JP2007053241A - 超電導マグネット装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 コイルの自重による曲げモーメント等による強度的負担を軽減し、かつ、冷却時の熱収縮によりコイルに径方向の過剰な負担がかかるのを抑制することが可能な超電導マグネット装置を提供する。
【解決手段】 この超電導マグネット装置は、軸方向が実質的に水平となるように同心状に配置された超電導コイル50および60と、超電導コイル50および60の一方端を支持するコイル支持部材70aと、超電導コイル60の他方端を支持するコイル支持部材70bと、超電導コイル50の自重による下方への撓み変形に対する超電導コイル60からの抗力を超電導コイル50に伝達することにより、超電導コイル50の他方端側を上方に向かって押圧可能な第1伝達部材53および第2伝達部材63とを備えている。そして、各伝達部材53および63は、冷却時の超電導コイル50および60間の相対変位を許容可能なように構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、理化学用NMR分析装置、MRI装置、ICR質量分析装置等に用いられる超電導マグネット装置に関する。
従来、理化学用NMR分析装置、MRI装置、ICR質量分析装置などに用いられ、強力な磁場を発生させることが可能な超電導マグネット装置の一例として、超電導コイルをその中心軸が水平となるように設置した、いわゆる横置き型の超電導マグネット装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1には、同心状に配置された内側コイルおよび外側コイルの軸方向の一端同士をコイル支持体により一体的に固定支持した超電導マグネット装置(特許文献1中の図2参照)を、上記の横置き型に適用する場合には、自重によりコイルに発生する曲げモーメントを低減させる必要があることが記載されている。
また、特許文献1には、上記曲げモーメントを低減するために、内側コイルおよび外側コイルの軸方向の一方端同士をコイル支持体により一体的に固定支持するとともに、内側コイルの他方端を径方向荷重支持体により固定支持し、さらに、その径方向荷重支持体の外周面で外側コイルの他方端の内周面を支持するように構成した超電導コイル荷重支持体(特許文献1中の図1参照)が開示されている。この径方向荷重支持体は、外側コイルの内周に嵌め込まれており、各コイルを径方向に支持しながら、軸方向には互いにスライド可能にしている。
特開平11−329824号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の超電導コイル荷重支持体では、径方向荷重支持体を外側コイルの内周に嵌め込むことにより外側コイルを径方向に支持しているため、冷却時に内側コイルおよび外側コイルの径方向の間隔が小さくなるのに伴って径方向荷重支持体に作用する応力を、径方向荷重支持体が十分に吸収するのが困難であるという不都合がある。これにより、冷却時に、上記応力が抗力として外側コイルに過剰に作用する場合があるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、コイルの自重による曲げモーメント等による強度的負担を軽減し、かつ、冷却時の熱収縮によりコイルに径方向の過剰な負担がかかるのを抑制することが可能な超電導マグネット装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、この発明の請求項1に記載の超電導マグネット装置は、巻枠に超電導線材を巻線して構成され、軸方向が実質的に水平方向と一致するように同心状に配置された第1コイルおよび第2コイルと、第1コイルの一方端のみを支持するとともに、第2コイルの少なくとも一方端を支持するコイル支持手段と、第1コイルの自重による下方への撓み変形に対する第2コイルからの抗力を第1コイルに伝達することにより、第1コイルの他方端側を上方に向かって押圧可能な抗力伝達手段とを備え、抗力伝達手段は、第1コイルの他方端側の周面に対応する位置に設けられ、冷却時の第1コイルと第2コイルとの径方向の相対変位を許容可能となるように構成されていることを特徴とする。
この請求項1に記載の超電導マグネット装置では、上記のように、第1コイルの自重による下方への撓み変形に対する第2コイルからの抗力を第1コイルに伝達することにより、第1コイルの他方端側を上方に向かって押圧する抗力伝達手段を設けることによって、抗力伝達手段により、コイル支持手段に支持されていない第1コイルの他方端側を、第1コイルの自重による下方向への力(重力)に抗して上方に向かって押圧することができるので、第1コイルの他方端が下方に所定量以上撓むのを抑制することができる。また、抗力伝達手段を、冷却時の第1コイルと第2コイルとの径方向の相対変位を許容可能となるように構成することによって、抗力伝達手段により、冷却時の第1コイルと第2コイルとの径方向の相対変位を吸収することができる。
上記請求項1に記載の超電導マグネット装置において、好ましくは、抗力伝達手段は、弾性変形可能な弾性部材を含み、弾性部材の弾性変形によって、冷却時の第1コイルと第2コイルとの径方向の相対変位を許容するように構成されている(請求項2)。このように構成すれば、弾性部材を弾性変形させるだけで、冷却時のコイル間の相対変位を許容して吸収することができるので、冷却時に、コイルに径方向の過剰な負担がかかるのを容易に抑制することができる。
