JP2007070160A - 圧電セラミックス及び圧電セラミックス部品 - Google Patents

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Abstract


【課題】 より高い発熱限界振動速度を有し、より低い温度での焼結が可能な圧電セラミックス、及び圧電セラミックス部品を提供すること。
【解決手段】 マンガン・アンチモン酸鉛、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛の3成分から構成される圧電セラミックスにおいて、MnSb26を加えることにより、低温焼結を可能とし、発熱限界振動速度0.5m/s以上を備えた圧電セラミックス及び圧電セラミックス部品の提供が可能となる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、圧電セラミックスに関し、特に、超音波洗浄機、圧電アクチュエーター、超音波モーターや圧電トランス等の逆圧電効果を利用した動力デバイス分野の応用製品に好適な圧電セラミックス及び圧電セラミックス部品に関する。
電気エネルギーを機械振動エネルギーに変換する機能を有する圧電セラミックスから成る圧電素子は、洗浄機用の超音波振動子、圧電アクチュエーター、超音波モーター或いは圧電トランス等の動力デバイスとして、実用化されている。これらの逆圧電効果を利用した動力デバイスとして使用される圧電セラミックスには、電気エネルギーを機械振動エネルギーに変換する際のエネルギー損失が少ない材料が要求される。このエネルギー損失は、圧電素子の逆圧電効果による、単位時間当たりの歪量(以下、振動速度という)に比例して増大し、圧電素子の発熱を引き起こす。この発熱により、圧電素子の機能は低下する。このエネルギー損失による圧電素子の発熱温度が20℃になる振動速度のことを発熱限界振動速度と呼び、この発熱限界振動速度が大きい圧電セラミックスが求められている。
従来、この種の圧電セラミックスとしては、マンガン・アンチモン酸鉛[Pb(Mn1/3Sb2/3)O3]をPMS、ジルコン酸鉛[PbZrO3]をPZ、チタン酸鉛[PbTiO3]をPTと表したときに、PZ−PT系の2成分系や複合型ペロブスカイト型化合物とPZ、PT系の3成分系磁器にアクセプタ材などを添加したものが使用されてきた。その中でも3成分系のマンガン・アンチモン酸鉛、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛系の材料は大振幅駆動に適した材料として魚群探知機や超音波洗浄機などに実用化されている。
また、一般式xPMS−yPZ−zPT(ただしx+y+z=1)で示される3成分系圧電セラミックスにおいて、原料粉末もしくは仮焼粉末に0.5〜3.0wt%の酸化鉛(PbO)を添加することにより、950〜1050℃の温度範囲で焼結することが可能で、発熱限界振動速度が0.4m/s以上となる圧電セラミックスも提案されている。このような圧電セラミックスは特許文献1に開示されている。
特開2001−146470号公報
近年、ノートパソコン、情報通信機器等の電子機器類は益々小型化し、それらに使用される電子部品にもさらなる小型化が要求されている。そして、圧電セラミックスを使用している超音波振動子、圧電アクチュエーター、超音波モーター或いは圧電トランス等の動力デバイスも例外ではない。圧電セラミックスを使用したデバイスの小型化には、前述した、発熱限界振動速度を大きくすることが必須条件となる。即ち、小型化することにより、相対的に減少する特性を維持するためには、電気エネルギーを機械振動エネルギーに変換する際のエネルギー損失をいかに減少させるかということに他ならない。つまり、エネルギー損失が少ない材料とは、結果として、発熱限界振動速度が大きい材料といえる。しかしながら、従来知られている圧電セラミックスで得られる発熱限界振動速度は、0.4m/s前後と、大きくはなっているものの、市場の要求はさらに上の特性をも要求しているという問題点がある。
