する場合と、初期的な表示品質には変化が見られないが高温高湿放置試験、高温放置/動作試験等の信頼性試験後に表示品質に異常が発生する場合がある。
液晶分子及びポリイミドの吸収波長領域はその分子構造により変化し、特にその分子中に屈折率を大きくするような分子構造または官能基が存在すると、吸収波長領域が長波長側に移動(レッドシフト)し、屈折率を小さくする分子構造または官能基が存在すると、短波長側に移動(ブルーシフト)することが知られている。また液晶分子及びポリイミドは吸収を持たない波長領域においては励起されず、したがって分解することはない。吸収波長領域の最も長波長側で吸光度が0となる波長を吸収端という。液晶化合物の吸収端の波長位置を示す例を図1に示した。吸収端より長波長領域では光は吸収されないので、液晶分子及びポリイミドは分解されることはない。
そこで、液晶組成物及びポリイミドの吸収端と屈折率の関係を調べることにより、それぞれの有害波長領域が特定できる。液晶組成物は複屈折性を示すことから、屈折率の代りに複屈折(液晶分子軸方向の屈折率からその垂直方向の屈折率を引いた値)を用いた。紫外−可視分光器を用いて、複屈折が0.06から0.22の間にある複数の市販液晶組成物の吸光度を測定した。まず、光路長が0.2mmの石英製の吸収セルに液晶組成物を満たして紫外−可視分光器にセットして、波長−吸光度曲線を測定した。液晶組成物の吸収端は吸光度が2.0、即ち液晶層の厚みが1μmのときに吸光度が0.01となる波長とした。このようにして得られた液晶組成物の複屈折をx軸、及び吸収端をy軸としてプロットして図2を得た。この図から、右上がりの直線y=630x+280が得られた。液晶組成物はこの直線(吸収端)より上方の(長い)波長領域の光は吸収しないため分解されることはない
また、種々の市販の配向剤を石英基板上にスピンナーを用いて塗布し、それぞれの配向剤の推奨条件で焼成した。ポリイミド配向膜の膜厚と屈折率を測定後、紫外−可視分光器にセットして、波長−吸光度曲線を測定した。ポリイミドの吸収端は液晶と同様に、ポリイミド膜の厚みが1μmのときに吸光度が0.01となる波長とした。その結果、ポリイミドの吸収端の屈折率依存性は小さく、吸収端は最も長波長な材料で330nm以下であった。
以上の結果から、630Δn+280が330と等しくなるΔnの値は0.08となり、除去する紫外線の波長領域はΔnが0.08未満のときには330nm以下、Δnが0.08以上のときには630×Δn+280nm以下となる。
本発明で用いる封止剤組成物は主剤であるラジカル重合型光硬化樹脂、光重合開始剤、充填剤、カップリング剤、光増感剤等からなる。主剤のラジカル重合型光硬化樹脂としてはアクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリエン/ポリチオール系樹脂等が用いられ、アクリルまたメタクリル系樹脂としては2−ヒドロキシエチルアクリレート/メタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート/メタクリレート、ベンジルアクリレート/メタクリレート等のモノマー、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の変性オリゴマーなどが用いられる。アクリルまたはメタクリル系樹脂の高分子形成反応は連鎖重合であり、重合度はモノマーの反応率に関係なく一定である。ポリエン/ポリチオール系樹脂では、ポリエン化合物としてトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアリルエーテル等、ポリチオール化合物としてジグリコールジメルカプタン、チオグリコールジメルカプタン等が用いられる。ポリエン/ポリチオール系樹脂の高分子形成反応は重付加であり、重合度は反応率が100%に近づくと急激に増大する。
光重合開始剤が存在しない封止剤組成物に紫外線を照射しても重合は起こらないため、封止剤を硬化させるには光重合開始剤を用いなければならない。光重合開始剤に特定の紫外線を照射すると光分解してラジカルを発生し、このラジカルが主剤と反応することにより、重合反応が進行して封止剤が硬化する。光重合開始剤としては300nmから380nmの波長領域に(n−π*)励起吸収帯を有し、高い光収率でラジカルに分解するケトン化合物、例えば、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、チオキサントン、アントラキノン等が用いられる。光重合開始剤の添加量は主剤100重量部に対して0.1から5重量部が好ましい。0.1重量部以下では発生するラジカルが少なく、また酸素阻害または基板表面との反応に消費されて、重合反が充分進行しない。5重量部以上ではラジカル発生量が多すぎ、重合度が低くなり、またラジカル同士の再結合等の副反応が起こって必要とされる特性が出ない。
