JP2007071969A - 電子写真感光体及びその製造方法、プロセスカートリッジ並びに電子写真装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ジフェニルカーボネートを用いエステル交換法にて製造されたポリカーボネート樹脂を電子写真感光体の表面層の結着樹脂として用いても、ゴーストが発生するという問題がなく、十分な電子写真特性が得られる電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供する。
【解決手段】 下記式(A)
【化1】
Figure 2007071969

(式(A)中、各Arは、それぞれ独立に、置換又は無置換のアリール基を示す。)
で示す化合物を用いてポリカーボネート樹脂を合成する工程と、
前記ポリカーボネート樹脂を有する表面層を備えた電子写真感光体を形成する工程と、
を有する電子写真感光体の製造方法であって、
前記表面層中のフェノール性水酸基を有する化合物の量が、625ppm以下であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真感光体及びその製造方法、プロセスカートリッジ、並びに電子写真装置に係り、詳しくは、ポリカーボネート樹脂を含有する表面層からなる電子写真感光体及びその製造方法、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ並びに電子写真装置に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性等の機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性等にも優れることから、エンジニアリングプラスチックとして多くの分野に広く使用されている。特に、透明性に優れていることから光学材料としての用途も多い。例えば、光学材料として各種プラスチックレンズ、プリズム、光ディスク基板などに利用されている。特に、電子写真感光体における結着樹脂として電子写真特性や耐磨耗性などに優れた材料として用いられてきた(特許文献1参照)。
ポリカーボネート樹脂は、原料としてジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステル又はホスゲンなどの炭酸結合を導入し得る化合物とを用いて製造されるもので、制御された末端水酸基濃度と残存モノマー量とを有する樹脂である。ポリカーボネートの製造法としては、ホスゲンを用いる界面重縮合法、又は炭酸ジエステルを用いるエステル交換法等が挙げられる(特許文献2)。
上述の通り、ポリカーボネート樹脂は、電子写真感光体において、例えば結着樹脂として、優れた電子写真特性や耐摩耗性を発揮させることを目的として、例えば、その表面層に用いられる。このようなポリカーボネート樹脂のうち、ジフェニルカーボネートを用いたエステル交換法で得たポリカーボネート樹脂を、電子写真感光体の表面層に含有させた場合、ゴーストが発生し、電子写真特性に悪影響を及ぼすという問題がある。
特開2004−075799号公報 特開2004−115609号公報
そこで、本発明は、ジフェニルカーボネートを用いエステル交換法にて製造されたポリカーボネート樹脂を電子写真感光体の表面層の結着樹脂として用いても、ゴーストが発生するという問題がなく、十分な電子写真特性が得られる電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することを目的とする。
本発明による電子写真感光体の製造方法は、
下記式(A)
Figure 2007071969
(式(A)中、各Arは、それぞれ独立に、置換又は無置換のアリール基を示す。)
で示す化合物を用いてポリカーボネート樹脂を合成する工程と、
前記ポリカーボネート樹脂を有する表面層を備えた電子写真感光体を形成する工程と、
を有する電子写真感光体の製造方法であって、
前記表面層中のフェノール性水酸基を有する化合物の量が、625ppm以下であることを特徴とする。
また、本発明による電子写真感光体は、
下記式(A)
Figure 2007071969
(式(A)中、各Arは、それぞれ独立に、置換又は無置換のアリール基を示す。)
で示す化合物を用いたエステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂を少なくとも含有する表面層を有する電子写真感光体であって、前記表面層中のフェノール性水酸基を有する化合物の量が625ppm以下であることを特徴とする。
さらに、本発明は、上述の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供する。
本発明によれば、ジフェニルカーボネートなどの上記式(A)で示す化合物を用いエステル交換法にて製造されたポリカーボネート樹脂を電子写真感光体の表面層の結着樹脂として用いても、ゴーストが発生するという問題がなく、十分な電子写真特性が得られる電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができる。
ポリカーボネート樹脂は、原料としてジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル又はホスゲンなどの炭酸結合を導入し得る化合物を用いて製造されたポリカーボネート樹脂の中、制御された末端水酸基濃度と残存モノマー量とを有する樹脂である。ポリカーボネートの製造法としては、ホスゲンを用いる界面重縮合法、又は炭酸ジエステルを用いるエステル交換法等が代表的な方法である。
ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、塩基性化合物触媒及び/又はエステル交換触媒の存在下で、1種以上のジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを反応させる公知のエステル交換法が好適に用いられる。
