JP2002195252A - 流体軸受装置およびそれを用いた画像形成装置用スキャナーモーター - Google Patents

流体軸受装置およびそれを用いた画像形成装置用スキャナーモーター

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JP2002195252A
JP2002195252A JP2000400087A JP2000400087A JP2002195252A JP 2002195252 A JP2002195252 A JP 2002195252A JP 2000400087 A JP2000400087 A JP 2000400087A JP 2000400087 A JP2000400087 A JP 2000400087A JP 2002195252 A JP2002195252 A JP 2002195252A
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lubricant
bearing
shaft
sleeve
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Ichiro Maekawa
一郎 前川
Katsumi Nagano
克己 長野
Yoshihiko Osuji
義彦 大條
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Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
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Canon Inc
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速回転で低負荷であり、かつ高寿命な流体
軸受装置を提供する。 【解決手段】 軸101とスリーブ103からなり、軸
101とスリーブ103の対向軸受面のどちらか一方に
動圧発生溝102を有し、潤滑剤104として流体を用
いた流体軸受装置は、潤滑剤104の基油として、少な
くとも0℃での粘度が45cP以下で、β位またはβ,
β’位にアルキル側鎖を有するジオール成分から誘導さ
れるポリオールエステルを用いている。軸受開口面10
6の面積または潤滑剤空気接触面107の面積が10m
2以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軸受装置のうち動
圧型流体軸受装置、特に画像形成装置用スキャナーモー
ターに用いる流体軸受装置に関する。
【0002】
【背景の技術】近年、画像形成用のスキャナーモーター
用軸受には、高精度な軸ぶれ特性を有し、安価に作製す
ることができることから、潤滑剤として流体を用いた動
圧流体軸受の提案がされている。以下、本発明の前提と
なる動圧型流体軸受装置の構成を説明する。
【0003】画像形成装置に使用するスキャナーモータ
ー用ラジアル軸受装置の一例として、動圧型流体軸受装
置を図1及び図2に示す。
【0004】図1において、動圧型ラジアル流体軸受
は、軸101を受け入れるスリーブ103から構成さ
れ、潤滑剤104が、軸101とスリーブ103の間に
設けられた隙間に毛管現象にて保持されている。この隙
間は、スリーブ103の内面を隆起させることで軸10
1とスリーブ103の間を他より狭くした箇所である。
そして、隆起箇所周辺のテーパー105によって軸受有
効幅Wを限定している。また、軸101の表面の、軸受
有効幅Wに面する箇所(対向軸受面とも呼ぶ。)に動圧
発生溝102が形成されている。
【0005】図2におけるスリーブ103の開口部付近
の内径と当該開口部付近の軸101の外径とにより軸受
開口面106の面積が決定され、また、潤滑剤104の
上端面における軸101の外径と潤滑剤104上端面に
おけるスリーブ103の内径とにより、潤滑剤空気接触
面107の面積が決定される。
【0006】以上のように構成された動圧型流体軸受装
置について、その動作を以下説明する。図示していない
駆動部により、軸101またはスリーブ103のどちら
か一方を回転させる。回転が始まると、動圧発生溝10
2のポンピング力により、動圧発生溝102に潤滑剤1
04が流れ込み、潤滑剤104の圧力が高くなる。最終
的にはスリーブ103に対して軸101はセンターリン
グし、軸101とスリーブ103は無接触の状態とな
る。
【0007】また、上記の構成の軸受装置を用いた画像
形成用スキャナーモーターを図3に示す。図3に例示す