充填剤には応力緩和剤、可塑剤、無機質微粒子がある。応力緩和剤にはポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合体等の液状ゴム類があり、重合物の内部応力を緩和する目的で添加される。可塑剤にはポリサルファイドチオール、ウレタンプレポリマー、ポリプロピレングリコール等があり、可とう性向上の目的で添加される。無機質微粒子としてはシリカ、アルミナ、タルク等が塗布性の向上、応力緩和、機械強度向上の目的で添加される。充填剤の添加量は主剤100重量部に対して0.1から10重量部が好ましい。0.1重量部以下では少なすぎて添加剤の効果がでない。10重量部以上では多すぎるため主剤のもつ特性を損なう場合がある。
カップリング剤は接着表面との密着性を向上させるために添加され、例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が用いられる。カップリング剤の添加量は主剤100重量部に対して0.1から10重量部が好ましい。
光増感剤は光重合開始剤の吸収波長領域よりさらに長波長側に吸収波長領域を持つ化合物であり、光重合開始剤が吸収しない長波長の光で光重合を行なおうとする場合に、この波長領域の光で励起し、その励起エネルギーを光重合開始剤に与えてラジカルを発生させる化合物である。光重合開始剤の吸収端は長いものでも380nm程度であり、これより長波長の光でラジカルを発生させるためには光増感剤が必要となる。光増感剤は光触媒作用を行い、光重合開始剤のように分解してラジカルを発生することはない。光増感剤としては、アクリジン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー、ピレン、フルオレセン、ローダミンB、エオシン、アントラセン、ローズベンガル、ペリレン、アズレン、ホスフィンR、ベンゾフラビン、セトフラビンT等の有機色素またはその類似化合物が用いられる。光増感剤は複屈折が大きく液晶組成物の吸収端が光重合開始剤の吸収端より長い場合に特に有効である。封止剤組成物に液晶組成物の吸収端より長い波長領域に吸収帯を有する光増感剤を添加し、液晶組成物の吸収端より短波長の光をカットフィルターで除去した光線を照射することにより、高複屈折液晶組成物の分解を防止しながら封止剤を重合することができる。
カットフィルターに要求される特性としては、特定波長(カット波長)以下の光をできるだけ遮断し、これより長波長の光をできるだけ透過させること、即ちフィルターの光透過率曲線の急峻性が良好で、且つ、光透過領域の光透過率が高いことである。ここで、急峻性は、図3に示すように、遮断領域の光透過率を0%、透過領域の光透過率を100%としたとき、(光透過率80%に対する波長)÷(光透過率10%に対する波長)により表され、1に近いほど良好である。
また、カット波長は液晶組成物、ポリイミド配向膜及び光硬化剤の吸収端の位置関係から決まり、液晶組成物またはポリイミド配向膜の吸収端となる。それぞれ吸収端とカット波長の関係を図4に示した。図4において、
(1ゾ−ン)では光硬化剤の吸収端>ポリイミド配向膜の吸収端>液晶組成物の吸収端の関係にあり、カット波長はポリイミド配向膜の吸収端の330nmで一定となる。
(2ゾーン)では光硬化剤の吸収端>液晶組成物の吸収端>ポリイミド配向膜の関係にあり、カット波長は液晶組成物の吸収端の630×Δn+280nmとなる。
(3ゾーン)では液晶組成物の吸収端>光硬化剤の吸収端>ポリイミド配向膜関係にあり、カット波長は2ゾーンと同様に液晶組成物の吸収端の630×Δn+280nmとなるが、液晶組成物の吸収端が光硬化剤の吸収端より長いため封止剤は硬化しない。そこで、液晶組成物の吸収端より長い波長領域に吸収を有する光増感剤を添加する必要がある。
また、フィルターのカット波長(吸収端)における光透過率は10%以下であることが好ましく、さらに光透過率が5%以下であることがより好ましい。
本発明で用いるフィルターの急峻性は1.3以下であることが好ましい。急峻性が1.3以上では、カットした波長の長波長側近傍に封止剤硬化に有効な光源の発光ピーク存在する場合には、光透過率曲線の傾斜部で透過率が低下して必要とする照射光量を得るまでの光源照射時間を伸ばすか、または出力の大きな光源に替えなければならない。
