JP2007071700A - 静電容量型センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】製造中に発生するガスによる電極の電気抵抗上昇を抑えることができる静電容量型センサを提供すること。
【解決手段】ガラス基板11には、シリコンで構成された島状体12a,12bが埋設されている。ガラス基板11の主面11a上には、島状体12a,12bの一方の露出部分と電気的に接続するようにそれぞれ固定電極13、電極14が形成されている。ガラス基板11と電極14の間にはガス拡散防止層15が配置されている。ガラス基板11の主面11b上には、島状体12a,12bの他方の露出部分と電気的に接続するようにそれぞれ電極16a,16bが形成されている。ガラス基板11の主面11a上には、導電性可動部である感圧ダイヤフラム17aを有するシリコン基板17が接合されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電引力を用いて駆動する静電容量型センサに関する。
静電容量型センサの代表的な例としては、可動電極と固定電極との間の静電容量を検出する静電容量型圧力センサなどが挙げられる。静電容量型圧力センサは、可動電極である感圧ダイヤフラムを有するシリコン基板と、固定電極を有するガラス基板とを、感圧ダイヤフラムと固定電極との間に所定の間隔を有するように接合することにより構成されている。この静電容量型圧力センサにおいては、感圧ダイヤフラムに圧力が加わると感圧ダイヤフラムが変形し、これにより感圧ダイヤフラムと固定電極との間隔が変わる。この間隔の変化により感圧ダイヤフラムと固定電極との間の静電容量が変化し、この静電容量の変化を利用して圧力の変化を検出する。
このような静電容量型圧力センサにおいては、製造工程中に、ガラス基板と感圧ダイヤフラムとの間の密閉した空間内にガスが残留することがある。例えば、ガラス基板と感圧ダイヤフラムを有するシリコン基板とを陽極接合する場合、接合部で酸素を主体とするガスが発生し、そのガスが上記空間内に残留する。このようなガスはセンシング性能を低下させる原因となる。従来、このようなガスを吸着するために、基板と感圧ダイヤフラムとの間の密閉した空間とは別に、その空間とつながり、ゲッター材が置かれたゲッター室を設ける技術が提案されている(特許文献1)。
特開2004−245753号公報
静電容量型圧力センサの製造中には、ガラス基板と感圧ダイヤフラムとの間の密閉した空間内にガスが残留すると共に、ガラス基板上に形成された電極にガラス基板からガスが浸入する。これにより、電極が酸化して電極の電気抵抗が上昇し、センサ特性に影響を及ぼしてしまう。ゲッター室を有する上記静電容量型圧力センサは、密閉室周囲から密閉室内に流入してくるガスの捕捉には効果を発揮するが、ガラス基板から直接電極に侵入するガスによる電極酸化を防止することはできない。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、製造中に発生するガスによる電極の電気抵抗上昇を抑えることができる静電容量型センサを提供することを目的とする。
本発明の静電容量型センサは、相互に背向する一対の主面を有し、一方の前記主面上に固定電極を有するガラス基板と、前記ガラス基板と接合されており、前記固定電極と所定の間隔をおいて対向して配置された可動電極を有するシリコン基板と、前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の接合部に設けられ、前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の接合時に生じたガスの拡散を防止する第1のガス拡散防止層と、前記第1のガス拡散防止層上に設けられ、前記可動電極と導通する接続電極と、を具備することを特徴とする。
この構成によれば、第1のガス拡散防止層が存在していることにより、ガラス基板とシリコン基板との間の陽極接合の際に、ガラス基板から接続電極に向って拡散する酸素系ガスがバリアされて接続電極に到達しない。これにより、接続電極の酸化を防止することができ、接続電極の電気抵抗の上昇を防ぎ、センサ特性を維持することができる。
本発明の静電容量型センサにおいては、前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の接合時に生じたガスの拡散を防止する、第2のガス拡散防止層が、前記ガラス基板と前記固定電極との間に設けられていることが好ましい。この構成によれば、ガラス基板とシリコン基板との陽極接合において固定電極を接地する場合に固定電極の酸化を防止することができる。
