JP2007066847A - 板体間の密封構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに積層される板体の間を密封する構造において、接着剤を使用することなくガスケット2を板体1に形成した保持溝11に保持して、ガスケット2の位置ずれや捩れ、脱落等を防止する。
【解決手段】板体であるセパレータ1に形成された保持溝11に、ゴム状弾性材料からなるガスケット2が装着され、このガスケット2が、シール本体部21と、このシール本体部21のうち保持溝11内に挿入される挿入部211に、その延長方向所定間隔で幅方向両側へ張り出し形成されて前記保持溝11の内側面11bに嵌着される複数の嵌合突起22からなる。
【選択図】図1
【解決手段】板体であるセパレータ1に形成された保持溝11に、ゴム状弾性材料からなるガスケット2が装着され、このガスケット2が、シール本体部21と、このシール本体部21のうち保持溝11内に挿入される挿入部211に、その延長方向所定間隔で幅方向両側へ張り出し形成されて前記保持溝11の内側面11bに嵌着される複数の嵌合突起22からなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、積層される板体間を密封する構造であって、例えば燃料電池における燃料電池セル間を密封するのに好適な構造に関する。
燃料電池は、イオン交換膜を一対の電極層(カーボンシート)で挟んだMEA(Membrane Electrode Assembly:膜・電極複合体)と、カーボン等からなるセパレータとからなる燃料電池セルを多数、多い場合は数百枚積層したスタック構造をとっている。そして、酸化ガス(酸素)が各セパレータの一方の面に形成された酸化ガス流路から一方の電極層(カソード)に供給され、水素が各セパレータの他方の面に形成された燃料ガス流路から他方の電極層(アノード)に供給され、水の電気分解の逆反応である電気化学反応、すなわち水素と酸素から水を生成する反応によって、電力を発生するものである。
この種の燃料電池においては、反応ガスや、カソード面から排出される水や余剰空気をシールする必要があり、そのための密封構造としては、例えば特許文献1に開示されているように、セパレータに形成した保持溝に弾性体からなるガスケットを嵌め込み、あるいは特許文献2に開示されているように、セパレータに形成した保持溝に、弾性体からなるガスケットを接着したものが知られている。
特開2002−158018号公報
特開2002−33109号公報
しかしながら、特許文献1のように、ガスケットを保持溝に嵌め込んで保持する構造のものは、ガスケットの寸法を高精度にする必要があり、例えばガスケットの幅が溝幅より僅かでも小さいと、ガスケットが保持溝から脱落したり、保持溝内でずれを生じるおそれがあり、逆に、ガスケットの幅が溝幅より僅かでも大きいと、溝への挿入抵抗が大きくなってシール面が蛇行しやすくなる問題がある。また、保持溝を深くすると、その分、セパレータの肉厚が大きくなってしまい、燃料電池スタック全体の大型化を来すため、小型化を図る観点からは、保持溝を浅く、かつ溝幅を狭くする必要がある。その結果、ガスケットの断面も小さなものとなり、溝内での捩れやシールリップの倒れが起こりやすくなっていた。
一方、特許文献2のように、ガスケットを接着した構造のものは、接着剤からの溶出成分によって、電池性能に悪影響を及ぼすおそれがあった。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は燃料電池のセパレータやMEAなどのような、互いに積層される板体の間を密封する構造において、接着剤を使用することなくガスケットを板体に形成した保持溝に保持して、ガスケットの位置ずれや捩れ、脱落等を防止することにある。
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る板体間の密封構造は、積層される板体に形成された保持溝に、前記板体間を密封するゴム状弾性材料からなるガスケットが装着され、このガスケットが、シール本体部と、このシール本体部のうち前記保持溝遊挿されると共にその溝底に密接される挿入部に、その延長方向所定間隔で幅方向両側へ張り出し形成され前記保持溝の内側面に嵌着される複数の嵌合突起とからなることを特徴とするものである。
請求項2の発明に係る板体間の密封構造は、請求項1に記載の構造において、ガスケットの嵌合突起の幅方向両側面が、シール本体部の延長方向と平行な直線状をなすことを特徴とするものである。
請求項3の発明に係る板体間の密封構造は、請求項1に記載の構造において、ガスケットの嵌合突起が、シール本体部の延長方向へ所定間隔で並んだ複数の凸部をなすことを特徴とするものである。
