JP2007063551A - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウレタンプレポリマーとオキサゾリジン環を有する化合物とを含有する硬化性組成物において、硬化物に発泡を生じることなく耐候性を著しく向上させた組成物を提供する。
【解決手段】耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を用い、これにオキサゾリジン環を有する化合物(B)と硬化促進剤(C)とを配合した硬化性組成物とする。
【選択図】なし

Description

本願発明は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含有する硬化性組成物に関するものである。
従来から建築物の外壁目地の防水シーリング材、塩化ビニルシート等の樹脂製シート、タイルや木質板等の建築用部材の接着剤あるいは塗り床材として、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを硬化成分として含有する硬化性組成物が作業のしやすさ、硬化後の接着性の高さや、低モジュラスから高モジュラス(高伸びから低伸び)まで硬化後のゴム弾性物性を広範囲に調節できるなどの優れた点から広く用いられている。
また、このイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含有する硬化性組成物には、主剤と硬化剤を施工時に混合して硬化させる2液硬化型もしくは多液硬化型の硬化性組成物と、硬化性組成物を施工後、大気中の水分(湿気)に暴露し接触させることにより、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基が湿気と反応し硬化進行するのを利用する1液湿気硬化型の硬化性組成物があり、施工作業時に主剤と硬化剤を混合する手間がなく、主剤と硬化剤の計量間違いや混合不良による硬化不良などがなく作業性に優れている点で、1液湿気硬化型の硬化性組成物の使用量が年々増加している。
しかし、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含有する1液湿気硬化型の硬化性組成物においては、イソシアネート基濃度が高かったり、硬化速度を速めたりした場合、イソシアネート基が大気中の水分(湿気)と反応し硬化する際、炭酸ガスの発生量が多くなる、あるいは急激に炭酸ガスが発生するなどして、硬化物内部に炭酸ガスの気泡が生じ、外観が悪くなる、伸びなどのゴム引張物性が悪くなる、接着性が悪くなるなどの不具合を生じる問題がある。
この炭酸ガスによる発泡を防止する方法として、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、予めオキサゾリジン環を有する化合物を配合して組成物としておき、施工時にイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを湿気と接触させたとき、イソシアネート基が水分と反応して炭酸ガスを発生する前に、オキサゾリジン化合物が水分と反応して生じる主に2級アミンの活性水素基がイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と反応して尿素結合を形成して、炭酸ガスによる発泡を起こすことなく硬化させる、オキサゾリジン環を有する化合物をいわゆる潜在性硬化剤として利用する方法がある。このオキサゾリジン環を有する化合物を利用し、硬化性、貯蔵安定性に優れ発泡しない組成物を得る方法として、ウレタンプレポリマーとオキサゾリジンとオキサゾリジン環の開環促進化合物とを組み合わせる方法あるいはウレタンプレポリマーとオキサゾリジン環を有する化合物と特定の酸解離指数の酸性物質とを組み合わせる方法なども提案されている(例えば、特許文献1および2参照)が、硬化性改善には効果があるが耐候性は未だ不十分である。
さらに、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを硬化成分とする硬化性組成物を建築用の弾性シーリング材や塗膜防水材などの用途に用いた場合、これらは屋外に施工されるため、紫外線や雨水の暴露を受けることとなり、硬化性組成物が耐候性に劣ると硬化物の表面にチョーキングやクラックなどが発生し、防水上や美観上重大な不具合を発生するという問題がある。この劣化を防止するため硬化性組成物に耐候性を付与する必要があり、特に最近は耐久性の向上がいわれ、長期にわたり良好な耐候性を維持すること(著しく優れた耐候性を有すること)が要求されている。オキサゾリジン環を有する化合物を利用して発泡を防止し、さらに耐候性を改善する方法として、特定のポリサルファイドを含むウレタンプレポリマーにオキサゾリジン環を有する化合物を配合する方法、特定の原料からなるアクリル系ウレタンプレポリマーと、オキサゾリジン含有アクリル系ウレタンプレポリマーと、ポリエーテル系ウレタンプレポリマーとを組み合わせる方法。あるいは特定の分岐密度の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートを用いて合成されたウレタンポリオキサゾリジンとを組み合わせる方法などが提案されている(例えば、特許文献3〜5参照)が、耐候性は未だ不十分である。また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとオキサゾリジン化合物とオキサゾリジン化合物の加水分解促進触媒として酸性燐酸エステル等の酸性物質とを含有する組成物に、耐候性維持のためにヒンダードアミン系光安定剤を配合すると、硬化速度が逆に低下してしまうという問題が生じ、この問題の解決も求められている。
特開平9−169829号公報 特開平9−278857号公報 特開平9−241501号公報 特開2002−226539号公報 特開2003−335833号公報
本願発明の日的は、上述の従来の問題にかんがみて、ウレタンプレポリマーとオキサゾリジン環を有する化合物とを含有する硬化性組成物において、硬化物に発泡を生じることなく耐候性を著しく向上させた組成物を提供しようとするものである。また、長期間にわたり良好な耐侯性を維持するためヒンダードアミン系光安定剤を使用しても、硬化速度が低下することのない硬化性組成物を提供しようとするものである。
本発明者らは、上述の課題を解決すべく検討した結果、耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を用い、これにオキサゾリジン環を有する化合物(B)と硬化促進剤(C)とを配合することにより、さらには耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)として、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)とヒンタードアミン系光安定剤(D)との混合物、あるいは、光反応性不飽和結合を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−2)、および/または、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)と光反応性不飽和結合を有する化合物(E)との混合物を用いることにより、さらにまたヒンタードアミン系光安定剤(D)を使用したときには、硬化促進剤(C)として、有機カルボン酸系化合物(C−1)、p−トルエンスルホニルイソシアネートおよびp−トルエンスルホニルイソシアネートと水との反応物からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することにより、発泡することなく速やかに硬化し、かつ硬化物の耐候性を著しく向上させることができることを見出し、本願発明を完成させたものである。
すなわち、本願発明は、(1)耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)に、オキサゾリジン環を有する化合物(B)と、硬化促進剤(C)とを配合することを特徴とする硬化性組成物に関するものであり、さらに本願発明は、(2)前記の耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)とヒンタードアミン系光安定剤(D)との混合物であることを特徴とする、(1)の硬化性組成物。あるいは、(3)前記の耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、光反応性不飽和結合を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−2)、および/または、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)と光反応性不飽和結合を有する化合物(E)との混合物であることを特徴とする、(1)の硬化性組成物に関するものである。
上記の構成をとることにより、本願発明の硬化性組成物は、発泡することなく速やかに硬化し、かつ硬化物の耐候性を著しく向上させる効果を奏するものである。
本願発明の硬化性組成物で使用する各成分については以下で詳しく説明する。
まず、本願発明における耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)成分について説明する。耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)成分は、本願発明の硬化性組成物において硬化成分として働くとともに、硬化物に対して著しく優れた耐候性を与えるものである。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに耐候性を付与する方法は、具体的には、耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を構成する成分として、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)に後述のヒンタードアミン系光安定剤(D)を配合したものを用いる方法、あるいは光反応性不飽和結合を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−2)、および/または、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)に光反応性不飽和結合を有する化合物(E)を配合したものを用いる方法を好適に挙げることができる。
前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)は、有機イソシアネート化合物(a)と活性水素含有化合物(b)とを活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰条件で反応させて得られるものであり、本願発明の硬化性組成物において、硬化成分として使用するものである。
有機イソシアネート化合物(a)としては、有機ポリイソシアネートと、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)の変性用として場合により用いる有機モノイソシアネートが挙げられ、さらに有機ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基が芳香族炭素に結合している芳香族系有機ポリイソシアネートや、イソシアネート基が脂肪族炭素に結合している広義の脂肪族系有機ポリイソシアネート(これには芳香脂肪族ポリイソシアネート、狭義の脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネートが含まれる)などが挙げられる。