上記請求項1または2に記載の超電導マグネット装置において、抗力伝達手段は、第1コイルに取り付けられ、所定の弾性率を有する弾性部材と、第2コイルの巻枠に当接し、弾性部材に回転可能に保持された転動部材とを含み、弾性部材が弾性変形することによって、冷却時の第1コイルと第2コイルとの径方向の相対変位を許容するとともに、転動部材が第2コイルの巻枠上を転動することによって、冷却時の第1コイルと第2コイルとの軸方向の相対変位を許容する構成としてもよい(請求項3)。このように構成すれば、所定の弾性率を有する弾性部材が弾性変形することによって、冷却時の第1コイルと第2コイルとの径方向の相対変位を許容して吸収することができるので、冷却時に、コイルに径方向の過剰な負担がかかるのを容易に抑制することができる。また、弾性部材に回転可能に保持された転動部材が第2コイルの巻枠上を転動することによって、冷却時の第1コイルと第2コイルとの軸方向の相対変位を許容して吸収することができるので、冷却時に、コイルに軸方向の過剰な負担がかかるのを容易に抑制することができる。また、第2コイルの巻枠上を転動する転動部材を用いることによって、転動部材と第2コイルの巻枠との接触部分を点や線に準じた形状にしてその接触面積を低減することができるとともに、冷却時のコイル間の軸方向の相対変位による接触部分の移動に伴って転動部材を転動させることができるので、冷却時の第1コイルと第2コイルとの軸方向の相対変位に伴って上記接触部分に発生する摩擦熱を大幅に低減することができる。
上記請求項1または2に記載の超電導マグネット装置において、抗力伝達手段は、第1コイルの他方端近傍に設けられた第1伝達部材と、第2コイルの他方端近傍に設けられ、少なくとも冷却時に第1伝達部材に接触可能な第2伝達部材とを含み、第1伝達部材および第2伝達部材は、各々傾斜面を有しており、冷却時の第1コイルと第2コイルとの軸方向および径方向の相対変位により傾斜面に沿って互いに摺動可能なように、傾斜面同士が対向して配置されている構成としてもよい(請求項4)。このように構成すれば、冷却時のコイル間の径方向および軸方向の相対変位に伴って第1伝達部材の傾斜面と第2伝達部材の傾斜面とが互いに摺動するので、上記コイル間の相対変位により第1伝達部材および第2伝達部材の位置関係が変化したとしても、第1伝達部材および第2伝達部材を互いに無理なく接触させ続けることができる。
上記請求項4に記載の超電導マグネット装置において、好ましくは、第1伝達部材および第2伝達部材は、少なくとも一方が第1コイルの巻枠の弾性率および第2コイルの巻枠の弾性率よりも小さい弾性率を有している(請求項5)。このように構成すれば、冷却時のコイル間の径方向および軸方向の相対変位に対して、第1伝達部材および第2伝達部材の少なくとも一方を大きく変形させることができるので、上記相対変位を抗力伝達手段が十分に吸収することができる。これにより、冷却時に第1コイルおよび第2コイルに過剰な負担がかかるのを十分に抑制することができる。
上記請求項4または5に記載の超電導マグネット装置において、好ましくは、第1伝達部材の第2伝達部材に対する摩擦係数は、第1コイルの巻枠と第2コイルの巻枠との間の摩擦係数よりも小さい(請求項6)。このように構成すれば、冷却時に互いに摺動する第1伝達部材の傾斜面と第2伝達部材の傾斜面との間に発生する摩擦熱を低減することができるので、当該超電導マグネット装置の内部温度を、各コイルが超電導状態となるのに必要な極低温(液体ヘリウム温度)まで容易に低下させることができる。
上記請求項1〜6のいずれか1項に記載の超電導マグネット装置において、好ましくは、抗力伝達手段は、第1コイルの他方端側の周面に対応する位置に全周に亘って設けられている(請求項7)。このように構成すれば、抗力伝達手段を第1コイルの軸心に対して等方性を有するように配置することができるので、当該超電導マグネット装置をコイルの軸方向が水平であるという条件下でどの向きに設置したとしても、上記と同様の効果を得ることができる。
また、この発明の請求項8に記載の超電導マグネット装置は、巻枠に超電導線材を巻線して構成され、軸方向が実質的に水平方向と一致するように同心状に配置された第1コイルおよび第2コイルと、第1コイルの一方端のみを支持するとともに、第2コイルの少なくとも一方端を支持するコイル支持手段と、第1コイルの自重による下方への撓み変形に対する第2コイルからの抗力を第1コイルに伝達することにより、第1コイルの他方端側を上方に向かって押圧可能な抗力伝達手段とを備え、抗力伝達手段は、第1コイルの他方端側の周面のうち、第2コイルの周面と対向し、かつ、第1コイルの自重による撓み変形により第2コイルの周面に接近する領域に対応する位置に設けられ、抗力伝達手段が設けられた位置の反対側には、第1コイルが移動可能な空間が形成されていることを特徴とする。
この請求項8に記載の超電導マグネット装置では、上記のように、第1コイルの自重による下方への撓み変形に対する第2コイルからの抗力を第1コイルに伝達することにより、第1コイルの他方端側を上方に向かって押圧する抗力伝達手段を設けることによって、抗力伝達手段により、コイル支持手段に支持されていない第1コイルの他方端側を、第1コイルの自重による下方向への力(重力)に抗して上方に向かって押圧することができるので、第1コイルの他方端が下方に所定量以上撓むのを抑制することができる。また、抗力伝達手段を、第1コイルの他方端側の周面のうち、第2コイルの周面と対向し、かつ、第1コイルの自重による撓み変形により第2コイルの周面に接近する領域に対応する位置に設け、抗力伝達手段が設けられた位置の反対側に、第1コイルが移動可能な空間を形成することによって、冷却時の第1コイルと第2コイルとの径方向の相対変位を、抗力伝達手段が設けられた位置の反対側の領域へ第1コイルを移動させることにより吸収することができる。なお、上記構成において、第1コイルが第2コイルの内側に配置されている場合には、抗力伝達手段を第1コイルの他方端側の外周面のうち軸心より下方の所定領域に対応する位置に設けることによって、抗力伝達手段により第1コイルの他方端の下方への撓みを抑制することができる。また、第1コイルが第2コイルの外側に配置されている場合には、抗力伝達手段を第1コイルの他方端側の内周面のうち軸心より上方の所定領域に対応する位置に設けることによって、抗力伝達手段により第1コイルの他方端の下方への撓みを抑制することができる。
