JP2007063661A - 無電解ニッケルめっき用前処理液、無電解ニッケルめっきの前処理方法無電解ニッケルめっき方法、並びに、プリント配線板及び半導体チップ搭載用基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無電解ニッケルめっき用前処理液として、特定の脂肪族チオール化合物、およびジスルフィド化合物から選択される少なくとも1種の硫黄化合物と、有機溶剤とを含み、前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量が0.0005〜10g/Lであり、且つ、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)が80000以下のものである前処理液を用い、該前処理液を銅配線を有する半導体チップ搭載用基板表面に接触させた後、銅配線上に無電解ニッケルめっきを施す。
【選択図】 なし
Description
HS−(CH2)a−COOH …(1)
式(1)中、aは1から23までのいずれかの整数を示す。
HS−(CH2)b−OH …(2)
式(2)中、bは5から23までのいずれかの整数を示す。
HS−(CH2)c−NH2 …(3)
式(3)中、cは5から23までのいずれかの整数を示す。
R1−(CH2)n−(R3)p−S−S−(R4)q−(CH2)m−R2 …(4)
式(4)中、R1およびR2はそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、R3およびR4はそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を有する2価の有機基を示し、nおよびmはそれぞれ独立に4から15までのいずれかの整数を示し、pおよびqはそれぞれ独立に0又は1を示す。
式(5)中、Skは第k番目の硫黄化合物のモル濃度(mol/L)を示し、Ckは第k番目の硫黄化合物が有するメチレン基の数を示す。なお、kは1〜zの整数を示し、第k番目の硫黄化合物とは、z種類の硫黄化合物を1番目からz番目まで任意に順番をつけたときのk番目に対応する硫黄化合物を指す。
配線板準備工程S1では、基材上に形成された銅配線を備える配線板が準備される。かかる配線板を得る方法としては、例えば、基材としてのコア基板表面またはビルドアップ層上に金属層として銅箔を形成し、金属層の不要な箇所をエッチングで除去することにより銅配線を形成する方法(サブトラクト法)、コア基板表面またはビルドアップ層上の必要な箇所にのみ銅めっきにより銅配線を形成する方法(アディティブ法)、コア基板表面またはビルドアップ層上に薄い金属層(シード層)を形成し、その後、電解銅めっきで必要な配線を形成した後、薄い金属層をエッチングで除去することにより銅配線を形成する方法(セミアディティブ法)等が挙げられる。
コア基板表面またはビルドアップ層上に蒸着によって金属層又はシード層を形成する方法としては、スパッタリングによる方法が挙げられる。例えば、スパッタリングにより金属層又はシード層として下地金属と薄膜銅層とを形成する場合、薄膜銅層を形成するために使用されるスパッタリング装置は、2極スパッタ、3極スパッタ、4極スパッタ、マグネトロンスパッタ、ミラートロンスパッタ等を用いることができる。スパッタに用いるターゲットは、密着を確保するために、例えばCr、Ni、Co、Pd、Zr、Ni/Cr、Ni/Cu等の金属を下地金属として用い、5〜50nmスパッタリングする。その後、銅をターゲットにして200〜500nmスパッタリングして金属層又はシード層を形成できる。また、めっきによる方法としては、コア基板表面またはビルドアップ層上にめっき銅を、0.5〜3μm無電解銅めっきし、形成する方法が挙げられる。
コア基板またはビルドアップ層に接着機能がある場合は、銅箔などの金属箔をプレスやラミネートによって貼り合わせることにより上記の金属層又はシード層を形成することができる。
上記サブトラクティブ法においては、例えば、金属層(本実施形態においては銅箔)の配線となる箇所にエッチングレジストを形成し、エッチングレジストから露出した箇所に、化学エッチング液をスプレー噴霧して、不要な金属層(本実施形態においては銅箔)をエッチング除去することにより配線を形成することができる。
上記アディティブ法において、コア基板表面またはビルドアップ層上に銅めっきにより銅配線を形成する方法としては、通常のめっきによる配線形成技術を用いることができる。例えば、コア基板に無電解めっき用触媒を付着させた後、めっきが行われない表面部分にめっきレジストを形成して、無電解めっき液に浸漬し、めっきレジストに覆われていない箇所にのみ無電解めっきを行い、配線を形成することができる。
(基材表面除去工程S21)
基材表面除去工程S21では、上述のようにして準備した配線板の銅配線間に存在する残渣を除去するために、銅配線間の基材(例えば、電気絶縁性の樹脂からなる絶縁層)に対して表面処理を行う。かかる表面処理方法としては、ドライプロセス、ウェットプロセス、物理的研磨等の方法が挙げられるが、ドライプロセスの異方性エッチングによる方法が好ましい。また、ドライプロセス、ウェットプロセス等の方法を組み合わせて処理を行うことも可能である。ドライプロセス、ウェットプロセス等の方法によって除去する銅配線間の基材表面の深さは、0.005μm〜5μmの範囲が好ましく、0.01μm〜4μmの範囲がより好ましく、0.1μm〜2μmの範囲であることが特に好ましい。かかる深さが、0.005μmよりも小さいと、配線間の基材上の金属残渣を取り除くことが困難となり、ブリッジが発生しやすくなる。一方、5μmよりも深いと、銅配線の下部までエッチングされる場合があり、配線の剥離が起こりやすくなる。
