JP2007056837A - 可変圧縮比内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動源の運動を出力機素に伝え、該出力機素の作動により内燃機関の気筒内における燃焼室の容積および/またはピストンのストロークを変更することによって前記内燃機関の圧縮比を変更する可変圧縮比内燃機関において、前記出力機素の過作動または圧縮比のオーバーシュートを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】出力機素の作動により内燃機関の気筒内における燃焼室の容積および/またはピストンのストロークを変更することによって前記内燃機関の圧縮比を変更する可変圧縮比内燃機関において、前記可変圧縮比内燃機関の圧縮比の値に応じて前記出力機素の運動速度を変更する。
【選択図】図8

Description

本発明は、駆動源の運動を出力機素に伝え、該出力機素の作動によって内燃機関の気筒内における燃焼室の容積および/またはピストンのストロークを変更することによって前記内燃機関の圧縮比を変更する可変圧縮比内燃機関に関する。
近年、内燃機関の燃費性能や出力性能などを向上させることを目的とした、内燃機関の圧縮比を可変にする技術が提案されている。この種の技術としては、シリンダブロックとクランクケースとを相対移動可能に連結するとともにその連結部分にカム軸を設け、前記カム軸を回動させてシリンダブロックとクランクケースとを、気筒の軸線方向に相対移動させることで燃焼室の容積を変更し、以て内燃機関の圧縮比を変更する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
また、コンロッドを2分割し、クランクシャフトに連結された方のコンロッドに所定の揺動中心を中心に揺動可能な揺動部材を連結し、前記揺動中心がカム軸を回転させることによって移動することで燃焼室の容積及びピストンのストロークを変更し、以って内燃機関の圧縮比を変更する技術も提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
ここで、モータなどの駆動源の運動によって前記カム軸を回転させ、前記カム軸の回転と連動させて内燃機関の圧縮比を変更する場合、前記カム軸が過回転することにより、内燃機関の圧縮比が目標圧縮比を超えてオーバーシュートしてしまうことが考えられる。
そうすると、内燃機関の圧縮比が高圧縮比側にオーバーシュートする場合には、ノッキングが発生するおそれが生じ、低圧縮比側にオーバーシュートする場合には、トルクが不足するおそれが生じる。その結果、内燃機関の安定した稼動が損なわれる場合があった。また、前記カム軸あるいは、駆動源の運動をカム軸に伝えるギアの回転が機械的に制限されている場合には、前記カム軸またはギアが過回転することにより、部品同士の衝突やギアの噛み込みが生じ、装置の耐久性に悪影響を及ぼす場合があった。
特開2003−206771号公報 特開2001−317383号公報 特開2003−232437号公報 特開2004−125015号公報 特開平4−22716号公報 特開2003−13762号公報 特開2003−13758号公報
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、駆動源の運動を出力機素に伝え、該出力機素の作動により内燃機関の気筒内における燃焼室の容積および/またはピストンのストロークを変更することによって前記内燃機関の圧縮比を変更する可変圧縮比内燃機関において、前記出力機素の過作動または圧縮比のオーバーシュートを抑制できる技術を提供することである。
上記目的を達成するための本発明は、出力機素の作動により内燃機関の気筒内における燃焼室の容積および/またはピストンのストロークを変更することによって前記内燃機関
の圧縮比を変更する可変圧縮比内燃機関において、
前記可変圧縮比内燃機関の圧縮比の値に応じて前記出力機素の運動速度を変更することを最大の特徴とする。
より詳しくは、駆動源の運動を出力機素に伝え、該出力機素の作動により内燃機関の気筒内における燃焼室の容積および/またはピストンのストロークを変更することによって前記内燃機関の圧縮比を変更し、前記出力機素の角度または位置によって前記圧縮比が決定される可変圧縮比内燃機関であって、
前記可変圧縮比内燃機関の圧縮比を変更する際に、圧縮比の値に応じて前記出力機素の運動速度を変更することを特徴とする。
すなわち、前記出力機素の角度または位置によって、前記内燃機関の圧縮比が一義的に決定される可変圧縮比内燃機関においては、前記出力機素の角度または位置と前記内燃機関の圧縮比の値が必ずしもリニアな関係にないことが多い。従って、例えば出力機素の運動速度を圧縮比の値に係らず一定にしたのでは、圧縮比の値によってその変化速度が変わり、圧縮比の変更を円滑に行うことができなくなる場合があった。また、圧縮比を目標圧縮比まで変更する制御において、圧縮比を一定速度で変更させたのでは圧縮比を変更先の目標圧縮比に円滑に収束させることが困難になる場合があった。
そこで、本発明においては、前記出力機素の角度または位置によって、前記内燃機関の圧縮比が一義的に決定される可変圧縮比内燃機関において、前記可変圧縮比内燃機関の圧縮比を変更する際に、圧縮比の値に応じて前記出力機素の運動速度を変更することとした。
そうすれば、前記出力機素の角度または位置と圧縮比の変更の際の圧縮比変化の態様を適宜変更することができ、前記圧縮比を円滑に変更することができる。例えば、前記出力機素の角度または位置と前記内燃機関の圧縮比の値がリニアな関係にない場合にも、前記圧縮比を目標圧縮比まで、急激な圧縮比の変化を抑制しつつ変更することができる。また、圧縮比の変更の開始及び終了時において無理のない変更速度を選択することができ、圧縮比を目標圧縮比に、より確実に収束させることができる。
ここで、本発明においては、前記可変圧縮比内燃機関の圧縮比を目標圧縮比に変更する際に、圧縮比の値が目標圧縮比となる前の所定圧縮比範囲において、前記出力機素の運動速度を低減するようにしてもよい。