請求項4の発明に係る板体間の密封構造は、請求項1に記載の構造において、ガスケットのシール本体部における保持溝と反対側の面が、略平面状をなすことを特徴とするものである。
請求項5の発明に係る板体間の密封構造は、請求項1に記載の構造において、ガスケットのシール本体部は、挿入部が相対的に幅を広く形成され、この挿入部から保持溝の外側へ向けて突出したシールリップ部が相対的に幅を狭く形成されたことを特徴とするものである。
請求項6の発明に係る板体間の密封構造は、請求項1に記載の構造において、ガスケットに、シール本体部の両側面から延びて板体と密接可能な絶縁シートが形成されたことを特徴とするものである。
請求項1の発明に係る板体間の密封構造によれば、ガスケットは、シール本体部が、保持溝に嵌着された複数の嵌合突起によって保持溝に位置決めされた状態に保持されるため、保持溝からの脱落を防止することができ、しかもシール本体部が幅方向へずれたり、挿入抵抗によって保持溝から部分的な浮きを生じることがないので、優れた密封性を確保すると共に、ガスケットの装着も容易であり、板体同士のオフセットを許容しやすくすることができる。また、接着する必要がないので、接着剤からの溶出成分による機器への悪影響のおそれもない
請求項2又は請求項3の発明に係る板体間の密封構造によれば、請求項1による効果に加え、保持溝内でシール本体部が蛇行するのを一層確実に防止し、優れた密封性を確保することができる。
請求項4の発明に係る板体間の密封構造によれば、請求項1による効果に加え、シール本体部における保持溝と反対側の面が略平面状をなすため、シール本体部の幅方向の位置ずれが生じても相手面との密接状態が損なわれにくく、良好な密封性が確保される。
請求項5の発明に係る板体間の密封構造によれば、請求項1による効果に加え、シール本体部における幅の広い挿入部及び嵌合突起によって、シール本体部におけるシールリップ部の捩れや蛇行などを生じにくくして、優れた密封性を確保することができる。
請求項6の発明に係る板体間の密封構造によれば、請求項1による効果に加え、ガスケットに絶縁シートが一体に形成されたことによって、絶縁手段を別途に装着する必要がなくなり、しかも絶縁シートによる密封性の向上も期待することができる。
以下、本発明に係る板体間の密封構造を燃料電池に適用した好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず図1は、第一の形態を、ガスケットの延長方向と直交する平面で切断して示す断面図、図2は、図1におけるII方向から見た図、図3は、ガスケットの嵌合突起の形状が図2と異なる例を、図1におけるII方向から見た図である。
これらの図において、参照符号1は燃料電池におけるセパレータ、参照符号2はガスケットである。セパレータ1は、請求項1に記載された板体に相当するものであって、導電性を有し、その外周部には、無端の保持溝11が形成されている。保持溝11は、その溝幅w11よりも溝深さdが小さい浅溝となっている。
ガスケット2は、VMQ(シリコーンゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはEPDM(エチレンプロピレンゴム)等のゴム状弾性材料で成形されたものであって、セパレータ1に形成された保持溝11に遊挿されると共にその溝底11aに密接されるシール本体部21と、このシール本体部21にその延長方向所定間隔で一体に形成され前記保持溝11に嵌着される複数の嵌合突起22とからなる。
詳しくは、シール本体部21は、その延長方向と直交する平面で切断した断面形状(図1に示される断面形状)が略円形を呈し、すなわちOリング状に形成されたものであって、その高さ(断面径)hは、保持溝11の溝深さdよりも大きいものとなっている。
また、嵌合突起22は、シール本体部21のうち、保持溝11内に挿入される挿入部211に、幅方向両側へ張り出すように形成されている。そして、この嵌合突起22は、保持溝11の内側面11b,11bに対して適当なつぶし代をもっていて、すなわち適当な面圧をもって嵌着されるようになっている。
図2に示されたガスケット2においては、嵌合突起22は、その幅方向両側面22aが、シール本体部21の延長方向と平行で適当な長さLを有する直線状をなしており、図3に示されたガスケット2においては、嵌合突起22は、その幅方向両側面22aが、シール本体部21の延長方向へ所定間隔Pで並んだ複数の同形同大の凸部をなしている。
