JP2007063661A - 無電解ニッケルめっき用前処理液、無電解ニッケルめっきの前処理方法無電解ニッケルめっき方法、並びに、プリント配線板及び半導体チップ搭載用基板の製造方法 - Google Patents

無電解ニッケルめっき用前処理液、無電解ニッケルめっきの前処理方法無電解ニッケルめっき方法、並びに、プリント配線板及び半導体チップ搭載用基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鉛イオンが含まれない無電解ニッケルめっき液を使用する場合であってもブリッジの発生を十分防止できる無電解ニッケルめっき用前処理液、無電解ニッケルめっきの前処理方法、無電解ニッケルめっき方法、並びに、プリント配線板及び半導体チップ搭載用基板の製造方法を提供する。
【解決手段】無電解ニッケルめっき用前処理液として、特定の脂肪族チオール化合物、およびジスルフィド化合物から選択される少なくとも1種の硫黄化合物と、有機溶剤とを含み、前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量が0.0005〜10g/Lであり、且つ、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)が80000以下のものである前処理液を用い、該前処理液を銅配線を有する半導体チップ搭載用基板表面に接触させた後、銅配線上に無電解ニッケルめっきを施す。
【選択図】 なし

Description

本発明は、無電解ニッケルめっき用前処理液、無電解ニッケルめっきの前処理方法無電解ニッケルめっき方法、並びに、プリント配線板及び半導体チップ搭載用基板の製造方法に関する。
近年の情報化社会の発展は目覚しく、民生機器ではパソコン、携帯電話などの小型化、軽量化、高性能化、高機能化が進められ、産業用機器としては無線基地局、光通信装置、サーバ、ルータなどのネットワーク関連機器など、大型、小型を問わず、同じように機能の向上が求められている。また、情報伝達量の増加に伴い、年々扱う信号の高周波化が進む傾向にあり、高速処理および高速伝送技術の開発が進められている。実装関係についてみると、CPU、DSPや各種のメモリなどのLSIの高速化、高機能化と共に、新たな高密度実装技術としてシステムオンチップ(SoC)、システムインパッケージ(SiP)などの開発が盛んに行われている。
このために、半導体チップ搭載基板やマザーボードも、高周波化、高密度配線化、高機能化に対応するために、ビルドアップ方式の多層配線基板が使用されるようになってきた。電子機器メーカ各社は、製品の小型・薄型・軽量化を実現するために競って高密度実装に取り組み、パッケージの多ピン狭ピッチ化の急速な技術進歩がなされ、プリント配線板への実装は従来のQFP(Quad Flat Package)からエリア表面実装のBGA(Ball Grid Array)/CSP(Chip Size Package)実装へと進化した。
ところで、半導体チップと半導体実装基板との接続方法は金ワイヤボンディングが一般的であり、配線板側の端子には金ワイヤの接着層である金めっきが必要である。通常、銅配線上にニッケルめっきを施した後、金めっきが行われる。従来、銅配線上に金属めっき皮膜を形成する方法としては電気めっきが適用されていたが、近年、半導体チップの高速化、高集積化に伴い基板の配線が微細化し、めっき電力供給用の引き出し線の形成が困難となっている。そのため、引き出し線が不用である無電解めっき方法に対する必要性が強まっている。
一方、電気・電子機器に対する特定有害物質の使用制限に関するEUの指令として、RoHS(ローズ)指令(Restriction of the use of certainHazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment:電子・電気機器における特定有害物質の使用制限)があり、日本の企業は輸出する製品にも指令が適用されるため、現在、各社が対応を進めている。RoHS指令は、生産から廃棄・処分にいたる製品のライフサイクルにおいて、人の健康や環境負荷を最小限に抑えることを目的としている。対象物質は(1)鉛(2)水銀(3)カドミウム(4)六価クロム(5)ポリ臭化ビフェニール(6)ポリ臭化ジフェニルエーテルの6種類である。この指令は2006年7月1日から施行され、それ以降にEUで上市される家電製品やパソコン、テレビなどは6物質の使用が制限される。鉛について取り上げると、RoHS規則案では最大許容濃度は均一物質あたりで0.1質量%(1000ppm)である。今後は規制が更に厳しくなり、最終的には非含有であることが最終目標となることが予測される。
無電解めっき方法に関しては、半導体チップ接続端子やはんだボールの接続端子など銅の表面に、無電解ニッケルめっき皮膜、無電解金めっき皮膜をこの順に形成(銅/ニッケル/金の順に形成)するのが一般的な方法である。そして、例えば、銅配線上に無電解ニッケルめっきを行う場合、無電解ニッケルめっきの前処理工程として銅配線上に金属パラジウムを析出させる活性化処理を行った後、無電解ニッケルめっきを施すのが一般的である。しかしながら、かかる活性化処理を経た銅配線に無電解ニッケルめっきを施した場合、銅の配線部のみならず、その周辺の樹脂などの絶縁部にも無電解ニッケルめっきが析出してしまうことがある。このような現象は「ブリッジ」と呼ばれ、配線のショート不良の原因となる。
そこで、上述の「ブリッジ」を防止するために、無電解ニッケルめっきの前処理工程の直前に、銅パターンを形成した基材を、チオ硫酸塩を含む溶液に浸漬する前処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、無電解ニッケルめっきについては、通常、無電解ニッケルめっき液の中に安定剤として1ppm程度の鉛イオンを含有させることにより液の安定化を図っている(例えば、非特許文献1を参照。)。なお、本研究者らの検討によると、めっき液中に1ppm程度に鉛イオンを含有させた場合、得られる無電解ニッケルめっき皮膜における鉛の含有量は0.03質量%(300ppmm)となることが判明しており、このことは特定有害物質の使用を制限する観点から望ましくない。しかし最近では、鉛イオンを含まない無電解ニッケルめっき液が開発されている(例えば、特許文献2を参照)。このようなめっき液によれば、今後さらに厳しくなる環境規制への対応が期待できる。
「無電解めっき基礎と応用」、電気鍍金研究会編、p.31、(1994) 特許第3387507号公報 特開2005−82883号公報
近時、セミアディティブ法などの配線形成方法の利用によって、例えば、配線幅/配線間隔(以下、「L/S」という。)=35μm/35μmレベルの微細配線を有する製品が量産化されている。
ところが、このような微細配線上に鉛イオンを含まない無電解ニッケルめっき液を用いて無電解ニッケルめっきを施す場合、配線間の絶縁信頼性を十分確保することが困難であることが本発明者らの検討により判明した。すなわち、上記特許文献1に記載の前処理方法を適用しても、配線間の絶縁部上に無電解ニッケルめっきが異常析出し十分なブリッジ抑制効果が得られないことが判明した。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を改善するためになされたものであり、鉛イオンが含まれない無電解ニッケルめっき液を使用する場合であってもブリッジの発生を十分防止できる無電解ニッケルめっき用前処理液、無電解ニッケルめっきの前処理方法、無電解ニッケルめっき方法、並びに、プリント配線板及び半導体チップ搭載用基板の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、無電解ニッケルめっき皮膜を付与するための活性化処理である置換パラジウムめっき処理工程前に、基材上に銅配線が形成された配線板を、特定の硫黄化合物と有機溶媒とをそれぞれ特定量含む前処理液に浸漬することにより、その後の活性化処理及び無電解めっきを経て得られる配線板においてブリッジの発生が十分防止されていることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液は、基材と、基材上に形成された、無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理をすべき銅配線とを備える配線板の表面に接触させる無電解ニッケルめっき用前処理液であって、下記一般式(1)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(2)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(3)で表される脂肪族チオール化合物および下記一般式(4)で表されるジスルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物と、有機溶剤とを含み、前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量が0.0005〜10g/Lであり、且つ、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)が80000以下であることを特徴とする。
HS−(CH−COOH …(1)
式(1)中、aは1から23までのいずれかの整数を示す。
HS−(CH−OH …(2)
式(2)中、bは5から23までのいずれかの整数を示す。
HS−(CH−NH …(3)
式(3)中、cは5から23までのいずれかの整数を示す。
−(CH−(R−S−S−(R−(CH−R …(4)
式(4)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を有する2価の有機基を示し、nおよびmはそれぞれ独立に4から15までのいずれかの整数を示し、pおよびqはそれぞれ独立に0又は1を示す。
