JP2007069600A - ポリプロピレン系積層フィルムおよび成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系積層フィルムおよび成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】ホログラムを構成する凹凸が、エンボス加工により容易に形成することができ、かつ、熱シールによる袋加工等の2次加工性に優れる、ホログラム用のポリプロピレン系積層フィルムを提供する。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂よりなる基材層の少なくとも片面に、連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線において、最大ピークのピークトップ温度(Tp)が70〜100℃に存在し、かつ該ピークの半値幅が10℃未満であるプロピレン系共重合体よりなる表面層を積層してなる積層フィルムであって、該表面層の表面にホログラムを構成する凹凸が、エンボス加工により形成されたものであることを特徴とするポリプロピレン系積層フィルムである。
【選択図】なし

Description

本発明は、ホログラムフィルムとして使用する新規なポリプロピレン系積層フィルムに関する。
ホログラムフィルムは、虹色に光る装飾性から、書籍の表紙、挿絵、ギフト包装用、装飾性の高い包装用袋等に使用され、更に、広告、ディスプレイ用途等にも使用されている。また、ホログラムフィルムは、ホログラムを構成する面上に蒸着による金属反射層(例えば、アルミニウムを蒸着する)や透明保護層(例えば硫化亜鉛を蒸着する)を設けることにより、高装飾性、表面保護性の高いものとなる。
これらホログラムフィルムは、感光材料を用いた密着露光法や、微細なエンボス加工を平滑なフィルム表面に施す方法等により得ることができるが、感光材料は高価なため、近年、エンボス加工を用いた方法が多用されている。
例えば、ホログラムフィルムを製造する方法として、ポリエステル上に、2μmのウレタン層を設けた基板にパターンを転写する方法であって、転写ロールである熱ロールを基板に押付けた状態で当該基板の冷却を行うようにするホログラムフィルムの製造方法が提案されている(特許文献1)。
また、ポリエステルからなる2軸延伸フィルムの表面に微細なエンボス加工(ホログラムを構成)し、金属反射層を設けてなるホログラムフィルムも提案されている。この方法においては、更に、フィルムに感熱接着層を設け、転写フィルムとして使用できることが記載されている(特許文献2参照)。
しかしながら、前記方法等により得られるホログラムフィルムは、何れのフィルムもポリエステルを基材としており、後加工、例えば、これを用いて熱シール等による袋加工を行う時は、熱シール等の2次加工が困難であり、改善の余地があった。
また、ポリプロピレン系樹脂からなる表面に、ホログラムを構成したフィルムの製造方法も提案されている(特許文献3参照)。この方法は、溶融したホモポリプロピレンを、ホログラムレリーフ原版を備えた冷却ロールによって、押圧・冷却することにより、フィルム成形と同時にホログラムを形成するものである。
しかしながら、このような方法では、フィルム成形と同時にホログラムを形成するため、後加工、例えば、薄膜でも強度を有するような2軸延伸フィルムを得ようとした場合には、当然のことながらホログラムが消えてしまい、加工性といった面で改善の余地があった。
また、ポリプロピレンからなるフィルムの表面に、微細なエンボス加工を施したフィルム(特許文献4)も提案されている。具体的には、厚みが0.03〜0.2mmのフィルムの片面の表面粗さが0.1〜1μmである、エンボスされたポリプロピレン系樹脂フィルムが提案されている。
しかしながら、前記フィルムは、厚みが0.03mm以上のフィルムしか得ることができない点で問題があった。また、前記フィルムは、表面粗さが0.1μm以上と比較的粗く、良好な印刷性や接着剤の塗布性を達成することを目的とするものであり、フィルムの表面にホログラムを構成する凹凸を形成することを目的としているのものではない。更に、特許文献4の実施例では、融点が141℃のポリプロピレン系樹脂からなる単層フィルムが示されているが、このフィルムでは、微細な凹凸を転写するホログラム用のエンボスロールを使用した場合には、該フィルムの表面にホログラムを構成する凹凸を形成することが困難であり、改善の余地があった。
特開平3−53924号公報 特開昭62−191872号公報 特開平3−68982号公報 特開平10−315325号公報
従って、本発明の目的は、ポリプロピレン系積層フィルムにホログラムを構成する凹凸が、感光材料のような樹脂をコートあるいは積層させることなく、エンボス加工により直接形成でき、かつ、熱シールによる袋加工等の2次加工性に優れるポリプロピレン系積層フィルムを提供することにある。
また、前記ポリプロピレン系積層フィルムに蒸着による金属反射層または透明保護層を設けることにより、ホログラムが消失することなく、少なくともフィルム片面に熱可塑性樹脂フィルムの積層を可能としたポリプロピレン系積層フィルムを提供することにある。 更に、前記フィルム等を熱シールして得られる成形体を提供することにある。
本発明者等は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた。その結果、特定の結晶性分布を有するプロピレン系共重合体を表面層とする積層フィルムであって、該表面層に、ホログラムを構成する凹凸をエンボス加工により形成することにより、前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ポリプロピレン系樹脂よりなる基材層の少なくとも片面に、連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線において、最大ピークのピークトップ温度(Tp)が70〜100℃に存在し、かつ該ピークの半値幅が10℃未満であるプロピレン系共重合体よりなる表面層を積層してなる積層フィルムであって、該表面層の表面にホログラムを構成する凹凸が、エンボス加工により形成されたものであることを特徴とするポリプロピレン系積層フィルムである。
また、本発明は、表面にホログラムを構成する凹凸が形成された前記表面層に、更に金属反射層又は透明保護層を50〜500nm以下の厚みで積層してなる該ポリプロピレン系積層フィルムである。
また、本発明は、前記ポリプロピレン系積層フィルムに、更に、ホログラムが消失しないように熱可塑性樹脂フィルムを積層してなることを特徴とする多層フィルムである。
