JP2007057450A - 多層膜反射鏡および露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射率が高く、応力が小さく、しかも総膜厚の小さい多層膜反射鏡を提供する。
【解決手段】本発明による多層膜反射鏡は、モリブデンを含む層(105、109)とシリコンを含む層(103、107)から成る層対を基板上に積み重ねた多層膜からなる。層対の厚さに対するモリブデンを含む層の厚さの比率をΓ値とした場合に、多層膜は、反射率に基づいてΓ値の範囲を定めた第1の組の層対(103、105)と、第1の組の層対の有する応力と反対の符号の応力を有するようにΓ値の範囲を定めた第2の組の層対(107、109)とを含む。多層膜の層対の総数は60以下であり、多層膜全体の反射率を最大とし、第1の組の層対の有する応力と第2の組の層対の有する応力とが相殺され多層膜全体の有する応力を最小とするように第1の組の層対のΓ値、第2の組の層対のΓ値、第1の組の層対の数および第2の組の層対の数を定めたことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明による多層膜反射鏡は、モリブデンを含む層(105、109)とシリコンを含む層(103、107)から成る層対を基板上に積み重ねた多層膜からなる。層対の厚さに対するモリブデンを含む層の厚さの比率をΓ値とした場合に、多層膜は、反射率に基づいてΓ値の範囲を定めた第1の組の層対(103、105)と、第1の組の層対の有する応力と反対の符号の応力を有するようにΓ値の範囲を定めた第2の組の層対(107、109)とを含む。多層膜の層対の総数は60以下であり、多層膜全体の反射率を最大とし、第1の組の層対の有する応力と第2の組の層対の有する応力とが相殺され多層膜全体の有する応力を最小とするように第1の組の層対のΓ値、第2の組の層対のΓ値、第1の組の層対の数および第2の組の層対の数を定めたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、極紫外線または軟X線を露光光源として用いる、露光装置および当該露光装置に使用される多層膜反射鏡に関するものである。
現在、半導体集積回路の製造方法として高い処理速度が得られる縮小投影露光法が広く利用されている。近年、半導体集積回路素子の微細化の進展に伴い、光の回折限界によって制限される光学系の解像力を向上させるために、従来の紫外線に代わって、これより波長の短い波長11〜14nm程度の軟X線を使用した投影リソグラフィ技術が開発されている(たとえば、非特許文献1参照)。この技術は、最近ではEUV(Extreme Ultraviolet: 極紫外線)リソグラフィとも呼ばれている。EUVリソグラフィは、従来の光リソグラフィ(波長190nm程度以上)では実現不可能な、50nm以下の解像力を有する将来のリソグラフィ技術として期待されている。
この波長域では物質の屈折率が1に非常に近いので、屈折や反射を利用した従来の光学素子は使用できない。屈折率が1よりも僅かに小さいことによる全反射を利用した斜入射ミラーや、界面での微弱な反射光の位相を合わせて多数重畳させて、全体として高い反射率を得る多層膜反射鏡などが使用される。13.4nm付近の波長域では、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層を交互に積層したMo/Si多層膜を用いると直入射で67.5%の反射率を得ることができる。
この波長域では物質の屈折率が1に非常に近いので、屈折や反射を利用した従来の光学素子は使用できない。屈折率が1よりも僅かに小さいことによる全反射を利用した斜入射ミラーや、界面での微弱な反射光の位相を合わせて多数重畳させて、全体として高い反射率を得る多層膜反射鏡などが使用される。13.4nm付近の波長域では、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層を交互に積層したMo/Si多層膜を用いると直入射で67.5%の反射率を得ることができる。
図7は、Mo/Si多層膜のMo/Si層対の厚さに対するモリブデン層の厚さの割合をΓ値とした場合に、Γ値とMo/Si多層膜のピーク反射率との関係を示す図である。1層対の厚さは7nm、層対数は50である。また、光の波長は13.5nmである。図からわかるように、高いピーク反射率を得るためには、Γ値は0.35乃至0.4であることが望ましい。
