JP2007070866A - 屋根パネルまたは床パネルの補強方法、補強構造および補強用支持金具 - Google Patents

屋根パネルまたは床パネルの補強方法、補強構造および補強用支持金具 Download PDF

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Abstract

【課題】 使用した屋根パネルや床パネルに、経年劣化や損傷などによる強度低下やたわみ量の増加などが認められた場合に、上部仕上げの撤去、重機の使用または既存梁への加工の必要がなく、溶接を用いないで、下側から実施することが可能で、建物用途に影響されにくく、比較的、簡易な工事で済み、かつ、強度的に信頼できる屋根パネルまたは床パネルの補強を提供する。
【解決手段】 H型鉄骨小梁(2)の上側フランジ(2a)の下側面に当接させた第1の垂直片および第2の垂直片と、上側フランジ(2a)の上側面に当接させた押さえ金具(5)の押さえ部とにより、上側フランジ(2a)を挟むように、ナット類を回し締めし、押さえ金具(5)をH型鉄骨小梁(2)に固定し、ボルト(6)のある側から水平方向に差し込まれた補強鋼材(7)が、屋根パネルまたは床パネル(1)の下面を押さえるように、ボルト(6)を回し締める。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ALCパネルなどを、建物のH型鉄骨小梁に取り付け、屋根や床が構成されている既存建築物において、使用した屋根パネルや床パネルに、経年劣化や損傷などによる強度低下やたわみ量の増加などが認められた場合に行う屋根パネルまたは床パネルの補強方法、補強構造および補強用支持金具に関する。
従来、例えば、ALCパネルなどを、建物のH型鉄骨小梁に取り付け、屋根や床が構成されている既存建築物において、使用した屋根パネルや床パネルに、経年劣化や損傷などによる強度低下やたわみ量の増加などが認められた場合、その対策としては、屋根パネルまたは床パネルの取替えや、支持梁の追加などを行うことが一般的である。
屋根パネルまたは床パネルの取替えとして、例えば、特開平9−195431号公報には、剛性を向上させるALCパネル床構造の施行方法が記載されている。このような対策の場合、屋根や床においては、必ず上部に仕上げが施されており、屋根パネルまたは床パネルの取替えに際して、仕上げの撤去が必要であるという問題や、屋根パネルまたは床パネルの解体や搬入などにも手間がかかるという問題がある。
一方、パネル支持梁の追加においては、質量の大きいパネル支持梁の取付けに際して、重機などが必要であったり、既存梁への加工が必要であるなど、工事が大掛かりになるという問題がある。
また、該当物件が、稼動中の工場や、共同住宅などの場合、工事が実施可能な期間や時間帯、あるいは、使用可能な機械や設備に制限があったり、溶接作業などが制限される可能性が極めて高く、補強を行うことが実施不可能と判断されるケースも見受けられる。
特開平9−195431号公報
本発明は、ALCパネルなどを、建物のH型鉄骨小梁に取り付け、屋根や床が構成されている既存建築物において、使用した屋根パネルや床パネルに、経年劣化や損傷などによる強度低下やたわみ量の増加などが認められた場合に、上部仕上げの撤去、重機の使用または既存梁への加工の必要がなく、さらに、溶接を用いることなく、下側から実施することが可能で、建物用途に影響されにくく、比較的、簡易な工事で済み、かつ、強度的に信頼できる補強方法を提供することを目的とする。
本発明に係る小梁部の補強用支持金具は、第1の垂直片と、第2の垂直片と、第1の垂直片と第2の垂直片の下端部を連結する水平片とからなり、断面略U字状に形成された金具本体と、外周にネジ山を有する基部と該基部と直交する方向に向いた押さえ部とを有する押さえ金具と、該押さえ金具の基部のネジ山に回し締めされるナットと、ボルトとからなり、前記水平片の一方の開放端部に、前記押さえ金具の基部が差し込み自在で、前記ナットが抜けないように寸法付けされた幅の切り込みが設けられ、他方の開放端部には、前記ボルトが回し締め可能なネジ孔が設けられている。