しかしながら、ジフェニルカーボネートなどの上記式(A)で示す化合物を用いたエステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂を有する表面層からなる電子写真感光体では、上述の通り、ゴーストが発生するという問題があった。この不具合の原因を鋭意検討した結果、表面層中のフェノール性水酸基を有する化合物(以下、フェノール性化合物と称する。)、特にフェノールが影響を及ぼすことがわかった。特に、表面層中に、ジフェニルカーボネートを用いたエステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂のジフェニルカーボネート由来の残留フェノールが影響することがわかった。さらに表面層中のフェノール性化合物の量が625ppm以下であれば、ゴーストの問題が発生しない電子写真感光体を提供できることがわかった。
本発明によるポリカーボネート樹脂は、塩基性化合物触媒及び/又はエステル交換触媒の存在下で、1種類以上のジヒドロキシ化合物と、上記式(A)で示す化合物とを反応させるエステル交換法で合成される。この合成で用いられるジヒドロキシ化合物は、フェノール性やアルコール性を問わず、分子内に2つの水酸基を有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。
Figure 2007071969
Figure 2007071969
Figure 2007071969
Figure 2007071969
本発明によるポリカーボネート樹脂の製造に用いるジヒドロキシ化合物としては、下記式(2)に示される化合物が好ましく、例として、表3の化合物番号15で示す化合物などが挙げられる。また、本発明におけるジヒドロキシ化合物は、下記式(3)で示される化合物であってもよい。さらに、上述の式(2)と(3)とを原料としてもよい。
Figure 2007071969
(式(2)中、各Rは、それぞれ独立に、炭素数2〜10のアルキレン基、炭素数6〜20のシクロアルキレン基、又は炭素数6〜20のアリーレン基を示し、R11〜R14は、それぞれ独立して水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。)
Figure 2007071969
(式(3)中、Xは、炭素数2〜10の置換若しくは無置換のアルキレン基、炭素数5〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、又は下記式(4)
Figure 2007071969
で示される連結構造を示す。)
本発明に使用される上述の式(2)のジヒドロキシ化合物としては、具体的には、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等が例示される。
また、本発明に使用される上述の式(3)のジヒドロキシ化合物としては、具体的には、トリシクロデカン[5.2.1.02,6]ジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、デカリン−2,6−ジメタノール、デカリン−1,5−ジメタノール、ノルボルナンジメタノール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、スピログリコール等が例示される。また、1,4,3,6−ソルビドが例示される。
上記式(A)で示す化合物としては、置換又は無置換のアリール基であればよく、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート等が挙げられ、特にジフェニルカーボネートが好ましい。
ジフェニルカーボネートなどの上記式(A)で示す化合物は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して0.97〜1.10モルの比率で用いられることが好ましく、更に好ましくは0.98〜1.05モルの比率である。
塩基性化合物触媒としては、特にアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及び/又は含窒素化合物等があげられる。
このような化合物としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属化合物等の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物並びにアルコキシドが用いられ、含窒素化合物としては、4級アンモニウムヒドロキシド及びそれらの塩、並びにアミン類等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独又は組み合わせて用いてもよい。
アルカリ金属化合物としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩若しくは2リチウム塩、又はフェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩若しくはリチウム塩等が用いられる。
アルカリ土類金属化合物としては、具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が用いられる。
含窒素化合物としては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類;トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類;ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類;プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類;又はアンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩;等が用いられる。
エステル交換触媒としては、亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛の塩が好ましく用いられ、これらは単独又は組み合わせて用いてもよい。
エステル交換触媒としては、具体的には、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド、酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)等が用いられる。