上記請求項8に記載の超電導マグネット装置において、好ましくは、抗力伝達手段は、冷却時の第1コイルと第2コイルとの径方向の相対変位を許容可能である(請求項9)。このように構成すれば、冷却時の第1コイルと第2コイルとの径方向の相対変位を、抗力伝達手段が許容して吸収することができるので、冷却時に第1コイルおよび第2コイルに過剰な力が作用するのを十分に抑制することができる。
上記請求項1〜9のいずれか1項に記載の超電導マグネット装置において、コイル支持手段は、第2コイルの両端を支持するように構成されていてもよい(請求項10)。
この発明の超電導マグネット装置によれば、第1コイルの他方端が下方に所定量以上撓むのを抑制することができるので、第1コイルの自重による曲げモーメントによる強度的負担を軽減することができる。また、冷却時の第1コイルと第2コイルとの径方向の相対変位を吸収することができるので、冷却時の熱収縮によりコイルに径方向の過剰な負担がかかるのを抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による超電導マグネット装置の構成を示した断面正面図であり、図2および図3は、図1に示した超電導マグネット装置の要部構成を示した図である。また、図4は、図2に示した超電導マグネット装置の要部の冷却前の状態を示した図である。まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態による超電導マグネット装置の構成について説明する。なお、本実施形態の超電導マグネット装置は、超電導コイルの軸方向が水平方向とほぼ一致する、いわゆる、横置き型の超電導マグネット装置である。
第1実施形態の超電導マグネット装置は、図1に示すように、液体ヘリウム13を収容可能な液体ヘリウム容器14と、液体ヘリウム容器14を外側から覆う輻射熱シールド板16と、輻射熱シールド板16を外側から覆う真空容器20とにより構成される低温容器10を備えている。図中符号13aは、液体ヘリウム容器14内に収容された液体ヘリウム13の液面である。また、液体ヘリウム容器14内には、2つの超電導コイル50および60が液体ヘリウム13中に浸漬された状態で配設されている。なお、第1実施形態の超電導コイル50および60は、それぞれ、本発明の「第1コイル」および「第2コイル」の一例である。
すなわち、第1実施形態による超電導マグネット装置では、液体ヘリウム容器14が超電導コイル50および60をその冷却のための媒体である液体ヘリウム13とともに収納しており、輻射熱シールド板16および真空容器20が上記液体ヘリウム容器14を収容している。
また、超電導コイル50および60と液体ヘリウム容器14と輻射熱シールド板16と真空容器20とは、装置中央に設けられたサンプルセット用の貫通穴11を取り巻くようにドーナツ状に積層配置されており、超電導コイル50および60と貫通穴11とは、ほぼ同軸となるように構成されている。
また、液体ヘリウム容器14、輻射熱シールド板16および真空容器20の上部には、それぞれ、一対の首管14a、16aおよび20aが上方に向かって延設されている。これらの首管14a、16aおよび20aは、その順で管径が大きくなるように設定されており、各管の軸心が互いに合致するように配設されている。そして、首管14aの外周面に首管16aおよび20aの上端部が溶接、ろう付、はんだ付等の手段により各々接合された状態となっている。従って、液体ヘリウム容器14の首管14aが真空容器20の首管20aの上端から吊り下がり、その首管14aから輻射熱シールド板16の首管16aが吊り下がった状態となっている。
また、液体ヘリウム容器14と輻射熱シールド板16との間、および、輻射熱シールド板16と真空容器20との間には、それぞれ、図示しない連結棒が適宜配設されている。これらの連結棒は、GFRPやCFRPなどの断熱性の高い材料により構成されており、輻射熱シールド板16を含めた各容器同士の連結を行うとともに、事前に張力が付与されたテンションロッドとして機能するように構成されている。
また、液体ヘリウム容器14、輻射熱シールド板16および真空容器20は、それぞれ、非磁性材料により構成されており、その具体的な材質は特に問わないが、液体ヘリウム容器14および真空容器20の材質としては、たとえばステンレス鋼が好適であり、輻射熱シールド板16の材質としては、たとえば熱伝導性に優れたアルミニウム合金が好適である。
次に、図1および図3を参照して、液体ヘリウム容器14内に収容される超電導コイル50および60の構成について説明する。
超電導コイル50および60は、図1および図3に示すように、各々円筒形状に形成されており、その軸心が互いに合致するようにほぼ水平に配置されている。すなわち、超電導コイル50は、液体ヘリウム容器14内の径方向の内側に配設されており、超電導コイル60は、上記超電導コイル50を取り巻くように、超電導コイル50の外周面と径方向に所定間隔を隔てて配設されている。また、超電導コイル60は、超電導コイル50に比べて軸方向に長くなるように構成されている。
