JP2007063505A - 流体軸受モータ用潤滑油及びそれを使用した軸受モータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ハードディスクドライブ用や光学記憶装置用であって、特にメディア径2.5インチ以下の超小型の記憶装置の駆動に有効な軸受モータとこれに適する潤滑油を提供する。
【解決手段】 固定軸を中心として回転する回転体と固定軸に固定された保護カバーを有する軸受モータに使用する潤滑油であって、摺動部に使用する潤滑油の基油が、ジオール成分とモノカルボン酸成分からなるポリオールエステルと、モノアルコール成分とジカルボン酸成分からなるポリカルボン酸ジエステルの45:55〜55:45の混合物であって、ジオール成分がβ位又はβ、β’位にアルキル側鎖を有するジオールであり、モノカルボン酸成分が炭素数6〜12の一価飽和脂肪族カルボン酸であり、モノアルコール成分が炭素数6〜10の一価飽和脂肪族アルコールであり、ジカルボン酸成分が炭素数10の二価飽和脂肪族カルボン酸である潤滑油。
【選択図】 図1

Description

この発明は、例えばパソコン等の記憶装置として知られるHDD(ハードディスクドライブ)用や光学記憶装置用であって、特にメディア径2.5インチ以下の超小型の記憶装置の駆動に有効な軸受モータに関する。
近年、IT革命の目覚しい発展に従って、様々な技術分野、殊に各種電子機器、例えばデジタルカメラやPDA等に超小型の記憶装置が求められている。これに応えるためにICメモリも有力であるが、ビットコストの点でハードディスクドライブには及ばない。
従来のハードディスクドライブ用の軸受モータにはいくつかの欠点があり、これを改良したハードディスクドライブ用の軸受モータが特許文献1に開示されている。
特開2003-153484号公報 特開平11-336760号公報 特開2000-336383号公報 特開2004-091524号公報 特開2003-193075号公報
従来のハードディスクドライブ用の軸受モータに用いる潤滑油の基油として、特許文献2にはPAO(ポリ-α-オレフィン)等の炭化水素系オイルとエステルの混合物が、特許文献2〜3に記載のネオペンチルグリコールエステルが、特許文献4に記載のジエステルと低粘度油の混合物などが提案されてきた。しかし、ハードディスクの小型化と高速化に伴い、ハードディスクドライブの回転数も大幅に高回転化し、モータ寿命も高寿命化が求められた。そこで、従来のハードディスクドライブでは、モータの負荷容量を低減するために、潤滑油の低粘度化を図った。一方で、前記従来のハードディスクドライブの高寿命化が望まれていたため、使用する潤滑油には、不揮発性が少ないことが求められた。例えば、従来のハードディスクドライブの潤滑油基油に、低粘度であるネオペンチルグリコールエステルを用いた場合には、モータ軸損は低減するものの、軸受内部からの潤滑油の蒸発が大きく、前記ハードディスクドライブの高寿命化が期待されない。また、ジエステルと低粘度油を混合してトルクと蒸発減量を調整する方法では、蒸発減量の影響で思い切った低粘度化が図れず、現在の要求仕様を満たせないものとなっている。これらの問題の一因に、従来のハードディスクドライブの構造がある。従来のハードディスクドライブは軸損低減のために隙間を大きくするとNRROと軸剛性が不良となるため、蒸発減量を多少犠牲にして潤滑油の低粘度化を図り、軸損を下げる傾向にある。更に、比較的揮発性が高く、低粘度の基油を用いて、密閉系の軸受を用いることも考えられるが、従来の構造では新たにシール部材が必要で、複雑な構造となり、高コストになっていた。
本発明は特許文献1に開示された軸受モータが上記問題を解決することを認め、これに適する新規な潤滑油を提供すると共に、これにより高速回転で低負荷であり、かつ高寿命な軸受モータを提供することを課題とする。
本発明は次のとおりである。
1) 固定軸を中心として回転する回転体に保護カバーで覆う構造の軸受モータであって、固定軸は基板に固着起立しかつ、この固定軸を回転体の表面より突出させて前記保護カバーを固定支持し、回転体との間に所望の間隔を形成して離開させるようにしてなる軸受モータに使用する潤滑油であって、前記軸受モータの回転体と固定軸を含む固定体と摺動部に使用する潤滑油の基油が、ジオール成分とモノカルボン酸成分からなるポリオールエステルと、モノアルコール成分とジカルボン酸成分からなるポリカルボン酸ジエステルの45:55〜55:45の混合物であって、ジオール成分がβ位又はβ、β´位にアルキル側鎖を有するポリオールエステルであり、モノカルボン酸成分が炭素数6〜12の一価飽和脂肪族カルボン酸であり、モノアルコール成分が炭素数6〜10の一価飽和脂肪族アルコールであり、ジカルボン酸成分が炭素数10の二価飽和脂肪族カルボン酸であることを特徴とする軸受モータ用の潤滑油。
