JP2007062253A - マイクロチップの基板形成用金型の製造方法及び該金型を用いたマイクロチップの基板の製造方法 - Google Patents

マイクロチップの基板形成用金型の製造方法及び該金型を用いたマイクロチップの基板の製造方法 Download PDF

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健 伊藤
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鈴木  孝治
Kenichi Maruyama
健一 丸山
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Abstract

【課題】 流路の寸法精度が高く、それでいて安価に製造することができる、マイクロチップの基板形成用金型の製造方法及び該金型を用いたマイクロチップの基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】 凹部を有するマイクロチップの基板形成用金型の製造方法は、平坦な支持板上に感光性有機フィルムを貼り付ける工程と、マイクロチップの基板に形成する所望の凹部パターンを有するフォトマスクを介して前記感光性有機フィルムを露光する工程と、露光した感光性有機フィルムを現像する工程と、現像した感光性有機フィルムの表面及び現像により露出した前記支持板の領域が存在する場合には支持板の該露出領域上に導電性薄膜を形成する工程と、該導電性薄膜を一方の電極として、電気メッキにより金属板を該導電性薄膜上に形成する工程と、得られた金属板から前記導電性薄膜及び前記感光性有機フィルムを剥離する工程とを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロチップの基板形成用金型の製造方法及び該金型を用いたマイクロチップの基板の製造方法に関する。
化学分析、生化学分析のための反応場等を微小化することにより反応に要する時間を減少させる技術が注目されている。目的物質の定量には光学的検出手法や電気化学的手法が取り入れられている。微少量液体を扱うための空間をより低コストかつ高精度に製造する技術の開発が求められている。このような微小な反応場等を提供する装置として、マイクロチップが用いられている。マイクロチップは、通常、溝の形態にある1又は複数の微小な流路を有し、この微小流路内において、各種の化学反応、検出、分離、精製等を行なう装置であり、生化学分析の分野において近年広く用いられるようになりつつある。
医療・バイオ分野におけるマイクロチップの製品化では、2次汚染の心配から使い捨てが望ましい。そのためには、高価な基板材や高付加価値のプロセスを用いることができない。そこで、樹脂を利用した微小流路構造を持つデバイスが主流となると考えられる。樹脂基板は安価で比較的低温で軟化することから、自動車の車体や電子基板など様々な製品に利用されている。樹脂を成型する手段として、射出成形やモールドによる転写成型などが一般的である。その場合には、金型が必要であり、精度の良い機械加工により作製されてきた。しかしながら、高い加工精度を持った機械加工は職人の技が必要であり、コスト高である。さらには、製品にいたるまでに金型を何度も作り直すことがあるために、生産されたデバイス自体も高価にならざるを得なかった。
近年、シリコンをはじめとする微細加工技術が確立され、微細加工技術を応用した金型の作製も行われている。リアクティブイオンエッチング(RIE)をはじめとした真空加工技術をシリコン基板に施し、微小流路構造を作製し、それを直接型として用いる手法(例えば非特許文献1)や、その構造体にメッキ(電鋳)処理を行うことで金型を作製する手法が報告されているが、装置が高価であり一般の生産に使用するには困難であった。湿式エッチングにより型を作製する技術も報告されているが(例えば非特許文献2)、形状コントロールが難しく、パターンや流路構造の設計に自由度が無い。そこで、液状のフォトレジストをスピンコート法等により塗布し、パターニングしそれ自体を金型として利用する手法や、その構造体にメッキを行うことで金型を作製する手法も開発されている(例えば特許文献1、2)。しかしながら、これらの手法により実際に金型を作製して分析用のマイクロチップを作製し、その性能を評価すると、必ずしも分析精度に満足できない。本願発明者らは、その原因を研究した結果、マイクロチップの基板に形成される流路の深さの均一性が必ずしも満足できないことに起因することを知見した。