ここで、上記配線板の層構成については特に限定されず、上記配線板が、基材としてのコア基板上に銅配線が形成されたものであってもよく、基材としてのビルドアップ層上に銅配線が形成された多層配線板であってもよい。
かかる無電解ニッケルめっき用前処理液によれば、鉛イオンが含まれない無電解ニッケルめっき液を使用する場合であってもブリッジの発生を十分抑制することができ、微細パターンを有する銅配線上に配線の短絡を十分防止しつつ無電解ニッケルめっきを施すことが可能となる。これにより、無電解ニッケルめっき皮膜における鉛の含有量を十分低減することができ、対環境規制に優れたプリント配線板の製造が可能となる。このような効果が得られる要因については必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のとおり推察する。
先ず、上記従来の前処理液では、無電解ニッケルめっき処理後の銅配線間の絶縁信頼性を十分確保することができない要因として、本発明者らは次のように考えている。すなわち、上記従来の前処理液は、配線間にめっき皮膜が形成されることを防止するために配線間に残留する触媒などを不活性化するものであると考えられる。ところが、配線間の間隔が小さくなると、配線間に残留する触媒などの不純物のみならず、銅配線の周囲にエッチング残渣として残る導体(銅)に起因するブリッジも短絡の原因になってくるものと考えられる。そのため、銅配線にのみ無電解ニッケルめっきを施すためには、銅配線の活性化処理時に銅配線のみが選択的に活性化され、残渣として残る導体(銅)は活性化されないことが重要であるが、上記従来の前処理液ではかかる選択的な活性化を十分達成することができなかったものと考えられる。
これに対して、本発明の前処理液によれば、配線間に残留する触媒などの不純物を不活性化できるとともに、エッチング残渣として残る導体(銅)を選択的に不活性化して銅配線のみに置換パラジウムめっき処理を施すことができるため、優れたブリッジ防止性が達成されたものと考えられる。これは、特定数のメチレン基と極性基とが分子内に含まれる上記硫黄化合物と、有機溶剤とがバランスよく配合されることにより、硫黄化合物がエッチング残渣として残る形状の導体(銅)には吸着して残留しやすく、比較的平滑な銅配線には残留しにくくなる現象が発現されたためと考えられる。
なお、上記硫黄化合物の合計含有量が0.0005g/L未満であると、ブリッジ抑制効果が十分に得られない。一方、10g/Lを越えると、銅配線上に残存する硫黄化合物の量が増えて銅配線の活性化が阻害されると考えられ、無電解ニッケルめっきの未析出(スキップ)などの問題が発生してしまう。また、上記比(X/Y)が80000を超えてもブリッジ抑制効果が十分に得られない。
また、本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液は、浸漬によって上記配線板の表面に接触させることが好ましい。すなわち、本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液は、銅配線を有する基板を、無電解ニッケルめっき皮膜を付与するための活性化処理である置換パラジウムめっき処理工程前に浸漬する無電解ニッケルめっき用前処理液であることが好ましい。
さらに、上記銅配線が、エッチングにより形成されたものであることが好ましい。上述したように、本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液によれば、基材上にエッチング残渣として残存する導体(銅)に活性化処理が施されることを防止できると考えられ、結果として無電解ニッケルめっきを施す銅配線の微細化をより有利に進めることが可能となる。
本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液においては、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の硫黄化合物に含まれるメチレン基(−CH−)の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)が9500以上であることが好ましい。
かかる条件を満たすことにより、ブリッジの発生を十分防止しつつ無電解ニッケルめっきの未析出(スキップ)をより確実に防止することが可能となる。これにより、配線板の接続端子(無電解ニッケルめっきが施される銅配線)の接続信頼性をより高水準なレベルへと高めることができる。
なお、本発明の前処理液が、z種類の上記硫黄化合物を含む場合、前処理液中の硫黄化合物に含まれるメチレン基の合計含有量M(mol/L)は、下記式(5)で求められる値を意味する。
Figure 2007063661


式(5)中、Sは第k番目の硫黄化合物のモル濃度(mol/L)を示し、Cは第k番目の硫黄化合物が有するメチレン基の数を示す。なお、kは1〜zの整数を示し、第k番目の硫黄化合物とは、z種類の硫黄化合物を1番目からz番目まで任意に順番をつけたときのk番目に対応する硫黄化合物を指す。
本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液においては、錯化剤、pH調整剤および界面活性剤から選択される少なくとも1種の化合物を更に含有することが好ましい。
また、本発明の無電解ニッケルめっきの前処理方法は、基材と該基材上に形成された銅配線とを備える配線板の表面に上記本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液のいずれかを接触させる第1工程と、第1工程の後に銅配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理を施す第2工程とを有することを特徴とする。
かかる無電解ニッケルめっきの前処理方法によれば、上述の本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液を、活性化処理を施す前の配線板に接触させることにより、その後、鉛イオンが含まれない無電解ニッケルめっき液を使用して無電解ニッケルめっき皮膜を形成する場合であってもブリッジの発生を十分防止できる。
本発明の無電解ニッケルめっきの前処理方法は、上記第1工程において、上記配線板を上記本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液に浸漬させることが好ましい。本発明の無電解ニッケルめっきの前処理方法は、好ましくは、銅配線を有する基板を、無電解ニッケルめっき皮膜を付与するための活性化処理である置換パラジウムめっき処理工程前に、溶液に浸漬する無電解ニッケルめっき用前処理方法であって、上記溶液が上記本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液のいずれかであることを特徴としてもよい。
本発明の無電解ニッケルめっきの前処理方法においては、上記基材が電気絶縁性の樹脂を含んで構成されるものであり、第1工程の前に、少なくとも銅配線間に露出する基材の表面を除去する工程を更に有することが好ましい。
なお、基材の形状および厚みについては特に限定されず、基材が配線板のコア基板であってもよく、多層配線板におけるビルドアップ層であってもよい。
上記の工程を有することにより、銅配線間の基材上に残存するエッチング残渣およびその他の異物を除去することができ、ブリッジの発生量を更に低減することが可能となる。
また、基材の表面を除去する上記工程は、銅配線間に露出する基材の表面をドライプロセス、ウェットプロセス、あるいはそれらを組み合わせたプロセスにより厚さ方向に0.005μm〜5μm除去するものであることが好ましい。
除去する量が、0.005μm未満であると、ブリッジの発生量を更に低減する効果が得られにくくなり、一方、5μmを超えると、銅配線の下部まで除去される傾向にあり、配線の剥離が生じやすくなる。
本発明の無電解ニッケルめっき方法は、上記本発明の無電解ニッケルめっきの前処理方法のいずれかを施した配線板の銅配線の表面上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成する無電解ニッケルめっき工程を有することを特徴とする。
本発明の無電解ニッケルめっき方法によれば、鉛イオンが含まれない無電解ニッケルめっき液を使用する場合であっても、微細パターンを有する銅配線上に、銅配線間の短絡を十分抑制しつつ無電解ニッケルめっき皮膜を形成することが可能となる。そして、かかる方法によれば、無電解ニッケルめっき皮膜における鉛の含有量を十分低減でき、対環境規制に優れたプリント配線板の製造が可能となる。
本発明のプリント配線板の製造方法は、基材と該基材上に形成された銅配線とを備える配線板の表面に上記本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液のいずれかを接触させる第1工程と、第1工程の後に銅配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理を施す第2工程とを有することを特徴とする。かかる方法によれば、本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液を適用することにより、微細パターンを有する銅配線間の短絡を十分抑制しつつ鉛の含有量が十分低減された無電解ニッケルめっき皮膜を良好に形成することが可能になることから、高密度、高接続信頼性であるとともに対環境規制に優れたプリント配線板の製造が可能となる。
本発明の半導体チップ搭載用基板の製造方法は、基材と該基材上に形成された銅配線とを備える半導体チップ搭載用基板の表面に上記本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液のいずれかを接触させる第1工程と、第1工程の後に銅配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理を施す第2工程とを有することを特徴とする。かかる方法によれば、本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液を適用することにより、微細パターンを有する銅配線間の短絡を十分抑制しつつ鉛の含有量が十分低減された無電解ニッケルめっき皮膜を良好に形成することが可能になることから、高密度、高接続信頼性であるとともに対環境規制に優れた半導体チップ搭載用基板の製造が可能となる。
