本発明は、生理物質および/もしくは細胞等を含有する液体を処理する吸着材・処理材やその担体として有用であり、特に体液を処理する吸着材・処理材やその担体として有用であるポリマー粒子、およびその製造方法に関する。
近年、薬剤の投与などでは十分な改善が達成できない種々の難治性疾患の治療法として、体外循環治療が広く行われるようになった。体外循環治療とは、患者の血液等を体外に導き、血液等の中に存在し疾患と密接に関連する物質や細胞を除去してその濃度を低下させたり、何らかの治療に寄与する影響を与えたりした後、再び患者に戻す方法である。
その一つとして、体外に導いた患者の血液から血漿分離膜や遠心分離器によって血漿成分を分離し、該血漿を吸着材で処理した後、血球成分と合わせて患者の体内に戻す、いわゆる血漿灌流方式による血液浄化法があり、種々の吸着器が開発されている。さらに最近では、直接血液灌流方式と呼ばれる、患者の血液から血漿成分を分離することなく血液を直接処理する方法が注目されている。
これらで使用される吸着材は、補体系の活性化を引き起こさないことが望まれる。補体系の活性化は、白血球走化性促進、血管透過性亢進、血圧低下、アナフィラキシー反応等の問題をもたらす。
さらに、血液を直接処理する吸着材は、血液細胞の非特異的な付着や活性化を起こさないことが望まれる。周知のように体外に出た血液細胞は生理的に極めて不安定であり、特に血小板や白血球は不安定で、吸着材等の異物と接触した際に付着や活性化を生じ易い。血液細胞の付着や活性化は、細胞の損失や障害の他、種々の生理反応など該活性化に起因する様々な問題をもたらす。
従来、これら吸着材やその担体には、生体との親和性が比較的良好とされるポリビニルアルコールやポリヒドロキシエチルメタクリレートなどの合成高分子、これらを含む共重合体やポリマーブレンド、さらにはそれらで表面を被覆した材料などの使用が試みられてきた。しかしながら、補体系や血液細胞の活性化に対する検討は十分なものではなかった。
ところで、これら吸着材は、しばしばカラムなどの入口と出口を有する容器に充填されて使用される。吸着材が粒子状である場合、平均粒子径が吸着材の特性に影響することは従来から知られている。例えば、平均粒子径が小さいと、一般に吸着性能の面では有利であるが被処理液体の通過性は悪化する傾向がある。
一方、これら吸着材の粒子径分布に関する検討は、特に合成高分子よりなる吸着材においては十分になされていない。これは、体液などの処理に適した合成高分子よりなるポリマー粒子を、均一径で得ることが難しいという製造上の制約があったことによる。例えば、このようなポリマー粒子の一般的な製造法である懸濁重合法においては、小粒子や大粒子を多量に含む幅広い粒子径分布の重合粒子が生成する。ふるい分け等の分級操作を行うことにより小粒子や大粒子を減らすことは可能であるが、より均一な粒子径を望めば著しい分級ロスが発生し、均一径を実用的に得るのは困難である。そのため、粒子径分布はある程度の幅を有するものとならざるを得ず、分級ロスによる生産性の低下も避けられなかった。
特許文献1には、比表面積が少なくとも5m2/gである粒子状の硬質ゲル担体にリガンドを保持させてなり、該硬質ゲル担体が水酸基を有する架橋合成高分子である平均粒子径が25〜2500μmの範囲にある体外循環治療用吸着材や、該硬質ゲル担体がカルボン酸のビニルエステルとイソシアヌレート環を有するビニル化合物の共重合体を加水分解して得られる架橋合成高分子である体外循環治療用吸着材が開示されている。ここでは、懸濁重合により前記吸着材を得る方法が例示され、該吸着材にヒト血漿やヒト全血を通液した際の、血漿タンパク質(アルブミン、補体)の損失、血球数減少、残血や血栓の有無について検討がなされている。しかしながら、補体系や血液細胞の活性化の問題に対する定量的な検討はなされておらず、これらに関する懸念を解消し得るものとはなっていない。また、吸着材の粒子径分布に関する検討は一切なされていない。
非特許文献1には、ポリビニルアルコールゲルよりなる径74〜210μmの多孔性ゲルに、トリプトファンをリガンドとして固定した吸着材を使用して、雑種成犬で直接血液灌流を試みた例が示されている。しかしながら、補体系や血液細胞の活性化の問題に対する定量的な検討はなされておらず、これらに関する懸念を解消し得るものとはなっていない。また、使用された吸着材は、走査電顕像で示されている通り小粒子や大粒子を多量に含む幅広い粒子径分布を有するものであり、均一な径を有する吸着材に関する検討や示唆は一切なされていない。
特許文献2には、体積平均粒子径が比較的小さな吸着材であっても、特定の粒子径分布を有するものであれば、圧力損失の著しい上昇や溶血を起こすことなく血液の灌流が可能であることが開示されている。しかしながら、補体系や血液細胞の活性化の問題に対する定量的な検討はなされておらず、これらに関する懸念を解消し得るものとはなっていない。また、天然高分子であるセルロース系粒子を例示するにとどまり、合成高分子よりなるポリマー粒子については何ら言及してない。
特許文献3には、均一な粒度分布を有する発泡性熱可塑性重合体粒子を製造する方法が開示されている。しかしながら、外観や強度の優れた発泡成形体を得るのに有用である熱可塑性重合体粒子の製造方法を示すにとどまり、体液などの生理物質および/もしくは細胞等を含有する液体の通過性が良好であり、補体系や細胞の活性化を起こし難いポリマー粒子やその製造方法については何ら示していない。
特開昭58−12656
特開昭63−115572
特開平2−199137
市川他、人工臓器12(1),116−119(1983)
本発明の目的は、均一な径を有し、体液などの生理物質および/もしくは細胞等を含有する液体の通過性が良好であり、補体系や細胞の活性化を起こし難いポリマー粒子を、多量の分級ロスを生じることなく提供することにある。
本発明者らは、上記の従来からある問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、均一な径を有し、体液などの生理物質および/もしくは細胞等を含有する液体の通過性が良好であり、補体系や細胞の活性化を起こし難い吸着材・処理材を達成し得ることを見出した。しかも、従来は困難であったこのようなポリマー粒子を効率よく製造する方法を見出し、本発明を達成するに至った。
すなわち本発明は、単量体混合物の均一な径の液滴を分散媒中に形成させた後、該液滴を合着または付加的な分散を生じることのない条件下で重合させることにより得られる、体積平均粒子径が50〜3000μmであり、該粒子の80体積%以上が体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある体液処理用ポリマー粒子である。
また、単量体混合物の均一な径の液滴を分散媒中に形成させた後、該液滴を合着または付加的な分散を生じることのない条件下で重合させ、処理、改質することにより得られる、体積平均粒子径が50〜3000μmであり、該粒子の80体積%以上が体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある体液処理用ポリマー粒子である。
また、体積平均粒子径が150〜3000μmであり、100μm未満の粒子が5体積%以下である前記の体液処理用ポリマー粒子である。
また、水酸基、ポリオキシエチレン基、ピロリドン基から選ばれた少なくとも1種類の親水基を有する前記の体液処理用ポリマー粒子である。
また、全単量体の10重量%以上が架橋性単量体である単量体混合物を使用して得られる、多孔質構造を有する前記の体液処理用ポリマー粒子である。
また、単量体混合物が、カルボン酸ビニルエステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類の単量体を含む単量体混合物である前記の体液処理用ポリマー粒子である。
また、カルボン酸ビニルエステルおよび多官能ビニル化合物を含む単量体混合物を重合させ、カルボン酸ビニルエステル単位を構成要素の一つとする架橋重合体を形成し、その後加水分解および/もしくはエステル交換反応を行ってカルボン酸ビニルエステル単位の一部もしくは全部をビニルアルコール単位とした前記の体液処理用ポリマー粒子である。
また、カルボン酸ビニルエステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類の単量体を含む単量体混合物を重合させ、同時におよび/もしくはその後、親水基を与える単量体をグラフト重合させることにより粒子表面を改質した前記の体液処理用ポリマー粒子である。
また、ノズル孔から分散媒中に噴出する単量体混合物の液柱に規則的な振動撹乱を与えて均一な径の液滴を分散媒中に形成させた後、該液滴を合着または付加的な分散を生じることのない条件下で重合させる、前記体液処理用ポリマー粒子の製造方法である。
均一な径を有し、体液などの生理物質および/もしくは細胞等を含有する液体の通過性が良好であり、補体系や細胞の活性化を起こし難いポリマー粒子を、多量の分級ロスを生じることなく提供する。
本発明のポリマー粒子は、生理物質および/もしくは細胞等を含有する液体を処理する吸着材・処理材やその担体として有用である。このような液体の例としては、血液、血漿、リンパ液、骨髄液、体腔液などの他、細胞や微生物等の培養液、抽出液、それらに由来する液体などをあげることができる。なかでも体液の処理用に好適であり、血液、リンパ液、骨髄液などの細胞成分を含む体液の処理用にさらに好適で、直接血液灌流方式に特に好適である。
本発明のポリマー粒子は、単量体混合物の均一な径の液滴を分散媒中に形成させた後、該液滴を合着または付加的な分散を生じることのない条件下で重合させ、必要に応じて処理、改質することにより得られるポリマー粒子である。