この超電導コイル50は、巻枠51に超電導線材52を巻線することにより構成されており、巻枠51は、円筒状の胴部51aと、胴部51aの軸方向の両端から径方向に延びるように形成された一対のつば部51bおよび51cとを有している。また、超電導コイル60も、上述の超電導コイル50と同様、胴部61aと一対のつば部61bおよび61cとを有する巻枠61に超電導線材62を巻線することにより構成されている。このような巻枠51,61は、アルミニウム合金やステンレス鋼を主体とする合金などにより構成されるが、上記合金同士を軸方向に繋げることにより構成されていてもよい。また、超電導線材52および62としては、たとえば、NbTi、NbSn、NbAl等の化合物系や酸化物系が挙げられる。
前記超電導コイル50を構成する超電導線材52及び巻枠51の材質と、超電導コイル60を構成する超電導線材62及び巻枠61の材質は、互いに同じものであってもよいが、この実施の形態では、前記超電導コイル50と超電導コイル60とで互いに熱収縮率の異なる材質が用いられている。具体的には次のとおりである。
内側の巻枠51:ステンレス鋼
外側の巻枠61:アルミニウム合金
内側の超電導線材52:NbSn
外側の超電導線材62:NbTi
また、これらの超電導コイル50および60は、一対のコイル支持部材70aおよび70bにより支持されている。詳細には、液体ヘリウム容器14内には、コイル支持部材70aおよび70bが上記貫通穴11を取り巻くように、かつ、軸方向に所定間隔を隔てて配設されている。超電導コイル50の一方端側(図中の右側)のつば部51bは、スペーサ71を介してコイル支持部材70aにボルト80により固定されており、超電導コイル50の他方端側(図中の左側)のつば部51cは、支持部材等により支持されておらず、自由端として振舞うことが可能なようになっている。また、超電導コイル60の一方端側のつば部61bは、コイル支持部材70aにボルト80により固定されており、超電導コイル60の他方端側のつば部61cは、コイル支持部材70bにボルト80により固定されている。
なお、前記コイル支持部材70a,70bの材質としてはアルミニウム合金が好適であり、またスペーサ71の材質としてはステンレス鋼またはアルミニウム合金が好適であるが、その具体的な材質は特に限定されない。
このように構成された超電導コイル50は、熱や重力などの外的要因により変形可能であり、具体的には、液体ヘリウム容器14内に液体ヘリウム13を供給して容器内温度を常温から液体ヘリウム温度まで下降させることにより軸方向および径方向に熱収縮(変位)するとともに、超電導コイル50の自重によりその他方端が下方に向かって撓み変形する。なお、超電導コイル50の径方向の熱収縮(変位)は、コイル支持部材70aとともに行われる。
また、超電導コイル60は、冷却時にコイル支持部材70aおよび70bとともに径方向に熱収縮(変位)する一方、その両端がコイル支持部材70aおよび70bに固定されているため、軸方向にはほとんど熱収縮することがないとともに、その自重によってもほとんど変形することがないようになっている。
また、冷却時における外側の超電導コイル60の径方向の熱収縮量は、内側の超電導コイル50の径方向の熱収縮量よりも大きい。
これらのことから、第1実施形態の超電導マグネット装置では、超電導コイル50の他方端側の外周面(つば部51c)のうち軸心よりも下方領域が、自重により超電導コイル60の内周面(胴部61a)に近づくように下方に撓み変形する。さらに、冷却時には、超電導コイル50の外周面が超電導コイル60の内周面に相対的に近づくように、超電導コイル50および60が径方向に熱収縮(変位)する。
一方、冷却時におけるコイル軸方向の熱収縮については、外側の超電導コイル60がコイル支持部材70a,70bにより両端支持された状態にあるのに対し、内側の超電導コイル50はコイル支持部材70aのみによって片持ち梁の状態で支持されていることから、内側の超電導コイル50の熱収縮量が外側の超電導コイル60よりも大きくなる。すなわち、前記冷却時において、超電導コイル50における巻枠51の自由端側のつば部51cは、超電導コイル60における巻枠61の同じ側のつば部61cよりも大きくコイル支持部材70a側に変位することになる。
そこで、本実施形態では、前記両超電導コイル50,60間の軸方向及び径方向についての熱収縮量の差を考慮すべく、これら超電導コイル50,60間に図1〜図3に示すような所定の形状の第1伝達部材53及び第2伝達部材63が介設されている。
具体的に、前記第1伝達部材53は、超電導コイル50のつば部51cの先端、つまり、超電導コイル50の外周面に、その全周に亘って取り付けられている。この第1伝達部材53は、図2および図4に示すように、軸方向に沿った断面形状がほぼ直角三角形となるように構成されており、その傾斜面53aが超電導コイル50の他方端側(図中の左側)を向くように前記つば部51cに固定されている。
一方、第2伝達部材63は、超電導コイル60の胴部61aの他方端側の内周面に、全周に亘って取り付けられている。この第2伝達部材63も、上記第1伝達部材53と同様、軸方向に沿った断面形状がほぼ直角三角形となるように構成されており、その傾斜面63aが前記第1伝達部材53の傾斜面53aと対向して接触可能となるように、すなわち、前記傾斜面63aが超電導コイル60の一方端側(図中の右側)を向くように、前記胴部61aに第2伝達部材63が固定されている。
これらの各伝達部材53および63は、上述した冷却時の超電導コイル50および60間の相対変位に応じて、傾斜面53a(63a)に沿って摺動するように構成されている。すなわち、各伝達部材53および63は、液体ヘリウム容器14内に液体ヘリウム13を供給する前の状態では、図4に示すように、互いの傾斜面53aおよび63a同士が部分的に重なるような位置関係で配設されているのに対し、液体ヘリウム容器14内に液体ヘリウム13を供給して容器内温度を常温から液体ヘリウム温度まで下降させる際に、超電導コイル50,60間の径方向距離が縮まり、かつ、超電導コイル50が超電導コイル60よりも大きく軸方向に熱収縮するのに伴なって、両伝達部材53,63はその傾斜面53a,63aにほぼ沿う方向に相対的に摺動し、その結果、図2に示すように、互いの傾斜面53aおよび63a同士がほぼ全面に亘って重なるような位置関係となる。