本発明によれば、鉛イオンが含まれない無電解ニッケルめっき液を使用する場合であってもブリッジの発生を十分防止できる無電解ニッケルめっき用前処理液、無電解ニッケルめっきの前処理方法、無電解ニッケルめっき方法、並びに、プリント配線板及び半導体チップ搭載用基板の製造方法を提供することができる。これにより、パターン間の間隔が50μmを下回るような超微細パターンを有する銅配線上に、銅配線間の短絡を十分抑制しつつ無電解ニッケルめっき皮膜を形成することが可能となるとともに、無電解ニッケルめっき皮膜における鉛の含有量を十分低減できる。
以下、図1を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。本発明の好適な無電解ニッケルめっき方法は、基材と基材上に形成された銅配線を備える配線板を準備する配線板準備工程S1と、この配線板に対して前処理を施す前処理工程S2と、前処理を施した配線板の銅配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理を施す置換パラジウムめっき処理工程S3と、置換パラジウムめっき処理を施した銅配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成する無電解ニッケルめっき処理工程S4とを有するものである。なお、本実施形態のめっき方法は、前処理工程S2の途中に基材上にソルダーレジストを形成するソルダーレジスト形成工程S15を備えている。
本実施形態の無電解ニッケルめっき方法においては、前処理工程S2が、銅配線間の基材の表面を除去する基材表面除去工程S21、第1の脱脂処理工程S22と、第2の脱脂処理工程S23と、配線板の表面に本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液を接触させる前処理工程S24と、ソフトエッチング処理工程S25とを含む。更に各工程間には、前の工程で用いて配線板上に残存した余分な液を除去するために、配線板を流水等により洗浄する水洗浄工程S5が行われる。また、基材表面除去工程S21と第1の脱脂処理工程S22との間にソルダーレジスト形成工程S15が行われる。
本実施形態の無電解ニッケルめっき方法において、無電解ニッケルめっきとは、Ni−P、Ni−P−Cu、Ni−B、Ni−P−B−Wなどのニッケル合金や純Niを無電解方法でめっきすることであり、ニッケルを含んでいればよく、合金の種類は特に限定しない。
以下、上述の各工程について詳述する。
<配線板準備工程S1>
配線板準備工程S1では、基材上に形成された銅配線を備える配線板が準備される。かかる配線板を得る方法としては、例えば、基材としてのコア基板表面またはビルドアップ層上に金属層として銅箔を形成し、金属層の不要な箇所をエッチングで除去することにより銅配線を形成する方法(サブトラクト法)、コア基板表面またはビルドアップ層上の必要な箇所にのみ銅めっきにより銅配線を形成する方法(アディティブ法)、コア基板表面またはビルドアップ層上に薄い金属層(シード層)を形成し、その後、電解銅めっきで必要な配線を形成した後、薄い金属層をエッチングで除去することにより銅配線を形成する方法(セミアディティブ法)等が挙げられる。
基材としてのコア基板およびビルドアップ層は、絶縁材料からなり、絶縁材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂などの電気絶縁性の樹脂が使用できる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が挙げられる。コア基板としては、例えば、ガラスクロス等の繊維シートにエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸したものを用いるのが好ましい。また、ビルドアップ層は熱硬化性の有機絶縁材料を主成分とするのが好ましい。
絶縁材料には充填材を添加しても良い。充填材としては、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナ等が挙げられる。
上記サブトラクト法においてコア基板表面またはビルドアップ層上に金属層を形成する方法、および、上記セミアディティブ法においてコア基板表面またはビルドアップ層上に薄い金属層(シード層)を形成する方法としては、蒸着またはめっきによる方法、および、金属箔を貼り合わせる方法などが挙げられる。
(蒸着またはめっきによる方法)
コア基板表面またはビルドアップ層上に蒸着によって金属層又はシード層を形成する方法としては、スパッタリングによる方法が挙げられる。例えば、スパッタリングにより金属層又はシード層として下地金属と薄膜銅層とを形成する場合、薄膜銅層を形成するために使用されるスパッタリング装置は、2極スパッタ、3極スパッタ、4極スパッタ、マグネトロンスパッタ、ミラートロンスパッタ等を用いることができる。スパッタに用いるターゲットは、密着を確保するために、例えばCr、Ni、Co、Pd、Zr、Ni/Cr、Ni/Cu等の金属を下地金属として用い、5〜50nmスパッタリングする。その後、銅をターゲットにして200〜500nmスパッタリングして金属層又はシード層を形成できる。また、めっきによる方法としては、コア基板表面またはビルドアップ層上にめっき銅を、0.5〜3μm無電解銅めっきし、形成する方法が挙げられる。
(金属箔を貼り合わせる方法)
コア基板またはビルドアップ層に接着機能がある場合は、銅箔などの金属箔をプレスやラミネートによって貼り合わせることにより上記の金属層又はシード層を形成することができる。
なお、薄い金属層を直接貼り合わせるのは非常に困難であるため、必要に応じて、厚い金属箔を張り合わせた後にエッチング等により薄くする方法や、キャリア付金属箔を貼り合わせた後にキャリア層を剥離する方法などを用いることができる。前者の方法としては、例えば、キャリア銅/ニッケル/薄膜銅の三層銅箔を用い、キャリア銅をアルカリエッチング液で、ニッケルをニッケルエッチング液で除去する方法が挙げられ、後者の方法としては、例えば、アルミ、銅、絶縁樹脂などをキャリアとしたピーラブル銅箔などを使用することにより、5μm以下のシード層を形成できる。また、厚み9〜18μmの銅箔を貼り付けた後、かかる銅箔を厚み5μm以下となるようにエッチングにより均一に薄くしてシード層を形成してもかまわない。
(エッチングによる配線形成)
上記サブトラクティブ法においては、例えば、金属層(本実施形態においては銅箔)の配線となる箇所にエッチングレジストを形成し、エッチングレジストから露出した箇所に、化学エッチング液をスプレー噴霧して、不要な金属層(本実施形態においては銅箔)をエッチング除去することにより配線を形成することができる。
本実施形態のように金属層として銅箔を用いる場合、エッチングレジストは、通常の配線板に用いることのできるエッチングレジスト材料を使用して形成できる。例えば、レジストインクをシルクスクリーン印刷してエッチングレジストを形成できる。また、エッチングレジスト用ネガ型感光性ドライフィルムを銅箔の上にラミネートして、その上に配線形状に光を透過するフォトマスクを重ね、紫外線で露光し、露光しなかった箇所を現像液で除去してエッチングレジストを形成することができる。
化学エッチング液としては、塩化第二銅と塩酸の溶液、塩化第二鉄溶液、硫酸と過酸化水素の溶液、過硫酸アンモニウム溶液など、通常の配線板に用いる化学エッチング液を用いることができる。
上記セミアディティブ法においては、上述の方法で形成されたシード層上に、めっきレジストを必要なパターンに形成し、シード層を介して電解銅めっきにより配線を形成した後、めっきレジストを剥離し、最後にシード層を上述のエッチング等により除去することで配線を形成することができる。
(めっきによる配線形成)
上記アディティブ法において、コア基板表面またはビルドアップ層上に銅めっきにより銅配線を形成する方法としては、通常のめっきによる配線形成技術を用いることができる。例えば、コア基板に無電解めっき用触媒を付着させた後、めっきが行われない表面部分にめっきレジストを形成して、無電解めっき液に浸漬し、めっきレジストに覆われていない箇所にのみ無電解めっきを行い、配線を形成することができる。
また、本実施形態においては、基材上に、銅若しくは銅化合物を含有した導電ペーストを印刷法やフォトリソグラフィー法等によりパターニング施工し、熱硬化処理若しくは焼成処理によって銅配線を形成した配線板を用いることもできる。
<前処理工程(第2工程)S2>
(基材表面除去工程S21)
基材表面除去工程S21では、上述のようにして準備した配線板の銅配線間に存在する残渣を除去するために、銅配線間の基材(例えば、電気絶縁性の樹脂からなる絶縁層)に対して表面処理を行う。かかる表面処理方法としては、ドライプロセス、ウェットプロセス、物理的研磨等の方法が挙げられるが、ドライプロセスの異方性エッチングによる方法が好ましい。また、ドライプロセス、ウェットプロセス等の方法を組み合わせて処理を行うことも可能である。ドライプロセス、ウェットプロセス等の方法によって除去する銅配線間の基材表面の深さは、0.005μm〜5μmの範囲が好ましく、0.01μm〜4μmの範囲がより好ましく、0.1μm〜2μmの範囲であることが特に好ましい。かかる深さが、0.005μmよりも小さいと、配線間の基材上の金属残渣を取り除くことが困難となり、ブリッジが発生しやすくなる。一方、5μmよりも深いと、銅配線の下部までエッチングされる場合があり、配線の剥離が起こりやすくなる。
<ドライプロセスによる銅配線間の基材表面の除去>