本発明の静電容量型センサにおいては、前記第1のガス拡散防止層、もしくは、前記第1及び第2のガス拡散防止層は、TiN、Cr、Niなどの材料で構成されることが好ましい。
本発明の静電容量型センサは、相互に背向する一対の主面を有し、一方の前記主面上に固定電極を有するガラス基板と、前記ガラス基板と接合されており、前記固定電極と所定の間隔をおいて対向して配置された可動電極を有するシリコン基板と、前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の接合部に設けられ、前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の接合時に生じたガスを吸収する第1のガス吸収層と、前記第1のガス吸収層上に設けられ、前記可動電極と導通する接続電極と、を具備し、前記第1のガス吸収層は、前記接続電極と電気的に導通する導通部を有することを特徴とする。
この構成によれば、第1のガス吸収層が存在していることにより、ガラス基板とシリコン基板との間の陽極接合の際に、ガラス基板から接続電極に向って拡散する酸素系ガスが吸収されて接続電極に到達しない。これにより、接続電極の酸化を防止することができ、接続電極の電気抵抗の上昇を防ぎ、センサ特性を維持することができる。
本発明の静電容量型センサにおいては、前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の接合時に生じたガスの拡散を防止する、第2のガス吸収層が、前記ガラス基板と前記固定電極との間に設けられていることが好ましい。この構成によれば、ガラス基板とシリコン基板との陽極接合において固定電極を接地する場合に固定電極の酸化を防止することができる。
本発明の静電容量型センサにおいては、前記第1のガス吸収層、もしくは、前記第1及び第2のガス吸収層は、Ti、W、Alなどの材料で構成されることが好ましい。
本発明の静電容量型センサにおいては、前記固定電極及び前記接続電極は、前記ガラス基板の他方の主面上に形成された各電極と前記ガラス基板に埋め込まれた導電部材により電気的に接続されていることが好ましい。この構成によれば、外部への取り出し部となる電極を一つの面上に形成できるので、表面実装に適したデバイスとすることができる。
本発明の静電容量型センサにおいては、前記ガラス基板と前記シリコン基板とが陽極接合されていることが好ましい。
本発明によれば、ガラス基板とシリコン基板との間の接合部に設けられ、ガラス基板とシリコン基板との間の接合時に生じたガスの拡散を防止するガス拡散防止層、あるいは、ガラス基板とシリコン基板との間の接合部に設けられ、ガラス基板とシリコン基板との間の接合時に生じたガスを吸収するガス吸収層を設けるので、製造中に発生するガスによる電極の電気抵抗上昇を抑えることができる静電容量型センサを提供することができる。
本発明者らは、ガラス基板とシリコン基板の陽極接合の際に、ガラス基板からシリコン基板に向って拡散する酸素を主体とするガスに着目し、このガスを接続電極や固定電極に接触させないことにより、これらの電極の酸化を防止して電極の電気抵抗上昇を抑えることができることを見出し本発明をするに至った。
すなわち、本発明の骨子は、静電容量型センサにおいて、ガラス基板とシリコン基板との間の接合部に設けられ、ガラス基板とシリコン基板との間の接合時に生じたガスの拡散を防止するガス拡散防止層、あるいは、ガスを吸収するガス吸収層を設けることにより、製造中に発生するガスによる電極の電気抵抗上昇を抑えることである。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型センサの概略構成を示す断面図である。また、図2は、図1に示す静電容量型センサのA部を示す拡大図である。本実施の形態では、静電容量型センサが静電容量型圧力センサである場合について説明する。
図中11はガラス基板を示す。ガラス基板11は、相互に対向する一対の主面11a,11bを有する。ガラス基板11には、シリコンで構成された島状体(シリコン製部材:貫通電極)12a,12bが埋設されている。島状体12a,12bは、主面11a上に形成された電極と主面11b上に形成された電極とを電気的に接続する導電部材である。島状体12a,12bは、ガラス基板11の両主面でそれぞれ露出している。なお、この島状体12a,12bの形成については後述する。