2) 潤滑油の基油であるジエステルが、潤滑油中に50重量%以上含まれる1)に記載の潤滑油。
3) 1)又は2)記載の潤滑油を、固定軸を中心として回転する回転体に保護カバーで覆う構造の軸受モータであって、固定軸は基板に固着起立しかつ、この固定軸を回転体の表面より突出させて前記保護カバーを固定支持し、回転体との間に所望の間隔を形成して離開させるようにしてなる軸受モータの回転体との間に形成された所望の間隔内に存在させたことを特徴とする軸受モータ。
4) 固定軸は、その軸方向と直交する上下両側にスラスト板を配設し、これらスラスト板のスリーブの対向面及び固定軸の外周面と対向する側に、回転体のスリーブの上下表面及び中心孔を、微小隙間を介してスラスト動圧軸受とジャーナル動圧軸受とを形成できるようにしてなる3)記載の軸受モータ。
5) スラスト動圧軸受及びジャーナル軸受には、動圧発生用のグルーブを設ける4)記載の軸受モータ。
6) 軸受モータのスラスト動圧軸受及びジャーナル軸受に焼結材料を用いて、焼結材料に1)又は2)記載の潤滑油を含油することを特徴とする軸受モータ。
以下、本発明を更に説明する。
本発明の軸受モータ及び本発明の潤滑油が使用される軸受モータは、特許文献1に記載されているものが適する。この軸受モータは、固定軸を中心として回転する回転体に保護カバーで覆う構造の軸受モータであって、固定軸は基板に固着起立しかつ、この固定軸を回転体の表面より突出させて前記保護カバーを固定支持し、回転体との間に所望の間隔を形成している。
軸受モータに使用される本発明の潤滑油は、基油としてジオール成分とモノカルボン酸成分からなるポリオールエステルと、モノアルコール成分とジカルボン酸成分からなるポリカルボン酸ジエステルの45:55〜55:45の混合物を含む。
ポリオールエステルを形成するジオール成分は、β位又はβ、β´位の炭素の全部が四級炭素となるようにアルキル側鎖を有する飽和脂肪族アルコールであることが望ましい。モノカルボン酸成分は、炭素数6〜12の一価飽和脂肪族カルボン酸であることが望ましい。
このジオール成分としては、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2,3-ジメチル-1,4-ブタンジオール、2,2,3-トリメチル-1,4-ブタンジオール、2,2,3,3-テトラメチル-1,4-ブタンジオール、2-エチル-2,3,3-トリメチル-1,4-ブタンジオール、2,3-ジエチル-2,3-ジメチル-ブタンジオール、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4,4-テトラメチル-1,5-ペンタンジオール等が好ましく挙げられる。ジオール成分の炭素数としては、5〜10の範囲が好ましい。
ジカルボン酸成分としては、炭素数6〜12の直鎖飽和脂肪酸が挙げられ、具体的には、HOOC(CH2nCOOHで表されるジカルボン酸が好ましく挙げられる。ここで、nは4〜10の整数である。特に、nが4、6、8又は10のジカルボン酸が望ましい。上記ジオール成分と酸成分の組み合わせには制限はないが、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールと炭素数8又は10の直鎖飽和脂肪酸の組み合わせ、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオールと炭素数6又は8の直鎖飽和脂肪酸の組み合わせが分子量の関係で好ましい。炭素数との関係では、ジオール成分とジカルボン酸成分を反応させて得られるポリオールエステルは、合計の炭素数が13〜15の範囲にあることが望ましい。
ジオール成分のβ位又はβ、β´位にアルキル側鎖を有することにより、ポリオールエステル中のカルボニル基に対して、立体障害を起こし、極性効果を減少させることができるため、直鎖構造のジオールより、分子量は大きくなるが、低粘度化を果たすことができる。しかも、β位の炭素に水素がないため、通常のジエステルのように分子内で六員環を作って分解することがないので、低粘度で熱安定性が高いという特性を有する。更に、立体障害により、カルボニル基の反応性を抑制することができるため、耐加水分解性の向上にもつながる。しかしながら、平均分子量が低く、粘度も低いため蒸発減量が多くなる。また、圧力粘度係数が同じ程度の粘度を有する潤滑油と比べて低い(4GPa-1)。また、NPI(ノン・ポラリティ・インデックス)が低く(NPI:44)、極性が高いため金属面に皮膜を形成し、金属間の摩擦エネルギを低減できる。しかし、極性が高い潤滑油は自発的に浸入するため、油漏れの原因となる。よって、摩擦特性・熱安定性に優れるものの、蒸発特性と軸剛性及び耐漏洩性に劣る欠点を有している。