芳香族系有機ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、あるいはこれらの混合物等のジフェニルメタンジイソシアネート類(MDI類)、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートあるいはこれらの混合物等のトルエンジイソシアネート類(TDI類)、ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられ、狭義の脂肪族有機ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネートなどが挙げられ、脂環族ポリイソシアネートとしては、シクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
また、これらジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、二量体、三量体、または、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)なども挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、発泡防止性と耐候性に優れている点で、広義の脂肪族系有機ポリイソシアネートが好ましく、よりさらにキシリレンジイソシアネート、へキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましく、特にイソホロンジイソシアネートおよびへキサメチレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として、場合により用いる有機モノイソシアネートとしては、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−オクタデシルモノイソシアネートなどが挙げられる。
前記活性水素含有化合物(b)としては、高分子ポリオールや高分子ポリアミンの他、場合により使用する鎖延長剤としての、低分子ポリオール、低分子アミノアルコール、低分子ポリアミン、或いはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)の変性用として用いる高分子や低分子のモノオールなどが挙げられる。
高分子ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオキシアルキレン系ポリオール、炭化水素系ポリオール、動植物系ポリオール、これらのコポリオール、またはこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
高分子ポリオールの数平均分子量は、500以上、さらに1,000〜100,000、よりさらに1、000〜30,000、特に1,000〜20,000が好ましい。数平均分子量が500未満では、得られる硬化性組成物の硬化後の伸びなどのゴム弾性物性が悪化し、100,000を超えると、得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎ、作業性が悪くなるため好ましくない。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、へキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸、酸エステル、または酸無水物等の1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロへキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオールまたはポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
また、例えば、低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、ε-カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類とホスゲンとの脱塩酸反応、あるいは前記低分子ポリオール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類、ポリカルボン酸の他、ソルビトール、マンニトール、ショ糖(スクロース)、グルコース等の糖類系低分子多価アルコール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の低分子多価フェノール類の一種以上を開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物の1種以上を開環付加重合あるいは共重合(以下、「重合あるいは共重合」を(共)重合という。)させた、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシブチレン系ポリオール、ポリオキシテトラメチレン系ポリオール、ポリ−(オキシエチレン)−(オキシプロピレン)−ランダムあるいはブロック共重合系ポリオール、さらに、前述のポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオールを開始剤としたポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートエーテルポリオールなどが挙げられる。また、これらの各種ポリオールと有機イソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基としたポリオールも挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ポリオールの1分子当たり平均アルコール性水酸基の数は2個以上、さらに2〜4個、特に2〜3個が好ましい。
さらに、ポリオキシアルキレン系ポリオールは、その製造時に、水素化セシウム、セシウムメトキシド、セシウムエトキシド等のセシウムアルコキシド、水酸化セシウムなどのセシウム系化合物、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、ホスファゼニウム化合物、複合金属シアン化錯体など、なかでも亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体を触媒として使用して得られる、総不飽和度が0.1meq/g以下、さらに0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下のものが好ましく、分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕が1.6以下、特に1.0〜1.3の狭いものが、得られるイソシアネネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)の粘度を低下でき、かつ得られる硬化性組成物の硬化後のゴム弾性物性が良好となる点で好ましい。
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)の変性用として、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低分子モノアルコール類を開始剤として、前記プロピレンオキシド等の環状エーテル化合物を開環付加重合させたポリオキシプロピレン系モノオール等のポリオキシアルキレン系モノオールなどを場合により使用することもできる。
なお、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールあるいはポリオキシアルキレン系モノオールなどの「系」とは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、さらに80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、水酸基を除いた分子の95質量%以上がポリオキシアルキレンから成るものが最も好ましい。
炭化水素系ポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール等のポリアルキレンポリオール、塩素化ポリプロピレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール等のハロゲン化ポリアルキレンポリオールなどが挙げられる。
動植物系ポリオールとしては、例えば、ヒマシ油系ジオールなどが挙げられる。
鎖延長剤としては、前記のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子のポリオール類、ポリアミン類、アミノアルコール類の他、前述のポリオキシアルキレンポリオールで、数平均分子量が500未満の低分子量のもの、またはこれらの2種以上の混合物が例示される。
前記の活性水素含有化合物(b)として挙げた化合物は1種または2種以上を組み合わせて使用することができるが、これらのうち、得られる硬化性組成物のゴム弾性物性や接着性が良好な点で、高分子ポリオールが好ましく、さらにポリオキシアルキレン系ポリオールが好ましく、ポリオキシプロピレン系ポリオールが最も好ましい。
本願発明におけるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)は、一括仕込み反応法、多段階仕込み反応法のいずれでも合成できるが、プレポリマーの分子中にイソシアネート基を残す必要がある。有機ポリイソシアネートなどのイソシアネート基と、高分子ポリオールなどの活性水素(基)との当量比(イソシアネート基/活性水素)は、1.1〜5.0/1.0が好ましく、更に1.3〜2.0/1.0が好ましい。このようにして得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)のイソシアネート基含有量は0.1〜15.0質量%が好ましく、さらに0.3〜10.0質量%が好ましく、最も好ましくは0.4〜5.0質量%である。イソシアネート基含有量が0.1質量%未満の場合は、分子量が大きくなりすぎて粘度が増大し作業性が低下し、プレポリマー中の架橋点が少なくなるため、十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15.0質量%を超える場合は、炭酸ガスによる発泡を防止することが困難になるため好ましくない。
次に、本願発明において、耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を構成するために、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)に混合するヒンダードアミン系光安定剤(D)について説明する。ヒンダードアミン系光安定剤(D)は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)を含む硬化性組成物が、硬化後太陽光の紫外線、熱あるいは酸素などに長期に渡り暴露されることにより、硬化ウレタン樹脂がラジカルを生じたとき、このラジカルを補足し連鎖的な硬化ウレタン樹脂の分解劣化を防止することにより、本願発明の硬化性組成物の硬化後の耐候性を著しく高める効果を有するものである。