銅配線間の基材表面の除去に用いるドライプロセスとしては、プラズマエッチング法、反応性イオンエッチング(RIE)法、反応性イオンビームエッチング(RIBE)法、大気圧プラズマエッチング法であればよい。プラズマエッチング法に用いる装置としては、バレル型、平行平板型、ダウンフロー型装置などがあり、特に限定はしない。反応性イオンエッチング(RIE)法に用いる装置としては、平行平板型、マグネトロン型、2周波型、ECR型、へリコン型、ICP型装置などがあり、特に限定はしない。反応性イオンビームエッチング(RIBE)法に用いる装置としては、ECR型、カウフマン型、ICP型装置などがあり、特に限定はしない。いずれもエッチングガスを適宜選択することが可能で、無機ガス、有機化合物蒸気あるいはこれらの混合物のいずれでも用いることができる。無機ガスとしては、たとえば、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N、NO、NO、CO、CO、NH、SO、Cl、フレオンガス(CF、CH、C、C、CHF、CHFなど)、あるいはこれらの混合ガス、およびこれらのガスへOあるいはOを混入した混合ガス等が挙げられる。なかでもArは安定した樹脂表面を得ることができるので、より好ましいガスである。また、有機化合物蒸気は特に限定されるものではないが、例えば、該Arガス中に、適当な蒸気圧になるように適量の有機化合物蒸気を混合することも好ましく用いられる。有機化合物蒸気として、有機珪素化合物、アクリル酸等の不飽和化合物、有機窒素化合物、有機フッ素化合物、一般有機溶媒などが挙げられるが、本実施形態に用いられる有機化合物はこれらのものに限定されるものではない。ドライプロセスにより銅配線間の基材表面の除去を行った場合、後処理として水または有機溶媒、さらにはそれらの混合溶液による超音波洗浄もしくは、アルカリ性溶液による洗浄を行うことがより好ましい。
<ウェットプロセスによる銅配線間の基材表面の除去>
銅配線間の基材表面を除去するウェットプロセスとして、アルカリ性の溶液あるいは酸化力の大きな酸化剤を含有する溶液さらにはそれらを組み合わせた溶液により処理する方法があげられるが、銅配線間の基材を0.002μm以上エッチングする溶液による処理であればよく、特に限定はしない。アルカリ性の溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有した化合物を少なくとも一種以上含んだ溶液を用いることが可能で、さらに錯化剤を含んだ溶液であることが好ましい。酸化力の大きな酸化剤を含有する溶液としては、過マンガン酸塩、マンガン酸塩、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩を少なくとも一種以上含んだ溶液として用いることが可能である。また市販品としては、2−アミノエタノールを含むRESIST STRIPPER 9296(富士化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。
<物理的研磨による銅配線間の基材表面の除去>
銅配線間の基材表面を除去する物理的研磨方法としては、例えば、ウェットブラスト処理(ジェットスクラブ等による物理的研磨処理)などが挙げられる。
(ソルダーレジスト形成工程S15)
本実施形態においては、基材表面除去工程S21の後に絶縁層形成工程S15が行われる。この工程では、無電解めっきが施される銅配線以外の配線を保護するための永久レジストとして、配線板上に所定の開口部を有する絶縁層を形成する。
ソルダーレジストは、例えば、公知の感光性樹脂組成物を塗布し、所定の露光・現像を実施することにより形成することができる。
(第1の脱脂処理工程S22)
第1の脱脂処理工程S22では、基材表面除去工程S21を経て得られる配線板上を清浄化するため、配線板を水酸化カリウム溶液などのアルカリ性溶液に浸漬する。水酸化カリウム溶液以外に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有した化合物を少なくとも一種以上含んだ溶液を用いることが可能で、さらに錯化剤を含んだ溶液を用いることができる。
(第2の脱脂処理工程S23)
第2の脱脂処理工程S23では、第1の脱脂処理工程S22を経て得られる配線板を、脱脂液に浸漬して、主に銅配線表面の清浄化を行う。
脱脂液としては特に限定されず、例えば、溶剤、酸性の水溶液、あるいは市販の脱脂液を用いることができる。
(本発明に係る前処理工程S24)
本発明に係る前処理工程S24では、第2の脱脂処理工程S23を経て得られる配線板の表面に、本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液を接触させる。接触方法としては、例えば、配線板を本発明の前処理液に浸漬する方法、スプレー等を用いて本発明の前処理液を配線板の表面に散布する方法等が挙げられる。処理の均一性の観点から、配線板を本発明の前処理液に浸漬する方法が好ましい。
先ず、本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液の好適な実施形態について説明する。
本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液は、下記一般式(1)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(2)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(3)で表される脂肪族チオール化合物および下記一般式(4)で表されるジスルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物と、有機溶剤とを含み、前処理液中の硫黄化合物の合計含有量が0.0005〜10g/Lであり、且つ、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)が80000以下のものである。
HS−(CH−COOH …(1)
式(1)中、aは1から23までのいずれかの整数を示す。
HS−(CH−OH …(2)
式(2)中、bは5から23までのいずれかの整数を示す。
HS−(CH−NH …(3)
式(3)中、cは5から23までのいずれかの整数を示す。
−(CH−(R−S−S−(R−(CH−R …(4)
式(4)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を有する2価の有機基を示し、nおよびmはそれぞれ独立に4から15までのいずれかの整数を示し、pおよびqはそれぞれ独立に0又は1を示す。
<上記一般式(1)で表される硫黄化合物>
本実施形態においては、上記式(1)中、aが1から23までの整数で示される化合物のいずれも用いることが可能であるが、これらのうち、aが4から15までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。また、上記一般式(1)で表される化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることができる。
なお、上記一般式(1)中のaが、23を超える化合物を用いた場合、部分的に無電解ニッケルめっきの析出が起こらない「スキップ(無電解ニッケルめっき未析出)」と呼ばれる問題が発生しやすくなる傾向がある。
<上記一般式(2)で表される硫黄化合物>
本実施形態においては、上記式(2)中、bが5から23までの整数で示される化合物のいずれも用いることが可能であるが、これらのうち、bが8から15までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。また、上記一般式(2)で表される化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることができる。
なお、上記一般式(2)中のbが4未満の化合物では、異常析出を抑制する効果が十分に得られないとともに、硫黄化合物の臭気が強くまた揮発性も高くなり作業環境上好ましくない。一方、式中のbが23を超える化合物を用いた場合、スキップ(無電解ニッケルめっき未析出)が発生しやすくなる傾向がある。
<上記一般式(3)で表される硫黄化合物>
本実施形態においては、上記式(3)中、cが5から23までの整数で示される化合物のいずれも用いることが可能であるが、これらのうち、cが8から15までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。また、上記一般式(3)で表される化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることができる。
なお、上記一般式(3)中のcが5未満の化合物では、異常析出を抑制する効果が十分に得られないとともに、硫黄化合物の臭気が強くまた揮発性も高くなり作業環境上好ましくない。一方、式中のcが23を超える化合物を用いた場合、スキップ(無電解ニッケルめっき未析出)が発生しやすくなる傾向がある。
<上記一般式(4)で表される硫黄化合物>
本実施形態においては、上記式(4)中、n及びmがそれぞれ独立に4から15までの整数で示される化合物のいずれも用いることが可能であるが、これらのうち、n及びmがそれぞれ独立に8から13までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。また、上記一般式(4)で表される化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることができる。
なお、上記一般式(4)中のn又はmが4未満の化合物では、異常析出を抑制する効果が十分に得られないとともに、硫黄化合物の臭気が強くまた揮発性も高くなり作業環境上好ましくない。一方、式中のn又はmが15を超える化合物を用いた場合、スキップ(無電解ニッケルめっき未析出)が発生しやすくなる傾向がある。