銅配線間の基材表面の除去に用いるドライプロセスとしては、プラズマエッチング法、反応性イオンエッチング(RIE)法、反応性イオンビームエッチング(RIBE)法、大気圧プラズマエッチング法であればよい。プラズマエッチング法に用いる装置としては、バレル型、平行平板型、ダウンフロー型装置などがあり、特に限定はしない。反応性イオンエッチング(RIE)法に用いる装置としては、平行平板型、マグネトロン型、2周波型、ECR型、へリコン型、ICP型装置などがあり、特に限定はしない。反応性イオンビームエッチング(RIBE)法に用いる装置としては、ECR型、カウフマン型、ICP型装置などがあり、特に限定はしない。いずれもエッチングガスを適宜選択することが可能で、無機ガス、有機化合物蒸気あるいはこれらの混合物のいずれでも用いることができる。無機ガスとしては、たとえば、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2、NO、N2O、CO、CO2、NH3、SO2、Cl2、フレオンガス(CF4、CH2F2、C4F6、C5F8、CHF3、CH3Fなど)、あるいはこれらの混合ガス、およびこれらのガスへO2あるいはO3を混入した混合ガス等が挙げられる。なかでもArは安定した樹脂表面を得ることができるので、より好ましいガスである。また、有機化合物蒸気は特に限定されるものではないが、例えば、該Arガス中に、適当な蒸気圧になるように適量の有機化合物蒸気を混合することも好ましく用いられる。有機化合物蒸気として、有機珪素化合物、アクリル酸等の不飽和化合物、有機窒素化合物、有機フッ素化合物、一般有機溶媒などが挙げられるが、本実施形態に用いられる有機化合物はこれらのものに限定されるものではない。ドライプロセスにより銅配線間の基材表面の除去を行った場合、後処理として水または有機溶媒、さらにはそれらの混合溶液による超音波洗浄もしくは、アルカリ性溶液による洗浄を行うことがより好ましい。
銅配線間の基材表面を除去するウェットプロセスとして、アルカリ性の溶液あるいは酸化力の大きな酸化剤を含有する溶液さらにはそれらを組み合わせた溶液により処理する方法があげられるが、銅配線間の基材を0.002μm以上エッチングする溶液による処理であればよく、特に限定はしない。アルカリ性の溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有した化合物を少なくとも一種以上含んだ溶液を用いることが可能で、さらに錯化剤を含んだ溶液であることが好ましい。酸化力の大きな酸化剤を含有する溶液としては、過マンガン酸塩、マンガン酸塩、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩を少なくとも一種以上含んだ溶液として用いることが可能である。また市販品としては、2−アミノエタノールを含むRESIST STRIPPER 9296(富士化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。
銅配線間の基材表面を除去する物理的研磨方法としては、例えば、ウェットブラスト処理(ジェットスクラブ等による物理的研磨処理)などが挙げられる。
本実施形態においては、基材表面除去工程S21の後に絶縁層形成工程S15が行われる。この工程では、無電解めっきが施される銅配線以外の配線を保護するための永久レジストとして、配線板上に所定の開口部を有する絶縁層を形成する。
第1の脱脂処理工程S22では、基材表面除去工程S21を経て得られる配線板上を清浄化するため、配線板を水酸化カリウム溶液などのアルカリ性溶液に浸漬する。水酸化カリウム溶液以外に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有した化合物を少なくとも一種以上含んだ溶液を用いることが可能で、さらに錯化剤を含んだ溶液を用いることができる。
第2の脱脂処理工程S23では、第1の脱脂処理工程S22を経て得られる配線板を、脱脂液に浸漬して、主に銅配線表面の清浄化を行う。
本発明に係る前処理工程S24では、第2の脱脂処理工程S23を経て得られる配線板の表面に、本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液を接触させる。接触方法としては、例えば、配線板を本発明の前処理液に浸漬する方法、スプレー等を用いて本発明の前処理液を配線板の表面に散布する方法等が挙げられる。処理の均一性の観点から、配線板を本発明の前処理液に浸漬する方法が好ましい。
HS−(CH2)a−COOH …(1)
式(1)中、aは1から23までのいずれかの整数を示す。
HS−(CH2)b−OH …(2)
式(2)中、bは5から23までのいずれかの整数を示す。
HS−(CH2)c−NH2 …(3)
式(3)中、cは5から23までのいずれかの整数を示す。
R1−(CH2)n−(R3)p−S−S−(R4)q−(CH2)m−R2 …(4)
式(4)中、R1およびR2はそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、R3およびR4はそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を有する2価の有機基を示し、nおよびmはそれぞれ独立に4から15までのいずれかの整数を示し、pおよびqはそれぞれ独立に0又は1を示す。
本実施形態においては、上記式(1)中、aが1から23までの整数で示される化合物のいずれも用いることが可能であるが、これらのうち、aが4から15までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。また、上記一般式(1)で表される化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることができる。
本実施形態においては、上記式(2)中、bが5から23までの整数で示される化合物のいずれも用いることが可能であるが、これらのうち、bが8から15までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。また、上記一般式(2)で表される化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることができる。