本発明で言う、合着または付加的な分散を生じることのない条件とは、単量体混合物の液滴が、他の液滴と合一してより大きな液滴となったり、あるいは逆に分割されてより小さな液滴となったりするようなことが概ね生じない条件を意味する。
なお、本発明において、単量体混合物の均一な径の液滴を分散媒中に形成させるにあたり、該単量体混合物が液滴を形成可能であれば、あらかじめ単量体の一部を重合させておいても良いし、液滴形成と同時に単量体の一部を重合させても良い。
一般の懸濁重合においては、撹拌翼等による機械的撹拌によって単量体混合物の液滴が分散媒中に形成されるが、その際、液滴は撹拌により分割されて小さくなったり他の液滴と合一して大きくなったりする。そのため、得られるポリマー粒子は大粒子や小粒子を多量に含む幅広い粒子径分布を有するものとなる。
これに対し、本発明のポリマー粒子は、単量体混合物の均一な径の液滴を分散媒中に形成させた後、該液滴を合着または付加的な分散を生じることのない条件下で重合させて得られる、均一な径のポリマー粒子である。なお、本発明で言う均一な径とは、次のごとく粒子の多くが概ね同等の径を有し、大粒子や小粒子を多量に含まないことを意味する。
すなわち本発明のポリマー粒子は、該粒子の80体積%以上が体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある前記のポリマー粒子である。ここで、該粒子の80体積%以上が体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にあることが好ましく、該粒子の90体積%以上が粒子径の体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にあることがより好ましく、該粒子の95体積%以上が粒子径の体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にあることが特に好ましく、実質的に単一の粒子径を有する場合が最も好ましい。
粒子径分布が幅広く、体積平均粒子径の0.8倍未満の小粒子や1.2倍を超える大粒子が20体積%を超えて存在する場合は、体積平均粒子径が同一であっても被処理液体の流路となる粒子間隙は狭くなり、通液時の圧力損失が大きくなる傾向がある。また、細胞成分を含む場合は細胞の通過性が低下したり細胞が活性化され易くなる傾向がある。さらには、カラム詰まりを起こし易くなる場合がある。
なお、一般の懸濁重合によるポリマー粒子は、液滴が撹拌によって分割されたり他の液滴と合一したりする際、分散媒や分散安定剤を粒子内部に巻き込みながら重合が進行して形成される。これに対し、本発明のポリマー粒子は、単量体混合物の均一な径の液滴を分散媒中に形成させた後、該液滴を合着または付加的な分散を生じることのない条件下で重合させたものであり、分散媒や分散安定剤を粒子内部に巻き込むことなく重合が進行して形成されたものであるという特徴を有する。
本発明のポリマー粒子の体積平均粒子径は50μm以上であり、好ましくは100μm以上である。なお、血液等、被処理液体が細胞成分を含む場合や高粘度である場合は150μm以上であることがより好ましい。さらに好ましくは220μm以上であり、特に好ましくは320μm以上であり、最も好ましくは400μm以上である。
また、本発明のポリマー粒子の体積平均粒子径は3000μm以下であり、好ましくは2000μm以下であり、より好ましくは1000μm以下であり、特に好ましくは800μm以下であり、最も好ましくは600μm以下である。
体積平均粒子径が50μm未満で小さいと、被処理液体の流路となる粒子間隙が狭くなり、圧力損失が大きくなる傾向がある。また、細胞成分を含む場合は細胞の通過性が低下したり細胞が活性化され易くなる傾向がある。さらに、カラム詰まりを起こし易くなる場合がある。一方、体積平均粒子径が3000μmを超えて大きいと、被処理液体の流路となる粒子間隙は広くなり、圧力損失は低く抑えられ、通過性には有利であるが、吸着材や処理材としての効率が悪くなる傾向がある。
なお、血液等、被処理液体が細胞成分を含む場合や高粘度である場合は、100μm未満の粒子が5体積%以下であることが好ましい。より好ましくは100μm未満の粒子が1体積%以下であり、さらに好ましくは0.1体積%以下であり、なかでも好ましくは0.01体積%以下であり、特に好ましくは0.001体積%以下であり、最も好ましくは100μm未満の粒子を実質的に含まない場合である。
100μm以下の粒子が5体積%を超えて存在する場合、小粒子が粒子間隙をふさいで、圧力損失が大きくなったり、細胞が活性化され易くなったり、カラム詰まりを起こし易くなる場合がある。また、使用中に微粒子が流出する懸念が高まる。
本発明のポリマー粒子は、必要に応じて処理、改質して使用することができる。処理、改質は、ポリマー粒子の生体適合性や物理的・化学的特性の改善、機械的強度の向上、特定物質の吸着等の機能付与、溶出物の低減、滅菌などの目的で行われる。処理、改質の例としては、親水基やその他官能基の導入、鹸化、リガンド固定化、コーティングや多層化、架橋、グラフト重合等の重合反応、洗浄、高温処理や高圧処理、放射線処理、プラズマ処理、その他の化学的および/もしくは物理的な処理や改質などを挙げることができ、重合と同時におよび/もしくは重合の後で行うことができる。
また、本発明のポリマー粒子は、2種類以上の異なる該ポリマー粒子を混合して使用することができるし、異なる体積平均粒子径の該ポリマー粒子を混合して使用することもできる。
本発明のポリマー粒子は、カルボン酸ビニルエステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類の単量体を主要な単量体として含む単量体混合物を重合させ、必要に応じて処理、改質することにより得られるポリマー粒子であることが、種々特性のバランスの面から好ましい。より好ましくは、カルボン酸ビニルエステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物であり、特に好ましくは、カルボン酸ビニルエステル、メタクリル酸エステルである。
カルボン酸ビニルエステルの例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、カプロン酸ビニル、アジピン酸ジビニル等の脂肪族カルボン酸ビニルエステル化合物や、安息香酸ビニル、フタル酸ビニル等の芳香族カルボン酸ビニルエステル化合物などがあげられる。
メタクリル酸エステルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アルキル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、グリシジルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリアルキレングリコールジメタクリレート、1.3−ブチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等があげられる。
アクリル酸エステルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アルキル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、グリシジルアクリレート、ポリオキシエチレンモノアクリレート、ポリオキシプロピレンモノアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等があげられる。
芳香族ビニル化合物の例としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、スチレンスルフォン酸塩、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、安息香酸ビニル、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等があげられる。
シアン化ビニル化合物の例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等があげられる。
これら単量体は上記の例に限られるものではなく、それぞれ公知のものが使用可能である。また、必要に応じ単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、単量体混合物は単量体以外の成分を含んでも良い。
本発明のポリマー粒子は、親水基を有するポリマー粒子であることが、細胞の非特異的な付着がより少ないことから好ましく、水酸基、n=2以上のオキシエチレン単位を有するポリオキシエチレン基、ピロリドン基から選ばれた少なくとも1種類の親水基を有するポリマー粒子であることがより好ましい。特に好ましくは、水酸基、n=2以上のオキシエチレン単位を有するポリオキシエチレン基の少なくともいずれかであり、最も好ましくは水酸基である。
本発明のポリマー粒子に親水基を導入する方法には公知の方法が使用できる。例えば、親水基を与える単量体を含む単量体混合物を重合させる方法や、親水基を与える単量体をポリマー粒子にグラフト重合やシード重合させる方法や、鹸化を行いポリマー粒子のエステル部分を加水分解させる方法や、ポリマー粒子の官能基を利用して親水基を導入する方法等の化学的処理を行うことにより、および/もしくは紫外線処理、プラズマ処理、イオンビーム処理、放射線処理等の物理的処理を行うことにより導入することができる。また、親水基を有する化合物をポリマー粒子に吸着させる方法や、親水基を与えるポリマーで粒子をコーティングする方法等により導入することができる。これらは単独でもしくは組み合わせて行うことができる。
