JP2007069549A - キャリッジモータの制御方法、キャリッジモータの制御装置、プログラムおよびこれを備えたインクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】 インクジェットヘッドの往復動に伴う負荷抵抗が経時的に変化しても、印刷品質および印刷時間を適切に維持することができるキャリッジモータの制御方法、キャリッジモータの制御装置、プログラムおよびこれを備えたインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】 キャリッジに搭載したインクジェットヘッドを往復動させるキャリッジモータを、加減速制御するキャリッジモータの制御方法において、キャリッジの移動に伴う負荷値を測定する負荷測定工程と、測定した負荷値に対応して、キャリッジモータの印加電流値を定数化した制御定数を設定する制御定数設定工程と、設定した制御定数に基づいて、キャリッジモータを加減速制御する制御工程と、を備えた。
【選択図】 図8
【解決手段】 キャリッジに搭載したインクジェットヘッドを往復動させるキャリッジモータを、加減速制御するキャリッジモータの制御方法において、キャリッジの移動に伴う負荷値を測定する負荷測定工程と、測定した負荷値に対応して、キャリッジモータの印加電流値を定数化した制御定数を設定する制御定数設定工程と、設定した制御定数に基づいて、キャリッジモータを加減速制御する制御工程と、を備えた。
【選択図】 図8
Description
本発明は、キャリッジを駆動するためのキャリッジモータを制御するキャリッジモータの制御方法、キャリッジモータの制御装置、プログラムおよびこれを備えたインクジェットプリンタに関するものである。
従来、この種のキャリッジモータの制御方法として、ガイド部材上を摺動するキャリッジの駆動源となるキャリッジモータの負荷を測定し、測定した負荷が一定値を超えたら、キャリッジの定速移動領域における移動速度を、幾分低速になるように制御するものが知られている(特許文献1参照)。これによれば、キャリッジを往復動する際、摺動抵抗があると、キャリッジモータに負荷が掛かってしまい速度変動が生じてしまうため、キャリッジの速度を低速とすることで、キャリッジ(インクジェットヘッド)の往復動における速度変動を抑制するようにしている。
特開2004−181684号公報
しかしながら、このようなキャリッジモータの制御方法では、移動するキャリッジの摺動負荷が大きくなると、インクジェットヘッドが低速で移動することになるため、印刷品質は維持できるものの、印刷時間が長くなる問題があった。
本発明は、インクジェットヘッドの往復動に伴う負荷抵抗が経時的に変化しても、印刷品質および印刷時間を適切に維持することができるキャリッジモータの制御方法、キャリッジモータの制御装置、プログラムおよびこれを備えたインクジェットプリンタを提供することを課題とする。
本発明のキャリッジモータの制御方法は、キャリッジに搭載したインクジェットヘッドを往復動させるキャリッジモータを、加減速制御するキャリッジモータの制御方法において、キャリッジの移動に伴う負荷値を測定する負荷測定工程と、測定した負荷値に対応して、キャリッジモータの印加電流値を定数化した制御定数を設定する制御定数設定工程と、設定した制御定数に基づいて、キャリッジモータを加減速制御する制御工程と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明のキャリッジモータの制御装置は、キャリッジに搭載したインクジェットヘッドを往復動させるキャリッジモータを、加減速制御するキャリッジモータの制御装置において、キャリッジの移動に伴う負荷値を測定する負荷測定手段と、測定した負荷値に対応して、キャリッジモータの印加電流値を定数化した制御定数を設定する制御定数設定手段と、設定した制御定数に基づいて、キャリッジモータを加減速制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、負荷値に対応する制御定数を設定することで、キャリッジモータへ流す電流値(パワー)を、適宜調節することができる。すなわち、負荷値が大きい場合には、制御定数の値を大きくすることで、キャリッジモータに印加する電流値を上げるようにしているため、キャリッジ等の負荷に抗し、目標速度の変動を抑制することができる。これにより、キャリッジ(インクジェットヘッド)を速度変動なく円滑に移動させることができ、印刷品質および印刷時間に支障をきたす虞はない。
