図1に示す電気掃除機10は、掃除機本体11と、この掃除機本体11の接続口11Aに一端が着脱自在に接続されその他端には手元操作管13が設けられている集塵ホース12と、手元操作管13に着脱自在に接続した延長管14と、延長管14の先端部に着脱自在に接続された吸込口体15とを備えている。手元操作管13には操作部13Aが設けられており、この操作部13Aには複数の操作スイッチ13aが設けられている。
吸込口体15には、その底面に塵埃を吸引する図示しない吸込開口(塵埃吸込口)を形成した吸込室(図示せず)が形成されており、この吸込室は延長管14および集塵ホース12を介して掃除機本体11内に設けた集塵ユニット50(図6参照)の吸込接続口57aに連通している。
掃除機本体11は、本体ケース20と、本体ケース20内に装着された集塵ユニット50(図6参照)と、後述する電動送風機24とを備えている。
本体ケース20の前側には、図2ないし図5に示すように、集塵ユニット室(装着部)22が形成されており、この集塵ユニット室22には後述する塵埃分離ユニット400と集塵部ユニット410とが着脱自在に装着されるようになっている。
集塵ユニット室22の上部には開口23が形成され(図3参照)、この開口23は図2に示すように蓋ケース21A,21Bによって閉鎖されている。また、本体ケース20の後側には電動送風機24が設けられており、この電動送風機24の前側(図2において右側)に前面開口25Bを有する円筒状の接続風路部25が形成され、この接続風路部25内には格子部材25Kが配置されており、前面開口25Bにはシール部材27が装着されている。接続風路部25の後壁25Aには接続開口25bが形成されており、この接続開口25bと電動送風機24の吸込開口24Aとが連通している。
集塵ユニット室22には、図3ないし図5に示すように、駆動ギア(第1伝達手段)Gaと、この駆動ギアGaを回転させる駆動モータ(駆動手段)Mとが設けられている。
集塵ユニット50は、図6ないし図8に示すように、塵埃分離ユニット400と集塵部ユニット410とを備えている。
塵埃分離ユニット400は、塵埃分離部(第1分離部)52と、塵埃分離部52と一体となっているフィルタ部80と、このフィルタ部80の上に設けた蓋ケース21Aとから構成されている。集塵部ユニット410は、集塵部70と、この集塵部70の上に設けられた蓋ケース21Bとから構成されている。
塵埃分離部52は、外周壁53によって円筒状に形成された分離室部54と、この分離室部54内に分離室部54の軸線に沿って設けられたほぼ円錐形状の塵埃分離手段55と、分離室部54の右側壁54A(図9参照)の外側に設けた吸引風路部56と、吸込接続口57a(図6参照)から分離室部54へ空気を案内する案内風路管57とを有している。吸込接続口57aは、塵埃分離ユニット400が掃除機本体11の集塵ユニット室22に装着されると、掃除機本体11の接続口11Aに連通されるようになっている。
分離室部54の外周壁53の上部には、図7に示すように、空気から分離された塵埃を集塵部70へ導入する導入開口53Aと、排出開口84K(図10参照。)から排出された塵埃を分離室部54へ導入する導入孔153Bとが形成されている。
また、分離室部54の右側壁54Aには、図9および図10に示すように、円形の開口154Aと扇状の開口154Bとが形成され、開口154Aには塵埃分離手段55が取り付けられており、開口154BにはネットフィルタNF2が取り付けられている。また、右側壁54Aには接続開口54Aaが形成され、この接続開口54Aaには案内風路管57が接続されており、分離室部54と案内風路管57とが連通している。
分離室部54の左側面(図7において)は開口されており、この開口54Ba(図9参照)には蓋58(図8参照)が着脱自在に装着されている。
塵埃分離手段55は、図10に示すように、円板55aと、リング枠55bと、円板55aとリング枠55bとを連結した複数の連結枠55cと、連結枠55cの周囲に貼り付けたネットフィルタNF1とから構成されている。そして、吸引風路部56は、右側壁54Aの開口154AおよびネットフィルタNF1を介して分離室部54内に連通し、また右側壁54Aの開口154BのネットフィルタNF2を介して分離室部54内に連通している。
吸引風路部56は、後述するフィルタ部80の収納ケース81内に連通しているとともに、その右側壁部156(図7参照)に形成した接続開口56Aを介して後述する集塵ケース部74の集塵室73に連通している。
