JP5025539B2 - 自動車用アクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の可変圧縮比機構に使用される自動車用アクチュエータ、特に電動モータの回転を、ボールねじ機構を介して直線運動に変換して用いる自動車用アクチュエータに関するものである。
自動車等の車両の各種駆動部に使用される自動車用アクチュエータにおいて、電動モータの回転運動を軸方向の直線運動に変換する機構として、台形ねじあるいはラックアンドピニオン等の歯車機構が一般的に使用されている。これらの変換機構は、滑り接触部を伴うため動力損失が大きく、電動モータの大型化や消費電力の増大を余儀なくされている。そのため、より効率的なアクチュエータとしてボールねじ機構が採用されるようになってきた。
このボールねじは、外周に螺旋状のボール転走溝が形成されたボールねじ軸と、円筒面内に螺旋状のボール転走溝が形成されたボールねじナットと、対向する両ボール転走溝で構成されたボール転動路内に転動自在に収容された多数のボールとからなり、ボールねじ軸あるいはボールねじナットの回転を軸方向の並進運動に変換する機械要素である。
このねじ機構を用いてボールねじ軸を進退させ、アクチュエータ軸端に回動可能に連結されたコントロールシャフトを回転させ、コントロールシャフトは複リンク機構を介して、ピストンの上死点位置を変更することで、内燃機関の圧縮比を可変にする機構がある。この機構は構成部品の点数が多く、構造も複雑であることから、機関ごとの圧縮比バラツキが発生しやすい等の品質が安定しない問題があった。そこで、特許文献1には、ピストン上死点位置を調整した後に、作動部分に当接して作動範囲を規制するストッパを設けることにより、この問題を解決しようとした方法がある。
特許文献1における構造の場合、アクチュエータ軸の片側のみにストッパが設けられ、軸がアクチュエータ内部に最も引き込む方向に作動させた時にストッパに当接させる構造となっている。そして、逆に軸がアクチュエータ外部に突出する側の作動量は、例えばストッパに当接した位置から、コントロールシャフトの回転角に相当するモータの総回転数(パルス数)等の情報で認識する。
特開2005−069028号公報
図5では特許文献1の構造におけるボールねじ軸の移動量と圧縮比の関係について示し、高圧縮比側と低圧縮比側ではボールねじ軸の移動量に対する圧縮比の変化の割合が低圧縮比側ほど小さいことを示している。図5のボールねじ軸の移動量と圧縮比の関係では、高圧縮比側でストッパを当接させて位置決めする場合は、ボールねじ軸の位置と圧縮比は対応させやすく、比較的ストッパの位置調整は行い易いが、低圧縮比側にてストッパを当接させ、位置決めした場合には、ストッパの僅かな位置ずれにより、特に高圧縮比側で所望する圧縮比とのずれやばらつきが発生してしまう。またストッパ位置の調整においては、ねじを締めこんでストッパの位置決めを行うので、ピストン上死点位置の確認とストッパの位置調整を何度か繰り返して位置決めを行う必要があるので手間が掛かり、量産に向かない。更にストッパが片側のみに設けられているので、制御トラブル等によって総パルス数とコントロールシャフト角度が不一致となり、誤動作が生じる可能性がある等の問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ストッパ位置の煩わしい調整を不要にするとともに、制御トラブルを回避し、システムの信頼性を向上させることができる自動車用アクチュエータを提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明は、シリンダ内を往復動するピストンを有する内燃機関で、前記ピストンとピストンピンを介して連結されるアッパリンクと、このアッパリンクとクランクシャフトのクランクピンとに連結されるロアリンクと、前記クランクシャフトと略平行に配置したコントロールシャフトと、このコントロールシャフトに一端が揺動可能に連結されると共に、前記ロアリンクに他端が連結されるコントロールリンクとで構成される複リンク機構を有し、前記コントロールシャフトの偏心軸受の機関内位置を変更することで、機関の圧縮比を可変可能にする内燃機関の圧縮比を可変するアクチュエータであって、電動モータと、該電動モータのモータ軸に動力伝達手段を介して連結され、前記電動モータの回転運動を軸方向運動に変換するボールねじ機構と、このボールねじ機構と前記動力伝達手段を収容するハウジングとを備え、前記ボールねじ機構を構成するボールねじ軸の引込方向と突出方向の軸方向移動量のそれぞれを規制する2つのストッパが前記ハウジングに設けられると共に、前記両ストッパに当接させた距離により求まる前記電動モータから得られるパルス情報により前記アクチュエータが制御され、当該アクチュエータ作動距離は、前記ピストンの上死点位置を決定するコントロールシャフト角を回転させる移動量よりも大きく作動できる距離とされている構成を採用した。
