JP2007056663A - 複合構造体用鋼製壁体 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼製壁体と、その背面の充填土と面状補強材とを互層にした補強土からなる複合構造体用の鋼製壁体について、補強土との一体性が高く、施工性に優れ、経済的な構造を提供する。
【解決手段】鋼製壁体1を構成する1本おきの鋼管矢板2の壁体背面側に、予めカットT形鋼5を取り付けて係止溝6を形成しておく。面状補強材8を巻き付けた芯材7の両端部を係止溝6に挿入し、所定深さまで吊り降ろし、面状補強材8を展張する。鋼製壁体1の背面側への充填土の施工と、面状補強材8の吊り降ろしおよび展張の作業を繰り返すことで、鋼製壁体1とその背面で互層をなす充填土および面状補強材8による補強土を一体化させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、水域での岸壁や護岸、陸域での擁壁等の壁構造体と補強土からなる複合構造体を形成するための鋼製壁体に関するものである。
従来の鋼製壁あるいはコンクリート壁を用いた護岸や岸壁、陸上での擁壁等としては、例えば図8〜図10に示すようなものがある。これらの構造体は土留めを主たる目的としており、鋼材の曲げ剛性とその根入れ部または底面での地盤の抵抗で支えており、海岸線・河川沿いや道路沿い等に設けられている。
図8は、従来の鋼矢板や鋼管矢板52(以下、「鋼(管)矢板」と記す。)を用いた矢板式護岸・岸壁51のタイロッド53等による耐震補強例を示したものであり、図9は従来の重力式護岸・岸壁61の軽量固化処理土62等による耐震補強例を示したものである。また、陸上の構造物として、図10は、従来の重力式RC擁壁71のアースアンカー72等による耐震補強例を示したものである。
このような従来の壁体では大きな地震が発生した際に、はらみ出し、すべりや倒壊等が生じて被災する例が見られる。
また、港湾構造物では、例えば非特許文献1に鋼矢板の被災状況が示されており、非特許文献2では重力式壁体の被災状況が示され、非特許文献3には地震時の外力や地盤の支持力等に対する壁体諸元や構造部材が検討され、その設計法が提案されている。
また、神戸港で耐震補強に実施されたケーソン背後地盤の軽量固化処理土補強のように、港湾における従来耐震補強の役割は土留め確保であり、補強土塊の役割は土留めされるべき部位に施されることから、土留めケーソン部への土圧軽減にあると言える。
上記の被災例・補強例や力学的な背景に加え、壁構造体には高度成長期に構築されたものが多く、その補修・補強技術や岸壁の増深技術などが要求されている。
「矢板岸壁地震時被災の分析」、港湾技術研究所報告、第18巻、第1号、1979年3月、pp.67〜127 上部達生、「地震被災の定量的推定手法による耐震設計へのアプローチ」、昭和63年度港湾技術研究所講演会講演集、1988年12月 「港湾の施設の技術上の基準・同解説」、運輸省港湾局監修、社団法人日本港湾協会、平成11年4月
近年、陸上で徐々に実用化されつつある鋼製擁壁に加え、一つは、阪神淡路大震災後の地震動の見直しに対応した陸域での土留め擁壁や水域での既設岸壁・護岸の耐震向け補強並びに岸壁増深があり、他の一つは陸域での擁壁等や水域での既設岸壁・護岸の単なる補修・補強および岸壁の増深がある。このうち、岸壁増深は近隣諸国の港湾増強に対向した我国主要港湾の物流拠点としての再構築構想が、耐震補強には発生確率の高い東海地震等への被災低減が含まれている。
港湾等の岸壁・護岸の従来の耐震補強工法には、設計震度の大きな場合に従来壁体の前面に剛性の大きな鋼製壁(例えば鋼矢板ではVIL型や鋼管矢板では直径が大きいもの等)を根入れするもの、鉄筋コンクリートで構成される構造体を設置するもの、それらの根入れ部や前肢部への地盤改良の付加や、壁体背後での補強土付加等があるが、工費や工期が嵩んでいた。
また、従来、陸域での擁壁等の壁体や水域での護岸・岸壁等を構成する壁体と、該壁体の背面側に施工される補強土との一体化には該壁体の高さによる施工制約、例えば重機の選択や足場の構築などが必要であり、他に、一体化を図るために壁体をブロック化し各ブロック間に補強材を挟み込むなどの制約が存在していた。