ガラス基板11の主面11a上には、島状体12aの一方の露出部分と電気的に接続するように固定電極13が形成されている。島状体12bの一方の露出部分と電気的に接続するようにガス拡散防止層15を介して電極14が形成されている。ガラス基板11の主面11b上には、島状体12aの他方の露出部分と電気的に接続するように電極16aが形成されており、島状体12bの他方の露出部分と電気的に接続するように電極16bが形成されている。このように電極16a,16bが同一の主面11b上に設けられていることにより、外部機器への接続が容易となる。
ガラス基板11の主面11a上には、導電性可動部である感圧ダイヤフラム17a(可動電極)を有するシリコン基板17が接合されている。このシリコン基板17においては、導電性可動部として被測定圧力により可動する感圧ダイヤフラム17aが設けられている。また、シリコン基板17の下面には、後述するガラス基板11と接合する接合部17bが設けられている。
ガラス基板11とシリコン基板17とは、感圧ダイヤフラム17aが固定電極13と所定の間隔をおいて配置されるように位置合わせされた状態で接合部17bで接合される。また、ガラス基板11とシリコン基板17とは、固定電極13上にキャビティ18が形成されるように接合されている。
シリコン基板17における感圧ダイヤフラム17aは、シリコン基板17の両面からエッチングなどによりそれぞれ凹部を形成することにより設けられている。シリコン基板17のガラス基板接合面側の凹部は、少なくとも固定電極13を収容できる大きさを有しており、シリコン基板17をガラス基板11に接合することにより、上記キャビティ18を構成する。これにより、感圧ダイヤフラム17aと固定電極13との間に静電容量が発生する。
ガス拡散防止層15は、ガラス基板11とシリコン基板17との間の接合部17bに設けられ、ガラス基板11とシリコン基板17との間の接合時に生じた酸素を主体とするガス(酸素系ガス)の拡散を防止する。ガラス基板11とシリコン基板17とを陽極接合する際には、ガラス基板11側を相対的にマイナスとし、シリコン基板17側を相対的にプラスとする。このため、ガラス基板11から拡散する酸素系ガスがシリコン基板17側に拡散する。この酸素系ガスがガラス基板とシリコン基板との接合部近傍に存在する電極に達すると、電極を構成する材料を酸化する。この電極酸化は電気抵抗の上昇を引き起こしてセンサ特性に影響を及ぼす。ガス拡散防止層15は、このような陽極接合時に発生する酸素系ガスが電極に到達することを防止する層である。したがって、ガス拡散防止層15は、ガラス基板11とシリコン基板17との間の接合部近傍であって、電極が存在する部分に少なくとも設けることが好ましい。
本実施の形態においては、ガス拡散防止層15を電極14の下に設けて、電極14の酸化を防止する場合について説明しているが、ガス拡散防止層15を固定電極13の下に設けて、固定電極13の酸化を防止するようにしても良い。ガラス基板とシリコン基板を陽極接合する際に、感圧ダイヤフラムが固定電極に貼り付くことを防止するために、固定電極を接地することがある。このような場合に固定電極13の酸化を防止するために効果的である。
ガス拡散防止層15の厚さは、ガラス基板11とシリコン基板17との間の陽極接合の際に発生した酸素系ガスの電極14(及び/又は固定電極13)への到達を防止するために十分な厚さである。ガス拡散防止層15の材料としては、島状体12bと電極14との間(及び/又は島状体12aと固定電極13との間の)電気的導通が十分であり、しかも酸素系ガスの拡散を防止、すなわちガスが電極14や固定電極13に到達することを抑える材料であれば良く、例えばTiN、Cr、Niなどの材料であることが好ましい。ガス拡散防止層15は、通常のパターニング方法(フォトリソグラフィー及びエッチング)により形成することができる。
ガラス基板11と島状体12a,12bとの界面は、高い密着性を有することが好ましい。後述するように、これらの界面は、加熱下において島状体12a,12bをガラス基板11に押し込むことにより形成される。このような方法により得られた界面でも高い密着性を発揮できるが、島状体12a,12bをガラス基板11に押し込んだ後に、陽極接合処理を施すことにより、密着性をより高くすることができる。陽極接合処理とは、所定の温度(例えば400℃以下)で所定の電圧(例えば300V〜1kV)を印加することにより、シリコンとガラスとの間に大きな静電引力が発生して、界面で共有結合を起こさせる処理をいう。この界面での共有結合は、シリコンのSi原子とガラスに含まれるSi原子との間のSi−Si結合又はSi−O結合である。したがって、このSi−Si結合又はSi−O結合により、シリコンとガラスとが強固に接合して、両者間の界面で非常に高い密着性を発揮する。このような陽極接合を効率良く行うために、ガラス基板11のガラス材料としては、ナトリウムなどのアルカリ金属を含むガラス材料であることが好ましい。特に、400℃付近でシリコンと熱膨張係数がほぼ等しく、陽極接合後に内部応力を小さくできるパイレックス(登録商標)ガラスが好ましい。