さらに、ノートパソコン、情報通信機器等の電子機器類における駆動回路の小型化、低電圧駆動、低消費電力に対応する為、圧電セラミックスを使用したデバイスには、積層プロセスによるデバイス製品がある。これはシート状に成型した圧電セラミックス材料と電極とを交互に積み重ねたものを焼結して、圧電セラミックスとしたものである。このとき使用する電極材には、銀とパラジウムとを主成分とする電極材が一般に使用されるが、貴金属であるパラジウムは高価である為、その含有率を減らすことがコストの低減に大きく寄与する。しかしながらパラジウムの含有率を減らすには、焼結温度が950℃以下の低温焼結可能な材料にしなければならないという問題点がある。
従って、本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを課題とする。具体的には、より高い発熱限界振動速度を有し、より低い温度での焼結が可能な圧電セラミックス、及び圧電セラミックス部品を提供することを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。即ち、本発明は、マンガン・アンモン酸鉛[Pb(Mn1/3Sb2/3)O3]と、ジルコン酸鉛[PbZrO3]及びチタン酸鉛[PbTiO3]の3成分系圧電セラミックスであって、マンガンとアンチモンの化合物(MnSb26)を添加することに加えて、予焼温度、或いは焼結温度を最適化したことを、その要旨とする。
本発明によれば、マンガン・アンチモン酸鉛[Pb(Mn1/3Sb2/3)O3]をPMS,ジルコン酸鉛[PbZrO3]をPZ,チタン酸鉛[PbTiO3]をPTと表したときに、一般式xPMS−yPZ−zPT(ただしx+y+z=1)で示され、かつ前記x、y、zの値を一片が0から1とする三角座標上の座標(x,y,z)で表したときに、(x,y,z)=(0.01,0.30,0.69)なる点Aと(x,y,z)=(0.01,0.60,0.39)なる点Bと(x,y,z)=(0.15,0.60,0.25)なる点C及び(x,y,z)=(0.15,0.30,0.55)なる点Dを結ぶ線ABと線BCと線CDと線DAとで囲まれた領域内、及び各線上の座標(x,y,z)で表される組成を持つ焼結された圧電セラミックスであって、前記圧電セラミックスの原料粉末または前記圧電セラミックスの製造過程における仮焼工程での中間生成物である仮焼粉末に、マンガンとアンチモンの化合物(MnSb26)を添加してなることを特徴とする圧電セラミックスが得られる。特に、マンガンとアンチモンの化合物(MnSb26)を添加することにより、パイロクロア相に代表される副生成相の生成を抑制し、従来のPbOを添加したものよりも、さらに均一な組成を持つ圧電セラミックスが得られる。
また本発明によれば、前記マンガンとアンチモンの化合物(MnSb26)が、炭酸マンガン(MnCO3)と酸化アンチモン(Sb25)との化合物からなることを特徴とする圧電セラミックスが得られる。前記炭酸マンガン(MnCO3)と前期酸化アンチモン(Sb25)は、原料としてそれぞれ個別に添加しても良いが、予め化合させて、MnSb26なる化合物にしたものを添加することで、より均一な組成を持つ圧電セラミックスが得られる。
また本発明によれば、前記仮焼工程において仮焼する温度を500℃から700℃の範囲で、かつ前記焼結の温度が900℃から1000℃の範囲であることを特徴とする圧電セラミックスが得られる。前記マンガンとアンチモンの化合物(MnSb26)を添加した圧電セラミックスの焼結密度や圧電性能は、その粉末製造工程における仮焼条件と、焼結工程における焼結条件に大きく左右される。従って、最適条件を見出すことは、最も重要な点であり、本発明では、前記圧電セラミックスについての製造条件の一最適値を見出した。