水域での壁体と補強土との一体化には潜水夫による水中作業となり、種々の細かな作業が必要であることは言をまたない。さらに、耐震補強と増深とを兼ねる場合には、航路も含む浚渫土の処分が不可欠故、その処分場の確保に加え、処分費も大きくなることが多い。これらを解決するためには、より安価な耐震(補強)構造の開発、浚渫土もしくは建設排土(現場発生土砂)等の活用が必要である。
その手段の一つとして、既設・新設に拘わらず現地発生土を活用でき、壁体と補強土とを一体化することで、補強土自重を考慮し得、該壁体への曲げ作用を緩和し得る複合構造体を形成することが考えられる。
例えば、陸上で擁壁高さが高い場合、擁壁の上部から補強材を所定の間隔で係止し、所定高さで補強材を展張して土や固化土などをある厚みで設置し、これらを繰り返して壁体と一体化することで耐震性能(補強土自重による壁体への転倒モーメント緩和、該転倒モーメントの該壁体への軸力化による転倒モーメントの緩和など)を高めることが考えられ、水域での岸壁・護岸などでは上記の力学的作用に加え、補強材の連結や展張において従来必要とされる潜水夫による作業を激減することが考えられる。
本発明は、特に鋼製壁体と、その背面の土と面状補強材とを互層にした補強土からなる複合構造体用の鋼製壁体について、補強土との一体性が高く、施工性に優れ、経済的な鋼製壁体を提供することを目的としたものである。
本願の請求項1に係る発明は、鋼製壁体と、該鋼製壁体の背面側で上下方向に互層をなす土(いわゆる土砂の他、固化土等も含む)および面状補強材 (以下、これらを組み合わせたものを、単に「補強土」という。) からなる複合構造体を構成する鋼製壁体であって、前記面状補強材の一端を取り付けた芯材の両端部を、前記鋼製壁体の壁連続方向に所定間隔をおいて設けられた上下方向の係止溝内に係止した状態で、該面状補強材が鋼製壁体の背面側に展張可能であることを特徴とするものである。
面状補強材としては、例えばポリエチレン材を網目状に形成し、土中に敷設して盛土や固化材を混入した補強土を補強するものがあるが、一般にジオシンセティクスあるいはジオテキスタイルなどと呼ばれるものが種々開発されており、芯材に巻付け可能な可撓性を有し、かつ必要な引張強度を有するものが望ましい。
芯材としては、例えば金属製パイプあるいは棒状の形鋼などが利用でき、面状補強材をその一端を取り付けて巻き付けた状態で、係止用部材で形成する係止溝の上方から挿入し、所定の深さ(水中)あるいは高さ(陸上)で、面状補強材の他端側を引っ張ることで、面状補強材を展張することができる。
本発明では、展張した面状補強材が壁体と一体化している必要があるため、係止溝との係合状態を維持したままで補強土から鋼製壁体に伝達される作用力に十分抵抗できる強度・剛性が必要である。
また、特に、陸上での高い壁構造や河川・港湾等の水際線での壁構造の場合に係止溝に沿って自重で降下・沈降することが望ましく、その意味でも通常の土木作業現場で用いられる小径鋼製パイプや角パイプなどが入手容易で、経済的である
係止溝の形成方法は特に限定されないが、後述するようにカットT形鋼、H形鋼、アングル等の形鋼の利用が経済的であり、強度的にも優れている。
補強土に利用する土には、従来一般的なセメントや石灰、酸化マグネシウム、石こう等を適宜組み合わせた配合のものを用いることができるが、現場掘削土や浚渫土等の現場発生土を利用することで、建設排土の処分や浚渫土等の廃棄問題と材料の調達の問題を同時に解決することができる。
本発明は、主として港湾構造物としての鋼(管)矢板式護岸・岸壁等への適用を考慮したものであり、その場合には通常、水中の作業が必要となるが、それ以外の陸上構造物にも適用可能である。
ただし、護岸・岸壁等の場合に、従来のこの種の構造で必要とされている水中での潜水士による作業が全くまたはほとんど必要ないことや、鋼製壁体のはらみ出し等の変形が問題となりやすい構造において、特に効果が大きい。
請求項2は、請求項1に係る鋼製壁体において、前記鋼製壁体に設けられた係止溝が鋼製壁体の背面側に取り付けた上下方向の鋼材によって形成されていることを特徴とするものである。
