JP2007057877A - グリッド偏光フィルムの製造方法、グリッド偏光フィルム、および液晶表示装置 - Google Patents

グリッド偏光フィルムの製造方法、グリッド偏光フィルム、および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 効率的で、安価で且つ簡便な工程で、偏光分離性能及び密着性に優れたグリッド偏光フィルムを製造する方法を提供する。
【解決手段】 微細な突起を少なくとも一方の主面に離間して複数有する樹脂からなるA層と、A層の突起を有する面に形成された、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなるB層と、を有する積層体を得、該積層体を延伸することによって、前記B層に亀裂を生じさせることを含む、製造方法により、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなる細長く線状に延びたb層が、互いに離間した状態で複数並んだ、グリッド偏光フィルムを得る。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、光通信、光記録、センサー、画像表示装置等に使用されるグリッド偏光フィルムの製造方法、グリッド偏光フィルム、および液晶表示装置に関し、詳細には、効率的で、且つ簡便な工程で、偏光分離性能に優れたグリッド偏光フィルムを製造する方法、グリッド偏光フィルム、および液晶表示装置に関する。
反射型偏光子の一種としてグリッド偏光子が知られている。これは、多数の線状金属を一定の周期で平行に配列したグリッド構造をもつ光部品である。このような金属グリッドを形成すると、グリッド周期が入射光の波長より短い場合に、金属グリッドを形成している線状金属に対して平行な偏光成分は反射し、垂直な偏光成分は透過するため、単一偏光を作りだす偏光子として機能する。このグリッド偏光子は、光通信ではアイソレーターの光部品として、液晶表示装置では光の利用率を高め輝度を向上させるための部品として、利用することが提案されている。
樹脂フィルム基材上にグリッド偏光子を形成した、グリッド偏光フィルムの製法として、例えば、特許文献1に、透明で柔軟な基板上に金属膜を形成し、金属膜の融点以下で基板と金属膜とを延伸することにより、延伸方向に直交する方向に金属膜の割れを発生させ、異方的な形状を有する金属部分と誘電体部分とからなる構造を形成することが開示されている。
また、特許文献2には、結晶部及び非晶部が交互に連なる高次構造を有するフィルム、又はガラス転移温度が異なる二種の相が延伸方向に交互に連なる高次構造を有するフィルム、の片面又は両面の全面に、導電性薄膜を形成して複合膜を得、その複合膜を延伸し、熱固定することによって、異方的な導電性部分と高分子誘電体部分からなる構造を形成することが開示されている。
特開2001−74935号公報 特開2005−148416号公報
本発明者の検討によると、特許文献1又は特許文献2に開示されている製造方法で得られる、偏光光学素子は、金属薄膜のひび割れに規則性が無く、また金属薄膜のひび割れによって生じるグリッド線の線幅を十分小さくすることが出来ない。また、樹脂フィルムと金属薄膜の伸び方の相違によって樹脂フィルム及び金属薄膜の間の密着性が低下し金属薄膜(グリッド線)が剥離しやすくなった。そのため、可視光域で偏光分離性能を十分に発揮する偏光光学素子を得ることが困難であった。
本発明の目的は、効率的で、安価で且つ簡便な工程で、偏光分離性能に優れ、グリッド線の密着性に優れたグリッド偏光フィルムを製造する方法、グリッド偏光フィルム、および液晶表示装置を提供することにある。
本発明者は、樹脂フィルムと金属薄膜とからなる積層体を延伸すると、金属薄膜は延伸方向に引き伸ばされ割れを生じるが、金属薄膜の表面の粗度が小さい場合、ひび割れの間隔が大きくなり、またひび割れの間隔や長さが不規則になることに気づいた。そして、このことが偏光分離性能を低下させる原因であることをつきとめた。
そして、本発明者は、微細な突起を少なくとも一方の主面に離間して複数有する樹脂からなるA層と、A層の突起を有する面に形成された、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなるB層と、を有する積層体を延伸することによって、前記B層に亀裂を生じさせることを含む、効率的で、安価で且つ簡便な製法によって、前記材料Xを含んでなる細長く線状に延びたb層が互いに離間した状態で複数並んだグリッド偏光フィルムが得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
かくして本発明によれば、
(1)微細な突起を少なくとも一方の主面に離間して複数有する、樹脂からなるA層と、
A層の突起を有する面に形成された、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなるB層と、を有する積層体を延伸することによって、前記B層に亀裂を生じさせることを含む、
材料Xを含んでなる細長く線状に伸びたb層が互いに離間して状態で複数並んだグリッド偏光フィルムの製造方法が提供される。
また本発明によれば、
(2)A層の突起が、1μmあたり、1〜10000個ある、前記グリッド偏光フィルムの製造方法、
(3)A層の突起が、細長く線状に伸び、且つ離間して複数並んでいるものである、前記グリッド偏光フィルムの製造方法、
(4)A層の突起は、その高さが10nm以上500nm以下である、前記グリッド偏光フィルムの製造方法、
(5)積層体を延伸した後に、前記b層の上に、透明保護層を少なくとも1層形成することをさらに含む前記グリッド偏光フィルムの製造方法、