その改善策として、炭素数6〜10の一価飽和脂肪族アルコールと炭素数10の二価飽和脂肪族カルボン酸のポリカルボン酸ジエステルを混合して基油とする。炭素数6〜10の一価飽和脂肪族アルコールとしては、1級脂肪族アルコールが好ましく挙げられる。炭素数10の二価飽和脂肪族カルボン酸としては、HOOC-C8H16-COOHで表されるジカルボン酸が好ましく挙げられる。このポリカルボン酸ジエステルはアルキル鎖が長く、平均分子量もポリオールエステルよりも高いため、潤滑性と蒸発特性が良い。また、圧力粘度係数(11GPa-1)も前記ポリオールよりも高く、軸剛性を高めることができる。また、NPIは前記ポリオールエステル同様低いが、若干極性が低いことから油漏れの調整も可能となる。しかし、β炭素に水素があるため酸化安定性に劣る欠点を有している。この点は前記ポリオールエステルを当量混合することで互いの欠点を相殺できる。ただし、その混合量は重量比でこの混合割合は45:55〜55:45の範囲であるが、好ましくは1:1前後である。この範囲を外れると互いの欠点を相殺することができない。
本発明の潤滑油は、上記混合物からなる基油に、通常使用される添加剤を配合することができる。かかる添加剤としては、酸化防止剤、極圧剤、耐摩耗剤、防錆剤、金属不活性剤、油性向上剤等がある。しかし、上記混合物からなる基油は潤滑油中に50重量%以上、好ましくは80重量%以上存在させることがよい。
本発明の潤滑油が使用される又は使用された軸受モータは、超小型のハードディスク用等の軸受モータとして十分な強度と耐用性を有する。また、動圧軸受用としても、また転がり軸受用として広く利用できる利点を有する。
次に、本発明の潤滑油が使用される又は使用された軸受モータについて説明する。
以下に、この発明の一実施例を動圧軸受モータとした場合について図面を参照して説明する。各図において、同一符号は同じものを意味する。
図1において、固定軸2は基板1に強固に結合されて基板1にカシメ,ネジ止め等で一体的になるように形成されている。5,6は中空状の固定軸2の上下に水平方向に突設した円盤状のスラスト板、7は前記スラスト板5,6との間及び前記固定軸2の外周面2aとの間で微少隙間gを保って回転する管柱状のスリーブを示し、回転体3の内周部分を形成している。そして、この回転体3の上下表面3a及び中心孔3bと、前記上下スラスト板5,6の内周面5a,6aと固定軸2の外周面2aとの間の微少隙間g(例えば、3〜5μm)を介してスラスト動圧軸受H1とジャーナル動圧軸受H2を形成している。しかも、前記スラスト動圧軸受H1とジャーナル動圧軸受H2には少なくとも固定側か回転側の一方に例えばヘリングボーン状溝のグルーブ8を凹設して潤滑油を充填して回転体3を支持する動圧を発生させる。9は、回転体3のディスク(図示せず)を嵌合するためのハブ、10は同じく回転体3に設けたカバー、11は回転体3の最外位置に配設した回転用永久磁石、12はこの永久磁石11の外周で基板1に配設した回転体3を回転駆動させるための電流制御用のステータを示し、ステータコイル13、ステータヨーク14で構成されている。15は固定軸2の上部で回転体3の上部より上方に突出した突出部を示し、保護カバー4を固定軸2により確固に固定保持する固着手段Pを備えるものであって、図示のようなビス止め16、あるいは保護カバー4に嵌合孔を設け、強制嵌合、圧入、接着など単一又は二以上の組み合わせ手段で好みの固着処理を施して、保護カバー4が回転体3と接触不可能に形成するものである。なお、17a,17bは固定軸2に設けた段部で、上下のスラスト板5,6の取付位置を規正できる。ここで、固定体は基板1、固定軸2、スラスト板5、6等であり、回転体は管柱状のスリーブ7等であり、摺動部は前記微少隙間gである。そして、潤滑油は前記上下スラスト板5,6の内周面5a,6aと固定軸2の外周面2aとの間の微小隙間gを介して存在するスラスト動圧軸受H1とジャーナル動圧軸受けH2の間に使用される。また、スラスト動圧軸受H1とジャーナル動圧軸受H2に細孔を有する焼結材料を用いて、この焼結材料に潤滑油を含油させることも好ましい。