また本発明によれば、前記圧電セラミックスに電極を形成し、かつ分極処理してなる圧電セラミックス部品が得られる。前記圧電セラミックスに電極を形成し、分極処理して得られる圧電性能のうち、特に、エネルギー損失による圧電素子の発熱温度が20℃になる発熱限界振動速度は0.5m/s以上となり、同体積の従来品と比較して、出力されるパワーは約25%増となり、出力されるパワーを同じとした場合には、体積は従来の80%にまで小型化することができる。
上記の如く、本発明によれば、マンガン・アンチモン酸鉛、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛の3成分から構成される圧電セラミックスであって、原料にマンガン及びアンチモンの化合物(MnSb26)を加えることにより、仮焼温度を500℃から700℃の温度範囲条件とし、900〜1000℃の温度範囲で焼結することが可能となり、発熱限界振動速度が0.5m/s以上である、高い発熱限界振動速度を有し、低い温度での焼結が可能な圧電セラミックス及び圧電セラミックス部品の提供が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら、説明する。
図1は、本発明による圧電セラミックスの主成分の組成を示す図である。
本発明による材料を得るための出発原料として、酸化鉛(PbO),酸化チタン(TiO2),酸化ジルコニウム(ZrO2),炭酸マンガン(MnCO3),酸化アンチモン(Sb23)の各粉末を用いた。
マンガン・アンチモン酸鉛[Pb(Mn1/3Sb2/3)O3]をPMS,ジルコン酸鉛[PbZrO3]をPZ,チタン酸鉛[PbTiO3]をPTと表し、xPMS−yPZ−zPT(ただしx+y+z=1)とこの3成分系圧電セラミックスを表したとき、図1に示すように、A点(x,y,z)=(0.01,0.30,0.69)、B点(x,y,z)=(0.01,0.60,0.39)、C点(x,y,z)=(0.15,0.60,0.25)、及びD点(x,y,z)=(0.15,0.30,0.55)となるような組成範囲で、所定の配合比になるように各原料を秤量し、炭酸マンガン(MnCO3),酸化アンチモン(Sb23)或いは化合物(MnSb26)を加えた。
次に、これらの原料をボールミル内でイオン交換水を用いて20時間混合し粉砕し、乾燥後、大気雰囲気中で650℃から850℃の温度条件で2時間仮焼した。さらに、この仮焼物を粗粉砕後、再度ボールミル内で10時間湿式粉砕する。その後、造粒、成形、脱バインダー後、大気中で焼結温度900℃〜1200℃にて2〜6時間保持し、焼結体とした。
以下、具体的な例を挙げ、本発明の圧電セラミックスについてさらに詳しく説明する。
炭酸マンガン(MnCO3)と酸化アンチモン(Sb23)とを等モル量混合し、坩堝に入れて、1000℃2時間反応させ、MnとSbとの化合物(MnSb26)を作製した。次に、マンガン・アンチモン酸鉛[Pb(Mn1/3Sb2/3)O3]をPMS,ジルコン酸鉛[PbZrO3]をPZ,チタン酸鉛[PbTiO3]をPTと表し、xPMS−yPZ−zPT(ただしx+y+z=1)とこの3成分系圧電セラミックスを表したときに(x,y,z)=(0.1,0.45,0.45)、の配合比になるように各原料を秤量し、前記MnとSbとの化合物(MnSb26)を5mol加えた。
次に、これらの原料をボールミル内でイオン交換水を用いて20時間混合・粉砕し、乾燥後、大気雰囲気中で650℃の温度条件で2時間仮焼した。さらに、この仮焼物を粗粉砕後、再度ボールミル内で10時間湿式粉砕した。その後、乾燥、造粒し、バインダーを混合した後、15mm×5mm×2mmの形状にプレス成形したプレス体を、脱バインダー処理し、大気中で焼結した。焼結は、焼結温度を900℃、1000℃、1100℃、1200℃の4水準にして、それぞれ4時間保持し、4種類の焼結体を試作した。