るスキャナーモーターでは、多角形状をしたポリゴンミ
ラー309が、軸301の上部に取り付けられている。
軸301はマグネットローター302に挿着されるとと
もに、マグネットローター302の内側に配置したスリ
ーブ303に受け入れられている。そしてスリーブ30
3はブラケット304に挿着されて固定されている。ま
た、マグネットローター302の内側に配置されたスリ
ーブ303の周りにはステーターコア306が配置され
ている。スリーブ303と軸301との間には潤滑剤3
08が入っており、スリーブ303の内面の隆起した箇
所と軸301との間の狭い隙間における毛細管現象によ
り保持されている。
【0008】また、スリーブ303内の底面にスリーブ
303の軸受穴に対して直角の状態でスラスト板305
が取り付けられている。スラスト板305は、スパイラ
ル型動圧発生溝(不図示)を有している。さらに、軸3
01の外周の、前記スリーブ内面の隆起部に面した所に
ヘリンボーン形の動圧発生溝307が形成されている。
ヘリングボーン形動圧発生溝307は図示した位置に限
らず、前記スリーブ内面の隆起した面であってもよい。
つまり、軸とスリーブの対向軸受面のいずれか一方に動
圧発生溝が形成されていればよい。
【0009】このような用途の軸受装置に用いる潤滑剤
104,308の基油として、従来、PAO(ポリ-α-
オレフィン)等の炭化水素系オイルや、特許第2997091号
に記載のフェニル基を有するモノエステル,ジエステル
や、また、特開平8-259977号に記載の炭酸ジアルキル
や、ポリオールエステルが提案されてきた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、プリンター等
の印字速度の高速化に伴い、前記軸受装置の回転数も大
幅に高回転化し、軸受寿命も高寿命化が求められてい
る。
【0011】ここで、基油を有する潤滑剤を用いた動圧
型流体軸受の負荷容量は、使用する潤滑剤の粘度に比例
する為、高速回転する画像形成用スキャナーモーター用
軸受、特に20000rpm以上で使用する軸受では、前記潤滑
剤の低粘度化が求められている。
【0012】一方で、前記高速回転する画像形成用スキ
ャナーモーター用軸受の高寿命化が望まれている為、前
記軸受装置の潤滑剤には、不揮発性かつ軸受部材との反
応性が少ないことが求められている。
【0013】例えば、前記軸受装置に使用する潤滑剤の
基油に、炭化水素系オイルを用いた場合、低粘度の基油
成分を利用すると、軸受内部からの潤滑剤の蒸発が大き
く、前記軸受装置の高寿命化が期待されない。不揮発性
の高粘度の基油成分を利用したときには、軸受負荷が大
きく、スキャナーモーター用軸受装置には利用すること
が困難であった。
【0014】また、従来提案されてきた炭酸ジアルキル
やポリオールエステルを潤滑剤の基油に用いた場合で
も、同様に、高速回転するスキャナーモーター用軸受装
置の潤滑剤の基油として利用するには、低粘度かつ不揮
発性の特性を有することができず、困難であった。
【0015】また、ジエステルを前記軸受装置の潤滑剤
の基油として用いた場合、分子量を適切に選択すること
により、スキャナーモーター用軸受装置の潤滑剤に適し
た低粘度かつ不揮発性の特性を有した潤滑剤を得ること
ができる。しかしながら、ジエステルを前記軸受装置の
潤滑剤の基油として用いた場合には、精製度の影響を受
けやすく、更に高精製されたものでも、長期の使用の過
程において、加水分解が起こり、軸受構成部材の腐食を
引き起こす。特に、高温高湿環境下では、ジエステルの
加水分解が促進され、公知の適切な添加剤を添加して
も、軸受部材の腐食を抑制することができず、高寿命な
軸受装置を得ることができなかった。また、粘度と揮発
性のバランスが取れているアジピン酸ジオクチル等は、
環境ホルモンの疑いがあり、使用できなくなっている。
【0016】更に、比較的揮発性の高い、低粘度な基油
を用いて、軸受開口が密閉構造の軸受を用いることも考
えられるが、新たにシール部材が必要であり、複雑な構
造となり、高コストになっていた。
【0017】本発明の目的は上記課題を鑑み、高速回転
で低負荷であり、かつ高寿命な流体軸受装置を提供する
ことにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する為、
本発明の流体軸受装置は、軸とスリーブからなり、前記
軸とスリーブの対向軸受面のどちらか一方に動圧発生溝
を有し、潤滑剤として流体を用いた流体軸受装置におい
て、前記潤滑剤の基油として、少なくとも0℃での粘度
が45cP以下で、β位またはβ,β’位にアルキル側