これらの重合触媒は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、1×10−9〜1×10−3モルの比率で、好ましくは1×10−7〜1×10−3モルの比率で用いられる。
本発明によるエステル交換法は溶融重縮合法とも呼ばれ、上述の原料及び重合触媒を用いて、加熱下で、常圧又は減圧下にエステル交換反応により副生成物を除去しながら溶融重縮合を行うものである。反応は、一般には二段以上の多段工程で実施される。
具体的には、第一段目の反応を120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間反応させる。次いで、反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には1mmHg以下の減圧下、200〜350℃の温度で重縮合反応を行う。合計の反応時間(滞留時間)は、好ましくは1〜10時間である。このような反応は、連続式で行ってもよく、またバッチ式で行ってもよい。上記の反応を行うに際して用いられる反応装置は、錨型攪拌翼、マックスブレンド攪拌翼、ヘリカルリボン型攪拌翼等を装備した縦型であっても、パドル翼、格子翼、メガネ翼等を装備した横型であってもスクリューを装備した押出機型であってもよく、また、これらを重合物の粘度を勘案して適宜組み合わせた反応装置を使用することが好適に実施される。
本発明によるポリカーボネート樹脂は、重合反応終了後、熱安定性と加水分解安定性とを保持するために、触媒を除去或いは失活させる。一般的には、公知の酸性物質の添加による触媒の失活を行う方法が好適に実施される。これらの物質としては、具体的には、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類;p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル等の芳香族スルホン酸エステル類;ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等の芳香族スルホン酸塩類;ステアリン酸クロライド、塩化ベンゾイル、p−トルエンスルホン酸クロライド等の有機ハロゲン化物;ジメチル硫酸等のアルキル硫酸;塩化ベンジル等の有機ハロゲン化物;等が好適に用いられる。
触媒失活後、ポリマー中の低沸点化合物を、0.1〜1mmHgの圧力、200〜350℃の温度で脱揮除去する工程を設けてもよく、このためには、パドル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新能の優れた攪拌翼を備えた横型装置又は薄膜蒸発器が好適に用いられる。
さらに本発明において、上述の熱安定化剤や加水分解安定剤の他に、酸化防止剤、顔料、染料、強化剤、充填剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、可塑剤、流動性改良剤、帯電防止剤、抗菌剤等を添加してもよい。
本発明によるポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(以下、Mwとも称する。)は、20,000〜200,000であることが好ましく、より好ましくは25,000〜100,000、更により好ましくは25,000〜55,000である。ポリスチレン換算重量平均分子量が高いほど耐磨耗性などの機械的強度に優れるが、ジフェニルカーボネートなどの上記式(A)で示す化合物由来のフェノール性化合物が残留しやすくなる。
また、本発明のジフェニルカーボネートなどの上記式(A)で示す化合物を用いたエステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂は、再沈精製して使用してもよい。再沈精製することにより、上記式(A)で示す化合物由来の残留フェノール性化合物を減量させることができる。このように再沈精製したポリカーボネート樹脂を有する表面層を備えた電子写真感光体は、本発明の効果をより顕著に奏する。
再沈精製する方法は、一般に樹脂を再沈精製する方法が用いられる。例えば、ポリカーボネート樹脂100gをテトラヒドロフラン2リットルに溶解し、メタノールを約24kg添加してポリカーボネート樹脂を沈殿させ、上澄み液をろ過し、樹脂を乾燥させる方法がある。再沈精製する際にはより少量ずつ処理する方が好ましい。上述の再沈精製は、単回で行ってもよく、繰り返し行ってもよい。
次に、本発明による電子写真感光体について説明する。
本発明による電子写真感光体は、導電性支持体上に、感光層として、電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層とをこの順に積層した構成若しくはこの電荷発生層と電荷輸送層とを逆に積層した構成(以下、積層型と称する。)又は電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一層中に分散した単層からなる構成(以下、単層型と称する。)のいずれの構成をとることも可能である。上述の積層型においては、電荷輸送層が二層以上の構成であってもよく、また、上述の単層型においては、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一層中に含有する感光層上に更に電荷輸送層を積層してもよい。さらに、本発明による電子写真感光体は、上述の積層構造上に保護層をさらに積層してもよい。
本発明よる電子写真感光体は、上述の通り構成されるが、いずれの構成を有する電子写真感光体においても、その最外層、つまり、表面層は、ジフェニルカーボネートを用いたエステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂を少なくとも含有する。表面層の結着樹脂中におけるジフェニルカーボネートを用いたエステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂の質量%は50wt%以上の場合が好ましい。
上述の支持体は、導電性を有するものであれば特に限定されないが、例えばアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属又はこれらの金属からなる合金をドラム状又はシート状に成形したもの;アルミニウム及び銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの;アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等をプラスチックフィルムに蒸着したもの;導電性物質を単独又は結着樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
