JP2007069443A - 被転写樹脂積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ナノインプリント装置を用いてガラス転移点が同じ、またはガラス転移点が近似した樹脂同士を、凹凸パターンを潰さないように積層する方法を提供する。
【解決手段】 プレス天板10のプレス面に設置された金型15に配置され、ガラス転移点以上の温度で保持された第1の被転写樹脂1と、プレス底板20に戴置され、ガラス転移点未満の温度で保持された第2の被転写樹脂2と、を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体12の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 プレス天板10のプレス面に設置された金型15に配置され、ガラス転移点以上の温度で保持された第1の被転写樹脂1と、プレス底板20に戴置され、ガラス転移点未満の温度で保持された第2の被転写樹脂2と、を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体12の製造方法。
【選択図】 図1
Description
本発明はインプリントされた被転写樹脂からなる積層体を製造する方法に関わる。
近年、例えば磁気記憶媒体などへの適用を目的に、三次元方向に微細な空隙を有する成形体の需要が高まってきている。従来、三次元方向に微細な空隙を有する成形体を作製する方法としては、光硬化性樹脂をレーザーの集光照射により部分的に硬化させる方法や、リソグラフィ、エッチング、またはナノプリントなどにより二次元方向に任意の凹凸パターンが転写された膜をマイクロマニピュレータにより積層する方法などが採用されてきた。
しかしながら、レーザーを用いる方法は、高価で且つ煩雑な操作を必要とするという問題を有しており、マイクロマニピュレータを用いる方法は、非常に繊細な技術を要し、予想しないズレが発生するおそれがあり、作製効率が悪くなるという問題を有している。
この様な問題に対して、特許文献1ではナノインプリント装置の金型に溶融樹脂をコーティングして、これを予め凹凸パターンが転写された膜に押し付けるという、凹凸パターンが転写された膜を二層重ねる方法が開示されている。特許文献1では、SiO2(ガラス転移点:約1180℃)とPMMA(ガラス転移点:約105℃)という、それぞれガラス転移点の全く異なる膜同士を積層している。
国際公開第03/096123号パンフレット、13〜14ページ、図8〜10
三次元方向に微細な空隙を有する成形体の用途によっては、ガラス転移点が近似した膜同士、更には同じ材質からなる膜、つまり膜同士のガラス転移点の差が0である膜同士を積層してなる成形体が必要となる場合もある。しかしながら、特許文献1に記載の方法ではガラス転移点が近似した膜同士を積層しようとすると、積層時に膜に形成されていた凹凸パターンを潰してしまい、3次元方向に空隙を有する成形体を得ることはできない。
本発明は、ナノインプリント装置を用いてガラス転移点が同じ、またはガラス転移点が近似した樹脂同士を、凹凸パターンを潰すことなく積層しうる方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、インプリント装置による積層の際に、被転写樹脂の温度をそれぞれガラス転移点以上、ガラス転移点未満に調節することにより、被転写樹脂に形成された凹凸パターンを潰すことなく被転写樹脂積層体を製造できることを見出し、更に本発明者等は、インプリント装置による積層の際に接着剤を用いることにより被転写樹脂に形成された凹凸パターンを潰すことなく被転写樹脂積層体を製造できることを見出し本発明を完成させた。
すなわち本発明は、プレス天板のプレス面に設置された金型に配置され、ガラス転移点以上の温度で保持された前記第1の被転写樹脂と、プレス底板に戴置され、ガラス転移点未満の温度で保持された第2の被転写樹脂と、を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体の製造方法;もしくは
プレス底板に戴置された金型に配置され、ガラス転移点以上の温度で保持された第1の被転写樹脂と、プレス天板のプレス面に配置され、ガラス転移点未満の温度で保持された第2の被転写樹脂と、を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体の製造方法;または、プレス天板のプレス面に設置された金型に第1の被転写樹脂を配置する段階と、プレス底板に第2の被転写樹脂を戴置し、前記第1の被転写樹脂;または
前記第2の被転写樹脂に接着剤を塗布する段階と、前記プレス天板を作動させることにより、ガラス転移点未満の温度で保持された前記第1の被転写樹脂、およびガラス転移点未満の温度で保持された前記第2の被転写樹脂を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体の製造方法;もしくは
プレス底板に戴置された金型に第1の被転写樹脂を配置する段階と、プレス天板に第2の被転写樹脂を配置し、前記第1の被転写樹脂、または前記第2の被転写樹脂に接着剤を塗布する段階と、前記プレス天板を作動させることにより、ガラス転移点未満の温度で保持された前記第1の被転写樹脂、およびガラス転移点未満の温度で保持された前記第2の被転写樹脂を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体の製造方法により上記課題を解決する。
プレス底板に戴置された金型に配置され、ガラス転移点以上の温度で保持された第1の被転写樹脂と、プレス天板のプレス面に配置され、ガラス転移点未満の温度で保持された第2の被転写樹脂と、を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体の製造方法;または、プレス天板のプレス面に設置された金型に第1の被転写樹脂を配置する段階と、プレス底板に第2の被転写樹脂を戴置し、前記第1の被転写樹脂;または