請求項1に関して述べたように、係止溝を形成する手段としては、カットT形鋼、H形鋼、アングル等の形鋼の利用が経済的であり、加工・取付けが容易で、強度的にも優れている。
請求項3は、請求項1または2に係る鋼製壁体を、既設または新設の岸壁または護岸に用いることを特徴とするものであり、水域、すなわち河川や港湾の岸壁や護岸に用いられるものを対象としている。
面状補強材をその一端を取り付けて巻き付けた芯材が係止溝に沿って自重で降下・沈降するため、請求項1に関して述べたように、従来のこの種の構造で必要とされている水中での潜水士による作業を、全くまたはほとんど必要とせず、作業が極めて容易となる。
本発明では、鋼製壁体の背面に壁体と一体化された係止溝を介して面状補強材が取り付けられており、壁体と補強土部が一体化され、地震等の外力に対し一体として抵抗することで壁体の負担が軽減される。
特に、鋼(管)矢板式護岸・岸壁等では、前述のようにはらみ出し等の問題があったのに対し、鋼製壁体に取り付けられた面状補強材の作用により根入れ部以外の曲げモーメントや変形が大幅に抑制される。
その場合の面状補強材の取付けに関し、本発明では面状補強材の一端を取り付けた芯材の両端部を、壁体の背面に設けた係止溝内に上部から落とし込んで各層ごと展張するものであり、施工性に優れ、構造的にも無駄がなく経済的である。
特に、護岸・岸壁等に適用した場合においても、水中での潜水士による作業が全くまたはほとんど必要なく、安全性、工期、経済性の何れにおいても有利である。
図1は、本発明の鋼製壁体が鋼管矢板2からなる場合の具体的な実施形態について、鋼製壁体1と面状補強材8の関係を示したものである。
この鋼製壁体1は、継手がパイプ3とカットT形鋼4からなる、いわゆるPT継手鋼管矢板からなり、1本おきの鋼管矢板2の壁体背面側には、予めカットT形鋼5が溶接等により取り付けられ、図4のように面状補強材8を巻き付けた芯材7の端部を係止して上下方向にガイドするための係止溝6を形成している。
充填される土9(図5参照)と互層をなす面状補強材8は、下方から上方への施工において、各層ごと芯材7の両端部を係止溝6に係止した状態で所定の深さに保持され、その状態から牽引用のワイヤーその他の牽引手段により鋼製壁体1の背面側に引き出し展張される。
展張状態においても芯材7と係止溝6との係止関係が維持されることで、鋼製壁体1とその背面の面状補強材8によって補強された土が一体の複合構造物として外力に抵抗するため、地震が発生した場合等におけるはらみ出し、すべりや倒壊等が防止される。
図2は、他の例として、1本おきのハット形鋼矢板12の壁体背面側にH形鋼15を取り付けた場合を示したものである。この場合のH形鋼15は、直接、鋼製壁体11の剛性を高める機能と、面状補強材8を取り付けた芯材7の端部を係止固定するためのガイド兼係止溝16の機能を有している。
なお、図示した例では、H形鋼15のウェブに鋼材(アングル)15aを取り付け、H形鋼15のフランジと鋼材15aの間に係止溝16を形成している。また、この図2の場合と逆に、鋼材15aをH形鋼15の反対側のフランジ寄りに取り付け、そのフランジと鋼材15aとの間に係止溝を形成することもできる。
なお、ハット形鋼矢板に補剛の目的で形鋼を一体化したものは、従来から知られており、本発明ではそのようなものを離散配置すればよく、施工的には特別な配慮は不要であり、面状補強材8との関係でその間隔を決めればよい。
図3は、鋼製壁体21がU型鋼矢板22で構成される場合の例を示したものである。この場合も数本おきのU型鋼矢板22の壁体背面側にカットT形鋼25を取り付け、面状補強材8を取り付けた芯材7の端部を係止固定するための係止溝26を形成している。
図示していないが、直線鋼矢板や鋼板の両端に継手を設けた加工鋼矢板等の場合も同様に、鋼矢板壁の背面側に形鋼等による係止溝を形成し、面状補強材の一端を取り付けた芯材の両端部を、上方から係止溝内に落とし込むようにして、所定の深さ(水中)あるいは高さ(陸上)で面状補強材を展張し、充填される土との互層を形成することができる。