上記一般式(4)中のpまたはqが1である場合、RまたはRは、−CH(OH)−、−CH(COOH)−、−C2tCH(OH)−若しくは−C2uCH(COOH)−であることが好ましい。ここで、tおよびuは、4から15までの整数を示す。
上記一般式(4)で表される化合物は、容易に入手可能であるという点で、pおよびqが0であるものが好ましい。すなわち、下記一般式(6)で表される硫黄化合物であることが好ましい。
−(CH−S−S−(CH−R …(6)
式(6)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、r及びsはそれぞれ独立に4から15までのいずれかの整数を示す。また、式(6)中、r及びsがそれぞれ独立に8から13までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。
また、本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液は、上記一般式(1)〜(4)で表される化合物のうちの1種を単独で、又は2種以上を含むものであってもよい。
<有機溶剤>
本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液に含まれる有機溶剤の種類は、特に限定されないが、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジアリルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、シクロへキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン等のアミド系溶剤、トルエン、フェノールなどの芳香族炭化水素などを用いることができる。これらの溶剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることが可能である。また、上記溶剤は水と混合して使用することが好ましい。更に、本実施形態においては、容易に入手可能であるという観点から、上記溶剤のうち、エタノール及びアセトンを用いることが好ましい。
本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液は、前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量が0.0005〜10g/Lであることが必要であるが、かかる含有量が0.0008g/L〜3g/Lであることが好ましく、0.001g/L〜0.05g/Lであることがより好ましい。上記硫黄化合物の合計含有量が0.0008g/L未満であると、めっきの異常析出の抑制効果が弱くなり、微細配線間の絶縁信頼性を十分確保しにくくなる。上記硫黄化合物の合計含有量が3g/Lを超えると、有機溶剤の含有量によっては銅配線表面に残存する硫黄化合物の量が多くなるために、後述の置換パラジウム反応による銅へのパラジウムの置換が抑制され、結果として、無電解ニッケルめっき未析出(スキップ)の問題が発生しやすくなる。
また、本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液においては、前処理液中の上記有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)が80000以下であることが必要であるが、めっきの異常析出を抑制する観点から、かかる比が50000以下であることが好ましく、20000以下であることがより好ましい。
さらに、本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液においては、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の硫黄化合物に含まれるメチレン基(−CH−)の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)が9500以上であることが好ましい。このような条件を満たすことにより、ブリッジの発生を十分防止しつつ無電解ニッケルめっきの未析出(スキップ)をより確実に防止することが可能となる。これにより、配線板の接続端子(無電解ニッケルめっきが施される銅配線)の接続信頼性をより高水準なレベルへと高めることができる。
また、めっきの異常析出とスキップ(無電解ニッケルめっきの部分的未析出)の双方を高水準で抑制する観点から、上記の比(X/M)を9600〜1600000の範囲内にすることがより好ましく、9600〜500000の範囲内にすることが更により好ましい。
本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液には、上記一般式(1)〜(4)で表される硫黄化合物以外に、分子内に硫黄を含む複素環式化合物を含有させることができる。これにより、上記一般式(1)〜(4)で表される硫黄化合物が長鎖の炭化水素基を含むものである場合には、その凝集を抑制しつつ前処理液中の有機溶剤の含有量を低減させることができ、前処理の作業性を向上させることができる。
分子内に硫黄を含む複素環式化合物としては、例えば、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、6−アミノ−2−メルカプトペンゾチアゾール、2−メルカプト−2−チアゾリン、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、6−メルカプトプリン、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−アミノチアゾール、2−アミノ−2−チアゾリン、4−アミノ−2,1,3−ベンゾチアゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンゾイミダゾール、4−アミノ−6−メルカプトピラゾール、2,6−メルカプトプリン、2−メルカプトベンゾオキサゾールなどのメルカプト基を有する複素環式化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることができる。
上記の化合物のうち、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、6−アミノ−2−メルカプトペンゾチアゾール、2−メルカプト−2−チアゾリン、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールが好ましい。
また、本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液は、錯化剤、pH調整剤及び界面活性剤から選択される1種以上の化合物を更に含むことが好ましい。
錯化剤としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸のナトリウム(1−,2−,3−及び4−ナトリウム)塩、エチレンジアミントリ酢酸、ニトロテトラ酢酸及びそのアルカリ塩、グリコン酸、酒石酸、グルコネート、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、ピロリン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、トリエタノールアミングルコノ(γ)−ラクトン等が挙げられるが、錯化剤として機能するものであればよく、これらに限定されない。また、これらの錯化剤を1種類ないし2種類以上組み合わせて用いることも可能である。
酸性のpH調製剤としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、蟻酸、塩化第二銅、硫酸第二鉄などの鉄化合物、アルカリ金属塩化物、過硫酸アンモニウムなどから選ばれる化合物、またはこれらを組み合わせた水溶液、または、クロム酸、クロム酸−硫酸、クロム酸−フッ酸、重クロム酸、重クロム酸−ホウフッ酸などの酸性の6価クロムを含む水溶液が挙げられる。また、アルカリ性のpH調整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有した化合物を一種以上含んだ溶液が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれかまたはそれらの混合物を用いることが可能である。
本発明に係る前処理工程S24では、脱脂処理工程S23を経て得られる配線板の表面に、上述の本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液を接触させるが、その接触時間については、特に限定されず、前処理液に含まれる硫黄化合物の種類および濃度に応じて適宜変化させることが好ましい。また、前処理液の温度については、10℃〜50℃の範囲が好ましく、15℃〜40℃の範囲がより好ましく、20℃〜30℃の範囲であることが特に好ましい。
(ソフトエッチング処理工程S25)
ソフトエッチング処理工程S25では、配線板上の銅配線表面を平滑にするために、配線板をエッチング液に浸漬してソフトエッチングを行う。
エッチング液としては、通常のソフトエッチング処理に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム水溶液、過硫酸ナトリウム水溶液、硫酸−過酸化水素水溶液、あるいは市販のソフトエッチング液を用いることができる。
ソフトエッチング処理工程S25では、上記ソフトエッチングに続いて、銅配線上に形成された酸化膜を除去するために、配線板を希酸に比較的短時間浸漬して酸洗浄を行う。希酸としては、特に限定されず、例えば、希硫酸、希塩酸、希硝酸などを用いることができる。
<置換パラジウムめっき処理工程S3>
置換パラジウムめっき処理工程S3では、上述の本発明に係る前処理工程S24を含む前処理工程S2を経て得られる配線板をパラジウム化合物含有水溶液に浸漬して、銅配線表面上に、触媒となる金属パラジウム(Pd)を選択的に形成させる。