本発明において、支持体と感光層との間に、バリアー機能と接着機能とを有する下引き層を設けてもよい。この下引き層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性の改良、又は感光層の電気的破壊に対する保護等を目的とするものであってもよい。
下引き層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン等が挙げられる。下引き層は、これらの材料をそれぞれに適した溶剤に溶解した溶液を支持体上に塗布し、乾燥することによって形成される。膜厚は、0.1〜2μmであることが好ましい。
(電荷発生層)
本発明による電子写真感光体を構成する例えば積層型の電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質と結着樹脂とからなる。電荷発生物質としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、各種の中心金属及び結晶系などが挙げられ、具体的には、例えば、α、β、γ、ε及びX型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及び特開昭54−143645号公報に開示のアモルファスシリコン等が挙げられる。
結着樹脂としては、電荷発生層が表面層の場合、ジフェニルカーボネートを用いたエステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂を用い、その他の結着樹脂と併用してもよい。その他の結着樹脂の例としては、例えばスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及びそれらの共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。電荷発生層が表面層でない場合には、電荷発生層を構成する結着樹脂は、特に限定されないが、例えば上述の結着樹脂の中から選択して用いてもよい。
電荷発生層は、上述の電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アドライダー及びロールミル等を用いた方法でよく分散し、得られた分散液を塗布し、乾燥することによって形成されるか、前記電荷発生物質の蒸着膜等、単独組成の膜として形成される。電荷発生層の膜厚は、5μm以下であることが好ましく、0.1〜2μmであることが特に好ましい。
(電荷輸送層)
本発明による電子写真感光体を構成する電荷輸送層は、主鎖又は側鎖にビフェニレン、アントラセン、ピレン及びフェナントレン等の構造を有する多環芳香族化合物;インドール、カルバゾール、オキサジアゾール及びピラゾリン等の含窒素環化合物;ヒドラゾン化合物;及びスチリル化合物;等の電荷輸送物質を結着樹脂に溶解した塗工液を塗布、乾燥することにより形成される。
上述の電荷輸送物質は、特に限定されないが、画像がつぶれて文字などが判別できない、所謂画像ボケという現象を防止することを目的として、酸化電位が高いものを用いてもよい。酸化電位として好適なのは、0.6V以上であり、0.7V以上であるが更に好ましい。
電荷発生層に用い得る結着樹脂としては、電荷輸送層が表面層の場合、ジフェニルカーボネートを用いたエステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂であり、その他の結着樹脂と併用されてもよい。その他の結着樹脂の例としては、例えばポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリカーボネート樹脂若しくはポリウレタン樹脂又はスチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー若しくはスチレン−マレイン酸コポリマー等の共重合体が挙げられる。また、このような絶縁性樹脂の他にポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルアントラセン樹脂やポリビニルピレン樹脂等の有機光導電性樹脂を使用してもよい。電荷輸送層が表面層でない場合には、種々の結着樹脂を用いてもよく、例えば、上述の結着樹脂を用いてもよい。電荷輸送物質と結着樹脂との配合割合は、結着樹脂10質量部当たり電荷輸送物質を4〜10質量部とすることが好ましく、特に6〜9質量部とすることが好ましい。電荷輸送層が表面層の場合には、結着樹脂中のジフェニルカーボネートを用いたエステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂の質量%は50%以上の場合において本発明の効果が顕著である。
電荷輸送層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、10〜30μmであることがさらに好ましい。
電荷輸送層にはフッ素原子含有樹脂を含有させてもよい。フッ素原子含有樹脂としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体、各分子鎖の片末端に重合性の官能基を有する分子量が1000〜10000程度の比較的低分子量のオリゴマーからなるマクロモノマーとフッ素系重合性モノマーとを共重合して得られるフッ素系グラフトポリマー等が挙げられる。
また、電荷輸送層は、種々の酸化防止剤を含有してもよく、例えば、プラスチック、ゴム、石油、油脂類等、酸化防止剤として公知の全ての材料が挙げられる。
感光層が単層型の場合、前記電荷発生物質及び電荷輸送物質を前記の結着樹脂に分散及び溶解した塗工液を塗布、乾燥することにより形成される。
その膜厚は5〜40μmであることが好ましく、10〜30μmであることがさらに好ましい。
(その他の層構造)