本発明のポリマー粒子は、高粘度の液体でも高流速で安定に通過させられる高い機械的強度や、滅菌操作や長期保存を可能にする高い物理的安定性や化学的安定性を達成するために、架橋構造を有することが好ましい。
本発明のポリマー粒子における架橋構造は、架橋性単量体を使用する方法、反応性官能基や結合性官能基を利用する方法、架橋剤や架橋助剤を添加する方法、過酸化物架橋、光架橋、放射線架橋、電子線架橋、ポリマー反応など、公知の方法で導入することができる。なかでも、架橋性単量体を使用する方法が、架橋構造の設計が容易である点から好ましい。
架橋性単量体としては、架橋構造を形成し得る単量体が使用可能であり、多官能ビニル化合物が好ましく使用される。多官能ビニル化合物の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコールジメタクリレート、1.3−ブチレングリコールジメタクリレート、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート、グリセリンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のアクリレート類およびメタクリレート類、ブタンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル等のジビニルエーテル類、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等の芳香族類、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル等のアリル化合物などがあげられる。これら架橋性単量体は、1種類を使用しても良く、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
なかでも、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート等の3官能以上のビニル化合物を使用した場合に、高い機械的強度や緻密な細孔構造を得やすい。
なお、架橋性単量体とその他の単量体は、重合反応や粒子設計の面より、相互に可溶であるのが好ましい。
本発明のポリマー粒子は、好ましくは、カルボン酸ビニルエステルおよび多官能ビニル化合物を含む単量体混合物を重合させ、カルボン酸ビニルエステル単位を構成要素の一つとする架橋重合体を形成し、その後鹸化などの加水分解及び/もしくエステル交換反応を行ってカルボン酸ビニルエステル単位の一部もしくは全部をビニルアルコール単位としたポリマー粒子である。
カルボン酸ビニルエステルとしては、先に例示したものなどが使用可能であり、重合や加水分解等の容易さおよび経済性の点で、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニル等の脂肪族カルボン酸ビニルエステル化合物がより好ましく、酢酸ビニルが最も好ましい。カルボン酸ビニルエステルは1種類を使用しても良く、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
カルボン酸ビニルエステルとともに用いられる多官能ビニル化合物としては、先に例示した多官能ビニル化合物などが使用可能である。なかでも、補体系や細胞との相互作用や物理的・化学的安定性の面からトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート等のトリアジン環構造を有する多官能ビニル化合物がより好ましく、トリアリルイソシアヌレートが最も好ましい。多官能ビニル化合物は1種類を使用しても良く、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明のポリマー粒子は、好ましくは、カルボン酸ビニルエステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類の単量体を主要な単量体として含む単量体混合物を重合させ、同時におよび/もしくはその後、親水基を与える単量体をグラフト重合させることにより粒子表面を改質したポリマー粒子である。特に親水基を与える単量体を分散媒中よりグラフト重合させる場合に、ポリマー粒子表面を効果的に親水基で改質することが可能であり好ましい。より好ましくは、水などの親水性の分散媒と、該分散媒に可溶である親水基を有する単量体を使用し、親水基を有する単量体を該分散媒中よりポリマー粒子へグラフト重合させる場合である。
親水基を与える単量体としては、親水基を有する単量体や、加水分解、エステル交換反応、開環等の化学反応により親水基を生成し得る単量体等があげられる。
化学反応により親水基を生成し得る単量体の例としては、先に例示したカルボン酸ビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アルキル、アクリル酸メトキシエチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アルキル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類などのエステル単位を有するビニル化合物や、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのグリシジル基を有するビニル化合物などをあげることができる。これらは1種類を使用しても良いし、複数を組み合わせて使用しても良い。
親水基を有する単量体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基を有するビニル化合物、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、グリセリンモノメタクリレートなどの水酸基を有するビニル化合物、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレートなどのポリオキシエチレン基を有するビニル化合物、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレートなどのポリオキシプロピレン基を有するビニル化合物、N−ビニルピロリドンなどのピロリドン基を有するビニル化合物、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド基を有するビニル化合物などをあげることができる。これらは1種類を使用しても良いし、複数を組み合わせて使用しても良い。
上記のなかでも改質効果を得やすい点で、水酸基、ポリオキシエチレン基、ピロリドン基を有するビニル化合物がより好ましく、水酸基、ポリオキシエチレン基を有するビニル化合物がさらに好ましく、水酸基を有するビニル化合物が最も好ましい。
親水基を与える単量体のグラフト重合は、連続相である分散媒に重合開始剤を添加して行うこともできるし、分散相である単量体混合物に添加された重合開始剤により行うこともできる。また、酸化剤・還元剤を使用してレドックス系とすることもでき、その他必要に応じて助剤等を使用することもできる。親水性の分散媒に可溶な重合開始剤の例としては、過硫酸カリウムや過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩類、過酸化水素やハイドロパーオキサイド類等の公知の水溶性重合開始剤などがあげられる。さらに、紫外線や放射線やプラズマ等を活用する方法も採用することができる。これらは、単独でもしくは組み合わせて行うことができる。
本発明のポリマー粒子には、必要に応じて多孔質構造を採用することができる。多孔質構造を採用した場合、被処理液体との接触面積が大幅に増え処理性能の向上に有利である。この場合、被処理物質の大きさや形態等に応じて適宜最適な細孔径や細孔構造を選択することができる。処理性能の面からは、被処理物質が容易に通過でき、かつ被処理物質と接触可能な面積ができるだけ大きくなるような細孔径や細孔構造を与えるのが好ましい。また、細孔径の選択により、細孔内に進入し得る物質のみを吸着除去する等の分子ふるい効果に基づく選択性を与えることが可能である。
本発明のポリマー粒子には、多孔質構造の導入等のため単量体混合物に非重合性液体を添加することができる。均一な多孔質構造を得るためには、非重合性液体は単量体混合物に可溶であり、分散媒には不溶または難溶であることが好ましい。
非重合性液体の具体例としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−ヘキシル等のエステル化合物、ジブチルエーテル等のエーテル類、n−ヘプタノール、アミルアルコールなどのアルコール類、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などをあげることができるが、上記に限定されるものではない。
重合の進行に伴い、非重合性液体や残存モノマーは、生成する架橋重合体と粒子中で相分離して細孔部分を形成する。したがって、非重合性液体と生成する架橋重合体との親和性の違いや、非重合性液体の使用量などにより、細孔径や細孔構造は大きな影響を受ける。例えば、生成する架橋重合体との親和性がより低い非重合性液体を選択すれば、得られるポリマー粒子の細孔径はより大きなものとなる傾向がある。非重合性液体は1種類を用いても良いし、異なる2種類以上を混合しても良く、その種類や混合比で生成ポリマーとの親和性を変え、細孔径などを調整することが可能である。さらに、非重合性液体の使用量や重合転化率を変えることにより、細孔容積や細孔径などを調整することが可能である。
非重合性液体の好ましい使用量は単量体100重量部に対して500重量部以下であり、より好ましくは300重量部以下であり、特に好ましくは200重量部以下である。非重合性液体の使用量が500重量部を超えると機械的強度が不足する傾向がある。