そうすれば、圧縮比が目標圧縮比に達した時点における前記出力機素を含む移動部品の慣性を抑えることができ、前記出力機素の過作動または圧縮比のオーバーシュートを抑制することができる。その結果、圧縮比の目標圧縮比への変更時間を短縮することができ、圧縮比の制御性を向上させることができる。ここで所定圧縮比範囲とは、圧縮比変化の途中で、この範囲に達した際に前記出力機素の運動速度を低減することにより、圧縮比のオーバーシュートを抑制することができる圧縮比の範囲であり、変更前の圧縮比及び目標圧縮比の値に応じて予め設定された圧縮比の範囲である。
この際、前記所定圧縮比範囲において、前記内燃機関の圧縮比の値が目標圧縮比に近づく程、前記出力機素の運動速度が低くなるようにしてもよい。そうすれば、より円滑に前記出力機素の過作動および圧縮比のオーバーシュートを抑制することができる。
また、本発明においては、前記可変圧縮比内燃機関の圧縮比を変更する際に、圧縮比の値が前記内燃機関の圧縮比の可変範囲における限界値の近傍の所定限界圧縮比範囲において、前記出力機素の運動速度を低減するようにしてもよい。
そうすれば、前記内燃機関の圧縮比の可変範囲(以下、「圧縮比可変範囲」という。)における限界値の近傍において、前記出力機素が過作動することにより圧縮比がオーバーシュートし、可変範囲から外れてしまうことを抑制できる。また、前記出力機素を含む機構部品の可動範囲が機械的に制限されているような場合には、機構部品同士の衝突を抑制できる。特に前記駆動源の運動をギアを用いて前記出力機素に伝える場合には、ギア同士の噛み込みの発生を抑制することができる。ここで所定限界圧縮比範囲とは、圧縮比変化の途中で、この範囲に達した際に前記出力機素の運動速度を低減することにより、圧縮比の限界値からのオーバーシュートを抑制することができる圧縮比の範囲であり、予め設定された圧縮比の範囲である。また、前記内燃機関の圧縮比可変範囲における限界値とは、内燃機関で変更可能に設定されている圧縮比の範囲の最大値または最小値を意味する。
また、この場合、前記所定限界圧縮比範囲において、前記内燃機関の圧縮比の値が前記限界値に近づく程、前記出力機素の運動速度が低くなるようにしてもよい。そうすれば、より確実に、前記内燃機関の圧縮比可変範囲における限界値の近傍において、前記出力機素が過作動することにより圧縮比がオーバーシュートし、可変範囲から外れてしまうことを抑制できる。
さらに、前記所定限界圧縮比範囲において、前記内燃機関の圧縮比の値が前記限界値に近づく場合は、前記内燃機関の圧縮比の値が前記限界値から遠ざかる場合より前記出力機素の運動速度が低いようにしてもよい。そうすれば、前記所定限界圧縮比範囲においても、前記出力機素が過作動することにより圧縮比がオーバーシュートしてしまうおそれがない場合には、前記出力機素の運動速度を低減しないので、平均的にはより迅速に圧縮比を変更することができる。
加えて、前記所定限界圧縮比範囲は、前記内燃機関の圧縮比可変範囲における高圧縮比側の限界値近傍の圧縮比範囲であるようにしてもよい。すなわち、高圧縮比側の限界値近傍の圧縮比範囲においてのみ、前記内燃機関の圧縮比の値が前記限界値に近づく場合には、前記内燃機関の圧縮比の値が前記限界値から遠ざかる場合より前記出力機素の運動速度が低くなるようにしてもよい。
そうすれば、圧縮比が高圧縮比側の圧縮可変範囲の限界値近傍である場合に、圧縮比がさらに高圧縮比側に変更される場合には、低圧縮比側に変更される場合と比較して、変化速度が小さくなる。その結果、圧縮比が高圧縮比側にオーバーシュートすることをより確実に抑制することができるとともに、低圧縮比側には比較的早く圧縮比を変更することができ、ノッキングの発生をより確実に抑制することができる。
次に、本発明においては、前記出力機素の運動速度は、該出力機素の角度または位置の変化に対する前記圧縮比の変化率が大きい程、低くなるように変化させてもよい。
前述のように、前記出力機素の角度または位置によって、前記内燃機関の圧縮比が一義的に決定される可変圧縮比内燃機関においては、前記出力機素の角度または位置と前記内燃機関の圧縮比の値が必ずしもリニアな関係にないことが多い。そのような場合に、前記出力機素の運動速度を、該出力機素の角度または位置の変化に対する前記圧縮比の変化率が大きい程、低くなるように変化させれば、前記内燃機関の圧縮比の変化速度をリニアに近づけることができる。その結果、より円滑に前記内燃機関の圧縮比を変化させることができる。
なお、前記出力機素の運動速度は、前記駆動源の運動速度を変化させることによって変化するようにしてもよい。その場合、前記出力機素は、前記駆動源の運動が伝えられるこ
とによって作動するので、前記駆動源の運動速度を変化させることによって、より容易に前記出力機素の運動速度を変化させることができる。また、前記駆動源としてモータを用いる場合には、モータの回転速度の制御をすることによって前記出力機素の運動速度を変化させることができるので、ソフト的な手法でより容易に前記出力機素の運動速度を変化させることができ、速度決定の自由度を増加させることができる。
また、本発明においては、前記駆動源の運動に伴って直進運動を行う直進部材と、
前記直進部材と前記出力機素とを連結し、前記直進部材の直進運動に伴って伸縮するとともに前記出力機素を回転させる連結部材と、
を備え、
前記直進部材は前記出力機素の回転軸と交差せずに直交する直線上を移動し、
前記直進部材が前記出力機素の回転軸から前記直線に下ろした垂線と、前記直線との交点に前記直進部材が位置する状態において、前記圧縮比が圧縮比可変範囲の略中央値となるように、前記出力機素と前記連結部材との位置関係が調整されるようにし、この機構によって前記内燃機関の出力機素の運動速度を決定するようにしてもよい。