一般的に、Γ値は、モリブデンを含む層とシリコンを含む層から成る層対の厚さに対するモリブデンを含む層の厚さの比率として定義される。ただし、ここで、層の厚さとは界面拡散層が形成される場合には、界面拡散層を無視した設計上の層の厚さをいう。
一般的に、Γ値は、モリブデンを含む層とシリコンを含む層から成る層対の厚さに対するモリブデンを含む層の厚さの比率として定義される。ただし、ここで、層の厚さとは界面拡散層が形成される場合には、界面拡散層を無視した設計上の層の厚さをいう。
図8は、Mo/Si多層膜の層対の数とピーク反射率との関係を示す図である。1層対の厚さは7nm、Γ値は0.35である。また、光の波長は13.5nmである。図からわかるように、ピーク反射率は、層対の数の増加とともに増加するが、層対の数が50乃至60で飽和する。
したがって、従来のMo/Si多層膜の反射鏡は、ピーク反射率をできるだけ高くするように、Γ値が0.35乃至0.4であるMo/Si層対を50乃至60層対積層して形成されている。
EUVリソグラフィ用光学系をはじめとするEUV用多層膜を使用した光学系では、多層膜の有する膜応力が問題となる。多層膜の総膜厚は1ミクロン以下と薄いため、膜応力による基板の変形量は小さいが、EUVリソグラフィで使用される多層膜反射鏡には非常に高い形状の精度が求められるので、応力を制御し、低減する必要がある。
Mo/Si多層膜の応力低減の手法として、多層膜中におけるモリブデン層とシリコン層の厚さの割合を変えて成膜する手法が提案されている。
EUVリソグラフィ用光学系をはじめとするEUV用多層膜を使用した光学系では、多層膜の有する膜応力が問題となる。多層膜の総膜厚は1ミクロン以下と薄いため、膜応力による基板の変形量は小さいが、EUVリソグラフィで使用される多層膜反射鏡には非常に高い形状の精度が求められるので、応力を制御し、低減する必要がある。
Mo/Si多層膜の応力低減の手法として、多層膜中におけるモリブデン層とシリコン層の厚さの割合を変えて成膜する手法が提案されている。
図9は、Mo/Si多層膜のΓ値と多層膜応力との関係を示す図である。1層対の厚さは7nm、層対数は50である。また、光の波長は13.5nmである。図からわかるように、Γ値が0.35乃至0.4であるときに多層膜応力は、−500乃至−400MPaである。負の符号は、圧縮応力を示す。Γ値を0.5より大きくすると、膜応力は引張り応力に転ずる。Γ値が0.65の多層膜応力は+400MPa(引張り応力)となる。したがって、Γ値が0.35乃至0.4である、ピーク反射率の高い多層膜とほぼ同じ厚さだけ引張り応力を有する多層膜を成膜することによってピーク反射率の高い多層膜の応力をほぼ相殺できる。具体的には、まずΓ値が0.65のMo/Si多層膜を成膜し、その上にΓ値が0.35のMo/Si多層膜を成膜することによってお互いの応力を相殺する。このとき、表面側には反射率の高いΓが0.35のMo/Si多層膜が成膜されているので、低応力値と共に高い反射率が得られる。
多層膜応力は、多層膜の厚さに比例する。したがって、Γ値の異なる2組の多層膜の応力が、符号が異なり絶対値が等しくなるように、2組の多層膜のΓ値および厚さを定めれば、2組の多層膜全体の応力は相殺される。
モリブデン単層膜も引張り応力を有するので、応力相殺に利用することも可能である。しかし、モリブデン単層膜は厚さ10nm以上成膜された場合、表面粗さの増大が顕著になり、その上に成膜された多層膜の反射率は低下する。
モリブデン単層膜も引張り応力を有するので、応力相殺に利用することも可能である。しかし、モリブデン単層膜は厚さ10nm以上成膜された場合、表面粗さの増大が顕著になり、その上に成膜された多層膜の反射率は低下する。
D. Tichenor, et al., SPIE 2437 (1995) 292
上述のように、Γ値が0.35乃至0.4である、ピーク反射率の高い多層膜の応力を相殺するためには、応力を相殺するための膜を成膜する必要がある。したがって、多層膜の総膜厚は増大する。1層対の厚さが7nmでΓ値が0.35のMo/Si多層膜を50層対成膜した場合、総膜厚は350nmである。この多層膜の応力を1層対の厚さが7nmでΓ値が0.65の多層膜を50層対成膜して相殺する場合、総膜厚は2倍の700nmとなる。