ヒンダードアミン系光安定剤(C)としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカンニ酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子量1,000未満の低分子量のもの、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、旭電化工業社製、商品名アデカフタブLA−63P、LA−68LD等の分子量1,000以上の高分子量のものが挙げられる。これらは単独または組み合わせて使用することができる。また、低分子量のものと高分子量のものとを組み合わせて使用することもできる。
次に、本願発明における耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を構成するために用いる別の成分である、光反応性不飽和結合を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−2)、および/または、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)に光反応性不飽和結合を有する化合物(E)との混合物について説明する。光反応性不飽和結合を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−2)成分は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの分子中に光反応性不飽和結合を有する官能基をペンダントさせるか、あるいはウレタン骨格中に組み込むなどして、ウレタンプレポリマー分子の中に光反応性不飽和結合を存在させることにより、また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)と光反応性不飽和結合を有する化合物(E)との混合物は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)に光反応性不飽和結合を有する化合物(E)を配合して、ウレタンプレポリマー(A−1)の分子の外に光反応性不飽和結合を有する化合物(E)を存在させることにより、これらを含む硬化性組成物が、湿気により硬化した後太陽光の暴露を受けたとき、比較的短時間のうちに光反応性不飽和結合が重合反応し、耐候性に優れた皮膜を形成し硬化物を保護することにより、硬化物が紫外線、熱、酸素などに長期間暴露されて分解劣化を起こすことを防止し、極めて長期間に渡り、硬化物が優れた耐候性を保持する効果を奏するものである。
本願発明において、前記ウレタンプレポリマー(A−2)成分と、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)と光反応性不飽和結合を有する化合物(E)との混合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。このうち本発明の硬化性組成物に対し長期間に渡り高い耐候性を付与する点で、光反応性不飽和結合を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−2)が好ましい。
前記の光反応性不飽和結合を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−2)とは、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー分子中に光反応性不飽和結合基を導入した、分子内に光反応性不飽和結合とイソシアネート基の両方を有している化合物であり、本発明の硬化性組成物において、硬化成分として働くとともに硬化物に著しく優れた耐候性を付与する効果を併せ持つものである。前記光反応性不飽和結合とは光に暴露されることにより比較的短時間に重合等の化学変化を起こす不飽和結合であり、具体的には、ビニル基、ビニレン基、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基などに由来する不飽和結合が挙げられ、ウレタンプレポリマー(A−2)成分のイソシアネート基が湿気により架橋反応し硬化した後、光に暴露されることにより、硬化ウレタン樹脂骨格中に存在するこれらの不飽和結合が重合反応し、硬化物表面に耐候性に優れた硬化皮膜を形成することにより、硬化物に対して著しく高い耐候性を与えるものと推察される。耐候性付与効果が高い点でアクリロイル基および/またはメタクリロイル基に由来する不飽和結合が好ましい(以下、本発明において、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と、アクリル酸および/またはメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と、アクリレートおよび/またはメタクリレートを(メタ)アクリレートと称す)。
光反応性不飽和結合を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−2)成分の分子内に有する光反応性不飽和結合の濃度は、0.01mmol/g以上、さらに0.03〜1.0mmol/g、特に0.05〜0.5mmol/gが、(A−2)成分の粘度を低く抑えることができ、かつ本発明の組成物に対する耐候性付与効果が高い点で好ましい。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに光反応性不飽和結合を導入する方法としては、
(I)前記同様の有機イソシアネート化合物(a')と、前記同様の活性水素含有化合物(b')と、分子内に活性水素と光反応性不飽和結合とを有する化合物(c)とを、(b')成分と(c)成分の合計の活性水素に対して、イソシアネート基過剰の条件で反応させて得る方法。
(II)有機イソシアネート化合物(a')と、分子内に活性水素と光反応性不飽和結合とを有する高分子量(分子量1000以上)の化合物(例えば、ポリオキシアルキレントリオールのモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のアルキレンオキシド付加物、ポリブタジエンポリオールなど)とを活性水素に対して、イソシアネート基過剰の条件で反応させて得る方法。
(III)有機イソシアネート化合物(a)と、分子内に光反応性不飽和結合とイソシアネート基とを有する低分子量(分子量1000未満)の化合物(例えば、(メタ)アクリロイルイソシアネートなど)と、活性水素含有化合物(b)とを活性水素に対して、イソシアネート基過剰の条件で反応させて得る方法。
などが挙げられるが、前記(I)の方法が原料の入手しやすさと反応のしやすさの点で好ましい。
有機イソシアネート化合物(a')および活性水素含有化合物(b’)としては、前述のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)の合成に用いられる有機イソシアネート化合物(a)および活性水素含有化合物(b)として挙げたものと同様のものが挙げられる。
活性水素と光反応性不飽和結合とを有する化合物(c)は、本発明において、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの分子中に、光反応性不飽和結合を導入するために用いるものであり、分子中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の活性水素含有官能基とビニル基、ビニレン基、(メタ)アクリロイル基等の光反応性不飽和結合の両方を有する化合物であり、反応のしやすさ耐候性付与効果の高い点で分子中に水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物が好ましい。また、活性水素と光反応性不飽和結合とを有する化合物(c)の分子量は、反応しやすい点で分子量1000未満の低分子量のものが好ましい。
前記分子中に水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルである、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシネオペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上アルキレンポリオールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルあるいはジエステル、トリエステル等のポリエステルである、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のモノヒドロキポリ(メタ)アクリレート類、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等のポリヒドロキモノ(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のポリヒドロキポリ(メ)アクリレート類などが挙げられる。また、これら以外に、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ビスフェノールAやビスフェノールFにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したポリオールなどのモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、ポリヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、ポリヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類などや(メタ)アクリル酸やヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの活性水素にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加した化合物で水酸基を有するもの、ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン変性物などで水酸基を有している化合物なども挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち得られる前記(A−2)成分の粘度を低く抑えることができ、かつ耐候性付与効果を高めることができる点で、モノヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類が好ましく、さらにモノヒドロキポリアクリレート類が好ましく、特にペンタエリスリトールトリアクリレートが好ましい。
