JP2007053289A - 紫外線発光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 発光効率が高く、高輝度で発光する紫外線発光素子を提供する。
【解決手段】 ホウ素が高濃度でドープされたダイヤモンドからなるホウ素ドープダイヤモンド層1の一方の面上に、長軸が一方向に配向した複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ層2を形成する。そして、このカーボンナノチューブ層2上に電極3を形成すると共に、ホウ素ドープダイヤモンド層1の他方の面上の一部に電極4を形成して紫外線発光素子10とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 ホウ素が高濃度でドープされたダイヤモンドからなるホウ素ドープダイヤモンド層1の一方の面上に、長軸が一方向に配向した複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ層2を形成する。そして、このカーボンナノチューブ層2上に電極3を形成すると共に、ホウ素ドープダイヤモンド層1の他方の面上の一部に電極4を形成して紫外線発光素子10とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光計測、殺菌、医療及び情報処理等の分野で使用される紫外線発光素子に関し、特に、発光材料にダイヤモンドを使用したダイヤモンド紫外線発光素子に関する。
ダイヤモンドは、耐熱性が優れ、バンドギャップが5.5eVと大きく、硬い物質である。また、ダイヤモンドは、通常は絶縁体であるが、不純物をドーピングすることにより半導体化することができる。更に、ダイヤモンドは、絶縁破壊電圧及び飽和ドリフト速度が大きく、誘電率が小さく、耐熱性が高く、熱伝導率が大きいといった高出力高周波デバイスに好適な電気的特性を持っている。このため、これらの特性を利用して、ダイヤモンドを、トランジスター、紫外線センサ、発光素子、放熱拡散基板、表面弾性波素子、マイクロ波・X線窓、及び光学部品等への応用するための検討がなされている。
一方、基板上にダイヤモンド薄膜を形成する技術としては、例えば、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition:CVD)法がある。また、従来、CVD法でダイヤモンド薄膜を形成する際に、ホウ素(B)等の不純物をドーピングすることにより、p型半導体ダイヤモンド膜を合成できることが知られており、このBドープダイヤモンド膜上に、絶縁膜又はアンドープダイヤモンド膜と、金属膜とをこの順に積層したMIS(Metal/Insulator/Semiconductor)型の紫外線発光素子が提案されている(例えば、特許文献1乃至4参照)。
図3は特許文献1に記載の短波長発光素子を示す断面図である。図3に示すように、特許文献1に記載の短波長発光素子100は、発光層であるBドープダイヤモンド層101の一方の面上に絶縁層であるアンドープダイヤモンド層102が形成されており、このアンドープダイヤモンド層102上及びBドープダイヤモンド層101の他方の面上に、夫々電極104及び電極103が形成されている。この短波長発光素子100は、例えば、外部電源等によって、電極103に正の電位を印加すると共に電極104に負の電位を印加することにより、電極104の電子がアンドープダイヤモンド層102を通過して、Bドープダイヤモンド層101の電導帯に注入される。そして、この電導帯に注入された電子が、Bドープダイヤモンド層101の価電子帯に存在する正孔と再結合することにより、光が放出される。なお、特許文献1には、この短波長発光素子100により、波長約238nmにピークをもつ発光スペクトルが得られることが開示されている。
また、特許文献2には、室温におけるカソードルミネッセンスを測定したとき、300nm未満の波長領域に存在する発光バンドの積分強度CL1と、300乃至800nmの波長領域に存在する発光バンドの積分強度CL2との積分強度比(CL1/CL2)が1/20以上であるダイヤモンド膜を利用したMIS型整流ダイオードが開示されている。更に、特許文献3には、図3に示す短波長発光素子100と同様の構造で、アンドープダイヤモンド層102の代わりに、誘電率が30以上である誘電体又は高誘電体からなる誘電体層を設けた紫外線発光素子が提案されている。更にまた、特許文献4には、Bドープ高圧ダイヤモンド結晶層の一方の面に絶縁性ダイヤモンド層を介してタングステンからなる第1の電極を形成すると共に、他方の面にタングステンからなる第2の電極を形成した構造で、自由励起子再結合発光(235nm)が支配的である紫外線発光素子が提案されている。
