JP2007064363A - 電磁弁及びこの電磁弁を備える燃料噴射弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】単純で安価な構造により、樹脂のクリープによる変形を抑制して、樹脂と金属との面圧低下を防止できる電磁弁を提供する。
【解決手段】樹脂製のコネクタ8には、環状の腕部8bが設けられ、この腕部8bの内側に係合部8cが設けられている。一方、金属製のハウジング7には、腕部8bに囲まれる外周面の全周に径方向内側へ窪む係合溝7bが形成され、この係合溝7bに腕部8bの係合部8cが嵌合している。これにより、樹脂と金属との線膨張係数の差による締め付け力を得ることができ、ハウジング7の上端面7aとコネクタ8の当接面8aとの間で面圧が発生して、外部から掛かる水に対してシール機能を持つことができる。また、ハウジング7の上端面7aに形成された凹部7cと、コネクタ8の当接面8aに形成された凸部8dとが凹凸嵌合することにより、樹脂の収縮時に発生する応力が腕部8bに集中しない様に、応力を緩和できる。
【選択図】図3

Description

本発明は、金属製のハウジングに樹脂製のコネクタがインサート成型されている電磁弁及びこの電磁弁を備える燃料噴射弁に関する。
例えば、特許文献1に記載された電磁弁では、金属製のハウジングに樹脂製のコネクタをインサート成型する構造を採用している。
しかし、樹脂部品と金属部品との界面が接着されることは無いため、水などが降り掛かる環境下で使用される製品では、水の浸入によって絶縁が低下する恐れがある。この問題を回避するための従来技術として、a)Oリング等のシール部品により水の浸入を防止する方法、b)低融点の樹脂によって成形された一次成形部品の周囲に、高融点の樹脂によって二次成形部品(コネクタ)を成形する際に、その成形時の熱で一次成形部品と二次成形部品とを二次溶着させる方法等が知られている。
特開2001−102124号公報
ところが、上記a)のシール部品を使用する方法は、部品点数が増加するため、コストアップを招く。また、樹脂は、長時間高い応力下に置かれると、クリープ現象により変形を生じるため、クリープの進行によって樹脂と金属との面圧が低下することにより、シール機能が損なわれる恐れがある。
上記b)の二次溶着させる方法は、構造が複雑であり、高価なものとなるため、製品コストが上昇する要因となる。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、単純で安価な構造により、樹脂のクリープによる変形を抑制して、樹脂と金属との面圧低下を防止できる電磁弁及びこの電磁弁を備えた燃料噴射弁を提供することにある。
(請求項1の発明)
本発明は、絶縁部材を介して導電性のリードを保持する金属製のハウジングと、リードに接続されるターミナルを保持する樹脂製のコネクタとを有し、このコネクタがハウジングの端部にインサート成型されている電磁弁であって、コネクタは、ハウジングの端面に当接する当接面の外径からハウジング側へ延設されて、ハウジングの外側を全周に渡って囲う腕部が一体に設けられると共に、この腕部の内側に径方向内側へ突き出る係合部が設けられ、ハウジングは、腕部に囲まれる外周面の全周に径方向内側へ窪む係合溝が形成され、この係合溝に腕部の係合部が嵌合していると共に、ハウジングの端面には、凹部または凸部が略全周に渡ってリング状に形成され、コネクタの当接面には、ハウジングの凹部または凸部に凹凸嵌合する凸部または凹部が略全周に渡ってリング状に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、コネクタと一体に設けられた腕部がハウジングの外側を全周に渡って囲うと共に、腕部の内側に突設された係合部をハウジングの外周面に形成された係合溝に嵌合させているので、樹脂と金属との線膨張係数の差による締め付け力を得ることができる。つまり、樹脂であるコネクタは、通常、200〜300℃で成型されるが、金属より樹脂の方が線膨張係数が大きいため、電磁弁が使用される常温域では、樹脂製のコネクタの方が金属製のハウジングより寸法の収縮が大きくなる。その結果、コネクタとハウジングとの間で面圧が発生し、外部から掛かる水に対するシール機能を持つことができる。