前記第2の被転写樹脂に接着剤を塗布する段階と、前記プレス天板を作動させることにより、ガラス転移点未満の温度で保持された前記第1の被転写樹脂、およびガラス転移点未満の温度で保持された前記第2の被転写樹脂を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体の製造方法;もしくは
プレス底板に戴置された金型に第1の被転写樹脂を配置する段階と、プレス天板に第2の被転写樹脂を配置し、前記第1の被転写樹脂、または前記第2の被転写樹脂に接着剤を塗布する段階と、前記プレス天板を作動させることにより、ガラス転移点未満の温度で保持された前記第1の被転写樹脂、およびガラス転移点未満の温度で保持された前記第2の被転写樹脂を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体の製造方法により上記課題を解決する。
本発明の製造方法により、ナノインプリント装置を用いて、ガラス転移点が同じ、またはガラス転移点が近似した、凹凸パターンを有する樹脂同士を積層することができる。
本発明の第一は、図1に例示するように、プレス天板10のプレス面に設置された金型15に配置され、ガラス転移点以上の温度で保持された前記第1の被転写樹脂1と、プレス底板20に戴置され、ガラス転移点未満の温度で保持された第2の被転写樹脂2と、を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体12の製造方法、または図2に例示するようにプレス底板20に戴置された金型15に配置され、ガラス転移点以上の温度で保持された第1の被転写樹脂1と、プレス天板10のプレス面に配置され、ガラス転移点未満の温度で保持された第2の被転写樹脂2と、を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体の製造方法である。本発明でいう被転写樹脂とは金型により凹凸パターンが転写された樹脂膜を指す。
上述したように従来技術ではナノインプリントにより二次元方向に任意の凹凸パターンが転写された膜を積層する際には、マイクロマニピュレータなどを必要とし、作製効率が非常に悪かった。しかし、本発明ではナノインプリント装置を用いて転写と積層の両方を行うため、作業効率に優れる。
また、上述したように従来技術では、ガラス転移点が同じ、またはガラス転移点が近似した樹脂同士を積層しようとすると、膜に形成されていた凹凸パターンを潰してしまうおそれがあった。しかしながら、本発明では、ガラス転移点未満の温度に保持された第2の被転写樹脂にガラス転移点以上の温度に保持された第1の被転写樹脂を積層するため、第1の被転写樹脂と第2の被転写樹脂とのガラス転移点が近似、または同じであっても第2の被転写樹脂に形成された凹凸パターンを潰すことなくこれらの積層体を形成することができる。
以下、本発明の製造方法に用いられる第1の被転写樹脂、第2の被転写樹脂、および金型、ならびに本発明の製造方法に用いられうる基板について記載する。
(第1の被転写樹脂、第2の被転写樹脂)
本発明において第1の被転写樹脂または第2の被転写樹脂としては特に限定されないが、第2の被転写樹脂は第1の被転写樹脂に対して+10〜−20℃のガラス転移点を有することが好ましく、より好ましくは0〜−10℃であり、更に好ましくは0〜−5℃であり、特に好ましくは0℃である。また、第1の被転写樹脂と第2の被転写樹脂とが同じ材質からなることが好ましい。上述したように、従来技術ではガラス転移点が近似した膜同士を積層することは困難であったため、ガラス転移点が近似、またはガラス転移点が同じ樹脂膜同士を積層する技術的意義は大きい。
本発明において第1の被転写樹脂または第2の被転写樹脂としては特に限定されないが、第2の被転写樹脂は第1の被転写樹脂に対して+10〜−20℃のガラス転移点を有することが好ましく、より好ましくは0〜−10℃であり、更に好ましくは0〜−5℃であり、特に好ましくは0℃である。また、第1の被転写樹脂と第2の被転写樹脂とが同じ材質からなることが好ましい。上述したように、従来技術ではガラス転移点が近似した膜同士を積層することは困難であったため、ガラス転移点が近似、またはガラス転移点が同じ樹脂膜同士を積層する技術的意義は大きい。
第1の被転写樹脂および第2の被転写樹脂として具体的には、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリアクリル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、エポキシ樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリメルカプトエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリメチルペンテン、および塩化ビニル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種などが好ましく挙げられる。これらの樹脂は透明性に優れるため、これらを用いて三次元方向に微細な空隙を有する成形体を作製した際には、ディスプレイ、調光材料、または半導体のデバイスなどの様々な用途に用いることができる。
第1の被転写樹脂、または第2の被転写樹脂の厚みは、用いる樹脂の種類や被転写樹脂成形体の使用目的などに応じて適宜選択することができるが、50〜2000nmが好ましく、より好ましくは50〜1000nmである。厚みが50nm以上であると、被転写樹脂積層体の成形性に優れ、厚みが2000nm以下であると熱伝効率に優れる。本発明でいう被転写樹脂の厚みとは、凸部の厚みを含む樹脂膜の厚みを指す。
(金型)