H.Becker 他, Proceedings of Micro Total Analysis Systems 2001, pp.253-256 L. Martynova 他、Analytical Chemistry, Vol.69, 1997, pp. 4783-4789 特開2004-225106号公報 特開2004-195730号公報
本発明の目的は、流路の寸法精度が高く、それでいて安価に製造することができる、マイクロチップの基板形成用金型の製造方法及び該金型を用いたマイクロチップの基板の製造方法を提供することである。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、フォトレジストとして感光性有機フィルムを用い、これを平坦な支持板上に貼り付け、これを選択露光、現像して所望の流路パターンを形成し、得られたレジストパターンに金属薄膜を積層してこれを一方の電極として用いて電気メッキを行い、この電気メッキにより形成される、表面に所望の流路パターンを有する金属板を金型として用いて、凹部を有するマイクロチップの基板を形成することにより、流路の寸法精度の高いマイクロチップ基板を製造することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、平坦な支持板上に感光性有機フィルムを貼り付ける工程と、マイクロチップの基板に形成する所望の凹部パターンを有するフォトマスクを介して前記感光性有機フィルムを露光する工程と、露光した感光性有機フィルムを現像する工程と、現像した感光性有機フィルムの表面及び現像により露出した前記支持板の領域が存在する場合には支持板の該露出領域上に導電性薄膜を形成する工程と、該導電性薄膜を一方の電極として、電気メッキにより金属板を該導電性薄膜上に形成する工程と、得られた金属板から前記導電性薄膜及び前記感光性有機フィルムを剥離する工程とを含む、凹部を有するマイクロチップの基板形成用金型の製造方法を提供する。また、本発明は、上記本発明の方法により製造された金型を金型として用いて該金型のパターンを転写したプラスチックから成る、凹部を有するマイクロチップの基板を製造することを含む、マイクロチップの基板の製造方法を提供する。
本発明のマイクロチップの基板形成用金型の製造方法によれば、流路パターンの寸法精度が高い、特に流路の深さが均一な、マイクロチップの基板を製造することができる金型を、安価に製造することができる。
本願発明における「マイクロチップ」は、広い意味に用いており、基板内に1又は複数の微小な凹部を有し、この微小凹部内において、何らかの化学反応、検出、分離、精製等を行なう装置を意味する。凹部は、少なくとも溝状の流路を含む場合が多いが、必ずしも流路に限定されるものではなく、平面形状が円形や多角形等の任意の形状を有する凹部であってよく、異なる形状の凹部が組み合わされたものでもよい。凹部のサイズは特に限定されないが、溝状の流路の場合、幅が通常、10μm〜1000μm程度、好ましくは50μm〜300μm程度であり、深さが通常、10μm〜100μm程度、好ましくは20μm〜50μm程度である。円形の場合の直径や、多角形の場合の一辺も、通常、この程度の大きさを有する。なお、流路の長さは長い場合もあり、通常、10mm〜100mm程度である。
マイクロチップとしては、ゲル電気泳動によるDNAやタンパク質の検出、定量や分離、免疫測定による被検抗原又は抗体の検出や定量、その他細胞の育成、それら細胞からの刺激応答物質の分離、定量、イオン等の低分子量物質の分離、定量等に用いられるものが包含されるがこれらに限定されるものではない。
本発明の方法により製造される金型は、上記のような凹部を有するマイクロチップの基板を製造するために用いられるものである。以下、その製造工程を図1を参照して順次説明する。なお、図1は、説明のための模式図であり、各要素の寸法比率は、実際の寸法比率とは大幅に異なって示されている。
本発明の方法の第1工程では、図1(a)に示すように、平坦な支持板10上に感光性有機フィルム12を貼り付ける。感光性有機フィルムは、フィルムレジストやドライフィルムレジスト等とも呼ばれており、プリント配線基板の製造や半導体装置の配線の形成等に用いられており、種々のものが市販されている。市販の感光性有機フィルムは、多くの場合、紫外線を良く通すPETフィルム等のベースフィルム上に、感光層(フォトレジスト)を均一な厚さに塗布し、カバーフィルムで被覆した3層構造を有するが、これに限定されるものではない。市販の感光性有機フィルムは、大きな面積のベースフィルムにロールコーターやナイフコーター等で感光層を均一な厚さに塗布し、適当な幅にスリットしてロール状にしたもの等であり、厚さの均一性は高い。上記した3層構造を有する通常の市販の感光性有機フィルムを用いる場合、カバーフィルムを剥離して、通常のロールラミネーター等を用いて、単に感光層側を支持板上に押圧して張り付けることができる。