(6)積層体を延伸する前に、前記B層の上に、透明保護層を少なくとも1層形成することをさらに含む前記グリッド偏光フィルムの製造方法、
(7)A層が、樹脂基板に、平均粒径10nm〜500nmの粒子を含む塗布液を塗布し、乾燥することにより得られたものである、前記グリッド偏光フィルムの製造方法、
(8)A層が、樹脂基板をエンボス加工して得られたものである、前記グリッド偏光フィルムの製造方法、
(9)材料Xが金属である、前記グリッド偏光フィルムの製造方法、
(10)金属がアルミニウムである、前記グリッド偏光フィルムの製造方法
(11)積層体の延伸において、第一の延伸方向の延伸倍率R1が1.25〜10倍であり、第一の延伸方向に直交する第二の延伸方向の延伸倍率R2が0.85〜2倍であり、且つ延伸倍率R1が延伸倍率R2よりも大きい、前記グリッド偏光フィルムの製造方法、
(12)積層体が長尺であり、且つ延伸を連続的に行う、請求項1〜11のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムの製造方法、及び/又は
(13)第一の延伸方向がA層の幅方向と略平行である、請求項12記載のグリッド偏光フィルムの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、
(14)前記の製造方法で得られたグリッド偏光フィルム、及び/又は
(15)前記の製造方法で得られ、且つ偏光透過軸が幅方向と略平行である、グリッド偏光フィルム、が提供される。
さらに、本発明によれば、
(16)前記グリッド偏光フィルムを備える液晶表示装置が提供される。
詳細な機構は不明であるが、本発明の製造方法によると、A層の突起を有する面にB層を形成すると、B層のA層側に窪みが形成される。延伸による応力がB層に形成された窪みに集中し、その窪みを起点にして亀裂が生じると考えられる。このように亀裂が窪みを起点にして生じるので、窪みの離間状態によって、b層の幅、ピッチ、及び長さを規制できる。その結果、本発明の製法によって、規則的な離間状態で、細長く線状に伸びたb層を形成できるようになったと考えられる。A層主面の突起がアンカー効果を発揮しB層の密着性を高め、延伸した後もb層が剥離し難くなっている。
本発明のグリッド偏光フィルムの製造方法は、従来の樹脂成形法、延伸法と、金属膜等の製膜法を所定の条件で組み合わせたものであるので、効率的で、簡便に行うことができる。そして、本発明の製造方法で得られるグリッド偏光フィルムは、自然光を、二種の直線偏光に分離し、一方を反射し、もう一方を透過させることができる。さらに、グリッド偏光フィルムが十分なフレキシビリティーと強度を有するので、グリッド偏光フィルムを液晶表示装置等に取り付ける際の取り扱いが楽である。また、本発明のグリッド偏光フィルムを液晶表示装置の液晶セルとバックライト装置との間に配置すると、バックライトからの出光を有効利用でき、表示画面の輝度を向上させることができる。
本発明の、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなる細長く線状に延びたb層が互いに離間した状態で複数並んだグリッド偏光フィルムの製造方法は、
微細な突起を少なくとも一方の主面に離間して複数有する樹脂からなるA層と、
A層の突起を有する面に形成された、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなるB層と、を有する積層体を得、
該積層体を延伸することよって、前記B層に亀裂を生じさせることを含む、ものである。
本発明のグリッド偏光フィルムの製法に用いる積層体のA層は、透明な樹脂からなるものであれば特に制限されない。透明樹脂としては、加工性の観点から樹脂のガラス転移温度が60〜200℃であることが好ましく、100〜180℃であることがより好ましい。なお、ガラス転移温度は示差走査熱量分析(DSC)により測定することができる。
透明樹脂の具体例としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、脂環式オレフィンポリマーなどが挙げられる。これらのうち、透明性、低吸湿性、寸法安定性、加工性の観点から脂環式オレフィンポリマーが好適である。脂環式オレフィンポリマーとしては、特開平05−310845号公報、米国特許第5179171号公報に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05−97978号公報、米国特許第5202388号公報に記載されている水素添加重合体、特開平11−124429号公報、国際公開99/20676号公報に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体及びその水素添加物等が挙げられる。
本発明に用いる透明樹脂は、顔料や染料のごとき着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などの配合剤が適宜配合されたものであってもよい。
透明樹脂からなるA層は、前記透明樹脂を公知の方法で成形することによって得られる。成形法としては、例えば、キャスト成形法、押出成形法、インフレーション成形法などが挙げられる。
A層は、通常、シート又はフィルム状を成しており、400〜700nmの可視領域の光の透過率が80%以上で、平滑な面を有するものが好ましい。またA層の平均厚みは、取り扱い性の観点から通常5μm〜1mm、好ましくは20〜200μmである。
また、A層は、その波長550nmで測定したレターデーションRe(Re=d×(n−n)で定義される値、n、nはA層の面内主屈折率;dはA層の平均厚みである)によって特に制限されない。面内の任意2点のレターデーションReの差(レターデーションむら)が好ましくは10nm以下であり、より好ましくは5nm以下である。レターデーションむらが大きいと、液晶表示装置に用いた場合に表示面の明るさにバラツキが生じやすくなる。