ボールねじ軸のストロークエンド端をストッパに当接することで、ボールねじ軸の位置を正確に把握することができ、システムの信頼性を向上させることができる。
また、本発明は、前記ストッパの内、いずれか一方に前記ボールねじ軸の軸方向移動量と軸の回転方向移動量を同時に規制する機能を設けることが好ましい。このように、ボールねじ軸の軸方向移動量と軸の回転方向移動量を同時に規制するので、ボールねじ軸が軸回りに回転せず、ボールねじ軸のより正確な位置決めを行うことができる。
また、本発明は、前記ストッパの内、一方はリング状をしており、その略中央の孔に前記ボールねじ軸が挿嵌され、前記ストッパの内壁面に前記ボールねじの肩部が当接することもできる。これにより、ボールねじ軸の軸方向移動量を好適に規制することができる。
また、本発明は、前記ストッパは、前記ハウジングに取付け後、塑性により固定されていることが好ましい。これにより、ストッパを取り付けるためにねじ等を用いる必要がないので、ストッパ位置の煩わしい調整を不要にするとともに、簡易にストッパを固定できる。
本発明によれば、シリンダ内を往復動するピストンにリンク機構を介して連結されるコントロールシャフトを回転して圧縮比を可変とする自動車用アクチュエータであって、電動モータと、該電動モータのモータ軸に動力伝達手段を介して連結され、前記電動モータの回転運動を軸方向運動に変換するボールねじ機構と、このボールねじ機構と前記動力伝達手段を収容するハウジングとを備え、前記ボールねじ機構を構成するボールねじ軸の引込方向と突出方向の軸方向移動量のそれぞれを規制する2つのストッパが前記ハウジングに設けられると共に、前記両ストッパに当接させた距離により求まる前記電動モータから得られるパルス情報により前記アクチュエータが制御され、当該アクチュエータ作動距離は、前記ピストンの上死点位置を決定するコントロールシャフト角を回転させる移動量よりも大きく作動できる距離とされており、ストッパはハウジングに塑性により固定されるので、ストッパ位置の煩わしい調整を不要にするとともに、制御トラブルを回避し、システムの信頼性を向上させることができる。
シリンダ内を往復動するピストンにリンク機構を介して連結されるコントロールシャフトを回転して圧縮比を可変とする自動車用アクチュエータであって、電動モータと、該電動モータのモータ軸に動力伝達手段を介して連結され、前記電動モータの回転運動を軸方向運動に変換するボールねじ機構と、このボールねじ機構と前記動力伝達手段を収容するハウジングとを備え、前記ボールねじ機構を構成するボールねじ軸の引込方向と突出方向の軸方向移動量のそれぞれを規制する2つのストッパが前記ハウジングに設けられると共に、前記両ストッパに当接させた距離により求まる前記電動モータから得られるパルス情報により前記アクチュエータが制御され、当該アクチュエータ作動距離は、前記ピストンの上死点位置を決定するコントロールシャフト角を回転させる移動量よりも大きく作動できる距離とされている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る自動車用アクチュエータの第1の実施形態を示す縦断面図である。図2は、ボールねじ軸が移動した場合を示す縦断面図である。
この自動車用アクチュエータ1は、電動モータ2により回転駆動されるボールねじナット3と、このボールねじナット3にボール(図示せず)を介して螺合されたボールねじ軸4とを備えるボールねじ機構を採用している。電動モータ2のモータ軸が回転すると、ボールねじナット3が回転し、ボールねじ軸4を軸方向に移動させる。
ボールねじ軸4の端面には、コントロールプレート5を介して、コントロールシャフト6が連結されている。ボールねじ軸4が軸方向に移動すると、コントロールプレート5が回転し、コントロールシャフト6が回転する。コントロールシャフト6には、リンク機構(図示せず)を介して、ピストン(図示せず)が連結されており、ピストンはシリンダ内を往復動する。
電動モータ2のモータ軸(図示せず)には、歯車(図示せず)が嵌合されている。その歯車の歯は、ボールねじナット3の外周面に嵌合されたフランジ3aの外周面に形成された歯と噛合している。ボールねじナット3は、軸受13を介して、ハウジング7に回転可能に支承されている。電動モータ2のモータ軸が回転すると、ボールねじナット3がハウジング7内で回転する。ボールねじナット3の内周面には、螺旋状のねじ溝(図示せず)が設けられている。