鎖を有するジオール成分から誘導されるポリオールエス
テルを用い、軸受開口面の面積または潤滑剤空気接触面
の面積が10mm2以下であることを特徴とする。
【0019】ポリオールエステルの0℃での粘度が45
cPを超えるものを前記潤滑剤の基油に用いると、60
℃〜70℃付近の高温で、軸受装置の軸受剛性不足が観
察され、画像形成装置用スキャナーモーターのように、
高速で回転しながら、高精度な軸ぶれ特性を必要とする
ものには使用することができない。
【0020】酸成分とジオール成分よりなるポリオール
エステルのジオール成分のβ位またはβ,β’位にアル
キル側鎖を有することにより、ポリオールエステル中の
カルボニル基に対して、立体障害を起こし、極性効果を
減少させることができるため、主鎖構造のジオールよ
り、分子量は大きくなるが、低粘度化を果たすことがで
きる。
【0021】さらに、前記立体障害により、カルボニル
基の反応性を抑制することができるため、耐加水分解性
の向上にもつながる。
【0022】本発明の前記ポリオールエステルを構成す
る、β位またはβ,β’位にアルキル側鎖を有するジオ
ール成分としては、[式1],[式2]で表され、これ
らの式を満たしていれば特に限定はないが、好ましくは
2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-メチ
ル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパン
ジオール、2,3-ジメチル-1,4-ブタンジオール、2,2,3-
トリメチル-1,4-ブタンジオール、2,2,3,3-テトラメチ
ル-1,4-ブタンジオール、2-エチル-2,3,3-トリメチル-
1,4-ブタンジオール、2,3-ジエチル-2,3-ジメチル-ブタ
ンジオール、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、2,
2,4,4-テトラメチル-1,5-ペンタジオールが挙げられ
る。
【0023】
【式1】
【0024】
【式2】
【0025】また、前記ポリオールエステルを構成する
酸成分としては、[式3]で表される炭素数6〜12の
飽和脂肪酸が挙げられ、特に,炭素数6〜12の直鎖飽和
脂肪酸が好ましく,具体的には、ヘキサニックアシッ
ド、ヘプタニックアシッド、オクタニックアシッド、ノ
ナニックアシッド、デカニックアシッド、ウンデカニッ
クアシッド、ドデカニックアシッドが挙げられる。特
に、ヘキサニックアシッド、オクタニックアシッド、デ
カニックアシッド、ドデカニックアシッドが望ましい。
【0026】
【式3】
【0027】すなわち、前記ポリオールエステルとして
は、前記ジオール成分と前記酸成分の組み合わせのポリ
オールエステルで、当該ポリオールエステルを形成して
いるジオールの成分が、左右異なっていてもよく、前記
ポリオールエステルの単独または混合物で、基油粘度が
0℃で45cP以下であれば、どの組み合わせでも良
く、基油粘度が0℃で35cP以下が好ましい。低温粘
度および揮発性を考慮すると、前記ポリオールエステル
の基油粘度は、25〜35cPが、特に好ましい。特
に、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールとオクタニッ
クアシッドおよび/またはデカニックアシッドや、2,2-
ジエチル-1,3-プロパンジオールとヘキサニックアシッ
ドおよび/またはオクタニックアシッドから構成される
ポリオールエステルが好ましい。
【0028】また、前記潤滑剤の基油であるポリオール
エステルの酸成分が、β位にアルキル側鎖を有すると耐
加水分解性により効果的である。
【0029】ポリオールエステルの酸成分が、β位にア
ルキル側鎖を有することにより、カルボニル基の反応性
を低下させることができ、長寿命な軸受装置を得ること
ができる。
【0030】本発明の前記ポリオールエステルを構成す
る、β位にアルキル側鎖を有する酸成分としては、[式
4]に表され、この式を満たしていれば特に限定はない
が、好ましくは、2-メチルヘキサニックアシッド、2-エ
チルヘキサニックアシッド、2-メチルヘプタニックアシ
ッド、2-エチルヘプタニックアシッド,2-メチルオクタ
ニックアシッド、2-エチルオクタニックアシッド、2-メ
チルノナニックアシッド、2-エチルノナニックアシッ
ド,2-メチルデカニックアシッド、2-エチルデカニック
アシッド、2-メチルドデカニックアシッド、2-エチルド
デカニックアシッドが挙げられる。
【0031】
【式4】
【0032】また、前記潤滑剤の基油であるポリオール