また、従来、前述のMIS型以外にも、種々の構造の紫外線発光素子が提案されている(例えば、特許文献5乃至9参照。)。例えば、特許文献5及び6には、平面型の紫外線発光素子が開示されている。図4は特許文献5に記載の紫外線発光素子を示す断面図である。図4に示すように、特許文献5に記載の紫外線発光素子110は、多結晶ダイヤモンドからなり、絶縁性のダイヤモンド結晶層111の表面に、水素終端処理により電気導電性を付与した表面伝導層112が形成されている。そして、この表面伝導層112上に、クロム膜115aと金膜116aとの積層膜からなる電極113、及びクロム膜115bと金膜116bとの積層膜からなる電極114が形成されている。この紫外線発光素子110は、電極113と電極114との間に高電圧を印加すると、ダイヤモンド結晶層111中に強制的にキャリア(電子及び正孔)が注入されて、自由励起子再結合発光により波長235nmの紫外線発光が生じる。
また、特許文献6には、Bドープダイヤモンドからなるp型半導体ダイヤモンド基板上に、チタン膜と金膜とがこの順に積層された第1の電極を形成すると共に、p型半導体ダイヤモンド基板上に、Bドープダイヤモンドからなるp型半導体ダイヤモンド層とSドープダイヤモンドからなるn型半導体ダイヤモンド層とからなる積層膜を介して、チタン膜と金膜とがこの順に積層された第2の電極を形成した紫外線発光素子が開示されている。
更に、特許文献7には、ダイヤモンド基板上に形成された第1のダイヤモンド層上に、第1の電極と、発光層として機能する第2のダイヤモンド層とを形成し、この第2のダイヤモンド層上に第3のダイヤモンド層を介して第2の電極を形成したpin型の紫外線発光素子が開示されている。更にまた、特許文献8及び9には、p型半導体ダイヤモンド層とn型半導体ダイヤモンド層とを接触させた構造の紫外線発光素子が開示されている。
しかしながら、前述の従来の技術には以下に示す問題点がある。即ち、特許文献1乃至3に記載の紫外線発光素子は、図3に示すように、紫外線が主にアンドープダイヤモンド層102側に放出されるため、アンドープダイヤモンド層102上に設けられた電極104によって、紫外線が吸収及び/又は散乱され、外部発光強度が著しく低下するという問題点がある。なお、ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ)等の一般的な透明電極用材料は、これらの素子からの発光される波長が238nmの紫外線を吸収してしまうため、使用することはできない。
また、特許文献1乃至3に記載の紫外線発光素子には、電極104からBドープダイヤモンド層101への電子注入効率が極めて低く、その結果、素子の発光強度が極めて小さいという問題点もある。更に、特許文献1乃至3に記載の紫外線発光素子には、電極103から多数の正孔がBドープダイヤモンド層101に注入され、この正孔がアンドープダイヤモンド層102を通過して、電極104に到達するため、この電流による電力損失が大きいと共に、素子が抵抗加熱されて高温になるという問題点もある。
一方、特許文献4に記載の紫外線発光素子は、紫外線は主に素子の両端部側に放出されるため、電極による吸収及び散乱による発光強度の低下の影響は少ないが、ダイヤモンド結晶中の電子を高密度励起する必要があるため、素子に高電圧を印加しなければならないという問題点がある。同様に、特許文献5及び6に記載の紫外線発光素子も、ダイヤモンド結晶層111に電子及び正孔を注入するために、電極113と電極114との間に高電圧を印加しなければならない。特に、特許文献5に記載の紫外線発光素子は、高輝度を得るためにはより高電圧を印加する必要があるが、そうすると、表面伝導層112に沿って高電流が流れ、ダイヤモンド結晶層111の表面が炭化し、電極113と電極114とが短絡するという問題点がある。
また、レーザ素子構造の特許文献7に記載の紫外線発光素子においても、ダイヤモンド層中の電子の高密度励起が容易ではなく、素子に高電圧を印加しなければならないという問題点がある。更に、特許文献8及び9に記載の紫外線発光素子は、p型半導体ダイヤモンド層とn型半導体ダイヤモンド層とを接触させたものであるが、導電率が高いn型半導体ダイヤモンドは未だ合成されていないため、素子の抵抗が高く、また素子に高電圧を印加しなければならないという問題点がある。