ボールねじ軸4の図の上方部には、ねじ溝4aが設けられている。ボールねじナット3のねじ溝とボールねじ軸4のねじ溝4aとの間には、多数のボール(図示せず)が配置されている。ねじ溝4aは、ボールねじ軸4の略半分にわたって形成されている。ボールねじ軸4の中央部からやや図の下方にかけて、径の大きくなった段付き部4bが形成されている。段付き部4bの先は、径の小さくなった軸部4dが形成されている。段付き部4bと軸部4dの境目は、肩部4cとなっている。
ボールねじナット3とボールねじ軸4は、ハウジング7、8内に配置されている。ハウジング7とハウジング8とは、ボルト9により固定されている。ハウジング7の図の上方には、電動モータ2が配置されている。
ハウジング7の図の上方の端部には、円形の蓋状をしたストッパ11が設けられている。ハウジング7の図の上方の開口部がストッパ11によって塞がれている。ストッパ11の内壁面の外周には、円筒状の凸部11aが設けられており、ハウジング7の端部の凹部7aに塑性により固定されている。図1においては、ボールねじ軸4が引き込まれており、ストッパ11の内壁面にボールねじ軸4の端部(ストロークエンド端)が当接している。このように、ボールねじ軸4の端部がストッパ11に当接することで、ボールねじ軸4の位置を正確に把握することができ、システムの信頼性を向上させることができる。
ハウジング8の図の下方の端部には、リング状のストッパ12が設けられている。ハウジング8の図の下方の開口部がストッパ12によって塞がれている。ストッパ12の内壁面の外周には、円筒状の凸部12aが設けられており、ハウジング8の端部の凹部8aに塑性により固定されている。ストッパ12の略中央には、貫通孔12bが設けられており、ボールねじ軸4の軸部4dが挿嵌されている。図2においては、ボールねじ軸4が突出しており、ストッパ12の内壁面にボールねじ軸4の肩部4c(ストロークエンド端)が当接している。このように、ボールねじ軸4の肩部4cがストッパ12に当接することで、ボールねじ軸4の位置を正確に把握することができると共に、ボールねじ軸4のオーバランを防ぐことができ、制御トラブルを回避し、システムの信頼性を向上させることができる。
両端のストッパ11、12間のアクチュエータ作動距離は、ピストンの上死点位置を決定するコントロールシャフト角を回転させる移動量よりも大きく作動できる距離で設計する。つまり、通常の作動時には、ボールねじ軸4は、ストッパ11、12と一定の距離をおいて軸方向に移動する。この通常の動作時とストッパ当接時とのコントロールシャフトの角度の違いが、図1中のα1、図2中のα2で示した角度である。これは、複リンク機構を構成するコントロールシャフト6には、ピストン往復動による慣性力や、筒内圧による荷重が複合し、変動トルクとして作用する。特にシリンダ上方の慣性力が支配的となる高速運転域においては、前記変動トルクが交番方向に作用する為、ストッパ11、12に当接させた場合、ボールねじ軸4との打音の発生が不可避である。この為、所定量だけストッパに対して距離をおく構成が望ましい。このように、通常の動作時には、ボールねじ軸4をストッパ11、12に当接させないことで、スムーズな移動が可能になる。
アクチュエータの制御については、まず、ボールねじ軸4を両ストッパ11、12間で作動させ、互いのストッパ11、12に当接させた距離により求まるモータから得られるパルス情報を出力する。そして、その情報が、コントロールシャフトの回転角に対応したパルス数より大きければ、正常作動と判定されるとともに、圧縮機関における最適位置が電気的な制御により調整可能である。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図3は、本発明に係る自動車用アクチュエータの第2の実施形態を示す縦断面図である。図4(a)はボールねじ軸の軸部の拡大図で、図4(b)はストッパの斜視図である。なお、この例は、ボールねじ軸の軸方向移動量と軸の回転方向移動量を同時に規制する機能を有するストッパに関するもので、前述した実施形態と同一部品同一部位には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
この実施例においては、ボールねじ軸4の軸部4dには、その両側面が平坦になっている平面部4eが形成されている。
