JP2007055969A - ビサコジルの溶出性向上剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ビサコジルは難溶性薬物であるため、種々のコーティングを施し小腸下部から大腸部位で薬物を放出しても、難溶性のため溶解しにくいことから十分な効果を得にくく、また、より多くの薬剤を配合することが必要であった。
本発明は、ビサコジルを配合し、十分な効果が得られる製剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 ジオクチルソジウムスルホサクシネートを有効成分とする小腸下部から大腸部位におけるビサコジルの溶出性向上剤。
【選択図】 なし
本発明は、ビサコジルを配合し、十分な効果が得られる製剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 ジオクチルソジウムスルホサクシネートを有効成分とする小腸下部から大腸部位におけるビサコジルの溶出性向上剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は固形製剤に関し、さらに詳しくはビサコジルの溶出性を向上させた固形製剤に関する。
ビサコジルは大腸粘膜に直接作用し、腸のぜん動運動を促進して排便を促す瀉下剤として、主に経口投与の形態の薬剤で使われている。性質は水に極めて溶けにくいことが知られている。
また、ビサコジルは小腸上部までの部位で吸収されると腸肝循環により作用が繰り返すなどの問題があった。したがってビサコジルは小腸下部から大腸部位で作用させるのが好ましい。
ジオクチルソジウムスルホサクシネートは瀉下薬として知られている。その作用は腸内で硬便に直接作用して水を浸透させ、便を軟化、膨潤させることにより排泄を促進させるものである。
従来、ビサコジルおよびジオクチルソジウムスルホサクシネートを同時配合した製剤の安定性を向上させる技術は報告されている(特許文献1)。
また、ビサコジルを小腸下部から大腸部位で放出させるために種々のコーティングを施す技術はいくつか報告されている(特許文献2〜4)。
ビサコジルは難溶性薬物であるため、種々のコーティングを施し小腸下部から大腸部位で薬物を放出しても、難溶性のため溶解しにくいことから十分な効果を得にくく、また、より多くの薬剤を配合することが必要であった。
本発明は、ビサコジルの配合量を抑え、瀉下作用が繰り返すなどの好ましくない現象を無くし十分な効果が得られる薬剤を提供することを目的とする。
本発明者らは課題を解決するために種々検討した結果、ビサコジルと、ジオクチルソジウムスルホサクシネートを配合させ、小腸下部から大腸部位で放出させることにより、ビサコジルがより少量の薬物で薬効が発現するばかりでなく、配合したジオクチルソジウムスルホサクシネートの持つ薬効も加わることから、それら単独では予想し得ない相乗効果が現れることを見出し本発明を完成した。
すなわち本発明は、
1.ジオクチルソジウムスルホサクシネートとビサコジルを有効成分とする効果が増強された瀉下剤。
2.小腸下部から大腸への入り口に相当する部位において放出され、ジオクチルソジウムスルホサクシネートとビサコジルを有効成分とする効果が増強された瀉下剤用組成物。
3.ジオクチルソジウムスルホサクシネートを有効成分とする小腸下部から大腸部位におけるビサコジルの溶出性向上剤。
4.ジオクチルソジウムスルホサクシネートを有効成分とするビサコジルの薬効増強剤。
である。
1.ジオクチルソジウムスルホサクシネートとビサコジルを有効成分とする効果が増強された瀉下剤。
2.小腸下部から大腸への入り口に相当する部位において放出され、ジオクチルソジウムスルホサクシネートとビサコジルを有効成分とする効果が増強された瀉下剤用組成物。
3.ジオクチルソジウムスルホサクシネートを有効成分とする小腸下部から大腸部位におけるビサコジルの溶出性向上剤。
4.ジオクチルソジウムスルホサクシネートを有効成分とするビサコジルの薬効増強剤。
である。