EUV多層膜光学系では、多層膜の膜厚分布の誤差が反射波面の誤差となる。たとえば、厚さ350nmの多層膜を均一に成膜すべき面に誤差の割合0.1%P−V(Peak to Valley)で成膜がなされると、最表面には0.35nmP−Vの誤差が生じる。厚さ700nmの多層膜でこれと同じ誤差の範囲に抑えるには、許容される誤差の割合は0.05%P−Vと厳しくなる。また、多層膜の成膜に必要な時間が増大すると同時に、成膜時に必要となる物質の量も増大する。
したがって、反射率が高く、応力が小さく、しかも総膜厚の小さい多層膜反射鏡に対するニーズがある。
EUV多層膜光学系では、多層膜の膜厚分布の誤差が反射波面の誤差となる。たとえば、厚さ350nmの多層膜を均一に成膜すべき面に誤差の割合0.1%P−V(Peak to Valley)で成膜がなされると、最表面には0.35nmP−Vの誤差が生じる。厚さ700nmの多層膜でこれと同じ誤差の範囲に抑えるには、許容される誤差の割合は0.05%P−Vと厳しくなる。また、多層膜の成膜に必要な時間が増大すると同時に、成膜時に必要となる物質の量も増大する。
したがって、反射率が高く、応力が小さく、しかも総膜厚の小さい多層膜反射鏡に対するニーズがある。
本発明による多層膜反射鏡は、モリブデンを含む層とシリコンを含む層から成る層対を基板上に積み重ねた多層膜からなる。層対の厚さに対するモリブデンを含む層の厚さの比率をΓ値とした場合に、多層膜は、反射率に基づいてΓ値の範囲を定めた第1の組の層対と、第1の組の層対の有する応力と反対の符号の応力を有するようにΓ値の範囲を定めた第2の組の層対とを含む。多層膜の層対の総数は60以下であり、多層膜全体の反射率を最大とし、第1の組の層対の有する応力と第2の組の層対の有する応力とが相殺され多層膜全体の有する応力を最小とするように第1の組の層対のΓ値、第2の組の層対のΓ値、第1の組の層対の数および第2の組の層対の数を定めたことを特徴とする。
本発明によれば、多層膜の層対の総数は60以下でありながら、多層膜全体の反射率を最大とし、多層膜全体の有する応力を最小とするように第1の組の層対のΓ値、第2の組の層対のΓ値、第1の組の層対の数および第2の組の層対の数を定めているので、多層膜全体の反射率が高く、多層膜全体の有する応力が小さく、しかも総膜厚の小さい多層膜反射鏡が得られる。
本発明によれば、多層膜反射鏡の、全体の反射率を高くし、多層膜全体の有する応力を小さくし、しかも総膜厚を小さくして多層膜の膜厚分布の誤差を抑えることができる。したがって、反射波面の誤差も小さくすることができる。さらに、多層膜の成膜に必要な時間を小さくし、成膜時に必要となる物質の量を少なくすることができる。
図1は、本発明の第一の実施形態の構成を示す図である。
本実施形態の多層膜は、表面側の構造A1と基板101側の構造B1とから成る。構造A1は、2.74nmのモリブデン層105と4.14nmのシリコン層103の層対から成る。本実施形態において構造A1の層対の数は25である。構造B1は、4.58nmのモリブデン層109と2.46nmのシリコン層107の層対から成る。本実施形態において構造B1の層対の数は25である。構造A1の1層対の厚さは6.88nm、Γ値は0.398である。構造B1の1層対の厚さは7.04nm、Γ値は0.651である。本実施形態において構造A1の多層膜応力は−350MPa(圧縮応力)、構造B1の多層膜応力は350MPa(引張り応力)であり、全体としての多層膜応力の絶対値は、20MPa以下である。
本実施形態において、構造A1の層対が特許請求の範囲の第1の組の層対に対応し、構造B1の層対が特許請求の範囲の第2の組の層対に対応する。
図2は、種々の多層膜に関し、波長と反射率との関係を示す図である。
「A1+B1」は、25層対の構造A1と25層対の構造B1から成る、本実施形態の多層膜を示す。「A1」は、50層対の構造A1から成る多層膜を示す。「B1」は、50層対の構造B1から成る多層膜を示す。