回転体3は、その固定軸2の突出部15がその高さに相応した間隔Lを置いて保護カバー4を固着でき、したがって保護カバー4に働く如何なる外力Fに対しても強固に変形凹陥を防いで内部を保護できると共に、固定軸2と回転体3とはスラスト動圧軸受H1及びジャーナル動圧軸受H2で回転させているので、十分な強度を保持すると同時に回転体3の外径を著しく小さく形成できる。
図2(a)、(b)は従来例を示す。基板1上に固定軸2を固定起立させてその外周に種々の構成を有する回転体3を備えた動圧軸受を用いたものであるが、内部を保護する保護カバー4はモータの回転部分と離開させて覆っているのみであり、記憶装置の組立及び記憶装置を機器から着脱する際のハンドリングによる外圧Fに対して十分な強度を保持しておらず、特にハードディスクを1インチ以下に超小型化すると必然的に強度不足を生じてしまい、各種機器への設置取付け作業の際のハンドリング時に回転体3の表面箇所を指で抑えこんでしまうことや、特に落下衝撃で、保護カバー4が変形凹陥してモータ心臓部と接触して変形させて機能不全に陥るという不都合がある。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を明確にする。
基油として表1、表2に示すジエステルの混合物を使用した。基油のポリオールエステルとポリカルボン酸ジエステル、その他の添加剤を同表に示す割合で配合して潤滑油とした。この潤滑油について、蒸発率、NRRO(モータ非同期振れ)、ヒートショック試験及び圧力粘度係数を測定し、NPIを計算した結果を同表に示す。
蒸発率の測定条件は以下の通りである。
容器:φ37×50、潤滑油量:10g、放置温度:80℃(恒温槽)、放置時間:10000h
判定基準:4mass%以下合格、4mass%超不合格
本実施例では、図1に示すモータ軸受装置を用いたφ4mmの軸径を持つハードディスクーモーターを用いて20000h到達時のNRROを測定した。
回転数:3600min-1、温度:70℃、モータ角度:0度、DISK有無:有り、評価時間:20000h
NRRO判定基準:10nm以下合格
また、ヒートショック試験は、スタート、ストップを繰り返し、1日一回0℃における電流値を測定し、その電流値の変動割合が10%以内であれば合格とするものである。
回転数:3600min-1、温度:70℃(0℃環境下で1日一回電流値測定)、モータ角度:0度、DISK有無:有り、ON-OFF間隔:10秒、評価時間:20000h、電流値判定基準:±10%以内(20000h)
NPI及び圧力粘度係数の判定基準を以下に示す。NPIが許容規定範囲を外れると摩擦エネルギの増大や油漏れを促進させるという知見から以下許容範囲を守る必要がある。また、圧力粘度係数が規定値以下になるとNRROを悪化させる。
NPI:45〜50
圧力粘度係数:7.5GPa-1以上
なお、表1〜2に示す実施例と比較例には、公知の酸化防止剤である2,6−ジメチル−4−メチルフェノール、アルキルジフェニルアミンと金属不活性剤であるベンゾトリアゾールおよび耐摩耗剤であるトリクレジルホスフェートを同一量添加している。なお、表1〜2において、配合量は重量%である。また、評価で○は合格、×は不合格を示す。
略号は次のとおりである。
POE1:2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオールとオクタノイックアシッドのポリオールエステル
POE2:2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールとオクタノイックアシッドのポリオールエステル
POE3:2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールと2-メチルオクタノイックアシッドのポリオールエステル
DOS:2-エチルヘキサノールとセバシックアシッドのジエステル
DOA: 2-エチルヘキサノールとアジピックアシッドのジエステル
A1:2,6-ジメチル-4-メチルフェノール(酸化防止剤)
A2:ベンゾトリアゾール(金属不活性剤)
A3:アルキルジフェニルアミン(酸化防止剤)
A4:トリクレジルホスフェート(耐摩耗剤)
Figure 2007063505
Figure 2007063505
表1から判るように実施例1〜4の潤滑油組成物を用いた軸受モータのNRROとヒートショック試験は合格基準を満足し、軸受モータとしての駆動性能を発現することができる。また、蒸発量も規定値以下であり、軸受モータの寿命も安定して維持できる。その理由として、NRROやNPIが最適値にあり、バランスが取れているためである。それに対して、比較例1は蒸発量が多く、それを使用した軸受モータのNRROとヒートショック試験は合格基準に達していない。NRROは圧力粘度係数が規定値以下であり軸剛性に悪影響を及ぼしていることと、基油成分の蒸発と油漏れ(NPIの影響)によってヒートショック試験で満足した結果が得られなかった。