更に、本発明は、前記フィルムを熱シールして得られる成形体である。
本発明のポリプロピレン系積層フィルムは、特定の結晶性分布を有するプロピレン系共重合体を表面層に使用した積層フィルムよりなるため、エンボス加工によって、ホログラムを構成する凹凸を、直接、該フィルムの表面に厚みムラを生じることなく容易に形成することができる。また、該積層フィルムは、ポリプロピレン系の樹脂を使用しているため、熱シールにより2次加工した場合においても、熱シール部の引っ張り強度(以下、熱シール強度)の高い成形体を得ることができる。また、厚みムラのないフィルムを得ることができるため、ホログラムを構成する凹凸が形成された表面層に、アルミニウム等の蒸着により更に金属反射層又は透明保護層を積層した場合においても、蒸着膜とポリオレフィン系積層フィルムとの密着強度及び蒸着性が優れ、かつ意匠性の優れたホログラムフィルムを得ることができる。さらに、金属反射層又は透明保護層を設けたポリプロピレン系積層フィルムに、熱可塑性樹脂フィルムを積層した多層フィルムは、熱シールによる2次加工性のみならず、熱可塑性樹脂の特徴を有したフィルムとなり、意匠性かつ包装特性の高い成形体を得ることができる。
本発明のポリプロピレン系積層フィルムは、ポリプロピレン系樹脂よりなる基材層の少なくとも片面に、特定の結晶性分布を有するプロピレン系共重合体よりなる表面層を積層してなる積層フィルムよりなり、該積層フィルムの表面層にホログラムを構成する凹凸が形成されたものである。
本発明において、基材層に使用するポリプロピレン系樹脂は、特に制限されるものではなく、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他の少量、例えば10%以下のα−オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1ペンテン、1−オクテン、1−デセン等とのランダムあるいはブロック共重合体であってもよい。中でも、ペンタッド分率が0.88〜0.98であるプロピレン単独重合体、エチレン含量が1.0質量%以下であるプロピレン−エチレン共重合体、あるいはブテン含有量が3%以下のプロピレン−ブテン共重合体が好適に使用できる。また、前記ポリプロピレン系樹脂は、チーグラーナッタ触媒、メタロセン触媒等で重合されたものを使用することができ、また、複数のものを混合して使用することもできる。
本発明において、前記基材層に使用するポリプロピレン系樹脂の融点は、特に制限されるものではなく、表面層に使用するプロピレン系共重合体との兼ね合いになるが、エンボス加工を施す際に、加工予熱温度によってフィルム自体が白化することなく、外観が良好で、更に、加工時のフィルムの熱収縮を小さくするためには、150℃以上が好ましく、155℃以上がより好ましく、更に、158℃以上であることが特に好ましい。基材層に使用するポリプロピレン系樹脂の融点の上限は、特に制限されるものではないが、工業的な生産において入手できるものを考えると、融点の上限は165℃である。尚、ポリプロピレン系樹脂として、複数の混合物を使用する場合には、各々のポリプロピレン系樹脂の融点が150℃以上であることが好ましい。また、混合物を使用する場合には、混合物中に最も多く含まれる(主成分となる)ポリプロピレン系樹脂の融点を基準とし、下記のプロピレン系共重合体の融点と比較してやればよい。
本発明において、前記基材層に使用するポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートも、特に制限されるものではないが、一般的な製膜を考慮すると1.0〜8.0g/10分の範囲のものを使用することが好ましい。
尚、前記基材層に使用するポリプロピレン系樹脂には、通常のポリプロピレンに使用されている酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、塩素補足剤、核剤、アンチブロッキング剤、有機・無機充填剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
本発明において、基材層の少なくとも片面に積層する表面層は、連続昇温溶出分別法(TREF)により測定した最大ピークのピークトップ温度(Tp)が70〜100℃に存在し、かつ該ピークの半値幅が10℃未満であるプロピレン系共重合体よりなる。本発明は、この表面層にエンボス加工を行うことにより、意匠性の優れたホログラムフィルムとすることができる。
尚、本発明において、前記の連続昇温溶出分別法(TREF)とは、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂の結晶性分布を測定するものである。その測定方法は、先ず、硅藻土、シリカビーズ等の不活性担体を充填剤として用いたカラム内に、試料のポリオレフィンをオルトジクロルベンゼンに溶解させた試料溶液を注入し、カラムの温度を降下させて試料を充填剤表面に付着させる。その後、該カラム内にオルトジクロルベンゼンを流しながらカラムの温度を上昇させていき、各温度で溶出してくるポリオレフィンの濃度を検出するものである。そして、ポリオレフィンの溶出量(質量%)とその時のカラム内温度(℃)との値より、溶出温度−溶出量曲線を求め、ポリオレフィンの結晶性分布を測定するものである。溶出温度は溶出成分がより結晶化しやすくなるにつれて高くなるので、溶出温度とポリマーの溶出量(質量%)との関係を求めることにより、ポリマーの結晶性分布を知ることができる。
上記測定方法において、カラムの温度の降下速度は、試料のポリオレフィンに含まれる結晶性部分の所定温度における結晶化に必要な速度に、また、カラムの温度の上昇速度は、各温度における試料の溶解が完了し得る速度に調整されることが必要であり、かかるカラムの温度の降下速度および上昇速度は予め実験によって決定すればよい。カラムの温度の降下速度は、5℃/分以下の範囲で、また、カラムの温度の上昇速度は、40℃/分以下の範囲で決定される。