なお、感光性有機フィルムは、弱アルカリ溶液で現像が可能で、選択露光後の硬化部分もアンモニア水や強アルカリ溶液で除去できるものが好ましく、多くの市販の感光性有機フィルムはこれらの要件を満足する。また、市販の感光性有機フィルムの多くは露光部が硬化するネガ型であり、市販のネガ型の感光性有機フィルムを好ましく用いることができる。感光性有機フィルムの厚さ(感光層の厚さ)は、特に限定されないが、マイクロチップ基板に形成しようとする凹部の深さ程度の厚みを有するものが好ましく、通常10μm〜100μm程度、好ましくは30μm〜50μm程度である。また、支持板としては、ガラス板、シリコン板、プラスチック板等、平坦な表面を有するものであれば何ら制限なく用いることができる。
次に、図1(b)に示すように、所望の凹部パターンに対応するパターンを有するフォトマスク14を感光性有機フィルム12に密着させ、このフォトマスクを介して、選択露光する。照射する光を図1(b)中、矢印で示す。図1(b)中、マイクロチップ基板中の凹部となる領域に対応したフォトマスク14の領域を14a及び14bで示す。図1(b)中、領域14a及び14bは光を透過せず、他の領域は光を透過する。フォトマスク自体は周知であり、例えば、透明なガラス板にインクで凹部パターンを描くこと等により作製することができる。露光に用いる光は、用いる感光性有機フィルム12が感光性を発揮できる波長の光であり、用いる感光性有機フィルムに応じて適宜選択される。精細なパターンが形成できるように、紫外線のような波長の短い光を用いるものが多い。
次に、フォトマスクをはずし、感光性有機フィルムを現像する。感光性有機フィルムがベースフィルム上に感光層を塗布したものである場合には、ベースフィルムを剥離した後現像する。市販の感光性有機フィルムを用いる場合、現像液も市販されており、又は容易に入手可能なものであり、通常、炭酸ナトリウム水溶液等の弱アルカリ液が用いられる。現像方法自体は当然周知である。ネガ型フィルムの場合、光が照射された領域が硬化され、光が照射されなかった領域が現像により除去される。従って、現像により、フォトマスク14中の領域14a及び14bの下にあった領域は現像により溶解除去され、他の領域は硬化されるため、図1(c)に示すように、フォトマスク14の領域14a及び14bの下にある部分に凹部16a及び16bが形成される。なお、現像は、形成する凹部の深さの均一性の観点から、凹部を形成すべき領域が、貫通孔となって、支持板表面が露出するように時間を設定して行なうことが好ましい。このような時間は、市販の感光性有機フィルムの場合、添付文書に記載されており、また、ルーチンな実験により容易に設定可能であり、通常、3分〜5分程度である。
次に、図1(d)に示すように、現像後の感光性有機フィルム上に導電性薄膜18を積層する。現像により形成された凹部16a、16bの底部に支持板10が露出している場合には、導電性薄膜は、支持板10の露出部分にも積層される。導電性薄膜18は、後述する電気メッキの電極として作用するものであり、通常、金属薄膜が用いられ、金属薄膜であれば何ら限定されないが、銀薄膜は、後述する剥離液として用いられるアンモニア水や強アルカリ液により容易に剥離するので銀薄膜を用いることが好ましい。導電性薄膜18は、真空蒸着法等の周知の方法により容易に形成することができる。導電性薄膜18の厚さは、特に限定されないが、通常、1μm以下であり、好ましくは200nm〜800nm程度である。導電性薄膜18の厚さは、凹部の幅等よりもはるかに小さいので、寸法精度にほとんど影響を与えないが、もし、高度の寸法精度が要求される場合には、導電性薄膜18の厚さを予め考慮してフォトマスク14を作製してもよい。なお、導電性薄膜の積層に先立ち、支持板上の現像後の感光性有機フィルムを140℃〜180℃程度の温度のオーブンに30分間〜90分間程度入れて、感光性有機フィルムの乾燥、固定化を行なうことが好ましい。
次に、導電性薄膜18を一方の電極として、常法により電気メッキを行い、金属板20を該導電性薄膜18上に形成する(図1(e))。金属板20を構成する金属は、電気メッキにより形成できる金属であれば何ら限定されるものではなく、容易に電気メッキが可能なニッケル等を好ましく用いることができる。金属板20は、金型となるものであるので、十分な堅牢性を与えるために、好ましくは、1mm〜5mm程度の厚さに形成される。