本実施形態においては、上記式(3)中、cが5から23までの整数で示される化合物のいずれも用いることが可能であるが、これらのうち、cが8から15までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。また、上記一般式(3)で表される化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることができる。
本実施形態においては、上記式(4)中、n及びmがそれぞれ独立に4から15までの整数で示される化合物のいずれも用いることが可能であるが、これらのうち、n及びmがそれぞれ独立に8から13までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。また、上記一般式(4)で表される化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることができる。
R5−(CH2)r−S−S−(CH2)s−R6 …(6)
式(6)中、R5およびR6はそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、r及びsはそれぞれ独立に4から15までのいずれかの整数を示す。また、式(6)中、r及びsがそれぞれ独立に8から13までの整数で示される化合物を用いることが好ましい。
本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液に含まれる有機溶剤の種類は、特に限定されないが、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジアリルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、シクロへキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン等のアミド系溶剤、トルエン、フェノールなどの芳香族炭化水素などを用いることができる。これらの溶剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて無電解ニッケルめっき用前処理液に含有させることが可能である。また、上記溶剤は水と混合して使用することが好ましい。更に、本実施形態においては、容易に入手可能であるという観点から、上記溶剤のうち、エタノール及びアセトンを用いることが好ましい。
ソフトエッチング処理工程S25では、配線板上の銅配線表面を平滑にするために、配線板をエッチング液に浸漬してソフトエッチングを行う。
置換パラジウムめっき処理工程S3では、上述の本発明に係る前処理工程S24を含む前処理工程S2を経て得られる配線板をパラジウム化合物含有水溶液に浸漬して、銅配線表面上に、触媒となる金属パラジウム(Pd)を選択的に形成させる。
無電解ニッケルめっき処理S4では、置換パラジウムめっき処理工程S3を経て得られる配線板を無電解ニッケルめっき液に浸漬して、銅配線上にのみ選択的に無電解ニッケルめっき皮膜を形成する。
銅張り積層板である「MCL−E−679F」(日立化成工業株式会社製、商品名)にエッチングレジストを形成し、不要な銅を塩化第二鉄エッチング液を用いてエッチングし、銅配線の一部に、金ワイヤボンディング用接続端子1として図2に示される形状を有する銅配線パターンを形成した。なお、形成された接続端子は、端子幅:50μm、端子長さ:200μm、端子間スペース:30μm、端子の導体厚み:18μmであった。
次に、銅配線が設けられた配線板上に、金ワイヤボンディング用接続端子1が露出するように開口部2のあるソルダーレジスト3を以下の手順で形成した。すなわち、感光性のソルダーレジスト「PSR−4000 AUS5」(太陽インキ製造株式会社製、商品名)をロールコータで塗布し、硬化後の厚みが40μmとなるようにした。続いて、露光・現像をすることにより所望の場所に開口部2を有するソルダーレジスト3を形成した。
上記の絶縁樹脂層が設けられた配線板を、30g/Lの水酸化カリウム溶液に50℃で3分間浸漬し、1分間湯洗した後、5分間水洗した。
次に、配線板を、脱脂液「Z−200」(株式会社ワールドメタル製、商品名)に50℃で3分間浸漬し、2分間水洗した。
次に、脂肪族チオール化合物であるメルカプト酢酸の濃度が0.02g/Lとなるように調整した、5mL/Lエタノール水溶液に、配線板を25℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、1分間水洗した。
次に、配線板を、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、配線板を10%の硫酸に1分間浸漬し、2分間水洗した。
次に、配線板を、めっき活性化処理液である「SA−100」(日立化成工業株式会社製、商品名)に25℃で5分間浸漬処理し、2分間水洗した。
次に、配線板を、下記に示す組成を有する鉛を含まない無電解ニッケルめっき液に85℃で10分間浸漬処理することにより、接続端子上に厚み約2.5μmの無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。続いて、これを1分間水洗し、接続端子上に無電解ニッケルめっきが施された第1の配線板を得た。また、一方で、工程gを経て得られた配線板を、同様の無電解ニッケルめっき液に85℃で20分間浸漬処理することにより接続端子上に厚み約5μmの無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。続いて、これを1分間水洗し、接続端子上に無電解ニッケルめっきが施された第2の配線板を得た。
硫酸ニッケル・6水和物 22.5g/L
次亜リン酸ナトリウム 20.0g/L
リンゴ酸 10.0g/L
コハク酸 10.0g/L
グリシン 0.5g/L
チオジグリコール酸 5mg/L
ヘキサアンミンクロム(II)クロリド 50mg/L
pH:4.6(水酸化ナトリウムで調整)
A:異常析出なく接続端子上にめっき皮膜が良好に形成されている。(図4を参照)
B:接続端子の外周に部分的にめっきがはみ出して析出している。(図5を参照)
C:接続端子の外周全体にめっきがはみ出して析出し、端子間の基板表面の一部にもめっきが析出している。(図6を参照)