ガイド兼係止溝を形成する鋼材としては、上述したようなカットT形鋼、H形鋼の他、L形鋼、溝形鋼等も含め、常時所要量が入手し得る形鋼が望ましい。形鋼の場合、係止溝間に挿入される面状補強材が受ける地震時の荷重等に対して十分耐え得る鋼材を容易に選ぶことができる。
また、例えば、本発明が主な適用対象とする護岸や岸壁等の港湾構造物の海上工事では起重機が必要であるが、その能力を十分に発揮させるために係止溝間の間隔を2倍に拡げると、面状補強材をセットした芯材の挿入回数が1/2となり、本発明では潜水作業も不要であるため、工期や工費を大幅に削減することができる。
なお、図1〜図3の例では、係止溝を形成するための形鋼を壁面直角方向に取り付けているが、鋼管矢板壁が屈曲する場合や、別途、遮水工を設ける場合などに、形鋼をある角度を持った方向に取り付ける場合もある。
図5は、本発明の鋼製壁体の具体的な適用例として、鋼(管)矢板壁を既設鋼矢板岸壁前面の沖側に構築し、耐震補強に加え、増深を図った場合を示したものである。なお、この例では既設鋼矢板岸壁Aを構成する矢板壁41が水平方向の力に抵抗するための控え杭44にタイロッド42を介して接続されている。
施工手順は、以下のようになり、この場合、壁体への面状補強材の取付けや、展張作業について潜水作業は不要となる(説明の都合上、符号の一部は図1のケースの符号で説明する。)。
(1) 既設鋼矢板岸壁A前面の所定位置に所定深度まで地盤改良を施す。
(2) 鋼管矢板2を地盤改良部31の所定深度まで打設し、鋼製壁体1を構築する。
(3) 既設鋼矢板岸壁Aと鋼製壁体1との間を所要深さまで埋め戻す。
(4) 面状補強材8の一端を固定して巻き付けた芯材7(図4参照)を鋼製壁体1背面の係止溝6に落とし込み、面状補強材8の他端に結び付けたロープあるいはワイヤーなどを引くことで、面状補強材8を最深面に展張敷設する。
(5) 面状補強材8の上部に充填土9を堆積させる。これを紙面直交方向(法線方向)に繰返す。
(6) 最初の堆積充填土9がほぼ水平に整形され、安定した時点で、その表面に上述の(4)の要領で、次の層の面状補強材8を展張敷設する。
(7) 再度、所定厚の充填土9を堆積させる。
(8) 上述の(4)〜(7)の作業を繰り返し、鋼製壁体1と充填土9および面状補強材8からなる護岸・岸壁複合構造体Bを構築する。
(9) 護岸・岸壁複合構造体Bの前面水底を所要深さまで掘削し、増深を行う(この際の掘削土あるいは浚渫土は、充填土として活用できるため、この工程は工事上都合のよいところに入ることとなる。)。
なお、この例で、面状補強材8の鋼製壁体1への据付けおよび展張は、水中となるが以下のように潜水作業は不要となる。
すなわち、上述の(4)〜(6)の作業手順において、最下層の面状補強材8は余長(面状補強材全体の余長もしくは展張に必要な部位の局部余長をいう。)を設け、面状補強材8自体の展張力を補助するために既設鋼矢板岸壁A沿いに吊下げること等で対応でき、2層目以降の充填土は自然に水平整形されるため面状補強材の敷設精度は格段に上がることとなる。なお、状況に応じ、2層目以降についても余長を設け吊下げることもあり得る。
また、最下層の施工精度については、係止溝6に面状補強材8を巻き付けた芯材7を挿入し沈降させた状態で、芯材7の両端の吊高さを鋼棒やワイヤー等の吊り材で水平に調整でき、深さの計測も容易である。また、展張した他端側も既設鋼矢板岸壁Aの頂部等から同様にコントロールすることができる。
このように潜水作業が不要となることによる効果は、作業の簡略化、工期の短縮やこれらに伴う費用削減効果という形で表れる。
また、力学的側面からは、鋼製壁体1の背面に係止溝6を形成している形鋼と、この形鋼を介して鋼製壁体1に固定された各層の面状補強材8が、充填土9内に埋め込まれた形となり、面状補強材8と鋼製壁体1との一体化に寄与している。
さらに、係止溝6を形成している形鋼は、鋼製壁体1への主な作用外力方向、すなわち法線直交方向への作用外力に対する断面剛性向上効果も有し、図5に示されるこの種の複合構造体の地震時挙動は、振動台上での模型加振実験では主に補強土部を含む既設護岸・岸壁の滑動であり、すなわち鋼製壁体1の曲げ分布は地中部根入れ部でピーク値を示し、地中部根入れ部より上の水平変位は壁体上下ともほぼ同程度(むしろ下部の水平変位が上部に比べやや大きい)であった。