この場合、制御工程では、インクジェットヘッドの加速移動区間、定速移動区間および減速移動区間における目標速度を規定する加減速テーブルに基づいて、キャリッジモータを制御することが、好ましい。
この構成によれば、キャリッジモータの駆動を加減速テーブルに則して制御することで、キャリッジモータの加減速制御を簡単且つ精度良く行うことができる。
この場合、加減速テーブルは、負荷値に対応して複数のものが用意され、負荷測定工程の測定結果に応じて複数のものから選択されることが、好ましい。
また、この場合、制御手段の加減速制御は、加減速テーブルに基づいて行われ、加減速テーブルは、負荷値に応じて規定した複数のものから選択されることが、好ましい。
この構成によれば、キャリッジモータが受ける負荷値に応じて、キャリッジの往復動作における理想的な加減速テーブルを選択することができ、インクジェットヘッドの移動を安定(速度変動を抑制)させることができる。
この場合、複数の加減速テーブルのうち、大きな負荷値に対応する加減速テーブルは、加速移動区間および減速移動区間において、目標速度が小さい加減速度に設定され、小さな負荷値に対応する加減速テーブルは、加速移動区間および減速移動区間において、目標速度が大きい加減速度に設定されていることが、好ましい。
この構成によれば、負荷値に対応した加速度テーブルを選択することで、加速移動区間、減速移動区間において、インクジェットヘッドの往復動作をより安定なものとすることができる。
この場合、負荷測定工程は、キャリッジモータの制御データ上の電流値と、実際に駆動したときの測定電流値との差から、負荷値を求めることが、好ましい。
この構成によれば、キャリッジを往復動作するだけで、簡単に負荷値を測定することができる。すなわち、独立した負荷値測定装置を必要とすることなく、負荷値を簡単に取得することができる。
本発明のプログラムは、上記のキャリッジモータの制御方法における各工程を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
この構成によれば、インクジェットヘッドの往復動に伴う負荷抵抗が経時的に変化しても、印刷品質および印刷時間を適切に維持することができるプログラムを提供することができる。
本発明のインクジェットプリンタは、上記のキャリッジモータの制御装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、インクジェットヘッドの往復動に伴う負荷抵抗が経時的に変化しても、印刷品質および印刷時間を適切に維持することができるインクジェットプリンタを提供することができる。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタにについて説明する。このインクジェットプリンタは、パソコン等のホストコンピュータに接続され、ホストコンピュータから転送された印刷データに基づいて、ロール紙または単票紙に印刷を行うものである。
図1は、本実施形態におけるプリンタ全体の外観斜視図、図2は、後部カバーを開放すると共に、前部カバーを外したインクジェットプリンタの外観斜視図である。両図に示すように、このインクジェットプリンタ1は、開閉カバー2で上面を覆われた装置ケース3により外郭を構成されている。開閉カバー2は、前部カバー4および後部カバー5で構成されており、これらは独立して開閉可能となっている。装置ケース3には、内部装置6が組み込まれた装置フレーム11が固定されている。装置フレーム11の前部には、ベースフレーム13および一対のサイドフレーム14から構成される、トレー状の載置フレーム12が固定されている。装置フレーム11の後部には、ロール紙P1を収容するための収容ポケット15が形成されていると共に、後部カバー5を開閉自在に支持するカバーフレーム16が固定されている。
収容ポケット15に収容されたロール紙P1は、ロール紙送り経路R1に沿って送られ、後部カバー5に形成されたロール紙排紙口21から排紙される。一方、単票紙P2は、装置ケース3の前部に形成された単票紙挿入口22から挿入され、単票紙送り経路R2に沿って送られた後、前部カバー4に形成された単票紙排紙口23から排紙される。なお、ロール紙送り経路R1および単票紙送り経路R2は、途中で合流して、下方から上方に向かい略鉛直に延びる合流送り経路R3を形成した後、再び分岐する構成となっている(図3参照)。
内部装置6は、基本的な構成として、インクジェットヘッド61(後述する)を備え、印刷対象物(ロール紙P1および単票紙P2)に印刷を行うための印刷手段31と、印刷対象物を所定の送り経路(R1、R2)に沿って送る送出手段32と、インクカートリッジ111を有し、インクジェットヘッド61にインクを供給するインク供給手段33と、印刷済みのロール紙P1の切断を行う切断手段と、これら各手段を相互に関連させながら制御することにより、インクジェットプリンタ1全体を制御する制御手段と、を備えている。