上述の如く、前述の引用例1乃至9に記載の紫外線発光素子は、いずれも電極から電子を注入し、電子・正孔対の再結合により発光を生じさせるものであるため、高い発光強度を得るためには、素子に高電圧を印加しなければならず、発光効率が悪いという問題点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、発光効率が高く、高輝度で発光する紫外線発光素子を提供することを目的とする。
本発明に係る紫外線発光素子は、ホウ素がドープされたホウ素ドープダイヤモンド層と、前記ホウ素ドープダイヤモンド層の一方の面上に形成され長軸が一方向に配向した複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ層と、前記カーボンナノチューブ層及び前記ホウ素ドープダイヤモンド層の他方の面に夫々接触する第1及び第2の電極と、を有することを特徴とする。
本発明においては、ホウ素ドープダイヤモンド層上に、電子がバリスティック伝導するカーボンナノチューブ層を形成しているため、このカーボンナノチューブ層からホウ素ドープダイヤモンド層に電子が高速で注入されるため、紫外線出射面全体に電極を形成する必要がなくなり、電極による発光紫外線の吸収及び散乱を防止することができる。また、正孔は、カーボンナノチューブ層を伝導しにくいため、電極間に発光に寄与しない電流が流れることがなく、投入電極に対する発光輝度が高く、高効率で紫外線を発光することができる。その結果、高輝度な紫外線を効率よく発光させることができる。
前記ホウ素ドープダイヤモンド層と前記カーボンナノチューブ層との間に、アンドープダイヤモンド又は前記ホウ素ドープダイヤモンド層よりも低濃度にホウ素がドープされた低ドープダイヤモンドからなる中間層が形成されていてもよい。その場合、前記中間層の厚さは、例えば0.05乃至2μmとすることができる。これにより、カーボンナノチューブ層から注入された電子が中間層において更に加速されるため、紫外線発光強度を増大することができる。
又は、前記ホウ素ドープダイヤモンド層と前記カーボンナノチューブ層との間に、絶縁層を形成してもよい。その場合、前記絶縁層の厚さは、例えば10nm乃至0.5μmとすることができる。これにより、絶縁層において電子を加速することができると共に、ホウ素ドープダイヤモンド層からカーボンナノチューブ層への正孔の移動を阻止することができるため、発光に寄与しない電流を更に抑制することができ、発光効率を向上させることができる。
また、この紫外線発光素子は、前記ホウ素ドープダイヤモンド層におけるホウ素のドーピング濃度を1019/cm3以上としてもよい。これにより、紫外線発光強度を向上させることができる。
本発明によれば、ホウ素ドープダイヤモンド層上に、電子がバリスティック伝導するカーボンナノチューブ層を形成しているため、このカーボンナノチューブ層からホウ素ドープダイヤモンド層に電子を高速で注入することができ、高輝度な紫外線を効率よく発光させることができる。
以下、本発明の実施の形態に係る紫外線発光素子について、添付の図面を参照して具体的に説明する。上記の課題を解決するためには、ダイヤモンド中での発光機構をより効率的な方式に変更することが有効である。そこで、本発明者等は、ダイヤモンド中に高エネルギーのキャリア(電子又は正孔)を注入し、このエネルギー衝突によりダイヤモンド中で電子・正孔対を高密度に発生させ、これらが再結合することにより紫外線発光を生じさせる機構について検討を行った。そして、この機構を実現するため、その内部を電子がバリスティック(ballistic:弾道的)伝導するカーボン・ナノチューブ(carbon nano tube;CNT)を、ダイヤモンド表面に、例えばブラシ状に配向させて形成し、このCNT中に高速で電子を伝導させて、ダイヤモンドに電子注入を行うことを考案した。
先ず、本発明の第1の実施形態に係る紫外線発光素子について説明する。図1は本実施形態の紫外線発光素子を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態の紫外線発光素子10は、高濃度にホウ素(B)がドープされたダイヤモンドからなるBドープダイヤモンド層1の一方の面上に、長軸が一方向に配向した複数のCNTからなるCNT層2が形成されている。また、CNT層2の表面上には電極3が形成されており、Bドープダイヤモンド層1の他方の面上には例えばその周縁部に沿って電極4が形成されている。これら電極3及び電極4は、例えば、白金(Pt)、チタン(Ti)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)又はこれらの積層膜により形成することができる。