具体的には、前記水平片の一方の開放端部に設けられた前記切り込みに、前記押さえ金具を横方向から挿入し、前記基部を前記ナットにより回し締めすることにより、前記押さえ金具が前記金具本体に固定される。これにより、前記第1の垂直片と第2の垂直片の上端部と、前記水平片に平行に(すなわち、該第1の垂直片と第2の垂直片の上端部に平行に)伸長する前記押さえ部とにより、H型鉄骨小梁の上側フランジを挟んで、前記金具本体を該H型鉄骨小梁に固定することができる。さらに、前記他方の開放端部より前記金具本体に挿入された補強鋼材を、前記ボルトを前記ネジ孔に回し締めすることにより、前記金具本体内に固定するとともに、該補強鋼材により前記H型鉄骨小梁に支持された屋根パネルまたは床パネルを支持させることができる。
なお、前記切り込みは、横方向から前記押さえ金具を挿入可能としているが、前記押さえ金具を前記金具本体にナットにより固定できればよく、前記水平片の一方の開放端部に通孔を設けることにより、代替させてもよい。
また、屋根パネルまたは床パネルの下側面の角に面取りが設けられている場合には、前記押さえ金具の押さえ部は、該面取りと前記H型鉄骨小梁の上側フランジとの間の隙間に差し込むことが可能となるように、寸法付けされていることが好ましい。
本発明に係る屋根パネルまたは床パネルの補強方法は、屋根パネルまたは床パネルを支持するH型鉄骨小梁の上側フランジに、前述の小梁部の補強用支持金具を固定し、小梁部の補強用支持金具に、補強鋼材を支持させることにより、該補強鋼材により屋根パネルまたは床パネルを支持する。さらに、前記H型鉄骨小梁の上側フランジの下側面に当接させた前記第1の垂直片および第2の垂直片と、上側フランジの上側面に当接させた前記押さえ金具の押さえ部とにより、上側フランジを挟むように、前記水平片の切り欠きに挿通している前記押さえ金具の基部に前記ナットを回し締めし、前記ボルトのある側から水平方向に差し込まれた補強鋼材が、屋根パネルまたは床パネルの下面を押さえるように、前記ボルトを前記ネジ孔に対して回し締める。
なお、前記押さえ金具の押さえ部を、屋根パネルまたは床パネルの下側面の角の面取りと、前記H型鉄骨小梁の上側フランジの上側面との間の隙間に差し込むようにすることが好ましい。
また、前記補強鋼材には、所定水準の受け材支持部を少なくとも片側に備え、平行して配置された補強鋼材の受け材支持部の上に両端を載せた受け材が、補強鋼材と協働して屋根パネルまたは床パネルを支えて補強することが望ましい。
本発明に係る屋根パネルまたは床パネルの補強構造は、屋根パネルまたは床パネルの両端が2本のH型鉄骨小梁により支持されている構造において、前記パネルの下側より前記H型鉄骨小梁のそれぞれの上側フランジに固定される補強用支持金具と、該補強用支持金具に固定され、前記H型鉄骨小梁間にわたされ、前記パネルを支持する補強鋼材とからなる。当該構造において、前記補強鋼材が複数配置され、該補強鋼材の略中間部に少なくとも1つの受け材支持部が設けられており、該受け材支持部に載置された受け材が、前記補強鋼材間にわたされ、補強鋼材と協働して前記パネルを支持するようにしてもよい。
なお、かかる構造に用いられる補強用支持金具として、前述の本発明に係る小梁部の補強用支持金具を用いることが好ましい。
本発明では、作業を屋根パネルまたは床パネルの下方から行うことができるため、屋根パネルまたは床パネルの上部仕上げに手を加える必要がなく、さらに、パネル裏面の面取り部分の隙間を利用して、補強用支持金具を配置するため、既存パネルや既存鉄骨に加工を施さなくても、強度的に有効な補強を行うことができ、強度が低下した屋根パネルまたは床パネルが、屋根または床の一部に存在する場合の補強にも有効である。
さらに、補強用支持金具および補強鋼材の固定は、ボルトにより行い、溶接作業が発生しないため、熟練工による作業が不要で、かつ、溶接火花が室内へ影響を及ぼすこともない。
また、作業は、室内足場や高所作業車があれば、少人数で、安全かつ容易に行えるため、施工効率の向上およびコスト低減効果も大きい。
以下、本発明の実施形態を、図示した一実施例に基づいて説明する。
図2は、本発明の補強用支持金具の一実施例を示す組立斜視図である。図3は、図2に示した補強用支持金具の斜視図である。図4は、補強鋼材の一実施例を示す斜視図である、図5は、受け材の一実施例を示す斜視図である。
補強用支持金具(4)は、第1の垂直片(4a)、第2の垂直片(4a)、および、これらの下端部を連結する水平片(4d)が、断面U字状に一体に形成された金具本体と、外周にネジ山を有する基部(5a)、および基部(5a)と直交する方向に向いた押さえ部(5b)が、一体に形成された押さえ金具(5)と、押さえ金具(5)の基部(5a)のネジ山に回し締めされるナット類(5c)、(5d)、(5e)と、ボルト(6)とからなる。なお、図示のように、押さえ部(5b)は、屈曲部を介して基部(5a)と連結していることが好ましい。