本発明で用いるフィルターとしては、光吸収フィルターまたは多層蒸着膜から成る光干渉フィルターがある。特に、光干渉フィルターは急峻性が良好で、光透過率が高く、また任意の波長でカットしたフィルターを作ることが可能であるため有効である。このようにして、液晶組成物及びポリイミド配向膜吸収端に合わせて、有害波長光を除去した適正なカットフィルターを選択することができる。
(実施例1)
ITOからなる透明電極を形成した2枚のガラス基板上に、スピンナーを用いて日産化学(株)製の液晶配向膜用のポリアミック酸/ポリイミド溶液RN−7492を塗布し、210℃で1時間焼成して膜厚60nmのポリイミド塗膜を形成した。この塗膜をレーヨンを巻き付けたラビングマシンを用いてラビング処理した。次に、一枚の基板のラビング処理した側の外周に直径3μmのSiO2球を分散させた三井化学(株)製の熱硬化型エポキシ接着剤ストラクトボンドXN−21Sを液晶注入口を除いた部分にスクリーン印刷し、オーブンを用いて80℃で20分間プレベークした。もう一枚のラビング処理した基板とポリイミド膜面が対峙するように、さらにラビング方向が90°となるように重ね合わせて圧着し、オーブンを用いて150℃で90分間焼成して接着剤を硬化させた。次に、真空注入法を用いて、液晶注入口より複屈折が0.060のメルク(株)製のTN用液晶組成物MLC−6816を注入し、注入口周辺の液晶組成物を拭き取り、注入口に(株)スリーボンド製のメタクリル系封止剤組成物3026(硬化波長領域は200から380nm)を塗布した。
封止剤組成物の硬化は図5に示した紫外・可視光源、光干渉フィルター、及び液晶表示素子の構成で行った。紫外・可視光源としては、ウシオ電気(株)製の500W高圧水銀灯を用いた。複屈折が0.060の液晶組成物の光吸収端は前記の計算式を用いて計算すると318nmとなる。また、RN−7492の光吸収端は330nmである。従って、330nmにおける光透過光が5%以下の光干渉フィルターとして、(株)保谷硝子製のUV−36(透過率87%、急峻性1.09)を使用した。紫外線の露光量は中心波長が365nmでの測定値が3000mJ/cm2とした。紫外線照射後の封止剤は表面にべたつきがなく完全に硬化できた。このようにして作成した液晶表示素子の平面図を図6に示した。
上記の液晶表示素子に対して、点灯試験を行った結果、表示品質に異常は認められなかった。また、液晶表示素子中のイオン性物質の量を推定するためにイオン密度測定を行った。イオン密度測定には東陽テクニカ製の液晶セルイオン密度測定装置MTR−1型を使用した。温度が25℃において、電圧範囲が−10Vから+10V、周波数が10V/0.1Hzの三角波を用いて液晶表示素子のイオン密度測定した結果、430pC/cm2の値が得られた。また、ポリイミド配向膜の光劣化を観察するために高温高湿放置試験を行った。温度60℃で湿度90%の高温高湿槽中に液晶表示素子を500時間放置後、点灯試験を行った結果、表示品質に異常は認められなかった。
(比較例1)
封止剤の硬化を318nmにおける光透過光が5%以下の光干渉フィルターとして、(株)保谷硝子製のUV−34(透過率89%、急峻性1.11)を使用したこと以外は実施例1と同様にして液晶表示素子を作製した。紫外線照射後の封止剤は表面にべたつきがなく完全に硬化できた。この液晶表示素子に対して、点灯試験を行った結果、表示品質に異常は認められなかった。また、イオン密度を測定した結果、900pC/cm2の値が得られた。また、高温高湿放置後に点灯試験を行った結果、注入口側に表示異常が見られた。
(比較例2)
封止剤の硬化時にフィルターを使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして液晶表示素子を作製した。紫外線照射後の封止剤は表面にべたつきがなく完全に硬化できた。この液晶表示素子に対して、点灯試験を行った結果、封止口側に表示異常が見られた。また、イオン密度を測定した結果、2600pC/cm2の値が得られた。また、高温高湿放置後に点灯試験を行った結果、注入口側の表示異常範囲が拡大した。
(実施例2)