本発明の基材層の少なくとも片面に積層する表面層、いわゆるエンボス加工してホログラムを形成する層は、前記連続昇温溶出分別法(TREF)により測定した溶出温度−溶出量曲線において、最大ピークのピークトップ温度(Tp)が70〜100℃に存在するプロピレン系共重合体よりなる。前記プロピレン系共重合体のTpが70℃未満である場合には、プロピレン系共重合自体が柔らかくなり、耐傷付き性が低下し、ホログラム柄の見栄えを損なうため好ましくない。また、Tpが100℃を超える場合は、プロピレン系共重合体の結晶性が高くなるため、エンボス加工によりホログラムを構成する凹凸を形成することが難しくなり、外観が良好なホログラムを得ることができなくなるため好ましくない。つまり、Tpが100℃を超えるプロピレン系共重合体を使用する場合には、エンボス加工時の温度を高めに設定すればある程度加工が可能となるが、エンボス加工温度が高温になると、ポリプロピレン系積層フィルム自体が熱により収縮あるいは溶融するため、ホログラムの柄が変形し、外観を悪化させる。更に、前記場合には、熱収縮の影響でフィルムにたるみが発生するため好ましくない。フィルムの生産性、ホログラムの外観を考慮すると、Tpは、好ましくは75〜95℃に存在し、更に、80〜90℃に存在することがより好ましい。
また、本発明において、表面層に使用する前記プロピレン系共重合体は、Tpが70〜100℃に存在し、かつ最大ピークの半値幅が10℃未満であることが重要である。最大ピークの半値幅とは、ピークトップの半分の高さにおける溶出温度の幅を示すものである(図1に本発明のプロピレン系共重合体の溶出曲線を示す)。つまり、この半値幅が狭いということは、プロピレン系共重合体の結晶性分布が狭いことを示す。
本発明においては、この半値幅が10℃未満である結晶性分布の狭いプロピレン系共重合体を表面層に使用する。このようなプロピレン系共重合体を使用することにより、下記に詳述するエンボス加工を行う際に、表面層が均一に軟化または溶解しているものと考えられる。そのため、ホログラムを構成する微細な凹凸が、表面層全体かつフィルムの厚み方向に均一に形成され、より外観の優れたホログラムフィルムが得られるものと考えられる。更に、このようなホログラムフィルムに金属反射層を更に設けた場合には、より鮮やかな彩色性を有するホログラムフィルムを得ることができる。
本発明において、プロピレン系共重合体の半値幅が10℃以上の場合は、プロピレン共重合体の結晶性分布が広がり、エンボス加工温度によっては不均一に軟化または溶解するものと考えられる。その結果、ホログラムを構成する凹凸が表面層に形成されにくくなり、ホログラムの抜け等が発生し、外観不良となるため好ましくない。尚、半値幅の下限は、特に制限されるものではないが、工業的に入手可能なものを考えれば2℃以上である。エンボス加工性、外観等を考慮すると、前記プロピレン系共重合体の半値幅は、2〜7℃であることがより好ましい。
また、前記表面層に使用するプロピレン系共重合体の融点は、特に制限されるものではないが、前記基材層に使用するポリプロピレン系樹脂の融点よりも、15〜65℃低いことが好ましい。前記プロピレン系共重合体の融点が、前記範囲を満足することにより、エンボス加工時に、金属製エンボスロール、予熱ロール等から積層フィルムが剥がれよくなり、ホログラムを構成する凹凸がよりはっきりと転写され、厚み精度もより良くなる。また、得られる積層フィルムにおいて、非晶質成分のブリードも少なく、外観のより良好なフィルムを得ることができる。本発明のポリプロピレン系積層フィルムが、優れた外観を有し、エンボス加工によってホログラムを構成する凹凸が厚みムラを生じることなく容易に形成されたものであるためには、該表面層に使用するプロピレン系共重合体の融点は、基材層に使用するポリプロピレン系樹脂の融点よりも、好ましくは20〜55℃低く、更に25〜50℃低いことがより好ましい。尚、この融点の差については、基材層に使用するポリプロピレン系樹脂が複数の混合物よりなる場合には、主成分となるポリプロピレン系樹脂を基準とし、表面層に使用するプロピレン系共重合体が複数の混合物よりなる場合には、TREFにより測定した最大ピークを示すプロピレン系共重合体の融点を基準としてやればよい。
本発明において、表面層に使用する前記プロピレン系共重合体は、前記最大ピークのピークトップ温度(Tp)、および該ピークの半値幅が前記範囲を満足すれば、特に制限されるものではなく、プロピレンと他のα−オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が1種類以上共重合されたものであってもよい。中でも、プロピレンと他のα−オレフィンとが1種類以上ランダム共重合された、二元、三元および多元ランダム共重合体が好ましい。さらに、これら共重合体を2種類以上混合したものでも構わない。また、前記プロピレン系共重合体は、メタロセン触媒で重合されたものを使用することが好ましい。
本発明において、表面層に使用する前記ポリプロピレン系共重合体には、前記最大ピークが70〜100℃に存在し、かつ該ピークの半値幅が10℃未満である要件を満足すれば、これら範囲を阻害しない割合で、他のプロピレン系共重合体を添加することもできる。即ち、表面層に使用する前記プロピレン系共重合体には、該プロピレン系共重合体100質量部に対して、前記範囲を阻害しないように他のプロピレン系共重合体を40質量部以下添加することもできる。中でも、前記ポリプロピレン系共重合体100質量部に対して、連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線において、最大ピークのピークトップ温度(Tp)が35〜50℃に存在し、かつ該ピークの半値幅が10℃未満である他のプロピレン系共重合体を1〜40質量部添加することが好ましい。前記要件を満足する他のプロピレン系共重合体を添加することにより、より低温でのエンボス加工が可能となるため、フィルムの白化を防ぎ、また熱収縮も小さくすることができる。更に、前記他のプロピレン系共重合体を添加することにより、表面層にホログラムを構成する凹凸がよりはっきりと転写されやすくなるため好ましい。
また、表面層に使用する前記プロピレン系共重合体のメルトフローレートも、特に制限されるものではないが、一般的な製膜を考慮すると1.0〜16.0g/10分の範囲のものを使用することが好ましい。
尚、表面層に使用するプロピレン系共重合体には、通常のポリプロピレンに使用されている酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、塩素補足剤、核剤、アンチブロッキング剤、有機・無機充填剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。中でも、後記の金属反射層を設けたポリプロピレン系積層フィルムにおいて、更に、金属反射層の上に感熱樹脂層を設け、転写フィルムとして使用する場合には、該表面層には、滑剤を含有させることが好ましい。滑剤が存在することにより、転写性を良好にすることができる。