案内風路管57は、分離室部54の接続開口54Aaから分離室部54内へ導入される空気を図9および図10の矢印に示すように反時計回りに回転させるようになっている。
集塵部70は、図11および図12に示すように、上部に左右方向に延びた連通路71(図7参照)を形成した連通ケース部72と、この連通ケース部72の右端部から下方に延びるとともに塵埃を集塵する集塵室73(図7参照)を形成した集塵ケース部74とを有している。
連通ケース部72の下面には開口72Aが形成され、この開口72Aは図7に示すように塵埃分離ケース52の導入開口53Aに接続されている。連通ケース部72と集塵ケース部74とは、互いの境界個所(600)を介して通じており、境界個所(600)に直交する方向、すなわち境界個所(600)から鉛直方向で見た下方に向けて集塵ケース部74が延在されている。このため、本実施例では、連通ケース部72と集塵ケース部74との境界個所(600)が集塵室73の上部に位置する取入口600となる。
集塵ケース部74には、図24に示すように、接続開口75が形成されている。接続開口75は、集塵ケース部74の左側壁部74A(図24において)を略全面に渡り開口する貫通孔である。本実施例では、接続開口75は集塵ケース部74の左側壁部74Aに設けられた側壁突条部分601に設けられている。側壁突条部分601は、左側壁部74Aから集塵室73へ向けて突出する筒状を呈し(図13参照)、左側壁部74Aの外縁に沿って環状に延在している。側壁突条部分601には、上辺および下辺のそれぞれにボス602が設けられており、各ボス602にはネジ孔602Aが形成されている。この側壁突条部分601の突出端部601Aにより接続開口75が規定されている。
また、側壁突条部分601の突出端部601Aには、フランジ部分601Bが形成されている。フランジ部分601Bは、接続開口75を取り囲むように突出端部601Aを切欠いて形成されており、ネットフィルタNF3の取り付け個所を構成する。ネットフィルタNF3は、複数の窓部分603(図12および図13参照。)を形成する格子状の枠部604と、細かい貫通孔が設けられたネット部605とを有する。ネットフィルタNF3は、各窓部分603がネット部605により覆われて構成されており、空気の通過および塵埃の捕獲が可能である。ネットフィルタNF3は、フランジ部分601Bに配置可能な大きさ寸法に形成されており、接続開口75を覆うことが可能である。
左側壁部74Aには、吸引風路部56側に取付凹所601Dが形成されている。取付凹所601Dは、筒状の側壁突条部分601により規定された矩形状の貫通孔を取り囲むように左側壁部74Aを切り欠いて形成されており、カバー板170の取り付け個所を構成する。カバー板170は、空気の通過を許さない材料からなり、取付凹所601Dに嵌合可能な大きさ寸法の板形状を呈し、開口170Aが設けられている。開口170Aは、矩形状を呈しており、接続開口75よりも小さな開口面積に設定され、取付凹所601Dに取り付けられた状態で水平方向で見て下端が接続開口75の下端と等しくなる位置とされている。このため、吸込風路に沿って下流側から見るとすなわち吸引風路部56側から水平方向で見ると、接続開口75すなわちネットフィルタNF3の上部が水平方向に沿う全幅に渡りカバー板170により覆われることとなる(図12参照。)。
また、本実施例では、ネットフィルタNF3の取り付けに取付フレーム606が用いられる。取付フレーム606は、環状を呈する板枠部材であり、環状のフランジ部分601Bに沿って配置することが可能な大きさ寸法とされている。
ネットフィルタNF3およびカバー板170は、ネットフィルタNF3がフランジ部分601Bに配置され、その上に取付フレーム606が配置され、かつカバー板170が取付凹所601Dに配置された状態において、二本の締結部材607が各ボス602のネジ孔602Aに螺合されることにより、左側壁部74Aに取り付けられている。この取り付け状態において、集塵ケース部74の外周面を構成するカバー板170(図12参照。)の開口170Aは、吸引風路部56の接続開口56Aに接続されている(図7および図24参照。)。
