JP2007060939A - ワサビのハウス促成栽培方法 - Google Patents

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Abstract

【目的】ワサビの栽培期間を短縮することができ、用水の水源を湧水や沢水に限られないで、その確保すべき水量も多量でなくて良く、軟腐病、墨入病等の病害に侵されることを極力なくすことができ、栽培管理作業を軽減・合理化して省力化可能なワサビの栽培方法を提供することを目的とする。
【構成】ワサビのハウス促成栽培方法において、培地上方から連続的または間歇的に散水して、底面が大気に解放されて大気圧とされた培地中を重力によって鉛直下方向に流れる流下水を与えるとともに、少なくとも培地底面から酸素を供給してワサビを育成して、ワサビをハウス内にて促成栽培することとした。
【選択図】図2

Description

本発明は、ワサビの栽培方法に関するものである。特に、用水を培地中を重力によって鉛直下方向に流れる流下水として与え、培地に酸素を豊富に供給するワサビのハウス促成栽培方法に関する。
従来、ワサビは、山間地で、しかも清水が流れているところに、小石等の川砂利でワサビ田を形成し、このワサビ田で長い時間、通常2年間、をかけて栽培されるものである。
ワサビの生育条件も難しく、従ってワサビ栽培が出来る場所というのは非常に制限されている。
このワサビ田は、沢の中に形成するため、沢水の増水などにより崩れやすく、その維持補修作業も重労働となっている。
従来のワサビ田では、例えば用水の流量についていえば、平地式や畳石式の場合、ワサビ田全面に2cmの深さで、秒速20cm流れる程度の清水を確保する必要がある。
平常時においてこのような流量の清水を確保できたとしても、集中豪雨や台風等の異常時には濁流をワサビ田に流入させないための水管理を強いられ、栽培者の負担は重い。
また、定植直後の苗は上述した流水の中で根がなかなか定着しないことから、この流水によって流されることがよくあり、労力の無駄が多い。
さらに、沢水は流量が安定しないため極端な冠水、減水を繰返すことにつながり、ワサビ田全体を全滅させることにもなりかねない。
他方、水温についていえば、年間を通じて8〜17℃に範囲にあることが求められるが、湧水においてはこの基準を満たすことは比較的容易であるが、表面水である沢水では気温の影響を強く受けることから、この条件を満たすことが相当困難であり、ワサビ田として選択しうる場所を限定的なものとしている。
さらにまた、洗い作業は、圃場全面を可能な限り深く耕して前作のワサビの細根や枯葉、藻類、雑草の根、泥土などを洗い流す作業であるが、これは最も労力を要する。しかしこの作業を充分に行わない場合には、軟腐病、墨入病等の病害に侵されることとなる。病害は泥水や濁水の流入によることもあることから、上記の集中豪雨や台風等の増水時において濁流をワサビ田に流入させないための水管理は、この面でも重要である。
そして特開平11−151049号公報において、
沢水と傾斜地さえあれば、「わさび田」がなくてもわさび栽培を行うことができ、しかもわさび生育を十分なものとすることができて、わさび栽培作業を簡単に行うことのできるわさび栽培方法を提供することを目的として、
図5、6に示されるように、複数の栽培槽20を耕地の傾斜に沿って順次低くなるように配置し、これら各栽培槽20内に、底面等に多数の通水孔を設けた複数の栽培容器10を収納することにより、これら各栽培容器10を順次低くなるように配置し、前記各栽培槽20の高い位置のものから低い位置のものに配水管40によって順に接続するとともに、これら各栽培槽20内に下端が開口した止水板21を設けて、前記配水管40から供給された栽培水を、前記各止水板21にて一旦止めて下方の開口から下流側へ流すことにより、前記各栽培容器10の上流側のものから順に、その下部に前記栽培水を供給するようにしたわさび栽培方法及びその装置、
が提案されている。
特開平11−151049号公報
前記従来技術によれば、わさび田の砂利の畝に代えて、川砂利、川砂、人工骨材等の無機培地13が収納された通水孔を有する栽培容器10を用いていることから、従来の砂利による畝の修復作業を常に行う必要がなくなり栽培作業を軽くし、また、このわさび田を沢の中に形成しなければならないという制約を除去するものではあるが、依然として傾斜地と沢水をわさび栽培に必須の条件として残しており、わさび栽培の制約は完全に除去することはできない。