本発明において、前記基材層と表面層からなる積層フィルムは、基材層の片面に表面層が存在する2層のフィルムであってもよいし、基材層の両面に表面層が存在する3層フィルムであってもよい。基材層と表面層を積層させるには、多層ダイスを用いて各層を形成する樹脂を共押出する共押出法を採用することもできるし、一方の層を形成するフィルムを成形した後、他方の層を形成する樹脂を溶融させ積層させるインラインラミ法を採用することもできる。もちろん、蒸着処理や印刷処理あるいは他のフィルムとラミネート加工を行うため、得られたフィルムにコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理など必要に応じて処理することもできる。
本発明において、表面層の厚みは、特に制限されるものではないが、前記積層フィルム全体の厚みの2〜50%であることが好ましい。尚、エンボス加工によって、ポリプロピレン系積層フィルムには多少の厚みムラは生じるが、エンボス加工による凹凸は、該ポリプロピレン系積層フィルム全体の厚みに対して非常に小さいものであるため、この厚みムラは無視することができる。即ち、本発明では、前記表面層の厚みの割合は、エンボス加工を施す前の積層フィルムから算出することができる。本発明においては、表面層の割合を2〜50%の範囲にすることにより、エンボス加工性に優れ、熱シール強度が高く、かつ白化することないポリプロピレン系積層フィルムを得ることができる。
尚、前記積層フィルム全体の厚みは、使用する用途に応じて適宜決定すればよいが、通常、製膜性、加工性、市場の要求を考慮すれば、10μm〜100μmである。
また、前記積層フィルムは、無延伸フィルム、1軸延伸フィルム、2軸延伸フィルムであってもよいが、中でも、後記に示す通り、フィルムの薄膜化、破断強度の高いフィルムを得るためには、2軸延伸フィルムであることが好ましい。
本発明において、前記基材層と前記表面層からなる積層フィルムは、特に制限されるものではないが、フィルムを薄膜化し、破断強度等の高いフィルムを得るためには、2軸延伸フィルムであることが好ましい。また、フィルムの厚みも、前記の通り、使用する用途に応じて適宜決定してやればよいが、2軸延伸フィルムとすることにより、10μm以上60μm未満の厚みのフィルムとすることができる。このように2軸延伸フィルムとすることにより、100μm未満の厚みのフィルムであっても、高い強度を有するフィルムとすることが可能となる。
本発明において、前記積層フィルムを2軸延伸フィルムにする場合には、各層に使用する樹脂を共押出した後、テンター法による同時2軸延伸法あるいは逐次2軸延伸法あるいは、チューブラー法による2軸延伸により延伸する方法を採用することができる。また、基材層に使用するポリプロピレン系樹脂を溶融押出してシートを成形した後、1軸方向に延伸し、次いで、その上に表面層に使用するプロピレン系共重合体を溶融押出して、上記1軸延伸の方向とほぼ直角方向に延伸する方法を採用することもできる。
本発明において、前記積層フィルムを2軸延伸フィルムにする場合には、延伸倍率は、フィルムの流れ方向(以下、MDとする)に2.0〜10.0倍、該方向と直角の方向(以下、TDとする)に2.0〜10倍延伸するのが好ましい。
本発明のポリプロピレン系積層フィルムは、前記積層フィルムの表面層の表面にホログラムを構成する凹凸が、エンボス加工により形成されたものである。表面層にホログラムが形成されれば、該凹凸の大きさは特に制限されるものではないが、ホログラム独特の虹色模様を鮮明に発現させるため、該表面層の表面には少なくとも可視光の波長よりも短い大きさの凹凸が形成されることが好ましい。具体的には、凹凸の高低差10〜1000nmであり、さらに好ましくは50〜800nmである。表面層が、少なくとも可視光の波長よりも短い大きさの凹凸を有することで鮮やかな虹色模様を有したホログラムフィルムとすることができる。また算術表面粗さ(Ra)で示すとその範囲は5〜500nmとなり、更にこのましくは25〜400nmである。その結果、金属反射層を蒸着することで、更に鮮やかなホログラムフィルムとすることができる。尚、当然のことながら、意匠性を高めるため、様々な柄模様のホログラムを形成する場合、前記表面層には、前記範囲の凹凸以外の部分や、前記範囲の表面粗さ以外の部分が含まれてもよい。尚、フィルム表面の凹凸状態は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)により測定することができる。
本発明において、積層フィルムの表面層の表面に、ホログラムを構成する凹凸をエンボス加工により形成させる方法としては、特に制限されるものではなく、積層フィルムを製膜し、巻取りを行う直前で該フィルムを加熱し、エンボス加工を行うこともできる。また、一旦、ロール状に巻き取った積層フィルムを巻き出し、加熱してエンボス加工を行うこともできる。これら方法を採用することにより、2軸延伸された表面層にエンボス加工を施すことができ、強度の高いフィルムとすることができる。
本発明において、前記方法により積層フィルムにエンボス加工を行う際には、積層フィルムの表面層を軟化、または溶融させた状態で金属製のエンボス加工用ロールとゴムニップロールとにより押圧することにより、該表面層の表面にホログラム模様を形成させる。
本発明において、前記方法で前記積層フィルムの表面層にエンボス加工(ホログラム模様)を施すための設備の一例を図4に示す。(尚、図4は、一旦、積層フィルムをロール状に巻き取ったものにエンボス加工を施す例である。)。これら設備は、巻出部1、予熱ロール2、ゴムニップロール3、エンボス加工用ロール4、コロナ処理5、巻取部6から構成されることが好ましく、エンボス加工を行う際は、巻取部1から積層フィルムを送り出し、予熱ロール2でフィルムを加熱した後、エンボス加工用ロール4とゴムニップロール3とで押圧することにより行う。
本発明において、図4のような設備を用いて、前記積層フィルムの表面層にホログラムを構成する凹凸を形成する方法は、積層フィルムの厚みにもよるが、前記の好適なフィルム厚さの範囲では、フィルムを送り出す速度(ロール回転速度)は、30〜80m/minであり、エンボスロール前に配置された予熱ロールの温度は、100℃〜180℃とすることが好ましい。また、前記製造条件において、更に金属製エンボスロール3の温度は、30〜100℃であることが好ましい。このエンボス加工用ロールの温度を前記範囲にすることで、前記積層フィルムの表面層の表面に、ホログラムを構成するような微細な凹凸でも、フィルムに厚みムラを生じることなく、容易に形成することができる。