本実施例では、左側壁部74Aの接続開口75が集塵室73の側壁に設けられた開口であり、接続開口75に取り付けられたネットフィルタNF3から所定の間隔を置いてカバー板170が設けられている。このため、本実施例では、カバー板170が風量調節部となり、このカバー板170とネットフィルタNF3との間に形成された空間が空気流減速空間608となる。空気流減速空間608は、接続開口75およびネットフィルタNF3を経て集塵室73に通じ、かつカバー板170の開口170Aおよび接続開口56Aを経て吸引風路部56に通じている。なお、ネットフィルタNF3とカバー板170との所定の間隔は、そこに規定される空気流減速空間608が後述するようにネットフィルタNF3の上部を通過する流量をネットフィルタNF3の下部を通過する流量よりも低減するものであればよく、例えば、このような空気の流れの観点から集塵室73の取入口600と、集塵室73からの空気の排出個所となる接続開口54Aとの大きさ寸法等を考慮して適宜設定することができる。
これにより、集塵室73、側壁突条部分601およびカバー板170は、連通路71から吸引風路部56に至る吸込風路において、上部の取入口600から接続開口75およびネットフィルタNF3を通過した後、空気流減速空間608を経由して吸引風路部56に至る風路と、空気流減速空間608を経由せずに吸引風路部56に至る風路とを形成している。また、集塵室73は、吸込口体15から電動送風機24に至る吸込風路の一部を構成しており、取入口600が上流側に位置し、接続開口75が下流側に位置し、集塵室73の下流側に空気流減速空間608が位置することとなる。
また、集塵ケース部74は、図13に示すように右側面が開口したケース部174と、このケース部174の開口76に開閉自在に取り付けられた蓋体77(図14参照)とから構成されている。
蓋体77の底壁部77Aには、図12に示すように左方向へ延びたアーム部77Mが形成され、このアーム部77Mに図14に示すように軸部77Jが設けられており、この軸部77Jが集塵ケース部74の底部に設けた軸受部78に回動自在に保持されている。そして、その軸部77Jを中心にして蓋体77が回動することにより、集塵ケース部74の開口76が開閉されるようになっている。
また、蓋体77の上部には図示しないフックが形成され、このフックが集塵ケース部74の係止部(図示せず)に係止することにより蓋体77が開かないようになっている。そして、図15に示すように、集塵部70の蓋ケース21Bに設けた解除ボタン21Baを操作すると、そのフックの係止が解除され、蓋体77を下側にすることにより、蓋体77は自重により軸部77J回りに回動して開成する。
蓋体77は、図14に示すように、底壁部77Aと、この底壁部77Aの両側に形成された側壁部77B,77Cと、この側壁部77B,77Cの上部に形成された上壁部77Dと、これら底壁部77A,側壁部77B,77C,上壁部77Dで囲まれた蓋板部77Eとを有している。そして、ケース部174と蓋体77は、集塵ケース部74を縦割に2分割して形成した状態となっており、蓋体77の側壁部77Bの幅は集塵ケース部74の側部の幅の1/2以上に設定されている。
そして、塵埃分離ユニット400を装着した掃除機本体11の集塵ユニット室22に集塵部ユニット410を装着すると、図7に示すように集塵部ユニット410の開口72Aに塵埃分離ケース52の導入開口53Aが接続され、集塵部ユニット410のカバー板170の開口170Aが塵埃分離ユニット400の吸引風路部56の接続開口56Aに接続されるようになっている。
フィルタ部80は、後面(図8において左側面)が開口されるとともに円筒状の収納ケース81と、この収納ケース81内に回転自在に取り付けられたプリーツフィルタ体(二次フィルタ)100と、このプリーツフィルタ体100と一体に回転していく掃出体300(図16参照)とを有している。収納ケース81の前壁部(区画壁)84の前面(図6において右側)には塵埃分離部52が一体に形成されている。収納ケース81内がフィルタ室181となっている(図10参照)。
収納ケース81の前壁部84には、図16に示すように、接続開口84Aと上部に塵埃を排出する排出開口84Kが形成され、接続開口84Aが吸引風路部56(図7参照)に接続されている。そして、その接続開口84Aを介して収納ケース81内と吸引風路部56とが連通している。
排出開口84Kは、図10に示すように、閉塞蓋450により閉塞され、この閉塞蓋450はスプリング401により後方(図10において左方)へ付勢されている。また、閉塞蓋450はスプリング401の付勢力に抗して前方(右方)へ移動可能となっており、前方へ移動することにより排出開口84Kが開成される。閉塞蓋450には突起450Aが設けられており、この突起450Aが排出開口84Kから収納ケース81内へ突出している。