また、通水孔を有する栽培容器は完全に栽培水に水没しており、無機培地内の微細な空隙には栽培水が充満していて、空隙に酸素を残存させることができない。このため、ワサビに供給されるべき酸素は栽培水中に溶け込んだもののみからの供給となって、酸素を充分にワサビの根に与えることができず、酸素不足の状況が続くこととなる。このことは、他の一般作物に比べ酸素を特に多く必要とするワサビの根にとって致命的である。
そこで本発明は、通常約2年間かかるワサビの栽培期間を、その半分の約1年間に短縮することができるワサビの栽培方法を提供することを目的とする。
また本発明は、用水の水源を湧水や沢水に限られず、またその確保すべき水量も多量でなくて良いワサビの栽培方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は、ワサビが軟腐病、墨入病等の病害に侵されることを極力なくし、併せてワサビが自家中毒を起こさないようにすることができるワサビの栽培方法を提供することを目的とする。
さらにまた本発明は、ワサビ栽培の管理作業を軽減・合理化して省力化可能なワサビの栽培方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、
培地上方から連続的または間歇的に散水して、底面が大気に解放されて大気圧とされた培地中を重力によって鉛直下方向に流れる流下水を与えるとともに、少なくとも培地底面から酸素を供給してワサビを育成して、ワサビをハウス内にて促成栽培することとした。
また散水は、ワサビの根茎が浸水することがなく、かつ、培地表面が常態的に冠水することがないようにその散水量をコントロールすることとした。
さらに散水は、育成中のワサビに対し上方から散水または噴霧することにより、その水がハウス内の空気中を落下する間に、水中にワサビ生育に必要な酸素を溶存させ、ワサビについた菌、虫等の有害生物・微生物や、培地中の、わさびの生育を抑制する有害物質のアリルイソチオシアネートを洗い流して、ワサビが生育する環境を作ることとした。
さらに散水用の水を例えば地下水や湧水のような恒温水に求め、用水の恒温化を図ることとした。
請求項1に係る発明によれば、培地上方から連続的または間歇的に散水して、底面が大気に解放されて大気圧とされた培地中を重力によって鉛直下方向に流れる流下水を与えるとともに、少なくとも培地底面から酸素を供給してワサビを育成して、ワサビをハウス内にて促成栽培することとしているので、ワサビの根は、従来の栽培例のように用水に浸され続けることはなく、しかも用水中に溶存する酸素の他に培地の空隙中に残存する酸素を充分に吸収して、ワサビの根茎、茎、葉等の植物体は闊達に、早期に生長することができる。
このことから、ワサビの栽培期間を従来の2年間から1年間程度に短縮することができ、このため、単位面積当りの収量を倍増することが可能となった。
また、今作に用いられた培地は、次作の収穫までの間圃場外で洗浄・乾燥・消毒され養生されて次次作以降の培地として用い、次作は新規または前記養生後の培地を用いることとすれば、平地式や畳石式のように圃場全面を可能な限り深く耕して前作のワサビの細根や枯葉、藻類、雑草の根、泥土などを洗い流す作業を、ハウス外において培地を攪拌しながら圧力水を放出してワサビの細根等を洗い流し、天日干し等して乾燥するなど、その作業を簡便、合理的して省力化することができる。
このように培地の洗浄、消毒、乾燥、養生を軽作業で実施することができ、軟腐病、墨入病等の病害や自家中毒を事前に予防することができる。
請求項2に係る発明によれば、散水は、ワサビの根茎が浸水することがなく、かつ、培地表面が常態的に冠水することがないようにその散水量をコントロールすることとしたから、培地中を流下する用水の量を可能な限り制限して用水が培地内の空隙を占有しないようになって、酸素は培地の底面からの吸収に加えて表面からも確実に吸収できるので、培地内に残存する酸素量を増大することができ、ひいてはワサビの根の用水と酸素の吸収バランスを良好に保つことができる。