第1の被転写樹脂を形成するための金型としては、第1の被転写樹脂のガラス転移点を超える融点を有するものであればよく、例えば、半導体、石英などの無機材料、樹脂、金属またはセラミックスからなるものが好ましく挙げられ、より好ましくは半導体または金属からなるものである。半導体、金属またはセラミックスは、耐熱性および耐薬品性に優れ、特に、金属は熱伝導性や耐久性にも優れる。
第1の被転写樹脂を形成するための金型としては、第1の被転写樹脂のガラス転移点を超える融点を有するものであればよく、例えば、半導体、石英などの無機材料、樹脂、金属またはセラミックスからなるものが好ましく挙げられ、より好ましくは半導体または金属からなるものである。半導体、金属またはセラミックスは、耐熱性および耐薬品性に優れ、特に、金属は熱伝導性や耐久性にも優れる。
金型に形成された凹凸パターンは特に限定されず、目的に応じた形状のものを用いることができる。例えば、凸部または凹部の径が1μm以下の金型を用いてもよく、本発明ではこれにより形成された微細な溝を潰すことなく樹脂膜を積層することもできる。
(基板)
本発明では、図1に例示するようにプレス底板20に第2の被転写樹脂2を配置する場合には、図3のAに示すようにプレス底板20と第2の被転写樹脂2との間に基板25を介在させることが好ましい。また、図2に例示するようにプレス天板10に第2の被転写樹脂2を配置する場合には、図3のBに示すようにプレス天板10と被転写樹脂2との間に基板25を介在させることが好ましい。基板を介在させることにより、厚みの薄い第2の被転写樹脂を用いた場合でも、第2の被転写樹脂に形成された凹凸パターンの潰れを抑制し、安定したプレスを行うことができる。また、被転写樹脂として厚みの薄いものを用いると、熱伝効率が良くなる。
本発明では、図1に例示するようにプレス底板20に第2の被転写樹脂2を配置する場合には、図3のAに示すようにプレス底板20と第2の被転写樹脂2との間に基板25を介在させることが好ましい。また、図2に例示するようにプレス天板10に第2の被転写樹脂2を配置する場合には、図3のBに示すようにプレス天板10と被転写樹脂2との間に基板25を介在させることが好ましい。基板を介在させることにより、厚みの薄い第2の被転写樹脂を用いた場合でも、第2の被転写樹脂に形成された凹凸パターンの潰れを抑制し、安定したプレスを行うことができる。また、被転写樹脂として厚みの薄いものを用いると、熱伝効率が良くなる。
基板としては、金属、または無機酸化物などが好ましく挙げられる。金属としては例えばケイ素、またはニッケルなどが好ましく挙げられる。無機酸化物としては例えば、SiO2、または石英などが好ましく挙げられる。
用いる被転写樹脂や基板の材質などにもよるが、基板の厚みは0.5〜20mmが好ましく、より好ましくは1〜5mmである。厚みが0.5mm以上であると伝熱効率が高くなりすぎず、第1の被転写樹脂と第2の被転写樹脂との接合点の温度が低くなりすぎないため好ましく、厚みが20mm以下であると、伝熱効率に優れ、接合点の温度を調節し易いため好ましい。
以下に本発明の製造方法の詳細を記載する。
本発明の方法により被転写樹脂積層体を製造する際には、図1に示すように、(I)金型15を用いて、凹凸パターンを転写された第1の被転写樹脂1を前記金型15上に形成する段階、(II)予め金型15により凹凸パターンを転写された第2の被転写樹脂をプレス底板20に戴置し、前記金型15を設置したプレス天板10を下げて、ガラス転移点未満の温度で保持された第2の被転写樹脂2と、ガラス転移点以上の温度で保持された第1の被転写樹脂1とを接合する段階、および(III)プレス天板10を上げて、第1の被転写樹脂1から金型15を外し、第1の被転写樹脂1と第2の被転写樹脂2とが接合された被転写樹脂積層体12を得る段階を経ることが好ましい。前記段階を繰り返すことにより、被転写樹脂積層体12の厚みを調節することができる。
(I)金型を用いて凹凸パターンを転写された第1の被転写樹脂を前記金型上に形成する段階において、第1の被転写樹脂を形成する方法としては、溶融した樹脂を金型に載せて、金型を回転させるスピンコーティング法が好適である。樹脂を溶融させる方法としては、樹脂を溶媒に溶解して溶融してもよいし、加熱により樹脂を溶融させてもよい。
第1の被転写樹脂を形成するための金型としては、上述のものを好ましく用いることができる。
(II)金型を設置したプレス天板を下げて、第1の被転写樹脂と、凹凸パターンを転写された第2の被転写樹脂とを接合する段階において、第1の被転写樹脂はガラス転移点以上の温度で保持され、第2の被転写樹脂はガラス転移点未満の温度で保持される。上述したように、これらの温度で保持することにより、第2の被転写樹脂の凹凸パターンを潰さずに、第1の被転写樹脂と第2の被転写樹脂とを接合することができる。
段階(II)における第1の被転写樹脂の保持温度は、ガラス転移点以上であればよいが、ガラス転移点以上劣化温度未満であるとより好ましく、ガラス転移点以上融点未満であると更に好ましい。第1の被転写樹脂の温度は、プレス天板を加熱するか、金型を加熱することにより調節することが好ましい。プレス天板または金型の加熱温度は、実験条件やプレス天板、金型の熱伝導度などにもよるが、目的の樹脂の温度に30〜50℃を加えた温度が好ましい。より具体的には、厚さがおよそ1mmのSiからなる金型を用いる場合には、目的の樹脂の温度に40℃を加えた温度となるように調節すると、より好ましい。
段階(II)における第2の被転写樹脂の保持温度は、ガラス転移点未満であればよいが、ガラス転移点よりも更に20℃以上低い温度であることが好ましく、より好ましくは更に30℃以上低い温度である。第2の被転写樹脂をガラス転移点よりも更に20℃以上低い温度で保持することにより、積層時の凹凸パターンの変形をより抑制することができる。第2の被転写樹脂の温度は、プレス底板を温度制御するか、または基板を温度制御することにより調節することが好ましい。プレス底板または基板の温度は、実験条件やプレス底板の熱伝導度などにもよるが、目的の樹脂の温度から30〜50℃を差し引いた温度が好ましい。より具体的には、厚さがおよそ1mmのSiからなる金型を用いる場合には、目的の樹脂の温度から40℃を差し引いた温度となるように調節すると、より好ましい。プレス底板、プレス天板または基板の温度は、基板、樹脂、金型の熱伝導率と厚さより、熱伝導方程式を解くことにより、第一の被転写樹脂の温度をガラス転移点以上に、また、第二の被転写樹脂の温度をガラス転移点以下にするように設定することが可能である。なお、プレス底板、プレス天板、基板、樹脂、金型の境界は、熱的には接続された状態で互いの熱伝導を妨げない構成であることが望ましい。