本発明において、エンボス加工用ロール上のエンボス模様は、積層フィルムにホログラムを構成する凹凸が転写できるものを使用する。本発明のポリプロピレン系積層フィルムは、特定の結晶性分布を有するプロピレン系共重合体を表面層に使用しているため、エンボス加工用ロール4の模様の形態とほぼ同じ形態で該表面層の表面に凹凸を転写することがでる。また、加工時のフィルムの熱収縮が小さいため、成形性も改善できる。尚、エンボス加工用ロールは、ロールに直接ホログラム柄を加工したものでも、金属箔上にホログラム柄を加工した版をエンボス加工用ロールに貼り付けて使用してもよい。
本発明において、表面にホログラムを構成する凹凸が形成されたポリプロピレン系積層フィルムには、蒸着処理や印刷処理あるいは他のフィルムとラミネート加工を行うため、エンボス加工後に火炎処理、プラズマ処理、コロナ処理など公知の方法を利用して表面処理することも可能である。
本発明において、表面にホログラムを構成する凹凸が形成されたポリプロピレン系積層フィルムは、基材層、表面層がポリプロピレン系の樹脂より構成されているため、熱シール等による成形加工によって、容易に成形体を得ることができる。例えば、成形体として、半折による熱シールや溶断シール、あるいはフィルム複数枚を使用した熱シール(溶断シール)などの加工が容易にできる。このような成形体は、表面層と表面層が重なる状態で行われるが、本発明のポリプロピレン系積層フィルムは、下記の金属反射層又は透明保護層が積層されていない場合、比較的融点が低い樹脂を使用しているため、低温で熱シールが可能となり、熱シール部の強度の高いものとすることができる。
本発明において、前記ポリプロピレン系積層フィルムには、表面層に、更に、ホログラム模様を保護する保護層となる、金属反射層又は透明保護層を積層することもできる。尚、当然のことながら、金属反射層又は透明保護層は、ホログラムを構成する凹凸が形成された表面の上に積層される。この場合、表面層には、コロナ処理等により表面の濡れ性を高めることが好ましい。具体的には、表面層の表面の濡れ指数が44〜35dynとなるようにコロナ処理等を行うことが好ましい。
本発明において、前記ポリプロピレン系積層フィルムのホログラムが形成された面に、更に、金属反射層を積層することにより、ホログラム柄を摩擦や透明接着剤のコートによるホログラム消失から保護すると同時に、ホログラムの柄が、より一層鮮やかに浮かび上がり虹色性が向上したものを得る事が出来る。前記金属反射層を積層する方法を具体的に例示すれば、アルミニウム、金、銀、銅、およびこれらの合金等の金属を蒸着することにより積層することができ、中でも、アルミニウムを蒸着することが工業上、好ましい。また、金属反射層の厚みは、ホログラムの模様、ホログラム性を考慮すると5〜500nmである。さらに本発明には、前記したように請求項1に示すプロピレン系共重合体を用いることによって、金属反射層とホログラムが形成された面との密着性がさらに強くなるため好適である。
また、前記ポリプロピレン系積層フィルムの表面層に、更に、透明保護層を積層することもできる。透明保護層を積層することにより、透明性を有したまま、擦れや透明接着剤などによってホログラムが消失をすることなく、フィルムの積層加工が可能となる。前記透明保護層を積層する方法を具体的に例示すれば、硫化亜鉛、あるいはフィルムが黄色く着色するのを防止するために硫化亜鉛に少量のマグネシウムを含有したもの、酸化ケイ素化合物等を蒸着することにより積層することができる。また、この透明保護層の厚みも、金属反射層と同じく、意匠性、蒸着する成形性を考慮すると5〜500nmである。
本発明において、金属反射層又は透明保護層を積層する方法としては、通常の公知の方法が採用され、具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を採用することができる。
本発明において、前記ポリプロピレン系積層フィルムは、様々な機能を持たせるため、ホログラムを消失させず、ホログラム模様を残したまま、更に、熱可塑性樹脂フィルムを積層した多層フィルムとすることもできる。ホログラム模様を残したまま、熱可塑性樹脂フィルムを積層するとは、例えば、ポリプロピレン系積層フィルムが金属反射層又は透明保護層を積層していない場合、ホログラム加工を施していない面に、更に、熱可塑性樹脂フィルムを積層してやればよい。また、金属反射層又は透明保護層を積層した場合には、少なくとも金属反射層又は透明保護層の面に、更に、熱可塑性樹脂フィルムを積層してやればよい。
本発明おいて、前記熱可塑性フィルムとは、熱可塑性樹脂を製膜したものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンに代表されるポリオレフィン系のフィルム、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムであって、単層フィルムであってもよく、ヒートシール機能を有するなどの多層系フィルムであってもよい。更に、無延伸あるいは延伸されているフィルムであってもよい。中でも、回収、廃棄を考えるならば積層する熱可塑性フィルムは、ポリプロピレン系のフィルムとした方が有利となる。また、これら熱可塑性樹脂フィルムは、積層前に印刷や金属蒸着が施されたものであってもよい。
本発明において、前記熱可塑性樹脂フィルムは、使用する用途に応じて適宜選択してやればよい。例えば、ポリプロピレン系積層フィルムにおいて、より耐熱性を向上させるためには、金属反射層又は透明保護層を積層していない場合、ホログラム加工を施していない面にポリエステルフィルムを公知の方法により貼り合わせた多層フィルムとすることができる。
また、ポリプロピレン系積層フィルムに金属反射層又は透明保護層を積層したフィルムは、そのもの自体で熱シールは可能であるが、より熱シールの強度を高めるために、ポリオレフィン系フィルムを金属反射層又は透明保護層の面に積層することもできる。また、フィルム強度、耐熱性を向上させるために、ポリエステル系フィルムを積層することもできる。その場合、熱シールを行う面(成形体の袋内部分)にはポリオレフィン系フィルムを、その反対面には熱シーラー部に直接振れることから耐熱性を向上させるため、ポリエステル系フィルムを積層することが好ましい。
本発明において、熱可塑性フィルムを積層する方法は、接着剤をコートし積層させるドライラミ法、溶融樹脂を積層させる押出しラミ法などの公知の方法で、ホログラム模様が消えないように積層してやればよい。このようにフィルムを積層させたホログラムフィルムは、該フィルムを成形体の全体部分あるいは成形体の一部分(例えばヘッダーと呼ばれる部分)に自由に使用することもできる。特に、金属反射層などを蒸着し、両面に熱シールが可能な熱可塑性フィルムを貼り合せたものは、両面とも熱加工が可能であって、かつホログラムの虹色がより鮮やかとなるため、非常に特徴のある成形体として仕上がる。