A層の少なくとも一方の主面には、微細な突起を離間して複数有する。突起は、その大きさによって特に限定されないが、通常、高さ10nm以上500nm以下である。突起はB層の厚みよりも高くなっていてもよい。突起の形は、点状のものであってもよいし、線状のものであってもよい。
突起が点状のものであるときは、その直径(点状窪みの縁で囲まれる部分の相当直径)が通常10nm〜100nmである。点状突起の数は1μmあたり、好ましくは1〜10000個、より好ましくは20〜1000個である。点状突起は均一に離間して分散していることが好ましい。
突起が線状のものであるときは、その線幅(線状窪みの両縁間の距離)が通常10nm〜1000nmである。
線状の突起は、第一の延伸方向に直交する方向に延びていることが好ましい。線状突起のピッチは、好ましくは30nm〜600nmである。
A層に突起を形成させる方法は、特に限定されない。例えば、平らな樹脂基板に、平均粒径10nm〜500nmの粒子を含む塗布液を塗布し、乾燥する方法、軟化域の温度で樹脂基板の主面に、突起に対応する形状を持ったエンボスロール又はエンボス面をもつ平型などを押しあてる方法(エンボス加工);レーザービームなどで切削する方法等が挙げられる。
本発明のグリッド偏光フィルムの製法に用いる積層体のB層は、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含むものである。B層は、前記A層の少なくとも一方の面に形成される。本発明の製法によれば、このB層に亀裂を生じさせることによって、互いに離間した状態で複数並んだ、材料Xを含んでなる細長く線状に延びたb層を形成できる。
材料Xは、複素屈折率の実部と虚部のいずれかが大きく、その差の絶対値が1.0以上の材料の中から適宜選択することができる。材料Xの具体例としては、金属;シリコン、ゲルマニウム等の無機半導体;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ−p−フェニレン等の導電性ポリマー、及びこれら導電性樹脂をヨウ素、三フッ化ホウ素、五フッ化ヒ素、過塩素酸等のドーパントを用いてドーピングした有機系導電性材料;絶縁性樹脂に金、銀などの導電性金属微粒子を分散した溶液を乾燥して得られる有機−無機複合系導電性材料、などが挙げられる。これらの中でも、グリッド偏光フィルムの生産性、耐久性の観点からは金属材料が好ましい。可視域の光を効率よく偏光分離するためには、温度25℃、波長550nmにおける複素屈折率の実部n及び虚部κのそれぞれは、好ましくはnが4.0以下で、κが3.0以上で且つその差の絶対値|n−κ|が1.0以上のものであり、より好ましくはnが2.0以下で、κが4.5以上で且つ|n−κ|が3.0以上のものである。前記好ましい範囲にあるものとしては、銀、アルミニウム、クロム、インジウム、イリジウム、マグネシウム、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、スズ等が挙げられ、前記より好ましい範囲にあるものとしては、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、ロジウム、スズ等が挙げられる。また上記以外に、nが3.0以上で且つκが2.0以下の範囲にある材料、好ましくはnが4.0以上で且つκが1.0以下の範囲にある材料も好適に用いることができる。このような材料としてはシリコンなどが挙げられる。複素屈折率Nは、電磁波の理論的関係式であり、実部の屈折率nと虚部の消衰係数κを用いて、N=n−iκで表現されるものである。
詳細は不明であるが|n−κ|の値は次のような意義を持つ。まず、n<κの場合においては、κがより大きく、nがより小さいものほど好ましいということ示している。κが大きいものほど導電性が大きく、b層の長手方向に振動できる自由電子が多くなるため、偏光(b層の長手方向に(電場が)平行な方向の偏光)の入射により発生する電界が強くなり、前記偏光に対する反射率が高まる。b層の幅が小さいので、b層の長手方向と直交する方向には電子は動けず、b層の長手方向と直交する方向の偏光に対しては上記の効果は生じず、前記偏光は透過する。またnが小さい方が入射した光の媒質中での波長が大きくなるため、相対的に微細凹凸構造のサイズ(線幅、ピッチ等)が小さくなり、散乱、回折等の影響を受け難くなり、光の透過率(b層に直交する方向の偏光)、反射率(b層に平行な方向の偏光)が高まる。
一方n>κの場合においては、nがより大きく、κがより小さいものほど好ましいということを示している。nが大きいものほど、b層とそれに隣接する部分(図2では空気)との屈折率nの差が大きくなり、構造複屈折が発現しやすくなる。一方κが大きいと光の吸収が大きくなるため、光の損失を防ぐ意味でκは小さいほど好ましい。
このB層を形成させる方法は特に制限されない。用いる材料に応じて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜プロセスや、マイクログラビア法、スクリーンコート法、ディップコート法、無電解めっき、電解めっき等のウェットプロセスによる各種コーティング法を用いることができる。これらのうち、真空蒸着法、スパッタリング法が好ましい。微細突起を有するA層の上に形成されたB層には、前記突起に対応した窪みが形成される。