前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに光反応性不飽和結合基を導入する反応は、一括仕込み反応法、多段階仕込み反応法のいずれでもよく、イソシアネート基含有原料のイソシアネート基と、活性水素含有原料の活性水素との当量比(イソシアネート基/活性水素)は、1.1〜5.0/1.0が好ましく、更に1.3〜2.0/1.0が好ましく、得られる光反応性不飽和結合を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−2)中のイソシアネート基含有量は0.1〜15.0質量%が好ましく、さらに0.3〜10.0質量%が好ましく、特に0.4〜5.0質量%が好ましい。イソシアネート基含有量が0.1質量%未満の場合は、分子量が大きくなりすぎて粘度が増大し作業性が低下し、プレポリマー中の架橋点が少なくなるため、十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15.0質量%を超えると、炭酸ガス発生による発泡を防止することが困難となる。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)と光反応性不飽和結合を有する化合物(E)との混合物は、前述のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)に光反応性不飽和結合を有する化合物(E)を配合したものである。
光反応性不飽和結合を有する化合物(E)は、その分子中にビニル基、ビニレン基、あるいは(メタ)アクリロイル基に由来する光を受けて反応硬化する光反応性不飽和結合を1個以上、好ましくは2個以上有しているが、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)のイソシアネート基と室温で反応する活性水素含有官能基は有していない。化合物(E)の分子量は、相溶性、作業性の点で、5,000以下、さらに1,000以下が好ましい。光反応性不飽和結合は、耐候性付与効果が高い点で(メタ)アクリロイル基に由来する光反応性不飽和結合が好ましい。
(メタ)アクリロイル基に由来する光反応性不飽和結合を有する化合物としては、例えば東亞合成社からアロックスMシリーズの名で商品化されているものなどが挙げられる。具体的にはフェノールのエチレンオキシド変性モノ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等の活性水素を有しないモノ(メタ)アクリレート類、ビスフェノールAのエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートジステアレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の活性水素を有しないジ(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート等の活性水素を有しないトリ(メタ)アクリレート類、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の活性水素を有しないテトラ(メタ)アクリレート類などが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち耐候性付与効果が高い点でビスフェノールAのエチレンオキシド変性ジアクリレートが好ましい。
つぎに、オキサゾリジン環を有する化合物(B)について説明する。
オキサゾリジン環を有する化合物(B)は、酸素原子と窒素原子を含む飽和5員環の複素環であるオキサゾリジン環を分子内に1個以上、好ましくは2〜6個有する化合物であり、耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の潜在性硬化剤として機能するものである。前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基が大気中の水分(湿気)と反応すると、尿素結合を生成して硬化するが、この際炭酸ガスも発生し、硬化物の中に炭酸ガスによる気泡が生じ外観の悪化、硬化物の破断、接着性の低下などの不具合を生じるが、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン環を有する化合物(B)とを混合したものを湿気に暴露した場合は、湿気とイソシアネート基が反応する前に、オキサゾリジン環を有する化合物(B)のオキサゾリジン環が湿気により加水分解を受け、2級アミノ基とアルコール性水酸基を再生し、これらの活性水素がイソシアネート基と反応して炭酸ガスを発生することなく硬化することにより、これらを含む硬化性組成物の炭酸ガスによる発泡を防止できるものである。
特に、耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基が、広義の脂肪族系有機ポリイソシアネート由来のものであるとき、このイソシアネート基は水やアルコール性水酸基との反応は遅いが、オキサゾリジン環を有する化合物(B)から再生する2級アミノ基とは速やかに反応して硬化するため、後述するように、有機金属系触媒を全く使用しないか、あるいは使用してもその使用量を極めて少量に抑えることができるため、前述の耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)との相乗効果により、硬化速度が大きいにもかかわらず発泡することなく、耐候性を著しく高めた硬化組成物を得られる点で、このオキサゾリジン環を有する化合物(B)は有効な働きをする。
オキサゾリジン環を有する化合物(B)としては、具体的に、例えば、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基や有機カルボン酸化合物のカルボキシル基とを反応させて得られる、ウレタン基含有オキサゾリジン化合物やエステル基含有オキサゾリジン化合物あるいはまた、オキサゾリジンシリルエーテル、カーボネート基含有オキサゾリジンなどが挙げられ、製造し易く粘度の低い点でウレタン基(ウレタン結合)およびオキサゾリジン環を有する化合物が好ましい。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物としては、具体的には、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基とを、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.9〜1.2の範囲、好ましくは0.95〜1.05の範囲となるように使用し、有機溶剤の存在下または不存在下に50〜100℃の温度で反応して得られるものが挙げられる。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成に用いられる有機イソシアネート化合物としては、前述のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)の合成に用いられる有機イソシアネート化合物(a)と同様のものが挙げられ、ウレタン基含有オキサゾリジン化合物の結晶性が低く溶解性に優れる点で、広義の脂肪族系有機ポリイソシアネートが好ましく、さらにイソホロンジイソシアネートおよびへキサメチレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
前記水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、具体的に、例えば、アルカノールアミンの2級アミノ基と、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のカルボニル基との脱水縮合反応により得られるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられる。
この水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の合成方法としては、例えば、アルカノールアミンの2級アミノ基1.0当量に対し、アルデヒドまたはケトンのカルボニル基が1.0当量以上、好ましくは1.0〜1.5倍当量、更に好ましくは1.0〜1.2倍当量使用し、トルエン、キシレン等の溶媒中で、加熱、還流し、副生する水を除去しながら脱水結合反応を行う方法が挙げられる。
アルカノールアミンとしてはジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンなどが挙げられる。ケトン化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、イソブチルケトン、メチル−t−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、n−へキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、3,5,5−トリメチルへキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物、ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒ、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキシベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物などが挙げられる。
これらのうち、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の製造の容易さと、得られる1液湿気硬化型組成物が硬化するときの発泡防止性に優れている点で、アルカノールアミンとしてはジエタノールアミンが好ましく、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のうちアルデヒド化合物が好ましく、さらにイソブチルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。これらの具体的な例として、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンなどが挙げられる。
オキサゾリジンシリルエーテルは、例えば、前述した水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物と、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランとの脱アルコール縮合反応により得られる。
エステルオキサゾリジンは、例えば、前述した水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物とジカルボン酸もしくはポリカルボン酸の低級アルキルエステルとのエステル交換反応によって得ることができる。
なお、オキサゾリジン環を有する化合物(B)は、分子内に、前記各種イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と5〜35℃の常温で反応する官能基を実質的に有していない。この実質的に有していないとは、例えば前述のウレタン基およびオキサゾリジン環を有する化合物の合成において当量比の選択により少量の活性水素が分子内に残存する場合があるが、本発明の目的を達成する上で、有していないとしても差し支えないことを意味する。
前記オキサゾリジン環を有する化合物(B)の使用量は、耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)中のイソシアネート基1.0当量に対して、オキサゾリジン環を有する化合物(B)が加水分解して再生する2級アミノ基の活性水素の当量が0.3当量以上、さらに0.5〜1.0当量となるように使用するのが好ましい。0.3当量未満では発泡防止が不十分となり好ましくない。
次に、本発明において耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン環を有する化合物(B)に配合する硬化促進剤(C)について説明する。