パラジウム化合物含有水溶液としては、銅配線表面上の銅をPdと置換できるものであれば特に限定されず、従来のNiめっきの前処理に用いられるものであってもよい。パラジウム化合物としては、パラジウムイオン(Pd2+)を含むものであればよく、例えば、フッ化パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酸化パラジウム、硫化パラジウム等が挙げられる。
<無電解ニッケルめっき処理S4>
無電解ニッケルめっき処理S4では、置換パラジウムめっき処理工程S3を経て得られる配線板を無電解ニッケルめっき液に浸漬して、銅配線上にのみ選択的に無電解ニッケルめっき皮膜を形成する。
無電解ニッケルめっき液は、従来から用いられているものを用いることができる。例えば、塩化ニッケル若しくは硫酸ニッケル等のニッケルイオン源及び次亜りん酸塩若しくはアミンホウ素化合物等の還元剤に加えて、クエン酸、マロン酸若しくは酒石酸等の有機酸あるいはその塩等の錯化剤、又はその他のpH調整剤等の通常用いる各種添加剤を適量含んでもよい。
配線板浸漬時の無電解ニッケルめっき液の温度及びめっき液への配線板の浸漬時間は、所望の膜厚のニッケルめっき皮膜を得ることができるよう適宜設定することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の無電解ニッケルめっき方法において、前処理工程S2は、少なくとも、配線板の表面に本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液を接触させる前処理工程S24を含んでいればよく、その他の各処理工程(基材表面除去工程S21、第1の脱脂処理工程S22、第2の脱脂処理工程S23、ソフトエッチング処理工程S25)については省略したりするなどの変更が可能である。
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお以下、特に断りが無い限り濃度は質量%である。
図2は、実施例の工程を説明するために参照する完成したプリント配線板の一例を示す概略図である。図2に示される半導体チップ搭載用基板10は、基板上に、金ワイヤボンディング用接続端子1と、金ワイヤボンディング用接続端子1が露出する開口部2を有するように設けられたソルダーレジスト3とを備えて構成されている。この半導体チップ搭載用基板10の金ワイヤボンディング用接続端子1に対して無電解めっきを施すまでの工程を行い、形成されためっきの状態について評価した。
(実施例1)
(工程a)(配線形成)
銅張り積層板である「MCL−E−679F」(日立化成工業株式会社製、商品名)にエッチングレジストを形成し、不要な銅を塩化第二鉄エッチング液を用いてエッチングし、銅配線の一部に、金ワイヤボンディング用接続端子1として図2に示される形状を有する銅配線パターンを形成した。なお、形成された接続端子は、端子幅:50μm、端子長さ:200μm、端子間スペース:30μm、端子の導体厚み:18μmであった。
(工程b)(ソルダーレジスト形成)
次に、銅配線が設けられた配線板上に、金ワイヤボンディング用接続端子1が露出するように開口部2のあるソルダーレジスト3を以下の手順で形成した。すなわち、感光性のソルダーレジスト「PSR−4000 AUS5」(太陽インキ製造株式会社製、商品名)をロールコータで塗布し、硬化後の厚みが40μmとなるようにした。続いて、露光・現像をすることにより所望の場所に開口部2を有するソルダーレジスト3を形成した。
(工程c)(前処理1)
上記の絶縁樹脂層が設けられた配線板を、30g/Lの水酸化カリウム溶液に50℃で3分間浸漬し、1分間湯洗した後、5分間水洗した。
(工程d)(前処理2)
次に、配線板を、脱脂液「Z−200」(株式会社ワールドメタル製、商品名)に50℃で3分間浸漬し、2分間水洗した。
(工程e)(前処理3(無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理))
次に、脂肪族チオール化合物であるメルカプト酢酸の濃度が0.02g/Lとなるように調整した、5mL/Lエタノール水溶液に、配線板を25℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、1分間水洗した。
(工程f)(前処理4)
次に、配線板を、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、配線板を10%の硫酸に1分間浸漬し、2分間水洗した。
(工程g)(置換パラジウムめっき処理)
次に、配線板を、めっき活性化処理液である「SA−100」(日立化成工業株式会社製、商品名)に25℃で5分間浸漬処理し、2分間水洗した。
(工程h)(無電解ニッケルめっき処理)
次に、配線板を、下記に示す組成を有する鉛を含まない無電解ニッケルめっき液に85℃で10分間浸漬処理することにより、接続端子上に厚み約2.5μmの無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。続いて、これを1分間水洗し、接続端子上に無電解ニッケルめっきが施された第1の配線板を得た。また、一方で、工程gを経て得られた配線板を、同様の無電解ニッケルめっき液に85℃で20分間浸漬処理することにより接続端子上に厚み約5μmの無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。続いて、これを1分間水洗し、接続端子上に無電解ニッケルめっきが施された第2の配線板を得た。
硫酸ニッケル・6水和物 22.5g/L
次亜リン酸ナトリウム 20.0g/L
リンゴ酸 10.0g/L
コハク酸 10.0g/L
グリシン 0.5g/L
チオジグリコール酸 5mg/L
ヘキサアンミンクロム(II)クロリド 50mg/L
pH:4.6(水酸化ナトリウムで調整)
上記で得られた第1の配線板及び第2の配線板について、下記の基準によりめっきの異常析出を評価した。更に、接続端子(端子幅:50μm、端子長さ:200μm、端子間スペース:30μm)が350箇所形成された配線板に対して、第1の配線板及び第2の配線板と同様の処理方法で無電解ニッケルめっきを施し、それぞれの配線板について下記の基準によりスキップの発生について評価した。結果を表11に示す。また、表11中には、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)、及び、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物に含まれるメチレン基の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)を示す。更に、実施例1で使用した硫黄化合物の化合物名、その化学式及び分子量、並びに、硫黄化合物に含まれるメチレン基数を表16に示す。
<めっきの異常析出の評価>
A:異常析出なく接続端子上にめっき皮膜が良好に形成されている。(図4を参照)
B:接続端子の外周に部分的にめっきがはみ出して析出している。(図5を参照)
C:接続端子の外周全体にめっきがはみ出して析出し、端子間の基板表面の一部にもめっきが析出している。(図6を参照)
D:接続端子の外周全体にめっきがはみ出して析出し、端子間の基板表面の一部にもめっきが析出し、部分的に短絡している。(図7を参照)
E:接続端子の外周全体にめっきがはみ出して析出し、端子間の基板表面の一部にもめっきが析出し、完全に短絡している。(図8を参照)
<スキップの評価>
A:350箇所の接続端子のすべてにめっき皮膜が良好に形成されている。
B:めっき皮膜が良好に形成されていない接続端子が1箇所以上3個所以内ある。
C:めっき皮膜が良好に形成されていない接続端子が4箇所以上34個所以内ある。
D:めっき皮膜が良好に形成されていない接続端子が35箇所以上ある。
(実施例2〜58)
実施例1の工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)における無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、表1〜4に示される硫黄化合物及び溶媒を表1〜4に示される含有量で含む無電解ニッケルめっき用前処理液をそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜58の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた実施例2〜58の第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表11及び12に示す。また、表11及び12中には、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)、及び、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物に含まれるメチレン基の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)を示す。更に、実施例2〜58で使用した硫黄化合物の化合物名、その化学式及び分子量、並びに、硫黄化合物に含まれるメチレン基数を表16に示す。
(実施例59)
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のドライプロセス1を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例59の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
(ドライプロセス1)
反応性イオンエッチング(RIE)法により、銅回路間の絶縁樹脂表面の除去を以下に示した条件で行い、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
装置名:プラズマ洗浄装置(三洋ハイテクノロジー製、SPC−100B)