これは、ガラス基板11の主面11aとシリコン基板17との間の界面においても同様である。すなわち、ガラス基板11の主面11a上にシリコン基板17を搭載して、陽極接合処理を施すことにより、密着性を高くすることができる。このようにガラス基板11と島状体12a,12bとの界面と、ガラス基板11とシリコン基板17との界面とで高い密着性を発揮することにより、感圧ダイヤフラム17aとガラス基板11の主面11aとの間で構成するキャビティ18内の気密性を高く保つことができる。
このような構成を有する静電容量型圧力センサにおいては、感圧ダイヤフラム17aとガラス基板11上の固定電極13との間に所定の静電容量を有する。この圧力センサに圧力がかかると、感圧ダイヤフラム17aが圧力に応じて可動する。これにより、感圧ダイヤフラム17aが変位する。このとき、感圧ダイヤフラム17aとガラス基板11上の固定電極13との間の静電容量が変化する。したがって、この静電容量をパラメータとして、その変化を圧力変化とすることができる。
この静電容量型圧力センサにおいては、ガラス基板11と電極14との間にガス拡散防止層15が介在しているので、ガラス基板11とシリコン基板17の陽極接合の際に発生する酸素系ガスを電極14に到達させることを防止することができる。すなわち、図2に示すように、ガラス基板11とシリコン基板17との間の陽極接合の際には、ガラス基板11から電極14に向って酸素系ガス(O2-)が拡散するが、ガス拡散防止層15が存在していることにより、酸素系ガスがガス拡散防止層15でバリアされて電極14に到達しない(酸素系ガスが電極14に接触することを極力防止する)。これにより、電極14の酸化を防止することができ、電極14の電気抵抗の上昇を防ぎ、センサ特性を維持することができる。また、ガス拡散防止層15は導電性を有するので、島状体12bと電極14との間の電気的導通を十分にとることができる。
次に、本実施の形態の静電容量型センサの製造方法について説明する。図3(a),(b)、図4(a)〜(f)は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型センサの製造方法を説明するための断面図である。
まず、不純物をドーピングして低抵抗化したシリコン基板17を準備する。不純物としては、n型不純物でも良く、p型不純物でも良い。濃度としては、例えば0.01Ω・cm程度とする。このシリコン基板17の一方の主面をエッチングして、図3(a)に示すように、感圧ダイヤフラム17aと固定電極13との間の間隔を制御するキャビティ18用の凹部17cを形成する。この場合、シリコン基板17を熱酸化してシリコン酸化膜を形成する。そして、シリコン酸化膜上にレジスト膜を形成し、凹部17c形成領域以外にレジスト膜が残るように、そのレジスト膜をパターニング(フォトリソグラフィー)し、そのレジスト膜をマスクとしてシリコン酸化膜をエッチングし、その後残存したレジスト膜を除去する。このようにして形成した開口部を有するシリコン酸化膜をマスクとしてシリコン基板17をエッチングして凹部17cを設ける。シリコン基板17のエッチングとしては、70℃の40重量%TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロキシオキサイド)溶液を用いたウェットエッチングを行う。
次いで、図3(b)に示すシリコン基板17に厚さ300nmのシリコン酸化膜を形成した後に、両面アライメント露光装置を用いてパターニングを行い、90℃の40重量%TMAH溶液を用いてシリコン基板17の他方の主面にウェットエッチングを行って、図3(b)に示すように、凹部17dを形成して感圧ダイヤフラム17aを形成する。
次いで、上述のように不純物をドーピングして低抵抗化したシリコン基板12を準備する。このシリコン基板12をエッチングして、図4(a)に示すように、島状体となる突出部12cを形成する。シリコン基板12のエッチングとしては、90℃の20重量%TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロキシオキサイド)溶液を用いたウェットエッチングを行う。