次に、発熱限界振動速度を評価する評価試料として、前記4種類の焼結体をそれぞれ、12mm×3mm×1mmの寸法に加工して矩形板状の評価試料を作製した。前記評価試料の両面に銀電極を焼き付けた後、4kV/mmの直流電界を両銀電極間に印加して、分極処理を行った。発熱限界振動速度の評価は、前期評価試料を室温で24時開以上放置した状態の評価試料を使用した。評価方法は、正弦波の駆動電圧を評価試料に印加して、長さ方向振動の共振周波数で駆動させた際の振動速度と、発熱の測定を行った。ここで、振動速度はレーザー変位計を用いて振動の振幅を測定し、試料の温度はレーザー光を用いた非接触式の温度計にて測定した。そして、駆動電圧を徐々に上げて、振動時の自己発熱による評価試料の温度上昇が20℃になったときの振動速度を発熱限界振動速度として測定を行った。
炭酸マンガン(MnCO3)と酸化アンチモン(Sb23)とを等モル量混合し、坩堝に入れて、1000℃2時間反応させ、MnとSbとの化合物(MnSb26)を作製した。次に、マンガン・アンチモン酸鉛[Pb(Mn1/3Sb2/3)O3]をPMS,ジルコン酸鉛[PbZrO3]をPZ,チタン酸鉛[PbTiO3]をPTと表し、xPMS−yPZ−zPT(ただしx+y+z=1)とこの3成分系圧電セラミックスを表したときに(x,y,z)=(0.1,0.45,0.45)、の配合比になるように各原料を秤量し、前記MnとSbとの化合物(MnSb26)を5mol加えた。
次に、これらの原料をボールミル内でイオン交換水を用いて20時間混合し粉砕し、乾燥後、大気雰囲気中で850℃の温度条件で2時間仮焼した。さらに、この仮焼物を粗粉砕後、再度ボールミル内で10時間湿式粉砕した。その後、乾燥、造粒し、バインダーを混合した後、15mm×5mm×2mmの形状にプレス成形したプレス体を、脱バインダー処理し、大気中で焼結した。焼結は、焼結温度を900℃、1000℃、1100℃、1200℃の4水準にして、それぞれ4時間保持し、4種類の焼結体を試作した。
次に、発熱限界振動速度を評価する評価試料として、前記4種類の焼結体をそれぞれ、12mm×3mm×1mmの寸法に加工して矩形板状の評価試料を作製した。前記評価試料の両面に銀電極を焼き付けた後、4kV/mmの直流電界を両銀電極間に印加して、分極処理を行った。発熱限界振動速度の評価は、前期評価試料を室温で24時開以上放置した状態の評価試料を使用した。評価方法は、正弦波の駆動電圧を評価試料に印加して、長さ方向振動の共振周波数で駆動させた際の振動速度と、発熱の測定を行った。ここで、振動速度はレーザー変位計を用いて振動の振幅を測定し、試料の温度はレーザー光を用いた非接触式の温度計にて測定した。そして、駆動電圧を徐々に上げて、振動時の自己発熱による評価試料の温度上昇が20℃になったときの振動速度を発熱限界振動速度として測定を行った。
マンガン・アンチモン酸鉛[Pb(Mn1/3Sb2/3)O3]をPMS,ジルコン酸鉛[PbZrO3]をPZ,チタン酸鉛[PbTiO3]をPTと表し、xPMS−yPZ−zPT(ただしx+y+z=1)とこの3成分系圧電セラミックスを表したときに(x,y,z)=(0.1,0.45,0.45)、の配合比になるように各原料を秤量し、その際、前記炭酸マンガン(MnCO3)と前記酸化アンチモン(Sb23)とは、予め等量、合わせて5molとなるように秤量して加えた。
次に、これらの原料をボールミル内でイオン交換水を用いて20時間混合し粉砕し、乾燥後、大気雰囲気中で700℃の温度条件で2時間仮焼した。さらに、この仮焼物を粗粉砕後、再度ボールミル内で10時間湿式粉砕した。その後、乾燥、造粒し、バインダーを混合した後、15mm×5mm×2mmの形状にプレス成形したプレス体を、脱バインダー処理し、大気中で焼結した。焼結は、焼結温度を900℃、1000℃、1100℃、1200℃の4水準にして、それぞれ4時間保持し、4種類の焼結体を試作した