液晶組成物としてメルク(株)製のTN用液晶組成物ZLI−3502 (複屈折0.1145、光吸収端371nm)、波長370nmにおける光透過光が5%以下の光干渉フィルターとして、 (株)保谷硝子製のL−38(透過率90%、急峻性1.10)を使用したこと以外は実施例1と同様にして液晶表示素子を作製した。紫外線照射後の封止剤は表面にべたつきがなく完全に硬化できた。この液晶表示素子に対して、点灯試験を行った結果、表示品質に異常は認められなかった。また、イオン密度を測定した結果、450pC/cm2の値が得られた。また、高温高湿放置後に点灯試験を行った結果、表示特性に異常は認められなかった。
(比較例3)
封止剤の硬化時にフィルターを使用しなかったこと以外は実施例2と同様にして液晶表示素子を作製した。紫外線照射後の封止剤は表面にべたつきがなく完全に硬化できた。この液晶表示素子に対して、点灯試験を行った結果、封止口側に表示異常が見られた。また、イオン密度を測定した結果、3700pC/cm2の値が得られた。また、高温高湿放置後に点灯試験を行った結果、液晶表示素子の注入口側の表示異常拡大した。
(実施例3)
液晶組成物としてメルク(株)製のTN用液晶組成物MLC−6621−000(複屈折0.208、光吸収端411nm)を使用し、波長410nmにおける光透過光が5%以下の光干渉フィルターとして、(株)保谷硝子製のL−42(透過率90%、急峻性1.03)使用し、光増感剤として460nmに吸収ピークを持つベンゾフラビンを0.5%添加したこと以外は実施例1と同様にして液晶表示素子を作製した。紫外線照射後の封止剤は表面にべたつきがなく完全に硬化できた。この液晶表示素子に対して、点灯試験を行った結果、表示品質に異常は認められなかった。また、イオン密度を測定した結果、330pC/cm2の値が得られた。また、高温高湿放置後に点灯試験を行った結果、表示特性に異常は認められなかった。
(比較例4)
光増感剤を添加しなかったこと以外は実施例3と同様にして液晶表示素子を作製した。紫外線照射後の封止剤は全体的に柔らかく未硬化状態であった。この液晶表示素子に対して、点灯試験を行った結果、注入口周辺に表示異常が見られた。また、イオン密度を測定した結果、750pC/cm2の値が得られた。また、高温高湿放置後に点灯試験を行った結果、液晶表示素子の注入口周辺の表示異常が拡大した。
(比較例5)
光増感剤を添加しなかったこと、封止剤の硬化時にフィルターを使用しなかったこと以外は実施例3と同様にして液晶表示素子を作製した。紫外線照射後の封止剤は表面にべたつきがなく完全に硬化できた。この液晶表示素子に対して、点灯試験を行った結果、注入口側に表示異常が見られた。また、イオン密度を測定した結果、7300pC/cm2の値が得られた。また、高温高湿放置後に点灯試験を行った結果、液晶表示素子の注入口側の表示異常が拡大した。
(比較例6)
封止剤の硬化を330nmにおける光透過光が5%以下のフィルターとして、紫外線吸収剤をスピンコートした硝子基板(透過率88%、急峻性1.4)を使用し、紫外線の露光時間を等しくしたこと以外は実施例1と同様にして液晶表示素子を作製した。紫外線照射後の封止剤は表面にべたつきがあり未硬化状態であった。この液晶表示素子に対して、点灯試験を行った結果、注入口周辺に表示異常が見られた。
実施例1においては、吸収端の位置関係は光硬化剤の吸収端(380nm)>ポリイミドの吸収端(330nm)>液晶組成物の吸収端(318nm)の順序であり、図4の1ゾーンに属する実施例である。カット波長をポリイミドの吸収端の330nmとすることにより、ポリイミドの光劣化を防止できた。比較例1ではカット波長を液晶の吸収端の300nmとしたことにより、ポリイミドの光劣化が起こってイオン密度が増加し、高温高湿試験で表示異常が発生した。比較例2ではカットフィルターを使用していないため、液晶組成物及びポリイミドが光分解または光劣化して、イオン密度が非常に増加し、初期点灯で表示異常が発生した。この結果より、1ゾーンに属する封止剤硬化工程においてはカットフィルターの波長はポリイミドの吸収端に合わせることにより、液晶組成物及びポリイミドにダメージを与えない良好な封止ができる。
実施例2においては、吸収端の位置関係は光硬化剤の吸収端(380nm)>液晶組成物の吸収端(370nm)>ポリイミドの吸収端(330nm)の順序であり、図4の2ゾーンに属する実施例である。カット波長を液晶組成物の吸収端の370nmとすることにより、液晶組成物及びポリイミドの光劣化を防止できた。比較例3ではカットフィルターを使用していないため、液晶組成物及びポリイミドが光分解または光劣化して、イオン密度が非常に増加し、初期点灯で表示異常が発生した。この結果より、2ゾーンに属する封止剤硬化工程においてはカットフィルターの波長は液晶組成物の吸収端に合わせることにより、液晶組成物及びポリイミドにダメージを与えない良好な封止ができる。