第1の被転写樹脂と第2の被転写樹脂とは圧着により接合することが好ましい。圧着を行う際の、プレス圧力は、0〜30MPaが好ましく、より好ましくは3〜20MPa、更に好ましくは5〜15MPaである。プレス圧力が30MPa以下であると、接合時に第2の被転写樹脂に形成された凹凸パターンを変形させ難いため好ましい。また、プレス時間は、1〜30分が好ましく、より好ましくは2〜10分、更に好ましくは3〜8分である。プレス時間が1分以上であると、第1の被転写樹脂と第2の被転写樹脂とが接着し易く、30分以下であると第1の被転写樹脂または第2の被転写樹脂の凹凸パターンが崩れ難いため好ましい。
段階(II)では、上述したように第2の被転写樹脂とプレス底板との間に基板が介在している状態でプレスを行うことが好ましい。
(III)プレス天板を上げて、第1の被転写樹脂から金型を外す段階において、金型の温度をガラス転移点未満に下げることが好ましく、より好ましくはガラス転移点よりも更に10℃以上低い温度に下げることである。金型の温度をガラス転移点未満にまで下げることにより、第1の被転写樹脂の離型が容易となる。
上述したように、段階(I)〜(III)を繰り返すことにより、被転写樹脂を次々と積層してゆくことができる。段階(I)〜(III)を繰り返す際には、同じ金型を使い続けても良いし、異なる金型を用いてもよい。同じ金型を用いて段階(I)〜(III)を繰り返す際には、段階(III)と段階(I)との間に金型の洗浄工程を含むことが好ましい。段階(I)の前に金型を洗浄すると、第1の被転写樹脂の離型が容易となる。金型の洗浄方法としては、UVオゾン洗浄装置による洗浄、薬品による化学的な洗浄などが好ましく挙げられ、より好ましくはUVオゾン洗浄装置による洗浄である。
また、段階(I)の前に金型に対してフッ素などの離型剤の塗布を行うと、第1の被転写樹脂の離型が容易となる。
本発明の方法により被転写樹脂積層体を製造する際には、図2に示すように、(i)金型15を用いて、凹凸パターンを転写された第1の被転写樹脂1を前記金型15上に形成する段階、(ii)前記第1の被転写樹脂1を載せた前記金型15をプレス底板20に戴置し、予め凹凸パターンを形成された第2の被転写樹脂2を、プレス天板10のプレス面に配置し、プレス天板10を下げて、第1の被転写樹脂1と第2の被転写樹脂2とを接合する段階、および(iii)プレス天板10を上げて、第1の被転写樹脂1から金型15を外し、第1の被転写樹脂1と第2の被転写樹脂2とが接合された被転写樹脂積層体12を得る段階を経ることが好ましい。前記段階を繰り返すことにより、被転写樹脂積層体12の厚みを調節することができる。
(i)金型を用いて凹凸パターンを転写された第1の被転写樹脂を前記金型上に形成する段階は、上述の段階(I)と同様である。
(ii)金型をプレス底板に戴置して、第1の被転写樹脂と、凹凸パターンを転写された第2の被転写樹脂とを接合する段階における、第1の被転写樹脂の好ましい温度条件、第2の被転写樹脂の好ましい温度条件、好ましいプレス圧力、プレス時間は、上述の段階(II)と同様である。
段階(ii)において、第1の被転写樹脂の温度は、プレス底板を加熱するか、金型を加熱することにより調節することが好ましい。プレス底板または金型の加熱温度は、実験条件やプレス底板、金型の熱伝導度などにもよるが、目的の樹脂の温度に30〜50℃を加えた温度が好ましい。より具体的には、厚さがおよそ1mmのSiからなる金型を用い、樹脂としてPMMAを用いる場合には、目的の樹脂の温度に40℃を加えた温度となるように調節すると、より好ましい。
段階(ii)において、第2の被転写樹脂の温度は、プレス天板を温度制御するか、または基板を温度制御することにより調節することが好ましい。プレス底板または基板の温度は、実験条件やプレス底板の熱伝導度などにもよるが、目的の樹脂の温度から30〜50℃を差し引いた温度が好ましい。より具体的には、厚さがおよそ1mmのSiからなる金型を用いる場合には、目的の樹脂の温度から40℃を差し引いた温度となるように調節すると、より好ましい。
段階(ii)では、上述したように第2の被転写樹脂とプレス天板との間に基板が介在している状態でプレスを行うことが好ましい。
(iii)プレス天板を上げて、被転写樹脂積層体12から金型15を外す段階における金型の好ましい温度は、上述の段階(III)と同様である
上述したように、段階(i)〜(iii)を繰り返すことにより、被転写樹脂を次々と積層してゆくことができる。段階(i)〜(iii)を繰り返す際には、同じ金型を使い続けても良いし、異なる金型を用いてもよい。同じ金型を用いて段階(i)〜(iii)を繰り返す際には、段階(iii)と段階(i)との間に金型の洗浄工程を含むことが好ましい。段階(i)の前に金型を洗浄すると、第1の被転写樹脂の離型が容易となる。金型の洗浄方法としては、UVオゾン洗浄装置による洗浄、薬品による化学的な洗浄などが好ましく挙げられ、より好ましくはUVオゾン洗浄装置による洗浄である。
上述したように、段階(i)〜(iii)を繰り返すことにより、被転写樹脂を次々と積層してゆくことができる。段階(i)〜(iii)を繰り返す際には、同じ金型を使い続けても良いし、異なる金型を用いてもよい。同じ金型を用いて段階(i)〜(iii)を繰り返す際には、段階(iii)と段階(i)との間に金型の洗浄工程を含むことが好ましい。段階(i)の前に金型を洗浄すると、第1の被転写樹脂の離型が容易となる。金型の洗浄方法としては、UVオゾン洗浄装置による洗浄、薬品による化学的な洗浄などが好ましく挙げられ、より好ましくはUVオゾン洗浄装置による洗浄である。