本実施形態の紫外線発光素子10においては、Bドープダイヤモンド層1におけるBドーピング濃度が1019/cm3以上であることが望ましい。Bドーピング濃度が1019/cm3未満の場合、バンドAと呼ばれるダイヤモンドの結晶欠陥に由来する発光の強度が増加し、紫外線発光輝度が低下することがある。また、Bドーピングダイヤモンド層1の厚さは、原理的な制限はないが、例えば0.05乃至10μmである。Bドーピングダイヤモンド層1の厚さが0.05μm未満の場合、紫外線発光強度が低下することがあり、また、その厚さが10μmを超えると製造コストが高くなる。このようなBドープダイヤモンド層1は、CVD法により合成された多結晶ダイヤモンド、高配向性ダイヤモンド、ヘテロエピタキシャルダイヤモンド、微結晶ダイヤモンド及び超微結晶ダイヤモンド等により形成することができる。
また、本実施形態の紫外線発光素子10におけるCNT層2の厚さは、0.1乃至50μmとすることが望ましい。CNT層2の厚さが0.1μm未満の場合、バリスティック伝導の効果が得られないことがあり、その厚さが50μmを超えるとCNT層2の電気抵抗が高くなりすぎることがある。また、CNT層2は、CNTの軸がBドープダイヤモンド層1の表面に対して垂直方向に配向していることが好ましい。これにより、効率的に電子をダイヤモンドに注入することができる。このようなCNT層2は、例えば、プラズマCVD法及び熱CVD法等により形成することができる。
次に、本実施形態の紫外線発光素子10の動作について説明する。この紫外線発光素子10は、電極3と電極4との間に負の電圧を印加することにより、電極3からCNT層2に電子が注入される。このCNT層2内に注入された電子は、電界によってCNT層2内をバリスティック伝導し、Bドープダイヤモンド層1に高速で注入される。そして、Bドープダイヤモンド層1において、電子とダイヤモンドを構成する炭素原子(C)とが衝突し、これにより多数の電子が価電子帯から電導帯に励起する。この励起された電子は、価電子帯の正孔と再結合し、その際、波長が約248nmで、エネルギーが約5eVの紫外線を発光する。
なお、電極3と電極4との間に印加される電圧は、直流電圧及び交流電圧のどちらでもよい。例えば、これらの電極間に交流電圧を印加する場合には、電極4の電位が電極3の電位よりも高い場合に発光が生じる。また、電極3に負のパルス電位を印加すると、紫外線のパルス発光が生じる。
本実施形態の紫外線発光素子10においては、電子がバリスティック伝導するCNT層2からBドープダイヤモンド層1に電子が高速で注入されるため、電子がBドープダイヤモンド層1に注入されたところで最も強い紫外線発光が生じる。このため、電極4は、Bドープダイヤモンド層1の他方の面上の一部に形成されていればよく、図3に示す従来の短波長発光素子100のように、紫外線出射面全体に電極を形成する必要がない。その結果、電極による発光紫外線の吸収及び散乱がなく、高強度の紫外線発光が得られる。また、Bドープダイヤモンド層1の他方の面上に形成された電極4からBドープダイヤモンド層1に正孔が注入されるが、正孔はCNT層2を伝導しにくいため、前述した従来の紫外線発光素子のように、電極間に発光に寄与しない電流が流れることがない。これにより、投入電極に対する発光輝度が高くなり、高効率で紫外線を発光することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る紫外線発光素子について説明する。図2は本実施形態の紫外線発光素子を示す断面図である。なお、図2においては、図1に示す第1の実施形態の紫外線発光素子10の構成要素と同じものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図2に示すように、本実施形態の紫外線発光素子20は、Bドープダイヤモンド層1とCNT層2との間に中間層5が形成されている。即ち、この紫外線発光素子20は、高濃度にBがドープされたダイヤモンドからなるBドープダイヤモンド層1の一方の面上に、中間層5が形成され、この中間層5上に長軸が一方向に配向したCNTからなるCNT層2が形成されている。そして、CNT層2の表面上には電極3が形成され、Bドープダイヤモンド層1の他方の面上には例えばその周縁部に沿って電極4が形成されている。