ジオクチルソジウムスルホサクシネートがビサコジルの瀉下作用を増強させることから、ビサコジルの配合量を抑え、服用後瀉下作用が繰り返すなどの好ましくない現象を無くし、且つ十分な効果が得られる薬剤を提供すること可能となった。
本発明でビサコジルの投与量はその効果の点から1回投与量あたり0.75〜15mgが好ましく3〜8mgがさらに好ましい。
本発明でジオクチルソジウムスルホサクシネートの配合量はビサコジルの溶出性向上効果の点から1回投与量あたり3〜120mgが好ましく、5〜30mgがさらに好ましい。
ビサコジル1質量部に対するジオクチルソジウムスルホサクシネートの配合量比は、1.6〜6.4倍が好ましく、1.6〜3.2倍がさらに好ましい。
本発明の瀉下剤の薬物放出部位は小腸下部から大腸への入り口に相当する部位であり、消化管内の消化液量が少ないことが知られている。ヒト消化管内の消化液量に関しては、一般に小腸から大腸へと移行するにつれて消化管内液量は減少する。したがって小腸下部から大腸部位で薬物を放出する場合には、薬物自身の溶解度が薬効に影響する事が多い。本発明の瀉下剤の有効成分であるジオクチルソジウムスルホサクシネートは界面活性剤でもあり、難溶性薬物であるビサコジルを消化管液量の少ない部位で溶解させるには非常に効果的である。また、本発明の有効成分であるビサコジルとジオクチルソジウムスルホサクシネートは小腸下部から大腸への入り口に相当する部位で同時に存在しなければ相乗効果を示すことができない。従って単に両薬物を服用しただけでは有効な薬剤とはならない。
本発明の瀉下剤は、製剤的にはビサコジルとジオクチルソジウムスルホサクシネートを含む核に対し種々の腸溶性の皮膜等を施すことが必要である。ここで、腸溶性皮膜とは顆粒、素錠などに対するフィルムなどの他、腸で溶解するカプセル、ソフトカプセルなどを用いることもできる。カプセルを用いる場合は核の顆粒などを腸溶性のカプセルに詰めカプセル剤とする。
本発明の効果が得られる製剤は、例えば以下のように製造される。
ジオクチルソジウムスルホサクシネートを水、エタノールなどの溶媒に溶解して溶液とする。その溶液を噴霧しながらもしくは一括に添加し、軽質無水ケイ酸を混合した粉体を造粒して粉体を得る。
得られた粉体に、ビサコジル、必要があれば通常の医薬品製造に使用される他の薬効成分、添加剤などを加え、常法により、混合、粉砕、造粒等の工程を経て、顆粒剤、錠剤などの形態の核を得ることができる。
得られた核に対して公知の方法で本発明の腸溶性皮膜を施すことにより本発明の効果が得られる固形製剤を得ることができる。
以下、試験例により本発明をさらに詳細に説明する。
試験例1 ビサコジルとジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)の併用効果
1.試験方法
SD系雄性ラットを1群10例として使用した。被験物質としてビサコジル(2mg/kg)単独、DSS単独(3.2mg/kg)、ビサコジル(2mg/kg)+DSS(3.2mg/kg)を用いた。
1)回腸内投与試験
ラットをエーテル麻酔下開腹し、回盲部より20cm口側の回腸にシリンジを用いて被験物質をラットの体重1kgあたり1mLの割合で注入した。閉腹後、麻酔より回復させ24時間後まで瀉下の発現を観察した。
2)経口投与試験
ラットに被験物質を体重1kgあたり5mLの割合で経口投与し、24時間後まで瀉下の発現を観察した。
1.試験方法
SD系雄性ラットを1群10例として使用した。被験物質としてビサコジル(2mg/kg)単独、DSS単独(3.2mg/kg)、ビサコジル(2mg/kg)+DSS(3.2mg/kg)を用いた。
1)回腸内投与試験
ラットをエーテル麻酔下開腹し、回盲部より20cm口側の回腸にシリンジを用いて被験物質をラットの体重1kgあたり1mLの割合で注入した。閉腹後、麻酔より回復させ24時間後まで瀉下の発現を観察した。
2)経口投与試験
ラットに被験物質を体重1kgあたり5mLの割合で経口投与し、24時間後まで瀉下の発現を観察した。
結果を図1に示した。なお、何れの投与経路においても、DSS単独(3.2mg/kg)では瀉下作用は認められなかった。