50層対の構造A1から成る多層膜について、ピーク反射率は74.6%、ピーク反射率の半分の値より以上の反射率を示す波長範囲である半値幅は、0.61nmである。50層対の構造B1から成る多層膜について、ピーク反射率は66.6%、半値幅は、0.57nmである。このように、50層対の構造B1から成る多層膜の反射率および半値幅は、50層対の構造A1から成る多層膜の値より大幅に低下している。これに対して、25層対の構造A1と25層対の構造B1から成る多層膜について、ピーク反射率は74.2%、半値幅は、0.57nmである。このように、25層対の構造A1と25層対の構造B1から成る多層膜のピーク反射率は、50層対の構造A1から成る多層膜の反射率とほぼ変わらない。すなわち、25層対の構造A1と25層対の構造B1から成る多層膜は、多層膜応力がきわめて小さいことに加え、50層対の構造A1から成る多層膜とほぼ同じピーク反射率および膜厚を有する。
50層対の構造A1から成る多層膜について、ピーク反射率は74.6%、ピーク反射率の半分の値より以上の反射率を示す波長範囲である半値幅は、0.61nmである。50層対の構造B1から成る多層膜について、ピーク反射率は66.6%、半値幅は、0.57nmである。このように、50層対の構造B1から成る多層膜の反射率および半値幅は、50層対の構造A1から成る多層膜の値より大幅に低下している。これに対して、25層対の構造A1と25層対の構造B1から成る多層膜について、ピーク反射率は74.2%、半値幅は、0.57nmである。このように、25層対の構造A1と25層対の構造B1から成る多層膜のピーク反射率は、50層対の構造A1から成る多層膜の反射率とほぼ変わらない。すなわち、25層対の構造A1と25層対の構造B1から成る多層膜は、多層膜応力がきわめて小さいことに加え、50層対の構造A1から成る多層膜とほぼ同じピーク反射率および膜厚を有する。
本実施形態において層対の厚さは約7nmとしたが、層対の厚さはこれに限るものではなく、これより大きくても小さくてもよい。また、所望の反射率と所望の多層膜応力が得られれば、反射率を大きくするための層のΓ値と応力を相殺する層のΓ値を任意に選択することができる。
図3は、本発明の第二の実施形態の構成を示す図である。
図3は、本発明の第二の実施形態の構成を示す図である。
本実施形態の多層膜は、表面側の構造A1と基板側101の構造B1とから成る。構造A1は、2.74nmのモリブデン層105と4.14nmのシリコン層103の層対から成る。本実施形態において構造A1の層対の数は25である。構造B1は、4.58nmのモリブデン層109と2.46nmのシリコン層107の層対から成る。本実施形態において構造B1の層対の数は25である。構造A1の1層対の厚さは6.88nm、Γ値は0.398である。構造B1の1層対の厚さは7.04nm、Γ値は0.651である。さらに、構造A1と構造B1との間には厚さ1nmのシリコン層111が附加されている。シリコン層111は、多層膜内において、反射波の位相を調整するための調整層である。本実施形態において構造A1の多層膜応力は−350MPa(圧縮応力)、構造B1の多層膜応力は350MPa(引張り応力)であり、全体としての多層膜応力の絶対値は、20MPa以下である。
図4は、調整層がある場合とない場合とについて、波長と多層膜の反射率との関係を示す図である。調整層がない場合は、図2における「A1+B1」の場合に相当する。調整層がない場合の反射率のピーク値は、74.2%であるが、調整層がある場合の反射率のピーク値は、74.4%である。また、調整層がない場合の半値幅は、0.57nmであるが、調整層がある場合の半値幅は、0.61nmである。
このように反射率のピークおよび半値幅が増加する理由は、構造A1および構造B1のΓ値が異なるために、これらを単純に重ね合わせただけでは構造A1および構造B1の反射波の位相がうまく揃わないが、調整層を付加して位相差を調整することによって両者の位相がうまく揃うためである。本実施形態により、応力が小さく、高反射率であると同時に、反射率ピークの半値幅が大きな、総膜厚約350nmの多層膜が実現される。
本実施形態ではモリブデン層とシリコン層により多層膜構造が形成されているが、多層膜を形成する物質はこれに限るものではない。たとえば、後で説明するように、モリブデン層をルテニウム層やモリブデン−ルテニウム合金層に置き換えても良い。
本実施形態では調整層はシリコン層であるが、これに限るものではなく、カーボン、モリブデン、ルテニウム、炭化ホウ素(B4C)などのいずれかから成る層でもよい。