図1は、本発明の製造方法に用いる積層体の一例を示す図である。図2はA層の突起及びB層の窪みを示すために図1の積層体のA層とB層とを分離した状態を示す図である。図1に示す積層体は、透明樹脂フィルムからなるA層10の上に、前記材料Xを含んでなるB層11が形成されている。該B層は、蒸着などの方法で製膜することで容易に得ることができる。図2に示すように該A層には突起12が主面に分布している。この突起は、前述したように平均粒径10nm〜500nmの粒子を含む塗布液を塗布し、乾燥する方法などによって形成できる。そして図2に示すようにB層のA層に対向する面には窪み13が形成されている。
本発明の製造方法では、このA層及びB層を有する積層体を延伸する。本発明においてはA層の突起に対応するB層に窪みがあるので、延伸によってB層の窪みを起点にして亀裂が生じる。従ってA層の突起の分布を調整することによってB層に亀裂の入る位置を調整することができる。
本発明において、延伸方法は特に限定されないが、第一の延伸方向の延伸倍率R1(=延伸後の長さXA/延伸前の長さXB)が、好ましくは1.25〜10倍、特に好ましくは1.5〜3.0倍であり、第一の延伸方向に直交する第二の延伸方向の延伸倍率R2(=延伸後の長さYA/延伸前の長さYB)が、好ましくは0.85〜2倍、特に好ましくは1.0〜1.2倍であり、延伸倍率R1が延伸倍率R2よりも大きくなるように延伸することが好ましい(図1及び図3参照)。
このような延伸を行う方法としては、例えば、(i)延伸方向に直交する方向の長さの収縮率を15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下に抑えて一軸延伸する方法と、(ii)二軸延伸する方法とがある。延伸では、長尺の積層体を用いて連続的に行うことが、効率的で好ましい。
前記(i)の延伸方法では、延伸方向に直角な方向に縮もうとする力に抗して、延伸方向に直角な方向の長さの収縮を15%以下に抑えて、一軸延伸するので、皺を生じさせずにb層を形成できる。より具体的には、一軸延伸方向(第一の延伸方向)の延伸後の長さXAが延伸前の長さXBの1.25〜10倍、好ましくは1.5〜3.0倍であり、一軸延伸方向に直交する方向(第二の延伸方向)の延伸後の長さYAが延伸前の長さYBの0.85〜1.05倍、好ましくは0.9〜1.05倍、より好ましくは0.95〜1.05倍である。
このような倍率で延伸できる方法の代表例として横一軸延伸法が挙げられる。横一軸延伸法は長尺の積層体を、その幅方向に延伸する方法である。横一軸延伸法を行う装置としてはテンター延伸機が挙げられる。横一軸延伸を行うと、B層の流れ方向(MD方向)に亀裂が入り、流れ方向に細長く延びたb層が形成できる。
前記(ii)の延伸方法では、二軸延伸を行う。二軸延伸法では、縦及び横全ての方向に伸ばされるので、積層体が収縮せず、皺のないb層を形成できる。より具体的には、第一の延伸方向の延伸後の長さXAが延伸前の長さXBの1.25〜10倍、好ましくは1.5〜3.0倍であり、第一の延伸方向に直交する第二の延伸方向の延伸後の長さYAが延伸前の長さYBの1〜2倍、好ましくは1.05〜1.2倍であり、延伸前の長さXBに対する長さXAの倍率が延伸前の長さYBに対する長さYAの倍率よりも大きくなるように、積層体を延伸する。
二軸延伸には、逐次二軸延伸法と、同時二軸延伸法とがあるが、いずれも適用可能である。逐次二軸延伸法では、先に縦一軸延伸を行い、次に横一軸延伸を行ってもよいし、先に横一軸延伸して、次に縦一軸延伸を行ってもよい。
同時二軸延伸法では、テンター同時二軸延伸機が好適に用いられる。
例えば、図4に示す延伸機は、積層体1の端部を把持する複数の把持手段2を具備している。把持手段2は折尺状に形成された複数個の等長リンク装置より構成された無端リンク装置(図中リンクの一部並びに片側の無端リンクは省略)3に取付けられている。該無端リンク装置3は入口側スプロケット4と出口側スプロケット9によって駆動する。無端リンク装置3は、図4の左から右へ進行し、末広がり状に配置されたガイドレール5、6、7および8に案内される。図4中、上下のガイドレールの間隔が広がることによって上記把持手段2の幅方向の間隔が徐々に拡大する。また上側及び下側それぞれのガイドレール6と8の間隔が狭くなることによって、等長リンク装置の角度が広がり把持手段2の流れ方向の間隔が徐々に拡大する。積層体1は延伸機の入口で把持手段2によってその両端が把持され、把持手段の間隔の拡大によって、縦横二方向に同時に延伸され、延伸機の出口で前記把持手段2から外される。
長尺の積層体の二軸延伸において、第一の延伸方向は長さ方向及び幅方向のいずれでも良いが、製造上の安定性を考慮すると第一の延伸方向を幅方向にするのが好ましい。第一の延伸方向を幅方向(TD方向)に略平行にすることで、B層の流れ方向(MD方向)に亀裂が入り、流れ方向に細長く延びたb層が形成できる。
B層の亀裂によって形成されたb層は、細長く線状に延びており、且つ互いに離間した状態で複数並んでいる。例えば、図2に示すように、A層310の上に、b層311が、複数並んで積層された構造を成している。b層のピッチは使用する光の波長の1/2以下になっている。b層の幅及び高さは細いほど透過方向の偏光成分の吸収が小さくなり、特性上好ましい。可視光線に用いるグリッド偏光フィルムでは、b層のピッチが通常50〜1000nmであり、b層の幅が通常25〜600nm、b層の高さは10〜800nmである。b層は、通常光の波長より長く延びていればよく。b層の長さは好ましくは800nm以上である。b層の高さはB層の厚みによって調整できる。b層の長さ、ピッチ及び幅は、窪みの分布、延伸速度、延伸温度などによって調整することができる。
なお、b層は必ずしも図2に示したように同一の形状、サイズである必要は無く、各々が光の波長よりも長い辺と短い辺を有する、アスペクト比の大きな形状であれば良い。また、隣り合う細長く線状に延びたb層は、完全に離間している必要は無く、一部離間しているものであればよい。例えば、細長く線状に延びたb層が途中で分断して二本に分かれていてもよいし、二本の細長く線状に延びたb層が途中で結合して一本になっていてもよい。