ポリマー粒子に多孔質構造を導入する必要がある場合の非重合性液体の好ましい使用量は40重量部以上であり、より好ましくは80重量部以上であり、特に好ましくは100重量部以上である。
また、本発明のポリマー粒子には、多孔質構造の導入等のため単量体混合物に線状ポリマーを添加することができる。なお本発明で言う線状ポリマーとは、実質的に非架橋であるポリマーを指し、分岐構造を含んでも良く、溶媒に可溶であれば若干の架橋構造を含んでも良い。本発明で用いる線状ポリマーは、非重合性液体と並び多孔質構造に大きく影響する成分である。例えば、線状ポリマーの使用量を増したり、平均重合度を高くしたりすると、得られるポリマー粒子の細孔径は大きくなる傾向がある。非重合性液体と線状ポリマーを組み合わせて使用することで、得られるポリマー粒子の多孔質構造をより広範囲に制御可能である。
線状ポリマーの具体例としては、ポリ酢酸ビニル等のエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレートやポリアクリロニトリル等のアクリル系ポリマー、ポリスチレン等の芳香族系ポリマー、ポリ塩化ビニル等のハロゲン系ポリマー、ポリブタジエン等のジエン系ポリマー、さらにこれらの共重合物やブレンド物等があげられるが、単量体混合物に可溶であれば特に制約はなく、これら以外のポリマーも使用可能である。
線状ポリマーの好ましい使用量は、単量体100重量部に対して100重量部以下であり、より好ましくは40重量部以下であり、特に好ましくは20重量部以下である。
多孔質構造の調整効果を得るための線状ポリマーの好ましい使用量は1重量部以上であり、より好ましくは2重量部以上であり、特に好ましくは4重量部以上である。
また、線状ポリマーの好ましい平均重合度は100〜10000であり、より好ましくは200〜2000であり、特に好ましくは300〜1500である。
線状ポリマーの使用量が100重量部を超える場合や、平均重合度が10000を超えると、単量体混合物の粘度が高くなり取り扱いが難しくなる傾向がある他、重合中に凝集塊が生成し易くなる場合がある。
本発明のポリマー粒子は、好ましくは、全単量体の10重量%以上が架橋性単量体である単量体混合物を使用して得られる、多孔質構造を有するポリマー粒子である。より好ましい架橋性単量体の使用量は、単量体混合物中の全単量体の15重量%以上であり、特に好ましくは20重量%以上である。また、架橋性単量体の使用量は、単量体混合物中の全単量体の80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは60重量%以下であり、特に好ましくは40重量%以下である。
ポリマー粒子が多孔質構造を有する場合、粒子強度は架橋性単量体使用量の影響を受けやすくなる。架橋性単量体の使用量が単量体混合物中に含まれる全単量体の10重量%未満の場合、特に多孔質構造を有するポリマー粒子では機械的強度が不足する場合がある。なお、架橋性単量体の使用量が過剰であると、粒子が脆くなり、粒子の一部が壊れたり欠けたりして微粒子が発生し易くなる場合がある。
本発明のポリマー粒子は、ノズル孔から分散媒中に噴出する単量体混合物の液柱に規則的な振動撹乱を与えて均一な径の液滴を分散媒中に形成させた後、該液滴を合着または付加的な分散を生じることのない条件下で重合させ、必要に応じて処理、改質することにより得ることができる。本発明の方法により、懸濁重合等の従来の方法では難しかった、均一な径を有し、体液などの生理物質および/もしくは細胞等を含有する液体の通過性が良好で、補体系や細胞の活性化を起こし難いポリマー粒子を、多量の分級ロスを生じることなく製造することが可能となる。
ここで、第一の工程は均一な径の液滴を分散媒中に形成する工程である。液滴生成装置の例としては、分散媒を満たしたカラムに単量体混合物を噴出するノズルを挿入し、ノズルには少なくとも1つの小孔を配し、さらに振動を伝達する機構を設置したものなどをあげることができる。カラムには分散媒タンクより分散媒を供給する導入管を接続することができ、ノズルには単量体混合物タンクより単量体混合物を供給する導入管を接続することができる。
第一の工程で形成される液滴の粒子径は、ノズル孔径、単量体混合物のノズル通過速度、単量体混合物や分散媒の粘度等の物理的・化学的性質、ならびに単量体混合物がノズルを通過して生成する液柱に与えられる振動撹乱の種類、周波数、および振幅などの要因により決定され、これらの要因やその組み合わせによって所望の粒子径を有する液滴を得ることができる。また、これらの一つまたは複数を組み合わせて変化させることにより、所望の粒子径分布を有する液滴を得ることができる。
本工程に使用できるノズルは特に限定されるものではなく、例えば少なくとも1つの小孔を有するオリフィスなどを使用することができる。このようなノズルを単独もしくは複数で使用することができる。
振動撹乱を与える方法としては、単量体混合物に機械的振動を加えながら単量体混合物をノズルから噴出させる方法、分散媒に機械的振動を加えながら単量体混合物をノズルから噴出させる方法、単量体混合物が噴出するノズルに機械的振動を加える方法などが例示できる。なかでも、単量体混合物に機械的振動を加えながら単量体混合物をノズルから噴出させる方法が効率良く好ましい。
なお、より均一な径を有するポリマー粒子を得るためには、より均一な径を有する液滴を形成させる必要があるが、そのためには先の諸要因について最適な条件を検討し選択するのが好ましい。また、液柱に与えられる振動撹乱は周波数や振幅などの変動が少ないことが好ましい。また、単量体混合物の供給は脈動や流量などの変動が少ないことが好ましく、供給装置には例えば多連のプランジャーポンプやギアポンプ等を使用することができる。
連続相を形成する分散媒には、液滴を形成する単量体混合物と混和しないものが使用され、安全性や経済性や環境面より水性媒体が好ましく用いられる。また、該分散媒には分散安定剤やその他の添加物を含むことができる。
第二の工程は、形成した均一な径の液滴を合着または付加的な分散を生じることのない条件下で重合させる工程である。第二の工程を実施する方法としては、例えば第一の工程で形成された液滴を、撹拌装置を有する反応器内に導入し、液滴を含む分散媒を穏やかに撹拌しつつ重合反応を行わせても良い。あるいは液滴を塔型反応器へ導入し、反応器内の分散媒を一端から抜き取って別の一端へ循環供給させ、反応器内で液滴の流動層を形成させながら重合反応を行わせても良い。これらを組み合わせた方法や、中間的な方法などを採用することもできる。また、これらに限らず、その他公知の重合方法を利用することができる。
撹拌装置を有する反応器を使用する場合は、撹拌が不十分であると液滴が合着し易くなり、逆に撹拌が過剰であると付加的な分散を生じ易くなるため、撹拌の方式や条件等を適宜設定する必要がある。例えば、撹拌翼を用いて撹拌を行う場合は、低剪断で高吐出が得られる形状やサイズの撹拌翼を選択し、撹拌速度を調整して使用するのが好ましい。
なお、液滴の合着や付加的な分散をより少なくするためには、液滴を重合反応器内に予め存在する分散媒中へ導入するのが好ましく、該分散媒は合着を防止する等の目的で分散安定剤を含むことができる。また、液滴生成装置は重合反応器の下部へ導入管等を介して接続することがより好ましい。
また、第一の工程と第二の工程はそれぞれ別の装置で行っても良いし、単一の装置を用いて第一の工程と第二の工程を行っても良い。
分散安定剤は特に限定されるものでなく、懸濁重合等で一般に使用されるものを用いることができ、例えば、分散媒に可溶な分散安定剤や、微粒子状の固体分散安定剤や、界面活性剤などを使用することができる。これらは単独で用いても良いが、組み合わせて使用することでより大きな効果をあげることができる。また、公知の補助剤を併用しても良い。なお、分散安定性が不足すると液滴の合着が起こり易くなり、逆に分散安定性が過剰になると付加的な分散が起こり易くなるため、分散安定剤や補助剤は、種類や使用量、使用方法を適宜設定する必要がある。
より好ましい方法は、単量体混合物の液滴を分散媒中に形成させるに当たり、分散媒に可溶な分散安定剤の存在下で単量体混合物の液滴を分散媒中に形成させ、微粒子状の固体分散安定剤を添加し、および/もしくは塩の存在下で該液滴の重合を行わせる方法である。
分散媒に可溶な分散安定剤としては、高分子化合物が好ましく使用される。具体例としてはポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性合成高分子、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体、デンプン、ゼラチン等の水溶性天然高分子などをあげることができる。これらは単独で用いても良いし、2種類以上を混合して使用することができる。
分散媒に可溶な分散安定剤の好ましい使用量は、分散媒に対し0.001〜10重量%であり、より好ましくは0.005〜5重量%であり、特に好ましくは0.01〜2重量%である。
分散媒に可溶な分散安定剤の使用量が10重量%を超える場合は、液滴の付加的な分散が起こり易く、あるいは乳化重合等による微粒子を生成し易く好ましくない。
微粒子状の固体分散安定剤としては、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性無機塩などをあげることができ、特に第三リン酸カルシウムなどの水酸化物が好ましい。これらは単独で用いても良いし、2種類以上を混合して使用することができる。固体分散安定剤の平均粒子径は好ましくは50μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。固体分散安定剤の好ましい使用量は、分散媒に対し0.01〜20重量%であり、より好ましくは0.05〜10重量%であり、特に好ましくは0.1〜5重量%である。微粒子状の固体分散安定剤を使用することにより重合粒子の表面が固体分散安定剤で保護され、2次的な凝集を防止する効果が大きくなる。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどのノニオン性界面活性剤や、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤を例示することができる。これら界面活性剤は単独で用いても良いし、2種類以上を混合して使用することができる。