請求項3に係る発明によれば、散水は、育成中のワサビに対し上方から散水または噴霧することにより、その水がハウス内の空気中を落下する間に、水中にワサビ生育に必要な酸素を溶存させ、ワサビが生育する環境を作ることとしたので、夏季・冬季の高低温期におけるハウス内の温度を平準化することができ、ワサビの休眠期を可能な限り短く生長期を長くして、請求項1に係る発明のワサビの栽培期間をさらに短縮することができる。
また育成中のワサビに対し上方から散水または噴霧すると、ワサビの葉や茎についた菌、虫等の有害生物・微生物や、培地中の、わさびの生育を抑制する有害物質のアリルイソチオシアネートを自動的に洗い流すことができることから、消毒、害虫駆除に要する作業量を削減して省力化することができる。
請求項4に係る発明によれば、恒温水を散水用の水として利用するので、培地の温度の恒温化を図ることができる。特に100m程度の深井戸の地下水は、その温度が1年間を通じてほぼ一定であるから、培地温の年間変動を相当程度小さくできる。さらに請求項3の育成中のワサビに対し上方から散水または噴霧する構成を付加すると、ハウス内気温の恒温化に寄与しうる。
図1乃至図4に、本発明に係るワサビのハウス促成栽培方法について概略的に示す。
図1は、本発明に係るワサビのハウス促成栽培方法を実施するハウス1の斜視図である。この図1に示された例では、ハウス1を被覆するビニールシート2は一部巻き取られて換気用の開口3が設けられ、ハウス1内の高温空気は外気と入れ替えられて、ハウス1内部の温度が調整されている。
図2は、本発明に係るワサビのハウス促成栽培方法の模式図を示す。この図において、下方に示す容器は栽培容器4であり、この栽培容器4には、赤玉土、桐生砂、鹿沼土、軽石、豆砂利等の通気性のある培地5が充填されている。この栽培容器4の底壁及び側壁には、前記培地に空気を供給することが可能な小径の通気口6が設けられている。この構造の栽培容器を使用すると、前記培地への酸素の供給は、培地の上底面と全ての側面から行われることとなる。しかし実際には、側壁からの酸素の供給はさほど多くはなく、上底面からの供給がほとんどであるから、少なくとも栽培容器4の底壁には、前記培地に空気を供給することが可能な小径の通気口を設けることが重要である。このことにより、培地上方から連続的または間歇的に散水された潅水は、底面が大気に解放されて大気圧とされ、培地中を重力によって鉛直下方向に向かって流れ出ることとなる。
この実施例では、2つの給水系統を具備している。
1つは、空気中を落下中に地下水内に溶存酸素を補給しつつワサビに潅水する潅水用系統7、2つは、ハウス1内の空気と熱交換する熱交換用系統8である。
上記潅水用系統7は、年間を通じて潅水されるもので、その流量は、0.5l/分・mである。この系統を通じてワサビに好適な酸素と栄養を供給することができる。
この流量の潅水は、重力によって培地内を鉛直下方向に流下し、ワサビの根茎が浸水することはなく、かつ、培地表面が常態的に冠水することはない。また、潅水が重力によって培地内を鉛直下方向に流下するから、ワサビの根がVA菌をもつ植物の生育を阻害するために放出し根の近傍の培地中に滞留するするアリルイソチオシアネートは洗い流され、ワサビが自家中毒を起こすこともない。
さらに、用水は培地上方、すなわち、培地に対し上方又はワサビに対し上方から連続的又は間歇的に散水されるから、ワサビの葉、茎、根茎、根についた菌、虫等の有害生物・微生物は洗い流される。
さらにまた、上述の熱交換用系統8は先端に噴霧用ノズルを備えており、主として夏季と冬季に0.5l/分・mの地下水が噴霧される。このことにより、ハウス1内の空気が冷却又は加温される。
なお、ハウス1内の空気が異常に上昇または低下すれば、春・秋季であっても当然に空調される。
図3は、本発明の実験実施地域の一例である福島地区における各月の地下水平均水温を示すグラフである。
また、図4は、ハウス内外の年間を通じての最高・最低気温を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明に係るワサビのハウス促成栽培方法について詳細に説明する。
《用水の無機成分含有量》
用水の無機成分含有量は、ワサビの生育にとって最も重要な要素である。ワサビは、窒素、カリウム、カルシウムを特に吸収し、リン酸とマグネシウムについては、これらの5分の1程度の吸収量である。