本発明において、積層される熱可塑性フィルムについては、事前に印刷を施したフィルムを積層させることもできる。印刷されたフィルムとホログラムを組み合わせることで、ホログラム柄と印刷が重なり合ったより意匠性を有したフィルム及びその成形体を得ることが可能となる。
本発明において、前記ポリプロピレン系積層フィルムに、使用する用途に応じて更に熱可塑性樹脂フィルムを積層することにより、得られる多層フィルムは、例えば、熱シール等の2次加工性(成形性)が向上し、熱可塑性樹脂の特性により熱加工安定性や、芳香遮断性が向上した包材として使用できる。
以下に、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)融点の測定
セイコー電子社製のDSC装置DSC6200を用い下記条件にて測定した。
試料量:約5mg
雰囲気ガス:窒素(流量20ml/分)
温度条件:230℃に10分間保持した後、10℃/分で30℃まで降温し、引き続いて10℃/分で昇温した時の融解の吸熱挙動を測定し、そのピーク温度を融点とした。
(2)透明性(ヘイズ値)
JIS Z1712に準じてフィルム1枚でのヘイズ値を測定した。
(3)昇温溶離分別方法(TREF)による最大ピークの温度(Tp)、半値幅の測定
センシュ−科学社製の自動TREF装置SSC−7300ATREFを用い、次ぎの条件で測定した。
溶媒:オルトジクロルベンゼン
流速:150ml/時間
昇温速度:4℃/時間
検出器:赤外線検出器
測定端数:3.41μm
カラム:30mmΦ×300mm
充填剤:クロモソルブP(商品名)
濃度:1g/120mm
注入量:100ml
この場合、カラム内に試料溶液を145℃で導入した後、2℃/時間の速度で10℃まで徐冷して試料樹脂を充填剤表面に吸着させた後、カラム温度を前述条件で昇温することにより、各温度で析出してきた樹脂濃度を赤外線検知器で測定し、溶出曲線を得た(図1、図2、図3)。これより、最大ピークの温度(Tp)及びピークの1/2の高さから半値幅(℃)を求めた。
実施例1
(二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造)
基材層にMFR=3g/10分、融点160℃の一般的な二軸延伸用ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー製 商品名 F−300SP)を使用した。片方のスキン層には、同原料を用い、ブロッキング防止剤として平均粒子径2μの炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製 商品名 CUBE−18BHS)を0.1%になるように配合した。もう片方のスキン層いわゆるエンボス加工によりホログラムを形成する表面層には、プロピレン系共重合体としてMFR=8g/10分、融点125℃、TREFで求めたTp=80℃、半値幅が5℃のランダムPP(日本ポリプロ製 商品名 WFX4)を使用した。
これらの樹脂を基材層用押出機、各スキン層用押出機にそれぞれ充填し、250℃の成形温度で押出し、押出し機の押出量比で基材層押出量18に対して各スキン層押出量が1で設定された溶融樹脂を冷却ロールで冷却させる事によって、総厚み1mmの3層シートを作成した。次いでこれを縦方向に120℃の温度にて5倍ロール間の速度差によって延伸した。引き続いてテンターと呼ばれるオーブンにて180℃の温度によって横方向に10倍延伸し、これを巻き取り機で巻き取る事により、層厚みが20μm、各スキン層厚みが1μmのポリプロピレン系積層フィルムを得た。
(エンボス加工によるホログラムの形成)
北京創作科技有限会社製CZ−RY系ホログラム加工機を用いてエンボス加工を行った(図4)。巻出部1から送られたフィルムは、145℃に設定した予熱ロール2にて加熱され、ホログラム加工にはAL箔上に柄を刻印したホログラム加工版を、40℃に設定されたエンボス加工用ロール4の表面に貼り付けたものとポリプロピレン系積層フィルムのポリプロピレン系共重合体を積層させた面とを接触させ、その時、ゴムニップロール3で押圧することで、版の模様をフィルムに転写することで行った。その後、巻取り部6で巻き取ることでホログラムフィルムを作成した。得られたホログラムの優劣については下記に示す方法にてホログラムの凹凸の測定及び算術平均粗さ(Ra)の測定及び目視にて判定した。なお、使用した版は、ホログラムの虹色性を示す凹凸が260nm、Raが70nmの版を用いた。
(走査型プローブ顕微鏡(SPM)によるポリプロピレン系積層フィルムの凹凸、算術平均粗さ(Ra)の測定)
装置:Digital Instruments製 NanoscopeIIIa及び位相差エクステンダーモジュール
測定条件:タッピングモードAFMにて Height ImageとPhase Imageを観察、
Scan Size 70μ〜5μ
探針:単結晶Si製探針(型番:NCH-10V)
このようにして得られた像から、高さプロファイルをn=5で測定し、ホログラムの凹凸及びRaを測定した。
(ホログラムの外観判定)
ホログラム外観の判定については、まず、ホログラム加工版をSPMで測定し、加工版の凹凸を調べる。次いで同様の加工版でホログラム加工したフィルムの同じ柄の部分を同様にSPMで測定したホログラムフィルムの凹凸を測定し、加工版の凹凸とホログラム版の凹凸の比が、加工版凹凸/ホログラムフィルム凹凸=0.3〜3.0の範囲内にあり、さらに目視による外観判定にて鮮やかに虹色模様が得られる最良のものから順次◎、〇、△の判定とした。また該凹凸の比が0.3以下あるいは3.0以上の範囲外のものあるいは、×とした。
(ホログラムの耐傷付き性の評価)
縦延伸方向に30cm横延伸方向に20cmで切り出したフィルムを2枚用意し、一方のフィルムをホログラム加工された面が上面となるようにセロテープ(登録商標)等で固定し下部フィルムとした。もう一方のフィルムを直径10cm円の面積上にホログラム加工された面が上面となるようにセロテープ(登録商標)で固定し上部フィルムとした。下部フィルムの上に上部フィルムをのせ4.6kgの荷重を与えて、20cm間水平に同じ場所を5往復擦り合わせた。この操作を行う前と後のヘイズ値を前述した方法で測定し、擦り合わせ後と擦り合わせ前のヘイズ値の差から下記のように4段階評価を行った。
◎:0〜1.5%未満
○:1.5〜3.0%未満
△:3.0〜6.0%未満
×:6%以上
こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの評価結果を表1に示した。