エステルが、潤滑剤の80wt%以上であると、軸受特
性の長期安定性に、更に効果的である。
【0033】潤滑剤の基油に、前記ポリオールエステル
とジエステルや、PAO等、他の基油を併用することも
可能であるが、前記ポリオールエステルの割合が、潤滑
剤成分の80wt%以上であると、上述した機能を発現
させることが可能となる。
【0034】また、前記ポリオールエステルを前記軸受
装置の潤滑剤として用いて、軸受開口面の面積または潤
滑剤空気接触面の面積が10mm2以下である必要があ
る。
【0035】前記軸受開口面の面積または潤滑剤空気接
触面の面積が10mm2超の場合では、潤滑剤空気接触
面からの潤滑剤の揮発が大きく、長期の軸受装置の使用
に際して、前記軸受装置の機能維持が困難である。よっ
て、好ましくは、前記軸受開口面の面積または潤滑剤空
気接触面の面積が6mm2以下であると、効果的であ
る。
【0036】本発明の潤滑剤には、必要に応じて更に各
種添加剤を含むことができる。好適な添加剤としては耐
摩耗剤、金属不活性剤、蒸発抑制剤及び酸化防止剤から
なる群から選ばれる1種又は2種以上の添加剤が挙げら
れる。
【0037】耐摩耗剤としては、公知のものを使用する
ことができるが、耐摩耗性、熱安定性に優れるものがよ
く、(RO)3PO(但し、Rは、同一又は異なってもよく水
素原子;炭素数1〜12のアルキル基;アルキレン基若
しくはアルコキシ置換アルキル基;又は炭素数6〜12
のアリール基若しくはアルキル置換アリール基;を示す
が、全部のRが水素の場合を除く。)で表されるリン酸
エステルを配合することが好適である。このリン酸エス
テルとしては、例えばリン酸トリオクチルやリン酸トリ
クレジル等のリン酸トリエステルやリン酸モノオクチル
エステル、リン酸ジオクチルエステル等の酸性リン酸エ
ステルやアルキルリン酸エステルアミン塩(一部アミン
塩)、亜リン酸エステルなどが挙げることができるが、
好ましくはリン酸トリエステルである。リン酸エステル
のような耐摩耗剤を使用することで潤滑剤不足が観察さ
れ、油膜形成能力を増大させることができる。耐摩耗剤
として、リン酸エステルを使用する場合、その基油に対
する配合割合は、0.1〜10wt%、好ましくは0.
5〜3wt%である。この配合割合が0.1wt%より
少ないと耐摩耗性を改善することができず、10wt%
を越えて添加しても大幅な耐摩耗性能力の向上は認めら
れない。
【0038】また、本発明の潤滑油組成物には、金属不
活性剤を配合することができる。金属不活性剤として
は、ベンゾトリアゾール及びその誘導体が代表的なもの
であるが、その他にイミダゾリン、ピリジン誘導体があ
る。これらは、少なくともN-C-N結合を有する化合物中
に効果のあるものが多く、金属表面に不活性皮膜を作る
作用と酸化防止作用を有する。これ以外では、N-C-S結
合を有する化合物もあるが、基油への溶解性及び揮発性
などから、ベンゾトリアゾール誘導体などが有効であ
る。金属不活性剤の配合割合は、基油に対して0.01
〜0.5wt%の範囲がよい。
【0039】更に、本発明の潤滑油組成物には、酸化防
止剤を配合することができる。酸化防止剤としては、遊
離基連鎖反応停止剤として働くフェノール系、アミン系
あるいは過酸化物分解剤として働く硫黄系酸化防止剤か
らなる群から選ばれる1種又は2種以上の酸化防止剤を
単独又は混合して用いることができるが、好適な酸化防
止剤としてはアミン系とフェノール系を併用することが
好ましい。フェノール系酸化防止剤としては、例えば2,
6-ジ-t-ブチルフェノール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ
-ブチルフェノール)、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノ
ールが挙げられる。蒸発特性及び基油との相溶性の点か
らは、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-ブチルフェノール)
が好適である。また、アミン系酸化防止剤としては、p,
p’-ジオクチルジフェニルアミン(アルキルジフェニル
アミン)やフェニル-α-ナフチルアミンが挙げられる。
なお、この酸化防止剤は蒸発抑制剤的作用を有すること
が好ましく、この蒸発特性及び基油との相溶性の点から
は、p,p’-ジオクチルジフェニルアミンが好適である。
その配合量は、基油に対しての溶解性を考慮して、基油
に対して、アミン系酸化防止剤0.1〜5wt%、フェ
ノール系酸化防止剤0.1〜5wt%が好ましい。単独