本発明の製造方法では、積層体を延伸した後に、前記b層の上に、保護層を少なくとも1層形成することが好ましい。また、本発明の製造方法では、積層体を延伸する前に、前記B層の上に、保護層を少なくとも1層形成することが好ましい。
保護層は、透明樹脂からなる層であってもよいし、無機化合物からなる層であってもよい。透明樹脂からなる層を構成する樹脂は、前記A層を構成する樹脂として挙げたものと同じものを挙げることができる。無機化合物からなる層を構成する無機化合物は、無機酸化物、無機窒化物、フッ化物などが挙げられる。
保護層は、その形成方法によって、特に制限されない。例えば、樹脂からなるフィルムを貼りあわせる、樹脂溶液を塗布し乾燥する、光硬化性溶液を塗布し光硬化させる、無機化合物を蒸着するなどの方法が挙げられる。
なお、保護層を形成するときに、b層の間にある溝部312(図3)は、保護層を形成する物質で埋まってしまっても良いし、埋まらずに空間を確保していてもよい。溝部312はB層の亀裂によってできたb層間の裂け目である。
溝部を埋めずに、空間を確保する場合は、その空間に空気または不活性ガスなどが含まれていることが好ましい。空気又は不活性ガスを、空間に含ませると、グリッド偏光フィルムの偏光率が高くなる。不活性ガスとしては、窒素、アルゴンなどが挙げられる。
溝部を埋める場合は、保護層として、低屈折率の物質を用いることが好ましい。例えば、フッ化マグネシウムなどの無機化合物や、多孔質物質等が挙げられる。本発明においては多孔質物質が好ましい。
多孔質物質は、微小な空孔を多数有する材料であり、例えば、エアロゲルが挙げられる。エアロゲルは、マトリックス中に微小な空孔が分散した透明性多孔質体である。空孔の大きさは大部分が200nm以下であり、空孔の含有量は、通常10〜60体積%、好ましくは20〜40体積%である。エアロゲルには、シリカエアロゲルと、中空粒子をマトリックス中に分散させた多孔質体とがある。空孔には通常、空気や不活性ガスが封入されている。
シリカエアロゲルは、米国特許第4,402,927号公報、米国特許第4,432,956号公報および米国特許第4,610,863号公報などに開示されているように、アルコキシシランの加水分解重合反応によって得られたシリカ骨格からなるゲル状化合物を、アルコールあるいは二酸化炭素などの溶媒(分散媒)で湿潤状態にし、そしてこの溶媒を超臨界乾燥で除去することによって製造することができる。また、シリカエアロゲルは、米国特許第5,137,279号公報、米国特許5,124,364号公報などに開示されているように、ケイ酸ナトリウムを原料として、上記と同様にして製造することができる。
中空微粒子がマトリックス中に分散された多孔質体としては、特開2001−233611号公報、国際公開第2002/021259号公報および特開2003−149642号公報に開示されているような多孔質体が挙げられる。
本発明の偏光素子は、前記グリッド偏光フィルムと、他の偏光光学フィルムとを重ね合わせてなるものである。他の偏光光学フィルムとしては、吸収型偏光フィルム、位相差素子、偏光回折素子などが挙げられる。特に、本発明の偏光素子を液晶表示装置の輝度向上素子として用いる場合には、他の偏光光学フィルムが吸収型偏光フィルムであることが好ましい。
本発明に用いられる吸収型偏光フィルムは、直角に交わる二つの直線偏光の一方を透過し、他方を吸収するものである。例えば、ポリビニルアルコールフィルムやエチレン酢酸ビニル部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸させたもの、前記親水性高分子フィルムを一軸延伸して二色性物質を吸着させたもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルムなどが挙げられる。吸収型偏光フィルムの厚さは、通常5〜80μmである。
グリッド偏光フィルムと吸収型偏光フィルムは、グリッド偏光フィルムの透過軸と吸収型偏光フィルムの透過軸とが略平行になるように重ね合わせることが好ましい。このような配置にすることによって、自然光を効率的に直線偏光に変換することができる。
本発明の偏光素子はその製法によって、特に限定されない。例えば、ロール状に巻かれた前記の長尺のグリッド偏光フィルム及びロール状に巻かれた他の長尺の偏光光学フィルムを同時にロールから巻き出しながら、該グリッド偏光フィルムと該他の偏光光学フィルムとを密着させることを含む方法が挙げられる。グリッド偏光フィルムと他の偏光光学フィルムとの密着面には接着剤を介在させることができる。グリッド偏光フィルムと他の偏光光学フィルムとを密着させる方法としては、二本の平行に並べられたロールのニップにグリッド偏光フィルムと他の偏光光学フィルムを一緒に通し圧し挟む方法が挙げられる。
本発明の液晶表示装置は、前記のグリッド偏光フィルム又は偏光素子を備えるものである。液晶表示装置は、偏光透過軸を電圧の調整で変化させることができる液晶セルと、それを挟むように配置される二枚の吸収型偏光フィルムとで構成される。そして、この液晶セルに光を送りこむために、表示面の裏側に、透過型液晶表示装置ではバックライト装置が、反射型液晶表示装置では反射板が備えられる。