また、ハウジングの端面に設けられた凹部または凸部と、コネクタの当接面に設けられた凸部または凹部とが凹凸嵌合することにより、樹脂の収縮時に発生する応力が腕部に集中しない様に、応力を緩和できるので、樹脂のクリープを抑制できる。
(請求項2の発明)
請求項1に記載した電磁弁において、係合溝が形成されるハウジングの外周面は、ハウジングの外径角部が滑らかなR面で形成され、且つ外径角部から係合溝の最深部に向かって徐々に掘り下げられていることを特徴とする。
上記の構成によれば、常温域で樹脂が収縮した場合に、腕部の係合部がハウジングの係合溝から外れて、腕部全体が収縮側にずれることができるので、樹脂のクリープによる変形を低減できる。その結果、高温域で樹脂が膨張した時に、ハウジングの外周と腕部の内周との間に隙間が発生することはなく、当初のシール機能を維持できる。
(請求項3の発明)
請求項1または2に記載した電磁弁において、ハウジングの端面に形成される凹部または凸部と、コネクタの当接面に形成される凸部または凹部は、それぞれ同心状に複数設けられていることを特徴とする。
これにより、樹脂の収縮時に発生する応力を緩和でき、腕部への応力集中を回避できるので、常温域でのクリープによる樹脂の変形を更に低減できる。
(請求項4の発明)
請求項1〜3に記載した何れかの電磁弁を備える燃料噴射弁であって、噴孔を開閉するニードルと、このニードルが噴孔を閉じる方向に燃料圧力を加える圧力室と、この圧力室の燃料圧力を低圧側に開放するための圧力開放通路とを有し、電磁弁によって圧力開放通路を開閉することを特徴とする。
例えば、自動車用エンジンに用いられる燃料噴射弁は、エンジンルーム内の高温環境下で使用されるため、常温域にて樹脂のクリープ現象が進行すると、高温域での使用時にコネクタとハウジングとの面圧が低下して、シール機能が損なわれる恐れがある。これに対し、本発明の電磁弁を採用した燃料噴射弁であれば、常温域での樹脂のクリープによる変形を低減できるので、高温域での使用時にコネクタとハウジングとの面圧が低下することはなく、シール機能を確保できる。
本発明を実施するための最良の形態を以下の実施例により詳細に説明する。
図1は燃料噴射弁に用いられる電磁弁1の断面図である。
実施例1に係る燃料噴射弁は、例えば、ディーゼル機関用のコモンレール式燃料噴射システムに使用されるもので、噴孔を開閉するニードル(図示せず)と、このニードルが噴孔を閉じる方向に燃料圧力を加える圧力室2と、この圧力室2の燃料圧力を低圧側に開放するための圧力開放通路3と、この圧力開放通路3を開閉する電磁弁1等によって構成される。
電磁弁1は、図1に示す様に、電磁コイル4、ステータ5、アーマチャ6、ハウジング7、コネクタ8等より構成され、リテーニングナット9によってインジェクタボディ10の上端部に固定されている。
電磁コイル4は、コネクタ8に保持されたターミナル11にリード端子12を介して電気的に接続され、ステータ5の内部に保持されている。
ステータ5は、強磁性体であり、電磁コイル4への通電によって電磁石を形成する。
アーマチャ6は、ステータ5の図示下側に配置されるバルブボディ13に摺動自在に保持され、スプリング14により反ステータ側(図示下側)に付勢されている。
バルブボディ13は、インジェクタボディ10の上端部に設けられた円筒部10aの内周に螺子結合されている。このバルブボディ13には、圧力開放通路3の一部である排出通路15が形成されている。