本実施形態では調整層の厚さを1nmとしているが、その厚さはこれに限るものではない。調整層の厚さは、構造A1およびB1の反射波の位相を揃えるように、0.5nm乃至2nmであることが望ましい。
図4は、調整層がある場合とない場合とについて、波長と多層膜の反射率との関係を示す図である。調整層がない場合は、図2における「A1+B1」の場合に相当する。調整層がない場合の反射率のピーク値は、74.2%であるが、調整層がある場合の反射率のピーク値は、74.4%である。また、調整層がない場合の半値幅は、0.57nmであるが、調整層がある場合の半値幅は、0.61nmである。
このように反射率のピークおよび半値幅が増加する理由は、構造A1および構造B1のΓ値が異なるために、これらを単純に重ね合わせただけでは構造A1および構造B1の反射波の位相がうまく揃わないが、調整層を付加して位相差を調整することによって両者の位相がうまく揃うためである。本実施形態により、応力が小さく、高反射率であると同時に、反射率ピークの半値幅が大きな、総膜厚約350nmの多層膜が実現される。
本実施形態ではモリブデン層とシリコン層により多層膜構造が形成されているが、多層膜を形成する物質はこれに限るものではない。たとえば、後で説明するように、モリブデン層をルテニウム層やモリブデン−ルテニウム合金層に置き換えても良い。
本実施形態では調整層はシリコン層であるが、これに限るものではなく、カーボン、モリブデン、ルテニウム、炭化ホウ素(B4C)などのいずれかから成る層でもよい。
本実施形態では調整層の厚さを1nmとしているが、その厚さはこれに限るものではない。調整層の厚さは、構造A1およびB1の反射波の位相を揃えるように、0.5nm乃至2nmであることが望ましい。
構造A1または構造B1のモリブデン層をモリブデン合金層と置き換えてもよい。モリブデン層は膜厚が厚くなると粗さが増大する傾向にあるため、Γ値の大きな多層膜では界面粗さが大きくなってしまい、反射率が低下する恐れがある。しかし、モリブデン層を合金層化することによって粗さを抑えることができる。たとえば、モリブデンにルテニウムを混ぜて合金化することが有効である。モリブデン−ルテニウム合金は、さらに、反射率の半値幅を増大させる効果も生じる。以下の表1は、種々の構造の多層膜について、ピーク反射率と半値幅を示す。表1において、モリブデン−ルテニウム合金のルテニウム含有率は10%である。25層対からなる構造A1および25層対からなるB1の双方にモリブデン−ルテニウム合金層を使用した場合に、半値幅は、0.66nmとなる。
(表1)
(表1)
図5は、50層対からなる構造A1の多層膜について、モリブデンを含む層のルテニウム含有率とピーク反射率および半値幅との関係を示す図である。
モリブデンを含む層のルテニウム含有率が0%、10%、20%、50%および100%の場合の反射率ピークの値は、それぞれ74.6%、74.6%、73.6%,71.1%、68.8%である。ルテニウムの比率が20%までの場合、反射率の低下量は小さく、特に10%以下であれば反射率は低下しない。これに対し、分光反射率の半値幅は、それぞれ0.61nm、0.66nm、0.67nm、0.68nm、0.81nm、であり、ルテニウム含有率が10%の場合の半値幅は、ルテニウム含有率が0%の場合の半値幅より8%大きい。このように、ルテニウム含有率は20%(重量比)以下であることが望ましい。
モリブデンを含む層のルテニウム含有率が0%、10%、20%、50%および100%の場合の反射率ピークの値は、それぞれ74.6%、74.6%、73.6%,71.1%、68.8%である。ルテニウムの比率が20%までの場合、反射率の低下量は小さく、特に10%以下であれば反射率は低下しない。これに対し、分光反射率の半値幅は、それぞれ0.61nm、0.66nm、0.67nm、0.68nm、0.81nm、であり、ルテニウム含有率が10%の場合の半値幅は、ルテニウム含有率が0%の場合の半値幅より8%大きい。このように、ルテニウム含有率は20%(重量比)以下であることが望ましい。
図6は、本発明による多層膜反射鏡を使用した露光装置の構成を示す図である。
光源31から放出されたEUV光は、コリメータミラーとして作用する凹面反射鏡34を介してほぼ平行光束となり、一対のフライアイミラー35aおよび35bからなるオプティカルインテグレータ35に入射する。