パワー:600W
ガスおよび流量:Ar、5SCCM
処理時間:3min
(実施例60)
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のウェットプロセス1を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例60の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
(ウェットプロセス1)
工程aを経た配線板を、「エチレンジアミン1水和物」(関東化学株式会社製、商品名)の10mL/L水溶液に50℃で30分間浸漬した後、50℃で5分間湯洗し、3分間水洗し、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
(実施例61)
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のウェットプロセス2を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例61の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
(ウェットプロセス2)
工程aを経た配線板を、「40%メチルアミン水溶液」(関東化学株式会社製、商品名)の10mL/L水溶液に50℃で30分間浸漬した後、50℃で5分間湯洗し、3分間水洗し、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
(実施例62)
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のウェットプロセス3を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例62の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
(ウェットプロセス3)
工程aを経た配線板を、「RESIST STRIPPER 9296」(富士化学工業株式会社製、商品名)の10mL/L水溶液に90℃で3分間浸漬した後、50℃で5分間湯洗し、3分間水洗し、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
(実施例63)
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のウェットプロセス4を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例63の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
(ウェットプロセス4)
工程aを経た配線板に対して、酸化力の大きな酸化剤として過マンガン酸塩を含有する溶液による銅回路間の絶縁樹脂表面の除去処理を行った。処理には、デスミア処理システム(商品名:サーキュポジット200MLB,シプレイ・ファーイースト株式会社製)を用いて行った。具体的には、配線板を、膨潤処理としてサーキュポジットMLBコンディショナ211およびサーキュポジットZの混合水溶液(水:70体積%、コンディショナ211:20体積%、サーキュポジットZ:10体積%)に70℃で3分間浸漬処理した。次に、配線板を、除去処理としてサーキュポジットMLBプロモータ213AおよびサーキュポジットMLBプロモータ213Bの混合水溶液(水:75体積%、プロモータ213A:10体積%、プロモータ213B:15体積%)に70℃で3分間浸漬処理した。次に、配線板を、中和処理としてサーキュポジットMLBニュートラライザ216−4(水:80体積%、ニュートラライザ216−4:20体積%)に40℃で5分間浸漬処理し、更に3分間水洗した。これらの処理により、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
(実施例64)
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記の物理的研磨1を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例64の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
(物理的研磨1)
ウェットブラスト処理(ジェットスクラブ等による物理的研磨処理)により、銅回路間の絶縁樹脂表面の除去を以下に示した条件で行い、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
装置名:PFE−3000T(マコー株式会社製)
圧力:0.2MPa
微粒子:アルミナ♯2000(中心粒径:約6.7μm)
搬送速度:0.5m/min
(実施例65)
実施例30(実施例1の工程eにおける無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、8−アミノ−1−オクタンチオール0.1(g/L)を含むエタノール溶液を使用した実施例)における工程aの後に、工程a’として上記のドライプロセス1を実施したこと以外は実施例30と同様にして、実施例65の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
(実施例66)
実施例30(実施例1の工程eにおける無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、8−アミノ−1−オクタンチオール0.1(g/L)を含むエタノール溶液を使用した実施例)における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス1を実施したこと以外は実施例30と同様にして、実施例66の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
(実施例67)
実施例30(実施例1の工程eにおける無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、8−アミノ−1−オクタンチオール0.1(g/L)を含むエタノール溶液を使用した実施例)における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス2を実施したこと以外は実施例30と同様にして、実施例67の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
(実施例68)
実施例30(実施例1の工程eにおける無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、8−アミノ−1−オクタンチオール0.1(g/L)を含むエタノール溶液を使用した実施例)における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス3を実施したこと以外は実施例30と同様にして、実施例68の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
(実施例69)
実施例30(実施例1の工程eにおける無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、8−アミノ−1−オクタンチオール0.1(g/L)を含むエタノール溶液を使用した実施例)における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス4を実施したこと以外は実施例30と同様にして、実施例69の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
なお、表13中においても、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)、及び、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物に含まれるメチレン基の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)を示す。また、実施例59〜69で使用した硫黄化合物の化合物名、その化学式及び分子量、並びに、硫黄化合物に含まれるメチレン基数を表16に示す。
(比較例1)
実施例1に示した工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様の工程を行い、比較例1の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表14に示す。
(比較例2〜35)
実施例1の工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)における無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、表7〜9に示される硫黄化合物及び溶媒を表7〜9に示される含有量で含む無電解ニッケルめっき用前処理液をそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2〜35の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた比較例2〜35の第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表14及び15に示す。
(比較例36)
実施例1における工程aの後に、工程a’として上記のドライプロセス1を実施し、実施例1に示した工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかったこと以外は実施例1と同様の工程を行い、比較例36の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
(比較例37)