これら界面活性剤を前記分散安定剤と併用することで分散安定性を一層向上させることができる。特に微粒子状の固体分散安定剤を使用する場合は、アニオン性界面活性剤を併用するのが効果的である。
界面活性剤の好ましい使用量は分散媒に対して0.0001〜5重量%であり、より好ましくは0.0005〜1重量%であり、特に好ましくは0.001〜0.5重量%である。
界面活性剤の使用量が5重量%を超える場合は、液滴の付加的な分散が起こり易く、あるいは乳化重合等による新粒子を生成し易く、好ましくない。
塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩化物、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等のリン酸塩等をあげることができる。
本発明のポリマー粒子の重合反応に当たっては、公知のいかなる方法も採用可能であるが、経済性や重合の容易さからラジカル重合が好ましく、重合開始剤の熱分解による方法、レドックス系の利用、光重合や紫外線重合、放射線重合等、その他の公知の方法を採用することが可能であり、必要に応じて重合開始剤や触媒や連鎖移動剤やその他助剤を適宜選択して使用することができる。
例えば、重合開始剤の熱分解による方法では、重合開始剤の例として、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオナミジン)ジハイドロクロライド等のアゾ系重合開始剤や、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物などをあげることができるが、上記に限定されるものではない。また、光重合等では光重合開始剤を使用することができる。
なお、重合開始剤は、単量体混合物に可溶である場合に重合反応が円滑に進み易く好ましく、分散媒への溶解度が低い場合に微粒子の生成が少なく好ましい。
ここで重合開始剤は、単量体との反応性や分解速度等の特性、重合時間や重合温度等の反応条件などを考慮して、所定の重合速度や重合転化率が得られるように使用量や種類を選択することが好ましい。また、単独で使用しても良く、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
重合温度は、重合反応の制御の面から、0〜180℃の範囲が好ましく、より好ましくは20〜120℃であり、特に好ましくは40〜90℃である。
また、分散媒に可溶な重合禁止剤の存在下で単量体混合物の液滴を重合させることにより、乳化重合等を抑制して微粒子の生成をより少なく抑えることができる。重合禁止剤の例としては、亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩、ハイドロキノン、p−ジアミノフェニレン等があげられる。重合禁止剤の好ましい濃度は、分散媒に対して0.0001〜1重量%であり、より好ましくは0.0005〜0.5重量%であり、特に好ましくは0.001〜0.1重量%である。
なお、重合禁止剤の使用量が分散媒に対して1重量%を超えると重合反応が遅延する等円滑に進み難くなる。
本発明のポリマー粒子は、そのままで、および/もしくは被吸着成分や被吸着細胞と結合可能な物質を導入して、および/もしくは生理物質や細胞と特定の相互作用を有する物質を導入して、吸着材や処理材として使用することができる。
本発明のポリマー粒子は、例えば容器中で被処理液体と混合接触させた後、被処理液体を濾過や遠心分離等で該ポリマー粒子と分離する方法などで使用することができる。より好ましくは、本発明のポリマー粒子をカラムなどの入口と出口を有する容器に充填し、入口より被処理液体を流入させ、容器内で被処理液体と該ポリマー粒子を接触させて、出口より被処理液体を流出させる等の方法で使用することができる。なお、該容器には該ポリマー粒子は通過させないが被処理液体は通過させるメッシュ等の機構を配することができる。
(実施例1)
撹拌翼を有する2Lセパラブルフラスコ中に、水438.2g、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムの3重量%水溶液1.83g、微粒子状の第三リン酸カルシウムの10重量%スラリー126.4gを仕込み、穏やかに撹拌させておいた。
液滴生成装置として、分散媒を満たしたカラムに単量体混合物を噴出するノズルを挿入し、ノズルの上端は孔径0.17mmの小孔を12個有するオリフィス板よりなり、下端には振動を伝達する振動板を設置し、振動板を加振器と接続したものを用いた。カラムには分散媒タンクより分散媒を供給する導入管を接続し、ノズルには単量体混合物タンクより単量体混合物を供給する導入管を接続した。単量体混合物の供給には定量性が高く脈動の少ない2連プランジャーポンプを使用した。
単量体混合物タンクより、酢酸ビニル100重量部、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)26重量部、酢酸エチル122重量部、ヘプタン51重量部、ポリ酢酸ビニル(平均重合度400)12.8重量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65)5.1重量部よりなる単量体混合物523.6gを、27.6mL/minの速度でノズルに供給し、液滴生成装置を経由してセパラブルフラスコに仕込んだ。それと同時に分散媒タンクより、3重量%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液83.4g、6重量%亜硝酸ナトリウム(NaNO2)水溶液4.62g、水2412gよりなる分散媒の610.8gをカラムに供給し、液滴生成装置を経由してセパラブルフラスコに仕込んだ。
この際、単量体混合物には加振器により一定周波数(500Hz)、強度0.4Gの機械的振動を与えた。ノズル孔から噴出する単量体混合物の液柱は該機械的振動により分割されて均一な径の液滴をカラム内の分散媒中に形成し、同時に供給される分散媒とともにセパラブルフラスコ内へ送られた。次いで、セパラブルフラスコの内容物を、窒素雰囲気下、65℃で5時間保持して、該液滴を重合させた。
カラム出口、重合前、および重合後の各時点でサンプリングし、OMRON 3Dデジタルファインスコープ VC1000で観察したところ、該液滴はいずれも均一な径を保っており、合着または付加的な分散を生じることなく重合が行われたことを確認した。
所定時間の重合の後、セパラブルフラスコの内容物を室温まで冷却した。次いでセパラブルフラスコの内容物に塩酸を加えてpHを2以下に調整し第三リン酸カルシウムを溶解させ、その後水で良く洗浄した。洗浄液のpHが中性付近になったことを確認した後、水をアセトンで置換し、重合物をアセトンで十分に洗浄した。
次いでアセトンを水で置換した後、酢酸ビニル単位に対して過剰量となるよう下式の量の水酸化ナトリウム(NaOH)を水溶液として加えた。
NaOH(固形分重量)=粒子乾燥重量/86.09×40×1.5
なお水に対するNaOH濃度が4重量%になるように水量を調整した。これを撹拌下、反応温度40℃で6時間保持して鹸化を行った。その後、洗浄液のpHが中性付近になるまで水洗し、さらに80℃の温水で十分に洗浄を行った。次いで121℃、20分間のオートクレーブ処理を行い、清浄なポリマー粒子を得た。
水中の該ポリマー粒子を、3Dデジタルファインスコープを用いて撮影した。得られた画像より、水中における数平均粒子径は459μmであり体積平均粒子径は469μmであった。体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある粒子の割合は99.3体積%であり、体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にある粒子の割合は98.0体積%であり、100μm未満の粒子の割合は0.006体積%であった。また、タッピング等により水中で均一に沈降させた粒子の沈降体積1mLあたりの乾燥固形分重量(かさ比重)は0.134g/mLであった。
得られたポリマー粒子を、水中における細孔構造を保ったまま走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するため、粒子に含まれる水分をt−ブチルアルコールで置換し凍結真空乾燥させて試料を作製した。念のため、試料作製に伴いポリマー粒子に目立った収縮や膨張がないことを3Dデジタルファインスコープで確認した。粒子の表面及び断面をSEM観察したところ、得られたポリマー粒子全体にミクロンオーダー以下の微細な細孔が多数存在することを確認した。
得られたポリマー粒子について、目開き710μmのふるい上の大粒子、および目開き300μmのふるい下の小粒子や微粒子を除き、下記の評価を行った。なお、目開き710μmのふるい上、および目開き300μmのふるい下の粒子はわずかであった。