実施例3においては、吸収端の位置関係は液晶組成物の吸収端(411nm)>光硬化剤の吸収端(380nm)>ポリイミドの吸収端(330nm)の順序であり、図4の3ゾーンに属する実施例である。カット波長を液晶組成物の吸収端の410nmとし、封止剤組成物に光増感剤として液晶組成物の吸収端より長い460nmに吸収ピークを持つベンゾフラビンを添加することにより、封止剤を完全に硬化し、液晶組成物及びポリイミドの光劣化を防止できた。比較例4では封止剤組成物に光増感剤を添加しなかった。封止剤が未硬化なために封止剤組成物中のイオン性不純物及び低分子成分または不純物が液晶組成物に溶出してイオン密度が増加し、注入口周辺に表示異常が発生した。比較例5ではカットフィルターを使用していないため、光増感剤は添加していないが、封止剤は完全に硬化した。液晶組成物及びポリイミドは光分解または光劣化して、イオン密度が非常に増加し、初期点灯で表示異常が発生した。この結果より、3ゾーンに属する封止剤硬化工程においてはカットフィルターの波長は液晶組成物の吸収端に合わせ、光増感剤を添加することにより、液晶組成物及びポリイミドにダメージを与えない良好な封止ができる。
比較例6においては急峻性が1.4のフィルターを用いたことにより、通常の紫外線照射時間では光量が足りないため未硬化であった。紫外線ランプの出力と照射時間を大幅に変化させることなく、封止剤を完全に硬化させるにはフィルターの急峻性は1.3以下が望ましい。
一般的な液晶組成物の吸収端を示すグラフ。 本発明の液晶組成物の複屈折と紫外・可視光吸収端の関係を示すグラフ。 一般的なカットフィルターの透過率曲線を示すグラフ。 本発明の液晶組成物、ポリイミド配向膜、光開始剤の吸収端の位置関係を示すグラフ。 実施例における紫外・可視光源、光干渉フィルター、及び液晶表示素子の構成を示す図。 実施例の液晶表示素子を示す平面模式図。
符号の説明
1…ガラス基板、2…シール剤、3…封止剤、4…液晶層、5…透明電極、6…短波長をカットした紫外・可視光、7…光干渉フィルター、8…紫外・可視光光源。

Claims (6)

  1. シール剤によって対向して貼り合わされた一対の基板間に注入口を介して液晶組成物を注入する工程と、
    前記注入口に紫外線硬化型の封止剤を形成する工程と、
    前記液晶組成物の複屈折Δnの値によって規定される所定の波長領域の光線を除去した紫外線を前記封止剤に照射して硬化させる工程と、
    を有することを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  2. 前記液晶組成物の複屈折Δnの値によって規定される所定の波長領域の光線は、Δnが0.08未満のときには330nm以下の波長領域の光線であり、Δnが0.08以上のときには630×Δn+280nm以下の波長領域の光線であり、該波長領域の光線を除去した紫外線を前記封止剤に照射して硬化させることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
  3. 前記紫外線硬化型の前記封止剤には、光増感剤が添加されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示素子の製造方法。
  4. 前記液晶組成物の複屈折Δnの値によって規定される所定の波長領域の光線を除去した紫外線を照射して前記封止剤を硬化させる工程は、紫外線照射光源からの光をフィルターを介して前記封止剤に照射するものであって、前記フィルターによって所定の波長領域の光線を除去することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の液晶表示素子の製造方法。
  5. 前記フィルターの光透過率曲線の急峻性が1.3以下であること特徴とする請求4に記載の液晶表示素子の製造方法。
  6. 前記フィルターが光干渉フィルターであること特徴とする請求4または5に記載の液晶表示素子の製造方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103748507A (zh) * 2011-08-25 2014-04-23 夏普株式会社 液晶显示装置的制造方法

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