図2に示すように、印刷手段31は、上記した載置フレーム12に支持され、インクを吐出するインクジェットヘッド61をX軸方向に移動させるためのヘッド移動機構41と、ヘッド移動機構41に支持され、インクジェットヘッド61を搭載するヘッドユニット42と、で構成されている。
同図に示すように、ヘッド移動機構41は、ヘッドユニット42(インクジェットヘッド61)をX軸方向、すなわち主走査方向に移動させるためのキャリッジモータ51と、キャリッジモータ51に接続された右側の駆動プーリ52と左側の従動プーリ(図示省略)との間に掛け渡したタイミングベルト54と、ヘッドユニット42をX軸方向にスライド自在に支持すると共に、ヘッドユニット42の移動をガイドするガイド部材55と、を有している。
キャリッジモータ51は、正逆回転可能なDCモータで構成されており、その出力軸の軸端には、キャリッジモータ51の回転数を検出する速度検出センサ58が固定されている。速度検出センサ58は、スリット円板とこれに臨むフォトインタラプタから成るロータリエンコーダーで構成されている。
駆動プーリ52および従動プーリは、タイミングベルト54が、主走査方向に対して平行に掛け渡されるように、載置フレーム12に固定されている。ガイド部材55は、上記したサイドフレーム14に主走査方向に平行に掛け渡されている。ガイド部材55は、ガイドロッド56およびガイドプレート57から構成されており、これら両部材によりヘッドユニット42のキャリッジ62(後述する)がスライド自在に支持されている。なお、ヘッドユニット42の移動可能範囲、すなわちヘッド移動領域Mは予め定められており、ヘッド移動機構41は、ヘッド移動領域Mの範囲内でヘッドユニット42を往復動させている。
ヘッドユニット42は、インクジェットヘッド61と、インクジェットヘッド61を搭載するキャリッジ62と、で構成されている。インクジェットヘッド61は、上記した合流送り経路R3に臨み、合流送り経路R3を送られていく印刷対象物にインク滴を吐出させるもので、インク供給手段33のインクカートリッジ111からインクの供給を受けるインク導入部(図示省略)と、供給されたインクを吐出させるための多数の吐出ノズル(図示省略)を有するヘッド本体64と、を備えている。
図2および図3に示すように、キャリッジ62は、ヘッド移動機構41のガイド部材55に支持される一方、鉛直に延びる合流送り経路R3に対して、インクジェットヘッド61のノズルプレート65が平行となるように、すなわちノズルプレート65が鉛直となるように、ヘッド本体64を合流送り経路R3に突出させてインクジェットヘッド61を保持している。キャリッジ62の基部は、タイミングベルト54の一部に固定されており、キャリッジモータ51が正逆回転すると、インクジェットヘッド61の支持姿勢を保持した状態で、タイミングベルト54を介してキャリッジ62がヘッド移動領域M内を(主走査方向に)往復動する。
なお、載置フレーム12には、X軸リニアエンコーダー68が配設されており、ヘッド移動領域Mを主走査方向に移動するキャリッジの移動位置を正確に把握できるようになっている。図示省略したが、X軸リニアエンコーダー68は、主走査方向に延在するリニアスケールと、キャリッジ62に搭載されたフォトセンサと、で構成されており、フォトセンサでリニアスケールに設けられた多数の検出線を順次検出(カウントアップ)していくことにより、移動するキャリッジ62の位置を検出できるようになっている。
送出手段32は、所定の送り経路に沿って、印刷対象物を副走査方向(Y軸方向)に送出するものであり、収容ポケット15に収容されたロール紙P1を繰り出すと共に、繰出したロール紙P1をロール紙送り経路R1に沿ってロール紙排紙口21まで送るロール紙送り機構71と、単票紙挿入口22から挿入された単票紙P2を単票紙送り経路R2に沿って単票紙排紙口23まで送る単票紙送り機構72と、ロール紙送り機構71および単票紙送り機構72の駆動源となる駆動モータ73と、駆動モータ73の動力をロール紙送り機構71および単票紙送り機構72に選択的に、かつ減速して伝達する動力伝達機構(図示省略)と、を備えている(図3参照)。