そうすれば、前記圧縮比が圧縮比可変範囲の中央にあるときには、前記直進部材と前記出力機素との距離が最短になるとともに、前記直進部材の進行方向が前記出力機素の前記連結部材との接続部における回転方向と一致するので、直進部材の単位距離の移動による前記出力機素の回転角を大きくすることができる。一方、前記圧縮比が可変圧縮比範囲の限界値近傍にある場合には、前記直進部材と出力機素の距離が遠くなるとともに、前記直進部材の進行方向と、前記出力機素の前記連結部材の接続部における回転方向との間の角度が大きくなるので、直進部材の単位距離の移動による前記出力機素の回転角を小さくすることができる。
すなわち、上記構成において前記直進部材を等速で直進運動させれば、自動的に、前記圧縮比が可変圧縮比範囲の中心にある場合に出力機素の回転速度を最大にし、圧縮比が可変圧縮比範囲の限界値に近づくにつれて出力機素の回転速度を遅くすることができる。これにより、より簡単な制御で、前記圧縮比が圧縮比可変範囲の限界値近傍である場合に圧縮比がオーバーシュートすることを抑制することができる。
次に、本発明においては、前記内燃機関の圧縮比が、前記内燃機関の圧縮比可変範囲における限界値の近傍の第2所定限界圧縮比範囲に属している場合は、前記圧縮比を前記内燃機関の圧縮比可変範囲における限界値に近づく方向に変化させないようにしてもよい。
ここで、上記において、前記可変圧縮比内燃機関の圧縮比を変更する際に、圧縮比の値が前記内燃機関の圧縮比可変範囲における限界値の近傍の所定限界圧縮比範囲において、前記出力機素の運動速度を低減し、さらに、前記内燃機関の圧縮比の値が前記限界値に近づく場合には、前記内燃機関の圧縮比の値が前記限界値から遠ざかる場合より前記出力機素の運動速度が低くすることについて説明した。
ここにおいて、圧縮比の値が所定限界圧縮比範囲に属している場合で、且つ前記圧縮比が前記内燃機関の圧縮比可変範囲における限界値側に変化する場合には、圧縮比の変化速度が小さい状態で圧縮比が変更されることになる。しかし、圧縮比の変化速度が小さい状態において限界値に近い圧縮比を制御しても得られるメリットは少ない場合がある。
従って、本発明においては、前記内燃機関の圧縮比が、前記内燃機関の圧縮比可変範囲における限界値の近傍の第2所定限界圧縮比範囲に属している場合は、前記圧縮比を前記内燃機関の圧縮比可変範囲における限界値に近づく方向に変化させないようにしてもよい。そうすれば、真に効果がある場合にのみ圧縮比を変化させることができ、効果が少ない
状態で無駄に圧縮比を変更することを抑制できる。その結果、エネルギー効率を向上させ、燃費を向上させることができる。なお、第2所定限界圧縮比範囲とは、前記圧縮比を限界値に近づく方向に変化させないことによる、トルク不足及びノッキングのリスク増大が少なく、且つエネルギー効率を向上させることができる限界値近傍の圧縮比の範囲であり、予め実験的または設計的に設定された圧縮比の範囲である。
なお、上記した本発明の課題を解決する手段については、可能なかぎり組み合わせて用いることができる。
本発明にあっては、駆動源の運動を出力機素に伝え、該出力機素の作動により内燃機関の気筒内における燃焼室の容積および/またはピストンのストロークを変更することによって前記内燃機関の圧縮比を変更する可変圧縮比内燃機関において、前記出力機素の過作動または圧縮比のオーバーシュートを抑制することができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。
以下に説明する内燃機関1は、可変圧縮比内燃機関であり、シリンダ2を有するシリンダブロック3を、ピストンが連結されたクランクケース4に対してシリンダ2の中心軸方向に移動させることによって圧縮比を変更するものである。
先ず、図1を用いて、本実施例に係る可変圧縮比内燃機関の構成について説明する。図1に示されるように、シリンダブロック3の両側下部に複数の隆起部が形成されており、
この各隆起部に軸受収納孔5が形成されている。軸受収納孔5は、円形をしており、シリンダ2の軸方向に対して直角に、かつ複数のシリンダ2の配列方向に平行になるようにそれぞれ形成されている。軸受収納孔5はすべて同一軸線上に位置している。そして、シリンダブロック3の両側の軸受収納孔5の一対の軸線は平行である。
クランクケース4には、上述した軸受収納孔5が形成された複数の隆起部の間に位置するように、立壁部が形成されている。各立壁部のクランクケース4外側に向けられた表面には、半円形の凹部が形成されている。また、各立壁部には、ボルト6によって取り付けられるキャップ7が用意されており、キャップ7も半円形の凹部を有している。また、各立壁部にキャップ7を取り付けると、円形のカム収納孔8が形成される。カム収納孔8の形状は、上述した軸受収納孔5と同一である。
複数のカム収納孔8は、軸受収納孔5と同様に、シリンダブロック3をクランクケース4に取り付けたときにシリンダ2の軸方向に対して直角に、且つ、複数のシリンダ2の配列方向に平行になるようにそれぞれ形成されている。これらの複数のカム収納孔8も、シリンダブロック3の両側に形成されることとなり、片側の複数のカム収納孔8はすべて同一軸線上に位置している。そして、シリンダブロック3の両側のカム収納孔8の一対の軸線は平行である。また、両側の軸受収納孔5の間の距離と、両側のカム収納孔8との間の距離は同一である。
交互に配置される二列の軸受収納孔5とカム収納孔8には、それぞれカム軸9が挿通される。カム軸9は、図1に示されるように、軸部9aと、軸部9aの中心軸に対して偏心された状態で軸部9aに固定された正円形のカムプロフィールを有するカム部9bと、カム部9bと同一外形を有し軸部9aに対して回転可能に取り付けられた可動軸受部9cと
が交互に配置されている。一対のカム軸9は鏡像の関係を有している。また、カム軸9の端部には、後述する扇状ギア10の取り付け部9dが形成されている。軸部9aの中心軸と取り付け部9dの中心とは偏心しており、カム部9bの中心と取り付け部9dの中心とは一致している。
可動軸受部9cも、軸部9aに対して偏心されておりその偏心量はカム部9bと同一である。また、各カム軸9において、複数のカム部9bの偏心方向は同一である。また、可動軸受部9cの外形は、カム部9bと同一直径の正円であるので、可動軸受部9cを回転させることで、複数のカム部9bの外表面と複数の可動軸受部9cの外側面とを一致させることができる。