本発明による電子写真感光体は、感光層と導電性支持体との間に中間層を有してもよい。この中間層は、感光層と導電性支持体との接着性を高め、あるいは電荷のバリアー層として機能させることを目的とするものであってもよい。中間層としては、例えばエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂等の樹脂材料が使用可能である。
また、本発明による電子写真感光体は、導電性支持体と中間層との間に被覆層をさらに有していてもよく、この被覆層は、支持体のムラや欠陥の被覆、及びレーザー光を用いた画像入力の際に発生する散乱による干渉縞の防止を目的とするものであってもよい。被覆層は、隠蔽性を付与するため、膜表面に適度な粗さを付与するため、或いは抵抗を調節する等の目的のため、金属酸化物、金属粒子、カーボンブラック等を結着樹脂中に分散して形成されてもよい。
この膜厚は5〜40μm、特には10〜30μmが好ましい。
上述の各層の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、ビームコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法及びブレードコーティング法等が挙げられる。
導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレススチール、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、ニッケル、インジウム、金及び白金等を用いてもよい。また、こうした金属又は合金を真空蒸着法によって被膜形成したプラスチック(例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びアクリル樹脂等)や導電性粒子(例えばカーボンブラック及び銀粒子等)を適当な結着樹脂と共に上述のプラスチック、金属又は合金の支持体上に被覆した支持体又は導電性粒子をプラスチックや紙に含浸した支持体等を用いてもよい。
本発明による電子写真感光体を構成する支持体は、ドラム状、シート状及びベルト状等、種々の形状を用いることができるが、適用される電子写真装置等、使用状況に合わせて、種々変更してもよい。
本発明による電子写真感光体は、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置全般に適用し得るだけではなく、電子写真技術を応用した記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用し得るものである。
本発明者らが鋭意検討した結果、ジフェニルカーボネートなどの上記式(A)で示す化合物を用いたエステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂を含有する表面層中のフェノール性化合物(特に、フェノール)がゴーストに影響を及ぼすことを見出した。このフェノールの量が表面層中625ppm以下であれば、ゴーストの問題が発生しない電子写真感光体を提供できることがわかった。フェノールは極性物質であり電子トラップとなるため、ゴーストに悪影響を与えると考えられ、特に高湿下でより顕著である。また、フェノールは単独でよりも、結着樹脂との相互作用でより悪影響を及ぼす可能性がある。特に、表面層中にジフェニルカーボネートを用いたエステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂の構造により影響度合いが異なる。
電子写真感光体表面層中のフェノールなどのフェノール性化合物の量の測定は次のように行う。まず電子写真感光体表面層を約100mgカッター等で削り取る等により採取し、それを秤量する。また、表面層が可溶な溶剤で溶解し採取してもよい。この場合は溶剤の質量かあるいは電子写真感光体の質量をあらかじめ測定しておき、溶解後の質量変化量から表面層採取量を求める。採取した表面層を可溶な溶剤、例えばクロロホルム2ミリリットルに溶解し、不溶な溶剤メタノールを総質量が約10gとなるように添加してポリカーボネート樹脂を含んだ固形分を沈殿させ、上澄みをろ過する。上澄み液をGC/MSで分析する。上記式(A)で示す化合物に対応したフェノール性化合物(例えば、ジフェニルカーボネートを用いた場合には、フェノール)で検量線を作成しておき、表面層の質量とピーク面積から求められるフェノール性化合物の量から表面層中のフェノール性化合物濃度を求める。
本発明の電子写真感光体を用いた電子写真装置の具体例を図1に示す。この装置は、電子写真感光体1の周面上に一次帯電手段3、露光光4を発生させる像露光手段(図示せず)、前露光光10、現像手段5及び転写手段6が配置されている。2は感光体回転軸である。
この装置を用いた画像形成の方法は、まず、一次帯電手段3に電圧を印加し、電子写真感光体1表面を帯電し、像露光手段から発せられた露光光4によって原稿に対応した画像を電子写真感光体1表面に像露光し、静電潜像を形成する。次に、現像手段5中のトナーを電子写真感光体1表面に付着させることにより、電子写真感光体1上の静電潜像を現像(可視像化)する。更に、電子写真感光体1上に形成されたトナー像を、供給された紙などの転写材7上に転写手段6によって転写し、像転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて定着材料8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。転写材に転写されずに電子写真感光体1上に残った残トナーをクリーナー等で回収する。この残トナーは、近年研究されているクリーナーレスシステムを用いて、現像器で直接回収してもよい。更に、前露光手段(図示せず)からの前露光光10により除電処理がされた後、繰り返し画像形成に使用される。なお、前露光手段は必ずしも必要ではない。
この画像形成装置において、像露光手段の光源は、ハロゲン光、蛍光灯、レーザー光及びLEDなどを用いることができる。また、必要に応じて他の補助プロセスを加えてもよい。