実施例1における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス1を実施し、実施例1に示した工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかったこと以外は実施例1と同様の工程を行い、比較例37の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
(比較例38)
実施例1における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス2を実施し、実施例1に示した工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかったこと以外は実施例1と同様の工程を行い、比較例38の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
(比較例39)
実施例1における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス3を実施し、実施例1に示した工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかったこと以外は実施例1と同様の工程を行い、比較例39の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
(比較例40)
実施例1における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス4を実施し、実施例1に示した工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかったこと以外は実施例1と同様の工程を行い、比較例40の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
(比較例41)
実施例1における工程aの後に、工程a’として上記の物理的研磨1を実施し、実施例1に示した工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかったこと以外は実施例1と同様の工程を行い、比較例41の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
表15中においても、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)、及び、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物に含まれるメチレン基の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)を示す。なお、前処理液が上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物を含まない場合には、該当する値がないものとして「−」を記した。
Figure 2007063661

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実施例1〜69の結果から明らかなように、本発明によれば、鉛イオンが含まれない無電解ニッケルめっき液を使用する場合であっても配線間におけるブリッジの発生を十分に防止することができ、微細配線を有する配線板に対して絶縁信頼性に優れた無電解めっきの実現が可能となる。また、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の硫黄化合物に含まれるメチレン基(−CH−)の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)を9500以上とした実施例においては、ブリッジの発生を十分防止しつつ無電解ニッケルめっきの未析出(スキップ)をより確実に防止できることが確認された。
本発明の無電解ニッケルめっき方法の好適な実施形態のフローチャートである。 半導体チップ搭載用基板の一例を示す模式図である。 無電解ニッケルめっきが施される金ワイヤボンディング用接続端子の形状を示す模式図である。 めっきの異常析出が発生せず、無電解ニッケルめっきが良好に形成された金ワイヤボンディング用接続端子を示す模式図である。 金ワイヤボンディング用接続端子の周囲及び端子間にめっきの異常析出が発生している配線板の一例を示す模式図である。 金ワイヤボンディング用接続端子の周囲及び端子間にめっきの異常析出が発生している配線板の他の例を示す模式図である。 金ワイヤボンディング用接続端子の周囲及び端子間にめっきの異常析出が発生している配線板の他の例を示す模式図である。 金ワイヤボンディング用接続端子の周囲及び端子間にめっきの異常析出が発生している配線板の他の例を示す模式図である。
符号の説明
1…金ワイヤボンディング用接続端子、2…開口部、3…絶縁樹脂層、4…無電解ニッケルめっきが良好に形成された金ワイヤボンディング用接続端子、5…基板、6…接続端子の周囲に析出しためっき、7…端子間の基板上に析出しためっき、10…半導体チップ搭載用基板、12…パッド、14…リード線。

Claims (8)

  1. 基材と、該基材上に形成された、無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理をすべき銅配線と、を備える配線板の表面に接触させる無電解ニッケルめっき用前処理液であって、
    下記一般式(1)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(2)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(3)で表される脂肪族チオール化合物および下記一般式(4)で表されるジスルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物と、有機溶剤と、を含み、
    前処理液中の前記硫黄化合物の合計含有量が0.0005〜10g/Lであり、且つ、前処理液中の前記有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の前記硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)が80000以下であることを特徴とする無電解ニッケルめっき用前処理液。
    HS−(CH−COOH …(1)
    [式(1)中、aは1から23までのいずれかの整数を示す。]
    HS−(CH−OH …(2)
    [式(2)中、bは5から23までのいずれかの整数を示す。]
    HS−(CH−NH …(3)
    [式(3)中、cは5から23までのいずれかの整数を示す。]
    −(CH−(R−S−S−(R−(CH−R …(4)
    [式(4)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を有する2価の有機基を示し、nおよびmはそれぞれ独立に4から15までのいずれかの整数を示し、pおよびqはそれぞれ独立に0又は1を示す。]
  2. 前処理液中の前記有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の前記硫黄化合物に含まれるメチレン基の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)が9500以上であることを特徴とする請求項1に記載の無電解ニッケルめっき用前処理液。
  3. 錯化剤、pH調整剤および界面活性剤から選択される少なくとも1種の化合物を更に含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の無電解ニッケルめっき用前処理液。
  4. 基材と、該基材上に形成された銅配線と、を備える配線板の表面に、請求項1〜3のいずれかに記載の無電解ニッケルめっき用前処理液を接触させる第1工程と、
    前記第1工程の後に前記銅配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理を施す第2工程と、
    を有することを特徴とする無電解ニッケルめっきの前処理方法。
  5. 前記基材が、電気絶縁性の樹脂を含んで構成されるものであり、
    前記第1工程の前に、少なくとも前記銅配線間に露出する前記基材の表面を除去する工程を更に有することを特徴とする請求項4に記載の無電解ニッケルめっきの前処理方法。
  6. 請求項4又は5に記載の無電解ニッケルめっきの前処理方法を施した前記配線板の前記銅配線の表面上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成する無電解ニッケルめっき工程を有することを特徴とする無電解ニッケルめっき方法。
  7. 基材と、該基材上に形成された銅配線と、を備える配線板の表面に、請求項1〜3のいずれかに記載の無電解ニッケルめっき用前処理液を接触させる第1工程と、
    前記第1工程の後に前記銅配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理を施す第2工程と、
    を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
  8. 基材と、該基材上に形成された銅配線と、を備える半導体チップ搭載用基板の表面に、請求項1〜3のいずれかに記載の無電解ニッケルめっき用前処理液を接触させる第1工程と、
    前記第1工程の後に前記銅配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理を施す第2工程と、
    を有することを特徴とする半導体チップ搭載用基板の製造方法。

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