D:接続端子の外周全体にめっきがはみ出して析出し、端子間の基板表面の一部にもめっきが析出し、部分的に短絡している。(図7を参照)
E:接続端子の外周全体にめっきがはみ出して析出し、端子間の基板表面の一部にもめっきが析出し、完全に短絡している。(図8を参照)
A:350箇所の接続端子のすべてにめっき皮膜が良好に形成されている。
B:めっき皮膜が良好に形成されていない接続端子が1箇所以上3個所以内ある。
C:めっき皮膜が良好に形成されていない接続端子が4箇所以上34個所以内ある。
D:めっき皮膜が良好に形成されていない接続端子が35箇所以上ある。
実施例1の工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)における無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、表1〜4に示される硫黄化合物及び溶媒を表1〜4に示される含有量で含む無電解ニッケルめっき用前処理液をそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜58の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた実施例2〜58の第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表11及び12に示す。また、表11及び12中には、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)、及び、前処理液中の有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の上記式(1)〜(4)で示される硫黄化合物に含まれるメチレン基の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)を示す。更に、実施例2〜58で使用した硫黄化合物の化合物名、その化学式及び分子量、並びに、硫黄化合物に含まれるメチレン基数を表16に示す。
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のドライプロセス1を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例59の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
反応性イオンエッチング(RIE)法により、銅回路間の絶縁樹脂表面の除去を以下に示した条件で行い、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
装置名:プラズマ洗浄装置(三洋ハイテクノロジー製、SPC−100B)
パワー:600W
ガスおよび流量:Ar、5SCCM
処理時間:3min
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のウェットプロセス1を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例60の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
工程aを経た配線板を、「エチレンジアミン1水和物」(関東化学株式会社製、商品名)の10mL/L水溶液に50℃で30分間浸漬した後、50℃で5分間湯洗し、3分間水洗し、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のウェットプロセス2を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例61の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
工程aを経た配線板を、「40%メチルアミン水溶液」(関東化学株式会社製、商品名)の10mL/L水溶液に50℃で30分間浸漬した後、50℃で5分間湯洗し、3分間水洗し、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のウェットプロセス3を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例62の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
工程aを経た配線板を、「RESIST STRIPPER 9296」(富士化学工業株式会社製、商品名)の10mL/L水溶液に90℃で3分間浸漬した後、50℃で5分間湯洗し、3分間水洗し、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記のウェットプロセス4を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例63の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
工程aを経た配線板に対して、酸化力の大きな酸化剤として過マンガン酸塩を含有する溶液による銅回路間の絶縁樹脂表面の除去処理を行った。処理には、デスミア処理システム(商品名:サーキュポジット200MLB,シプレイ・ファーイースト株式会社製)を用いて行った。具体的には、配線板を、膨潤処理としてサーキュポジットMLBコンディショナ211およびサーキュポジットZの混合水溶液(水:70体積%、コンディショナ211:20体積%、サーキュポジットZ:10体積%)に70℃で3分間浸漬処理した。次に、配線板を、除去処理としてサーキュポジットMLBプロモータ213AおよびサーキュポジットMLBプロモータ213Bの混合水溶液(水:75体積%、プロモータ213A:10体積%、プロモータ213B:15体積%)に70℃で3分間浸漬処理した。次に、配線板を、中和処理としてサーキュポジットMLBニュートラライザ216−4(水:80体積%、ニュートラライザ216−4:20体積%)に40℃で5分間浸漬処理し、更に3分間水洗した。これらの処理により、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