本発明において、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、1又は複数の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に支持して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも1つを電子写真感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化し、装置本体に配置されたレール等の案内手段12を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11としてもよい。また、像露光手段は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光を用いた手段、又は信号化された原稿を、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等による照射光を用いた手段である。
以下、本発明に係る実施例を示す。なお、これらの実施例は、本発明を限定するものではなく、特記しない限り、部は、質量部を示す。
(実施例1)
<<ポリカーボネート樹脂(PR−1)の製造>>
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(化合物A)43.9g(0.100モル)、ペンタシクロペンタデカンジメタノール(化合物B)26.2g(0.100モル)、ジフェニルカーボネート43.7g(0.204モル)、および炭酸水素ナトリウム2.5×10−3g(3×10−5モル)を攪拌機及び留出装置付きの300mL四ッ口フラスコに入れ、窒素雰囲気760mmHgの下180℃に加熱し30分間攪拌した。
その後、減圧度を150mmHgに調整するとともに、60℃/hrの速度で200℃まで昇温を行い、20分間その温度に保持しエステル交換反応を行った。さらに、75℃/hrの速度で225℃まで昇温し、昇温終了の10分後、その温度で保持しながら、1時間かけて減圧度を1mmHg以下とした。その後、60℃/hrの速度で235℃まで昇温し、さらに1.5時間攪拌下で反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み常圧に戻し、生成したポリカーボネート樹脂(PR−1;ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)40000)を取り出した。
<<電子写真感光体の製造>>
まず、導電層用の塗料を以下の手順で調製した。10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部(質量部、以下同様)、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して塗料を調製した。この塗料をφ24mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布方法で塗布し、140℃で30分間乾燥して、膜厚15μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調製した。この塗料を前記の導電層上に浸漬コーティング法によって塗布し、100℃で20分間乾燥して、0.6μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部、下記式(5)で示される構造を有する化合物0.1部、
Figure 2007071969
ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部、並びにシクロヘキサノン250部を、φ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散し、その後、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗料とした。この塗料を上述の中間層の上に浸漬コーティング法で塗布して、100℃で15分間乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
ついで、下記式(6)の電荷輸送物質6部、
Figure 2007071969
上述のポリカーボネート樹脂(PR−1)10部をモノクロロベンゼン70部及びジメトキシメタン30部に溶解した電荷輸送層用塗料を電荷発生層上に塗布し、120℃25分間乾燥して15μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
<<電子写真感光体表面層中のフェノール性水酸基を有する化合物(ここでは、フェノール)量の測定>>
電子写真感光体表面層を約1gカッター等で削り取る等により採取し、その質量を測定する。採取した表面層をクロロホルム2.00mLに溶解し、メタノールを総質量が10gになるまで添加してポリカーボネート樹脂を含んだ固形分を沈殿させ、上澄みをろ過する。このろ過した上澄み液をGC/MSで分析する。予めフェノールで検量線を作成しておき、表面層の質量とピーク面積から求められるフェノールの量から表面層中のフェノール性水酸基を有する化合物、すなわちフェノール濃度を求めた。なお、GC/MSの測定条件は、以下の通りである。
・装置:サーモエレクトロン製 VoyagerGC/MSシステム
・GC
カラム:「SPB−20(30m)
昇温条件:80℃(10分ホールド)→150℃(10℃/分)→280℃(50℃/分)
・MS
モード:スプリットレス
注入量:10μL
検出:「SIMモード(m/z)=94」
注入口温度:25℃
<<ポリスチレン換算重量平均分子量(以下、Mwと称する。)>>
GPCを用い、クロロホルムを展開溶媒として、既知の分子量(分子量分布=1)の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。この検量線に基づいて、GPCのリテンションタイムから算出した。
<<電子写真感光体の評価>>
作製した電子写真感光体について、電子写真特性、画像(初期、耐久)を評価した。評価は、この電子写真感光体をHP製 LaserJet 1012 Printerに装着して行った。
まず、23℃、50%RH下、暗所に電子写真感光体を放置し、LaserJet 1012 Printer用カートリッジの現像器部を取り外し、代わりに電位測定プローブ(商品名:Model6000B、Trek社製)を現像位置(電子写真感光体表面から3mm離隔した位置)に設置したカートリッジに評価対象の電子写真感光体を取り付けた。このカートリッジをHP製 LaserJet 1012 Printerに装着し、初期の電子写真感光体特性[暗部電位Vd、明部電位Vl]を測定した。電位計は商品名:Model344、Trek社製を使用した。