各カム軸9の一端には扇型の円弧部分にギア歯を有する扇状ギア10が取り付けられている。一対のカム軸9の端部に固定された一対の扇状ギア10には、ウォームギア11a、11bがかみ合っている。ウォームギア11a、11bは単一のモータ12の一本の出力軸にとりつけられている。ウォームギア11a、11bは、互いに逆方向に回転する螺旋溝を有している。このため、モータ12を回転させると、一対のカム軸9は、扇状ギア10を介して互いに逆方向に回転する。モータ12は、シリンダブロック3に固定されており、シリンダブロック3と一体的に移動する。
次に、上述した構成の内燃機関1において圧縮比を制御する方法について詳しく説明する。図2(a)から図2(c)にシリンダブロック3と、クランクケース4と、これら両者の間に構築されたカム軸9との関係を示した断面図を示す。図2(a)から図2(c)において、軸部9aの中心軸をa、カム部9bの中心をb、可動軸受部9cの中心をcとして示す。図2(a)は、軸部9aの延長線上から見て全てのカム部9b及び可動軸受部9cの外周が一致した状態である。このとき、ここでは一対の軸部9aは、軸受収納孔5及びカム収納孔8の中で外側に位置している。
図2(a)の状態から、モータ12を駆動して軸部9a矢印方向に回転させると、図2(
b)の状態となる。このとき、軸部9aに対して、カム部9bと可動軸受部9cの偏心方
向にずれが生じるので、クランクケース4に対してシリンダブロック3を上死点側にスライドさせることができる。そして、そのスライド量は図2(c)のような状態となるまでカム軸9を回転させたときが最大となり、カム部9bや可動軸受部9cの偏心量の2倍となる。カム部9b及び可動軸受部9cは、それぞれカム収納孔8及び軸受収納孔5の内部で回転し、それぞれカム収納孔8及び軸受収納孔5の内部で軸部9aの位置が移動するのを許容している。
ここで、本実施例における内燃機関1においては、上述のように、駆動源の一例であるモータ12の回転をウォームギア11a、11b及び、扇状ギア10を介して出力機素の一例であるカム軸9に伝え、カム軸9を回転させることによって圧縮比を変更している。このような場合、扇状ギア10及びカム軸9の回転角と圧縮比とは必ずしもリニアになっていない。
図3及び図4を用いてこのことについて説明する。図3(a)は、カム軸9における軸部9a、カム部9b、可動軸受部9cの運動をモデル化した図である。図3(a)においてPは軸部9aの中心、eは軸部9aの中心からカム部9b、可動軸受部9cのカム面における偏心量が最大となる点までの距離である。この場合、θを扇状ギア10及びカム部9bの角度とすると、クランクケース4に対するシリンダブロック3の相対変位量L及び扇状ギア10の単位回転角に対するLの変化量|dL/dθ|は、それぞれ
L=2e・COSθ (1)
|dL/dθ|=2e・SINθ (2)
で表される。なお、ここでθ=90度の状態を図2(a)に示した状態、θ=0度の状態を図2(c)に示した状態と考えることができる。
図3(b)には、θとL、θと|dL/dθ|の関係のグラフを示す。図3(b)から
分かるようにθ=90度付近すなわち最高圧縮比付近において、|dL/dθ|が最大に
なる。
次に、図4を用いて、上記Lによって決定される燃焼室の高さcとピストンのストロークdと圧縮比εとの関係について説明する。図4(a)のようなモデルにおいて、圧縮比εは次のように表すことができる。
ε=(π・(D/2)・(c+d))/(π・(D/2)・c)
=(c+d)/c (3)
従って、図4(b)に示すように、高圧縮比になってcが小さくなるほどcの変化に対するεの変化率は大きくなることが分かる。
上述した2つの効果の相乗効果により、扇状ギア10及びカム軸9の単位回転角当たりの圧縮比の変化量は、高圧縮比側になるほど大きくなる。そうすると、仮に扇状ギア10及びカム軸9の回転速度を一定にして圧縮比を変更した場合には、高圧縮比側になるほど、圧縮比の変化速度が大きくなり、高圧縮比側における圧縮比の制御精度が悪化してしまうおそれがある。
そこで、本発明においては、内燃機関1の圧縮比に応じて、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度を変化させることとした。具体的には、扇状ギア10及びカム軸9の単位回転角当たりの圧縮比の変化量が大きくなる程、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度が小さくなるように変化させる。この変化の様子を図5に示す。図5において横軸は扇状ギア10及びカム軸9の角度を示しており、破線で示すのはそれぞれの角度に対応する内燃機関1の圧縮比である。また、実線で示すのは、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度である。
図5に示すように、扇状ギア10及びカム軸9の角度が90度付近すなわち高圧縮比側においては、扇状ギア10の単位回転角当たりの圧縮比の変化量が大きくなっている。そして、それとは逆に扇状ギア10の回転速度は90度付近において低くなるように設定する。本実施例においては、このことにより、内燃機関1の圧縮比を変更する際の圧縮比の変化速度を略一定にすることができ、より円滑に内燃機関1の圧縮比を変更することができる。
その結果、特に高圧縮比側において圧縮比が変更先の目標圧縮比に達した際の制御性を向上させ、圧縮比のオーバーシュートを抑制することができる。なお、上記において扇状ギア10及びカム軸9の回転速度は、扇状ギア10及びカム軸9の単位回転角当たりの圧縮比の変化量に反比例するように変化させてもよい。そうすれば、内燃機関1の圧縮比を変更する際の圧縮比の変化速度をより精度よく一定にすることができる。なお、ここでいう扇状ギア10及びカム軸9の単位回転角当たりの圧縮比の変化量は、本実施例における出力機素の角度の変化に対する圧縮比の変化率に相当する。