水中で均一に沈降させた該ポリマー粒子1mLを計り取り、生理食塩水で含水を置換した後、ヘパリンを添加した健常人の新鮮血10mLと37℃インキュベータ中で30分間穏やかに撹拌しつつ接触させた。サンプリングした血液を所定の処理を行った後、外部検査機関(株式会社エスアールエルおよびシオノギ バイオメディカル ラボラトリーズ)に依頼して、活性化補体(C5a、C3a)濃度、および白血球の活性化を示す指標として顆粒球エラスターゼ(PMN−E)濃度を測定し、同体積の生理食塩水のみで粒子を含まない場合と比較した。その結果、該ポリマー粒子と接触後も活性化補体(C5a、C3a)濃度は低値にとどまり補体系の活性化は軽微であった。また、該ポリマー粒子と接触後も顆粒球エラスターゼ(PMN−E)濃度は低値にとどまり白血球の活性化は軽微であった。
入口と出口に目開き150μmのメッシュを配した内径10mmのカラムに、生理食塩水で含水を置換した該ポリマー粒子を沈降体積で2.7mL充填し、ヘパリン添加生理食塩水8.1mLを流通させプライミング操作を行った。ヘパリンを添加した健常人の新鮮血40mLを37℃のウオーターバス中におき、これを血液プールとして血液を2.4mL/minの速度で120分間カラムに循環させた。その間、カラムの目詰まりや流量の低下は見られなかった。また、カラム入口側と出口側から少量の血液をサンプリングし、血球カウンターを用いて血液細胞数を測定した。その結果、赤血球、白血球、血小板の通過性はいずれも良好であり、血液細胞の該ポリマー粒子への付着は軽微であった。さらに、120分間循環後の顆粒球エラスターゼ(PMN−E)濃度を外部検査機関(シオノギ バイオメディカル ラボラトリーズ)にて測定した。その結果、PMN−E濃度は比較的低値であり白血球の活性化は軽微であった。さらに、血小板の活性化を示す指標として、ベクトンディッキンソン FACS Caliburを使用し、120分間循環後のCD62p陽性率を測定した。その結果、CD62p陽性率は比較的小さく血小板の活性化は軽微であった。なお、通血後のカラムには明瞭な血栓等は観察されなかった。
該ポリマー粒子の評価結果を表1および表2に示した。
(実施例2)
実施例1と同様に、水436.9g、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムの3重量%水溶液1.81g、微粒子状の第三リン酸カルシウムの10重量%スラリー124.2gを仕込み、穏やかに撹拌させておいた。
実施例1と同様に、酢酸ビニル100重量部、TAIC 24重量部、酢酸エチル108重量部、ヘプタン49重量部、ポリ酢酸ビニル(平均重合度400)9.6重量部、V−65 5.0重量部よりなる単量体混合物517.4gをノズルに供給した。また、3重量%PVA水溶液83g、6重量%NaNO2水溶液4.62g、水2412gよりなる分散媒の560.8gをカラムに供給した。
この際、単量体混合物には一定周波数(500Hz)、強度0.2Gの機械的振動を与えた。ノズル孔から噴出する単量体混合物の液柱は該機械的振動により分割されて均一な径の液滴をカラム内の分散媒中に形成し、同時に供給される分散媒とともにセパラブルフラスコ内へ送られた。次いで、実施例1と同様に該液滴を重合させた。
カラム出口、重合前、および重合後の各時点でサンプリングし、実施例1と同様の方法で観察したところ、該液滴はいずれも均一な径を保っており、合着または付加的な分散を生じることなく重合が行われたことを確認した。
その後、実施例1と同様の操作を経て清浄なポリマー粒子を得た。
実施例1と同様の方法で該ポリマー粒子の測定および観察を行った。得られたポリマー粒子の水中における数平均粒子径は442μmであり体積平均粒子径は462μmであった。体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある粒子の割合は97.3体積%であり、体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にある粒子の割合は95.4体積%であり、100μm未満の粒子の割合は0.00001体積%であった。また、かさ比重は0.155g/mLであった。SEMで表面及び断面を観察したところ、粒子全体にミクロンオーダー以下の微細な細孔が存在することを確認した。
得られたポリマー粒子について、目開き710μmのふるい上の大粒子、および目開き300μmのふるい下の小粒子や微粒子を除き、下記の評価を行った。なお、目開き710μmのふるい上、および目開き300μmのふるい下の粒子はわずかであった。
該ポリマー粒子について、実施例1と同様に血液と接触させる評価を行った。その結果、該ポリマー粒子と接触後も活性化補体(C5a、C3a)濃度は低値にとどまり補体系の活性化は軽微であった。また、該ポリマー粒子と接触後も顆粒球エラスターゼ(PMN−E)濃度は低値にとどまり白血球の活性化は軽微であった。
該ポリマー粒子について、実施例1と同様にカラムに充填して血液を循環させる評価を行った。その結果、血液循環の間、カラムの目詰まりや流量の低下は見られなかった。また、赤血球、白血球、血小板の通過性はいずれも良好であり、血液細胞の該ポリマー粒子への付着は軽微であった。さらに、120分間循環後のCD62p陽性率は比較的小さく血小板の活性化は軽微であった。なお、通血後のカラムには明瞭な血栓等は観察されなかった。
(実施例3)
実施例1と同様に、水579.7g、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムの3重量%水溶液1.87g、微粒子状の第三リン酸カルシウムの10重量%スラリー128.8gを仕込み、穏やかに撹拌させておいた。
実施例1と同様に、酢酸ビニル100重量部、TAIC 28重量部、酢酸エチル112重量部、ヘプタン51重量部、ポリ酢酸ビニル(平均重合度400)9.6重量部、V−65 5.2重量部よりなる単量体混合物534.9gをノズルに供給した。また、3重量%PVA水溶液83.5g、6重量%NaNO2水溶液4.61g、水2412gよりなる分散媒の582.2gをカラムに供給した。
この際、単量体混合物には実施例2と同様の機械的振動を与えた。ノズル孔より噴出する単量体混合物は、該機械的振動により分割されて均一な径の液滴をカラム内の分散媒中に形成し、同時に供給される分散媒とともにセパラブルフラスコ内へ送られた。次いで、実施例1と同様に該液滴を重合させた。
カラム出口、重合前、および重合後の各時点でサンプリングし、実施例1と同様の方法で観察したところ、該液滴はいずれも均一な径を保っており、合着または付加的な分散を生じることなく重合が行われたことを確認した。
その後、実施例1と同様の操作を経て清浄なポリマー粒子を得た。
実施例1と同様の方法で該ポリマー粒子の測定および観察を行った。得られたポリマー粒子の水中における数平均粒子径は470μmであり体積平均粒子径は479μmであった。体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある粒子の割合は96.3体積%であり、体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にある粒子の割合は95.7体積%であり、100μm未満の粒子は3Dデジタルファインスコープでは確認されなかった。また、かさ比重は0.145g/mLであった。SEMで表面及び断面を観察したところ、粒子全体にミクロンオーダー以下の微細な細孔が存在することを確認した。
得られたポリマー粒子について、目開き710μmのふるい上の大粒子、および目開き300μmのふるい下の小粒子や微粒子を除き、下記の評価を行った。なお、目開き710μmのふるい上、および目開き300μmのふるい下の粒子はわずかであった。
該ポリマー粒子について、実施例1と同様に血液と接触させる評価を行った。その結果、該ポリマー粒子と接触後も活性化補体濃度(C5a、C3a)は低値にとどまり、補体系の活性化は軽微であった。また、該ポリマー粒子と接触後も顆粒球エラスターゼ(PMN−E)濃度は低値にとどまり、白血球の活性化は軽微であった。
該ポリマー粒子について、実施例1と同様にカラムに充填して血液を循環させる評価を行った。その結果、血液循環の間、カラムの目詰まりや流量の低下は見られなかった。また、赤血球、白血球、血小板の通過性はいずれも良好であり、血液細胞の該ポリマー粒子への付着は軽微であった。なお、通血後のカラムには明瞭な血栓等は観察されなかった。
(実施例4)
撹拌翼を有する8Lセパラブルフラスコ中に、水1776.3g、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムの3重量%水溶液7.4g、微粒子状の第三リン酸カルシウムの10重量%スラリー507.5gを仕込み、穏やかに撹拌させておいた。
実施例1と同様に、酢酸ビニル100重量部、TAIC 32重量部、酢酸エチル116重量部、ヘプタン53重量部、ポリ酢酸ビニル(平均重合度400)9.6重量部、V−65 5.0重量部よりなる単量体混合物2114.2gをノズルに供給した。また、分散媒として0.1重量%のPVAおよび110ppmのNaNO2を含む水溶液2297.4gをカラムに供給した。
この際、単量体混合物には実施例2と同様の機械的振動を与えた。ノズル孔より噴出する単量体混合物は、該機械的振動により分割されて均一な径の液滴をカラム中に形成し、同時に供給される分散媒とともに重合反応器内へ送られた。次いで、実施例1と同様に該液滴を重合させた。
カラム出口、重合前、および重合後の各時点でサンプリングし、実施例1と同様の方法で観察したところ、該液滴はいずれも均一な径を保っており、合着または付加的な分散を生じることなく重合が行われたことを確認した。
その後、実施例1と同様の操作を経て清浄なポリマー粒子を得た。