実施例2
実施例1において、ホログラム加工面(表面層)に使用するプレピレン系共重合体が、実施例1で使用したランダムPP(日本ポリプロ製 商品名 WFX4)100質量部に対して、Tp=37℃、半値幅10℃、融点が70℃のプロピレン系共重合体(三井化学製 商品名 タフマーXM7070)を30質量部ブレンドしたものである以外は実施例1と同様に行った(図3)。またブレンドした時の最大ピークにおけるTp及び半値幅は実施例1と同様であった。こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの評価結果を表1に示した。
実施例3
基材層にMFR=8g/10分、融点160℃のホモPP(住友化学製 商品名 FLX80E5)を用い、片方のスキン層には基材層と同等の原料を用い、AB剤として平均粒子径4μの炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製 商品名 CUBE−40KAS)を0.1%となるように配合した。もう一方のホログラムを形成するスキン層(表面層)のプロピレン系共重合体には実施例1と同様なものを用い、これをそれぞれの押出機に充填し、押出量比で層構成を1/8/1に設定した後、冷却ロールに接触させることにより、製膜速度30m/分にてフィルムを冷却させそのまま、巻取機にて巻き取り、総厚み60μm、各スキン層6μmの無延伸フィルムを得た。その後、実施例1と同様にホログラム加工を行った以外は実施例1と同様に行った。こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの評価結果を表1に示した。
実施例4
実施例1において、ホログラム加工面(表面層)に使用するプロピレン系共重合体として、Tp=90℃、半値幅が5℃、融点が135℃のもの(日本ポリプロ(株)製商品名 WFW4)を使用した以外は実施例1と同様に行った。こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの評価結果を表1に示した。
比較例1
実施例1において、ホログラム加工面(表面層)に使用するプロピレン系共重合体として、図2に示すTp=92℃、半値幅が15℃のもの(住友化学製 商品名 FS3611)を使用した以外は実施例1と同様にして行った。こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの評価結果を表1に示した。
比較例2
実施例1において、ホログラム加工面(表面層)に使用するプロピレン系共重合体として、Tp=115℃、半値幅が8℃のもの(サンアロマー製 商品名 PC412A)を使用した以外は実施例1と同様にして行った。こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの評価結果を表1に示した。
比較例3
実施例1において、ホログラム加工面(表面層)に使用するプロピレン系共重合体として、Tp=48℃、半値幅が9℃のもの(三井化学製 商品名 XM7080)を使用した以外は実施例1と同様にして行った。こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの評価結果を表1に示した。
比較例4
実施例3において、ホログラム加工面(表面層)に使用するプロピレン系共重合体として、比較例3で示したプロピレン系共重合体を用いた以外は実施例3と同様に行った。こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの評価結果を表1に示した。
Figure 2007069600
実施例5
実施例1で得られたポリプロピレン系積層フィルム(ホログラムフィルム)に、下記に示す方法にて金属反射層を積層させた。
(金属反射層の積層加工)
上海曙光真空設備有限会社製ZZ−1800高真空蒸着フィルム製造設備による金属反射層の積層を行った。該積層の膜厚は、フィルム面積に対する膜厚の理論量にて蒸着物の膜厚制御を行った。例えばフィルム1cmに対して、100nmのアルミニウム蒸着層を積層させる場合、理論的に必要量は、0.29gであるが、10%増量した0.33gを仕込み、連続的に蒸着処理を施し、1cm蒸着する時に0.3gが完全に消費するように機械設定を行うことで膜厚の制御を行った。また、実際に積層された膜厚については、以下に示す方法にて測定したところ、40nmであった。
(金属反射層の膜厚実測)
実際に積層された膜厚の測定は、以下に示す蛍光X線による吸光光度から検量線を用いて膜厚を測定した。すなわちOXFORD製Lab−X3000の蛍光X線装置を用い、蒸着物について対応する元素の特定X線の強度測定を行い、予め積層膜厚既知の標準サンプルを使用して作成した積層膜圧と特定X線強度の検量線から、蒸着膜厚を測定した。
(金属反射層又は透明保護層とポリプロピレン系積層フィルムの密着強度測定)
市販の幅15mmのニチバン製セロテープ(登録商標)を用い、金属反射層又は透明保護層を積層させた面にフィルム縦方向に20cm程、完全に密着するように貼り合せる。これを直ぐ剥離させ、剥離状態を目視で観察し、4段階評価を行った。
◎:テープ側に金属反射層及び透明蒸着層の剥離がまったくなし。
○:テープ側に面積で5%以下の剥離あり。
△:テープ側に面積5%以上30%以下の剥離あり。
×:テープ側に面積30%以上の剥離あり。
こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの評価結果を表2に示した。
(金属反射層又は透明保護層の積層外観評価(蒸着抜け評価)
フィルムを流れ方向で10M毎に10cm×10cmに切り出し、レーザーテック製レーザー顕微鏡 1LM21型を用いて0.2mmΦ以上の蒸着抜けを観察、その個数を測定した。それをn=10、(流れ方向で100M)で測定した平均値により、3段階での外観評価をした。評価結果を表2に示した。
○:0.0〜1.0個以下。
△:1.0〜2.0個以下。
×:2.0個以上。
実施例6
実施例1で得られたホログラム加工を行ったポリプロピレン系積層フィルムに、実施例5と同様の装置を用い、硫化亜鉛による透明蒸着を行った。得られた硫化亜鉛の厚みは実施例5と同様に蛍光X線の亜鉛の特性X線強度を測定し、既に硫化亜鉛で蒸着した蒸着厚みが既知のフィルムを用いて得られた検量線にて厚みを測定した。こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの評価結果を表2に示した。
実施例7