排出開口84Kは、連通部材403によって塵埃分離部52の導入孔153Bに連通されている。
また、前壁部84の接続開口84Aの近傍には互いに所定間隔を隔てた一対の突起(除塵手段)88が設けられており、後述するプリーツフィルタ104の山部104A(上流側に対しての山部)の突出部104Abに当接するようになっている。また、前壁部84の中心部には図16に示すように軸84Jが形成されている。
収納ケース81の内周壁面は、プリーツフィルタ104から落とされた塵埃を受ける塵埃受部86となっている。
プリーツフィルタ体100は、図17に示すように、筒状の枠体101と、この枠体101の中心位置に設けた軸部101Aと、この軸部101Aから放射状に放射状のプリーツを形成するための複数のプリーツ骨102,103と、このプリーツ骨102,103に貼られて形成されたフィルタであるプリーツフィルタ104とを有している。
軸部101Aの軸穴101Aaには、図2に示すように、前壁部84の軸84Jが相対的に回転自在に挿入され、プリーツフィルタ体100は軸84Jを中心にして回転していくようになっている。
枠体101の後端に、図17に示すように長さの短い円筒部110が形成され、この円筒部110の外周面に図18に示すように周方向に沿って径の小さい3つの小径面110Aが等間隔に形成されている。そして、その小径面110Aと小径面110Aとの間が大径面110Bとなっている。
この小径面110Aや大径面110BはマイクロスイッチS1により検知するものであり、このマイクロスイッチS1(図示せず)は掃除機本体11の集塵ユニット室22内に設けられている。この実施例では、例えば大径面110Bを検知しているときマイクロスイッチS1はオンし、小径部110Aを検知しているときオフするようになっている。
円筒部110の後端面にはギア107が形成され、このギア107および円筒部110は収納ケース81から外へ突出しており、このギア107は掃除機本体11の集塵ユニット室22の駆動ギアGaに噛合しており、モータMの駆動によりプリーツフィルタ体100が収納ケース81内で回転していくようになっている。
そして、塵埃分離ユニット400を掃除機本体11の集塵ユニット室22に装着するとギア107が駆動ギアGaに噛合され、その集塵ユニット室22から塵埃分離ユニット400を持ち上げると、ギア107は駆動ギアGaから外れて、塵埃分離ユニット400は集塵ユニット室22から簡単に取り外せるようになっている。
掃出体300は、図19および図20に示すように、プリーツ体100の軸部101Aに嵌合されてその軸部101Aと一体に回転していく軸部301と、この軸部301から径方向に延びた3つのアーム302と、このアーム302の先端部に設けられた掃出部材303とを有している。なお、図20では2つの掃出部材303は省略してある。
掃出部材303の先端部は、収納ケース81の塵埃受部86の内壁面を摺接してその塵埃受部86に溜まっている塵埃を掻き上げていく第1摺接部303Aとなっており、掃出部材303の一側部は、収納ケース81の前壁部84上を摺接する第2摺接部303Bとなっている。また、掃出部材303の片面には、第1摺接部303Aで掻き上げた塵埃を排出開口84Kへ落とす傾斜面(ガイド傾斜面)303Cが形成されている。
掃出体300は、プリーツフィルタ体100が回転していくことにより回転していき、この回転により掃出部材303は図16に示す収納ケース81の塵埃受部86の内周面に沿ってその内周面および前壁面84を摺接移動していく。この摺接移動により、掃出部材303が塵埃受部86に溜まった塵埃を掃き出しながら排出開口84Kへ押し上げていくようになっている。
掃出部材303が排出開口84Kの位置に移動してくると、掃出部材303が閉塞蓋450の突起450Aを押圧して閉塞蓋450をスプリング401の付勢力に抗して前方へ移動させて、排出開口84Kを開成させる。
プリーツフィルタ体100が回転して、掃出部材303が図16に示す位置にくると、マイクロスイッチS1がオンからオフに切り替わるように、すなわちマイクロスイッチS1がプリーツフィルタ体100の円筒部110の大径部110Bの検知から小径部110Aの検知へと切り替わるように、マイクロスイッチS1の取り付け位置と、プリーツフィルタ体100に対する掃出体300の取り付け位置が設定されている。