次に、金属板20から、支持板10、感光性有機フィルム12及び導電性薄膜18を剥離して金属板20のみとする(図1(f))。支持板10の剥離は機械的に行なうことができる。感光性有機フィルム12及び導電性薄膜18は、多くの市販の感光性有機フィルムの場合のように、露光による硬化部分が剥離液により溶解可能な場合には、剥離液を作用させて溶解除去することができる。市販の感光性有機フィルムを用いる場合、剥離液も市販されており、又は容易に入手可能なものであり、通常、アンモニア水、又は水酸化ナトリウム水溶液等の強アルカリ液が用いられる。なお、剥離液を作用させて感光性有機フィルム12を溶解除去すると、通常、導電性薄膜18も同時に除去される。特に、導電性薄膜18として銀薄膜を用いた場合、感光性有機フィルムの剥離液により感光性有機フィルムと共に容易かつきれいに除去される。
上記工程により得られた金属板20(図1(f))は、マイクロチップの基板に形成する凹部に対応した凸部20a及び20bを表面に有しており、そのままマイクロチップの基板を作製するための金型として用いられる。
金型自体は、従来と全く同様に用いることができ、周知の樹脂成形法を適用して所望の凹部パターンを有するマイクロチップ基板を形成することができる。成形法としては、熱可塑性のプラスチック板を加熱下で押圧するホットプレスを好ましく採用することができる。熱可塑性のプラスチックとしては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチロール(PS)、ポリカーボネイト(PC),ポリエチレン(PE),ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリサルフォン(PS)等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。ホットプレスの条件自体は周知であり、各プラスチックに応じた条件を採用することができる。例えば、PMMAの場合、好ましくは、100℃〜120℃程度の温度下で6MPa〜10MPa程度の圧力をかけて行なうことができる。得られたマイクロチップ基板は、従来と同様、そのままで、又は蓋となるプラスチックシートないしはプラスチック板を接着することにより、所望のマイクロチップを得ることができる。
上記方法により、マイクロチップ基板に所望の凹部を高精度かつ簡便、安価に形成することができる。特に、本発明の方法では、フォトレジストとして、厚さの均一な感光性有機フィルムを用いるので、形成する凹部の深さを均一にすることができる。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
以下の方法により、溝状の微小流路22、24(流路の幅の設定値100μm、深さの設定値25μm)を持つ、図2に示す構造を有するマイクロチップを作製した。このマイクロチップは、微小流路22、24内にゲルが充填され、ゲル電気泳動によりDNAの分離、検出を行なうものである。
平坦に研磨されたガラス基板(厚み0.5mm)上に市販の感光性有機フィルム(日立化成工業社製ME-1025、厚み25μm)をロールラミネーターを用いて貼り付けた。感光性有機フィルムが上面になるように露光装置にセットした。あらかじめ作製しておいた、微小流路構造の図面が書かれたガラス基板(フォトマスク)を感光性有機フィルムが固定化されたガラス基板の上に密着させる。その後、フォトマスクを介して波長300〜350nmの光線を照射した。現像液(炭酸ナトリウム水溶液)に5分間浸漬することにより現像を行った。現像を行った基板を160℃のオーブンに60分間入れて乾燥、固定化させた。この基板に対して導電性処理として銀薄膜(膜厚:約400nm)を真空蒸着法により形成させた。この基板をスルファミン酸ニッケル溶液(48℃、電流密度;1〜4A/dm2)に浸しメッキ処理を行い、ニッケル板を積層した。メッキ厚は2.8mmとした。続いて、ガラス基板を取り除いた後、残っている銀薄膜及び感光性有機フィルムをアンモニア水に浸すことで一度に除去し微小流路構造を転写するための金型を得た。この金型を使用してPMMA(ポリメチルメタクリレート)基板(厚み1mm)に微小流路構造をホットプレス法により転写した。PMMA基板に金型を転写する際には、ホットプレス機(110℃、8MPa)を用いた。このPMMA基板にサンプル及び分離用のゲルを導入するための穴をドリルにより加工し、PMMAフィルム(厚み125μm)をロールラミネーターを用いて接着させてマイクロチップを完成させた。
続いて、上記により作製したマイクロチップの特性について説明する。図2のア、イ、ウ部分について感光性有機フィルムを現像した後、またPMMA基板に金型を転写した後の表面形状の測定を超深度形状測定顕微鏡により評価した結果を表1に示す。表1中、「メッキ」という表記はメッキ処理を行った後に得た金型の特性を示すものであり、「PMMA」という表記は、製造されたPMMA製のマイクロチップ基板についての特性を示すものである。表1に示されるように、「メッキ」、「PMMA」のいずれに於いても表面粗さは0.1μm以下と非常に小さく、流路幅もほぼ同じ値を示した。深さについては若干の差を生じているが精度良く転写されていることが実証された。