また、段階(i)の前に金型に対してフッ素などの離型剤の塗布を行うと、第1の被転写樹脂の離型が容易となる。
本発明において、被転写樹脂積層体を製造する際には、乾燥雰囲気下で行うことが好ましい。乾燥雰囲気下で行うことにより、被転写樹脂が加水分解されるリスクを低減することができる。
本発明の被転写樹脂積層体の製造方法はエレクトロニクス、オプティクス、マイクロマシニング、またはバイオエレクトロニクスなどの分野におけるデバイス作製技術として好ましく適用することができる。
本発明の第二は、図4に例示するように、プレス天板10のプレス面に設置された金型15に第1の被転写樹脂1を配置する段階と、プレス底板20に第2の被転写樹脂2を戴置し、前記第1の被転写樹脂1、または前記第2の被転写樹脂2に接着剤3を塗布する段階と、前記プレス天板10を作動させることにより、ガラス転移点未満の温度で保持された前記第1の被転写樹脂1、およびガラス転移点未満の温度で保持された前記第2の被転写樹脂2を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体12の製造方法、または図5に例示するようにプレス底板20に戴置された金型に第1の被転写樹脂1を配置する段階と、プレス天板10に第2の被転写樹脂2を配置し、前記第1の被転写樹脂1、または前記第2の被転写樹脂2に接着剤3を塗布する段階と、前記プレス天板10を作動させることにより、ガラス転移点未満の温度で保持された前記第1の被転写樹脂1、およびガラス転移点未満の温度で保持された前記第2の被転写樹脂2を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体12の製造方法である。本発明でいう被転写樹脂とは金型により凹凸パターンが転写された樹脂膜を指す。
上述したように従来技術ではナノインプリントにより二次元方向に任意の凹凸パターンが転写された膜を積層する際には、マイクロマニピュレータなどを必要とし、作製効率が非常に悪かった。しかし、本発明ではナノインプリント装置を用いて転写と積層の両方を行うため、作業効率に優れる。
また、上述したように従来技術では、ガラス転移点が同じ、またはガラス転移点が近似した樹脂同士を積層しようとすると、膜に形成されていた凹凸パターンを潰してしまうおそれがあった。しかしながら、本発明では接着剤を用いることで、第1の被転写樹脂と第2の被転写樹脂とをガラス転移点未満に保持した状態で接合することができるため、ガラス転移点が近似、または同じであっても第2の被転写樹脂に形成された凹凸パターンを潰すことなくこれらの積層体を形成することができる。
以下、本発明の製造方法に用いられる第1の被転写樹脂、第2の被転写樹脂、接着剤および金型、ならびに本発明の製造方法に用いられうる基板について記載する。
(第1の被転写樹脂、第2の被転写樹脂)
第1の被転写樹脂、または第2の被転写樹脂としては上述の本発明の第一の項に記載したものを好ましく用いることができる。
第1の被転写樹脂、または第2の被転写樹脂としては上述の本発明の第一の項に記載したものを好ましく用いることができる。
(接着剤)
接着剤としては、ホットメルト接着剤、熱硬化性樹脂、液状反応型接着剤、または光硬化性樹脂などが好ましく挙げられ、より好ましくは光硬化性樹脂である。光硬化性樹脂として例えば、東洋合成工業株式会社製のPAK 01などが好ましく挙げられる。光硬化性樹脂を硬化させる条件は光の照射であるため、第1の被転写樹脂および第2の被転写樹脂の変形を抑制することができ、また、複雑なパターンが転写された第1の被転写樹脂と第2の被転写樹脂との接着も容易であるため好ましい。また、光硬化性接着剤は数秒で接着できるため、生産効率を高めることが可能である。
接着剤としては、ホットメルト接着剤、熱硬化性樹脂、液状反応型接着剤、または光硬化性樹脂などが好ましく挙げられ、より好ましくは光硬化性樹脂である。光硬化性樹脂として例えば、東洋合成工業株式会社製のPAK 01などが好ましく挙げられる。光硬化性樹脂を硬化させる条件は光の照射であるため、第1の被転写樹脂および第2の被転写樹脂の変形を抑制することができ、また、複雑なパターンが転写された第1の被転写樹脂と第2の被転写樹脂との接着も容易であるため好ましい。また、光硬化性接着剤は数秒で接着できるため、生産効率を高めることが可能である。
光硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂および可視光硬化性樹脂が好ましく挙げられ、より好ましくは紫外線硬化性樹脂である。
(金型)
第1の被転写樹脂を形成するための金型は、第1の被転写樹脂のパターン形成方法により適宜選択することができる。例えば、樹脂を溶媒に溶解したものを金型に塗布して第1の被転写樹脂を形成する場合には、金型としては前記溶媒に対する耐薬品性のあるものを用いることが好ましい。また、樹脂を熱により溶解したものを金型に塗布して第1の被転写樹脂を形成する場合には、金型としては前記樹脂よりも高いガラス転移点を有するものを用いることが好ましい。
第1の被転写樹脂を形成するための金型は、第1の被転写樹脂のパターン形成方法により適宜選択することができる。例えば、樹脂を溶媒に溶解したものを金型に塗布して第1の被転写樹脂を形成する場合には、金型としては前記溶媒に対する耐薬品性のあるものを用いることが好ましい。また、樹脂を熱により溶解したものを金型に塗布して第1の被転写樹脂を形成する場合には、金型としては前記樹脂よりも高いガラス転移点を有するものを用いることが好ましい。
このような金型として、上述の発明の第一の項に記載したものを好ましく用いることができる。
(基板)