水平片(4d)の一方の開放端から、押さえ金具(5)の基部(5a)が差し込み自在で、ナット類(5c)、(5d)、(5e)が抜けないように寸法付けされた幅の切り込み(4c)が設けられ、他方の開放端寄りには、ボルト(6)が回し締め可能なネジ孔(4b)が開けられている。なお、切り込み(4c)は、押さえ金具(5)の基部(5a)を水平片(4d)に支持可能であればよく、通孔により代替してもよい。
補強鋼材(7)は、例えば角管であり、その略中間部に少なくとも1つの所定水準に配置された受け材支持部である翼部(7a)を片側または両側に備える。受け材(8)は、前記翼部(7a)に載せると、補強鋼材(7)の上面と受け材(8)の上面が同一水準となるように、両端に突起(8a)を備える。
補強用支持金具(4)、補強鋼材(7)および受け材(8)の材質および形状などは、例示しないが、補強の対象となる屋根パネルまたは床パネルやH型鉄骨小梁の形状寸法や、補強する強度などに応じて、適宜、選定する。
図1は、本発明の一実施例を下より仰ぎ見た斜視図である。図6および図7は、本発明の一実施例を示す一部省略斜視図であり、説明のために、一部の屋根パネルまたは床パネルの図示を省略した。
屋根パネルまたは床パネル(1)の長さ方向の両端下部は、H型鉄骨小梁(2)の上側フランジ(2a)上に、図示しない金物およびモルタル(3)などを介して、固定されている。
屋根パネルまたは床パネル(1)に、経年劣化や損傷などによる強度低下やたわみ量の増加が認められた場合には、補強として、本発明の補強用支持金具(4)を、H型鉄骨小梁(2)に、以下のようにして取り付ける。
H型鉄骨小梁(2)の上側フランジ(2a)の下側面に当接させた第1の垂直片(4a)および第2の垂直片(4a)と、上側フランジ(2a)の上側面に当接させた押さえ金具(5)の押さえ部(5b)とにより、上側フランジ(2a)を挟むように、ナット類(5c)、(5d)、(5e)を回し締めて、補強用支持金具(4)をH型鉄骨小梁(2)の上側フランジ(2a)に固定する。
補強用支持金具(4)は、平行に配置されるH型鉄骨小梁(2)の両方に固定される。両方の補強用支持金具(4)の内側に、ボルト(6)のある開放端側から水平方向に挿入されている補強鋼材(7)が、屋根パネルまたは床パネル(1)の下面を押さえるように、補強用支持金具(4)のネジ孔(4b)からボルト(6)を回し締める。
なお、押さえ金具(5)の押さえ部(5b)は、屋根パネルまたは床パネル(1)の下側面の角の面取りと、H型鉄骨小梁(2)の上側フランジ(2a)の上側面との間のすき間に差し込むことが可能となるように、寸法付けられている。したがって、補強用支持金具(4)を屋根パネルまたは床パネル(1)の面取り部のある部分で、H型鉄骨小梁(2)の上側フランジ(2a)に取り付け、補強鋼材(7)を、屋根パネルまたは床パネル(1)の面取り加工部に沿って、H型鉄骨小梁(2)の間にわたすことが好ましい。
ただし、屋根または床の端部などで、屋根パネルまたは床パネル(1)に面取り加工部がない場合には、補強用支持金具(4)を取り付ける部分において、屋根パネルまたは床パネル(1)の下部に、ドリルで下孔を設けるようにしてもよい。
さらに、平行して配置された補強鋼材(7)の翼部(7a)の上に、受け材(8)の両端を載せて、上面の水準が補強鋼材(7)の上面の水準と同じになるように、補強鋼材(7)間に受け材(8)をわたすことにより、補強構造をさらに強化することもできる。
本発明の一実施例を示す斜視図である。 本発明の補強用支持金具の一実施例を示す組立斜視図である。 図2に示した補強用支持金具の斜視図である。 補強鋼材の一実施例を示す斜視図である、 受け材の一実施例を示す斜視図である。 本発明の一実施例を示す一部省略斜視図である。 本発明の一実施例を示す一部省略斜視図である。
符号の説明
1 屋根パネルまたは床パネル
2 H型鉄骨小梁
2a 上側フランジ
3 モルタル
4 補強用支持金具
4a 第1の垂直片
4b ネジ孔
4c 切り込み
4d 水平片
5 押さえ金具
5a 基部
5b 押さえ部
5c、5d、5e ナット類
6 ボルト
7 補強鋼材
7a 翼部
8 受け材
8a 突起

Claims (10)