次に、LaserJet 1012 Printer用カートリッジに該電子写真感光体を付け替えて、カートリッジをHP製 LaserJet 1012 Printerに装着し、図2に示すパターンで初期の画像を出力した。その後、1ドット99スペースの横線で連続通紙耐久試験を行い、通紙開始250〜255枚目、500〜505枚目、1000〜1005枚目、1500〜1505枚目及び2000〜2005枚目に図2に示すパターンで画像サンプリングを行い、ゴースト画像評価を行った。
画像のゴーストは、図2に示すパターンのベタ黒のパッチが電子写真感光体の次の周のハーフトーン上に周りよりも高濃度の画像として現れる。画像のゴーストレベルは、その時の周りの画像濃度との差により1.0〜10.0の10段階評価で行い、1.0が最もよく、10.0が最も悪いことを示す。ゴースト部分とその周りのハーフトーンの画像濃度差をdとし、図2の画像パターンに用いられるベタ黒パッチとハーフトーンの画像濃度差をDとした時、ゴーストレベルを次の計算式(1)に従って定める。
ゴーストレベル=d/D×9.0+1.0・・・(計算式1)
ゴーストレベルが5以下であれば、実使用上画像濃度差が問題にならないレベルである。250〜255枚目の各評価値の平均値を250枚目のゴースト画像評価とし、以下、500〜505枚目を500枚目の、1000〜1005枚目を1000枚目の、1500〜1505枚目を1500枚目の、及び2000〜2005枚目を2000枚目のゴースト画像評価とした。
さらに、上述の通り連続通紙耐久試験を行った電子写真感光体をHP製 LaserJet 1012 Printer、及びLaserJet 1012 Printer用カートリッジから取り外し、先のLaserJet 1012 Printer用カートリッジの現像器部を取り外し、代わりに電位測定プローブを取り付けたカートリッジに取り付けた。このカートリッジをHP製 LaserJet 1012 Printerに装着し、上述の電子写真感光体特性と同様に、通紙耐久試験後の電子写真感光体特性[暗部電位Vd、明部電位Vl]を測定した。これらの結果を表5に示す。
(実施例2乃至5)
実施例1の化合物A43.9g(0.100モル)及び化合物B26.2g(0.100モル)を表6のように変えてそれぞれ得たポリカーボネート(PR−2乃至PR−5;Mwは、それぞれ、55000、150000、100000、25000)を用いて実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、上述と同様に評価した。結果を表5に示す。
(実施例6及び7)
実施例1の電荷輸送物質6部をそれぞれ7.5部及び9部とした他は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、上述と同様に評価した。結果を表5に示す。
(実施例8)
実施例1のポリカーボネート樹脂(PR−1)10部を、ポリカーボネート樹脂(PR−1)5部及びポリカーボネート樹脂Z200(商品名Z−200、三菱瓦斯化学製; Mw46000)5部とした他は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、上述と同様に評価した。結果を表5に示す。
(実施例9)
実施例1の電荷輸送層のポリカーボネート樹脂(PR−1)10部を、ポリカーボネート樹脂Z200(商品名Z−200、三菱瓦斯化学製)10部に変更し、10μmの膜厚を有する第1電荷輸送層を形成させ、さらに下記式(6)の電荷輸送物質6部、
Figure 2007071969
及びポリカーボネート樹脂(PR−1)10部をモノクロロベンゼン70部及びジメトキシメタン30部に溶解した電荷輸送層用塗料を第1電荷輸送層上に塗布し、120℃25分間乾燥して5μmの第2電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た他は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、上述と同様に評価した。結果を表5に示す。
(実施例10)
実施例1の化合物A43.9g(0.100モル)及び化合物B26.2g(0.100モル)を表6のように変え、さらに再沈精製(ポリカーボネート樹脂50gをテトラヒドロフラン1リットルに溶解し、メタノールを約12kg添加してポリカーボネート樹脂を沈殿させ、上澄み液をろ過し、樹脂を乾燥させる工程)を6回行ったものをPR−6(Mw50000)とした他は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、上述と同様に評価した。結果を表5に示す。
(実施例11及び12)
実施例1の化合物A43.9g(0.100モル)及び化合物B26.2g(0.100モル)を表6のように変え、さらに再沈精製(ポリカーボネート樹脂50gをテトラヒドロフラン1リットルに溶解し、メタノールを約12kg添加してポリカーボネート樹脂を沈殿させ、上澄み液をろ過し、樹脂を乾燥させる工程)をそれぞれ4回、2回行ったものをそれぞれPR−7及びPR−8(Mwは、それぞれPR−6と同じ)とし、電荷輸送物質6部をそれぞれ7.5部、9部とした他は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、上述と同様に評価した。結果を表5に示す。
(実施例13)
実施例1のジフェニルカーボネート43.7g(0.204モル)の代わりにm−クレジルカーボネート46.6g(0.204モル)に代えて実施例1と同様に調製して得たポリカーボネート樹脂PR−9(Mw40000)を用い、電子写真感光体表面層中のフェノール性水酸基を有する化合物としてフェノールの代わりにm−クレゾールを用いて検量線を作成し、表面層の質量とピーク面積から求められるm−クレゾールの量から表面層中のフェノール性水酸基を有する化合物、すなわちm−クレゾール濃度を求めた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、上述と同様に評価した。結果を表5に示す。
(実施例14)