本発明のグリッド偏光フィルムは、直交する直線偏光のうちの一方を透過し、他方を反射する性質を持っている。また本発明の偏光素子は、グリッド偏光フィルム側から光を照射させた場合に、直交する直線偏光のうちの一方を透過し、他方を反射する性質を持っている。本発明の透過型液晶表示装置において、本発明のグリッド偏光フィルム及び偏光素子(偏光素子のグリッド偏光フィルムがバックライト側になるように配置する)を、バックライト装置と液晶セルとの間に配置すると、バックライト装置で発光した光がグリッド偏光フィルムによって、二つの直線偏光に分離され、一方の直線偏光は液晶セルの方向へ、他方の直線偏光はバックライト装置の方向へ戻る。バックライト装置には反射板が通常備わっており、バックライト装置の方向へ戻った直線偏光は、その反射板により反射され、再びグリッド偏光フィルムに戻ってくる。戻ってきた光はグリッド偏光フィルムで再度二つの偏光に分離される。これを繰り返すことでバックライト装置で発光した光が有効に利用されることになる。その結果、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。また反射型液晶表示装置において、同様の原理で画面を明るくすることができる。
つぎに本発明を実施例を示しながらさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。部及び%は特に断りが無い限り質量基準である。
(アミド基含有脂環式構造重合体)
窒素置換された反応器に、脱水されたシクロヘキサン500部、1−ヘキセン0.82部、ジブチルエーテル0.15部及びトリイソブチルアルミニウム0.30部を仕込んだ。反応器を45℃に保ちながら、9−エチリデン−テトラシクロ〔6.2.1.13,6.02,7〕ドデカ−4−エン(以下「ETCD」と略記する)100部と、六塩化タングステン0.7%トルエン溶液40部とを、2時間かけて連続的に添加し、重合させた。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部及びイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し、重合反応を停止させた。該重合反応溶液100部に対してシクロヘキサン270部を加え、さらにニッケル−アルミナ水素化触媒5部を加え、水素により5MPaに加圧し、攪拌しながら温度200℃まで加温し、4時間反応させた。ろ過によって水素化触媒を除去し、次いで円筒型濃縮乾燥機を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶媒であるシクロヘキサン、及び他の揮発成分を除去し、ETCD開環重合体水素化物を得た。得られたETCD開環重合体水素化物の重量平均分子量は35,000、水素化率は99.9%であった。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。
次いで、オートクレーブに、ETCD開環重合体水素化物100部、無水マレイン酸10.0部、ジクミルパーオキシド2部及びtert−ブチルベンゼン250部を仕込み、135℃で、6時間反応させた。反応液をアセトンに添加して樹脂を析出させ、ろ過により樹脂を回収した。回収した樹脂を100℃、1Torr以下で48時間乾燥させ、無水マレイン酸変性脂環式構造重合体103部を得た。得られた無水マレイン酸変性脂環式構造重合体の重量平均分子量は39,000、無水マレイン酸変性率は19.5mol%であった。変性率はH−NMRを用いて定法(WO99/1519号公報記載)により測定した。
次に、無水マレイン酸変性脂環式構造重合体100部に、ジエチルアミン8.0部、及びトルエン400部を添加し、赤外吸光分析にて酸無水物由来のピークが消失するまで反応を行った。反応液を多量のアセトンに注入し重合体を析出させ、ろ過することにより重合体を回収した。回収した重合体を100℃、1Torr以下で48時間乾燥させ、アミド基を有する脂環式構造重合体99部を得た。得られたアミド基を有する脂環式構造重合体の重量平均分子量は39,000、アミド基含有量は19.5mol%であった。
実施例1
平均粒径50nmのシリカ微粒子を含有するメチルエチルケトンスラリー(固形分濃度:30重量%)14.8部及びテトラヒドロフラン29.6部を混合しシリカ微粒子スラリーを作製した。
攪拌機、温度計、DeanStarkTrap、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、前記アミド基を有する脂環式構造重合体10部、極性基を有さない脂環式構造重合体(日本ゼオン社製、ZEONEX480R)30部及びトルエン200部を注入し、均一になるまで攪拌した。次いで、該トルエン溶液を攪拌しながら、前記シリカ微粒子スラリー44.4部を添加した。90℃の蒸留でメチルエチルケトン及びテトラヒドロフランを除去し、更に120℃の蒸留でトルエンを除去し、固形分濃度が20%になるまで濃縮して、シリカ微粒子含有塗布液1を148部得た。
(樹脂フィルム1)
ギャップが200μmであるアプリケーターを用いて、前記シリカ微粒子含有塗布液1を厚さ100μmの樹脂フィルム(商品名:ゼオノアフィルム ZF−14、日本ゼオン社製)に塗布し、次いで80℃で5分間乾燥して、樹脂フィルム1を得た。樹脂フィルム1の表面(1μm平方メートルの範囲の面積について)を走査型プローブ顕微鏡(Dimension3100、日本ビーコ社製)で観察し、表面形状データを収集し、このデータから、1μm平方メートルあたりの突起の数を測定した。樹脂フィルム1は、平均高さ15nmの突起が1μm中に1540個独立した状態で形成されていた。
樹脂フィルム1の突起が形成された面に、膜厚が100nmになるようにアルミニウムを蒸着し、次いで、該フィルムを延伸方向と直交する方向の収縮率10%を維持しながら、135℃で1.2倍に一軸延伸した。すなわち延伸倍率R1が1.2倍、延伸倍率R2が0.9倍で延伸した。この延伸によって、アルミニウム蒸着膜に亀裂が生じ、グリッド線が形成された。次いで、トリアセチルセルロースからなるフィルムをウレタン系接着剤でグリッド線側に貼り合わせて、グリッド偏光フィルムを得た。