硬化促進剤(C)は、前記オキサゾリジン環を有する化合物(B)が湿気と反応して加水分解をして活性水素を再生するのを促進させ、または再生した活性水素と耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基との反応を促進させて、本発明の硬化性組成物の硬化速度を向上させるために添加するものであり、硬化促進剤(C)としては有機金属系触媒以外の触媒(C−1)と有機金属系触媒(C−2)とが挙げられ、触媒(C−1)と触媒(C−2)とはそれぞれ単独で使用しても良いし、組み合わせて使用しても良い。有機金属系触媒以外の触媒(C−1)としては、例えば、有機カルボン酸系化合物、p−トルエンスルホニルイソシアネート、p−トルエンスルホニルイソシアネートと水分との反応物、などが挙げられる。
有機カルボン酸系化合物としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、2−エチルヘキサン酸(オクチル酸)、オクテン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、フタル酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、これらの酸無水物などが挙げられる。
p−トルエンスルホニルイソシアネートとしては、例えば日本曹達社がPTSIの商品名で上市しているものなどが挙げられる。なお、p−トルエンスルホニルイソシアネートは、硬化性組成物中の含水分と速やかに反応するため、貯蔵安定剤の効果も併せ持つ。
p−トルエンスルホニルイソシアネートと水分との反応物は、硬化性組成物に配合する前に、p−トルエンスルホニルイソシアネートと水分とを予め反応して得られたものであっても良いし、p−トルエンスルホニルイソシアネートを硬化性組成物に配合している間、あるいは硬化性組成物に配合した後貯蔵中に、後述する添加剤中などに含まれる水分と反応して生成したものであってもよい。
これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いることができるが、硬化性組成物の貯蔵安定性が良好でかつ硬化速度を向上させる点で、有機カルボン酸系化合物(有機カルボン酸系化合物の中では有機カルボン酸無水物が好ましい)、p−トルエンスルホニルイソシアネートおよびp−トルエンスルホニルイソシアネートと水分との反応物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
有機金属系触媒以外の触媒(C−1)の使用量は、耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して0.001〜10質量部が好ましく、さらに0.01〜5質量部が好ましい。0.001質量部未満ではオキサゾリジン環を有する化合物(B)の加水分解を促進させる効果がなく、10質量部を超えると硬化性組成物の貯蔵安定性に悪影響を及ぼす。
また、本願発明においては、硬化促進剤(C)として有機金属系触媒(C−2)を使用するときは、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)あるいは光反応性不飽和結合を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−2)の合成の際における反応触媒を兼ねて使用してもよいし、あるいはまた前記有機金属系触媒以外の触媒(C−1)と併用して使用できるが、有機金属系触媒(C−2)は、硬化後のウレタンが紫外線や熱の暴露を受けた場合、分解触媒としても働くため、本発明の硬化性組成物の硬化後の耐候性を極めて優れたものとするためには、その量をできるだけ低く抑える必要がある。有機金属系触媒(C−2)の量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100質量部に対して有機金属系触媒(C−2)の金属量で0.01質量部以下、好ましくは0.005質量部以下である。0.01質量部を超えると硬化性組成物の硬化後の耐候性を低下させる原因となるため好ましくない。これは有機金属系触媒(C−2)の含有量が多くなると、逆に硬化物に対する分解触媒として働くためと推察される。
有機金属系触媒(C−2)としては、例えば、テトラ−n−ブチルチタネート等の金属アルコキシド、オクチル酸第一錫、オクテン酸錫、マレイン酸錫等の、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄等の金属とオクチル酸、オクテン酸、マレイン酸等の前記の有機カルボン酸と同様の有機カルボン酸との塩、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ビス(エチルマレート)等の有機金属と前記の有機カルボン酸と同様の有機カルボン酸との塩、ジオクチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)等の金属キレート化合物などが挙げられる。
なお、本願発明の硬化性組成物は、前述の(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とからなるものが好ましい。
本願発明の硬化性組成物には、更に添加剤(E)を配合することができ、添加剤(E)としては、具体的に、例えば、可塑剤、ヒンダードアミン系安定剤(D)以外の耐候安定剤、充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性改良剤(脱水剤)、着色剤などが挙げられる。これらの添加剤は、組成物の目的と用途により適宜組み合わせて任意に添加することができる。
可塑剤は、硬化性組成物のゴム弾性物性の調節あるいは粘度を下げて作業性を向上させる目的で使用されるものであり、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類、ペンタエリスリトールエステルなどのアルコールエステル類、塩素化パラフィン、前記のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成に使用されるポリエーテルポリオールをエーテル化またはエステル化などした水酸基を含有しないポリオキシアルキレン類、中でもシュークロースなどの糖類多価アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオールをエーテル化またはエステル化などした水酸基を含有しない糖類系ポリオキシアルキレン類などのイソシアネート基と反応しない可塑剤が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上を組み合せて使用できる。
可塑剤は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの100質量部に対して、0〜200質量部、特に2〜50質量部配合するのが好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤(D)以外の耐候安定剤は、前述のヒンダードアミン系光安定剤(D)と組み合わせて使用することにより、硬化性組成物の耐候性や耐熱性をさらに向上させる日的で使用することができ、具体的には、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のべンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
これらは単独あるいは2種以上を混合して使用できる。
ヒンダードアミン系光安定剤(D)以外の耐候安定剤は、耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0〜30質量部、特に0.1〜10質量部配合するのが好ましい。
充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性向上剤(脱水剤)、着色剤は、それぞれ物性補強や増量、タレ(スランプ)の防止、接着性の向上、貯蔵安定性の向上、着色などのために、本願発明の硬化性組成物に配合して使用することができる。
充填剤としては、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、スレート粉、無水ケイ酸、石英微粉末、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、沈降性シリカなどの合成シリカ、重質あるいは軽質の炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの無機粉末状充填剤、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状充填剤、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーンなどの無機系バルーン状充填剤などの無機系充填剤、あるいはこれらの表面を脂肪酸などの有機物で処理した充填剤、木粉、クルミ穀粉、もみ殻粉、パルプ粉、木綿チップ、ゴム粉末、熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂の微粉末、ポリエチレンなどの粉末や中空体、サランマイクロバルーンなどの有機系バルーン状充填剤などの有機系充填剤などの他、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの難燃性付与充填剤なども挙げられ、粒径0.01〜1,000μmのものが好ましい。
揺変性付与剤としては、たとえば、コロイダルシリカ、脂肪酸処理炭酸カルシウムなどの無機揺変性付与剤、有機ベントナイト、脂肪酸アマイドなどの有機揺変性付与剤が挙げられ、これらのものの中から適宜選択して添加することができる。
接着性向上剤は、本願発明の硬化性組成物に配合して硬化後の接着性を向上させるために使用するものであり、カップリング剤、エポキシ樹脂、有機ポリイソシアネートなどが挙げられる。
前記カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などの各種カップリング剤またはその部分加水分解縮合物を挙げることができ、このうちシラン系カップリング剤またはその部分加水分解縮合物が接着性に優れているため好ましい。
このシラン系カップリング剤としては、具体的には、メチルシリケート、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのアルコキシシリル基を含有する分子量500以下、好ましくは400以下の低分子化合物またはこれらシラン系カップリング剤の1種または2種以上の部分加水分解縮合物で分子量200〜3,000の化合物を挙げることができる。
貯蔵安定性改良剤としては、組成物中に存在する水分と反応するビニルトリメトキシシラン、酸化カルシウムなどが挙げられる。
着色剤としては、酸化チタンや酸化鉄などの無機系顔料、銅フタロシアニンなどの有機系顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
これらは単独あるいは2種以上を混合して使用できる。
充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性改良剤、および着色剤の合計の配合量は、耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して0〜500質量部、特に5〜300質量部であることが好ましい。