本発明では、図4に例示するようにプレス底板20に第2の被転写樹脂2を配置する場合には、図3のAに示すようにプレス底板20と第2の被転写樹脂2との間に基板25を介在させることが好ましい。また、図5に例示するようにプレス天板10に第2の被転写樹脂2を配置する場合には、図3のBに示すようにプレス天板10と被転写樹脂2との間に基板25を介在させることが好ましい。基板を介在させることにより、厚みの薄い第2の被転写樹脂を用いた場合でも、第2の被転写樹脂に形成された凹凸パターンの潰れを抑制し、安定したプレスを行うことができる。
本発明では、図4に例示するようにプレス底板20に第2の被転写樹脂2を配置する場合には、図3のAに示すようにプレス底板20と第2の被転写樹脂2との間に基板25を介在させることが好ましい。また、図5に例示するようにプレス天板10に第2の被転写樹脂2を配置する場合には、図3のBに示すようにプレス天板10と被転写樹脂2との間に基板25を介在させることが好ましい。基板を介在させることにより、厚みの薄い第2の被転写樹脂を用いた場合でも、第2の被転写樹脂に形成された凹凸パターンの潰れを抑制し、安定したプレスを行うことができる。
基板としては上述の本発明の第一の項に記載したものを好ましく用いることができる。
以下に本発明の製造方法の詳細を記載する。
本発明の方法により被転写樹脂積層体を製造する際には、図4に示すように、(A)金型15を用いて、凹凸パターンを転写された第1の被転写樹脂1を前記金型15上に形成する段階、(B)プレス底板20に凹凸パターンを転写された第2の被転写樹脂2を戴置し、前記第1の被転写樹脂1、または前記第2の被転写樹脂2に接着剤3を塗布する段階、(C)前記金型15を設置したプレス天板10を下げて、ガラス転移点未満の温度で保持された第2の被転写樹脂2と、ガラス転移点未満の温度で保持された第1の被転写樹脂1とを接合する段階、および(D)プレス天板10を上げて、第1の被転写樹脂1から金型15を外し、第1の被転写樹脂1と第2の被転写樹脂2とが接合された被転写樹脂積層体12を得る段階を経ることが好ましい。前記段階を繰り返すことにより、被転写樹脂積層体12の厚みを調節することができる。
(A)金型を用いて凹凸パターンを転写された第1の被転写樹脂を前記金型上に形成する段階は、上述の段階(I)と同様である。
(B)プレス底板に凹凸パターンを転写された第2の被転写樹脂を戴置し、第1の被転写樹脂、または第2の被転写樹脂に接着剤を塗布する段階において、接着剤としては上述のものを好ましく用いることができる。接着剤の塗布方法は特に限定されず従来公知の技術を適宜用いることができる。
図4では接着剤は第2の被転写樹脂に塗布されているが、本発明はこれに限定されず、接着剤は第1の被転写樹脂に塗布してもよいし、これらの双方に塗布してもよい。
(C)金型を設置したプレス天板を下げて、ガラス転移点未満の温度で保持された第2の被転写樹脂と、ガラス転移点未満の温度で保持された第1の被転写樹脂とを接合する段階における第1の被転写樹脂および第2の被転写樹脂の保持温度はガラス転移点未満であればよいが、ガラス転移点よりも更に20℃以上低い温度であることが好ましく、より好ましくは更に30℃低い温度である。ガラス転移点よりも更に20℃以上低い温度で保持することにより、積層時の凹凸パターンの変形をより抑制することができる。第1の被転写樹脂温度は、プレス天板を温度制御するか、または金型を温度制御することにより調節することが好ましく、第2の被転写樹脂の温度は、プレス底板を温度制御するか、または基板を温度制御することにより調節することが好ましい。
本発明では接着剤を用いるため第1の被転写樹脂および第2の被転写樹脂がガラス転移点未満であっても、第1の被転写樹脂と第2の被転写樹脂とを積層することができ、さらにこれらに形成された凹凸パターンが潰れてしまうことを抑制することができる。
段階(C)では、上述したように第2の被転写樹脂とプレス底板との間に基板が介在している状態でプレスを行うことが好ましい。
(D)プレス天板を上げて、第1の被転写樹脂から金型を外す段階は、上述の段階において、金型の温度をガラス転移点よりも更に10℃以上低い温度に下げることが好ましい。これにより、第1の被転写樹脂の離型が容易となる。
上述したように、段階(A)〜(D)を繰り返すことにより、転写樹脂を次々と積層してゆくことができる。段階(A)〜(D)を繰り返す際には、同じ金型を使い続けても良いし、異なる金型を用いてもよい。同じ金型を用いて段階(A)〜(D)を繰り返す際には、段階(D)と段階(A)との間に金型の洗浄工程を含むことが好ましい。段階(A)の前に金型を洗浄すると、第1の被転写樹脂の離型が容易となる。金型の洗浄方法としては、UVオゾン洗浄装置による洗浄、薬品による化学的な洗浄などが好ましく挙げられ、より好ましくはUVオゾン洗浄装置による洗浄である。
また、段階(A)の前に金型に対してフッ素などの離型剤の塗布を行うと、第1の被転写樹脂の離型が容易となる。
本発明の方法により被転写樹脂積層体を製造する際には、図5に示すように、(a)金型15を用いて、凹凸パターンを転写された第1の被転写樹脂1を前記金型15上に形成する段階、(b)プレス天板10に凹凸パターンを転写された第2の被転写樹脂2を設置し、プレス底板20に第1の被転写樹脂1を配置した金型15を戴置し、前記第1の被転写樹脂1、または前記第2の被転写樹脂2に接着剤3を塗布する段階、(c)前記第2の被転写樹脂2を配置したプレス天板10を下げて、ガラス転移点未満の温度で保持された第2の被転写樹脂2と、ガラス転移点未満の温度で保持された第1の被転写樹脂1とを接合する段階、および(d)プレス天板10を上げて、第1の被転写樹脂1から金型15を外し、第1の被転写樹脂1と第2の被転写樹脂2とが接合された被転写樹脂積層体12を得る段階を経ることが好ましい。前記段階を繰り返すことにより、被転写樹脂積層体12の厚みを調節することができる。
(a)金型を用いて凹凸パターンを転写された第1の被転写樹脂を前記金型上に形成する段階は、上述の段階(I)と同様である。