実施例1の電荷輸送層中の式(6)の電荷輸送物質6部を、式(6)の電荷輸送物質3部と下記式(7)の電荷輸送物質3部とに代えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、上述と同様に評価した。結果を表5に示す。
Figure 2007071969
(比較例1及び2)
実施例1の化合物A43.9g(0.100モル)及び化合物B26.2g(0.100モル)を表6のように変え、製造時昇温終了の10分後、その温度で保持しながら、1時間かけて減圧度を1mmHg以下にする工程を行わなかったものをそれぞれPR−10(Mw75000)及びPR−11(Mwは、PR−6と同じ)とした他は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表5に示す。
Figure 2007071969
Figure 2007071969
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを用いる電子写真装置の概略構成の例を示す図である。 ゴーストレベル評価用画像である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 一次帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着材料
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
301 電子写真感光体1周以内

Claims (14)

  1. 下記式(A)
    Figure 2007071969
    (式(A)中、各Arは、それぞれ独立に、置換又は無置換のアリール基を示す。)
    で示す化合物を用いてポリカーボネート樹脂を合成する工程と、
    前記ポリカーボネート樹脂を有する表面層を備えた電子写真感光体を形成する工程と、
    を有する電子写真感光体の製造方法であって、
    前記表面層中のフェノール性水酸基を有する化合物の量が、625ppm以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記のポリカーボネート樹脂を合成する工程で得たポリカーボネート樹脂を再沈精製する工程をさらに有する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記式(A)で示す化合物は、ジフェニルカーボネートである、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法により製造された電子写真感光体。
  5. 下記式(A)
    Figure 2007071969
    (式(A)中、各Arは、それぞれ独立に、置換又は無置換のアリール基を示す。)
    で示す化合物を用いたエステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂を少なくとも含有する表面層を有する電子写真感光体であって、前記表面層中のフェノール性水酸基を有する化合物の量が625ppm以下であることを特徴とする電子写真感光体。
  6. 前記式(A)で示す化合物は、ジフェニルカーボネートである、請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記表面層は、電荷輸送剤と結着樹脂とから少なくともなる電荷輸送層である、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記電荷輸送剤(D)と前記結着樹脂(B)との比D/Bは、6/10以上9/10以下である、請求項7に記載の電子写真感光体。
  9. 前記ポリカーボネート樹脂は、フルオレン骨格を有する繰り返し単位を少なくとも有するポリカーボネート樹脂である、請求項4乃至8のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  10. 前記ポリカーボネート樹脂は、下記式(1)
    Figure 2007071969
    (式(1)中、各Rは、それぞれ独立に、炭素数2〜10のアルキレン基、炭素数6〜20のシクロアルキレン基、または炭素数6〜20のアリーレン基を示し、
    11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。)
    で示される繰り返し単位を少なくとも有するポリカーボネート樹脂である、請求項4乃至9のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  11. 前記式(1)で示される繰り返し単位を少なくとも有するポリカーボネート樹脂が結着樹脂中に50wt%以上存在する、請求項10に記載の電子写真感光体。
  12. 前記ポリカーボネート樹脂は、再沈精製されたポリカーボネート樹脂である、請求項4乃至11のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  13. 請求項4乃至12のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、
    該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現像する現像手段、及び転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段と、
    を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  14. 請求項4乃至12のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、
    該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現像する現像手段、及び転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段と、
    を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする画像形成装置。
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