入射端面側に冷陰極管が配置され、かつ裏面側に光反射シートが設けられた導光板の出射面側に、光拡散シート及び所定の大きさに切り抜いた上記グリッド偏光フィルム(アルミニウム格子が光拡散シート側になるように配置)を順次重ね合わせて偏光光源装置を作製した。さらに、該偏光光源装置の上に、吸収型偏光板(グリッド偏光フィルムの偏光透過軸と平行になるように配置)、透過型のTN液晶表示素子、及び吸収型偏光板(グリッド偏光フィルムの偏光透過軸と直交になるように配置)を順次重ね合わせて液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の正面輝度を輝度計(商品名:BM−7、トプコン(株))を用いて測定したところ、正面輝度は204cd/mであった。
実施例2
(樹脂フィルム2)
平均粒径50nmのシリカ微粒子に代えて平均粒径100nmのアルミナ微粒子を用いた以外は実施例1と同様の方法により、アルミナ微粒子含有塗布液2を143部得た。
厚さ100μmの長尺の樹脂フィルム(商品名:ゼオノアフィルム ZF−14、日本ゼオン社製)の表面上に、前記アルミナ微粒子含有塗布液2を塗布し、次いで100℃で3分間乾燥し、ロール状に巻き取って樹脂フィルム2を得た。該樹脂フィルム2は表面に平均高さ70nmの突起が1μm中に860個独立した状態で形成されていた。
(樹脂フィルム3)
厚さ100μmの長尺の樹脂フィルム(商品名:ゼオノアフィルム ZF−14、日本ゼオン社製)の表面上に、膜厚が100nmになるようにアルミニウムを蒸着し、ロール状に巻き取ることにより、樹脂フィルム3を得た。
得られた長尺状の樹脂フィルム2の突起が形成された表面と樹脂フィルム3のアルミニウム層形成面とを接触させ、加圧ローラーのニップに供給し圧着して貼り合せ、次いで連続的に135℃で横1.2倍で横一軸延伸(すなわち、延伸倍率R1が1.2倍、延伸倍率R2が1倍で延伸)することにより長尺状のグリッド偏光フィルムを得た。前記偏光フィルムの偏光透過軸はフィルムの幅方向に対してほぼ平行であった。
次いで、前記長尺のグリッド偏光フィルムをロールから巻き出しながら、グリッド偏光フィルムの偏光透過軸と平行になるように長尺の吸収型偏光フィルムの片面にウレタン系接着剤を介して重ね合わせ、さらに吸収型偏光フィルムのもう一方の面にトリアセチルセルロースからなる長尺の保護フィルムをウレタン系接着剤を介して重ね合わせ、次いでこれらを加圧ローラーのニップに供給し圧着して、連続的に貼り合わせて、ロール状に巻き取ることにより、長尺の光学積層体を得た。
入射端面側に冷陰極管が配置され、かつ裏面側に光反射シートが設けられた導光板の出射面側に、光拡散シート及び所定の大きさに切り抜いた上記光学積層体(グリッド偏光フィルムが光拡散シート側になるように配置)を順次重ね合わせて偏光光源装置を作製した。さらに、該偏光光源装置の上に、透過型のTN液晶表示素子、及び吸収型偏光板(グリッド偏光フィルムの偏光透過軸と直交になるように配置)を順次重ね合わせて液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の正面輝度は、輝度計による測定で205cd/mであった。
実施例3
8mm×8mm×60mmのSUS製シャンクにろう付けされた寸法0.2mm×1mm×1mmの直方体単結晶ダイヤモンドの0.2mm×1mmの面に、集束イオンビーム加工装置(セイコーインスツルメンツ(株)、SMI3050)を用いてアルゴンイオンビームによる集束イオンビーム加工を行って、長さ1mmの辺に平行な幅0.1μm、深さ0.1μmの溝をピッチ0.2μmで彫り込み、幅0.1μm、高さ0.1μmの直線状の突起1,000本をピッチ0.2μmで形成してなる切削工具を作製した。
直径200mmで長さ150mmの円筒形状ステンレス鋼SUS430製ロールの周面全面に、厚さ100μmのニッケル−リン無電解メッキを施した。前記切削工具と、精密円筒研削盤(スチューダ社、精密円筒研削機S30−1)とを用いて、ニッケル−リン無電解メッキ面に、円筒の周方向に幅0.1μm、高さ0.1μm、ピッチ0.2μmの直線状の突起を切削加工することにより、転写ロールを得た。なお、集束イオンビーム加工による切削工具の作製と、ニッケル−リン無電解メッキ面の切削加工は、温度20.0±0.2℃、振動制御システム((株)昭和サイエンス)により0.5Hz以上の振動の変位が10μm以下に管理された恒温低振動室内で行った。
直径70mmのゴム製ロールからなるニップロール及び上記転写ロールを使用した転写装置を用い、転写ロールの表面温度160℃、ニップロールの表面温度100℃、フィルムの搬送テンションを0.1kgf/mm、ニップ圧が15MPaの条件で厚さ100μmのシクロオレフィンポリマーフィルム(商品名:ZF−14、日本ゼオン社製)表面上に転写ロール表面の形状を転写し、ロール状に巻き取ることにより、樹脂フィルム4を作製した。該樹脂フィルム4の表面は、フィルムの流れ方向と平行に幅100nm、高さ100nm、ピッチ200nmの直線状の突起が独立して並んだ形状であった。
次いで、得られた樹脂フィルム4の突起が形成された表面に膜厚が100nmになるようにアルミニウムを蒸着した。135℃で、横1.2倍となるように横一軸延伸(すなわち、延伸倍率R1が1.2倍、延伸倍率R2が1倍で延伸)した。この延伸により蒸着膜に亀裂が生じてグリッド線が形成された。トリアセチルセルロースからなる保護フィルムをウレタン系接着剤を介してグリッド線側に連続的に積層することにより長尺状のグリッド偏光フィルムを得た。