本実施形態の紫外線発光素子20における中間層5は、Bがドープされていないアンドープダイヤモンド又はBドーピング濃度が1018/cm3以下の低ドープダイヤモンドにより形成することができる。この中間層5の厚さは、0.05乃至2μmであることが好ましい。中間層5の厚さが0.05μm未満の場合、略抵抗なく電流(電子・正孔)が通過してしまい、発光に寄与しない電流が流れ、素子が加熱されることがある。一方、中間層5の厚さが2μmを超えると、素子の内部抵抗が高くなりすぎて、発光効率が低下することがある。このような中間層5は、例えばマイクロ波CVD法等により形成することができる。
本実施形態の紫外線発光素子20においては、中間層5に高い電界が印加されるため、CNT層2から注入された電子が中間層5において更に加速される。その結果、紫外線発光強度を増大することができる。なお、本実施形態の紫外線発光素子20における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態の紫外線発光素子と同様である。
次に、本発明の第2の実施形態の変形例の紫外線発光素子について説明する。前述の第2の実施形態の紫外線発光素子においては、Bドープダイヤモンド層1とCNT層2との間に、アンドープダイヤモンド又は低ドープダイヤモンドからなる中間層5を形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、中間層5の代わりに、電気的絶縁層を形成してもよい。具体的には、本変形例の紫外線発光素子は、高濃度にBがドープされたダイヤモンドからなるBドープダイヤモンド層の一方の面上に、酸化シリコン(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、窒化ホウ素(BN)又は窒化アルミニウム(AlN)等からなる絶縁層が形成されており、この絶縁層上に長軸が一方向に配向したCNTからなるCNT層が形成されている。そして、Bドープダイヤモンド層の他方の面上の一部及びCNT層の表面上に夫々電極が形成されている。
本変形例の紫外線発光素子における絶縁層の厚さは、10nm乃至0.5μmとすることが望ましい。絶縁層の厚さが10nm未満の場合、略抵抗なく電流(電子・正孔)が通過してしまい、発光に寄与しない電流が流れ、素子が加熱されることがある。一方、絶縁層の厚さが0.5μmを超えると、素子の内部抵抗が高くなりすぎて、発光効率が低下することがある。このような絶縁層は、例えば蒸着法等により形成することができる。
本変形例の紫外線発光素子においては、前述の第2の実施形態の紫外線発光素子における中間層の代わりに絶縁層を形成しているため、この絶縁層に第2の実施形態の紫外線発光素子における中間層よりも更に高い電界が印加され、電子がより加速されると共にBドープダイヤモンド層からCNT層への正孔の移動が阻止される。その結果、発光に寄与しない電流を更に抑制することができるため、発光効率を向上させることができる。なお、本変形例の紫外線発光素子における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第2の実施形態の紫外線発光素子と同様である。
以下、本発明の実施例として、紫外線発光素子を実際に製造し、その発光特性を調べた結果について説明する。先ず、本発明の実施例1として、図1に示す紫外線発光素子を作製した。具体的には、縦1cm、横1cmのp型低抵抗シリコン基板上に、マイクロ波プラズマCVD法により、Bドープダイヤモンド層1を形成した。その際、原料ガスには、メタン(CH4)及びジボラン(B2H6)を、CH4濃度が0.3体積%、原料ガス中のB原子濃度とC原子濃度との比(以下、B/Cという)が4000ppmになるように、水素で希釈したものを使用した。また、マイクロ波投入電力及び基板の位置を調節し、基板温度が800乃至890℃になるようにした。このような条件で、ダイヤモンドを、15時間気相合成を実施し、膜厚が約3μmの高濃度Bドープダイヤモンド膜(Bドープダイヤモンド層1)を形成した。なお、高濃度Bドープダイヤモンド膜におけるBドーピング濃度は約1020/cm3であった。
次に、スパッタリング蒸着により、高濃度Bドープダイヤモンド膜(Bドープダイヤモンド層1)上に、鉄(Fe)の1乃至2原子層を蒸着し、水素ガス中で500℃、20分間維持した。その後、マイクロ波プラズマCVD法により、CH4濃度が8体積%になるように水素で希釈したガスを原料ガスとし、基板温度を600℃にして、10分間気相合成し、高濃度Bドープダイヤモンド膜(Bドープダイヤモンド層1)上に、長さが10μmで、その長軸が高濃度Bドープダイヤモンド膜に対して略垂直に配向したブラシ状のCNTからなるCNT層2を形成した。このとき、高濃度Bドープダイヤモンド膜上に蒸着したFeは、その50%以上がCNTの先端に存在していた。即ち、50%以上のCNTは高濃度Bドープダイヤモンド膜(Bドープダイヤモンド層1)と直接接触していた。