次に、本実施例における第2の態様について説明する。第2の態様は、内燃機関1の圧縮比を変更する際の、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度の変化のパターンの一つであり、圧縮比が変更されて目標圧縮比となる直前には、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度を低減する態様である。
ここで、前述のように、内燃機関1の圧縮比を変更する際に、圧縮比の変化速度によっては圧縮比が目標圧縮比に対してオーバーシュートしてしまうおそれがあった。そうすると、圧縮比が目標圧縮比に安定するまでの時間が長期間化し、例えば、目標圧縮比が低圧縮比側の圧縮比である場合には一時的にトルク不足に陥るおそれがあった。また、例えば、目標圧縮比が高圧縮比側の圧縮比である場合には、一時的にノッキングが生じやすい状況となるおそれがあった。
そこで本態様においては、圧縮比が変更されて目標圧縮比に達する直前には、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度を低減することとした。図6に示すように、本態様においては、扇状ギア10及びカム軸9の角度をθ1からθ2へ変化させることにより圧縮比を変化させる場合に、θ1´からθ2´までの間は、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度は図5に示した実線に係る速度制御を実施している。
そして、θ2´を超えて圧縮比がθ2に近づくと、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度は図5に示した実線に係る速度制御から外れ、θ2に近づくにつれてさらに急激に回転速度と低下させ、θ2に達した時点で回転速度が0になるようにしている。
これによれば、内燃機関1の圧縮比が目標圧縮比に近づくにつれて無理なく扇状ギア10及びカム軸9の回転速度を低減し、0に近づけることができるので、圧縮比の制御性をさらに向上させることができ、圧縮比の目標圧縮比からのオーバーシュートをさらに確実に抑制することができる。
また、本態様においては、内燃機関の圧縮比の値がθ2´からθ2までの角度範囲に属する場合は、圧縮比が目標圧縮比に近づくほど扇状ギア10及びカム軸9の回転速度が低くなるよう制御している。従って、さらに確実に、圧縮比が目標圧縮比に対してオーバーシートすることを抑制することができる。
なお、本態様において、θ2´からθ2までの角度範囲が所定圧縮比範囲に相当する。
次に、本実施例における第3の態様について説明する。第3の態様は、内燃機関1の圧縮比可変範囲の限界値近傍においては、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度を低減させる態様である。
ここで、内燃機関1の圧縮比可変範囲の限界値近傍にある状態において内燃機関1の圧縮比を変更する場合に、カム軸9及び扇状ギア10が機械的に許容されている範囲を超えて過回転することが考えられる。このようなことが起きると、扇状ギア10などの機構部品同士が衝突したり、扇状ギア10とウォームギア11a、11bとの間に噛み込みが生じたりするなとの不具合が生じるおそれがあった。
図7を用いて、カム軸9及び扇状ギア10が過回転した場合の不具合について説明する。図7は本実施例におけるウォームギア11a、11bと扇状ギア10との係合部分の概略図である。図7(a)は内燃機関1の圧縮比可変範囲内における最高圧縮比となった場合の図、図7(b)は内燃機関1の圧縮比可変範囲内における最低圧縮比となった場合の図である。なお、図7(a)または図7(b)で示した状態における圧縮比が本実施例における圧縮比可変範囲における限界値に相当する。
図7に示すように、本実施例においては、シリンダブロック3の一部を利用して、高圧縮比側ストッパ13及び低圧縮比側ストッパ14の2つのストッパが形成されている。この高圧縮比側ストッパ13は、図7(a)における最高圧縮比よりさらに高圧縮比側に扇状ギア10が過回転した場合に、扇状ギア10と当接することにより、扇状ギア10を停
止させる位置に形成されている。
また、低圧縮比側ストッパ14は、図7(b)における最低圧縮比よりさらに低圧縮比側に扇状ギア10が過回転した場合に、扇状ギア10と当接することにより、扇状ギア10を停止させる位置に形成されている。
そして、圧縮比変更の目標圧縮比が最高圧縮比あるいは最低圧縮比であった場合に、扇状ギア10が過回転すると、扇状ギア10が高圧縮比側ストッパ13または低圧縮比側ストッパ14に衝突し、ウォームギア11a、11bとの間で噛み込みが生じるおそれがあった。そうすると、次回にウォームギア11a、11b及び扇状ギア10を円滑に作動させることが困難になる場合があった。
そこで、本態様においては、内燃機関1の圧縮比が、圧縮比可変範囲の限界値近傍の圧縮比であり、さらに圧縮比が限界値に近づくように変化する場合には、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度を低減することとした。
図8は、本態様による扇状ギア10及びカム軸9の回転速度の制御を示す図である。図8においては、扇状ギア10及びカム軸9の角度が0度近傍のθ3以下であってさらに0度に向けて回転する場合及び、扇状ギア10の角度が90度近傍のθ4以上であってさらに90度に向けて回転する場合に、扇状ギア10の回転速度をさらに低減することとした。
そうすれば、扇状ギア10及びカム軸9が圧縮比可変範囲の限界値に相当する角度まで回転する場合には回転速度を低くすることができ、扇状ギア10及びカム軸9が限界値に相当する角度以上に過回転することを抑制することができる。その結果、扇状ギア10とウォームギア11a、11bとの間に噛み込みが発生することを抑制することができる。