本願発明の硬化性組成物において、前記各添加剤成分はそれぞれ1種類または2種以上を組み合せて使用することができる。
本願発明の硬化性組成物において、必要に応じて、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、n−ヘキサンなどの脂肪族系溶剤、シクロヘキサンなどの脂環族系溶剤、ミネラルスピットや工業ガソリン等の石油留分系溶剤など従来公知の有機溶剤でイソシアネート基に反応しないものであればどのようなものでも使用することができる。これらは単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。その種類と使用量は硬化性組成物の用途に応じて適宜決定すれば良い。
なお、本願発明の硬化性組成物は、大気中の水分(湿気)を利用して硬化させる1液湿気硬化型組成物として、あるいはまた、本願発明の硬化性組成物を主剤として用い、これに別途用意した水、ポリオール、アミン化合物などからなる硬化剤を施工の際に混合して硬化させる2液硬化型もしくは多液硬化型の硬化性組成物として使用できるが、硬化剤を別途用意し、混合する手間がなく、混合不良による硬化不良などの不具合もないため1液湿気硬化型組成物として使用するのが好ましい。
また、本願発明の硬化性組成物は、1液湿気硬化型の硬化性組成物として使用した場合、夏場の季節を想定した高温、多湿の厳しい条件下でも硬化物が発泡せず、硬化後のゴム弾性物性を低硬度で高伸びから高硬度で低伸びのものまで広範囲に調節することができ、さらに接着性、耐水性や耐候性等の耐久性などにも優れているため、建築用、土木用の塗料、塗膜防水剤、接着剤、シーリング材などの各種の用途に使用できるが、特に建築用あるいは土木用のシーリング材として好適に用いられる。
また、本願発明の硬化性組成物が施工の対象とする材料としては、モルタルやコンクリ−ト等の無機系材料、大理石等の天然石材料、サイディングやタイル等の窯業系材料、ポリプロピレンや塩化ビニル等の各種合成樹脂製のシート状や板状の材料、木材や合板等の木質系材料などが、接着性などが良好なため好適に挙げられる。
なお、建築物などの外壁がサイディングを材料として構成され、その外壁に形成されたサイディング目地に、本願発明の硬化性組成物が施工された場合、硬化物の表面に塗料を上塗りすることが少なく、長時間直接太陽光の暴露を受けることとなるため、本願発明の硬化性組成物が有する、施工時に発泡することなく、硬化後極めて長期に渡り耐候性に優れるという特徴を最大限に発揮できる点で、サイディングで形成された外壁目地を用途とした、1液湿気硬化型シーリング材組成物として用いるのが好ましい。
また、本願発明の硬化性組成物の製造方法としては特に限定されないが、例えば、ステンレス製や鉄製の反応装置を用いて、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーである(A−1)成分あるいは(A−2)成分とオキサゾリン環を有する化合物(B)成分を別々に反応合成しておく。これらの反応は、添加剤成分の存在下において行ってもよいし、不存在下において行ってもよい。次いで攪拌、混合装置にイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーである(A−1)成分あるいは(A−2)成分と、(B)成分、(C)成分、さらに(A−1)成分を用いるときは、(D)成分か(E)成分を仕込み、さらに必要に応じて添加剤成分を加え混練り後、減圧脱泡して製造する方法が挙げられる。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー成分や(B)成分は湿気に触れると反応して、増粘や加水分解を起こすため、反応合成や攪拌、混合は、湿気に触れないように密封状態、窒素ガス雰囲気下などの湿気を遮断した状態において行うのが好ましい。攪拌、混合装置としては、ステンレス製や鉄製のプラネタリーミキサー、ニーダー、アジター、ナウタミキサー、ラインミキサーなど各種挙げられる。製造した硬化性組成物もまた湿気に触れると反応して、増粘、硬化するものであるため、貯蔵に際しては、湿気を遮断できる容器に詰め、密封して貯蔵するのが好ましい。前記容器としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス製、鉄製等の金属製ドラム缶、金属製や合成樹脂製のペール缶や袋状容器、ラミネート処理した紙製や合成樹脂製のカートリッジ状容器など各種挙げられる。
以下に本願発明の実施例を示すが、これに限定されないことはいうまでもない。
合成例1(分子内にアクリロイル基を有しないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管および加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(旭硝子社製、商品名エクセノール4020、数平均分子量4000)を422gと、ポリオキシプロピレントリオール(旭硝子社製、商品名エクセノール5030、数平均分子量5000)を422g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(デグサジャパン社製、商品名IPDI、分子量222.3)を157gと、反応触媒としてオクチル酸錫(日東化成社製、商品名ネオスタンU−28、錫含有量28〜29質量%)を0.1g仕込み、加温して70℃〜80℃で4時間反応し、イソシアネート基含有量が理論値(4.0質量%)以下になった時点で反応を終了し、アクリロイル基を分子内に有しないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を合成した、
この得られたアクリロイル基を分子内に有しないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1は、滴定による実測イソシアネート基含有量3.9質量%、25℃における粘度が4,200mPa・s/の常温で透明な粘稠液体であった。
合成例2(分子内にアクリロイル基を有しないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2の合成)
合成例1と同様の反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(三井社製、商品名Diol−3000、数平均分子量3000)を280gと、ポリオキシプロピレントリオール(三井社製、商品名Triol−MN−4000、数平均分子量4000)を46g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(デグサジャパン社製、商品名IPDI、分子量222.3)48gと、ジブチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名ネオスタンU−100、錫含有量18〜20質量%)0.06gを仕込み、加温して75℃〜85℃で4時間反応し、イソシアネート基含有量が理論値(2.4質量%)以下になった時点で反応を終了し、分子内にアクリロイル基を有しないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2を合成した、
この得られたアクリロイル基を分子内に有しないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2は、滴定による実測イソシアネート基含有量2.2質量%、25℃における粘度が23,000mPa・sの常温で透明な粘稠液体であった。
合成例3(分子内にアクリロイル基を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−3の合成)
合成例1と同様の反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(三井社製、商品名Diol−3000、数平均分子量3000)を280gと、ポリオキシプロピレントリオール(三井社製、商品名Triol−MN−4000、数平均分子量4000)を46gと、ペンタエリスリトールトリアクリレート(分子量298)を6g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(デグサジャパン社製、商品名IPDI、分子量222.3)50gと、ジブチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名ネオスタンU−100、錫含有量18〜20質量%)0.06gを仕込み、加温して75℃〜85℃で4時間反応し、イソシアネート基含有量が理論値(2.3質量%)以下になった時点で反応を終了し、アクリロイル基を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−3を合成した、
この得られたアクリロイル基を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−3は、滴定による実測イソシアネート基含有量2.1質量%、25℃における粘度が22,000mPa・sの常温で透明な粘稠液体であった。分子中のアクリロイル基の計算による含有量は0.16mmol/gである。
合成例4(分子内にアクリロイル基を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−4の合成)
合成例1と同様の反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(三井社製、商品名Diol−3000、数平均分子量3000)を280gと、ポリオキシプロピレントリオール(三井社製、商品名Triol−MN−4000、数平均分子量4000)を46gと、ペンタエリスリトールトリアクリレート(分子量298)を5g仕込み、攪拌しながらヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、商品名HDI、分子量168.2)を38gと、ジブチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名ネオスタンU−100、錫含有量18〜20質量%)を0.06g仕込み、加温して75℃〜85℃で4時間反応し、イソシアネート基含有量が理論値(2.4質量%)以下になった時点で反応を終了し、アクリロイル基を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−4を合成した、
この得られたアクリロイル基を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−4は、滴定による実測イソシアネート基含有量2.2質量%の常温で透明な粘稠液体であった。分子中のアクリロイル基の計算による含有量は0.16mmol/gである。
合成例5(ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、エステル管および加熱・冷却装置のついた反応容器に、ジエタノールアミン(分子量105)を435gとトルエンを183g仕込み、攪拌しながらイソブチルアルデヒド(分子量72.1)を328g仕込み、窒素ガスを流しながら、加温して110℃〜150℃で還流脱水反応を続け、副生する水(74.5g)を系外に取り出した。反応終了後、さらに減圧下(50〜70hPa)で加熱し、トルエンと未反応のイソブチルアルデヒドを除去し、中間の反応性生物であるN−ヒドロキシエチル−2−イソプロピルオキサゾリジンを得た。