上記のように、各伝達部材53および63が傾斜面53aおよび63aを有するように構成することによって、上述した冷却時の超電導コイル50および60間の径方向および軸方向の相対変位に伴って冷却時に第1伝達部材53および第2伝達部材63の位置関係が変化する場合に、第1伝達部材53の傾斜面53aと第2伝達部材63の傾斜面63aとが容易に摺動するので、第1伝達部材53および第2伝達部材63を互いに無理なく接触させ続けることが可能である。
なお、第1伝達部材53および第2伝達部材63が冷却時に無理なく(その接触部分に大きな負荷が加わることなく)摺動するために、その傾斜面53aおよび63aの傾斜角度を好適な値に設定しておくのが好ましい。
すなわち、容器内温度を常温から液体ヘリウム温度まで下降させた際の超電導コイル60に対する超電導コイル50の軸方向成分の相対変位Px(図4参照)および径方向成分の相対変位Pyをデータ等から算出し、超電導コイル50および60間の相対変位Pを求める。そして、傾斜面53aおよび63aが上記ベクトルPの向きに沿うようにその傾斜角度を設定することによって、冷却時の各伝達部材53および63の摺動に伴う負荷を低減することができる。この傾斜角度は、超電導コイル50および60の材質(熱膨張率)や大きさ等により種々に変化する値であるため、具体的には明記しないが、約45°以下に設定されるのが好ましいと考えられる。
また、第1伝達部材53の弾性率および第2伝達部材63の弾性率は、いずれも、超電導コイル50の巻枠51の弾性率(この実施の形態ではステンレス鋼の弾性率:約210GPa)および超電導コイル60の巻枠61の弾性率(この実施の形態ではアルミニウム合金の弾性率:約70GPa)よりも小さくなるように構成することが好ましい。また、第1伝達部材53と第2伝達部材63との間の摩擦係数は、超電導コイル50の巻枠51と超電導コイル60の巻枠61との間の摩擦係数よりも小さくなるように構成するのが、好ましい。具体的に、前記第1伝達部材53および第2伝達部材63の材質としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(弾性率約0.6GPa)、ポリカーボネート(弾性率約2.4GPa)、エポキシ(弾性率約2.6GPa)、ポリイミド(弾性率約4.4GPa)などの絶縁物や、GFRPなどの繊維強化型樹脂を成形あるいは打ち抜きを施した材料が好適である。ただし、両伝達部材53,63にはこれらの伝達部材53,63が設けられる巻枠51,61の材質(この実施の形態ではステンレス鋼及びアルミニウム合金)と同じ材質を用いることも可能である。
このように構成された超電導コイル50および60では、上述した外的要因による超電導コイル50および60の変形時に、超電導コイル50(60)の軸心よりも下方の所定領域において第1伝達部材53および第2伝達部材63が互いに接触するので、超電導コイル50の自重による下方への撓み変形に対する超電導コイル60からの抗力が超電導コイル50に伝達され、その結果、超電導コイル50の他方端側が上方に向かって押圧される。また、冷却時に第1伝達部材53および第2伝達部材63が互いの傾斜面53aおよび63aに沿って容易に摺動するので、冷却時の超電導コイル50および60間の相対変位が無理なく吸収される。
第1実施形態では、上記のように、超電導コイル50の自重による下方への撓み変形に対する超電導コイル60からの抗力を超電導コイル50に伝達することにより、超電導コイル50の他方端側を上方に向かって押圧する第1伝達部材53および第2伝達部材63を設けることによって、各伝達部材53および63により、自由端の超電導コイル50の他方端側を、超電導コイル50の自重による下方向への力(重力)に抗して上方に向かって押圧することができるので、超電導コイル50の他方端が下方に所定量以上撓むのを抑制することができる。これにより、超電導コイル50の自重による曲げモーメントによって、巻枠51の胴部51aとつば部51bとの境界部分のうち上端近傍に加わる強度的負担を軽減することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1伝達部材53および第2伝達部材63を、冷却時の超電導コイル50および60間の径方向の相対変位を許容可能なように構成することによって、第1伝達部材53および第2伝達部材63により、上記超電導コイル50および60間の径方向の相対変位を吸収することができるので、冷却時の熱収縮により超電導コイル50および60に径方向の過剰な負担がかかるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、冷却時の超電導コイル50および60間の径方向および軸方向の相対変位に伴って第1伝達部材53の傾斜面53aと第2伝達部材63の傾斜面63aとが互いに摺動するので、上記超電導コイル50および60間の相対変位により第1伝達部材53および第2伝達部材63の位置関係が変化したとしても、第1伝達部材53および第2伝達部材63を互いに無理なく接触させ続けることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1伝達部材53の弾性率および第2伝達部材63の弾性率を、いずれも、超電導コイル50の巻枠51の弾性率および超電導コイル60の巻枠61の弾性率よりも小さくなるように構成することによって、冷却時の超電導コイル50および60間の径方向および軸方向の相対変位に対して、各伝達部材53および63を大きく変形させることができるので、上記相対変位を各伝達部材53および63が十分に吸収することができる。