実施例1における工程aの後に、工程a’として下記の物理的研磨1を実施したこと以外は実施例1と同様にして、実施例64の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
ウェットブラスト処理(ジェットスクラブ等による物理的研磨処理)により、銅回路間の絶縁樹脂表面の除去を以下に示した条件で行い、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
装置名:PFE−3000T(マコー株式会社製)
圧力:0.2MPa
微粒子:アルミナ♯2000(中心粒径:約6.7μm)
搬送速度:0.5m/min
実施例30(実施例1の工程eにおける無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、8−アミノ−1−オクタンチオール0.1(g/L)を含むエタノール溶液を使用した実施例)における工程aの後に、工程a’として上記のドライプロセス1を実施したこと以外は実施例30と同様にして、実施例65の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
実施例30(実施例1の工程eにおける無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、8−アミノ−1−オクタンチオール0.1(g/L)を含むエタノール溶液を使用した実施例)における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス1を実施したこと以外は実施例30と同様にして、実施例66の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
実施例30(実施例1の工程eにおける無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、8−アミノ−1−オクタンチオール0.1(g/L)を含むエタノール溶液を使用した実施例)における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス2を実施したこと以外は実施例30と同様にして、実施例67の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
実施例30(実施例1の工程eにおける無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、8−アミノ−1−オクタンチオール0.1(g/L)を含むエタノール溶液を使用した実施例)における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス3を実施したこと以外は実施例30と同様にして、実施例68の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
実施例30(実施例1の工程eにおける無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、8−アミノ−1−オクタンチオール0.1(g/L)を含むエタノール溶液を使用した実施例)における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス4を実施したこと以外は実施例30と同様にして、実施例69の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表13に示す。
実施例1に示した工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様の工程を行い、比較例1の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表14に示す。
実施例1の工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)における無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、表7〜9に示される硫黄化合物及び溶媒を表7〜9に示される含有量で含む無電解ニッケルめっき用前処理液をそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2〜35の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた比較例2〜35の第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表14及び15に示す。
実施例1における工程aの後に、工程a’として上記のドライプロセス1を実施し、実施例1に示した工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかったこと以外は実施例1と同様の工程を行い、比較例36の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
実施例1における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス1を実施し、実施例1に示した工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかったこと以外は実施例1と同様の工程を行い、比較例37の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
実施例1における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス2を実施し、実施例1に示した工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかったこと以外は実施例1と同様の工程を行い、比較例38の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