また、このマイクロチップにDNAを分離するためのゲルを微小流路内に導入したのち、エ部に分離するべきDNAサンプルを導入した。エ−オ間に電圧(170V)をかけDNAサンプルを微小流路内に導入し、カ−キ間に電圧(750V)をかけ分離を行った。検出には株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、コスモアイ(SV-1100)を用いた。これは、DNAサンプルに蛍光物質(エチジウムブロマイド)を含有させると、検出部分で蛍光を発するため、その蛍光の強度を測定し、DNAが分離できたかを確認する装置である。分離・検出結果を図3Aに示す。図3Aは、横軸に分離開始からの時間(秒)をとり、縦軸には電気泳動バンドの強度をとったものである。また、図2に示すデバイスと同じパターンを持つ市販品を比較対象品として同上の条件で分離を行った。分離・検出結果を図3Bに示す。本発明により作製したマイクロチップと、市販のマイクロチップとは分離されたDNAの大きさ(655bp)が一致しており、本発明の方法により製造したマイクロチップによっても良好な分離が行われていることが示された。
比較例1
感光性有機フィルムに代えて市販の液状フォトレジスト(マイクロ化薬社製SU-850)を用い、スピンコート法により厚さ45μmのフォトレジスト層を形成したことを除き、実施例1と同様な操作を行なってマイクロチップ基板を作製した。実施例1と同様、現像後、メッキ前(導電性薄膜形成前)のフォトレジスト及び作製したPMMA製マイクロチップ用基板の凹部の寸法を測定した。結果を下記表1に示す。また、表1に示す結果から、設定値との差及び最大値と最小値の差を算出した結果を表2に示す。
Figure 2007062253
Figure 2007062253
表1及び表2からわかるように、本発明によれば、スピンコート法を用いる方法に比べて、形成される凹部の深さがより均一であることがわかる。
本発明の方法の各工程を説明するための模式図である。 本発明の実施例で作製したマイクロチップの流路構造を示す図である。 本発明の実施例で作製したマイクロチップを用いてDNA試料をゲル電気泳動した結果を示す図である。 本発明の実施例で作製したマイクロチップと同一の流路構造を有する市販のマイクロチップを用いてDNA試料をゲル電気泳動した結果を示す図である。
符号の説明
10 支持板
12 感光性有機フィルム
14 フォトマスク
16a、16b 凹部
18 導電性薄膜
20 金属板
22 流路
24 流路

Claims (8)

  1. 平坦な支持板上に感光性有機フィルムを貼り付ける工程と、マイクロチップの基板に形成する所望の凹部パターンを有するフォトマスクを介して前記感光性有機フィルムを露光する工程と、露光した感光性有機フィルムを現像する工程と、現像した感光性有機フィルムの表面及び現像により露出した前記支持板の領域が存在する場合には支持板の該露出領域上に導電性薄膜を形成する工程と、該導電性薄膜を一方の電極として、電気メッキにより金属板を該導電性薄膜上に形成する工程と、得られた金属板から前記導電性薄膜及び前記感光性有機フィルムを剥離する工程とを含む、凹部を有するマイクロチップの基板形成用金型の製造方法。
  2. 前記凹部が、溝状の流路を含む請求項1記載の方法。
  3. 前記感光性有機フィルムの、露光後の硬化部分はアルカリ可溶性であり、前記剥離工程はアルカリ性の液を作用させて行なう請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記導電性薄膜が、銀から成る請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記金属板がニッケルから成る請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記現像により前記感光性フィルムが前記凹部パターンに対応して選択的に除去された結果、前記支持板の表面が凹部パターンに対応して選択的に露出する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法により製造された金型を金型として用いて該金型のパターンを転写したプラスチックから成る、凹部を有するマイクロチップの基板を製造することを含む、マイクロチップの基板の製造方法。
  8. 前記金型にプラスチック板をホットプレスすることにより該金型のパターンを転写することを含む請求項7記載の方法。

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