使用の場合は、アミン系酸化防止剤0.1〜5wt%が
好適である。
【0040】本発明の潤滑油組成物には、上記の添加剤
の他に、必要に応じて、その他の各種添加剤を配合する
こともできる。例えば、本発明の潤滑油組成物には、本
発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて、流動
点降下剤、無灰系分散剤、金属系清浄剤、油性剤、界面
活性剤、摩擦調整剤などを用途に応じて配合することが
できる。ただし、防錆剤を添加すると耐摩耗剤が金属面
に吸着することを妨害し摩耗を促進するため、本発明で
は添加しない。
【0041】
【実施例】以下に、本発明の実施例の流体軸受装置につ
いて説明する。
【0042】本発明に好適な軸受装置および、当該軸受
装置を用いた画像形成用スキャナーモーターの構成に関
しては図1〜図3を参照して既に説明したので、ここで
は省略する。
【0043】以下、図1及び図2に示した動圧型流体軸
受装置の潤滑剤104として種々のものを用い、軸受開
口面106、潤滑剤空気接触面107の面積を変更した
軸受装置の実施例および比較例について述べる。
【0044】本実施例では、φ40mmで6面のアルミ
ポリゴンミラーを有する前記軸受装置を用いた図3のス
キャナーモーターを用いて、前記軸受装置の駆動負荷お
よび耐久性を評価した。なお、軸受設計は60℃で前記
スキャナーモーター用軸受装置として十分な剛性(10
g/μm)を有するよう設計されている(シャフト径は
4mmで一定だが、軸とスリーブの間のクリアランスは
オイル粘度によって変更している)。
【0045】また、本実施例に用いたオイルの基油は、
POE1〜POE5では、各ジオールのナトリウム塩と
各酸の塩化物塩をモル比1:1、溶媒にはTHFを用
い、反応温度25〜50℃で反応させて、反応終了後、
高速液体クロマトグラフを用いて、分取し、入手した。
DOS、DOAには、ハトコ社製 商品名:ハトコール
3110,ハトコール2908を用いた。
【0046】駆動負荷:24V駆動のスキャナーモータ
ーの0℃での通電流量で評価した。
【0047】耐久性:前記スキャナーモーターを60℃
/60%環境下、25000rpm、3000hまで連
続駆動し、25℃で測定した通電流量変化で評価した。
【0048】図4に本発明の軸受装置の実施例1〜5お
よび比較例1〜4における、種々の潤滑剤104の成分
や、軸受開口面106および潤滑剤空気接触面107の
面積を示す。
【0049】そして、図4に示したように潤滑剤104
の成分や、軸受開口面106および潤滑剤空気接触面1
07の面積を変更した実施例1〜5および比較例1〜5
による軸受装置のそれぞれをスキャナーモーターに利用
した場合の60℃/60%環境下、25000rpm、
3000hまでの通電流量変化を図5に示す。
【0050】図5から判るように、実施例1〜5の軸受
装置を用いたスキャナーモーターでは、潤滑剤の粘度の
影響を受ける駆動通電流量も十分小さく、さらに、高温
/高湿環境下での連続駆動に対しても、通電流量変化が
小さかった。特に、実施例4の軸受を用いた場合では、
3000h駆動させても、通電流量変化は、1mAであ
った。本発明の軸受装置の潤滑剤に使用する添加剤とし
ては、公知の添加剤を適切に選択するならば、本実施例
に実施されたものに限定されるものではない。
【0051】それに対して、比較例1の軸受装置を用い
た場合、軸受特性の耐久性は十分であるが、0℃での駆
動トルクが大きく、通電流量で約470mAを示し、前
記スキャナーモーターとして用いる場合には、より大き
い駆動ICドライバ、電源が必要であり、低コストなモ
ーターを作製することは困難である。すなわち、高速回
転駆動で低コストが求められている画像形成用のスキャ
ナーモーター用軸受には,比較例1の成分の潤滑剤のよ
うな高粘度潤滑剤を使用することは難しく、望ましく
は、0℃での粘度が45cP以下である必要がある。
【0052】更に、比較例2の軸受を用いた場合には,
潤滑剤の基油成分の約4割をジエステルであるDOAが
占めているため、長期の駆動に対して、駆動通電流量の
大幅な増加が観察された。このように前記スキャナーモ
ーターの軸受潤滑剤に使用される本発明のポリオールエ
ステル成分が少ないと、長期軸受特性の安定性を得るこ
とができない。種々の検討を行った結果、本発明のポリ
オールエステル成分が、潤滑剤の80wt%を占める必
要があった。
【0053】更に、比較例3の軸受装置を用いた場合に
は、長期の駆動に対して、駆動通電流量の大幅な減少が
観察された。これは、軸受開口部の面積が大きく、前記
60℃での環境下では、潤滑剤の揮発が起こっているもの