ロール紙送り機構71は、ロール紙送り経路R1に沿って配設されており、ロール紙送り経路R1の上流側に配設され、収容ポケット15に収容されたロール紙P1を繰り出すロール紙給紙部81と、ロール紙送り経路R1の下流側に配設され、ロール紙給紙部81により繰り出されたロール紙P1を、ロール紙送り経路R1に沿ってロール紙排紙口21へ送出するロール紙排紙部82と、を有している。ロール紙給紙部81は、ロール紙P1を繰り出すための給紙ローラ83を有している。給紙ローラ83は、ロール紙P1を挟んで対峙するグリップローラで構成されており、駆動モータ73に接続された給紙駆動ローラ84および、給紙駆動ローラ84に付勢された給紙従動ローラ85で成り立っている。ロール紙排紙部82は、繰出されたロール紙P1を排紙する排紙ローラ86を有している。排紙ローラ86も、給紙ローラ83と同様にグリップローラで構成され、駆動モータ73に接続された排紙駆動ローラ87と、排紙駆動ローラ87に付勢された排紙従動ローラ88と、を有している。
単票紙送り機構72は、単票紙送り経路R2に沿って配設されており、挿入された単票紙P2を単票紙送り経路R2に沿って送るための単票紙送りローラ91を有している。単票紙送りローラ91も、上記の給紙ローラ83と同様にグリップローラで構成されており、駆動モータ73に接続された駆動ローラ92および駆動ローラ92に押圧するように付勢された従動ローラ93から構成されている。駆動モータ73は、正逆回転可能なDCモータで構成されており、その出力軸の軸端には、駆動モータ73の回転数を検出する送り量検出センサ101(ロータリエンコーダー)が固定されている。印刷対象物の送り量は、駆動モータ73の回転量に規定されており、送り量検出センサ101に基づいて駆動モータ73を駆動制御することにより、印刷対象物の送り量を制御できるようになっている。
インク供給手段33は、上記した載置フレーム12に載置され、インクを貯留するインクカートリッジ111と、インクカートリッジ111とインクジェットヘッド61とを接続し、インクカートリッジ111からインクジェットヘッド61にインクを供給するための給液チューブ(図示省略)と、を備えている。本実施形態のインクジェットプリンタ1はカラープリンタであり、インクジェットプリンタ1には、ブラック(B)のインクを充填したインクカートリッジ111aと、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のインクを充填したインクカートリッジ111bと、が配設されている。
切断手段は、上記したロール紙排紙口21近傍に設けたロール紙カッタ(図示省略)と、ロール紙カッタに切断動作させるためのカッタモータ122と、を備えている。制御手段は、インクジェットプリンタ1の各手段に接続されており、インクジェットプリンタ1全体を統括的に制御している。
次に、図4を参照し、インクジェットプリンタ1の主制御系について説明する。インクジェットプリンタ1は、プリンタインターフェイス202を有し、ホストコンピュータから送信された印刷データ(画像データや印刷制御データ)および各種指令を入力すると共に、インクジェットプリンタ1内部における各種データをホストコンピュータに出力するためのデータ入出力部201と、インクジェットヘッド61、キャリッジモータ51、駆動モータ73を有し、印刷対象物に印刷処理を行う印刷部203と、カッタモータ122を有し、印刷済みのロール紙P1を切断する切断部204と、負荷検出センサ209、速度検出センサ58、X軸リニアエンコーダー68、送り量検出センサ101等の各種センサを有し、各種検出を行う検出部205と、ヘッドドライバ211、キャリッジモータドライバ213、駆動モータドライバ214、カッタモータドライバ215を有し、各部を駆動する駆動部206と、これら各部に接続され、インクジェットプリンタ1全体の制御を行う制御部207と、を備えている。負荷検出センサ209は、キャリッジモータドライバ213からのメカ信号に基づいて、キャリッジモータ51の電流値から負荷値を検出する。
制御部207は、CPU221、ROM222、RAM223、周辺制御回路(P−CON)224を備えており、これらは互いに内部バス225により接続されている。ROM222は、CPU221で処理する制御プログラムを記憶する制御プログラム領域216の他、ヘッドユニット42の速度制御を行うために必要な加減速テーブル218、キャリッジモータ51の電流値を算出するための制御定数表219、測定された負荷値の大小比較を行うためのしきい値220等を記憶する制御データ領域217を有している。RAM223は、外部から入力した画像データを記憶する画像データ領域、印刷のための画像データを記憶する印刷画像データ領域の他、各色に対応する色変換バッファ領域や各種レジスタ群を有し、制御処理のための作業領域として使用される。