そして、掃出部材303が図16に示す位置にきたとき、排出開口84Kは閉塞蓋450により閉塞されるようになっている。
また、塵埃分離ユニット400を掃除機本体11の集塵ユニット室22に装着すると、掃除機本体11の接続風路部25の前面開口25Bにシール部材27を介して塵埃分離ユニット400の収納ケース81の後端面が接合され、収納ケース81内と電動送風機24の吸込開口24Aとが接続風路部25を介して連通される。
図21はこの電気掃除機の制御系の構成を示したブロック図である。図21において、200は操作部13Aの操作スイッチ13a(図1参照)の操作やマイクロスイッチS1の検知信号に基づいて電動送風機24やモータMを制御する制御装置である。
[動 作]
次に、上記のように構成される電気掃除機の動作について説明する。
先ず、図2に示すように、集塵ユニット50を掃除機本体11の集塵ユニット室22に装着し、図1に示すように集塵ホース12を掃除機本体11の接続口11Aに接続するとともに手元操作管13に延長管14を介して吸込口体15を接続する。
そして、図示しない電源プラグをコンセントに接続する。この接続により制御装置200(図21参照。)がモータMを駆動させて、フィルタ部80のプリーツフィルタ体100を回転させていく。プリーツフィルタ体100の回転とともに掃出体300が回転していき、掃出体300の掃出部材303は、その第1摺接部303Aが塵埃受部86の周面上を摺接移動してその塵埃受部86に溜まっている塵埃を周面に沿って上に押し上げていく。
このように、掃出部材303は回転移動により塵埃を塵埃受部86に沿って排出開口84Kへ押し上げていくので、その押し上げは簡単な構造で行うことができる。また、掃出体300はプリーツフィルタ体100の回転によって回転するので、駆動源は1つでよく、掃出体300用の専用のモータは不要となる。
そして、掃出部材303が排出開口84Kの位置にくると、図22に示すように、掃出部材303の第2摺接部303Bが閉塞蓋450の突起450Aを押圧するので、閉塞蓋450が開成する。
一方、掃出部材303の第1摺接部303Aで掻き上げられた塵埃は、掃出部材303の側面303Dを介して傾斜面303Cに落とされ、さらにその塵埃は傾斜面303Cによって排出開口84Kへ落とされて排出される。この排出開口84Kに落とされた塵埃は連通部材403を介して塵埃分離部52の導入孔153Bから分離室部54内へ戻される。
そして、プリーツフィルタ体100の回転により掃出部材303が図16に示す位置にくると、マイクロスイッチS1がプリーツフィルタ体100の円筒部110の大径部110Bの検知から小径部110Aの検知へと切り替わり、これによりモータMの駆動が停止される。そして、掃出部材303が図16に示す位置に移動すると、掃出部材303の第2摺接部303Bによる閉塞蓋450の突起450Aの押圧が解除され、閉塞蓋450がスプリング401の付勢力により排出開口84Kを閉塞する。
モータMの駆動中、すなわち閉塞蓋450によって排出開口84Kが閉塞されるまでの間、手元操作管13の操作部13Aのスイッチ13aを操作しても電動送風機24は駆動されない。これにより、塵埃分離部52の分離室部54内へ排出された塵埃が排出開口84Kから吸引されて再度プリーツフィルタ104に付着してしまうことが防止される。
手元操作管13の操作部13Aのスイッチ13aが操作されると、電動送風機24が駆動される。この電動送風機24の駆動により、電動送風機24の吸込開口24Aから空気が吸い込まれて、接続風路部25を介して集塵ユニット50の収納ケース81内に負圧が作用し、さらに吸引風路部56を介して集塵ケース部74内や塵埃分離部52の分離室部54に作用する。そして、その負圧が案内風路管57を介して集塵ホース12,延長管14および吸込口体15に作用し、吸込口体15から空気とともに塵埃が吸引されていく。
この吸引された塵埃および空気が延長管14および集塵ホース12を介して集塵ユニット50の吸込接続口57aへ吸引されていく。この吸込接続口57aへ吸引された塵埃および空気は案内風路管57を通って塵埃分離部52の分離室部54内へ導入され、この分離室部54内では図23において反時計回りに回転していく。
そして、この回転により塵埃と空気が慣性により分離され、空気が塵埃分離手段55のネットフィルタNF1(図10参照)や開口154BのネットフィルタNF2を通り、さらに吸引風路部56を通ってフィルタ部80の収納ケース81内へ吸引されていく。