(b)プレス天板に凹凸パターンを転写された第2の被転写樹脂を設置し、プレス底板に第1の被転写樹脂1を配置した金型15を戴置し、前記第1の被転写樹脂1、または前記第2の被転写樹脂2に接着剤3を塗布する段階において、接着剤としては上述のものを好ましく用いることができる。接着剤の塗布方法は特に限定されず従来公知の技術を適宜用いることができる。
図5では接着剤は第2の被転写樹脂に塗布されているが、本発明はこれに限定されず、接着剤は第1の被転写樹脂に塗布してもよいし、これらの双方に塗布してもよい。
(c)第2の被転写樹脂を配置したプレス天板を下げて、ガラス転移点未満の温度で保持された第2の被転写樹脂と、ガラス転移点未満の温度で保持された第1の被転写樹脂とを接合する段階における、第1の被転写樹脂および第2の被転写樹脂の保持温度はガラス転移点未満であればよいが、ガラス転移点よりも更に20℃以上低い温度であることが好ましく、より好ましくは更に30℃低い温度である。ガラス転移点よりも更に20℃以上低い温度で保持することにより、積層時の凹凸パターンの変形をより抑制することができる。第1の被転写樹脂温度は、プレス天板を温度制御するか、または金型を温度制御することにより調節することが好ましく、第2の被転写樹脂の温度は、プレス底板を温度制御するか、または基板を温度制御することにより調節することが好ましい。
本発明では接着剤を用いるため第1の被転写樹脂および第2の被転写樹脂がガラス転移点未満であっても、第1の被転写樹脂と第2の被転写樹脂とを積層することができ、さらにこれらに形成された凹凸パターンが潰れてしまうことを抑制することができる。
段階(c)では、上述したように第2の被転写樹脂とプレス天板との間に基板が介在している状態でプレスを行うことが好ましい。
(d)プレス天板を上げて、第1の被転写樹脂から金型を外す段階は、上述の段階(D)と同様である。
上述したように、段階(a)〜(d)を繰り返すことにより、転写樹脂を次々と積層してゆくことができる。段階(a)〜(d)を繰り返す際には、同じ金型を使い続けても良いし、異なる金型を用いてもよい。同じ金型を用いて段階(a)〜(d)を繰り返す際には、段階(d)と段階(a)との間に金型の洗浄工程を含むことが好ましい。段階(a)の前に金型を洗浄すると、第1の被転写樹脂の離型が容易となる。金型の洗浄方法としては、UVオゾン洗浄装置による洗浄、薬品による化学的な洗浄などが好ましく挙げられ、より好ましくはUVオゾン洗浄装置による洗浄である。
また、段階(a)の前に金型に対してフッ素などの離型剤の塗布を行うと、第1の被転写樹脂の離型が容易となる。
本発明において、被転写樹脂積層体を製造する際には、乾燥雰囲気下で行うことが好ましい。乾燥雰囲気下で行うことにより、被転写樹脂が加水分解されるリスクを低減することができる。
本発明の被転写樹脂積層体の製造方法はエレクトロニクス、オプティクス、マイクロマシニング、またはバイオエレクトロニクスなどの分野におけるデバイス作製技術として好ましく適用することができる。
本発明の第三は上述の製造方法により製造された被転写樹脂積層体である。
本発明の被転写樹脂積層体は、被転写樹脂が3層以上積層されてなることが好ましく、より好ましくは10層以上積層されてなる。
特許文献1を含め、従来のインプリント法では被転写樹脂を3層以上積層することは困難であるが、本発明では被転写樹脂を3層以上積層することができる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(実施例1)
大きさ2.5cm、厚み1μmのPMMAシートを用意し、ケイ素からなる金型を用いて、インプリントにより凹凸パターンを転写して、図4に示す第2の被転写樹脂2を成形した。ただし、図4は図を見易くするために、凸部の形状などが誇張されて描かれており、また、凸部の数なども省略して描かれている。
大きさ2.5cm、厚み1μmのPMMAシートを用意し、ケイ素からなる金型を用いて、インプリントにより凹凸パターンを転写して、図4に示す第2の被転写樹脂2を成形した。ただし、図4は図を見易くするために、凸部の形状などが誇張されて描かれており、また、凸部の数なども省略して描かれている。
次に、金型をUVオゾン洗浄装置(株式会社ハイマックス製、型番:モデル144AX)を用いて洗浄した。次に、トルエン1LにPMMA21gを添加したものを、金型上に塗布した後、金型を2000rpmで20秒間回転させて、金型上にPMMAをスピンコートして、第1の被転写樹脂を成形した。
PMMAがスピンコートされている金型をプレス機の天板に設置し、プレス機の底板上にケイ素からなる基板を載せ、更にその上に第2の被転写樹脂を戴置した。プレス天板の温度を170℃、プレス底板の温度を30℃にセットし、10MPaのプレス圧で5分間プレスを行った。次にプレス天板の温度を、金型の温度が100℃以下にはるように下げてから第1の被転写樹脂から金型を抜き出し、被転写樹脂積層体を作製した。
(比較例1)
基板を用いないことと、プレス底板の温度を調節しないこと以外は実施例1と同様にした。プレス時のプレス底板の温度は100℃に達していた。
基板を用いないことと、プレス底板の温度を調節しないこと以外は実施例1と同様にした。プレス時のプレス底板の温度は100℃に達していた。
[外観の比較]
実施例1の被転写樹脂積層体の空隙のサイズは200×100nmの断面積を有するライン状のものであり、第1の被転写樹脂と第2の被転写樹脂とを積層する前と比べて殆ど変形していないのに対して、比較例1の被転写樹脂積層体は、第2の被転写樹脂の凹凸パターンが潰れ、空隙が形成されなかった。
実施例1の被転写樹脂積層体の空隙のサイズは200×100nmの断面積を有するライン状のものであり、第1の被転写樹脂と第2の被転写樹脂とを積層する前と比べて殆ど変形していないのに対して、比較例1の被転写樹脂積層体は、第2の被転写樹脂の凹凸パターンが潰れ、空隙が形成されなかった。
1 第1の被転写樹脂、
2 第2の被転写樹脂、
3 接着剤、
10 プレス天板、
12 被転写樹脂積層体、
15 金型、