P−CON224には、CPU221の機能を補うと共に、周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。すなわち、P−CON224は、ホストコンピュータやインクジェットプリンタ1各部からの印刷データや各種検出信号などをそのまま、あるいは加工して内部バス225に取り込むと共に、CPU221と連動して、CPU221等から内部バス225に出力されたデータや制御信号をインクジェットプリンタ1各部に出力している。また、P−CON224には、時間制御を行うためのタイマー226が組み込まれている。
CPU221は、ROM222内の制御プログラムに従って、P−CON224を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、RAM223内の各種データ等を処理した後、P−CON224を介して駆動部206に制御信号を出力する。これにより、キャリッジモータ51を介して、ヘッドユニット42の速度制御を行うと共に、インクジェットヘッド61を駆動して、印刷対象物に印刷する等、インクジェットプリンタ1全体が制御されるようになっている。
本実施形態のインクジェットプリンタ1の場合、本発明のキャリッジモータの制御方法は、検出部205、印刷部203および制御部207によって実現されており、以下、図5を参照して、キャリッジモータ51の加減速制御について説明する。
図5は、ヘッド移動領域を移動するヘッドユニット(インクジェットヘッド)の移動速度と刻々の移動位置との関係を示した図である。同図に示すように、ヘッドユニット42は、移動開始位置から加速移動を行った後、定速移動し、その後、移動終了位置で停止するよう減速移動を行う。そして、インクジェットヘッド61の吐出駆動は、ヘッドユニット42の定速移動中に行われる。この場合、ヘッドユニット42が加速移動から定速移動に移行する際、ヘッドユニット42の移行速度が不安定となる虞があるため、あるいは制御が複雑になるため、印刷範囲は、定速移動区間232の内側に設定することが好ましい。ここで、ヘッドユニット42の移動に際し、ROM内には3種類の加減速テーブル218が用意されている。詳細は後述するが、ヘッドユニット42は、この3種類の加減速テーブル218の中から、1の加減速テーブル218を自動選択し、選択した加減速テーブル218に基づいて、移動することとなる。
図6を参照すると、キャリッジモータ51の加減速制御は、先ず、(P−CON224の速度変換回路により)速度検出センサ58の検出信号からヘッドユニット42の移動速度を算出し、これと加減速テーブル218の目標速度を比較して速度偏差Vdを求める。次に、P−CON224の操作量演算回路(例えば、PID演算回路等)230により、予め設定された制御定数および求めた速度偏差Vdからキャリッジモータ51への操作量Q(キャリッジモータ51への印加電流値)を計算する。なお、制御定数および速度偏差Vdは、その値が大きければ大きいほど、操作量Q(印加電流値)が大きくなる。そして、上記したキャリッジモータドライバ213を介し、計算した操作量Qの電流がキャリッジモータ51に印加されることにより、キャリッジモータ51の駆動が制御され、ヘッドユニット42の移動速度が制御される(フィードバック制御)。
ここで、ヘッドユニット42は、その移動に伴って負荷抵抗(主として、ガイド部材55に対する摺動抵抗)が生じるため、これによる速度変動を発生させないよう、本実施形態のインクジェットプリンタ1では、3種類の加減速テーブル218およびこれに対応する3つの制御定数を、負荷検出センサ209により負荷値を測定することで設定し、速度変動が生じることのないようキャリッジモータ51の加減速制御を行う。
負荷値の測定は、負荷検出センサ209により行われ、負荷検出センサ209は、キャリッジモータ51の電流値を測定することで負荷値を得るようになっている。具体的に説明すると、ヘッドユニット42の理想的な定速移動におけるキャリッジモータ51の電流値と、負荷抵抗が掛かっている場合のヘッドユニット42の定速移動におけるキャリッジモータ51の電流値との差を測ることにより、P−CON224の負荷変換回路(図示省略)を介して、負荷抵抗により増加した負荷値が求められる。すなわち、定速移動において、負荷抵抗が大きければ、キャリッジモータに流れる電流量は、大きくなり、値の大きい負荷値となる。これにより、ヘッドユニット42を一往復動作させることで、簡単に負荷値を測ることができ、また、キャリッジモータ51の電流値を測るだけで負荷値を測定することができるため、装置構成も簡易なものとすることができる。