これにより、冷却時に超電導コイル50および60に過剰な負担がかかるのを十分に抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1伝達部材53と第2伝達部材63との間の摩擦係数が、超電導コイル50の巻枠51と超電導コイル60の巻枠61との間の摩擦係数よりも小さくなるように構成することによって、冷却時に互いに摺動する第1伝達部材53の傾斜面53aと第2伝達部材63の傾斜面63aとの間に発生する摩擦熱を低減することができるので、当該超電導マグネット装置の内部温度を、各超電導コイル50および60が超電導状態となるのに必要な極低温まで容易に低下させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1伝達部材53および第2伝達部材63を、超電導コイル50および60の周面に全周に亘って設けることによって、各伝達部材53および63を超電導コイル50(60)の軸心に対して等方性を有するように配置することができるので、当該超電導マグネット装置を超電導コイル50(60)の軸方向が水平であるという条件下でどの向きに設置したとしても、上述した第1実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
なお、上記第1実施形態では、図3に示すように、第1伝達部材53および第2伝達部材63を超電導コイル50および60に全周に亘って設ける例について示したが、本発明はこれに限らず、図5に示すように、第1伝達部材53を超電導コイル50の外周面のうち軸心より下方の所定領域(本実施形態では、軸心から鉛直下方に向いた状態での見た目の角度αが約90°となる範囲内)のみに設け、第2伝達部材63を超電導コイル60の内周面のうち軸心より下方の上記所定領域のみに設けるように構成してもよい。このように構成すれば、冷却時の超電導コイル50および60間の径方向の相対変位を、伝達部材53および63が設けられていない軸心より上方の領域に超電導コイル50を移動させることにより吸収することができる。また、この場合には、巻枠51のつば部51cを延設することによって第1伝達部材53を形成してもよいし、巻枠61の胴部61aに第2伝達部材63を一体的に形成してもよい。
また、各伝達部材53および63は、各設定領域に必ずしも連続して形成される必要はなく、各設定領域内に飛び石状に形成されていてもよいが、伝達部材53および63を、それぞれ、軸心から鉛直下方の位置に少なくとも設けた場合には、超電導コイル50の自重による下方への撓み変形に対する超電導コイル60の抗力を超電導コイル50に効率良く伝達することができるので好ましい。
また、図6および図7に示すように、巻枠51のつば部51cに凹部51dを形成し、その凹部51d内に所定のバネ定数を有するバネ部材54を配設するとともに、そのバネ部材54の一方端に、巻枠61の胴部61aに当接しながら転動するボール部材55を回転可能に保持させるような構成としてもよい。このように構成すれば、バネ部材54が圧縮変形(弾性変形)することによって、冷却時の超電導コイル50および60間の径方向の相対変位を容易に許容して吸収することができるので、冷却時に各コイル50および60に径方向に過剰な負担がかかるのを容易に抑制することができる。また、上記構成によれば、バネ部材54に回転可能に保持されたボール部材55が超電導コイル60の巻枠61上を転動することによって、冷却時の超電導コイル50および60間の軸方向の相対変位を容易に許容して吸収することができるので、冷却時に各コイル50および60に軸方向に過剰な負担がかかるのを容易に抑制することができる。また、ボール部材55を、超電導コイル60の巻枠61上を転動可能なように構成することによって、ボール部材55と超電導コイル60の巻枠61との接触部分を点や線に準じた形状にしてその接触面積を低減することができるとともに、冷却時の超電導コイル50および60間の軸方向の相対変位による接触部分の移動に伴ってボール部材55を転動させることができるので、冷却時の超電導コイル50および60間の軸方向の相対変位に伴って上記接触部分に発生する摩擦熱を大幅に低減することができる。なお、この場合にも、バネ部材54およびボール部材55は、超電導コイル50の全周に亘って設けられていてもよいし、上述の所定領域に限定して設けられていてもよい。
(第2実施形態)
また、超電導コイル60の他方端は、必ずしもコイル支持部材70bにより固定支持されていなくてもよく、本発明の第2実施形態として図8に示すように、超電導コイル50と同様に自由端として振舞うことが可能な構成としてもよい。この場合には、超電導コイル60は、上述した第1実施形態の超電導コイル60と異なり、熱や重力などの外的要因により変形可能であって、冷却時に軸方向および径方向に熱収縮(変位)するとともに、超電導コイル60の自重により他方端が下方に向かって撓み変形する。なお、第2実施形態の超電導コイル50および60は、それぞれ、本発明の「第2コイル」および「第1コイル」の一例である。