他方、分離された塵埃は、慣性力によって分離室部54の導入開口53Aおよび開口72Aを経て集塵部70の連通ケース部72内へ一部の空気とともに導入される。この導入された塵埃および空気は、図24に示すように、連通ケース部72の連通路71を通り取入口600を経て集塵室73へ吸引されていく(矢印A参照。)。
集塵室73では、その取入口600から接続開口75に至る風路が下方を向いていることから、この風路を流れる空気に含まれる塵埃に慣性力および重力が作用するので、塵埃は集塵室73の下部に向かいかつ空気は接続開口75に向かい、空気から分離された塵埃が集塵室73の下部に蓄積される(矢印B参照。)。また、空気とともに接続開口75に向かった塵埃は、接続開口75に設けられたネットフィルタNF3に捕獲され、接続開口75を通過することが抑制されている。この際、本実施例の電気掃除機10では、集塵室73の下流側にカバー板170が設けられて空気流減速空間608が形成されているので、接続開口75(ネットフィルタNF3)の上部を通過した空気が空気流減速空間608を経由して吸引風路部56に向かい(矢印C参照。)、接続開口75(ネットフィルタNF3)の下部を通過した空気が空気流減速空間608を経由せずに吸引風路部56に向かうこととなる(矢印D参照。)。
これは、カバー板170が空気の通過を許さずかつ接続開口75の上部を覆っていることから、ネットフィルタNF3の上部を通過した空気の流れは、カバー板170により吸引風路部56へ向かうことが阻止され、空気流減速空間608内で開口170Aに向かい、開口170Aを経て吸引風路部56に向かうこととなるが(矢印C参照。)、ネットフィルタNF3の下部を通過した空気の流れは、カバー板170に干渉することなく開口170Aを経て吸引風路部56に向かうことによる(矢印D参照。)。このため、ネットフィルタNF3の上部を通過した空気の流れは、空気流減速空間608を経る迂曲した風路を辿ることとなり、カバー板170に干渉することなく直接開口170Aを経て吸引風路部56に向かう風路を辿るネットフィルタNF3の下部を通過した空気の流れに比較して、風量が低減される。
このように、集塵室73では、接続開口75の下部すなわちネットフィルタNF3の下部に多くの空気が流れることとなるので、ネットフィルタNF3が接続開口75を通過する空気から塵埃を捕獲することによりネットフィルタNF3に目詰まりが生じる場合であっても、ネットフィルタNF3の下側から目詰まりが生じることとなり、ネットフィルタNF3に生じる目詰まりに起因して集塵室73における塵埃の蓄積可能な容積が減少することを最小限に抑えることができ、より多くの塵埃を集塵室73に蓄積することができる。これは、以下の理由による。
集塵室73では、左側壁部74Aの接続開口75から空気を排出しつつ下部に集塵する構成とされているので、空気が接続開口75を通過することができなくなるまで、すなわち下部から積み重ねられた塵埃が接続開口75の上端近傍に至るまでの容積で集塵することができる。ところが、カバー板170が設けられていない従来の電気掃除機では、集塵室73から排出される空気には、取入口600からの最短距離に沿う近傍位置となる接続開口75の上部を通過する流れが形成され、ネットフィルタNF3の上部から目詰まりが生じてしまう。すると、ネットフィルタNF3における空気の通過が可能な範囲、すなわち接続開口75における空気の通過が可能な範囲が上側から下方へ向けて縮小することとなる。これにより、空気が接続開口75を通過することができなくなる位置が、ネットフィルタNF3の目詰まりにより、接続開口75の上端よりも下方へ変位する。このため、従来の集塵室73では、ネットフィルタNF3に目詰まりが生じると、上部から下方へ向けて拡大されるネットフィルタNF3の目詰まりの範囲の下端位置の近傍より下方の容積で集塵することとなり、目詰まりの範囲の拡大に伴って集塵可能な容積が減少してしまう。
これに対し、本実施例の電動掃除機10では、ネットフィルタNF3の下側から目詰まりが生じることとなるので、ネットフィルタNF3における空気の通過が可能な範囲、すなわち接続開口75における空気の通過が可能な範囲が下部から上方へ向けて縮小することとなる。このため、集塵室73では、ネットフィルタNF3における目詰まりの範囲が拡大された場合であっても、塵埃が下部から積み重ねられることに対し、接続開口75の上部ではネットフィルタNF3が全面に渡り目詰まりするまで空気の通過が可能であるので、積み重ねられた塵埃が接続開口75の上端に至る、またはネットフィルタNF3が全面に渡り目詰まりが生じるまで集塵することができる。よって、電気掃除機10では、集塵室73における塵埃の蓄積可能な容量がネットフィルタNF3の目詰まりに起因して減少することを最小限に抑えることができる。