  1. 第1の垂直片と、第2の垂直片と、第1の垂直片と第2の垂直片の下端部を連結する水平片とからなり、断面略U字状に形成された金具本体と、外周にネジ山を有する基部と該基部と直交する方向に向いた押さえ部とを有する押さえ金具と、該押さえ金具の基部のネジ山に回し締めされるナットと、ボルトとからなり、前記水平片の一方の開放端部に、前記押さえ金具の基部が差し込み自在で、前記ナットが抜けないように寸法付けされた幅の切り込みが設けられ、他方の開放端部には、前記ボルトが回し締め可能なネジ孔が設けられていることを特徴とする小梁部の補強用支持金具。
  2. 第1の垂直片と、第2の垂直片と、第1の垂直片と第2の垂直片の下端部を連結する水平片とからなり、断面略U字状に形成された金具本体と、該金具本体に取り付けるための基部と前記水平片に平行に伸長する押さえ部を有する押さえ金具と、該押さえ金具を前記金具本体に固定するためのナットと、ボルトとからなり、前記水平片の一方の開放端部には前記押さえ金具の基部を挿通する切り欠きが設けられ、他方の開放端部には前記ボルトを回し締め可能なネジ孔が設けられており、前記切り欠きに挿通している前記基部を前記ナットにより前記金具本体に固定することにより、前記第1の垂直片と第2の垂直片の上端部と前記押さえ金具の押さえ部とにより、H型鉄骨小梁の上側フランジを挟んで、前記金具本体を該H型鉄骨小梁に固定することが可能で、かつ、前記他方の開放端部より金具本体に挿入された補強鋼材が、前記ボルトを前記ネジ孔に対して回し締めすることにより、前記H型鉄骨小梁に支持された屋根パネルまたは床パネルを支持することを可能としている小梁部の補強用支持金具。
  3. 前記押さえ金具の押さえ部は、屋根パネルまたは床パネルの下側面の角の面取りと、前記H型鉄骨小梁の上側フランジとの間の隙間に差し込むことが可能となるように、寸法付けされていることを特徴とする請求項2に記載の小梁部の補強用支持金具。
  4. 屋根パネルまたは床パネルを支持するH型鉄骨小梁の上側フランジに、請求項1〜3のいずれかに記載の小梁部の補強用支持金具を固定し、小梁部の補強用支持金具に、補強鋼材を支持させることにより、該補強鋼材により屋根パネルまたは床パネルを支持することを特徴とする屋根パネルまたは床パネルの補強方法。
  5. 前記H型鉄骨小梁の上側フランジの下側面に当接させた前記第1の垂直片および第2の垂直片と、上側フランジの上側面に当接させた前記押さえ金具の押さえ部とにより、上側フランジを挟むように、前記水平片の切り欠きに挿通している前記押さえ金具の基部に前記ナットを回し締めし、前記ボルトのある側から水平方向に差し込まれた補強鋼材が、屋根パネルまたは床パネルの下面を支持するように、前記ボルトを前記ネジ孔に対して回し締めることを特徴とする請求項4に記載の屋根パネルまたは床パネルの補強方法。
  6. 前記押さえ金具の押さえ部を、屋根パネルまたは床パネルの下側面の角の面取りと、前記H型鉄骨小梁の上側フランジとの間の隙間に差し込むことを特徴とする請求項5に記載の屋根パネルまたは床パネルの補強方法。
  7. 前記補強鋼材には、所定水準の受け材支持部を少なくとも片側に備え、平行して配置された補強鋼材の受け材支持部の上に両端を載せた受け材により、補強鋼材と協働して屋根パネルまたは床パネルを支持させることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の屋根パネルまたは床パネルの補強方法。
  8. 屋根パネルまたは床パネルの両端が2本のH型鉄骨小梁により支持されている構造において、前記パネルの下側より前記H型鉄骨小梁のそれぞれの上側フランジに固定される補強用支持金具と、該補強用支持金具に固定され、前記H型鉄骨小梁間にわたされ、前記パネルを支持する補強鋼材とからなることを特徴とする屋根パネルまたは床パネルの補強構造。
  9. 前記補強鋼材が複数配置され、該補強鋼材の略中間部に少なくとも1つの受け材支持部を設けられており、該受け材支持部に載置された受け材が、前記補強鋼材間にわたされ、補強鋼材と協働して前記パネルを支持していることを特徴とする請求項8に記載の屋根パネルまたは床パネルの補強構造。
  10. 前記補強用支持金具として、請求項1〜3のいずれかに記載の小梁部の補強用支持金具が用いられていることを特徴とする請求項8または9に記載の屋根パネルまたは床パネルの補強構造。
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