そこで、用水の無機成分含有量について、静岡県のわさび田で用いられている湧水と、本発明において地下水として用いた用水を比較し、表1に示す。
無機成分含有量の比較(単位はmg/l(pH以外))
Figure 2007060939
注1:湧水のデータは、わさび優等田10箇所の平均値。静岡わさび研究所(1940)のデータによる。
注2:用水のデータは、2001.11〜2002.7までのデータの平均値。
以上のデータ比較により以下のことが判明した。
pH、アンモニア、塩素、亜硝酸、ケイ酸については、ほぼ同値であるが、硝酸については約7倍、硫酸、石灰、苦土については約2倍、用水の方が多い。
また、用水のリン酸は湧水の約30分の1、同カリウムは同約5分の1である。
一般的に、無機成分が多いわさび田は、これが少ないわさび田に比べ生育・品質・収量とも良好となる。
しかしながら、優等田と称されているわさび田の湧水であっても、リン酸・カリウムについては、実験地における用水とほぼ同濃度の湧水もあることから、この用水にあってもワサビの生育上問題はないと考えられる。
さらに、用水中の濁り成分は、培地の透水性を阻害するため、ワサビの根が酸素不足を起こし、根腐れ等の障害に繋がる恐れがあるが、用水の外観は無色透明(色度・濁度とも0.5度未満)であり、何の障害もない。
湧水の溶存酸素は、水温が12℃前後の時約10mg/lである。用水の溶存酸素は、最低で7.1mg/l(平成13年11月採水)と低かった。このため用水は、曝気して酸素溶存量を増やして(曝気後は9.6mg/l(平成14年4月採水))から使用するのが好ましい。
地下水内に溶存酸素を補給する方法としては、上述の潅水用系統7から地下水を散水する方法が最もよいが、汲み上げた地下水を一旦ハウス内又はハウス外に設けた地下水貯留槽内に貯留し、該貯留槽内に設けた攪拌装置を回転させて曝気する方法や、前記潅水用系統7の配管途中に空気導入管を設けて、この管の空気導入口から空気を吹き込んでもよい。
これら方法を付加することにより、地下水中にワサビ生育に必要な酸素を更に溶存させることが可能となり、ワサビのハウス促成栽培方法に有利となる。
《用水水温》
ワサビを栽培するに際して望ましい水温は、年間を通して8〜17℃であり、生育最適温度は12〜13℃である。また、年間水温較差は少ないほどよく、3℃以内であれば最適とされている。
そして、水温が18℃以上になると、ワサビが罹病しやすくなり、その栽培が困難になる。一方水温が低下すると、8℃以下で生育が鈍り、5℃以下で生育停止に陥る。
本発明に用いた地下水(深度100m)の温度は、年間を通して11℃〜14℃であり、ワサビ育成用水として最適温度範囲内にあることが判明した。
今回実施例として実際に使用した用水は、この地域に特有の水質ということではなく、日本国内で100m程度の深さの井戸から汲み上げられる地下水であれば、ほぼ同程度の水温と無機成分含有量を期待することができる。
したがって、深井戸の地下水は、必要に応じて溶存酸素量を高めることにより、十分ワサビ育成用の用水として用いることができるものである。
用水水温の年間推移は表2・図3の通りであった。
各月の平均水温(℃)
Figure 2007060939
《ハウス内室温》
ワサビの生育気温範囲はおおよそ8〜18℃で、最適は12〜15℃とされている。
そして、気温8℃以下で生育が鈍り、同5℃以下で生育は停止する。さらには、気温が−3℃以下になると凍寒障害が発生する。
一方、気温が25℃以上になると、軟腐病、株腐病等が発生する。また、射日光が強すぎると、日焼けが生じることがある。
このようにワサビは、気温や日光照度の条件が崩れることで生理的障害が起きたり、罹病しやすくなる性質を持つ。
実験地である福島地域は、高地のわさび田と気侯が異なり、前述のワサビの最適気温を確保することができない。
このため、主として夏・冬のハウス内の室温を調整する必要がある。
そこで本実施例では、ハウス内外に温度計を設置し、ハウス内外の気温の変化をみながら、随時温度調整をしている。
図4は、ハウス内外で測定した最高・最低気温をプロットしたものである。
(遮光・換気)
春から夏にかけての、直射日光の影響を和らげるために、地上から1.7m付近に寒冷紗を張って遮光を行った。
また、日中はハウスの裾のビニールシートを巻き上げるなどして、換気した方が生育障害を少なくする事が出来た。