図6は、図5の実施形態の変形例として、新設の複合構造体Bを構成する鋼管矢板2からなる鋼製壁体1と既設鋼矢板岸壁Aの矢板壁41をタイロッド43aでつないだ場合を示したものであり、他の構成は図5の場合と同様である。
この例では、図5の場合と同様、矢板壁41はもともとタイロッド43で控え杭44に接続されているが、さらに、新設の鋼製壁体1と矢板壁41もタイロッド43aでつなぐことで、水平方向の力に対する安定性が高まる。
図7は、図5の実施形態の変形例として、既設鋼矢板岸壁がない新設の岸壁に適用する場合を示したものである。
この例では、新設の岸壁を構築する位置に所定深度まで地盤改良を施し、鋼管矢板2を地盤改良部31の所定深度まで打設し、鋼製壁体1を構築する。以下の施工手順は、図5の場合と同様である。
地盤条件や鋼製壁体1、面状補強材8、充填土9などの設計において、水平抵抗が確保されれば、これらのみで構成することもできる。もちろん、既設鋼矢板岸壁がない場合において、控え杭を設け、新設の鋼製壁体1と控え杭をタイロッドでつなぎ、水平方向の力に対する安定性を高めることも可能である。
以上述べた実施形態の適用対象は港湾構造物であるが、本発明の鋼製壁体1は、港湾構造物に限らず、例えば背景技術の項で例示したような水中作業を伴わない陸上構造物にも適用可能である。
本発明の複合構造体用鋼製壁体を構成する鋼材として鋼管矢板を用いた場合の鋼製壁体と面状補強材の関係を示す平面図である。 本発明の複合構造体用鋼製壁体を構成する鋼材としてハット形鋼矢板を用いた場合の鋼製壁体と面状補強材の関係を示す平面図である。 本発明の複合構造体用鋼製壁体を構成する鋼材としてU型鋼矢板を用いた場合の鋼製壁体と面状補強材の関係を示す平面図である。 芯材に巻き付けた面状補強材を係止溝に嵌込む状態と展張方向を示す斜視図である。 本発明の複合構造体用鋼製壁体の具体的な適用例として、鋼(管)矢板壁を既設鋼矢板岸壁前面の沖側に構築し、耐震補強に加え、増深を図る場合を示す断面図である。 図5の実施形態の変形例として、新設の複合構造体を構成する鋼管矢板と既設鋼矢板岸壁をタイロッドでつないだ場合を示した断面図である。 図5の実施形態の変形例として、既設鋼矢板岸壁がない新設の岸壁に適用する場合を示した断面図である。 従来の鋼(管)矢板式護岸・岸壁の耐震補強例を示す断面図である。 従来の重力式護岸・岸壁の耐震補強例を示す断面図である。 従来の重力式RC擁壁(陸上)の耐震補強例を示す断面図である。
符号の説明
A…既設鋼矢板岸壁、B…複合構造体、
1…鋼製壁体 、2…鋼管矢板、3…パイプ(雌継手)4…カットT形鋼(雄継手)、5…カットT形鋼、6…係止溝、7…芯材、8…面状補強材、9…充填土、
11…鋼製壁体、12…ハット形鋼矢板、15…H形鋼、15a…鋼板、16…係止溝、17…芯材、
21…鋼製壁体、22…U型鋼矢板、25…カットT形鋼、26…係止溝、
31…地盤改良部、35…増深部
41…矢板壁、43…タイロッド、43a…タイロッド、44…控え杭、
51…矢板式護岸・岸壁、52…鋼(管)矢板、53…タイロッド、54…控え杭、
61…重力式護岸・岸壁、62…軽量固化処理土、
71…重力式RC擁壁、72…アースアンカー

Claims (3)

  1. 鋼製壁体と該鋼製壁体の背面側で上下方向に互層をなす土および面状補強材からなる複合構造体を構成する鋼製壁体であって、前記面状補強材の一端を取り付けた芯材の両端部を、前記鋼製壁体の壁連続方向に所定間隔をおいて設けられた上下方向の係止溝内に係止した状態で、該面状補強材が鋼製壁体の背面側に展張可能であることを特徴とする複合構造体用鋼製壁体。
  2. 前記鋼製壁体に設けられた係止溝は前記鋼製壁体の背面側に取り付けた上下方向の鋼材によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の複合構造体用鋼製壁体。
  3. 既設または新設の岸壁または護岸に用いることを特徴とする請求項1または2記載の複合構造用鋼製壁体。
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