具体的な例としては、図2の嵌合突起22の両側面22aにおける直線部の長さLは0.5〜5mm、好ましくは1〜3mmとし、図3の嵌合突起22の両側面22aにおける凸部の間隔Pは1〜8mm、好ましくは2〜4mmとし、嵌合突起22の両側面22a間の幅は、シール本体部21の高さhの2倍以上とするのが望ましい。
図4は、第一の形態による密封構造を適用した燃料電池セルの組立状態を、ガスケットの延長方向と直交する平面で切断して示す発電領域の外周部の断面図であり、図5は同じくマニホールド近傍の断面図である。
まず図4において、参照符号3はMEAであり、固体高分子電解質膜であるイオン交換膜31を、触媒層及びガス拡散層からなる一対の電極層32,32で挟んだものである。その両側に配置されたセパレータ1には、MEA3の電極層32との間に燃料ガス(水素ガス)又は酸化ガス(酸素)を通すための多数の流路溝12が形成されており、保持溝11は、この流路溝12が形成された領域、言い換えればMEA3による発電領域を取り囲むように延びて、この保持溝11に装着されたガスケット2のシール本体部21が、挿入部211において保持溝11の溝底11aに密接されると共に、その反対側のシールリップ部212においてMEA3のイオン交換膜31の外周部に、その厚さ方向両側から密接している。
また、図5において、参照符号13は、積層方向に隣り合う各燃料ガス、酸化ガスあるいは冷却水を供給又は排出するためのマニホールド孔で、積層方向に隣り合う各セパレータ1,1の外周部に開設され、保持溝11は、セパレータ1,1の互いの対向面に、前記マニホールド孔13を取り囲むように、互いに対応する形状に延びている。そしてこの保持溝11に装着されたガスケット2のシール本体部21は、挿入部211において保持溝11の溝底11aに密接されると共に、その反対側のシールリップ部212同士で互いに密接している。
なお、参照符号4は絶縁層であり、すなわち積層方向に隣り合うセパレータ1の外周部(発電領域の外周側)の間は、この絶縁層4の介在によって互いに絶縁される。
以上の構成において、MEA3の一方の面には、流路溝12を通じて燃料ガス(水素)が供給され、他方の面には、酸化ガス(酸素)が供給される。そして、燃料ガスが供給される側(アノード)においては、水素分子を水素イオンと電子に分解する反応が行われ、酸化ガスが供給される側(カソード)においては、酸素と水素イオンと電子により水を生成する反応が行われ、これによって起電力を発生する。
ガスケット2は、燃料ガス又は酸化ガス等に対するシールを行うもので、図4に示される部分においては、MEA3のイオン交換膜31の外周部を厚さ方向両側から弾性的に挟持する機能を有する。そしてこのガスケット2は、断面形状が略円形を呈するシール本体部21が、保持溝11の内側面11b,11bに嵌着された嵌合突起22によって、保持溝11の幅方向中間部分に保持されるため、シールライン(シール本体部21とイオン交換膜31との密接部あるいはシール本体部21同士の密接部)が幅方向へずれたりすることがない。
詳しくは、嵌合突起22の両側面22aは、図2に示されるように、シール本体部21の延長方向と平行で適当な長さLを有する直線状をなし、あるいは図3に示されるように、シール本体部21の延長方向へ所定間隔Pで並んだ複数の円弧状の凸部をなすため、保持溝11内でシール本体部21が蛇行するようなこともない。また、このガスケット2は、保持溝11に嵌め込んで保持する構造ではあるが、先に説明した特許文献1のものとは異なり、シール本体部21の延長方向所定間隔で設けられた嵌合突起22のみを保持溝11に嵌め込むので、挿入抵抗によって保持溝11からのガスケット2の部分的な浮きを生じるようなこともない。したがって優れた密封性が確保されると共に、セパレータ1,1同士のオフセットを許容しやすくすることができる。
そして、ガスケット2は、シール本体部21が、保持溝11の内側面11b,11bに適当な面圧で嵌着された嵌合突起22によって、この保持溝11に保持されるものであるため、未積層状態において、ガスケット2が下向きになっても保持溝11から脱落することはない。しかも、接着剤を用いてセパレータ1に接着したもののように、接着剤からの溶出成分によって、電池性能に悪影響を及ぼすおそれもない。
更に、図1に示される保持溝11の溝深さdが浅いものであっても、嵌合突起22の嵌着によってガスケット2を保持できるため、保持溝11の溝深さdを浅くすることによってセパレータ1の肉厚を減少させ、燃料電池スタック全体の小型化を図ることができる。なお、保持溝11を浅くすれば、ガスケット2におけるシール本体部21の断面も小さくする必要があるが、上述のように、嵌合突起22によって、溝内での捩れや倒れを有効に防止することができる。