このことは、特に次の場合に効果的である。集塵室73では、前述したように、フィルタに目詰まりが生じることにより空気が開口部を通過することができなくなると、集塵することができなくなる。このため、フィルタの面積をより大きく設定する、例えば、開口部およびフィルタの流路面積を取入口の流路面積よりも大きく設定することにより、目詰まりに起因して空気がフィルタを通過できなくなる確率を低減させることが考えられる。ところが、上部の取入口から取り入れられた空気には、側壁の開口部の上部を通り集塵室の外部(吸込風路の下流側)に向かう流れが形成され、フィルタの上部から下方へ向けて目詰まりの範囲が拡大することとなり、フィルタの流路面積の増加分を有効に利用することができなくなってしまう。このような場合、風量調整部材を集塵室の下流側に設けると、フィルタでは下部から上方に向けて目詰まりの範囲が拡大されることとなり、塵埃が蓄積される方向とフィルタの目詰まりの拡大方向とが一致するので、集塵室では、フィルタの目詰まりが上部に至るまで集塵することができ、フィルタの流路面積の増加分を最大限利用して目詰まりの確率の低減効果を得ることができる。
集塵室73へ吸引された空気は、ネットフィルタNF3およびカバー板170の下部の開口170Aを通って吸引風路部56に吸引され、さらにフィルタ部80の収納ケース81内へ吸引されていく。
収納ケース81内へ吸引された空気は、プリーツフィルタ体100のプリーツフィルタ104を通って掃除機本体11の接続風路部25へ吸引され、さらに電動送風機24の吸込開口24Aへ吸引されていく。
電動送風機24の吸込開口24Aへ吸引された空気は電動送風機24内を通って図2に示す掃除機本体11の排気口20Hから排気されていく。
掃除が終了したら、操作部13Aの操作スイッチ13aを操作して電動送風機24の駆動を停止させる。この電動送風機24の駆動が停止されると、図21に示す制御装置200がモータMを駆動させる。モータMの駆動により駆動ギアGaが回転してプリーツフィルタ体100が回転していく。
このプリーツフィルタ体100の回転により、収納ケース81の前壁部84の突起88がプリーツフィルタ104の山部104Aの突出部104Abに当たって、プリーツフィルタ104に振動が与えられていき、プリーツフィルタ104に付着した塵埃が振り落とされていく。この塵埃は収納ケース81の塵埃受部86に溜まっていく。
突起88は、プリーツフィルタ体100の回転中心より下側に設けられているので、プリーツフィルタ体100の下側部分のプリーツフィルタ104に大きな振動が与えられることになる。このため、その下側部分のプリーツフィルタ104から塵埃が振り落とされてそのまま塵埃受部86へ落ちていき、この落下の途中で再度プリーツフィルタ104に付着してしまうことがなく、このため効率よく塵埃を落とすことができる。
他方、プリーツフィルタ体100とともに掃出体300が回転していき、掃出体300の掃出部材303の第1摺接部303Aが収納ケース81の塵埃受部86の内周面を摺接移動していく。この摺接移動により、塵埃受部86に溜まった塵埃が掻き上げられながら塵埃受部86の周面上に沿って上に押し上げられていき、そして、掃出部材303が排出開口84Kの位置にくると、上述のようにして排出開口84Kが開成されて(図22参照)、その押し上げられた塵埃が排出開口84Kへ排出され、連通部材403を介して塵埃分離部52の分離室部54内へ戻される。
そして、プリーツフィルタ体100が例えば1回転して、掃出部材303が図16に示す位置にくると、マイクロスイッチS1がプリーツフィルタ体100の円筒部110の大径部110Bの検知から小径部110Aの検知へと切り替わり、これによりモータMの駆動が停止され、プリーツフィルタ体100の回転が停止される。そして、上述のように排出開口84Kが閉塞蓋450により閉塞される。