アーマチャ6の反ステータ側端部には、前記圧力室2に通じるオリフィス16を開閉するバルブ17が保持されている。
オリフィス16は、インジェクタボディ10の端面とバルブボディ13との間に挟持されるオリフィスプレート18に形成され、バルブ17がオリフィス16を開口すると、そのオリフィス16を通じて圧力室2と前記排出通路15とが連通する。
ハウジング7は、鉄あるいはステンレス等の金属製であり、ステータ5の図示上側に配置され、溶接等によりステータ5に接合されている。このハウジング7には、上下方向に貫通する貫通孔が形成されると共に、この貫通孔に絶縁ブッシュ19を介して前記リード端子12が挿通され、そのリード端子12の上端部がハウジング7の上端面7aより図示上方へ取り出されて、ターミナル11に結合されている。
コネクタ8は、例えば、ナイロン等の熱可塑製樹脂により形成され、ハウジング7の上端部にインサート成型されている。
次に、本発明に係る電磁弁1の特徴を説明する。
コネクタ8には、ハウジング7の上端面7aに当接する当接面8aの外径からハウジング7側へ突き出る環状の腕部8bが設けられている。この腕部8bは、ハウジング7の外側を全周に渡って囲うと共に、腕部8bの内側に径方向内側へ突き出る係合部8cが設けられている。
一方、ハウジング7には、腕部8bに囲まれる外周面の全周に径方向内側へ窪む係合溝7bが形成され、この係合溝7bに腕部8bの係合部8cが嵌合している。なお、係合溝7bが形成されるハウジング7の外周面は、図3(a)に示す様に、ハウジング7の外径角部が滑らかな凸曲面(R面)で形成され、且つ外径角部から係合溝7bの最深部に向かって徐々に掘り下げられ、更に係合溝7bの最新部が滑らかな凹曲面(R面)で形成されている。
一方、係合部8cを有する腕部8bの内周面は、ハウジング7の外周面に倣って、滑らかな曲面で形成されている。すなわち、当接面8aと腕部8bとの角部が滑らかな凹曲面(R面)で形成され、且つ角部から係合部8cの先端部に向かって徐々に突出し、更に係合部8cの先端部が滑らかな凸曲面(R面)で形成されている。
また、ハウジング7の上端面7aには、図2に示す様に、貫通孔に絶縁ブッシュ19が挿入されている部分を除く略全周に渡って凹部7cがリング状に形成され、コネクタ8の当接面8aには、ハウジング7の凹部7cに凹凸嵌合する凸部8dが略全周に渡ってリング状に形成されている。
(実施例1の効果)
上記の電磁弁1によれば、コネクタ8と一体に設けられた腕部8bがハウジング7の外側を全周に渡って囲うと共に、腕部8bの内側に突設された係合部8cをハウジング7の外周面に形成された係合溝7bに嵌合させているので、樹脂と金属との線膨張係数の差による締め付け力を得ることができる。つまり、樹脂製であるコネクタ8は、通常、200〜300℃で成型されるが、金属より樹脂の方が線膨張係数が大きいため、常温域での使用時には、樹脂製のコネクタ8の方が金属製のハウジング7より寸法の収縮が大きくなる。その結果、ハウジング7とコネクタ8との界面で面圧が発生するため、外部から掛かる水に対してシール機能を持つことができる。
また、ハウジング7の上端面7aに形成された凹部7cと、コネクタ8の当接面8aに形成された凸部8dとが凹凸嵌合することにより、樹脂の収縮時に発生する応力が腕部8bに集中しない様に、応力を緩和できるので、樹脂のクリープを抑制できる。
ところで、係合溝7b及び係合部8cの形状が、図4(a)に示す様に、クランク状に形成されていると、同図(b)に示す様に、常温域での使用時に樹脂の収縮が規制されるため、腕部8bに過大な応力が発生して、クリープによる変形が生じる。その結果、高温域での使用時には、同図(c)に示す様に、係合溝7bと係合部8cとの間に隙間が発生して、樹脂と金属との面圧が低下するため、シール機能が損なわれる。