前記長尺状のグリッド偏光フィルムをロールから巻き出しながら、グリッド偏光フィルムの偏光透過軸と平行になるように吸収型偏光フィルムの片面にウレタン系接着剤を介して重ね合わせ、さらに吸収型偏光フィルムのもう一方の面にトリアセチルセルロースからなる長尺の保護フィルムをウレタン系接着剤を介して重ね合わせ、次いでこられをを加圧ローラーのニップに供給し圧着して、連続的に貼り合わせて、ロール状に巻き取ることにより長尺の光学積層体を得た。
入射端面側に冷陰極管が配置され、かつ裏面側に光反射シートが設けられた導光板の出射面側に、光拡散シート及び所定の大きさに切り抜いた上記光学積層体(グリッド偏光フィルムが光拡散シート側になるように配置)を順次重ね合わせて偏光光源装置を作製した。さらに、該偏光光源装置の上に、透過型のTN液晶表示素子、及び吸収型偏光板(グリッド偏光フィルムの偏光透過軸と直交になるように配置)を順次重ね合わせて液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置の正面輝度は、輝度計による測定で201cd/mであった。
比較例1
実施例2で作製した樹脂フィルム3を延伸方向と直交する方向の収縮率10%を維持しながら、135℃で1.2倍に一軸延伸することによりフィルム表面にアルミニウムからなるグリッド線を形成した。次いで、トリアセチルセルロースからなる保護フィルムをウレタン系接着剤を介してグリッド線側に積層することによりグリッド偏光フィルムを得た。得られたグリッド偏光フィルムを用いて輝度向上効果を測定したところ、正面輝度は170cd/mであった。
本発明の製造方法に用いる積層体の一例を示す斜視図である。 図1に示す積層体のA層とB層とを分離した状態を示す斜視図である。 図1に示す積層体から、本発明の製造方法で得られたグリッド偏光フィルムの一例を示す斜視図である。 本発明に用いるテンター同時二軸延伸機の一例を示す図である。
符号の説明
1:積層体
2:把持手段
3:無端リンク装置
4:入口側スプロケット
9:出口側スプロケット
5、6、7、8:ガイドレール
10:A層
12:突起
13:窪み
11:B層
15:第一の延伸方向
310:延伸後のA層
311:b層
312:溝部

Claims (16)

  1. 微細な突起を少なくとも一方の主面に離間して複数有する、樹脂からなるA層と、
    A層の突起を有する面に形成された、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなるB層と、を有する積層体を延伸することによって、前記B層に亀裂を生じさせることを含む、
    材料Xを含んでなる細長く線状に伸びたb層が互いに離間して状態で複数並んだグリッド偏光フィルムの製造方法。
  2. A層の突起が、1μmあたり、1〜10,000個ある、請求項1記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。
  3. A層の突起が、細長く線状に伸び、且つ離間して複数並んでいるものである、請求項1〜2のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。
  4. A層の突起は、その高さが10nm以上500nm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。
  5. 積層体を延伸した後に、前記b層の上に、透明保護層を少なくとも1層形成することをさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。
  6. 積層体を延伸する前に、前記B層の上に、透明保護層を少なくとも1層形成することをさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。
  7. A層が、樹脂基板に、平均粒径10nm〜500nmの粒子を含む塗布液を塗布し、乾燥することにより得られたものである、請求項1〜6のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。
  8. A層が、樹脂基板をエンボス加工して得られたものである、請求項1〜6のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。
  9. 材料Xが金属である、請求項1〜7のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。
  10. 金属がアルミニウムである、請求項9に記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。
  11. 積層体の延伸において、第一の延伸方向の延伸倍率R1が1.25〜10倍であり、第一の延伸方向に直交する第二の延伸方向の延伸倍率R2が0.85〜2倍であり、且つ延伸倍率R1が延伸倍率R2よりも大きい、請求項1〜10のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。
  12. 積層体が長尺であり、且つ延伸を連続的に行う、請求項1〜11のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。
  13. 第一の延伸方向が長尺積層体の幅方向と略平行である、請求項12記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法で得られたグリッド偏光フィルム。
  15. 請求項12に記載の方法で得られ、且つ偏光透過軸がフィルムの幅方向と略平行であるグリッド偏光フィルム。
  16. 請求項14または15に記載のグリッド偏光フィルムを備える液晶表示装置。
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