また、本態様においては、内燃機関1の圧縮比可変範囲における限界値近傍においても、扇状ギア10が限界値に相当する角度に向く方向とは逆の方向に回転する場合には扇状ギア10の回転速度を低減しない。従って、扇状ギア10とウォームギア11a、11bとの噛み込みが発生するおそれのある場合にのみ回転速度を低減することができ、無駄に圧縮比の変更速度が遅くなることを抑制することができる。
ここで、本態様においては、特に高圧縮比側における圧縮比可変範囲の限界値近傍においては、高圧縮比側に回転する回転速度よりも低圧縮比側に回転する回転速度を高くしているため、より確実にノッキングの発生を抑制することができる。
また、本態様においては、内燃機関の圧縮比の値が0度以上θ3以下の角度範囲及び、θ4以上90度以下の角度範囲に属する場合は、圧縮比が限界値に近づくほど扇状ギア10及びカム軸9の回転速度が低くなるよう制御している。従って、さらに確実に、扇状ギア10及びカム軸9が限界値に相当する角度以上に過回転することを抑制することができる。
ここで、本態様において0度以上θ3以下の角度範囲及び、θ4以上90度以下の角度範囲は、所定限界圧縮比範囲に相当する。
次に、図9及び図10を用いて、本実施例における扇状ギア10及びカム軸9の回転速度の制御の第3及び第4の態様について説明する。これらの態様においては、扇状ギア10及びカム軸9の角度が、内燃機関1の圧縮比可変範囲の限界値近傍の場合と、圧縮比可変範囲の中央部の場合とで、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度を2段階に変更する。
図9においては、内燃機関1における圧縮比可変範囲におけるθ5とθ6の角度範囲においては、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度を比較的早い回転速度であるS1とし、θ5より低圧縮比側及びθ6より高圧縮比側の角度においては、比較的低い回転速度であるS2としている。こうすれば、簡単な制御によって、扇状ギア10とウォームギア11a、11bとの噛み込みを抑制することができる。
図10に示すのは、図9に示した制御において、θ5より低圧縮比側の角度範囲において、扇状ギア10及びカム軸9がさらに低圧縮比側に回転する場合と、θ6より高圧縮比側の角度範囲において扇状ギア10及びカム軸9がさらに高圧縮比側に回転する場合のみ、扇状ギア10の回転速度をS2とする態様である。そうすることにより、扇状ギア10とウォームギア11a、11bとの噛み込みを効果的に抑制することができるとともに、無駄に扇状ギア10の回転速度を低減することがないので、より迅速に圧縮比を変更することができる。
なお、上記において、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度を変更する際には、基本的にモータ12の回転速度を変更することによっている。すなわち、図示しないECUからの指令によってモータ12に供給される電流が制御される。こうすれば、ソフト的な手法により、容易に扇状ギア10及びカム軸9の回転速度を制御でき、制御内容の自由度も高くすることができる。
なお、本実施例においては、カム軸9に扇状ギア10が取り付けられ、扇状ギア10を回転させることによってカム軸9を回転させる例について説明したが、本発明が適用される構成はこれに限られるものではない。例えば、カム軸9を回転させるギア自体は扇状ギアでなくてもよく、従来から存在する平歯車であってもよい。その場合は、平歯車のストッパ構造としては、歯車側面からピンを突出させ、当該ピンをストッパに当接させることにより平歯車を停止させる構造を例示することができる。
次に本発明における実施例2について説明する。本実施例においては、内燃機関1の圧縮比が可変圧縮比範囲の限界値近傍である場合には、さらに限界値に近づく方向の圧縮比の変更を行わない制御について説明する。
すなわち、実施例1においては、図8から図10に示したように、内燃機関1の圧縮比が圧縮比可変範囲の限界値近傍である場合に扇状ギア10及びカム軸9の回転速度を低減する制御について説明した。しかし、このような場合、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度が低減した状態で残りわずかな角度をさらに限界値に相当する角度側に制御したとしても、得られるメリットが少ないときがある。反面、制御実行中に内燃機関1の運転状態が変化して再び扇状ギア10及びカム軸9の角度を限界値に相当する角度と反対側に変更する要求が出されることが実際の運転では多くなる。
従って、エネルギー消費低減の見地からは、扇状ギア10及びカム軸9の回転速度が低減された領域では、それより圧縮比が限界値に近づく方向の制御を行わないようにするのが有利である場合がある。
従って本実施例においては、内燃機関1の圧縮比が可変圧縮比範囲の限界値近傍である場合には、さらに圧縮比が限界値に近づく方向の圧縮比の変更を行わないようにした。
図11には、本実施例における圧縮比変更制限ルーチンを示す。本ルーチンは、図示しないECUにより圧縮比変更指令が出された場合に実行されるルーチンである。
本ルーチンが実行されると先ずS101において、現時点での扇状ギア10及びカム軸9の角度が圧縮比変更制限範囲に属するかどうかが判定される。この圧縮比変更制限範囲は、実施例1における第3の態様を例にとって考えると、図12に示すように、θ3より小さいθ7以下の範囲及び、θ4より大きいθ8以上の範囲とする。すなわち、この圧縮比変更制限範囲は、扇状ギア10及びカム軸9の角度がこの範囲に属する場合に、圧縮比を圧縮比可変範囲における限界値側に変更しても、ノッキング回避あるいはトルク確保などの観点からメリットが少ないと判断される角度範囲であり、本実施例における第2所定限界圧縮比範囲に相当する。ここにおいて扇状ギア10及びカム軸9の角度が圧縮比変更制限範囲に属しないと判定された場合には、圧縮比変更指令を無視する必要はないと判断されるのでS104に進む。一方、S101において、扇状ギア10及びカム軸9の角度が圧縮比変更制限範囲に属すると判定された場合にはS102に進む。