次に、CNT層2上に銀(Ag)を200nm蒸着して電極3を形成した。その後、資水酸化カリウム(KOH)水溶液でシリコン基板の一部をエッチング除去し、高濃度Bドープダイヤモンド膜(Bドープダイヤモンド層1)の他方の面を露出させた。そして、シリコン基板の高濃度Bドープダイヤモンド膜(Bドープダイヤモンド層1)の他方の面上に残した部分を電極4とした。
次に、上述の方法で作製した実施例1の紫外線発光素子について、電極3に−40Vを印加すると共に電極4を接地したところ、波長が248nmの紫外線発光が観察された。
次に、本発明の実施例2として、前述の実施例1の紫外線発光素子と同様の方法で、図2に示す紫外線発光素子を作製した。その際、高濃度Bドープダイヤモンド膜(Bドープダイヤモンド層1)を形成した後、引き続きその表面に中間層5として膜厚が0.2μmのアンドープダイヤモンド膜を積層し、このアンドープダイヤモンド膜上にブラシ状のCNTを成長させた。そして、この方法で作製した実施例2の紫外線発光素子について、前述の実施例1の紫外線発光素子と同様の方法及び条件で紫外線発光輝度を測定したところ、実施例1の紫外線発光素子の2.3倍の発光輝度が得られた。
次に、本発明の実施例3として、前述の実施例1の紫外線発光素子と同様の方法で、前述の第2の実施形態の変形例と同様の構造の紫外線発光素子を作製した。その際、高濃度Bドープダイヤモンド膜(Bドープダイヤモンド層1)の表面に、蒸着法により絶縁層として膜厚が20nmのh−BN膜を形成し、このh−BN膜上にブラシ状のCNTを成長させた。そして、この方法で作製した実施例3の紫外線発光素子について、前述の実施例1の紫外線発光素子と同様の方法及び条件で紫外線発光輝度を測定したところ、実施例1の紫外線発光素子の1.8倍の発光輝度が得られた。
1、101;Bドープダイヤモンド層
2;CNT層
3、4、103、104、113、114;電極
5;中間層
10、20、110;紫外線発光素子
100;短波長発光素子
102;アンドープダイヤモンド層
111;ダイヤモンド結晶層
112;表面伝導層
115a、115b;クロム膜
116a、116b;金膜
2;CNT層
3、4、103、104、113、114;電極
5;中間層
10、20、110;紫外線発光素子
100;短波長発光素子
102;アンドープダイヤモンド層
111;ダイヤモンド結晶層
112;表面伝導層
115a、115b;クロム膜
116a、116b;金膜
Claims (6)
- ホウ素がドープされたホウ素ドープダイヤモンド層と、前記ホウ素ドープダイヤモンド層の一方の面上に形成され長軸が一方向に配向した複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ層と、前記カーボンナノチューブ層及び前記ホウ素ドープダイヤモンド層の他方の面に夫々接触する第1及び第2の電極と、を有することを特徴とする紫外線発光素子。
- 前記ホウ素ドープダイヤモンド層と前記カーボンナノチューブ層との間に、アンドープダイヤモンド又は前記ホウ素ドープダイヤモンド層よりも低濃度にホウ素がドープされた低ドープダイヤモンドからなる中間層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線発光素子。
- 前記中間層の厚さは、0.05乃至2μmであることを特徴とする請求項2に記載の紫外線発光素子。
- 前記ホウ素ドープダイヤモンド層と前記カーボンナノチューブ層との間に、絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線発光素子。
- 前記絶縁層の厚さは、10nm乃至0.5μmであることを特徴とする請求項4に記載の紫外線発光素子。
- 前記ホウ素ドープダイヤモンド層におけるホウ素のドーピング濃度は、1019/cm3以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の紫外線発光素子。
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- 2005-08-19 JP JP2005238418A patent/JP2007053289A/ja active Pending
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