これに対し、本実施例の係合溝7b及び係合部8cは、図3(a)に示す様に、それぞれR形状を有する滑らかな曲面で構成されている。これにより、常温域での使用時に樹脂が収縮した場合に、同図(b)に示す様に、腕部8bの係合部8cがハウジング7の係合溝7bから外れて、腕部8b全体が収縮側(図示矢印方向)にずれることができるので、樹脂のクリープによる変形を低減できる。その結果、高温域での使用時において、同図(c)に示す様に、ハウジング7の外周と腕部8bの内周との間に隙間が発生することはなく、当初のシール機能を維持できる。
(変形例)
実施例1では、ハウジング7の上端面7aに凹部7cを形成し、コネクタ8の当接面8aに凸部8dを形成する一例を示したが、凹部7cと凸部8dとの関係を逆にしても良い。つまり、図5(a)に示す様に、ハウジング7の上端面7aに凸部7dを形成し、コネクタ8の当接面8aに凹部8eを形成しても良い。
また、図5(b)に示す様に、ハウジング7の上端面7aに形成される凸部7d(または凹部)と、コネクタ8の当接面8aに形成される凹部8e(または凸部)は、それぞれ同心状に複数設けることもできる。
燃料噴射弁に用いられる電磁弁の断面図である(実施例1)。 図1に示す電磁弁のA−A断面図である(実施例1)。 係合部と係合溝との嵌合状態を示す断面図である(実施例1)。 係合部と係合溝とがクランク状に形成されている断面図である。 係合部と係合溝との嵌合状態を示す断面図である(変形例)。
符号の説明
1 電磁弁
2 圧力室
3 圧力開放通路
7 ハウジング
7a ハウジングの上端面(ハウジングの端面)
7b 係合溝
7c ハウジングの上端面に形成された凹部
8 コネクタ
8a コネクタの当接面
8b 腕部
8c 係合部
8d コネクタの当接面に形成された凸部
11 ターミナル
12 リード端子(リード)
15 排出通路(圧力開放通路の一部)
19 絶縁ブッシュ(絶縁部材)

Claims (4)

  1. 絶縁部材を介して導電性のリードを保持する金属製のハウジングと、
    前記リードに接続されるターミナルを保持する樹脂製のコネクタとを有し、
    このコネクタが前記ハウジングの端部にインサート成型されている電磁弁であって、
    前記コネクタは、前記ハウジングの端面に当接する当接面の外径から前記ハウジング側へ延設されて、前記ハウジングの外側を全周に渡って囲う腕部が一体に設けられると共に、この腕部の内側に径方向内側へ突き出る係合部が設けられ、
    前記ハウジングは、前記腕部に囲まれる外周面の全周に径方向内側へ窪む係合溝が形成され、この係合溝に前記腕部の係合部が嵌合していると共に、
    前記ハウジングの端面には、凹部または凸部が略全周に渡ってリング状に形成され、
    前記コネクタの当接面には、前記ハウジングの凹部または凸部に凹凸嵌合する凸部または凹部が略全周に渡ってリング状に形成されていることを特徴とする電磁弁。
  2. 請求項1に記載した電磁弁において、
    前記係合溝が形成される前記ハウジングの外周面は、前記ハウジングの外径角部が滑らかなR面で形成され、且つ前記外径角部から前記係合溝の最深部に向かって徐々に掘り下げられていることを特徴とする電磁弁。
  3. 請求項1または2に記載した電磁弁において、
    前記ハウジングの端面に形成される前記凹部または凸部と、前記コネクタの当接面に形成される前記凸部または凹部は、それぞれ同心状に複数設けられていることを特徴とする電磁弁。
  4. 請求項1〜3に記載した何れかの電磁弁を備える燃料噴射弁であって、
    噴孔を開閉するニードルと、
    このニードルが前記噴孔を閉じる方向に燃料圧力を加える圧力室と、
    この圧力室の燃料圧力を低圧側に開放するための圧力開放通路とを有し、
    前記電磁弁によって前記圧力開放通路を開閉することを特徴とする燃料噴射弁。
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