次に、図6は、本発明に係る板体間の密封構造を燃料電池に適用した好ましい第二の形態を、ガスケットの延長方向と直交する平面で切断して示す断面図、図7は、図6におけるVII方向から見た図である。この図6及び図7において、セパレータ1に形成された保持溝11は、図1と同様のものである。
ガスケット2は、VMQ(シリコーンゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはEPDM(エチレンプロピレンゴム)等のゴム状弾性材料で成形されており、セパレータ1に形成された保持溝11に遊挿されると共にその溝底11aに密接されるシール本体部21と、このシール本体部21にその延長方向所定間隔で一体に形成され前記保持溝11に嵌着される複数の嵌合突起22と、前記シール本体部21の幅方向両側面から延在された絶縁シート23,24とからなる。
シール本体部21は、その延長方向と直交する平面で切断した断面形状(図6に示される断面形状)が、角を丸め又は面取りした横長の長方形状、すなわち扁平な角リング状を呈し、その高さhは保持溝11の溝深さdよりも大きく、幅w21は、保持溝11の溝幅w11よりも適宜小さいものとなっている。また、溝底11aと密接されるシール面21a、及びその反対側のシール面21bは、平面状に形成されている。
嵌合突起22は、シール本体部21のうち、保持溝11へ挿入される挿入部211に、幅方向両側へ張り出すように、シール本体部21の延長方向所定間隔で形成されており、保持溝11の内側面11b,11bに、適当な面圧をもって嵌着されるようになっている。
嵌合突起22は、基本的には、図6のVII方向の投影形状が円弧状の凸形状をなすものであるが、その幅方向両側面22aが、図7に示されるように、シール本体部21の延長方向と平行で適当な長さLを有する直線状をなすものとしても良い。この場合、直線部の長さLは、具体的には0.5〜5mm、好ましくは1〜3mmとする。
また、絶縁シート23,24は、シール本体部21の幅方向両側面における挿入部211の上端高さ、言い換えれば嵌合突起22の上端に相当する高さから所定幅の薄膜状に延在されて、セパレータ1と密接可能となっている。
この第二の形態によれば、ガスケット2は、シール本体部21が扁平な角リング状をなすため、保持溝11への装着の際に、捩れや蛇行などを生じにくく、しかも、嵌合突起22によって保持溝11の幅方向中間部分に保持されるため、幅方向へずれたりすることがない。
そして第一の形態と同様の嵌合突起22を有するため、この第一の形態と同様の効果を奏し得るものである。加えて、この形態によれば、ガスケット2に、セパレータ1と密接可能な絶縁シート23,24が一体に形成されているため、セパレータ1に、図4あるいは図5に示されるような絶縁層4を別途に設ける必要がない。
なお、絶縁シート23,24のうち、密封対象空間(発電領域あるいはマニホールド)と反対側へ延在された絶縁シート23を接着剤によりセパレータ1に接着すれば、ガスケット2の脱落を一層確実に防止することができると共に、密封性を向上させることもできる。なお、密封対象空間の反対側の絶縁シート23を接着するのは、接着剤からの溶出成分による悪影響を防止するためである。
図8は、第一及び第二の形態による密封構造を適用した燃料電池セルの組立状態を、ガスケットの延長方向と直交する平面で切断して示すマニホールド近傍の断面図である。すなわち、この図8において、参照符号13は、積層方向に隣り合う各燃料ガス、酸化ガスあるいは冷却水を供給又は排出するためのマニホールド孔で、積層方向に隣り合う各セパレータ1,1の外周部に開設され、保持溝11は、セパレータ1,1の互いの対向面に、前記マニホールド孔13を取り囲むように、互いに対応する形状に延びている。
相対的に下側のセパレータ1の上面に形成された保持溝11には、図6及び図7に示される第二の形態によるガスケット2が装着されており、相対的に上側のセパレータ1の下面に形成された保持溝11には、図1(及び図2又は図3)に示される第一の形態によるガスケット2が装着されている。そして、上側のガスケット2におけるOリング状をなすシール本体部21のシールリップ部212が、下側のガスケット2における扁平な角リング状をなすシール本体部21の平面状のシール面21bに密接している。
そしてこのような構成によれば、たとえシールリップ部212に保持溝11の幅方向への僅かな位置ずれが生じたとしても、このシールリップ部212は、扁平な角リング状をなすシール本体部21の平面状のシール面21bに密接しているため、その良好な密接状態が確保される。したがって、位置ずれにより密封性が損なわれることがないので、セパレータ1,1同士のオフセットを許容しやすくすることができ、シールリップ部212の倒れも生じない。