ハウジング8の図の下方の端部には、門型をしたストッパ21が設けられている。ストッパ21には、直方体をしたブリッジ部21aが形成されている。ブリッジ部21aは、ハウジング8に固定される。ブリッジ部21aの片面には、2つの凸部21b、21cが突設されている。凸部21b、21cのそれぞれの内側には、平坦な平面を有する平面部21dが形成されている。凸部21b、21cの平面部21dには、ボールねじ軸4の平面部4eが摺動可能に嵌合される。このように、平面部21dに平面部4eを嵌合することによって、ボールねじ軸4が軸回りに回転しないので、ボールねじ軸4のより正確な位置決めを行うことができる。
凸部21b、21cの角部には、凸部21b、21cに跨るように、円形の切欠き21e、21fが設けられている。切欠き21e、21fには、ボールねじ軸4の肩部4cが当接する。このように、ボールねじ軸4の肩部4cが切欠き21e、21fに当接することで、ボールねじ軸4の位置を正確に把握することができ、システムの信頼性を向上させることができる。
なお、この実施例では、門型のストッパについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ボールねじ軸の回転止めの役目を果たす構造であれば、他の形状でも良い。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る自動車用アクチュエータは、自動車等の可変圧縮比機構に使用される自動車用アクチュエータに適用できる。
本発明に係る自動車用アクチュエータの第1の実施形態を示す縦断面図である。 ボールねじ軸が移動した場合を示す縦断面図である。 本発明に係る自動車用アクチュエータの第2の実施形態を示す縦断面図である。 図4(a)はボールねじ軸の軸部の拡大図で、図4(b)はストッパの斜視図である。
符号の説明
1・・・・・・・・自動車用アクチュエータ
2・・・・・・・・電動モータ
3・・・・・・・・ボールねじナット
3a・・・・・・・フランジ
4・・・・・・・・ボールねじ軸
4a・・・・・・・ねじ溝
4b・・・・・・・段付き部
4c・・・・・・・肩部
4d・・・・・・・軸部
4e・・・・・・・平面部
5・・・・・・・・コントロールプレート
6・・・・・・・・コントロールシャフト
7、8・・・・・・ハウジング
7a、8a・・・・凹部
9・・・・・・・・ボルト
11、12・・・・ストッパ
11a、12a・・凸部
12b・・・・・・貫通孔
13・・・・・・・軸受
21・・・・・・・ストッパ
21a・・・・・・ブリッジ部
21b、21c・・凸部
21d・・・・・・平面部
21e、21f・・切欠き
α1、α2・・・・通常の動作時とストッパ当接時とのコントロールシャフトの角度の違い

Claims (4)

  1. シリンダ内を往復動するピストンを有する内燃機関で、前記ピストンとピストンピンを介して連結されるアッパリンクと、このアッパリンクとクランクシャフトのクランクピンとに連結されるロアリンクと、前記クランクシャフトと略平行に配置したコントロールシャフトと、このコントロールシャフトに一端が揺動可能に連結されると共に、前記ロアリンクに他端が連結されるコントロールリンクとで構成される複リンク機構を有し、前記コントロールシャフトの偏心軸受の機関内位置を変更することで、機関の圧縮比を可変可能にする内燃機関の圧縮比を可変するアクチュエータであって、
    電動モータと、該電動モータのモータ軸に動力伝達手段を介して連結され、前記電動モータの回転運動を軸方向運動に変換するボールねじ機構と、このボールねじ機構と前記動力伝達手段を収容するハウジングとを備え、
    前記ボールねじ機構を構成するボールねじ軸の引込方向と突出方向の軸方向移動量のそれぞれを規制する2つのストッパが前記ハウジングに設けられると共に、前記両ストッパに当接させた距離により求まる前記電動モータから得られるパルス情報により前記アクチュエータが制御され、当該アクチュエータ作動距離は、前記ピストンの上死点位置を決定するコントロールシャフト角を回転させる移動量よりも大きく作動できる距離とされていることを特徴とする自動車用アクチュエータ。
  2. 前記ストッパの内、いずれか一方に前記ボールねじ軸の軸方向移動量と軸の回転方向移動量を同時に規制する機能を設ける請求項1に記載の自動車用アクチュエータ。
  3. 前記ストッパの内、一方はリング状をしており、その略中央の孔に前記ボールねじ軸が挿嵌され、前記ストッパの内壁面に前記ボールねじの肩部が当接する請求項1又は2に記載の自動車用アクチュエータ。
  4. 前記ストッパは、前記ハウジングに塑性により固定されている請求項1乃至3いずれかに記載の自動車用アクチュエータ。
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