比較例2は蒸発量は少ないものの、ヒートショック試験において基準値を満たすことができなかった。これは、分子量が大きく低温特性が悪いことと、NPIが若干高いため摩擦エネルギが大きくなり、電流値の上昇を招いた。比較例3は蒸発量、NRROは合格基準に達しているが、ヒートショック試験は不合格であった。これは、比較例2と同様にジエステルの影響によるものである。比較例4は比較例1と同様に全ての項目で合格基準に達しなかった。これは、POE1の影響が強く出たためであり、比較例3と比較例4から混合して互いの欠点を相殺するにはほぼ等量でなければならないことが明確に判る。
比較例5は、ジエステルのジカルボン酸をC4のものにした例であるが、ジカルボン酸をC10にしてエステル化したものでなければ、互いに等量混合しても軸受モータに必要な駆動性能は発現できない。比較例6は、比較例5で使用したジエステルを用いて添加剤を規定量加えたものであるが、添加剤を加えても改善されないことが判る。
また、本発明で用いた手法は他に類を見ず、圧力粘度係数とNPIの関係を最適化し、その効果を十分に発現するためには前記ポリオールエステルと前記ジエステルとを等量に配合する必要があることを見出した。よって、本発明の意義は大きいと考える。
また、本発明の軸受モータで使用される潤滑油組成物に使用する添加剤としては、公知の添加剤を適切に選択するならば、本実施例に実施されるものに限定されるものではない。ただし、等量バランスを壊さない量として、前記ジエステルの割合を5%以内、好ましくは2%以内で調整すれば問題ないことを種々の検討で明らかにしている。
なお、本発明における潤滑油組成物は、本発明記載の構造を持つ軸受け用モータに対してのみその性能を発現する。
軸受モータを動圧軸受用とした場合の一例を示す概念説明図 従来例の動圧軸受モータ及び転がり軸受モータの一例を示す模式図
符号の説明
1 基板、2 固定軸、3 回転体、4 保護カバー、5,6 スラスト板、7 スリーブ、8 グルーブ、9 ハブ、12 ステータ、15 突出部、16 ビス止め、17a,17b 段部、18 回転軸、H1 スラスト動圧軸受、H2 ジャーナル動圧軸受、P 固着手段、L 間隔、g 微少隙間

Claims (6)

  1. 固定軸を中心として回転する回転体に保護カバーで覆う構造であって、固定軸は基板に固着起立しかつ、この固定軸を回転体の表面より突出させて前記保護カバーを固定支持し、回転体との間に所望の間隔を形成して離開させるようにしてなる軸受モータに使用する潤滑油であって、前記軸受モータの回転体と固定軸を含む固定体との摺動部に使用する潤滑油の基油が、ジオール成分とモノカルボン酸成分からなるポリオールエステルと、モノアルコール成分とジカルボン酸成分からなるポリカルボン酸ジエステルの45:55〜55:45の混合物であって、ジオール成分がβ位又はβ、β’位にアルキル側鎖を有するジオールであり、モノカルボン酸成分が炭素数6〜12の一価飽和脂肪族カルボン酸であり、モノアルコール成分が炭素数6〜10の一価飽和脂肪族アルコールであり、ジカルボン酸成分が炭素数10の二価飽和脂肪族カルボン酸であることを特徴とする軸受モータ用の潤滑油。
  2. 潤滑油の基油であるジエステルが、潤滑油中に50重量%以上含まれる請求項1に記載の潤滑油。
  3. 固定軸を中心として回転する回転体に保護カバーで覆う構造の軸受モータであって、固定軸は基板に固着起立しかつ、この固定軸を回転体の表面より突出させて前記保護カバーを固定支持し、所望の間隔を形成して離開させるようにしてなる軸受モータであって、回転体と固定体との間に請求項1又は2記載の潤滑油を存在させたことを特徴とする軸受モータ。
  4. 固定軸は、その軸方向と直交する上下両側にスラスト板を配設し、これらスラスト板のスリーブの対向面及び固定軸の外周面と対向する側に、回転体のスリーブの上下表面及び中心孔を、微小隙間を介してスラスト動圧軸受とジャーナル動圧軸受とを形成できるようにしてなる請求項3記載の軸受モータ。
  5. スラスト動圧軸受及びジャーナル軸受には、動圧発生用のグルーブを設ける請求項4記載の軸受モータ。
  6. スラスト動圧軸受及びジャーナル軸受に焼結材料を用いて、焼結材料に請求項1又は2記載の潤滑油を含油することを特徴とする軸受モータ。
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