この第2実施形態では、超電導コイル60が超電導コイル50に比べて軸方向により長くなるような構成となっているため、超電導コイル60の方が超電導コイル50よりも重力の影響を顕著に受け、したがって、超電導コイル60の他方端が超電導コイル50の他方端に比べて下方により大きく撓み変形する。また、上記第1実施形態と同様、冷却時の超電導コイル60の径方向の熱収縮量は、超電導コイル50の径方向の熱収縮量よりも大きいが、上記第1実施形態と異なり、超電導コイル50,60の双方が片持ち梁の状態で支持されており、かつ、超電導コイル60の巻枠61の材質(この実施の形態ではアルミニウム合金)が超電導コイル50の巻枠51の材質(この実施の形態ではステンレス鋼)よりも熱収縮率の大きいものであるため、軸方向についても超電導コイル60の方が超電導コイル50よりも大きく収縮する構造となっている。
よって、この第2実施形態では、前記第1実施形態とは逆に、超電導コイル50の外周面に取り付けられた第1伝達部材53は、図8に示すように、その傾斜面が超電導コイル50の一方端側(図中の右側)を向いた状態で配設されるのが好ましく、超電導コイル60の内周面に取り付けられた第2伝達部材63は、上記第1伝達部材53と傾斜面同士が対向して接触可能なように、その傾斜面が超電導コイル60の他方端側(図中の左側)を向いた状態で配設されるのが好ましい。
これにより、第1伝達部材53および第2伝達部材63が超電導コイル50(60)の軸心よりも上方の所定領域において互いに接触することにより、超電導コイル50の他方端側が上方に向かって押圧されるとともに、冷却時に第1伝達部材53および第2伝達部材63が互いの傾斜面に沿って摺動することにより、超電導コイル50および60間の相対変位が容易に吸収される。
なお、第2実施形態では、超電導コイル60の他方端が超電導コイル50の他方端に比べて下方により大きく撓み変形する構成の超電導マグネット装置に本発明を適用した例について説明したが、これに限らず、超電導コイル50の他方端の方が超電導コイル60の他方端よりも下方により大きく撓む構成の超電導マグネット装置にも本発明を適用可能である。この場合には、上記第1実施形態とほぼ同様の構成となるため、その説明を省略する。
また、第2実施形態の効果は、上記第1実施形態の効果とほぼ同様である。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図9に示す。ここに示す超電導マグネット装置は、無冷媒式のものであって、外側容器として真空容器20およびその内側の輻射熱シールド板16を備え、その内側にコイル冷却ステージ36が収納されており、このコイル冷却ステージ36上に超電導コイル150および160が固定支持されている。なお、第3実施形態の超電導コイル150および160は、それぞれ、本発明の「第2コイル」および「第1コイル」の一例である。また、第3実施形態の超電導コイル150および160は、内側の超電導コイル150が外側の超電導コイル160よりも長くなるように構成されていること以外、上記第1実施形態の超電導コイル50および60とほぼ同様の構成を有しているため、その詳細な説明を省略する。
第3実施形態の超電導マグネット装置は、冷熱源として冷凍機30を備え、その基端部分が真空容器20に固定されている。この冷凍機30には、第1ステージ31およびこの第1ステージ31よりも低温の第2ステージ32を有する二段階冷凍方式の冷凍機が用いられ、第1ステージ31が輻射熱シールド板16に熱伝導可能に接続されるとともに、第2ステージ32が伝熱材34を介してコイル冷却ステージ36に熱伝導可能に接続されている。
コイル冷却ステージ36は、銅等の高熱伝導材料により平板状に形成され、図略の連結棒によって輻射熱シールド板16の適所に連結されている。そして、冷凍機30の生成する冷熱によって各コイル150および160の運転温度まで冷却されるとともに、その冷熱を各コイル150および160に伝達する伝熱媒体として機能する。
超電導コイル150の一方端側(図中の右側)のつば部151bは、コイル冷却ステージ36にボルト80により固定されており、超電導コイル150の他方端側(図中の左側)のつば部151cは、コイル支持部材170bにボルト80により固定されている。これにより、超電導コイル150は、冷却時に径方向に熱収縮(変位)する一方、軸方向にはほとんど熱収縮することがないとともに、その自重によってもほとんど変形することがないようになっている。
また、超電導コイル160の一方端側のつば部161bは、スペーサ171を介してコイル冷却ステージ36にボルト80により固定されており、超電導コイル160の他方端側のつば部161cは、自由端として振舞うことが可能なようになっている。これにより、超電導コイル160は、熱や重力などの外的要因により変形可能であり、冷却時に軸方向および径方向に熱収縮(変位)するとともに、超電導コイル160の自重によりその他方端が下方に向かって撓み変形する。
また、第3実施形態では、超電導コイル160の他方端(図中の左端)には、弾性変形可能な第3伝達部材153がボルト81により取り付けられている。この第3伝達部材153の先端は、超電導コイル150のつば部151cの外周面に当接しており、冷却時に、上記超電導コイル150の外周面上を軸方向に摺動するようになっている。
上記構成により、第3伝達部材153が超電導コイル150(160)の軸心よりも上方の所定領域において超電導コイル150の外周面に接触することにより、超電導コイル160の自重による下方への撓み変形に対する超電導コイル150からの抗力が超電導コイル160に伝達され、その結果、超電導コイル160の他方端側が上方に向かって押圧されるとともに、冷却時に第3伝達部材153が弾性変形しながら超電導コイル150の外周面上を摺動することにより、超電導コイル150および160間の軸方向および径方向の相対変位が容易に吸収される。
なお、この第3実施形態の無冷媒式の超電導マグネット装置を、上記第1実施形態および第2実施形態に適用することが可能である。