次に、発熱限界振動速度を評価する評価試料として、前記4種類の焼結体をそれぞれ、12mm×3mm×1mmの寸法に加工して矩形板状の評価試料を作製した。前記評価試料の両面に銀電極を焼き付けた後、4kV/mmの直流電界を両銀電極間に印加して、分極処理を行った。発熱限界振動速度の評価は、前期評価試料を室温で24時開以上放置した状態の評価試料を使用した。評価方法は、正弦波の駆動電圧を評価試料に印加して、長さ方向振動の共振周波数で駆動させた際の振動速度と、発熱の測定を行った。ここで、振動速度はレーザー変位計を用いて振動の振幅を測定し、試料の温度はレーザー光を用いた非接触式の温度計にて測定した。そして、駆動電圧を徐々に上げて、振動時の自己発熱による評価試料の温度上昇が20℃になったときの振動速度を発熱限界振動速度として測定を行った。
マンガン・アンチモン酸鉛[Pb(Mn1/3Sb2/3)O3]をPMS,ジルコン酸鉛[PbZrO3]をPZ,チタン酸鉛[PbTiO3]をPTと表し、xPMS−yPZ−zPT(ただしx+y+z=1)とこの3成分系圧電セラミックスを表したときに(x,y,z)=(0.1,0.45,0.45)、の配合比になるように各原料を秤量し、その際、前記炭酸マンガン(MnCO3)と前記酸化アンチモン(Sb23)とは、予め等量、合わせて5molとなるように秤量して加えた。
次に、これらの原料をボールミル内でイオン交換水を用いて20時間混合し粉砕し、乾燥後、大気雰囲気中で850℃の温度条件で2時間仮焼した。さらに、この仮焼物を粗粉砕後、再度ボールミル内で10時間湿式粉砕した。その後、乾燥、造粒し、バインダーを混合した後、15mm×5mm×2mmの形状にプレス成形したプレス体を、脱バインダー処理し、大気中で焼結した。焼結は、焼結温度を900℃、1000℃、1100℃、1200℃の4水準にして、それぞれ4時間保持し、4種類の焼結体を試作した。
次に、発熱限界振動速度を評価する評価試料として、前記4種類の焼結体をそれぞれ、12mm×3mm×1mmの寸法に加工して矩形板状の評価試料を作製した。前記評価試料の両面に銀電極を焼き付けた後、4kV/mmの直流電界を両銀電極間に印加して、分極処理を行った。発熱限界振動速度の評価は、前期評価試料を室温で24時開以上放置した状態の評価試料を使用した。評価方法は、正弦波の駆動電圧を評価試料に印加して、長さ方向振動の共振周波数で駆動させた際の振動速度と、発熱の測定を行った。ここで、振動速度はレーザー変位計を用いて振動の振幅を測定し、試料の温度はレーザー光を用いた非接触式の温度計にて測定した。そして、駆動電圧を徐々に上げて、振動時の自己発熱による評価試料の温度上昇が20℃になったときの振動速度を発熱限界振動速度として測定を行った。
表1は、上記実施例1乃至実施例4における、各焼結温度での焼結体の密度をアルキメデス法にて測定した結果を示している。
Figure 2007070160
図2は、本発明による圧電セラミックスの焼結温度と焼結密度の関係を示すグラフである。表1に示した値を、横軸に焼結温度、縦軸に密度をとり、グラフ化したものである。また、比較の為、従来の圧電セラミックスの密度のグラフも併記した。本発明による、各実施例での焼結体の密度はいずれも、各焼結温度において、従来の圧電セラミックスの密度より大きくなっていることが解る。これは、マンガンとアンチモンの化合物(MnSb26)が圧電セラミックスを、より緻密に焼結する効果を有していることを示している。
また、予め炭酸マンガン(MnCO3)と酸化アンチモン(Sb23)とを反応させマンガンとアンチモンの化合物(MnSb26)作製して、原料に混合した圧電セラミックスが、より密度が高くなっていることが解る。さらに、焼結温度が900℃以下であっても十分に緻密化した焼結密度が得られた。