S102においては、ECUからの圧縮比変更指令が、圧縮比を圧縮比可変範囲の限界値に近づける方向への変更指令かどうかが判定される。ここで、限界値に近づける方向への変更指令ではないと判定された場合には、やはり圧縮比変更指令を無視する必要はないと判断されるのでS104に進む。一方、S102において、限界値に近づける方向への変更指令であると判定された場合には、S103に進む。
S103においては、圧縮比の変更指示を無視し、その時点での圧縮比を維持する。一方、S104においては、圧縮比の変更指示に従い圧縮比の変更動作を行う。S103またはS104の処理が終了すると本ルーチンを一旦終了する。
以上、説明したように本実施例においては、扇状ギア10及びカム軸9の角度が圧縮比変更制限範囲に属し、さらに圧縮比の変更指示が、さらに圧縮比を限界値に近づける方向への変更をすべき指示である場合には、圧縮比変更指示を無視し、その時点での圧縮比を維持することとしている。
これにより、実際に効果が顕著である場合にのみ圧縮比を変更することができ、効率的にノッキングあるいはトルク不足を抑制することができる。また、扇状ギア10及びカム軸9が可変圧縮比範囲の限界値に相当する角度を超えて過回転することを抑制でき、扇状ギア10とウォームギア11a、11bとの噛み込みが発生することを抑制することができる。
次に、本発明の実施例3について説明する。本実施例においは、扇状ギア周辺の機構に特別な構成を付加することにより、内燃機関の圧縮比可変範囲の限界値近傍においては自動的に扇状ギアの回転速度が低減する例について説明する。なお、以下の説明においては実施例1と異なる部分についてのみ説明し、説明のない部分については図1及び図2に示した構成と同様である。
図13には本実施例におけるカム軸回転機構の概略構成を示す。図13(a)に示すように、本実施例におけるウォームギア21a、21bは図1で説明した例と同様、モータ22の出力軸に結合されており、モータ22への通電によって回転する。また、ウォームギア21a、21bにはウォームナット23が組み込まれ、ウォームギア21a、21bの回転ともに、図中の左右方向に移動可能となっている。
また、本実施例においては、取り付け部9dには、扇状ギアではなくシャフト接続部24を介して第1シャフト25aが、取り付け部9dに対して固定されている。一方ウォームナット23には紙面に垂直方向の軸を中心に回動可能に第2シャフト25bが取り付け
られている。この第2シャフト25bは中空の管状の形状を有しており、第2シャフト25b中に第1シャフト25aが挿入されることにより連結されている。
そうすることにより、モータ22への通電によってウォームギア21a、21bが回転すると、ウォームナット23が左右に移動し、第1シャフト25a及び第2シャフト25bで形成されるシャフト部25が伸縮しながらウォームナット23の直進運動をカム軸9の回転運動に変換することとなっている。なお、ウォームナット23がウォームギア21a、21bの中央部に位置する状態において、内燃機関1の圧縮比が可変範囲の中央値となるように、取り付け部9dに対するシャフト接続部24の取り付け角度が設定されている。
ここで、ウォームナット23がウォームギア21a、21bの端部付近に位置する状態で移動する場合と、ウォームナット23がウォームギア21a、21bの中央部付近に位置する状態で移動する場合とを比較すると、ウォームナット23がウォームギア21a、21bの端部付近に位置する状態で移動する場合は、シャフト部25が伸びた状態であり、且つ、ウォームナット23の進行方向と、シャフト接続部24が回転することによる第1シャフト25aとシャフト接続部24との結合部分の進行方向との間の角度が大きくなるため、ウォームギア21a、21bの一回転によって、カム軸9が回転する角度が小さくなる。
従って、圧縮比を変更する際に、モータ22を等速で回転させるだけで、図13(b)に示すように自動的に、圧縮比可変範囲の限界値近傍ではカム軸9の回転速度を低減することができる。そのことにより、ウォームナット23がウォームギア21a、21bの端部にある状態においてカム軸9が過回転することを抑制できる。その結果、ウォームナット23が図示しないストッパに衝突して、ウォームギア22a、22bとの間に噛み込みが発生することなどを抑制することができる。なお、ここでウォームナット23は本実施例における直進部材に、シャフト部25は連結部材に相当する。
図14には本実施例におけるシャフト部25に関する別の態様を示す。図14(a)は第1シャフト25aと第2シャフト25bとの間に絶えず伸び側に力が加わるようにバネ30を取り付けることにより、シャフト部25のがたつきを抑制した態様である。図14(b)は第1シャフト25aと第2シャフト25bとの間に絶えず縮み側に力が加わるようにバネ31を取り付けることにより、シャフト部25のがたつきを抑制した態様である。
図14(c)は第1シャフト25aと第2シャフト25bとの間に絶えず伸び側に力が加わるようにバネ31を取り付け、さらにダッシュポット32を取り付けた態様である。こうすることにより、シャフト部25のがたつきを抑制できるとともに、シャフト部25そのものがウォームナット23のダンパとして機能し、バックラッシュによるウォームナット23のがたつきを抑制することができる。
なお、上記の実施例においては、出力機素の一例であるカム軸を回転させることによって、クランクケースにシリンダブロックに対して相対移動させる構成を例にとって説明した。しかし本発明を適用する構成は上記に限られるものではない。例えば、コンロッドを2分割し、クランクシャフトに連結された方のコンロッドに所定の揺動中心を中心に揺動可能な揺動部材を連結し、前記揺動中心がカム軸を回転させることによって移動することで燃焼室の容積及びピストンのストロークを変更する構成に対して適用してもよい。
さらに、出力機素としてカム軸以外の機素を利用した構成としてもよい。例えば、出力機素として楔状の部材を用い、楔上の部材の直進運動によってクランクケースにシリンダ