実施例1と同様の方法で該ポリマー粒子の測定および観察を行った。得られたポリマー粒子の水中における数平均粒子径は468μmであり体積平均粒子径は485μmであった。体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある粒子の割合は93.2体積%であり、体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にある粒子の割合は91.1体積%であり、100μm未満の粒子は3Dデジタルファインスコープでは確認されなかった。また、かさ比重は0.140g/mLであった。SEMで表面及び断面を観察したところ、粒子全体にミクロンオーダー以下の微細な細孔が存在することを確認した。
得られたポリマー粒子について、目開き710μmのふるい上の大粒子、および目開き300μmのふるい下の小粒子や微粒子を除き、下記の評価を行った。なお、目開き710μmのふるい上、および目開き300μmのふるい下の粒子はわずかであった。
該ポリマー粒子について、実施例1と同様に血液と接触させる評価を行った。その結果、該ポリマー粒子と接触後も活性化補体濃度(C5a、C3a)は低値にとどまり補体系の活性化は軽微であった。また、該ポリマー粒子と接触後も顆粒球エラスターゼ(PMN−E)濃度は低値にとどまり白血球の活性化は軽微であった。
該ポリマー粒子について、実施例1と同様にカラムに充填して血液を循環させる評価を行った。その結果、血液循環の間、カラムの目詰まりや流量の低下は見られなかった。また、赤血球、白血球、血小板の通過性はいずれも良好であり、血液細胞の該ポリマー粒子への付着は軽微であった。なお、通血後のカラムには明瞭な血栓等は観察されなかった。
(実施例5)
温調用ジャケットおよび撹拌翼を有する100L重合反応器に、水16.05kg、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムの3重量%水溶液74.2g、微粒子状の第三リン酸カルシウムの10重量%スラリー5.09kgを仕込み、穏やかに撹拌させておいた。
3つのノズルを有し、各ノズルの先端が孔径0.17mmの小孔を45個有するオリフィス板よりなること以外は実施例1と同様の構造の液滴生成装置を使用し、重合反応器の底部に液滴の導入管を介して接続した。単量体混合物の供給は定量性が高く脈動が少ない3連プランジャーポンプを使用した。
単量体混合物タンクより、酢酸ビニル100重量部、TAIC 20.7重量部、酢酸エチル192重量部、ヘプタン64重量部、ポリ酢酸ビニル(平均重合度800)9.6重量部、V−65 4.9重量部よりなる単量体混合物19.53kgを、338mL/minの速度でノズルに供給し、液滴生成装置を経由して重合反応器に仕込んだ。それと同時に分散媒タンクより、分散媒として0.3重量%のPVAおよび120ppmのNaNO2を含む水溶液の21.21kgを287mL/minの速度でカラムに供給し、液滴生成装置を経由して重合反応器に仕込んだ。
この際、単量体混合物には加振器により一定周波数(400Hz)の機械的振動を与えた。ノズル孔から噴出する単量体混合物の液柱は該機械的振動により分割されて均一な径の液滴をカラム中に形成し、同時に供給される分散媒とともに重合反応器内へ送られた。次いで、重合反応器の内容物を、窒素雰囲気下、65℃で5時間保持して該液滴を重合させた。
カラム出口、重合前、および重合後の各時点でサンプリングし、実施例1と同様の方法で観察したところ、該液滴はいずれも均一な径を保っており、合着または付加的な分散を生じることなく重合が行われたことを確認した。
その後、実施例1と同様の操作を経て清浄なポリマー粒子を得た。
実施例1と同様の方法で該ポリマー粒子の測定および観察を行った。得られたポリマー粒子の水中における数平均粒子径は408μmであり体積平均粒子径は486μmであった。体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある粒子の割合は93.0体積%であり、体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にある粒子の割合は86.2体積%であり、100μm未満の粒子の割合は0.004体積%であった。また、かさ比重は0.104g/mLであった。SEMで表面及び断面を観察したところ、粒子全体にミクロンオーダー以下の微細な細孔が存在することを確認した。
得られたポリマー粒子について、目開き710μmのふるい上の大粒子、および目開き300μmのふるい下の小粒子や微粒子を除き、下記の評価を行った。なお、目開き710μmのふるい上、および目開き300μmのふるい下の粒子はわずかであった。
該ポリマー粒子について、実施例1と同様に血液と接触させる評価を行った。その結果、該ポリマー粒子と接触後も活性化補体濃度(C5a、C3a)は低値にとどまり、補体系の活性化は軽微であった。また、該ポリマー粒子と接触後も顆粒球エラスターゼ(PMN−E)濃度は低値にとどまり、白血球の活性化は軽微であった。
該ポリマー粒子について、実施例1と同様にカラムに充填して血液を循環させる評価を行った。その結果、血液循環の間、カラムの目詰まりや流量の低下は見られなかった。また、赤血球、白血球、血小板の通過性はいずれも良好であり、血液細胞の該ポリマー粒子への付着は軽微であった。さらに、120分間循環後の顆粒球エラスターゼ(PMN−E)濃度は比較的低値であり白血球の活性化は軽微であった。また、120分間循環後のCD62p陽性率は比較的小さく血小板の活性化は軽微であった。なお、通血後のカラムには明瞭な血栓等は観察されなかった。
(実施例6)
撹拌翼を有する2Lセパラブルフラスコ中に、水521gを仕込み、穏やかに撹拌させておいた。
孔径0.17mmの小孔を6個有するオリフィス板を用いた以外は実施例1と同様の液滴生成装置を使用し、メチルメタクリレート(MMA)70重量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)30重量部、酢酸エチル52.5重量部、ヘプタン7.5重量部、V−65 1.0重量部よりなる単量体混合物504gを、6.0mL/minの速度でノズルに供給し、液滴生成装置を経由してセパラブルフラスコに仕込んだ。それと同時に分散媒タンクより、3重量%PVA水溶液120.7g、6重量%NaNO2水溶液1.81g、水1877gよりなる分散媒の464gをカラムに供給し、液滴生成装置を経由してセパラブルフラスコに仕込んだ。
この際、単量体混合物には加振器により一定周波数(400Hz)、強度1.3Gの機械的振動を与えた。ノズル孔より噴出する単量体混合物の液柱は該機械的振動により分割されて均一な径の液滴をカラム内の分散媒中に形成し、同時に供給される分散媒とともにセパラブルフラスコ内へ送られた。次いで、実施例1と同様に該液滴を重合させた。
カラム出口、重合前、および重合後の各時点でサンプリングし、実施例1と同様の方法で観察したところ、該液滴はいずれも均一な径を保っており、合着または付加的な分散を生じることなく重合が行われたことを確認した。
第一の重合の後、セパラブルフラスコの内容物に、41gのメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)と、205gの10重量%過硫酸ナトリウム水溶液を添加し、窒素雰囲気下、60℃で4時間保持して、第一の重合で生成したポリマー粒子へメタクリル酸2−ヒドロキシエチルをグラフト重合させた。
第二の重合の後、得られた重合粒子を水洗し、次いでアセトンで十分に洗浄を行い、さらにメタノールで十分に洗浄を行った。メタノールを水で置換した後、80℃の温水で十分に洗浄を行った。次いで121℃、20分間のオートクレーブ処理を行い、清浄なポリマー粒子を得た。
実施例1と同様の方法で該ポリマー粒子の測定および観察を行った。得られたポリマー粒子の水中における数平均粒子径は404μmであり体積平均粒子径は409μmであった。体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある粒子の割合は98.8体積%であり、体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にある粒子の割合は95.3体積%であり、100μm未満の粒子は3Dデジタルファインスコープでは確認されなかった。また、かさ比重は0.483g/mLであった。SEMで表面及び断面を観察したところ、粒子全体に微細な細孔が存在することを確認した。
得られたポリマー粒子について、目開き710μmのふるい上の大粒子、および目開き300μmのふるい下の小粒子や微粒子を除き、下記の評価を行った。なお、目開き710μmのふるい上、および目開き300μmのふるい下の粒子はわずかであった。
該ポリマー粒子について、実施例1と同様にカラムに充填して血液を循環させる評価を行った。その結果、血液循環の間、カラムの目詰まりや流量の低下は見られなかった。また、赤血球、白血球、血小板の通過性はいずれも良好であり、血液細胞の該ポリマー粒子への付着は軽微であった。さらに、120分間循環後のCD62p陽性率は比較的小さく血小板の活性化は軽微であった。なお、通血後のカラムには明瞭な血栓等は観察されなかった。
(比較例1)
酢酸エチル128重量部、ヘプタン42.7重量部、ポリ酢酸ビニル(平均重合度500)12.8重量部とした以外は実施例5と同じ単量体組成の単量体混合物525.5gを、水666.4重量部、PVA 0.098重量部、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム0.022重量部、微粒子状の第三リン酸カルシウム4.96重量部(固形分)、NaNO2 0.038重量部を含む水相1141.6gがあらかじめ仕込まれた、平板状の撹拌翼と2枚の邪魔板を有する2Lセパラブルフラスコ中に室温で添加した。十分な撹拌混合の後、窒素雰囲気下、内容物を65℃で5時間保持して懸濁重合させた。