次いで、得られたN−ヒドロキシエチル−2−イソプロピルオキサゾリジン659gに、さらにヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)を348g加え、80℃で8時間加熱し、滴定による実測NCO含有量が0.0質量%になった時点で反応終点とし、分子内にオキサゾリジン環を2個有するウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を得た。この得られたウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1は常温で液体であった。
実施例1
攪拌機、加熱、冷却装置および窒素シール管付混練容器に、窒素気流下で、合成例1で得た分子内にアクリロイル基を有しないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を100gと、ヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製、TINUVIN765[ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〕セバケートおよびメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート混合物])を1g仕込み、均一になるまで混合して耐候性を付与したウレタンプレポリマーPU−1とした後、攪拌しながら安息香酸無水物0.1gと、合成例5で得たウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を18g加えてさらに内容物が均一になるまで混合し、50〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
実施例2
実施例1において、安息香酸無水物を使用しないで、替わりにマレイン酸無水物0.2gを使用した以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
実施例3
実施例1において、安息香酸無水物0.1gに、さらにマレイン酸無水物0.1gを加えた以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
実施例4
実施例1において、安息香酸無水物を使用しないで、替わりに酢酸0.1gを使用した以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
実施例5
実施例1において、安息香酸無水物を使用しないで、替わりにサリチル酸0.1gを使用した以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
比較例1
実施例1において、ヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製、TINUVIN765[ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートおよびメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート混合物])を使用しないで、耐候性を付与しないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1とした以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
比較例2
比較例1において、安息香酸無水物を使用しないで、替わりに酢酸0.1gを使用した以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
比較例3
比較例1において、安息香酸無水物を使用しないで、替わりにサリチル酸0.1gを使用した以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
比較例4
比較例1において、安息香酸無水物を使用しないで、替わりにブチルアシッドホスフェート0.1gを使用した以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
比較例5
実施例1において、安息香酸無水物を使用しないで、替わりにブチルアシッドホスフェート0.1gを使用した以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
比較例6
比較例1において、安息香酸無水物を使用しないで、替わりにジブチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名ネオスタンU−100、錫含有量18〜20質量%)0.5gを使用した以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
なお、金属錫の使用量は、実施例1〜5と比較例1〜5のそれぞれにおいては、ウレタンプレポリマーPU−1の100gに対して、反応触媒として使用したオクチル酸錫の0.003gであり、比較例6においては、反応触媒として使用したオクチル酸錫と、硬化促進触媒として使用したジブチル錫ジラウレートの合計で0.103gである。
実施例6
攪拌機、加熱、冷却装置および窒素シール管付混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例2で得た分子内にアクリロイル基を有しないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2を100gと、ビスフェノールAのエチレンオキシド変性ジアクリレート(東亞合成社製。商品名アロニックスM−210)を3g仕込み、均一になるまで混合して、耐候性を付与したウレタンプレポリマーPU−2とした後、攪拌しながらジオクチルフタレート20gと、予めそれぞれ100〜110℃の乾燥機で乾燥し、水分含有量を0.05質量%以下にした有機脂肪酸処理炭酸カルシウム(白石工業社製、商品名白艶華CCR)を50gと、重質炭酸カルシウム60gを仕込み、さらに内容物が均一になるまで混合した。次いで、p−トルエンスルホニルイソシアネート0.2gと、ヒンダードフェノール系酸化防止剤{ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]}(チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製、イルガノックス1010)を1.0gと、合成例5で得たウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を11g加えてさらに内容物が均一になるまで混合した後、50〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
実施例7
実施例6と同様の混練容器に、分子内にアクリロイル基を有する(耐候性を付与した)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−3を100g仕込み、攪拌しながらジオクチルフタレート20gと、予めそれぞれ100〜110℃の乾燥機で乾燥し、水分含有量を0.05質量%以下にした有機脂肪酸処理炭酸カルシウム(白石工業社製、商品名白艶華CCR)を50gと、重質炭酸カルシウム60gを仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで、p−トルエンスルホニルイソシアネート0.2gと、ヒンダードフェノール系酸化防止剤{ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]}(チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製、イルガノックス1010)を0.5gと、合成例5で得たウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を10g加えてさらに内容物が均一になるまで混合した後、50〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
実施例8
実施例6において、分子内にアクリロイル基を有しないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2を50gと、分子内にアクリロイル基を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−3を50g使用し、さらにビスフェノールAのエチレンオキシド変性ジアクリレートを1gと、合成例5で得たウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を10g使用した以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
実施例9
実施例7において、p−トルエンスルホニルイソシアネートを0.5g使用し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を2.0gにした以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
実施例10
実施例7において、ヒンダードアミン系光安定剤(旭電化工業社製、商品名アデカスタブLA−63P、高分子量型)を0.3g使用し、p−トルエンスルホニルイソシアネートを0.5gに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を1.0gにした以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
実施例11
実施例7において、ヒンダードアミン系光安定剤(旭電化工業社製、商品名アデカスタブLA−63P、高分子量型)を1.5g使用し、p−トルエンスルホニルイソシアネートを使用しないで、替わりに予めp−トルエンスルホニルイソシアネート2.0gに水0.9gを加えて反応して得られたp−トルエンスルホニルイソシアネートと水との反応物を1.0g使用し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を1.0gにした以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
実施例12
実施例7において、分子内にアクリロイル基を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−3を使用しないで、替わりに分子内にアクリロイル基を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−4を100g使用し、さらにヒンダードアミン系光安定剤(旭電化工業社製、商品名アデカスタブLA−63P、高分子量型)を1.0g、p−トルエンスルホニルイソシアネートを0.3g、そしてヒンダードフェノール系酸化防止剤を1.0g使用した以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
比較例7
実施例6において、ビスフェノールAのエチレンオキシド変性ジアクリレートとp−トルエンスルホニルイソシアネートを使用しないで、替わりに硬化触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.5g使用し、さらに合成例5で得たウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を使用しない以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