次いで、シリコン基板12の突出部12cにガラス基板11を当接し、熱プレス機(図示せず)を用いて熱プレスを行って、図4(b)に示すように、ガラス基板11にシリコン基板12の突出部12cを埋め込む。このときの加熱温度は、シリコンの融点以下であって、ガラスが変形可能である温度(例えば、ガラスの軟化点温度以下)が好ましい。例えば加熱温度は約600℃である。この加熱温度と押し込み速度は適宜制御される。なお、本実施の形態においては、島状体12としてシリコンを用いた場合について説明しているが、島状体12の材料としては、ガラス基板11を貫通して電気的接続が可能であり、十分に気密性の高いキャビティを形成できる他の材料、例えば金属、導電性樹脂であっても良い。
さらに、シリコン基板12の突出部12cとガラス基板11との界面での密着性をより高めるために、陽極接合処理を行う。この場合、シリコン基板12及びガラス基板11にそれぞれ電極をつけて、約400℃以下の加熱下で約300V〜1kVの電圧を印加することにより行う。これにより界面での密着性がより高くなり、静電容量型圧力センサのキャビティ18の気密性を向上させることができる。
次いで、図4(c)に示すように、ガラス基板11の主面11a,11bを研磨処理することにより島状体12を主面11a,11bで露出させる。これにより、ガラス基板11に島状体12が埋め込まれた状態となる。このようにしてシリコン製部材12a,12bを埋め込んだガラス基板11を作製する。
次いで、図4(d)に示すように、ガラス基板11の主面11b上に、島状体12a,12bと電気的に接続するように電極16a,16bを形成する。この場合、まず、ガラス基板11の主面11b上に電極材料を被着し、その上にレジスト膜を形成し、固定電極形成領域にレジスト膜が残るように、そのレジスト膜をパターニング(フォトリソグラフィー)し、そのレジスト膜をマスクとして電極材料をエッチングし、その後残存したレジスト膜を除去する。
次いで、図4(e)に示すように、ガラス基板11の主面11aの電極形成領域、すなわち島状体12b上にガス拡散防止層15を形成する。この場合、まず、ガラス基板11の主面11a上にガス拡散防止層用材料を被着し、その上にレジスト膜を形成し、電極形成領域にレジスト膜が残るように、そのレジスト膜をパターニング(フォトリソグラフィー)し、そのレジスト膜をマスクとしてガス拡散防止層用材料をエッチングし、その後残存したレジスト膜を除去する。
さらに、図4(f)に示すように、ガラス基板11の主面11a上に、固定電極13及び電極14を形成する。この場合、まず、ガラス基板11の主面11a及びガス拡散防止層15上に電極材料を被着し、その上にレジスト膜を形成し、固定電極及び電極形成領域にレジスト膜が残るように、そのレジスト膜をパターニング(フォトリソグラフィー)し、そのレジスト膜をマスクとして電極材料をエッチングし、その後残存したレジスト膜を除去する。
次いで、被測定圧力により変位する感圧ダイヤフラム17aを有するシリコン基板17を、感圧ダイヤフラム17aが固定電極13と所定の間隔をおいて位置するように、ガラス基板11の主面11a上に接合する。すなわち、ガラス基板11の主面11aとシリコン基板17の接合部17bとが接合される。このとき、シリコン基板17及びガラス基板11に対して、約400℃以下の加熱下で約500V程度の電圧を印加することにより陽極接合処理を行う。これによりシリコン基板17とガラス基板11との間の界面での密着性がより高くなり、キャビティ18の気密性を向上させることができる。
このとき、ガラス基板11と電極14との間には、ガス拡散防止層15が設けられているので、陽極接合の際にガラス基板11側からシリコン基板17側に向う酸素系ガスをガス拡散防止層15がバリアして、酸素系ガスが電極14に到達することを防止する。これにより、電極14が酸化して電気抵抗が上昇することを防止できる。その結果、センサ特性を維持することができる。