こうして、フライアイミラー35bの反射面の近傍、すなわちオプティカルインテグレータ35の射出面の近傍には、所定の形状を有する実質的な面光源が形成される。実質的な面光源からの光は平面反射鏡36により偏向された後、マスクM上に細長い円弧状の照明領域を形成する。ここで、円弧状の照明領域を形成するための開口板は、図示していない。マスクMの表面で反射された光は、その後、投影光学系37の多層膜反射鏡M1、M2、M3、M4、M5、M6で順に反射されて、露光光1として、マスクMの表面に形成されたパターンの像を、ウエハ2上に塗布されたレジスト3上に形成する。
光源31から放出されたEUV光は、コリメータミラーとして作用する凹面反射鏡34を介してほぼ平行光束となり、一対のフライアイミラー35aおよび35bからなるオプティカルインテグレータ35に入射する。
こうして、フライアイミラー35bの反射面の近傍、すなわちオプティカルインテグレータ35の射出面の近傍には、所定の形状を有する実質的な面光源が形成される。実質的な面光源からの光は平面反射鏡36により偏向された後、マスクM上に細長い円弧状の照明領域を形成する。ここで、円弧状の照明領域を形成するための開口板は、図示していない。マスクMの表面で反射された光は、その後、投影光学系37の多層膜反射鏡M1、M2、M3、M4、M5、M6で順に反射されて、露光光1として、マスクMの表面に形成されたパターンの像を、ウエハ2上に塗布されたレジスト3上に形成する。
本発明による多層膜反射鏡は、多層膜全体の反射率が高く、多層膜全体の有する応力が小さく、しかも総膜厚の小さい多層膜で構成され、多層膜の膜厚分布の誤差を抑えることができ、反射波面の誤差が小さい。したがって、本発明による多層膜反射鏡を使用する本発明の露光装置の投影光学系の収差は小さい。
101…基板、103、107…シリコンを含む層、105、109…モリブデンを含む層、111…調整層
Claims (7)
- モリブデンを含む層とシリコンを含む層から成る層対を基板上に積み重ねた多層膜からなる多層膜反射鏡であって、層対の厚さに対するモリブデンを含む層の厚さの比率をΓ値とした場合に、多層膜は、反射率に基づいてΓ値の範囲を定めた第1の組の層対と、第1の組の層対の有する応力と反対の符号の応力を有するようにΓ値の範囲を定めた第2の組の層対とを含み、多層膜の層対の総数は60以下であり、多層膜全体の反射率を最大とし、第1の組の層対の有する応力と第2の組の層対の有する応力とが相殺され多層膜全体の有する応力を最小とするように第1の組の層対のΓ値、第2の組の層対のΓ値、第1の組の層対の数および第2の組の層対の数を定めたことを特徴とする多層膜反射鏡。
- 第1の組の層対の前記Γ値の範囲が0.3から0.4の範囲であり、第2の組の層対の前記Γ値の範囲が0.5より大きいことを特徴とする請求項1に記載の多層膜反射鏡。
- 第1の組の層対の厚さと第2の組の層対の厚さがほぼ等しいことを特徴とする請求項1または2に記載の多層膜反射鏡。
- 第1の組の層対又は第2の組の層対のモリブデンを含む層がモリブデン・ルテニウム合金からなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の多層膜反射鏡。
- 多層膜全体の反射率を高めるように、第1の組の層対と第2の組の層対との間に、反射波の位相を調整する少なくとも1つの調整層を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の多層膜反射鏡。
- 前記調整層がシリコン、モリブデン、ルテニウム、炭素、ホウ素のいずれかまたはそれらを含む物質からなることを特徴とする請求項5に記載の多層膜反射鏡。
- 請求項1から6のいずれかに記載の多層膜反射鏡を使用した光学系を有することを特徴とする投影露光装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005245269A JP2007057450A (ja) | 2005-08-26 | 2005-08-26 | 多層膜反射鏡および露光装置 |
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