と考えられ、更なる長期の試験では、潤滑剤の枯渇、軸
のロック現象が予想される。本発明の軸受装置として
は、軸受開口面および潤滑剤空気接触面の面積が10m
2以下の必要がある。
【0054】更に、比較例4の軸受装置を用いた場合に
は、時間の経過と共に、駆動通電流量が上昇し、200
0h後には、軸受のかじりが発生した。これは、防錆剤
が他の添加剤の効果を阻害したためである。従って、防
錆剤を除外する必要がある。
【0055】本実施例では,軸受の軸側に動圧発生溝を
配置したが、スリーブ側に動圧発生溝を配置した場合
や、軸受内複数箇所に動圧発生溝がある場合でも、同様
な効果を得ることができる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、軸とス
リーブからなり、前記軸とスリーブの対向軸受面のどち
らか一方に動圧発生溝を有し、潤滑剤として流体を用い
た流体軸受装置において、前記潤滑剤の基油として、少
なくとも0℃での粘度が45cP以下で、β位または
β,β’位にアルキル側鎖を有するジオール成分から誘
導されるポリオールエステルを用い、軸受開口面の面積
または潤滑剤空気接触面の面積を10mm2以下とした
事により、軸受回転数が高回転で、軸受寿命が長い軸受
を得ることができ、特に、高精度な回転ぶれ特性が必要
な画像形成用スキャナーモーターに適切な軸受装置を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般例および本発明の一実施例における動圧型
流体軸受の断面図である。
【図2】本発明の実施例,比較例に用いた動圧型流体軸
受装置の断面図である。
【図3】本発明による流体軸受装置を適用したポリゴン
スキャナーモーターの一実施例を示した図である。
【図4】本発明の実施例および比較例の流体軸受装置に
使用する潤滑剤成分および軸受構成を示した図である。
【図5】本発明の実施例、比較例に用いた動圧型流体軸
受装置で軸を回転駆動させた場合の駆動通電流変化を示
す図である。
【符号の説明】
101 軸 102 動圧発生溝 103 スリーブ 104 潤滑油 105 テーパー 106 軸受開口面 107 潤滑剤空気接触面 301 軸 302 マグネットローター 303 スリーブ 304 ブラケット 305 スラスト板 306 ステーターコア 307 へリングボーン型動圧発生溝 308 潤滑剤 309 ポリゴンミラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長野 克己 東京都品川区西五反田7−21−11 新日鐵 化学株式会社内 (72)発明者 大條 義彦 東京都品川区西五反田7−21−11 新日鐵 化学株式会社内 Fターム(参考) 3J011 AA06 BA02 CA02 JA02 KA02 KA03 RA03 4H104 BB34A EA02A PA01 5H607 AA00 BB01 BB09 BB14 BB17 BB25 DD01 DD16 GG03 GG09 GG12 GG15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸とスリーブからなり、前記軸とスリー
    ブの対向軸受面のどちらか一方に動圧発生溝を有し、潤
    滑剤として流体を用いた流体軸受装置において、前記潤
    滑剤の基油として、少なくとも0℃での粘度が45cP
    以下で、β位またはβ,β’位にアルキル側鎖を有する
    ジオール成分から誘導されるポリオールエステルを用
    い、軸受開口面の面積または潤滑剤空気接触面の面積が
    10mm 2以下であることを特徴とする流体軸受装置。
  2. 【請求項2】 前記ポリオールエステルが、β位にアル
    キル側鎖を有する酸成分から誘導されるポリオールエス
    テルである請求項1に記載の流体軸受装置。
  3. 【請求項3】 前記潤滑剤の基油であるポリオールエス
    テルが、潤滑剤の80wt%以上であることを特徴とし
    た請求項1又は2に記載の流体軸受装置。
  4. 【請求項4】 前記潤滑剤が防錆剤を含有しないことを
    特徴とした請求項1から3のいずれか1項に記載の流体
    軸受装置。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれか1項に記載の
    流体軸受装置を用いたことを特徴とした画像形成装置用
    スキャナーモーター。
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