また、掃出体300の掃出部材303が排出開口84Kを開成したとき、電源プラグをコンセントから引き抜いた場合、モータMの駆動が停止され、排出開口84Kは開成されたままとなるが、上述のように、電源プラグをコンセントに接続すると、モータMを駆動してプリーツフィルタ体100を回転させ、そして掃出部材303が図16に示す位置にくると、モータMの駆動を停止させて掃出部材303を図16の位置に停止させるものであるから、排出開口84Kは閉塞蓋450に閉塞され、この後電動送風機24を駆動させるものであるから、塵埃分離部52の分離室部54へ戻した塵埃を排出開口84Kから吸引してしまうという不具合は防止される。
さらに、塵埃受部86に溜まった塵埃は掃出部材303の回転移動により、排出開口84Kから連通部材403を介して塵埃分離部52の分離室部54内へ戻されるものであるから、プリーツフィルタ104用の専用の集塵部を集塵部ユニット410に設けなくてもよい。
長期間の使用により、プリーツフィルタ104に目詰まりが生じた場合には、塵埃分離ユニット400を掃除機本体11から取り外してプリーツフィルタ104を清掃する。
塵埃分離ユニット400の取り外しは、先ず掃除機本体11から集塵部ユニット410を取り外した後に行うが、駆動ギアGaがプリーツフィルタ体100のギア107の回転中心位置より下側位置となるように設定することにより、駆動ギアGaが邪魔になることなく、塵埃分離ユニット400を上に持ち上げるだけで、プリーツフィルタ体100のギア107は駆動ギアGaから外れる。このため、塵埃分離ユニット400を掃除機本体11の集塵ユニット室22から簡単に取り外すことができる。
また、塵埃分離ユニット400の装着の際にも、集塵ユニット室22の上から挿入すれば、駆動ギアGaが邪魔になることなく、プリーツフィルタ体100のギア107が駆動ギアGaに噛合して、塵埃分離ユニット400を集塵ユニット室22に簡単に装着することができる。
上記実施例では、排出開口84Kから排出される塵埃を塵埃分離部52の分離室部54内へ戻しているが、これに限らず、例えば塵埃分離部52の上流となる案内風路管57へ戻してもよい。また、慣性分離タイプの電気掃除機に適用したものについて説明したが通常の例えば紙フィルタを使用する電気掃除機に適用してもよい。
また、上記実施例では、プリーツフィルタ体100を回転させることにより、プリーツフィルタ104に付着した塵埃を落としているが、これに限らずプリーツフィルタ体100を回転させずにプリーツフィルタ104に振動を与えて塵埃を落とすようにしたものであってもよい。
上記実施例は、キャニスタ型のタイプの電気掃除機について説明したが、アップライト式の電気掃除機や、手元操作管等に塵埃分離ユニットを取り付ける電気掃除機に適用することもできる。
上記した実施例では、風量調節手段としてカバー板170が用いられ、カバー板170は、集塵室73の左側壁部74Aの接続開口75に設けられたネットフィルタNF3の上部との間に空気流減速空間608を形成し、集塵室73の開口部となる接続開口75の上部を通過した空気に空気流減速空間608を経由する流れを形成させ、かつ接続開口75の下部を通過した空気に空気流減速空間608を経由しない流れを形成させることにより、連通路71から吸引風路部56に至る風路の風量を調節している。このように、風量調節手段は、ネットフィルタNF3の上部を通過した空気が経由し、かつネットフィルタNF3の下部を通過した空気が経由しない空気流減速空間608を形成するものであれば、例えば、空気の通過を許すフィルタであってもよく、または空気の流れを変更する風向板であってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
また、上記した実施例では、空気流減速空間608は、側壁突条部分601により確保されていたが、ネットフィルタNF3の上部と風量調節手段(カバー板170)とが一定の間隔を置いて設けられていればよく、本実施例に限定されるものではない。例えば、集塵室73の左側壁部74Aに側壁突条部分601を設けることなく接続開口74を左側壁部74Aに形成し、左側壁部74Aの左側(吸引風路部56側)に左側壁部74Aと間隔を置いてカバー板170のような風量調節手段を配置する構成であってもよい。
本発明に係る風量調整部材は、上記した実施例の電気掃除機に限定されるものではなく、上方に形成された取入口から塵埃を含む空気を取り入れ、側壁に形成されフィルタが取り付けられた開口部から空気を排出することにより、下部に集塵する集塵室が、電動送風機により塵埃を含む空気が吸引される吸込風路の一部を構成する電気掃除機であれば適用することができ、フィルタの目詰まりに起因する集塵室における塵埃の蓄積可能な容積の減少を最小限とすることができる。