なお、図8のようなガスケット2,2の組み合わせにおいては、保持溝11に対するゴムの充填率が局部的に大きくなるのを避けるために、上側のガスケット2と下側のガスケット2とで、嵌合突起22が互いに異なる位置に形成されていることが望ましい。
次に、図9は、本発明に係る板体間の密封構造を燃料電池に適用した好ましい第三の形態を、ガスケットの延長方向と直交する平面で切断して示す断面図、図10は、図9におけるX方向から見た図である。この図9及び図10において、セパレータ1に形成された保持溝11は、図1と同様のものである。
ガスケット2は、VMQ(シリコーンゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはEPDM(エチレンプロピレンゴム)等のゴム状弾性材料で成形されており、セパレータ1に形成された保持溝11に遊挿されると共にその溝底11aに密接されるシール本体部21と、このシール本体部21にその延長方向所定間隔で一体に形成され前記保持溝11に嵌着される複数の嵌合突起22からなる。
シール本体部21において、浅溝状の保持溝11内に配置される挿入部211は相対的に幅w211が広く、この挿入部211から前記保持溝11と反対側へ向けて突出したシールリップ部212は相対的に幅w212が狭く、挿入部211の幅w211は、保持溝11の溝幅w11よりも適宜小さいものとなっている。そして嵌合突起22は、前記挿入部211に、幅方向両側へ張り出すように、前記挿入部211の延長方向所定間隔で形成されており、保持溝11の内側面11b,11bに、適当な面圧をもって嵌着されるようになっている。
図10に示されたガスケット2においては、嵌合突起22は、その幅方向両側面22aが、シール本体部21の延長方向と平行で適当な長さLを有する直線状をなしている。具体的な例としては、嵌合突起22の両側面22aにおける直線部の長さLは0.5〜5mmとし、シールリップ部212の高さΔhは、0.05〜0.2mmとし、嵌合突起22の両側面22a間の幅は、シール本体部21の高さhの2倍以上とするのが望ましい。
この第三の形態によれば、ガスケット2は、シール本体部21における挿入部211が、シールリップ部212よりも幅の広いものとなっているので、保持溝11内での捩れや蛇行などを生じにくく、しかも、嵌合突起22によって保持溝11の幅方向中間部分に保持されるため、幅方向へずれたりすることがない。したがって、この挿入部211から突出したシールリップ部212も、結果的に捩れや蛇行などを生じにくくして位置精度を向上させることができる。
次に、図11は、本発明に係る板体間の密封構造を燃料電池に適用した好ましい第四の形態を、ガスケットの延長方向と直交する平面で切断して示す断面図である。
ガスケット2は、VMQ(シリコーンゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはEPDM(エチレンプロピレンゴム)等のゴム状弾性材料で成形されており、セパレータ1に形成された保持溝11に遊挿されると共にその溝底11aに密接されるシール本体部21と、このシール本体部21にその延長方向所定間隔で一体に形成され前記保持溝11に嵌着される複数の嵌合突起22と、前記シール本体部21の幅方向両側面から延在された絶縁シート23,24とからなる。
シール本体部21は、溝底11aと反対側のシール面21bが絶縁シート23,24の外側面と同一平面をなしているほかは、基本的に、先に説明した図6(第二の形態)と同様に形成されている。すなわち、シール本体部21は、ほぼ図6における挿入部211に相当するものである。
したがって、この第四の形態も、基本的には第二の形態と同様の効果を実現することができるものである。
図12は、第三及び第四の形態による密封構造を適用した燃料電池セルの組立状態を、ガスケットの延長方向と直交する平面で切断して示すマニホールド近傍の断面図である。すなわち、この図12において、保持溝11は、先の図8と同様、セパレータ1,1の互いの対向面に、マニホールド孔13を取り囲むように互いに対応する形状に延びている。
相対的に下側のセパレータ1の上面に形成された保持溝11には、図11に示される第四の形態によるガスケット2が装着されており、相対的に上側のセパレータ1の下面に形成された保持溝11には、図9及び図10に示される第三の形態によるガスケット2が装着されている。そして、上側のガスケット2におけるシール本体部21のシールリップ部212が、下側のガスケット2における絶縁シート23,24の外側面と同一平面をシール本体部21の平坦なシール面21bに密接している。