このようにして得られた静電容量型圧力センサにおいては、感圧ダイヤフラム17aと固定電極13との間で検知された静電容量の変化の信号は、島状体12a,12bを介して電極16a,16bから取得することができる。この信号に基づいて測定圧力を算出することができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る静電容量型センサの一部(図1のA部)を示す断面図である。図5において、図1と同じ部分については図1と同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、ガラス基板11と電極14との間にガス拡散防止層15の代わりにガス吸収層が配置されている。このガス吸収層は、酸素系ガスを吸収する吸収領域19aと島状体12bと電極14とを電気的に接続する導通部19bとから構成されている。ガス吸収層は、ガラス基板11とシリコン基板17との間の接合部17bに設けられ、ガラス基板11とシリコン基板17との間の接合時に生じた酸素系ガスを吸収する。ガス吸収層は、ガラス基板11とシリコン基板17の陽極接合時に発生する酸素系ガスを積極的に吸収して、酸素系ガスが電極に到達することを防止する層である。したがって、ガス吸収層は、ガラス基板11とシリコン基板17との間の接合部近傍であって、電極が存在する部分に少なくとも設けることが好ましい。ガス吸収層は、ガラス基板11とシリコン基板17の陽極接合前は、酸素系ガスと反応する前の材料(導電性材料)で構成されており、陽極接合の際にガラス基板11からシリコン基板17に向って拡散する酸素系ガスを吸収し、反応することにより、前記材料が酸化されて図5に示すように吸収領域19aが形成される。これは、吸収領域19aは、ガラス基板11と直接接触するために相対的に多くの酸素系ガスを吸収するからである。一方、導通部19bは、ガラス基板11と直接接触している部分が少ないために相対的に少ない酸素系ガスを吸収するので、導電性を維持することができる。
本実施の形態においては、ガス吸収層を電極14の下に設けて、電極14の酸化を防止する場合について説明しているが、ガス吸収層を固定電極13の下に設けて、固定電極13の酸化を防止するようにしても良い。ガラス基板とシリコン基板を陽極接合する際に、感圧ダイヤフラムが固定電極に貼り付くことを防止するために、固定電極を接地することがある。このような場合に固定電極13の酸化を防止するために効果的である。また、固定電極13の下にガス吸収層を設けることにより、キャビティ18内に存在する酸素系ガスも吸収することができる。
ガス吸収層の材料としては、酸素系ガスを吸収することができる材料であれば良く、例えばTi、W、Alなどの材料であることが好ましい。ガス吸収層の厚さは、ガラス基板11とシリコン基板17との間の陽極接合の際に発生した酸素系ガスの電極14(及び/又は固定電極13)への到達を防止するために十分な厚さである。また、ガス吸収層の厚さは、ガス吸収層に酸素系ガスが吸収されて酸化されても島状体12bの上の領域が導通部19bとなるような厚さであることが好ましい。ガス吸収層は、通常のパターニング方法(フォトリソグラフィー及びエッチング)により形成することができる。
この静電容量型圧力センサにおいては、ガラス基板11と電極14との間にガス吸収層が介在しているので、ガラス基板11とシリコン基板17の陽極接合の際に発生する酸素系ガスを電極14に到達させることを防止することができる。すなわち、図5に示すように、ガラス基板11とシリコン基板17との間の陽極接合の際には、ガラス基板11から電極14に向って酸素系ガス(O2-)が拡散するが、ガス吸収層が存在していることにより、酸素系ガスがガス吸収層の吸収領域19aで主に吸収されて電極14に到達しない(酸素系ガスが電極14に接触することを極力防止する)。これにより、電極14の酸化を防止することができ、電極14の電気抵抗の上昇を防ぎ、センサ特性を維持することができる。また、ガス吸収層の導通部19bは導電性を有するので、島状体12bと電極14との間の電気的導通を十分にとることができる。
本発明は上記実施の形態1,2に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態で説明した数値や材質については特に制限はない。また、上記実施の形態1,2で説明したプロセスについてはこれに限定されず、工程間の適宜順序を変えて実施しても良い。また、上記実施の形態1,2においては、エッチングとしてウェットエッチングを用いた場合について説明しているが、エッチングとしてドライエッチングを用いても良い。また、上記実施の形態においては、本発明を静電容量型圧力センサに適用した場合について説明しているが、本発明は、陽極接合により酸素系ガスが発生する他のプロセスや、固定電極と可動電極との間で静電容量が発生する他の静電容量型力学量センサあるいは静電容量型アクチュエータに適用することができる。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
本発明は、例えばバッテリー付のTPMS(Tire Pressure Monitoring System)において、タイヤ回転時のみ圧力をモニタリングする静電容量型圧力センサに適用することができる。