実施例1における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス3を実施し、実施例1に示した工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかったこと以外は実施例1と同様の工程を行い、比較例39の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
実施例1における工程aの後に、工程a’として上記のウェットプロセス4を実施し、実施例1に示した工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかったこと以外は実施例1と同様の工程を行い、比較例40の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
実施例1における工程aの後に、工程a’として上記の物理的研磨1を実施し、実施例1に示した工程e(前処理3:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかったこと以外は実施例1と同様の工程を行い、比較例41の第1の配線板及び第2の配線板を得た。得られた第1の配線板及び第2の配線板について、実施例1と同様にしてめっきの異常析出をそれぞれ評価した。更に、スキップの発生についても実施例1と同様にしてそれぞれ評価した。結果を表15に示す。
Claims (8)
- 基材と、該基材上に形成された、無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理をすべき銅配線と、を備える配線板の表面に接触させる無電解ニッケルめっき用前処理液であって、
下記一般式(1)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(2)で表される脂肪族チオール化合物、下記一般式(3)で表される脂肪族チオール化合物および下記一般式(4)で表されるジスルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物と、有機溶剤と、を含み、
前処理液中の前記硫黄化合物の合計含有量が0.0005〜10g/Lであり、且つ、前処理液中の前記有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と前処理液中の前記硫黄化合物の合計含有量Y(g/L)との比(X/Y)が80000以下であることを特徴とする無電解ニッケルめっき用前処理液。
HS−(CH2)a−COOH …(1)
[式(1)中、aは1から23までのいずれかの整数を示す。]
HS−(CH2)b−OH …(2)
[式(2)中、bは5から23までのいずれかの整数を示す。]
HS−(CH2)c−NH2 …(3)
[式(3)中、cは5から23までのいずれかの整数を示す。]
R1−(CH2)n−(R3)p−S−S−(R4)q−(CH2)m−R2 …(4)
[式(4)中、R1およびR2はそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示し、R3およびR4はそれぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を有する2価の有機基を示し、nおよびmはそれぞれ独立に4から15までのいずれかの整数を示し、pおよびqはそれぞれ独立に0又は1を示す。] - 前処理液中の前記有機溶剤の合計含有量X(mL/L)と、前処理液中の前記硫黄化合物に含まれるメチレン基の合計含有量M(mol/L)との比(X/M)が9500以上であることを特徴とする請求項1に記載の無電解ニッケルめっき用前処理液。
- 錯化剤、pH調整剤および界面活性剤から選択される少なくとも1種の化合物を更に含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の無電解ニッケルめっき用前処理液。
- 基材と、該基材上に形成された銅配線と、を備える配線板の表面に、請求項1〜3のいずれかに記載の無電解ニッケルめっき用前処理液を接触させる第1工程と、
前記第1工程の後に前記銅配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理を施す第2工程と、
を有することを特徴とする無電解ニッケルめっきの前処理方法。 - 前記基材が、電気絶縁性の樹脂を含んで構成されるものであり、
前記第1工程の前に、少なくとも前記銅配線間に露出する前記基材の表面を除去する工程を更に有することを特徴とする請求項4に記載の無電解ニッケルめっきの前処理方法。 - 請求項4又は5に記載の無電解ニッケルめっきの前処理方法を施した前記配線板の前記銅配線の表面上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成する無電解ニッケルめっき工程を有することを特徴とする無電解ニッケルめっき方法。
- 基材と、該基材上に形成された銅配線と、を備える配線板の表面に、請求項1〜3のいずれかに記載の無電解ニッケルめっき用前処理液を接触させる第1工程と、
前記第1工程の後に前記銅配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理を施す第2工程と、
を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。 - 基材と、該基材上に形成された銅配線と、を備える半導体チップ搭載用基板の表面に、請求項1〜3のいずれかに記載の無電解ニッケルめっき用前処理液を接触させる第1工程と、
前記第1工程の後に前記銅配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理を施す第2工程と、
を有することを特徴とする半導体チップ搭載用基板の製造方法。
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