回腸内投与においては、ビサコジルにDSSを併用することにより、瀉下効果の相乗的な増強が認められた。一方、通常の経口投与においてはDSS併用によりビサコジルの瀉下作用に対する増強効果は認められなかった。
これらのことから本発明は、回腸内投与においては薬物のそれぞれ単独の効果と比較して相乗的に瀉下効果が向上するので、製剤的な操作により、ビサコジルとDSSを効果的に薬効発現部位に高濃度で到達させることが必要である。
試験例2 ビサコジルとDSSの配合比率に関する検討
1.試験方法
SD系雄性ラットを1群10例として使用した。ラットをエーテル麻酔下開腹し、回盲部より20cm口側の回腸にシリンジを用いて被験物質をラットの体重1kgあたり1mLの割合で注入した。閉腹後、麻酔より回復させ24時間後まで瀉下の発現を観察した。瀉下作用増強率は、ビサコジル単独群に対するビサコジルとDSS併用群の瀉下発現率の割合を百分率で示した。ビサコジルとDSSは、ビサコジル(0.5〜2mg/kg)1質量部に対してDSSを1.6、3.2、6.4質量部の割合で配合して用いた。
1.試験方法
SD系雄性ラットを1群10例として使用した。ラットをエーテル麻酔下開腹し、回盲部より20cm口側の回腸にシリンジを用いて被験物質をラットの体重1kgあたり1mLの割合で注入した。閉腹後、麻酔より回復させ24時間後まで瀉下の発現を観察した。瀉下作用増強率は、ビサコジル単独群に対するビサコジルとDSS併用群の瀉下発現率の割合を百分率で示した。ビサコジルとDSSは、ビサコジル(0.5〜2mg/kg)1質量部に対してDSSを1.6、3.2、6.4質量部の割合で配合して用いた。
試験結果を表1に示した。ビサコジル1質量部に対して、1.6〜6.4質量部の範囲で瀉下発現率は200%以上に増大し、1.6〜3.2質量部の範囲ではより優れた効果が得られることがわかった。
これらのことから本願発明の製剤は、小腸下部から大腸部位において、ビサコジルとDSSを高濃度で薬物を放出することから、薬物のそれぞれ単独の効果と比較して相乗的に瀉下効果が向上することが示唆された。
本発明によりビサコジルを効果的に薬効発現部位に高濃度で到達させることができたので、医薬品などに有効である。
Claims (4)
- ジオクチルソジウムスルホサクシネートとビサコジルを有効成分とする効果が増強された瀉下剤。
- 小腸下部から大腸への入り口に相当する部位において放出され、ジオクチルソジウムスルホサクシネートとビサコジルを有効成分とする効果が増強された瀉下剤用組成物。
- ジオクチルソジウムスルホサクシネートを有効成分とする小腸下部から大腸部位におけるビサコジルの溶出性向上剤。
- ジオクチルソジウムスルホサクシネートを有効成分とするビサコジルの薬効増強剤。
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JP2014070054A (ja) * | 2012-09-28 | 2014-04-21 | Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd | 医薬組成物 |
Citations (2)
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---|---|---|---|---|
WO2004024138A1 (ja) * | 2002-09-10 | 2004-03-25 | Taisho Pharmaceutical Co.,Ltd. | ジオクチルソジウムスルホサクシネート配合固形製剤 |
JP2004123731A (ja) * | 2002-09-10 | 2004-04-22 | Taisho Pharmaceut Co Ltd | ジオクチルソジウムスルホサクシネート配合錠剤 |
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2005
- 2005-08-26 JP JP2005245883A patent/JP2007055969A/ja active Pending
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