ブロックに対して相対移動させるような構成としてもよい。この場合、内燃機関の圧縮比は出力機素の位置によって決定されることとなる。
本発明の実施例に係る内燃機関の概略構成を示す分解斜視図である。 本発明の実施例に係る内燃機関におけるシリンダブロックがクランクケースに対して相対移動する経過を示す断面図である。 本発明の実施例に係る扇状ギアの角度と、シリンダブロックのクランクケースに対する相対移動量及び移動速度との関係を説明するための図である。 本発明の実施例に係る燃焼室の高さと圧縮比との関係を説明するための図である。 本発明の実施例1に係る扇状ギアの角度と圧縮比及び扇状ギア回転速度との関係を示す図である。 本発明の実施例1に係る扇状ギアの角度と圧縮比及び扇状ギア回転速度との関係の第2の態様を示す図である。 本発明の実施例1に係る扇状ギア付近の構成を示す図である。 本発明の実施例1に係る扇状ギアの角度と圧縮比及び扇状ギア回転速度との関係の第3の態様を示す図である。 本発明の実施例1に係る扇状ギアの角度と扇状ギア回転速度との関係の第4の態様を示す図である。 本発明の実施例1に係る扇状ギアの角度と扇状ギア回転速度との関係の第5の態様を示す図である。 本発明の実施例2に係る圧縮比変更制限ルーチンを示すフローチャートである。 本発明の実施例2に係る圧縮比変更制限範囲を示す図である。 本発明の実施例3に係るウォームギア及びカム軸付近の概略構成について説明するための図である。 本発明の実施例3に係るウォームギア及びカム軸付近の概略構成の別の態様を示す図である。
符号の説明
1・・・内燃機関
2・・・シリンダ
3・・・シリンダブロック
4・・・クランクケース
9・・・カム軸
10・・・扇状ギア
11a、11b・・・ウォームギア
12・・・モータ
13・・・高圧縮比側ストッパ
14・・・低圧縮比側ストッパ
21a、21b・・・ウォームギア
22・・・モータ
23・・・ウォームナット
24・・・シャフト接続部
25・・・シャフト部
25a・・・第1シャフト
25b・・・第2シャフト
30・・・バネ
31・・・バネ
32・・・ダッシュポット

Claims (11)

  1. 駆動源の運動を出力機素に伝え、該出力機素の作動により内燃機関の気筒内における燃焼室の容積および/またはピストンのストロークを変更することによって前記内燃機関の圧縮比を変更し、前記出力機素の角度または位置によって前記圧縮比が決定される可変圧縮比内燃機関であって、
    前記可変圧縮比内燃機関の圧縮比を変更する際に、圧縮比の値に応じて前記出力機素の運動速度を変更することを特徴とする可変圧縮比内燃機関。
  2. 前記可変圧縮比内燃機関の圧縮比を目標圧縮比に変更する際に、圧縮比の値が目標圧縮比となる前の所定圧縮比範囲において、前記出力機素の運動速度を低減することを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比内燃機関。
  3. 前記所定圧縮比範囲において、前記内燃機関の圧縮比の値が目標圧縮比に近づく程、前記出力機素の運動速度が低くなることを特徴とする請求項2に記載の可変圧縮比内燃機関。
  4. 前記可変圧縮比内燃機関の圧縮比を変更する際に、圧縮比の値が前記内燃機関の圧縮比の可変範囲における限界値の近傍の所定限界圧縮比範囲において、前記出力機素の運動速度を低減することを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比内燃機関。
  5. 前記所定限界圧縮比範囲において、前記内燃機関の圧縮比の値が前記限界値に近づく程、前記出力機素の運動速度が低くなることを特徴とする請求項4に記載の可変圧縮比内燃機関。
  6. 前記所定限界圧縮比範囲において、前記内燃機関の圧縮比の値が前記限界値に近づく場合は、前記内燃機関の圧縮比の値が前記限界値から遠ざかる場合より前記出力機素の運動速度が低いことを特徴とする請求項4に記載の可変圧縮比内燃機関。
  7. 前記所定限界圧縮比範囲は、前記内燃機関の圧縮比の可変範囲における高圧縮比側の限界値近傍の圧縮比範囲であることを特徴とする請求項6に記載の可変圧縮比内燃機関。
  8. 前記出力機素の運動速度は、該出力機素の角度または位置の変化に対する前記圧縮比の変化率が大きい程、低くなるように変化することを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比内燃機関。
  9. 前記出力機素の運動速度は、前記駆動源の運動速度を変化させることによって変化することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の可変圧縮比内燃機関。
  10. 前記駆動源の運動に伴って直進運動を行う直進部材と、
    前記直進部材と前記出力機素とを連結し、前記直進部材の直進運動に伴って伸縮するとともに前記出力機素を回転させる連結部材と、
    を備え、
    前記直進部材は前記出力機素の回転軸と交差せずに直交する直線上を移動し、
    前記直進部材が前記出力機素の回転軸から前記直線に下ろした垂線と、前記直線との交点に前記直進部材が位置する状態において、前記圧縮比が圧縮比の可変範囲の略中央値となるように、前記出力機素と前記連結部材との位置関係が調整されたことを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比内燃機関。
  11. 前記内燃機関の圧縮比が、前記内燃機関の圧縮比の可変範囲における限界値の近傍の第
    2所定限界圧縮比範囲に属している場合は、前記圧縮比を前記内燃機関の圧縮比の可変範囲における限界値に近づく方向に変化させないことを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載の可変圧縮比内燃機関。
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