本発明の実施の形態1に係る静電容量型センサの概略構成を示す断面図である。 図1に示す静電容量型センサのA部を示す拡大図である。 (a),(b)は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型センサの製造方法を説明するための断面図である。 (a)〜(f)は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型センサの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の実施の形態2に係る静電容量型センサの一部を示す断面図である。
符号の説明
11 ガラス基板
11a,11b 主面
12a,12b 島状体
13 固定電極
14,16a,16b 電極
15 ガス拡散防止層
17 シリコン基板
17a 感圧ダイヤフラム
17b 接合部
17c 厚肉部
17d,15e 凹部
18 キャビティ
19a ガス吸収層
19b 導通部

Claims (10)

  1. 相互に背向する一対の主面を有し、一方の前記主面上に固定電極を有するガラス基板と、前記ガラス基板と接合されており、前記固定電極と所定の間隔をおいて対向して配置された可動電極を有するシリコン基板と、前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の接合部に設けられ、前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の接合時に生じたガスの拡散を防止する第1のガス拡散防止層と、前記第1のガス拡散防止層上に設けられ、前記可動電極と導通する接続電極と、を具備することを特徴とする静電容量型センサ。
  2. 前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の接合時に生じたガスの拡散を防止する、第2のガス拡散防止層が、前記ガラス基板と前記固定電極との間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の静電容量型センサ。
  3. 前記第1のガス拡散防止層は、TiN、Cr、及びNiからなる群より選ばれた材料で構成されることを特徴とする請求項1記載の静電容量型センサ。
  4. 前記第1及び第2のガス拡散防止層は、TiN、Cr、及びNiからなる群より選ばれた材料で構成されることを特徴とする請求項2記載の静電容量型センサ。
  5. 相互に背向する一対の主面を有し、一方の前記主面上に固定電極を有するガラス基板と、前記ガラス基板と接合されており、前記固定電極と所定の間隔をおいて対向して配置された可動電極を有するシリコン基板と、前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の接合部に設けられ、前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の接合時に生じたガスを吸収する第1のガス吸収層と、前記第1のガス吸収層上に設けられ、前記可動電極と導通する接続電極と、を具備し、前記第1のガス吸収層は、前記接続電極と電気的に導通する導通部を有することを特徴とする静電容量型センサ。
  6. 前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の接合時に生じたガスの拡散を防止する、第2のガス吸収層が、前記ガラス基板と前記固定電極との間に設けられていることを特徴とする請求項5記載の静電容量型センサ。
  7. 前記第1のガス吸収層は、Ti、W、及びAlからなる群より選ばれた材料で構成されることを特徴とする請求項4記載の静電容量型センサ。
  8. 前記第1及び第2のガス吸収層は、Ti、W、及びAlからなる群より選ばれた材料で構成されることを特徴とする請求項6記載の静電容量型センサ。
  9. 前記固定電極及び前記接続電極は、前記ガラス基板の他方の主面上に形成された各電極と前記ガラス基板に埋め込まれた導電部材により電気的に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の静電容量型センサ。
  10. 前記ガラス基板と前記シリコン基板とが陽極接合されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の静電容量型センサ。
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