測定された負荷値は、ROM222内に記憶されたしきい値220によって、大小比較が行われ、インクジェットプリンタ1は、測定された負荷値に対応する加減速テーブル218を設定する。図7に示すように、しきい値220は、例えば、2種類用意されており、最大値「C」が200、最小値「B」が100と設定されている。ここで、測定された負荷値「A」が50であった場合、A<Bと判断され、後述する第1加減速テーブル218aが選択される。測定された負荷値Aが150であった場合、B<A<Cと判断され、後述する第2加減速テーブル218bが選択され、測定された負荷値が300であった場合、A>Cと判断され、後述する第3加減速テーブル218cが選択される。このため、ヘッドユニット42の負荷値に応じた加減速テーブル218を選択することができる。
上述したように、ROM222内には、3種類の加減速テーブル218が記憶されており、一つは加速移動区間231および減速移動区間233において、加減速度の大きい第1加減速テーブル218a、一つは加速移動区間231および減速移動区間233において、加減速度の小さい第3加減速テーブル218c、一つは第1加減速テーブル218および第3加減速テーブル218の間の加減速度とした第2加減速テーブル218bがある(図5参照)。また、加減速テーブル218は、各移動区間をさらに区分けしており、加速移動区間231においては、初動となる第1加速区間、第2加速区間および第3加速区間に区分けされ、減速移動区間233においては、第1減速区間、第2減速区間および第3減速区間に区分けされており、各区間ごとに目標速度が設定されている。
図7を参照すると、3つの制御定数から成る制御定数表219がROM222内に記憶されており、例えば、「3」、「4」、「5」の制御定数が設定されている。この3つの制御定数は、上記の3種類の加減速テーブルに対応している。すなわち、第1加減速テーブル218aには制御定数「3」が設定され、第2加減速テーブル218bには制御定数「4」が設定され、第3加減速テーブル218cには制御定数「5」が設定されている。なお、本実施形態では、どの移動区間においても同じ制御定数が設定されているが、これを区間毎に変更してもよい。
ここで、各加減速テーブル218に基づくキャリッジモータ51の加減速制御について説明する。キャリッジモータ51を、第1加減速テーブル218aおよび制御定数「3」に基づいて制御を行うと、負荷値は小さいため、キャリッジモータ51は、加速移動において、立ち上がり時間が最も短くなるように駆動すると共に、速度変動を抑制しながら駆動するようにしている。一方、負荷値が大きくなり、この状態において、キャリッジモータ51を第1加減速テーブル218aで駆動しようとすると、負荷抵抗に抗して駆動する電流値(パワー)を得ることができず、速度変動が起こってしまう。このとき、制御定数を大きくすることにより、第1加減速テーブル218aに基づいて制御することは可能であるが、本実施形態のキャリッジモータ51では、流せる電流の最大値(最大出力)が定まっているため、制御定数を大きくし過ぎると、キャリッジモータ51の最大出力をオーバーしてしまう。この場合は、第2加減速テーブル218bおよび制御定数「4」、または第3加減速テーブル218cおよび制御定数「5」を事前に設定することで、加速移動区間231における加速度を小さくし、キャリッジモータ51に使用される電流値を軽減すると共に、制御定数を大きくし、キャリッジモータ51に印加する電流値を大きくする。
以下、図6のフローチャートを参照して、キャリッジモータ51を制御する一連の動作について説明する。印刷処理を開始する前に、先ず、負荷検出センサ209により、ヘッドユニット42の移動に伴う負荷抵抗の負荷値を測定する(S1)。この後、測定された負荷値に基づいて、ROM222内に記憶されたしきい値220と大小比較を行う(S2)。負荷値「A」が、しきい値の最小値「B」よりも小さい場合には、第1加減速テーブル218aおよび制御定数「3」を選択する(S3)。負荷値「A」が、しきい値の最小値「B」と最大値「C」との間である場合は、第2加減速テーブル218bおよび制御定数「4」を選択する(S4)。負荷値「A」が、しきい値の最大値「C」よりも大きい場合には、第3加減速テーブル218cおよび制御定数「5」を選択する(S5)。そして、印刷処理が開始されると、速度検出センサ58により測定された移動速度、選択された加減速テーブル218および設定された制御定数に基づき、操作量演算回路230を介して、キャリッジモータ51の電流値を算出する(S6)。算出された電流値に基づき、キャリッジモータドライバ213を介して、キャリッジモータ51を駆動し、加減速制御を行いながら印刷処理を行う(S7)。