20 プレス底板、
25 基板。
2 第2の被転写樹脂、
3 接着剤、
10 プレス天板、
12 被転写樹脂積層体、
15 金型、
20 プレス底板、
25 基板。
Claims (16)
- プレス天板のプレス面に設置された金型に配置され、ガラス転移点以上の温度で保持された第1の被転写樹脂と、
プレス底板に戴置され、ガラス転移点未満の温度で保持された第2の被転写樹脂と、
を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体の製造方法。 - 前記第1の被転写樹脂の温度は前記プレス天板または金型を加熱することにより調節されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記第2の被転写樹脂の温度は前記プレス底板を温度制御することにより調節されることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
- プレス底板に戴置された金型に配置され、ガラス転移点以上の温度で保持された第1の被転写樹脂と、
プレス天板のプレス面に配置され、ガラス転移点未満の温度で保持された第2の被転写樹脂と、
を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体の製造方法。 - 前記第1の被転写樹脂の温度は前記プレス底板または金型を加熱することにより調節されることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
- 前記第2の被転写樹脂の温度は前記プレス天板を温度制御することにより調節されることを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法。
- 前記接合が、圧着であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
- プレス天板のプレス面に設置された金型に第1の被転写樹脂を配置する段階と、
プレス底板に第2の被転写樹脂を戴置し、前記第1の被転写樹脂、または前記第2の被転写樹脂に接着剤を塗布する段階と、
前記プレス天板を作動させることにより、ガラス転移点未満の温度で保持された前記第1の被転写樹脂、およびガラス転移点未満の温度で保持された前記第2の被転写樹脂を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体の製造方法。 - プレス底板に戴置された金型に第1の被転写樹脂を配置する段階と、
プレス天板に第2の被転写樹脂を配置し、前記第1の被転写樹脂、または前記第2の被転写樹脂に接着剤を塗布する段階と、
前記プレス天板を作動させることにより、ガラス転移点未満の温度で保持された前記第1の被転写樹脂、およびガラス転移点未満の温度で保持された前記第2の被転写樹脂を接合することを特徴とする被転写樹脂積層体の製造方法。 - 前記接着剤が、光硬化性樹脂であることを特徴とする請求項8または9に記載の製造方法。
- 前記第2の被転写樹脂は、前記第1の被転写樹脂に対して+10〜−20℃のガラス転移点を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
- 前記第1の被転写樹脂と前記第2の被転写樹脂とは同じ材質からなることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
- 前記プレス底板と前記第2の被転写樹脂との間、または
前記プレス天板と前記第2の被転写樹脂との間に基板が介在することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。 - 前記金型は直径1μm以下の凸部または凹部を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
- 前記金型は金属またはセラミックスからなることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1〜15のいずれかに記載の製造方法により製造され、
被転写樹脂が3層以上積層されてなることを特徴とする被転写樹脂積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005258420A JP2007069443A (ja) | 2005-09-06 | 2005-09-06 | 被転写樹脂積層体の製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005258420A JP2007069443A (ja) | 2005-09-06 | 2005-09-06 | 被転写樹脂積層体の製造方法 |
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JP (1) | JP2007069443A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009093452A1 (ja) | 2008-01-23 | 2009-07-30 | Panasonic Corporation | 波長分離装置、これを用いた面状照明装置、及びこれを用いた液晶表示装置 |
-
2005
- 2005-09-06 JP JP2005258420A patent/JP2007069443A/ja active Pending
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WO2009093452A1 (ja) | 2008-01-23 | 2009-07-30 | Panasonic Corporation | 波長分離装置、これを用いた面状照明装置、及びこれを用いた液晶表示装置 |
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