表2は、上記実施例1乃至実施例4における、各焼結温度での発熱限界振動速度の測定結果を示したものである。
Figure 2007070160
図3は、本発明による圧電セラミックスの焼結温度と発熱限界振動速度の関係を示すグラフである。表2に示した値を、横軸に焼結温度、縦軸に発熱限界振動速度をとり、グラフ化したものである。また、比較の為、従来の圧電セラミックスの発熱限界振動速度のグラフも併記した。本発明による、各実施例での発熱限界振動速度は、いずれも各焼結温度において、従来の圧電セラミックスの発熱限界振動速度より大きくなっていることが解る。これは、マンガンとアンチモンの化合物(MnSb26)の作用で圧電セラミックスが、より緻密に焼結されたことで、電気エネルギーを機械振動エネルギーに変換する際のエネルギー損失が少ない圧電セラミックスとなっていることを示している。
また、予め炭酸マンガン(MnCO3)と酸化アンチモン(Sb23)とを反応させマンガンとアンチモンの化合物(MnSb26)作製して、原料に混合した圧電セラミックスが、より発熱限界振動速度が大きくなっていることが解る。さらに、焼結温度が900℃以下であっても十分に発熱限界振動速度が大きい圧電セラミックスが得られた。なお、本実施例においては、マンガンとアンチモンの化合物(MnSb26)は5molとしたが、2乃至10molの範囲でも同様の結果が得られる。
上述した通り、本発明によれば、より高い発熱限界振動速度を有し、より低い温度での焼結が可能な圧電セラミックス、及び圧電セラミックス部品を提供することが可能となる。
本発明による圧電セラミックスは、超音波洗浄機、圧電アクチュエーター、超音波モーターや圧電トランス等の逆圧電効果を利用した動力デバイス分野の応用製品等に利用できる。
本発明による圧電セラミックスの主成分の組成を示す図。 本発明による圧電セラミックスの焼結温度と焼結密度の関係を示すグラフ。 本発明による圧電セラミックスの焼結温度と発熱限界振動速度の関係を示すグラフ。

Claims (4)

  1. マンガン・アンチモン酸鉛[Pb(Mn1/3Sb2/3)O3]をPMS,ジルコン酸鉛[PbZrO3]をPZ,チタン酸鉛[PbTiO3]をPTと表したときに、一般式xPMS−yPZ−zPT(ただしx+y+z=1)で示され、かつ前記x、y、zの値を一片が0から1とする三角座標上の座標(x,y,z)で表したときに、(x,y,z)=(0.01,0.30,0.69)なる点Aと(x,y,z)=(0.01,0.60,0.39)なる点Bと(x,y,z)=(0.15,0.60,0.25)なる点C及び(x,y,z)=(0.15,0.30,0.55)なる点Dを結ぶ線ABと線BCと線CDと線DAとで囲まれた領域内、及び各線上の座標(x,y,z)で表される組成を持つ焼結された圧電セラミックスであって、前記圧電セラミックスの原料粉末または前記圧電セラミックスの製造過程における仮焼工程での中間生成物である仮焼粉末に、マンガンとアンチモンの化合物(MnSb26)を添加してなることを特徴とする圧電セラミックス。
  2. 前記マンガンとアンチモンの化合物(MnSb26)が、炭酸マンガン(MnCO3)と酸化アンチモン(Sb25)との化合物からなることを特徴とする請求項1に記載の圧電セラミックス。
  3. 前記仮焼工程において仮焼する温度を500℃から700℃の範囲で、かつ前記焼結の温度が900℃から1000℃の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の圧電セラミックス。
  4. 前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の圧電セラミックスに、電極を形成し、かつ分極処理してなる圧電セラミックス部品。
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