本発明の第1実施形態による超電導マグネット装置を示した断面正面図である。 図1に示した超電導マグネット装置の第1伝達部材および第2伝達部材を示した断面図である。 図1に示した超電導マグネット装置の超電導コイルを軸方向(右側方)から見た状態を示した側面図である。 図2に示した超電導マグネット装置の第1伝達部材および第2伝達部材の冷却前の状態を示した断面図である。 第1実施形態の変形例1による超電導マグネット装置の超電導コイルを軸方向(右側方)から見た状態を示した側面図である。 第1実施形態の変形例2による超電導マグネット装置の超電導コイルを軸方向(右側方)から見た状態を示した側面図である。 図6中のA−A線に沿った断面図である。 本発明の第2実施形態による超電導マグネット装置を示した断面正面図である。 本発明の第3実施形態による超電導マグネット装置を示した断面正面図である。
符号の説明
50、60 超電導コイル(第1コイル、第2コイル)
51、61、151、161 巻枠
52、62、152、162 超電導線材
53 第1伝達部材(抗力伝達手段)
53a、63a 傾斜面
54 バネ部材(弾性部材、抗力伝達手段)
55 ボール部材(転動部材、抗力伝達手段)
63 第2伝達部材(抗力伝達手段)
70a、70b、170b コイル支持部材(コイル支持手段)
150 超電導コイル(第2コイル)
153 第3伝達部材(抗力伝達手段)
160 超電導コイル(第1コイル)

Claims (10)

  1. 巻枠に超電導線材を巻線して構成され、軸方向が実質的に水平方向と一致するように同心状に配置された第1コイルおよび第2コイルと、
    前記第1コイルの一方端のみを支持するとともに、前記第2コイルの少なくとも一方端を支持するコイル支持手段と、
    前記第1コイルの自重による下方への撓み変形に対する前記第2コイルからの抗力を前記第1コイルに伝達することにより、前記第1コイルの他方端側を上方に向かって押圧可能な抗力伝達手段とを備え、
    前記抗力伝達手段は、前記第1コイルの他方端側の周面に対応する位置に設けられ、冷却時の前記第1コイルと前記第2コイルとの径方向の相対変位を許容可能となるように構成されていることを特徴とする、超電導マグネット装置。
  2. 前記抗力伝達手段は、弾性変形可能な弾性部材を含み、前記弾性部材の弾性変形によって、冷却時の前記第1コイルと前記第2コイルとの径方向の相対変位を許容する、請求項1に記載の超電導マグネット装置。
  3. 前記抗力伝達手段は、
    前記第1コイルに取り付けられ、所定の弾性率を有する弾性部材と、
    前記第2コイルの巻枠に当接し、前記弾性部材に回転可能に保持された転動部材とを含み、
    前記弾性部材が弾性変形することによって、冷却時の前記第1コイルと前記第2コイルとの径方向の相対変位を許容するとともに、
    前記転動部材が前記第2コイルの巻枠上を転動することによって、冷却時の前記第1コイルと前記第2コイルとの軸方向の相対変位を許容する、請求項1または2に記載の超電導マグネット装置。
  4. 前記抗力伝達手段は、
    前記第1コイルの他方端近傍に設けられた第1伝達部材と、
    前記第2コイルの他方端近傍に設けられ、少なくとも冷却時に前記第1伝達部材に接触可能な第2伝達部材とを含み、
    前記第1伝達部材および前記第2伝達部材は、各々傾斜面を有しており、冷却時の前記第1コイルと前記第2コイルとの軸方向および径方向の相対変位により前記傾斜面に沿って互いに摺動可能なように、前記傾斜面同士が対向して配置されている、請求項1または2に記載の超電導マグネット装置。
  5. 前記第1伝達部材および前記第2伝達部材は、少なくとも一方が前記第1コイルの巻枠の弾性率および前記第2コイルの巻枠の弾性率よりも小さい弾性率を有している、請求項4に記載の超電導マグネット装置。
  6. 前記第1伝達部材の前記第2伝達部材に対する摩擦係数は、前記第1コイルの巻枠と前記第2コイルの巻枠との間の摩擦係数よりも小さい、請求項4または5に記載の超電導マグネット装置。
  7. 前記抗力伝達手段は、前記第1コイルの他方端側の周面に対応する位置に全周に亘って設けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の超電導マグネット装置。
  8. 巻枠に超電導線材を巻線して構成され、軸方向が実質的に水平方向と一致するように同心状に配置された第1コイルおよび第2コイルと、
    前記第1コイルの一方端のみを支持するとともに、前記第2コイルの少なくとも一方端を支持するコイル支持手段と、
    前記第1コイルの自重による下方への撓み変形に対する前記第2コイルからの抗力を前記第1コイルに伝達することにより、前記第1コイルの他方端側を上方に向かって押圧可能な抗力伝達手段とを備え、
    前記抗力伝達手段は、前記第1コイルの他方端側の周面のうち、前記第2コイルの周面と対向し、かつ、前記第1コイルの自重による撓み変形により前記第2コイルの周面に接近する領域に対応する位置に設けられ、
    前記抗力伝達手段が設けられた位置の反対側には、前記第1コイルが移動可能な空間が形成されていることを特徴とする、超電導マグネット装置。
  9. 前記抗力伝達手段は、冷却時の前記第1コイルと前記第2コイルとの径方向の相対変位を許容可能である、請求項8に記載の超電導マグネット装置。
  10. 前記コイル支持手段は、前記第2コイルの両端を支持する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の超電導マグネット装置。
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