この際、重合前および重合後にサンプリングし、実施例1と同様の方法で観察したところ、いずれの時点も大粒子や小粒子を多量に含む幅広い粒子径分布を示した。
その後、実施例1と同様の操作を経て清浄な架橋ポリマー粒子を得た。
実施例1と同様の方法で該ポリマー粒子の測定および観察を行った。得られたポリマー粒子の水中における数平均粒子径は330μmであり体積平均粒子径は510μmであった。体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある粒子の割合は68.9体積%であり、体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にある粒子の割合は35.0体積%であり、100μm未満の粒子の割合は0.086体積%であった。また、かさ比重は0.150g/mLであった。SEMで表面及び断面を観察したところ、粒子全体にミクロンオーダー以下の微細な細孔が多数存在することを確認した。
得られたポリマー粒子について、目開き710μmのふるい上の大粒子、および目開き300μmのふるい下の小粒子や微粒子を除き、下記の評価を行った。この際、目開き710μmのふるい上、および目開き300μmのふるい下には多量のポリマー粒子が存在し、著しい分級ロスが生じた。なお、分級後のポリマー粒子の水中における数平均粒子径は469μmであり体積平均粒子径は513μmであった。分級後ポリマー粒子の体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある粒子の割合は80.9体積%であったが、体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にある粒子の割合は53.2体積%にとどまった。
該ポリマー粒子について、実施例1と同様に血液とバッチ操作で接触させる評価を行った。その結果、該セルロース粒子と接触後の活性化補体(C5a、C3a)濃度は高値を示し補体系の活性化が認められた。また、該セルロース粒子と接触後の顆粒球エラスターゼ(PMN−E)濃度は高値を示し白血球の活性化が認められた。
該ポリマー粒子について、実施例1と同様にカラムに充填して血液を循環させる評価を行った結果、カラムの目詰まりや流量の低下は見られなかったものの、白血球および血小板の通過率がやや低く、該ポリマー粒子への白血球および血小板の付着が認められた。さらに、120分間循環後の顆粒球エラスターゼ(PMN−E)濃度は高値を示し白血球の活性化が認められた。
(比較例2)
酢酸ビニル100重量部、TAIC 41.4重量部、酢酸エチル150重量部、ヘプタン50重量部、ポリ酢酸ビニル(平均重合度500)7.5重量部、V−65 5.75重量部よりなる単量体混合物354.7gを、水708.2重量部、PVA 0.113重量部、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム0.025重量部、微粒子状の第三リン酸カルシウム5.69重量部(固形分)、NaNO2 0.043重量部を含む水相1125.1gに添加し、比較例1と同様に懸濁重合させた。
この際、重合前および重合後にサンプリングし、実施例1と同様の方法で観察したところ、いずれの時点も大粒子や小粒子を多量に含む幅広い粒子径分布を示した。
その後、実施例1と同様の操作を経て清浄な架橋ポリマー粒子を得た。
実施例1と同様の方法で該ポリマー粒子の測定および観察を行った。得られたポリマー粒子の水中における数平均粒子径は315μmであり体積平均粒子径は433μmであった。体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある粒子の割合は69.7体積%であり、体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にある粒子の割合は41.4体積%であり、100μm未満の粒子の割合は0.064体積%であった。また、かさ比重は0.127g/mLであった。SEMで表面及び断面を観察したところ、粒子全体にミクロンオーダー以下の微細な細孔が多数存在することを確認した。
得られたポリマー粒子について、目開き710μmのふるい上の大粒子、および目開き300μmのふるい下の小粒子や微粒子を除き、下記の評価を行った。この際、目開き710μmのふるい上、および目開き300μmのふるい下には多量のポリマー粒子が存在し、著しい分級ロスが生じた。なお、分級後のポリマー粒子の水中における数平均粒子径は435μmであり体積平均粒子径は464μmであった。分級後のポリマー粒子の体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある粒子の割合は81.2体積%であったが、体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にある粒子の割合は47.9体積%にとどまった。
該ポリマー粒子について、実施例1と同様に血液と接触させる評価を行った。その結果、該ポリマー粒子と接触後も活性化補体濃度(C5a、C3a)は低値にとどまり、補体系の活性化は軽微であった。また、該ポリマー粒子と接触後も顆粒球エラスターゼ(PMN−E)濃度は低値にとどまり、白血球の活性化は軽微であった。
しかしながら、該ポリマー粒子について、実施例1と同様にカラムに充填して血液を循環させる評価を行った結果、カラムの目詰まりや流量の低下は見られなかったものの、白血球および血小板の通過率が低く、該ポリマー粒子への白血球および血小板の付着が認められた。
(比較例3)
MMA 82.8重量部、EGDMA 17.2重量部、酢酸エチル128重量部、ヘプタン42.7重量部、V−65 4.9重量部よりなる単量体混合物523.7gを、水595.6重量部、PVA 0.732重量部、NaNO2 0.033重量部を含む水相1178.3gに添加し、比較例1と同様に懸濁重合させた。
この際、重合前および重合後にサンプリングし、実施例1と同様の方法で観察したところ、いずれの時点も大粒子や小粒子を多量に含む幅広い粒子径分布を示した。
所定時間の重合の後、セパラブルフラスコの内容物を室温まで冷却した。次いで重合粒子を水洗し、アセトンで十分に洗浄を行った。アセトンを水で置換した後、80℃の温水で十分に洗浄を行った。次いで121℃、20分間のオートクレーブ処理を行い、清浄なポリマー粒子を得た。
実施例1と同様の方法で該ポリマー粒子の測定および観察を行った。得られたポリマー粒子の水中における数平均粒子径は369μmであり体積平均粒子径は500μmであった。体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある粒子の割合は64.5体積%であり、体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にある粒子の割合は38.5体積%であり、100μm未満の粒子の割合は0.034体積%であった。また、かさ比重は0.354g/mLであった。SEMで表面及び断面を観察したところ、粒子全体に微細な細孔が多数存在することを確認した。
得られたポリマー粒子について、目開き710μmのふるい上の大粒子、および目開き300μmのふるい下の小粒子や微粒子を除き、下記の評価を行った。この際、目開き710μmのふるい上、および目開き300μmのふるい下には多量のポリマー粒子が存在し、著しい分級ロスが生じた。なお、分級後のポリマー粒子の水中における数平均粒子径は471μmであり体積平均粒子径は516μmであった。該ポリマー粒子の体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある粒子の割合は83.1体積%であったが、体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にある粒子の割合は50.4体積%にとどまった。
該ポリマー粒子について、実施例1と同様にカラムに充填して血液を循環させる評価を行った。その結果、カラムの目詰まりや流量の低下は見られなかったものの、白血球および血小板の通過率が低く、該ポリマー粒子への白血球および血小板の付着が認められた。さらに、120分間の血液循環後のCD62p陽性率は高値を示し、血小板の活性化が認められた。
(比較例4)
合成高分子よりなるポリマー粒子の替わりに、かさ比重が0.055g/mLである多孔質のセルロース粒子を用いた。
以下、実施例1と同様の方法で測定および観察を行った。該セルロース粒子の水中における数平均粒子径は457μmであり体積平均粒子径は485μmであった。体積平均粒子径の0.8倍から1.2倍の範囲内にある粒子の割合は87.2体積%であり、体積平均粒子径の0.9倍から1.1倍の範囲内にある粒子の割合は46.4体積%であり、100μm未満の粒子の割合は0.013体積%であった。SEMで該セルロース粒子の表面及び断面を観察したところ、粒子全体にミクロンオーダー以下の微細な細孔が多数存在することを確認した。
該セルロース粒子について、実施例1と同様に血液とバッチ操作で接触させる評価を行った。その結果、該セルロース粒子と接触後の活性化補体(C5a、C3a)濃度は高値を示し補体系の活性化が認められた。また、該セルロース粒子と接触後の顆粒球エラスターゼ(PMN−E)濃度は高値を示し白血球の活性化が認められた。
該セルロース粒子について、実施例1と同様にカラムに充填して血液を循環させる評価を行った。その結果、カラムの目詰まりや流量の低下は見られなかったものの、白血球および血小板の通過率が低く、該セルロース粒子への白血球および血小板の付着が認められた。さらに、120分間循環後の顆粒球エラスターゼ(PMN−E)濃度は高値を示し白血球の活性化が認められた。また、120分間循環後のCD62p陽性率は高値を示し血小板の活性化が認められた。