図4に於いて5月から9月にかけて、ハウス内最高気温が30℃程度となっているが、これは換気のためビニールシートを一部持ち上げたため、ハウス内外における気温較差が無くなったためである。
このとき、地上から1.6m付近に取り付けたシャワーにより、天気のよい日中は15分間隔でハウス内に霧状に散水した。
その結果、ハウス内1.6m以下のワサビ培地付近の気温は、高温時である7月,8月においても18℃〜20℃を保つ事が出来た。
(高温時における気温調整)
ハウス1内空気の高温時における温度調整は、前記灌水用散水管7とは別系統の熱交換用系統8の給水管の開口端に噴霧用ノズルを取り付け、このノズルから14℃前後の地下水をハウス全域に噴霧して、ハウス1内空気と熱交換を行ってハウス内を冷却する。
この噴霧用ノズルから噴霧する地下水の流量は、0.5l/分・mである。
したがって、高温時における地下水の散水量は、前述の栽培用のものと併せて1.0l/分・mとなる。
(冬季における気温調整)
冬季には、8℃以下になるとワサビの生育が遅延し、5℃以下になるとほぼその生育が停止すると言われている。
冬季においても、前記高温時と同じく前記熱交換用系統8の給水管の開口端に取り付けた噴霧用ノズルから11℃前後の地下水をハウス全域に噴霧して、ハウス1内空気と熱交換を行ってハウス内を加温する。
この噴霧用ノズルから噴霧する地下水の流量は、前述の高温時の流量と同じ0.5l/分・mである。
この加温システムにては十分にハウス1内温度を上げることができないときは、ハウス1内にファンコイル(図示せず)を設置し、このファンコイル内を通る地下水の熱エネルギーを利用して、加温力を増強することが望ましい。
このことにより、最低外気温が氷点下を記録したにもかかわらず、地下水温が冬場でもワサビ栽培の最適温度に近い12℃弱と安定しており、またその水を利用したファンコイルによりハウス内の気温は、外気温と比較して十分暖かかった。
各培地間で葉の枚数により生育状況を比較した。その結果を表3に表す。
栽培期間が長くなるにつれて、軽石と豆砂利の葉数がそれ以外の培地と比べ半数程度となり、生育速度に差が出た。
培地間の生育順位は、赤玉土>桐生砂>鹿沼土>軽石>豆砂利であった。
以上のことから、ワサビのハウス促成栽培方法の培地としては、赤玉土、桐生砂及び鹿沼土が適しているということができる。
本発明に係るワサビのハウス促成栽培方法を実施するハウスの斜視図である。 本発明に係るワサビのハウス促成栽培方法の模式図である。 本発明の実験実施地域である福島地区における各月の地下水平均水温を示すグラフである。 ハウス内外の年間を通じての最高・最低気温を示すグラフである。 従来のわさびの栽培装置の平面図である。 従来のわさびの栽培装置の縦断面図である。
符号の説明
1 栽培ハウス
2 ビニールシート巻取軸
3 換気用開口部
4 栽培容器
5 培地
6 通水用小孔
7 潅水用系統
8 熱交換用系統

Claims (4)

  1. ワサビのハウス促成栽培方法において
    培地上方から連続的または間歇的に散水して、底面が大気に解放されて大気とされた培地中を重力によって鉛直下方向に流れる流下水を与えるとともに、少なくとも培地底面から酸素を供給して、ワサビを育成することを特徴とするワサビのハウス促成栽培方法。
  2. 前記散水は、ワサビの根茎が浸水ことがなく、かつ、培地表面が常態的に冠水することがないようにその散水量が制御されていることを特徴とする請求項1に記載されたワサビのハウス促成栽培方法。
  3. 前記散水は、育成中のワサビに対し上方から散水または噴霧することにより、その水がハウス内の空気中を落下する間に水中にワサビ生育に必要な酸素を溶存させ、ワサビについた菌、虫等の有害生物・微生物や、培地中の、わさびの生育を抑制する有害物質のアリルイソチオシアネートを洗い流して、ワサビが生育する環境を作ることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載されたワサビのハウス促成栽培方法。
  4. 前記散水用の水は、恒温水であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたワサビのハウス促成栽培方法。
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