以上の構成によれば、ヘッドユニット42の移動に伴う負荷抵抗が増加した場合において、その負荷値に対応する加減速テーブル218と制御定数とを設定し、キャリッジモータ51に印加する電流値を上げることで、加速移動区間231、定速移動区間232および減速移動区間233において、速度変動を抑制することができ、スムーズにヘッドユニット42を移動することができる。これにより、印刷対象物に印刷される印刷画像の品質を下げることなく、また、印刷時間に支障をきたす虞はない。
1…インクジェットプリンタ 42…ヘッドユニット 51…キャリッジモータ 61…インクジェットヘッド 62…キャリッジ 209…負荷検出センサ 213…キャリッジモータドライバ 218…加減速テーブル 219…制御定数表 220…しきい値 231…加速移動区間 232…定速移動区間 233…減速移動区間
Claims (9)
- キャリッジに搭載したインクジェットヘッドを往復動させるキャリッジモータを、加減速制御するキャリッジモータの制御方法において、
前記キャリッジの移動に伴う負荷値を測定する負荷測定工程と、
測定した前記負荷値に対応して、前記キャリッジモータの印加電流値を定数化した制御定数を設定する制御定数設定工程と、
設定した前記制御定数に基づいて、前記キャリッジモータを加減速制御する制御工程と、を備えたことを特徴とするキャリッジモータの制御方法。 - 前記制御工程では、前記インクジェットヘッドの加速移動区間、定速移動区間および減速移動区間における目標速度を規定する加減速テーブルに基づいて、前記キャリッジモータを制御することを特徴とする請求項1に記載のキャリッジモータの制御方法。
- 前記加減速テーブルは、前記負荷値に対応して複数のものが用意され、前記負荷測定工程の測定結果に応じて前記複数のものから選択されることを特徴とする請求項2に記載のキャリッジモータの制御方法。
- 前記複数の加減速テーブルのうち、大きな負荷値に対応する前記加減速テーブルは、加速移動区間および減速移動区間において、前記目標速度が小さい加減速度に設定され、小さな負荷値に対応する前記加減速テーブルは、加速移動区間および減速移動区間において、前記目標速度が大きい加減速度に設定されていることを特徴とする請求項3に記載のキャリッジモータの制御方法。
- 前記負荷測定工程は、前記キャリッジモータの制御データ上の電流値と、実際に駆動したときの測定電流値との差から、前記負荷値を求めることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のキャリッジモータの制御方法。
- キャリッジに搭載したインクジェットヘッドを往復動させるキャリッジモータを、加減速制御するキャリッジモータの制御装置において、
前記キャリッジの移動に伴う負荷値を測定する負荷測定手段と、
測定した前記負荷値に対応して、前記キャリッジモータの印加電流値を定数化した制御定数を設定する制御定数設定手段と、
設定した前記制御定数に基づいて、前記キャリッジモータを加減速制御する制御手段と、を備えたことを特徴とするキャリッジモータの制御装置。 - 前記制御手段の加減速制御は、加減速テーブルに基づいて行われ、前記加減速テーブルは、前記負荷値に応じて規定した複数のものから選択されることを特徴とする請求項6に記載のキャリッジモータの制御装置。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のキャリッジモータの制御方法における各工程を、コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
- 請求項6または7に記載のキャリッジモータの制御装置を備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
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JP2005261711A JP2007069549A (ja) | 2005-09-09 | 2005-09-09 | キャリッジモータの制御方法、キャリッジモータの制御装置、プログラムおよびこれを備えたインクジェットプリンタ |
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2005
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