実施例3で得られたホログラム加工を行ったポリプロピレン系積層フィルムに、実施例5と同じ方法により金属蒸着層を積層した以外は実施例5と同様に行った。こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの評価結果を表2に示した。
実施例8
実施例1で得られたホログラム加工を行ったポリプロピレン系積層フィルムに、実施例5と同じ方法で金属反射層の積層を行い、蒸着膜厚の設定を400nmとし、実際の膜厚を420nmとした以外は実施例5と同様に行った。こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの評価結果を表2に示した。
比較例5
比較例1で得られたポリプロピレン系積層フィルムに、実施例5と同じ方法で金属反射層を積層した以外は実施例5と同様に行った。こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの評価結果を表2に示した。
比較例6
比較例3で得られたポリプロピレン系積層フィルムに、実施例5と同じ方法で金属反射層を積層した以外は実施例5と同様に行った。結果を表2に示した。
Figure 2007069600
実施例9
実施例1で得られたポリプロピレン系積層フィルム(ホログラムフィルム)のホログラム加工を施していない面に、市販の無延伸ポリオレフィンフィルム(サン・トックス製CPP 商品名 LU02#20)に一般的な接着剤、硬化剤からなる2液型ドライラミネート剤を有機溶剤で希釈したものを用いて、1〜2μmの厚さとなるようコートした後、貼り合せた。次いで無延伸ポリオレフィンフィルム積層面が袋の内側になるように、以下に示す方法によって熱シール加工(溶断シール加工)を行い、成形体を得たのち、評価を行った。
(成形体製造方法)
成形体については、共栄印刷(株)溶断シール機PP−500を用い、溶断刃の設定温度360、400、450℃、120ショット/分で製袋することによって成形体を製造した。以下に成形体の評価を示す。
(成形体の評価(溶断シール強度の測定)
島津製作所製AGS−D型のオートグラフを用い、溶断シール部を15mm幅の短冊状に切り出したサンプルの引張試験を行い、溶断シール部から破断した時点の強度を同一製袋品で5水準さらに5袋計25水準で行い、その平均値を溶断シール強度とした。さらに成形体の判定を外観目視及び溶断シール強度の平均値から以下のように判定した。
◎:溶断シール部のシワ、よじれ、ひげもなくきれいにシールできており、それぞれの溶断シール温度における強度が25N/15mm以上のもの。
○:溶断シール部のシワ、よじれ、ひげもなくきれいにシールできており、それぞれの溶断シール温度における強度が15以上25N/15mm以下のもの。
△:シワ、よじれ、ひげのいずれかが発生しているが、それぞれの溶断シール温度における強度が15以上25N/15mm以下のもの。
×:しわ、よじれ、ひげのいずれかが発生しており、かつそれぞれの溶断シール温度における強度が15N以下のもの。
こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの成形体の評価結果を表3に示した。
実施例10
実施例5で得られた金属反射層を有するホログラムフィルムの金属反射層面に、市販の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(サン・トックス製 商品名 PA20#20)に印刷を施したフィルムを、実施例9で使用したドライラミネート剤を用いて印刷部と金属反射層面とを貼り合せ、その反対面には実施例9と同様に無延伸フィルムを貼り合せた以外は実施例9と同様に行った。こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの成形体の評価結果を表3に示した。
実施例11
実施例10に示すフィルムの二軸延伸ポリプロピレンフィルムの替わりに、市販のポリエステルフィルム(東洋紡製 商品名 E5100)#12を貼り合せた以外は実施例9と同様に行った。こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの成形体の評価結果を表3に示した。
実施例12
実施例5で得られたフィルムの金属反射面を袋外になるようにして実施例9に示す方法にて成形体を製造し、その評価は実施例9と同様に行った。こうして得られたポリプロピレン系積層フィルムの成形体の評価結果を表3に示した。
Figure 2007069600
実施例1の表面層に使用したプロピレン系共重合体のTREFの溶出温度−溶出量曲線 比較例1の表面層に使用したプロピレン系共重合体のTREFの溶出温度−溶出量曲線 実施例2の表面層に使用したプロピレン系共重合体のTREFの溶出温度−溶出量曲線 表面層にエンボス加工(ホログラム模様)を施すための設備の一例を示す概略図
符号の説明
1 巻出部
2 予熱ロール
3 ゴムニップロール
4 エンボス加工用ロール
5 コロナ処理
6 巻取部

Claims (4)

  1. ポリプロピレン系樹脂よりなる基材層の少なくとも片面に、連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線において、最大ピークのピークトップ温度(Tp)が70〜100℃に存在し、かつ該ピークの半値幅が10℃未満であるプロピレン系共重合体よりなる表面層を積層してなる積層フィルムであって、該表面層の表面にホログラムを構成する凹凸が、エンボス加工により形成されたものであることを特徴とするポリプロピレン系積層フィルム。
  2. 表面にホログラムを構成する凹凸が形成された表面層に、更に金属反射層又は透明保護層を5〜500nmの厚みで積層してなることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系積層フィルム。
  3. 請求項1〜2の何れかに記載のポリプロピレン系積層フィルムに、更に、ホログラムが消失しないように熱可塑性樹脂フィルムを積層してなることを特徴とする多層フィルム。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載のフィルムを熱シールして得られる成形体。

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WO2022130952A1 (ja) * 2020-12-17 2022-06-23 凸版印刷株式会社 化粧シート及び化粧シートの製造方法

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