比較例8
実施例6において、ビスフェノールAのエチレンオキシド変性ジアクリレートとp−トルエンスルホニルイソシアネートを使用しないで、替わりに硬化促進触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.5g使用した以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
比較例9
実施例6において、ビスフェノールAのエチレンオキシド変性ジアクリレートを使用しない以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
比較例10
実施例7において、p−トルエンスルホニルイソシアネートを使用しないで、替わりにジブチル錫ジラウレートを0.5g使用し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を1.0gにし、さらに合成例5で得たウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を使用しない以外は同様にして、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を調製した。
なお、金属錫の使用量は、実施例6〜12のそれぞれにおいては、ウレタンプレポリマーPU−2、PU−3、PU−4あるいはPU−2とPU−3との合計100gに対して、反応触媒として使用したジブチル錫ジラウレートの0.003gであある。また、比較例7、8または10においては、ウレタンプレポリマーPU−2またはPU−3の100gに対し、反応触媒と硬化促進触媒として使用したジブチル錫ジラウレートの合計で0.103gである。また、比較例9においては、ウレタンプレポリマーPU−3の100gに対して、反応触媒として使用したジブチル錫ジラウレートの0.003gである。
実施例1〜5と比較例1〜6で得られた1液湿気硬化型のシーリング材組成物のそれぞれを用いて、下記のタックフリー、発泡防止性Aおよび耐候性Aについて、ならびに実施例6〜12と比較例7〜11で得られた1液湿気硬化型のシーリング材組成物のそれぞれを用いて、下記のタックフリー、発泡防止性Bおよび耐候性Bについて試験した結果を表1〜4に示す。
[試験方法]
(イ)タックフリー
JIS A1439(1997、改正2002)「建築用シーリング材の試験方法」の4.19タックフリー試験により、タックフリー(時間)を測定した。
(ロ)発泡防止性A
底の直径が約50mmの200ml円筒状紙コップに、1液湿気硬化型のシーリング材組成物を、50〜60g泡を巻き込まないように注意して注入し、50℃、80%相対湿度の恒温恒湿器中に3日間放置して硬化させた後、取り出してそれぞれの発泡の状態を観察、評価した。発泡状態の観察は、紙コップの上から目視して、気泡の有無を目視により観察した。硬化物内部に発泡が認められないか、または極めて少ないものを○、発泡が多数認められるものを×と評価した。
(ハ)耐候性A
1液湿気硬化型シーリング材組成物を、泡を巻き込まないようにシート状に塗布し、23℃、50%相対湿度で14日間養生硬化させて、厚み2mmの短冊状試験片を作製した。JIS K 6266(1996、確認2001)「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの耐候性試験方法」の5.オープンフレームカーボンアーク灯式耐侯性試験により、サンシャインウエザーメーターを用いて、SA法で、ブラックパネル温度63℃、120分の照射後、18分間の水噴霧の条件で試験片に光を照射した。耐候性の評価は、光を500時間照射後と、1000時間照射後に試験片を取り出し目視により表面を観察した。表面に明瞭なひび割れが認められないか、または極めて少ないものを○と評価し、明瞭なひび割れが多数認められるものを×と評価した。
(ニ)発泡防止性B
ラワン合板を下地として、その上にラワンの角棒を平行に接着し、幅10mm×深さ10mm×長さ150mmの目地を作製し、この目地に1液湿気硬化型のシーリング材組成物を泡を巻き込まないように充填し、余分のシーリング材組成物をヘラでかきとり表面を平らにしたものを試験体とした。試験体を50℃、80%相対湿度の恒温恒湿器中に2日間置き促進硬化させた後、取り出しカッターでシーリング材硬化物を目地から切り離し、硬化物内部の発泡の有無を目視により観察した。硬化物内部に発泡による亀裂や気泡が認められないか、または極めて少ないものを○、発泡が多数認められるものを×と評価した。
(ホ)耐候性B
1液湿気硬化型のシーリング材組成物を、泡を巻き込まないようにシート状に塗布し、23℃、50%相対湿度で14日間養生硬化させて、厚み3mmの短冊状試験片を作製した。JIS K 6266(1996、確認2001)「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの耐候性試験方法」の5.オープンフレームカーボンアーク灯式耐侯性試験により、サンシャインウエザーメーターを用いて、SA法で、ブラックパネル温度63℃、120分の照射後、18分間の水噴霧の条件で試験片に光を照射した。耐候性の評価は、光を500時間照射後、1000時間照射後、2000時間照射後、3000時間照射後および4000時間照射後に試験片を取り出し目視により表面を観察した。表面に明瞭なひび割れが認められないか、または極めて少ないものを○と評価し、明瞭なひび割れが多数認められるものを×と評価した。
(へ)サイディング目地への施工確認
実施例6〜12で得られた1液湿気硬化型のシーリング材組成物のそれぞれを用い、実施例6で用いたのと同様の混練容器に仕込み、窒素ガスを流しながら、予め酸化チタン10gとジオクチルフタレート20gを混練りして調製しておいた酸化チタントナーと、同様にして調製した酸化鉄レッド、酸化鉄イエロー、酸化鉄ブラックのそれぞれのトナーを適量添加し、サイディング(クボタ松下電工外装社製、商品名ネオロック・セラ16、スリムストーン柄、スリムセラアイボリー色)に適合するようにそれぞれ着色した後、50〜100hPaで減圧脱泡し、着色した1液湿気硬化型のシーリング材組成物をそれぞれ調製した。
次いで、屋外において、前記スリムセラアイボリー色のサイディングを用いて、南面に向いた幅10mmの目地を作製し、刷毛で目地を清掃した後、この目地の両側に沿ってマスキングテープを貼り、さらに目地の両側の被着面をプライマー(オート化学工業社製、商品名OP−2531)で処理し30分間放置した後、前記で得られた着色した1液湿気硬化型のシーリング材組成物のそれぞれを充填し、余分のシーリング材をヘラでかきとり表面を平らにした。このときそれぞれのシーリング材組成物にスランプは認められなかった。マスキングテープを剥がし1週間放置した後、それぞれ充填、施工した目地を観察したところ、全ての目地において、シーリング材が発泡することなく完全に硬化し、シーリング材の表面に粘着がなく、したがって汚染もない、きれいな充填目地が形成されたことを確認することができた。硬化後のシーリング材のサイディングに対する接着性も良好であった。
Figure 2007063551
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Claims (14)

  1. 耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)に、オキサゾリジン環を有する化合物(B)と、硬化促進剤(C)とを配合することを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)とヒンタードアミン系光安定剤(D)との混合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、光反応性不飽和結合を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−2)、および/または、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−1)と光反応性不飽和結合を有する化合物(E)との混合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  4. 前記光反応性不飽和結合を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A−2)が、有機イソシアネート化合物(a)と、活性水素含有化合物(b)と、活性水素および光反応性不飽和結合を有する化合物(c)とを、活性水素に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られたものである、請求項3に記載の硬化性組成物。
  5. 前記光反応性不飽和結合が、(メタ)アクリロイル基に由来する不飽和結合である、請求項3または4に記載の硬化性組成物。
  6. 前記耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基が、広義の脂肪族系有機ポリイソシアネート由来のイソシアネート基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  7. 前記オキサゾリジン環を有する化合物(B)が、水酸基含有オキサゾリジン化合物と広義の脂肪族系有機ポリイソシアネート化合物との反応物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  8. 前記広義の脂肪族系有機ポリイソシアネートが、イソホロンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項6または7に記載の硬化性組成物。
  9. さらにヒンタードアミン系光安定剤(D)を配合することを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  10. 前記硬化促進剤(C)が、有機カルボン酸系化合物、p−トルエンスルホニルイソシアネートおよびp−トルエンスルホニルイソシアネートと水との反応物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  11. 前記有機カルボン酸系化合物が、有機カルボン酸無水物である、請求項10に記載の硬化性組成物。
  12. 前記硬化促進剤(C)が、有機金属系触媒(C−2)のとき、該有機金属系触媒(C−2)の添加量が、前記耐候性を付与したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、該有機金属系触媒(C−2)の金属量で0.05質量部以下である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  13. さらに添加剤(E)を配合することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  14. 前記添加剤(E)が、可塑剤、ヒンタードアミン系光安定剤(D)以外の耐候安定剤、充填材、揺変性付与剤、貯蔵安定性改良剤および着色剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項13に記載の硬化性組成物。
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