したがって、このような構成によれば、先に説明した図8と同様、シールリップ部212の位置ずれ等により密接状態が損なわれることがないので、セパレータ1,1同士のオフセットを許容しやすくすることができ、シールリップ部212の倒れも生じない。
また、図12において、下側の第四の形態によるガスケット2は、シール面21bを絶縁シート23,24と同一平面としたことによるシール本体部21の肉厚の減少をある程度補償するために、保持溝11の溝深さdを適宜深くするが、図8のように、下側のガスケット2のシール面21bを絶縁シート23,24より高くしたものに比較して、セパレータ1,1間の隙間が小さくなるので、燃料電池セル全体としては厚さ方向の寸法を減少させることができる。
1 セパレータ(板体)
11 保持溝
11a 溝底
11b 内側面
12 流路溝
13 マニホールド孔
2 ガスケット
21 シール本体部
21a,21b シール面
211 挿入部
212 シールリップ部
22 嵌合突起
22a 両側面
23,24 絶縁シート
3 MEA(板体)
31 イオン交換膜
32 電極層
4 絶縁層
11 保持溝
11a 溝底
11b 内側面
12 流路溝
13 マニホールド孔
2 ガスケット
21 シール本体部
21a,21b シール面
211 挿入部
212 シールリップ部
22 嵌合突起
22a 両側面
23,24 絶縁シート
3 MEA(板体)
31 イオン交換膜
32 電極層
4 絶縁層
Claims (6)
- 積層される板体(1)に形成された保持溝(11)に、前記板体(1)間を密封するゴム状弾性材料からなるガスケット(2)が装着され、このガスケット(2)が、シール本体部(21)と、このシール本体部(21)のうち前記保持溝(11)遊挿されると共にその溝底(11a)に密接される挿入部(211)に、その延長方向所定間隔で幅方向両側へ張り出し形成され前記保持溝(11)の内側面(11b)に嵌着される複数の嵌合突起(22)とからなることを特徴とする板体間の密封構造。
- ガスケット(2)の嵌合突起(22)の幅方向両側面(22a)が、シール本体部(21)の延長方向と平行な直線状をなすことを特徴とする請求項1に記載の板体間の密封構造。
- ガスケット(2)の嵌合突起(22)の幅方向両側面(22a)が、シール本体部(21)の延長方向へ所定間隔(P)で並んだ複数の凸部をなすことを特徴とする請求項1に記載の板体間の密封構造。
- ガスケット(2)のシール本体部(21)における保持溝(11)と反対側のシール面(21b)が、略平面状をなすことを特徴とする請求項1に記載の板体間の密封構造。
- ガスケット(2)のシール本体部(21)は、挿入部(211)が相対的に幅(w211)を広く形成され、この挿入部(211)から保持溝(11)の外側へ向けて突出したシールリップ部(212)が相対的に幅(w212)を狭く形成されたことを特徴とする請求項1に記載の板体間の密封構造。
- ガスケット(2)に、シール本体部(21)の両側面から延びて板体(1)と密接可能な絶縁シート(23,24)が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の板体間の密封構造。
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JP2005254901A JP2007066847A (ja) | 2005-09-02 | 2005-09-02 | 板体間の密封構造 |
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JP2005254901A JP2007066847A (ja) | 2005-09-02 | 2005-09-02 | 板体間の密封構造 |
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JP (1) | JP2007066847A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109830693A (zh) * | 2019-01-15 | 2019-05-31 | 安徽明天氢能科技股份有限公司 | 一种燃料电池单极板结构 |
-
2005
- 2005-09-02 JP JP2005254901A patent/JP2007066847A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN109830693A (zh) * | 2019-01-15 | 2019-05-31 | 安徽明天氢能科技股份有限公司 | 一种燃料电池单极板结构 |
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